JP2001152779A - 割岩装置および該装置を用いた心抜き工法 - Google Patents

割岩装置および該装置を用いた心抜き工法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 岩盤表面側に亀裂を与えて心抜き作業の短時
間化、低コスト化および低騒音化を可能とする割岩装置
および該装置を用いた心抜き工法を提供する。 【解決手段】 可動片21の先端部を岩盤表面に向けた
状態で可動片21の進退経路(図1の1点鎖線)が本体
1の長手方向X、つまり削孔7の長手方向Xと鋭角を形
成するように構成されている。このため、油圧ジャッキ
4のピストン部41が伸張すると、可動片21の先端部
が岩盤表面に向けて移動し、削孔7の側部から岩盤表面
に向けて亀裂CRが伝播する。このように予め削孔7の
周囲に岩盤表面に向かう亀裂CRを形成しておくこと
で、削孔7の周囲の岩盤表面部分の破砕を容易に行うこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、岩盤に形成され
た削孔に挿入されて岩盤を割岩する割岩装置および該装
置を用いた心抜き工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】岩盤掘削作業を効率的に行うために、は
できるだけ自由面を多くすることが望ましい。そこで、
従来より心抜き発破を行い、心抜き部分を順次切り広げ
る工法が採用されている。なお、この明細書では、岩盤
に心抜き部分を形成する作業を「心抜き作業」と称して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、市街地近辺
での岩盤掘削作業では、基本的に発破を使用することが
極めて困難であることから、上記心抜き作業を次のよう
にして行っている。すなわち、削岩機によって複数の削
孔を形成し、その周囲を油圧ブレーカや割岩装置などを
用いて削孔を広げることで心抜き部分を形成している。
【0004】しかしながら、大きな心抜き部分を形成す
るためには、長時間を要してしまうという問題がある。
例えば、油圧ブレーカを用いると、その作業時に発生す
る粉塵や被削物などが心抜き部分に入り込んで心抜き作
業を遅延させてしまう。
【0005】また、割岩装置を用いて心抜き作業を行う
場合、割岩装置によって岩盤に与える亀裂を岩盤の表面
(自由面)に伝播させることができれば、効率良く心抜
き作業を行うことができるのであるが、従来の割岩装置
では、これが困難であった。というのも、従来の割岩装
置は、例えば特開平8−105288号公報に記載され
ているように、油圧ジャッキによって楔部材を進退させ
ることで進退方向とほぼ直交する方向に開拡片を広げ、
岩盤に亀裂を発生させるものであるため、割岩装置を岩
盤表面に対して大きく傾けた状態にセットでもしない限
り、通常の使用態様では岩盤表面側に亀裂が伝播され
ず、効果的に心抜き部分を形成することが困難であるか
らである。
【0006】この発明は上記課題に鑑みなされたもので
あり、岩盤表面側に亀裂を与えて心抜き作業の短時間化
および低コスト化を可能とする割岩装置および該装置を
用いた心抜き工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる割岩装
置は、岩盤に形成された削孔に挿入されて岩盤を割岩す
る割岩装置であって、上記目的を達成するため、その先
端側を前記削孔に挿入可能な中空状の本体と、前記本体
の内部において前記本体の長手方向に移動自在に配設さ
れ、その長手方向の一方端から他方端に向かうにしたが
って外径が漸減するテーパ部を有する楔部材と、前記楔
部材を前記長手方向に駆動する駆動手段と、その後端面
が前記本体の内部で前記テーパ部と摺接し、前記駆動手
段によって前記楔部材が移動すると、その移動動作に応
じて、その先端部が前記本体の側部に設けられた開口部
で進退移動する可動片を、少なくとも1つ以上有する可
動手段とを備えており、前記可動片の先端部を岩盤表面
に向けた状態で前記可動片の進退経路が前記長手方向と
鋭角を形成するように構成している。
【0008】このように構成された割岩装置では、可動
片の先端部を岩盤表面に向けた状態で可動片の進退経路
が本体の長手方向、つまり削孔の長手方向と鋭角を形成
するように構成されているため、可動片の先端部は岩盤
表面に向けて移動し、削孔の側部から岩盤表面に向けて
亀裂を与えて岩盤を割岩する。このように予め削孔の周
囲に岩盤表面に向かう亀裂を形成しておくことで、削孔
周囲の岩盤表面部分の破砕を容易に行うことが可能とな
る。
【0009】なお、駆動手段の配設位置は任意である
が、特に本体の先端内部に配設すると、上記のようにし
て岩盤を割岩した後、さらに本体を削孔の深層部に移動
させ、さらに連続して岩盤に対して岩盤表面側に向けた
亀裂を形成することができる。このため、心抜き作業を
より効率的に行うことが可能となる。
【0010】また、上記のようにして可動片を岩盤表面
に向けて本体の開口部から突出させると、本体に対して
削孔の底方向に大きな力が作用する。ここで、本体が強
固に固定されていないと、その力によって本体が削孔の
底方向に引き込まれて岩盤の割岩処理に寄与する力が低
下してしまう。これを防止するために、例えば引込規制
手段を本体の後端側に設けることが効果的な対策とな
る。というのも、引込規制手段を本体の後端側に設ける
ことで、上記のような力が本体に加わったとして、引込
規制手段が岩盤表面と係合して本体が削孔内に引き込ま
れるのを確実に防止することができるからである。
【0011】また、可動手段を複数の可動片で構成した
場合、これらの可動片を楔部材の移動経路を中心に放射
状に配置することで、削孔を中心とした略円錐状に岩盤
表面部分を割岩することができ、心抜き作業をさらに効
率的に行うことができる。
【0012】この発明にかかる心抜き工法は、上記目的
を達成するため、岩盤に削孔を形成する工程と、前記削
孔に請求項1ないし4のいずれかに記載の割岩装置の本
体先端側を挿入する工程と、楔部材を移動させて可動片
の先端部を前記本体の側部に設けられた開口部から突出
させて削孔側部から岩盤表面に向けて伸びる亀裂を形成
する工程と、亀裂が形成された岩盤表面部を破砕する工
程とを備えている。
【0013】この心抜き工程では、上記割岩装置を用い
て削孔の周囲に岩盤表面に向かう亀裂が形成されてお
り、削孔周囲の岩盤表面部分の破砕を容易に行うことが
可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、この発明にかかる割岩装
置の一の実施形態を示す図である。また、図2は、図1
(b)のA−A線断面矢視図である。割岩装置では、こ
れらの図に示すように、中空状の本体1の側部に4つの
開口部11が本体1の中心軸X(図2)を中心に等角度
間隔(90゜)で設けられている。各開口部11は本体
1の内側から外側に向けて傾斜しており、外側に向かう
に従って本体1の後端側(図1の上方側)に伸びてい
る。
【0015】また、各開口部11に対応して本体1の内
部に可動片21が配設されている。この可動片21は、
断面が5角形となっており、後端部が本体1内部に位置
し、その後端面211が後述する楔部材3のテーパ部3
1に摺接可能な形状に仕上げられている。一方、可動片
21の先端部は峰状に尖っており、後述するように本体
1の長手方向Xに楔部材3が移動するのに応じて開口部
11に対して進退移動可能となっている。このように、
この実施形態では、可動片21の進退経路(図1の1点
鎖線)は本体1の長手方向(楔部材3の移動方向)Xに
対して鋭角、例えば約30゜を形成している。ただし、
この角度は30゜に限定されるものではなく、鋭角であ
る限り任意である。
【0016】可動片21を進退移動させる楔部材3は円
錐形状を有しており、本体1の内部で長手方向Xに沿っ
て往復移動自在に配置されている。この楔部材3は長手
方向Xの一方端(同図の下方端)から他方端(同図の上
方端)に向かうにしたがって外径が漸減するテーパ部3
1を有している。そして、この一方端に油圧ジャッキ4
のピストン部41が固着されている。
【0017】この油圧ジャッキ4は本体1の先端内部に
配設されて、本体1の先端に固定された蓋部12に対し
て複数のボルトやビスなどの締結具42によって固定さ
れている。そして、それ自体公知の油圧制御回路によっ
て油圧ジャッキ4が動作してピストン部41を伸縮させ
ると、その動作に応じて楔部材3が長手方向Xに沿って
移動する。
【0018】すなわち、油圧ジャッキ4のピストン部4
1が収縮すると、図1(a)に示すように、楔部材3は
本体1の先端側(同図の下側)に移動し、それに伴って
各可動片21が自重によってテーパ部31を摺接しなが
ら本体1の内部に移動し、可動片21全体が本体1内に
収容される。したがって、このように可動片21を本体
1の内部に収容した状態で岩盤に形成された削孔内に本
体1の先端側を挿入可能となっている。
【0019】一方、油圧ジャッキ4のピストン部41が
伸張すると、図1(b)に示すように、楔部材3は本体
1の後端側(同図の上側)に移動し、それに伴って各可
動片21がテーパ部31を摺接しながら本体1の外側に
移動し、可動片21の先端部は本体1の開口部11から
突出される。したがって、上記のようにして可動片21
を収容した状態で本体1の先端側を岩盤の削孔に挿入し
た後、油圧ジャッキ4のピストン部41を伸張させる
と、各可動片21の先端部が岩盤表面に向けて突出し、
岩盤に対して亀裂を与えて割岩することができるように
なっている。
【0020】また、本体1の後端側には、割岩作業を行
う際に本体1が削孔内に引き込まれるのを防止するため
の引込規制部5が着脱自在となっている。この引込規制
部5は、図1および図3に示すように、岩盤表面と係合
して当該表面を押し付けるためのプレート51と、プレ
ート51上で本体1を取り囲むように配置された一対の
受け金具52と、受け金具52と本体1との間に介挿さ
れた楔杆53とで構成されている。
【0021】より具体的には、受け金具52は4本のボ
ルト521で相互に一体化されると、その中心部に貫通
孔を形成し、この貫通孔とプレート51の中心孔(図示
省略)に本体1を遊挿可能となっている、また、貫通孔
は本体1の先端側(図1の下側)で狭く、後端側(同図
の上側)に向かうに従って漸増しており、受け金具52
の中央部にテーパ部が形成されている。そして、このテ
ーパ部に沿って楔杆53を圧入することで本体1に対し
て受け金具52を装着固定している。
【0022】なお、この実施形態では、楔杆53を4分
割したものを用いて作業性の向上を図っているが、分割
数がこれに限定されるものではなく、任意である。ま
た、分割しないで一体化されたものを用いてもよい。
【0023】また、この実施形態では一対の受け金具5
2をボルト521で相互に締結して一体化しているが、
分割数はこれに限定されない。また、一対の受け金具5
2の一方をプレート51に固着してもよいし、受け金具
52とプレート51とを分離した状態で使用してもよ
い。さらに、図4に示すように一体成形された受け金具
52を用いてもよいことはいうまでもない。
【0024】次に、上記のように構成された割岩装置の
動作、ならびに同割岩装置を用いた心抜き作業手順につ
いて図面を参照しつつ説明する。
【0025】まず重機車両(図示省略)のブームの先端
に削岩機やコア−ボーリングなどの穿孔装置6(図5
(a))を取付ける。この穿孔装置6は、ブームに装着
固定されたリーダに沿ってロッド61を回転・スライド
させ、そのロッド先端に取付けられたビット62によっ
て岩盤に対して削孔を形成可能となっている。
【0026】重機車両への穿孔装置6のセットが完了す
ると、重機車両を操作してビット先端部を心抜き作業位
置に移動させた後、穿孔装置6によって岩盤Rの表面か
ら所定深さまで穿孔し、心抜き部分の中心となる削孔7
を形成する。ここでは、後述するように図1の割岩装置
によって岩盤Rの割岩を行うため、本体1の外径より大
きな内径を有する削孔7を形成する必要がある。
【0027】こうして形成された削孔7内に、割岩装置
をセットする。具体的には、同図(b)に示すように、
本体1の後端に形成された吊孔13(図3参照)にワイ
ヤWを装着し、このワイヤWを重機車両のブームの先端
に取付けられたフックFに掛けた後、重機車両によって
本体1の先端部を削孔7内に挿入し、最初に割岩する位
置に位置決めする。また、本体1の後端側に引込規制部
5を装着し、本体1の位置決めと同時に、プレート51
によって岩盤表面を押え付ける。こうして、最初の割岩
作業の準備が完了するが、この準備段階の間において
は、油圧ジャッキ4のピストン部41が収縮した状態に
制御されており、可動片21は本体1の内部に収容され
た状態となっている。
【0028】割岩作業の準備が完了すると、油圧制御回
路によって油圧ジャッキ4のピストン部41が伸張され
て可動片21が長手方向Xに対して約30゜の傾きをも
って岩盤表面に向けて本体1の開口部11から突出す
る。これによって、図5(c)に示すように、岩盤表面
部において削孔7から岩盤表面に向けて亀裂CRが入
り、岩盤Rが割岩される。特に、この実施形態では、4
本の可動片21を削孔7の長手方向Xを中心として放射
状に配置しており、可動片21が放射状に突出して亀裂
CRも放射状に形成されるため、岩盤表面部分のうち削
孔7を中心とする倒立状で、しかも略円錐状の部分rが
岩盤Rから浮き上がった状態となる。つまり、亀裂CR
が相互につながり自由面が形成されることとなる。な
お、以下の説明の便宜から、当該部分rを「表面分離部
分」を称する。
【0029】仮に、一回の割岩作業によって自由面が形
成されなかった場合には、次の割岩作業を少なくとも1
回以上繰り返すことで完全な自由面を形成することがで
きる。すなわち、油圧制御回路によって油圧ジャッキ4
のピストン部41を収縮して可動片21を本体1の内部
に収容し、本体1を数十度、例えば約45゜回転させた
後、上記と同様にしてさらに別の亀裂CRを岩盤表面に
向けて与える。こうすることで、完全な自由面を形成す
ることができる。
【0030】上記のようにして岩盤表面部に自由面を形
成することで次に説明するようにして削孔7を拡張する
ことができる。もちろん、心抜き作業を行う上で完全な
自由面を形成することが必須というわけではなく、岩盤
表面部において削孔7の側部から岩盤表面に向かって亀
裂CRが発生しているだけでも、次に説明する作業を行
うことで削孔7の拡張が可能となる。
【0031】次に、図6(a)に示すように、引込規制
部5を取り外した後、表面分離部分rを例えば特開平8
−105288号公報に記載されているような従来より
周知の割岩装置8によって破砕除去する。こうして、同
図(b)に示すように、表面分離部分rがそっくり除去
されて心抜き部分が拡張されて自由面が広がる。もちろ
ん、これをもって心抜き作業を完了してもよいのである
が、この実施形態では、周知の割岩装置8によって心抜
き部分の表面側をさらに広げた後、上記した割岩作業を
繰り返して心抜き部分を拡張していく。こうすること
で、より大きな心抜き部分を形成することができる。
【0032】この繰返し作業は次のようにして行われ
る。まず、図7に示すように、重機車両によって本体1
の先端部を削孔7のさらに深い部分(深層部)内に送り
込み、次に割岩する位置に位置決めする。また、本体1
の後端側に引込規制部5を再度装着し、本体1の位置決
めと同時に、プレート51によって岩盤表面を押え付け
る。こうして、次の割岩作業の準備が完了するが、この
準備段階の間においては、油圧ジャッキ4のピストン部
41が収縮した状態に制御されており、可動片21は本
体1の内部に収容された状態となっている。
【0033】割岩作業の準備が完了すると、油圧制御回
路によって油圧ジャッキ4のピストン部41が伸張され
て可動片21が長手方向Xに対して約30゜の傾きをも
って岩盤表面に向けて本体1の開口部11から突出す
る。これによって、図8に示すように、既に心抜きされ
た岩盤表面部において削孔7から岩盤表面に向けて亀裂
CRが入り、岩盤Rが割岩される。こうして、既に破砕
除去された領域の直下位置に表面分離部分rが新たに形
成される。ここでも、一回の割岩作業によって自由面が
形成されなかった場合には、最初の場合と同様に本体1
の回転と割岩作業とを繰り返すことで完全な自由面を形
成することができる。
【0034】それに続いて、上記と同様に、引込規制部
5を取り外した後、表面分離部分rを従来より周知の割
岩装置8などによって破砕除去する。こうして、表面分
離部分rがそっくり除去されて心抜き部分が拡張されて
自由面がさらに広がる。
【0035】以上のように、この実施形態によれば、可
動片21の先端部を岩盤表面に向けた状態で可動片21
の進退経路(図1の1点鎖線)が本体1の長手方向X、
つまり削孔7の長手方向Xと鋭角を形成するように構成
されているため、油圧ジャッキ4のピストン部41を伸
張させることで可動片21の先端部が岩盤表面に向けて
移動し、削孔7の側部から岩盤表面に向けて亀裂CRを
与える。このように予め削孔7の周囲に岩盤表面に向か
う亀裂CRを形成しておくことで、削孔7の周囲の岩盤
表面部分の破砕を容易に行うことが可能となる。特に、
この実施形態のように、割岩作業によって自由面を形成
し、岩盤Rから表面分離部分rが浮き上がるように破砕
しておくことで、その表面分離部分rの破砕を容易に、
しかも効率良く行うことができ、心抜きの作業時間を大
幅に短縮するとともに、騒音も低減することができる。
【0036】また、上記実施形態では、油圧ジャッキ4
を本体1の先端内部に配設し、岩盤表面を割岩した後、
さらに本体1を削孔7の深層部に移動させ、さらに連続
して岩盤Rに対して岩盤表面側に向けた亀裂CRを形成
することができるため、心抜き作業をより効率的に行う
ことが可能となる。
【0037】また、上記実施形態では、単にワイヤWで
本体1を吊上げているのみならず、引込規制部5によっ
て割岩作業において本体1を強固に固定しているため、
効率良く割岩作業を行うことができるという効果が得ら
れる。すなわち、可動片21を岩盤表面に向けて本体1
の開口部11から突出させると、本体1に対して削孔7
の底方向に大きな力が作用する。ここで、本体1が強固
に固定されていないと、その力によって本体1が削孔7
の底方向に引き込まれて岩盤Rの割岩処理に寄与する力
が低下してしまうが、引込規制部5を本体1の後端側に
装着することで、上記のような力が本体1に加わったと
して、引込規制部5が岩盤表面によって係止されて本体
1が削孔7内に引き込まれるのを確実に防止することが
できる。
【0038】さらに、上記実施形態では、4本の可動片
21を削孔7の長手方向Xを中心として放射状に配置し
ており、油圧ジャッキ4のピストン部41が伸張する
と、可動片21が放射状に突出して亀裂CRも放射状に
形成されるため、岩盤表面に広範囲にわたって亀裂CR
を与えることができ、心抜き作業の効率を高める上で効
果的である。
【0039】なお、本発明は上記した実施形態に限定さ
れるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて
上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、油圧ジャッキ4を本体
1の先端内部に配設しているが、図9に示すように、本
体1の後端側に配設するようにしてもよい。この実施形
態では、本体1の後端部に削孔7の内径よりも大きな外
径を有するフランジ部14が取付けられており、本体1
の先端側を削孔7に挿入すると、フランジ部14が岩盤
表面に係止されて引込規制手段として機能し、上記実施
形態と同様の効果が得られる。
【0040】また、このフランジ部14の上方位置に蓋
部15が取付けられており、この蓋部15の内部に油圧
ジャッキ4が配設されている。そして、この油圧ジャッ
キ4のピストン部41が楔部材3と連結され、ピストン
部41の伸縮動作に応じて楔部材3が長手方向Xに移動
し、これに応じて可動片21の先端部が長手方向Xと鋭
角を形成する進退経路(同図の1点鎖線)に沿って進退
移動するように構成されている。
【0041】したがって、削孔7に本体1の先端部を挿
入した後、それ自体公知の油圧制御回路によって油圧ジ
ャッキ4のピストン部41を伸張させると、可動片21
が放射状に突出して削孔7の側面底部から岩盤表面に向
けて亀裂が伝播する。このように予め削孔7の周囲に岩
盤表面に向かう亀裂を形成しておくことで、上記実施形
態と同様に、削孔7の周囲の岩盤表面部分の破砕を容易
に行うことが可能となる。
【0042】また、上記実施形態では、可動片21を4
本としているが、可動片の本数は任意であり、岩盤の硬
度や種類などに応じて適宜選択設定することができる。
つまり、油圧ジャッキ4のピストン部41を伸張させる
ことで岩盤表面に向けて移動し、削孔7の側部から岩盤
表面に向けて亀裂CRを伝播させる可動片を少なくとも
1本以上設け、これによって可動手段を構成すればよ
い。
【0043】また、上記実施形態では、油圧ジャッキ4
のピストン部41を楔部材3の後端(大口径部分)側に
連結しているが、先端(先鋭部分)側に連結して楔部材
3を長手方向Xに沿って移動させるように構成してもよ
い。ただし、耐久性や破壊強度などを考慮すれば、上記
実施形態の如くピストン部41を楔部材3の後端(大口
径部分)側に連結するのが望ましい。
【0044】また、上記実施形態では、楔部材3を長手
方向Xに移動させるための駆動手段として油圧ジャッキ
4も用いているが、これ以外の駆動手段を用いてもよい
ことはいうまでもない。
【0045】また、上記実施形態では、本体1の断面形
状を円形状(環状)としているが、その形状はこれに限
定されるものではなく、多角形状であってもよい。ま
た、楔部材の断面形状についても同様に、円形断面に限
定されず、多角形断面に仕上げてもよい。
【0046】さらに、上記実施形態では、可動片21が
岩盤側にに突出する際に本体1が削孔7内に引込まれる
のを防止するために、引込規制手段として先の実施形態
では引込規制部5を、また後の実施形態(図9)ではフ
ランジ部14を設けているが、本体1を重機車両などに
より強固に位置決め固定している場合には、必ずしも引
込規制手段を設ける必要はない。すなわち、引込規制手
段は必須構成要件ではなく、任意の構成要件である。た
だし、これを備えることで上記したように本体1を強固
に固定することができ、より効率的な割岩作業を行うこ
とができるという効果が得られる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、可動
片の先端部を岩盤表面に向けた状態で可動片の進退経路
が本体の長手方向(削孔の長手方向)と鋭角を形成する
ように構成しているので、楔部材の移動に応じて可動片
の先端部が岩盤表面に向けて移動して、削孔の側部から
岩盤表面に向けて亀裂を与えて岩盤を割岩することがで
き、このように予め削孔の周囲に岩盤表面に向かう亀裂
を形成しておくことで、削孔周囲の岩盤表面部分の破砕
を容易に行うことが可能となる。このように予め削孔の
周囲に岩盤表面に向かう亀裂を形成しておくことで、削
孔周囲の岩盤表面部分の破砕を容易に行うことが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる割岩装置の一の実施形態を示
す図である。
【図2】図1(b)のA−A線断面矢視図である。
【図3】引込規制部を示す斜視図である。
【図4】引込規制部の他の実施形態を示す斜視図であ
る。
【図5】図1の割岩装置を用いた心抜き作業の手順を示
す図である。
【図6】図1の割岩装置を用いた心抜き作業の手順を示
す図である。
【図7】図1の割岩装置を用いた心抜き作業の手順を示
す図である。
【図8】図1の割岩装置を用いた心抜き作業の手順を示
す図である。
【図9】この発明にかかる割岩装置の他の実施形態を示
す図である。
【符号の説明】
1…本体 3…楔部材 4…油圧ジャッキ(駆動手段) 5…引込規制部(引込規制手段) 7…削孔 11…開口部 14…フランジ部(引込規制手段) 21…可動片 31…(楔部材の)テーパ部 41…ピストン部 CR…亀裂 R…岩盤 X…長手方向
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年6月5日(2000.6.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】岩盤掘削作業を効率的に行うためには、
できるだけ自由面を多くすることが望ましい。そこで、
従来より心抜き発破を行い、心抜き部分を順次切り広げ
る工法が採用されている。なお、この明細書では、岩盤
に心抜き部分を形成する作業を「心抜き作業」と称して
いる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】さらに、上記実施形態では、可動片21が
岩盤側突出する際に本体1が削孔7内に引込まれるの
を防止するために、引込規制手段として先の実施形態で
は引込規制部5を、また後の実施形態(図9)ではフラ
ンジ部14を設けているが、本体1を重機車両などによ
り強固に位置決め固定している場合には、必ずしも引込
規制手段を設ける必要はない。すなわち、引込規制手段
は必須構成要件ではなく、任意の構成要件である。ただ
し、これを備えることで上記したように本体1を強固に
固定することができ、より効率的な割岩作業を行うこと
ができるという効果が得られる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月7日(2000.8.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、可動
片の先端部を岩盤表面に向けた状態で可動片の進退経路
が本体の長手方向(削孔の長手方向)と鋭角を形成する
ように構成しているので、楔部材の移動に応じて可動片
の先端部が岩盤表面に向けて移動して、削孔の側部から
岩盤表面に向けて亀裂を与えて岩盤を割岩することがで
き、このように予め削孔の周囲に岩盤表面に向かう亀裂
を形成しておくことで、削孔周囲の岩盤表面部分の破砕
を容易に行うことが可能となる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 岩盤に形成された削孔に挿入されて岩盤
    を割岩する割岩装置において、 その先端側を前記削孔に挿入可能な中空状の本体と、 前記本体の内部において前記本体の長手方向に移動自在
    に配設され、その長手方向の一方端から他方端に向かう
    にしたがって外径が漸減するテーパ部を有する楔部材
    と、 前記楔部材を前記長手方向に駆動する駆動手段と、 その後端面が前記本体の内部で前記テーパ部と摺接し、
    前記駆動手段によって前記楔部材が移動すると、その移
    動動作に応じて、その先端部が前記本体の側部に設けら
    れた開口部で進退移動する可動片を、少なくとも1つ以
    上有する可動手段とを備え、 前記可動片の先端部を岩盤表面に向けた状態で前記可動
    片の進退経路が前記長手方向と鋭角を形成することを特
    徴とする割岩装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動手段は前記本体の先端内部に配
    設されている請求項1記載の割岩装置。
  3. 【請求項3】 岩盤表面と係合可能に前記本体の後端側
    に設けられ、岩盤表面と係合することで前記本体が前記
    削孔内に引き込まれるのを規制する引込規制手段をさら
    に備えている請求項1または2記載の割岩装置。
  4. 【請求項4】 前記可動手段は複数の可動片で構成され
    ており、これらの可動片は前記楔部材の移動経路を中心
    に放射状に配置されている請求項1ないし3のいずれか
    に記載の割岩装置。
  5. 【請求項5】 岩盤に削孔を形成する工程と、 前記削孔に請求項1ないし4のいずれかに記載の割岩装
    置の本体先端側を挿入する工程と、 楔部材を移動させて可動片の先端部を前記本体の側部に
    設けられた開口部から突出させて削孔側部から岩盤表面
    に向けて伸びる亀裂を形成する工程と、 亀裂が形成された岩盤表面部を破砕する工程とを備えた
    ことを特徴とする心抜き工法。
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