JP3459925B2 - 木材保存剤とその安定化方法及び木材保存剤用安定剤 - Google Patents

木材保存剤とその安定化方法及び木材保存剤用安定剤

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JP3459925B2 JP07153394A JP7153394A JP3459925B2 JP 3459925 B2 JP3459925 B2 JP 3459925B2 JP 07153394 A JP07153394 A JP 07153394A JP 7153394 A JP7153394 A JP 7153394A JP 3459925 B2 JP3459925 B2 JP 3459925B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材の防虫、防腐、防
蟻、防かび及び防火等の保存処理の技術に関し、特にそ
の処理剤の安定化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】木材は、建築物の構造材や内装材料とし
て広範囲に利用されるほか、屋外材料や沿岸防護材料と
して使用され、さらに家具類等の加工材料としてあらゆ
る分野に使用される重要な資源である。元来加工性の良
い長所があるが、腐朽や虫害及び白蟻等に食害される欠
点がある。このため、耐久性を向上させる手段として、
保存処理が広く行われている。
【0003】木材の耐久性を増強させる方法として、利
用分野に適合した方法で、木材保存処理薬剤による処理
を行うのが通例である。処理の目的は、防かび、防腐、
防虫、防蟻等の生物劣化を防護する処理のほか、耐火性
を向上させる難燃、防火処理等がある。
【0004】そこで従来は、それぞれの目的に応じた保
存剤(薬剤)を単独又は混合して、油性若しくは水性の
薬剤による処理を行ってきた。処理の方法は、浸漬処理
法、塗布・吹付け処理法、加圧注入処理法等が採用され
ている。これらの処理は、材料の種類や使用部位による
耐用年数の要求度等に応じて決められる。
【0005】木材の保存処理は、保存剤が環境を阻害し
ない安全な薬剤であることが必要であるほか、保存剤そ
れ自体の性能を完全に、かつ有効に活用させる処理の方
法が重要である。多くの薬剤が水に希釈して使用され
る。そして、浸漬処理の場合も加圧注入処理の場合も、
鉄製の装置が使用されるが、保存剤としての処理薬剤が
鉄製機器を侵食して錆を生じやすく、その錆による保存
剤の汚れ(ひいては木材の汚れ)、タンクや装置の錆の
発生による機械トラブル等の問題があった。また、保存
剤としての処理薬剤が劣化しやすく、その液の交換、管
理分析の頻度が多い等の問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の木材保存剤による錆の発生を防ぎ、またその保存剤の
劣化を抑制することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、木材の保存処
のための木材保存剤において、保存処理用水希釈液中
に、ホウ酸と、Li2O、Na2O、K2Oから選ばれた
1種又は2種以上のアルカリ金属酸化物とを主成分とし
た無機成分である安定剤を混合して、木材処理用の保存
剤としたことを特徴とする。ここで保存処理用水希釈液
には、水溶液が含まれることはもちろん、完全に溶解は
していない乳化状態のもの等も含まれる。
【0008】その安定剤は、保存剤の主要構成要素とな
るのみならず、別個独立の発明としても成立する。ま
た、そのような安定剤を木材の保存処理用水希釈液に混
合することにより、その保存処理用水希釈液成分による
酸化作用(錆の発生等)を抑制する木材保存剤の安定化
方法の発明としても成立する。
【0009】保存処理用水希釈液は、これまで使用され
ていた公知のもの、例えば、乳化系保存剤、ホウ酸系無
機化合物、有機アミン化合物、リン酸系化合物のうちの
いずれかの水溶液を用いることができる。これらの2種
以上の組合せでもよい。また、この保存処理用水希釈液
は、防かび剤、防腐剤、防虫剤、防蟻剤、防火剤等とし
て、その1又は2以上の目的で使用される。
【0010】また上記安定剤は、木材保存剤中に0.1
〜5.0重量%の割合で混合することができる。0.1
重量%未満では防錆等の効果が得られず、他方、5.0
重量%以上では、結晶の析出等を招き、また経済上も無
駄となるので上記のように0.1〜5.0重量%、中で
も0.3〜2.0重量%とすることが望ましい。
【0011】また、そのような安定剤として、ホウ酸系
のガラスの粉末、スラリー又は液状物を好適に用いるこ
とができる。そして、そのようなガラス粉末を保存処理
用水希釈液に混合する、あるいはガラスのスラリー又は
液状物(例えば水に混合させた状態のガラス)を保存処
理用水希釈液中に混合することができる。
【0012】ガラス成分を安定剤とする場合、例えばB
23:40〜95モル%、Na2O:5〜40モル%、
CaO:0.1〜10モル%、SiO2:0.1〜20
モル%のガラスの粉末、スラリー又は液状物を好適に用
いることができる。
【0013】
【作用】上記のような安定剤を含む保存剤は、木材保存
のための浸漬処理法、塗布・吹付け処理法、加圧注入処
理法等において、保存用の薬剤として用いられる。例え
ば加圧注入処理法を例にとれば、図1にその一例を概念
的に示すように、注薬缶1(タンク)に木材2を入れて
密閉し、一般には蒸気で加熱し、また減圧した状態で、
注薬缶1に保存剤を加圧下に送り込み、木材に注入する
こととなる。
【0014】このような加圧注入処理のほか、上記各種
処理法において上述の安定剤は、保存剤に対してpHを
一定に保つ緩衝作用を有しており、この作用が防錆及び
安定化をもたらす一要因であると考えられる。また、本
発明の安定化剤は、保存剤の劣化を抑制し、その寿命を
延ばす作用をなす。これはあくまで推測の域を出ない
が、本発明の安定剤が防錆作用に加えて、保存剤の加水
分解を抑制する機能をも果たすためではないかと思われ
る。
【0015】
【実施例】以下、幾つかの実施例を説明する。 (実施例1)木材保存剤としてIF−1000(p−ク
ロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール)を用
い、その保存剤中にB23:60.0モル%、Na
2O:10.0モル%、CaO:10モル%、SiO2
20モル%の組成のガラス粉末を水で希釈した液状物
(以下、ガラス溶液という)を、それぞれ表1のような
濃度で添加した。そして、その中に鉄釘5本を浸漬し、
これらのFeの溶出及び保存剤の有効成分の残量を評価
するために、室温と40℃の高温条件下に保存し、15
日、30日、45日の状態を測定した。また、それぞれ
の条件別に主成分の定量分析を行った。その結果を表2
に示す。さらに、ガラス溶液に対する鉄腐食の程度とガ
ラス溶液に対する保存剤の残存率を、グラフとして図
2、3に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表2及び図2から明らかなように、鉄釘の
重量減少に関して、本発明のガラス溶液の添加で著しく
減少しており、その防錆効果が確認された。また、図3
のグラフから明らかなように、本発明のガラス溶液無添
加の場合のIF−1000の劣化(減少)は顕著である
が、ガラス溶液を添加することにより、鉄腐食の減少と
相まってIF−1000の劣化(減少率)も小さくなる
ことが確認された。これはあくまで推測であるが、鉄腐
食の減少とIF−1000の加水分解との間に密接な関
係があること、つまりガラス溶液の添加ないしは鉄腐食
の抑制がIF−1000の加水分解の抑制にもつながる
ためではないかと思われる。
【0019】(実施例2)B23:85.0モル%、N
2O:13.0モル%、CaO:0.5モル%、Si
2:1.5モル%の組成のガラス10%水溶液を、前
記IF−1000に、表3に示す割合で添加した。それ
を室温保存して、90日経過後のIF−1000の残存
率を測定した。その結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】実施例2により、保存剤に上記ガラス成分
を混合すると、IF−1000の劣化による減少が少な
くなることが分かった。これは、前述のようにIF−1
000の加水分解と密接な関係にあるものと推測され
る。
【0022】(実施例3)B23:60.0モル%、K
2O:10.0モル%、CaO:10.0モル%、Si
2:20.0モル%の組成のガラス10%水溶液を、
実施例2と同様に、IF−1000に表4に示す割合で
添加し、それを室温保存して、90日経過後のIF−1
000の残存率を測定した。その結果を同じく表4に示
す。
【0023】
【表4】
【0024】表4により、ガラス成分の添加により、保
存剤IF−1000の残存率が向上しているのが分か
る。
【0025】(実施例4)B23:70.0モル%、L
2O:5.0モル%、Na2O:8.0モル%、Ca
O:2.0モル%、SiO2:15.0モル%の組成の
ガラス10%水溶液を、実施例2と同様に、IF−10
00に表5に示す割合で添加し、それを室温保存して、
90日経過後のIF−1000の残存率を測定した。そ
の結果を表5に示す。
【0026】
【表5】
【0027】この実施例でも、前述の実施例3等とほぼ
同様な結果が確認された。
【0028】なお、以上の実施例では、安定剤としてS
iO2を含むガラス成分の例を幾つかあげたが、SiO2
を含まないガラス成分又はガラス以外の無機成分であっ
てもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、安定剤の添加によっ
て、保存剤による酸化作用が抑制され、保存処理のため
のタンク、装置器具の錆の発生が防止ないしは緩和さ
れ、しかも保存剤の劣化が防止ないしは抑制されて、そ
の寿命が延びる相乗効果が得られる。このため、装置類
の防錆メンテナンスが容易になり、錆によるトラブルを
防ぐことができるとともに、木材の錆による汚れを防止
でき、しかも保存剤を長持ちさせてその節約を図ること
ができる。また、上記安定剤は無機成分であるため、有
機成分と異なり環境を阻害しない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧注入処理法による木材保存処理の一例を概
念的に示す説明図。
【図2】実施例1におけるガラス溶液添加の影響を示す
グラフである。
【図3】実施例1の保存剤有効成分の残存率を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 注薬缶(タンク) 2 木材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−148001(JP,A) 特開 昭54−84003(JP,A) 特開 平1−110902(JP,A) 特開 昭54−143501(JP,A) 特開 昭55−34905(JP,A) 特開 昭55−77507(JP,A) 特開 平2−45103(JP,A) 特開 平4−241903(JP,A) 特開 昭54−101404(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 3/16 - 3/32 B27K 3/52

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材の保存処理のための木材保存剤にお
    いて、保存処理用水希釈液中に、ホウ酸と、Li2O、
    Na2O、K2Oから選ばれた1種又は2種以上のアルカ
    リ金属酸化物とを主成分とした無機成分である安定剤を
    混合した木材保存剤。
  2. 【請求項2】 前記保存処理用水希釈液が、乳化系保存
    剤、ホウ酸系無機化合物、有機アミン系化合物、リン酸
    系化合物から選ばれた少なくとも1種の水希釈液である
    請求項1記載の木材保存剤。
  3. 【請求項3】 前記保存処理用水希釈液が、防かび剤、
    防腐剤、防虫剤、防蟻剤、防火剤のうちの少なくとも1
    種である請求項1又は2記載の木材保存剤。
  4. 【請求項4】 前記木材保存剤中に、前記安定剤が0.
    1〜5.0重量%の割合で混合されている請求項1ない
    し3のいずれかに記載の木材保存剤。
  5. 【請求項5】 前記安定剤がホウ酸系のガラスの粉末、
    スラリーー又は液状物である請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の木材保存剤。
  6. 【請求項6】 前記安定剤が、B23:40〜95モル
    %、Na2O:5〜40モル%、CaO:0.1〜10
    モル%、SiO2:0.1〜20モル%のガラスの粉
    末、スラリー又は液状物であり、そのガラス成分を前記
    保存剤に対し0.1〜5.0重量%の割合で含有する請
    求項1ないし5のいずれかに記載の木材保存剤。
  7. 【請求項7】 木材の保存処理のための保存処理用水希
    釈液中に、ホウ酸と、Li2O、Na2O、K2Oから選
    ばれた1種又は2種以上のアルカリ金属酸化物とを主成
    分とした無機成分である安定剤を混合することによっ
    て、保存処理用水希釈液による酸化作用を抑制したこと
    を特徴とする木材保存剤の安定化方法。
  8. 【請求項8】 ホウ酸と、Li2O、Na2O、K2Oか
    ら選ばれた1種又は2種以上のアルカリ金属酸化物とを
    主成分とした無機成分からなる木材保存剤用安定剤。
  9. 【請求項9】 前記無機成分が、ホウ酸系のガラスの粉
    末、スラリー又は液状物である請求項8記載の木材保存
    用安定剤。
  10. 【請求項10】 前記安定剤が、B23:40〜95モ
    ル%、Na2O:5〜40モル%、CaO:0.1〜1
    0モル%、SiO2:0.1〜20モル%のガラスの粉
    末、スラリー又は液状物である請求項8又は9記載の木
    材保存剤用安定剤。
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