JP4249254B1 - 既設杭引き抜き装置 - Google Patents
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【解決手段】既設杭引き抜き装置1は、ケーシング11と、突出位置および退避位置の間で移動可能なチャック爪13と、一端がチャック爪13の基端部に接続されるロッド15と、ロッド15の他端に接続され、ケーシング11の先端に向かう方向の衝撃をロッド15に断続的に付与する油圧ブレーカ16と、一端が油圧ブレーカ16に接続されるコイルバネ17と、コイルバネ17の他端に接続され、コイルバネ17を介して油圧ブレーカ16およびロッド15をケーシング11の先端に向かって押圧する油圧ジャッキ18と、を備え、油圧ジャッキ18による押圧、および油圧ブレーカ16による衝撃の付与により、チャック爪13を前記退避位置から前記突出位置に移動させる。
【選択図】図4
Description
このように、既設杭は比較的硬い地層である支持層に埋設されているので、既設杭の下端部(又は下方)までチャック爪を移動させるには、大きな力が必要になる。
このように、近い将来、新しい建築物等に用いられた既設杭も、建築物の老朽化等による解体撤去に伴い除去する必要がある。
以下では、本発明に係る既設杭引き抜き装置の第一実施形態である既設杭引き抜き装置1について説明する。
掘削歯12はケーシング11の先端部に設けられており、チャック爪13、ガイド部14、ロッド15、油圧ブレーカ16、コイルバネ17、および油圧ジャッキ18は、ケーシング11の外周側に設けられている。また、チャック爪13は、ケーシング11の外周側から内方側へ突出可能に構成されている。
図1および図2に示すように、ケーシング11の先端部には、ケーシング11の内部(ケーシング11の内周面で囲まれる空間)と外部とを連通し、チャック爪13が通過可能に構成される連通孔11aが形成されている。
ケーシング11には、水、ベントナイト等の泥土化剤をケーシング11の先端部に供給するための配管(不図示)が適宜設けられている。この泥土化剤により地層の硬度を低下させている。
詳細には、ケーシング駆動装置によりケーシング11を軸(円筒状のケーシング11の中心軸)周りに回転させつつ、押圧することにより、ケーシング11の先端の掘削歯12によって地層を掘削しつつケーシング11が地中に進入していく。また、地中に進入したケーシング11を地上に引き抜く際も同様にケーシング11を回転等させる。
チャック爪13は、ケーシング11の連通孔11aを通じて移動し、突出位置、および退避位置の間で移動可能に構成されている。チャック爪13の「突出位置」は、連通孔11aを通じてケーシング11の内部に貫入し、ケーシング11の内部に先端部を突出している位置であり、前記突出位置にあるチャック爪13はケーシング11の軸に対して略垂直方向に突出する姿勢になる(図4(d)および図7参照)。チャック爪13の「退避位置」は、ケーシング11の内部から外周側に退避している位置であり、前記退避位置にあるチャック爪13はケーシング11の外周面に対向するとともにケーシング11の軸に対して略水平姿勢になる(図4(a)および図5参照)。
なお、チャック爪13は、連通孔11aを通るときに、連通孔11aの内壁に接して支持されるように構成されている。
ガイド板14bは、ケーシング11の外周面に固定されており、ガイド板14bには、ガイドピン14aと係合するガイド溝14cがそれぞれ形成されている。ガイド板14bの縁部には、ガイド部材14dが固定されている。
ガイド溝14cは、円弧形状を有する溝であり、チャック爪13の移動軌跡を円弧状にガイドする。
ガイド部材14dは、ガイド板14bの下部における外周側縁部に設けられており、チャック爪13の先端側に当接するように設けられている。チャック爪13が退避位置から突出位置に移動する際に、ガイド部材14dに当接することにより、円滑に移動可能となっている。
以上のように、ガイド部14によってチャック爪13が前記退避位置から突出位置へと円滑に移動可能に構成されている。
ロッド15は、ケーシング11の軸方向に向けて複数(本実施形態では三つ)に分割されており、分割されたロッド15・15・15は連結ピン15a・15aを介して回動可能に連結されている。
また、最先端部に配置されるロッド15の連結部外周側には、当て板15bが設けられている。この当て板15bにより、最先端に配置されるロッド15の外側への回動が規制されている。
チゼル16aは、ブレーカ本体16bからの打撃を伝達するためのロッド状の部材であり、その一端はロッド15の他端(最基端部に配置されるロッド15の基端側)に接続され、他端はブレーカ本体16bに接続されている。
ブレーカ本体16bは、チゼル16aに打撃を付与するためのものであり、支持部材(不図示)によりケーシング11の外周面に沿ってケーシング11の軸方向(図1の矢印A参照)に摺動可能に支持されている。
ブレーカ本体部16bからチゼル16aに打撃が加えられると、ケーシング11の先端に向かう方向の衝撃がチゼル16aからロッド15に伝達され、さらにロッド15からチャック爪13に前記突出位置に向かう方向の衝撃が伝達される。
このように、油圧ブレーカ16からロッド15等を介してチャック爪13に衝撃が付与される。
ピストンロッド18aの一端はコイルバネ17に接続され、他端はジャッキ本体18bに接続されている。
ジャッキ本体18bは、ピストンロッド18aを押引して移動させる(伸縮させる)ためのものであり、ケーシング11の外周面に固定されている。
ジャッキ本体18bでピストンロッド18aを押圧する(伸長する)ことにより、コイルバネ17を介して、油圧ブレーカ16およびロッド15にケーシング11の先端に向かう押圧力が伝達され、さらにロッド15からチャック爪13に前記突出位置に向かう方向の押圧力が伝達される。
チャック爪13を前記退避位置に向かう方向に移動させるときは、油圧ジャッキ18が用いられる。詳細には、油圧ジャッキ18のピストンロッド18aを収縮させ、これにより、コイルバネ17、油圧ブレーカ16およびロッド15がケーシング11の基端に向かって移動し、さらにチャック爪13が前記退避位置に向かう方向に移動していく。このとき、離間防止部材20によりコイルバネ17が伸長しすぎることが防止されるので、チャック爪13の移動が確実に行える。
これにより、チャック爪13が、前記突出位置に向かう方向に押圧される。このとき、チャック爪13の先端部周辺の地層が比較的硬ければ、チャック爪13が地層から受ける抵抗も大きくなる。さらに、チャック爪13が、コイルバネ17を介していることにより、ピストンロッド18aの伸長速度に比べて遅い速度で前記突出位置に向かう方向に移動したり、停止状態になったりする(本実施形態では、チャック爪13が停止状態にあるものとする(図5参照))。その結果、ピストンロッド18aの伸長速度とチャック爪13の移動速度との差に応じてコイルバネ17が収縮していく。
これにより、油圧ブレーカ16からチャック爪13に対して、前記突出位置に向かう方向の衝撃が断続的に付与される。さらに、チャック爪13がその先端で地層に対し前記突出位置に向かう方向に断続的に打撃を加える。そして、コイルバネ17が伸長していくとともに、チャック爪13が前記突出位置に向かう方向に移動していく。
このように、チャック爪13は、コイルバネ17を介して油圧ジャッキ18で押圧された状態で、油圧ブレーカ16から衝撃を付与されることにより、地層を掘削して前記退避位置から前記突出位置に向かう方向に移動していく。
このとき、チャック爪13が前記突出位置まで移動していれば、既設杭10の下端部がチャック爪13に当接して支持された状態になり、既設杭10がケーシング11とともに引き抜かれる(もしくは、チャック爪13が既設杭10の下方に位置した状態になり、ケーシング11の引き抜き作業の途中にチャック爪13と既設杭10とが当接し、既設杭10がチャック爪13に支持された状態となり、既設杭10がケーシング11とともに引き抜かれる)。
なお、チャック爪13が前記突出位置まで移動したか否かの判断は、例えば作業者がブレーカ本体16bの摺動量を目視することにより行う。詳細には、ブレーカ本体16bの摺動量が所定値以上であればチャック爪13が前記突出位置まで移動したと判断し、所定値以下であれば前記突出位置まで移動していないと判断する。
作業者は、チャック爪13が前記突出位置まで移動していない、つまり上記(b)および(c)の作業によってもブレーカ本体16bの摺動量が変化せず、前記所定値以上まで到達していないと判断すると、油圧ジャッキ18を駆動し、ピストンロッド18aを収縮させ、チャック爪13を前記退避位置に移動させる。例えば、チャック爪13が前記突出位置まで移動していない場合として、上記(a)の作業でチャック爪13が十分な深さまで移動していなかったため、上記(c)の作業の際、チャック爪13が既設杭10の中途部に当接し、前記突出位置まで移動しきれていない場合等がある。かかる場合には、作業者は再度上記(a)のケーシング11を所定位置まで移動させるための作業、ならびに上記(b)および(c)のチャック爪13を前記退避位置から前記突出位置に移動させるための作業を繰り返し行う。
しかし、油圧ジャッキ18と油圧ブレーカ16との間にはコイルバネ17が介装されている。これにより、例えば硬い地層の場合に、コイルバネ17が地層からの抵抗を吸収してチャック爪13の移動速度が遅くなる。このように、コイルバネ17によって地層の硬さに応じてチャック爪13の移動速度が適宜変化する。
したがって、チャック爪13、さらにガイドピン14a、ロッド15等が地層から受ける抵抗の大きさが調整され、チャック爪13、ガイドピン14a、ロッド15等に過大な負担がかかることを回避することが可能である。
しかし、油圧ジャッキ18と油圧ブレーカ16との間にコイルバネ17を介装することにより、このような油圧ブレーカ16の不規則な摺動をコイルバネ17で吸収できるので、油圧ジャッキ18により油圧ブレーカ16、さらにチャック爪13を確実に押圧することが可能である。
また、上記(c)において、作業者が油圧ブレーカ16を駆動させるとき、ピストンロッド18aの伸長動作を停止させてから駆動させたが、ピストンロッド18aの伸長動作を停止させずにピストンロッド18aを伸長させている状態で油圧ブレーカ16を駆動させてもよい。
一方、ガイド板14に形成されるガイド溝14cは、チャック爪13の円弧部13aの形状に沿った円弧形状を有する。
つまり、チャック爪13の外周面13d、溝13bの底面13c、およびガイド溝14cは、円弧部13aの形状に沿った円弧形状を有している。また、これら外周面13d、底面13c、ガイド溝14cは、それぞれ点Oを中心とする同心円C1、C2、C3の円弧として形成されている。
このように、チャック爪13を円弧運動させることにより、チャック爪13を連通孔11aに貫入させて前記突出位置まで円滑に移動させ、さらに連通孔11aを通じてケーシング11の内部から退避させて前記退避位置まで円滑に移動させることが可能になる。
また、外周面13d、底面13c、ガイド溝14cは同心円上に形成されているので、チャック爪13の円弧運動をより円滑にできる。
また、図1および図3に示すように、三つに分断されたロッド15のうち最もチャック爪13寄りに配置されている部分には、板状の部材である当て板15bが固定されている。そして、ロッド15をガイド溝14cに沿って移動させるとき、三つに分断されたロッド15のうちの真ん中に配置されている部分が、当て板15bに当接することによりケーシング11の径方向外側に回動することが防止されるよう構成されている。
例えば、図9(a)に示すように、本発明に係る既設杭引き抜き装置のチャック爪の別実施形態として、内周側に比較的深い溝23bが形成された劣弧半円状のチャック爪23を用いることも可能であり、係るチャック爪23を用いた場合はチャック爪の断面積を確保することができるのでチャック爪の強度を確保することが可能になる。
なお、チャック爪23を用いるときは図9(b)に示す形状の連通孔21aが用いられ、溝23bの底面23cが連通孔21aの突出部21bの先端面に、外周面13dが連通孔11aにおけるケーシング11の先端側端面11cに、それぞれ接するよう構成される。
このとき、図11に示すように、チャック爪33の内周面33c、ガイド溝14c、およびチャック爪33の外周面13dが、それぞれ点Oを中心とする同心円C4、C2、C3の円弧として形成されている。
そして、チャック爪33が連通孔31aを通るときチャック爪33の内周面33cが連通孔31aにおけるケーシング11の基端側端面31bに、チャック爪33の外周面13dがケーシング11の先端側端面11cに、それぞれ接して支持された状態で、チャック爪33が円弧運動する。
このように、簡易な構成でチャック爪33を円弧運動させることが可能である。また、チャック爪33の外周面13dおよび内周面33cがチャック爪33の円弧運動する際の移動方向に沿った形状になるので、チャック爪33を移動させるときに地層から受ける抵抗を低減でき、円滑に移動させることが可能である。
以下では、本発明に係る既設杭引き抜き装置の第二実施形態である既設杭引き抜き装置2について説明する。既設杭引き抜き装置2は、上記第一実施形態の油圧ブレーカ16に代えて、バイブロ26(起振体を利用した振動機)を備える。この点が、既設杭引き抜き装置2と第一実施形態に係る既設杭引き抜き装置1との主な相違点であり、その他の構成は略同じである。以下の説明においては、相違点に着目して説明し、第一実施形態と同じ構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
バイブロ26は、公知のバイブロであり、ロッド15に振動を付与するものである。バイブロ26は、バイブロロッド26aと、バイブロロッド26aを振動させるバイブロ本体26bと、を有する。
バイブロロッド26aの一端はロッド15の他端に接続され、他端はバイブロ本体26bに接続されている。バイブロ本体26bは、コイルバネ17の一端に接続されているとともに、支持部材(不図示)によりケーシング11の外周面に沿ってケーシング11の軸方向に摺動可能に支持されている。
バイブロ本体26bでバイブロロッド26aが振動されると、この振動がロッド15に付与(伝達)され、ロッド15がケーシング11の先端に向かう方向とケーシング11の基端に向かう方向とに振動する。そして、このロッド15の振動が伝達されて、チャック爪13が前記突出位置に向かう方向と、前記退避位置に向かう方向と、に振動する。
このように、チャック爪13は、コイルバネ17を介して油圧ジャッキ18で押圧された状態で、バイブロ26から振動を付与されることにより、地層を掘削して前記退避位置から前記突出位置に向かう方向に移動していく。
そして、チャック爪13が前記突出位置まで移動した後、作業者が前記ケーシング駆動装置を駆動させてケーシング11を引き抜くと、ケーシング11とともに既設杭10が引き抜かれる。
10 既設杭
11 ケーシング
13、23、33 チャック爪
15 ロッド
16 油圧ブレーカ(衝撃付与装置)
17 コイルバネ(弾性部材)
18 油圧ジャッキ(押圧装置)
26 バイブロ(振動付与装置)
Claims (4)
- 円筒状のケーシングと、
前記ケーシングの外周側かつ先端部寄りに配置され、前記ケーシングの内部に先端部を突出する位置である突出位置、および前記ケーシングの内部から退避した位置である退避位置の間で移動可能なチャック爪と、
前記ケーシングの外周側に配置されるとともに、一端が前記チャック爪の基端部に接続されるロッドと、
前記ケーシングの外周面に沿って前記ケーシングの軸方向に摺動可能に支持されるとともに前記ロッドの他端に接続され、前記ケーシングの先端に向かう方向の衝撃を前記ロッドに断続的に付与する衝撃付与装置と、
前記ケーシングの外周側に配置され、一端が前記衝撃付与装置に接続される弾性部材と、
前記ケーシングの外周面に固定されるとともに前記弾性部材の他端に接続され、前記弾性部材を介して前記衝撃付与装置および前記ロッドを前記ケーシングの先端に向かって押圧する押圧装置と、
を備え、
前記押圧装置による押圧、および前記衝撃付与装置による衝撃の付与により、前記チャック爪を前記退避位置から前記突出位置に移動させる既設杭引き抜き装置。 - 円筒状のケーシングと、
前記ケーシングの外周側かつ先端部寄りに配置され、前記ケーシングの内部に先端部を突出する位置である突出位置、および前記ケーシングの内部から退避した位置である退避位置の間で移動可能なチャック爪と、
前記ケーシングの外周側に配置されるとともに、一端が前記チャック爪の基端部に接続されるロッドと、
前記ケーシングの外周面に沿って前記ケーシングの軸方向に摺動可能に支持されるとともに前記ロッドの他端に接続され、前記ロッドに振動を付与する振動付与装置と、
前記ケーシングの外周側に配置され、一端が前記振動付与装置に接続される弾性部材と、
前記ケーシングの外周面に固定されるとともに前記弾性部材の他端に接続され、前記弾性部材を介して前記振動付与装置および前記ロッドを前記ケーシングの先端に向かって押圧する押圧装置と、
を備え、
前記押圧装置による押圧、および前記振動付与装置による振動の付与により、前記チャック爪を前記退避位置から前記突出位置に移動させる既設杭引き抜き装置。 - 前記チャック爪は、外周側に基端部から先端部に向かって円弧状に形成される円弧部が設けられ、かつ、内周側に基端部から先端部に向かって延びる溝が形成され、
前記溝は、その底面が前記円弧部の形状に沿う形状を有し、
前記ケーシングの外周面には、前記チャック爪の基端部を貫通して設けられるガイドピンと、前記ガイドピンと係合し、かつ、前記チャック爪の円弧部の形状に沿った形状を有するガイド溝とを含むガイド部が設けられ、
前記ケーシングには、前記ケーシングの内部と外部とを連通し、前記チャック爪が前記突出位置と前記退避位置との間で移動するときに通る連通孔が形成され、
前記連通孔には、前記ケーシングの先端に向かって突出し、前記チャック爪の溝に係合する突出部が形成され、
前記チャック爪が前記連通孔を通るとき、前記溝と前記突出部とが接し、前記チャック爪が円弧運動する請求項1または請求項2に記載の既設杭引き抜き装置。 - 前記チャック爪は、外周側に基端部から先端部に向かって円弧状に形成される円弧部が設けられ、かつ、内周面に前記円弧部の形状に沿う形状を有し、
前記ケーシングの外周面には、前記チャック爪の基端部を貫通して設けられるガイドピンと、前記ガイドピンと係合し、かつ、前記チャック爪の円弧部の形状に沿った形状を有するガイド溝とを含むガイド部が設けられ、
前記ケーシングには、前記ケーシングの内部と外部とを連通し、前記チャック爪が前記突出位置と前記退避位置との間で移動するときに通る連通孔が形成され、
前記チャック爪が前記連通孔を通るとき、前記連通孔の内壁と前記チャック爪とが接し、前記チャック爪が円弧運動する請求項1または請求項2に記載の既設杭引き抜き装置。
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