JP2000108108A - 木材の定着性防腐防虫組成物、その処理法及びその処理木材 - Google Patents

木材の定着性防腐防虫組成物、その処理法及びその処理木材

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JP2000108108A
JP2000108108A JP10375719A JP37571998A JP2000108108A JP 2000108108 A JP2000108108 A JP 2000108108A JP 10375719 A JP10375719 A JP 10375719A JP 37571998 A JP37571998 A JP 37571998A JP 2000108108 A JP2000108108 A JP 2000108108A
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acid
copper
zinc
compound
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Kazunobu Shiozawa
計信 塩澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 注入された有効成分が長期間に亘って木材の
内部の細胞壁内に定着するようにする。〔解決手段〕
銅化合物、亜鉛化合物、およびホウ素化合物の内から選
ばれた少くともいずれか一つからなる防腐防虫成分とケ
イ酸ソーダ又はケイ酸カリとが、要すれば揮発性を有す
る塩基性化合物を含んだ水に溶解されてなる第一次処理
液と、この第一次処理液を木材に注入後、注入材を防湿
シートで被覆して溶媒の揮散を防止した状態で、暫時養
生し、木材の細胞壁内に第一次処理液成分を浸透注入し
た後、酸の希薄水溶液である第二次処理液中に前記第一
次処理液を処理した木材を浸漬し、ケイ酸ソーダ又はケ
イ酸カリを不溶性の重合ケイ酸ゲルに変化させて、防腐
防虫成分を定着させることからなる木材の定着性防腐防
虫組成物、この組成物を用いた木材の防腐防虫処理法、
およびこの組成物を用いた防腐防虫処理木材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の属する技術分野〕 本発明は、木
材を対象として防腐防虫用に使用される木材の定着性防
腐防虫組成物、木材の防腐防虫処理法及び防腐防虫処理
木材に関するものである。
【0002】〔従来の技術〕 従来、世界的に広く使用
されている防腐防虫剤として、銅、クロム、砒素(略
称、CCA)系が最も一般的であり、このCCA系薬剤
は成分として銅成分は酸化銅、硫酸銅5水塩、また、ク
ロム成分は三酸化クロム、重クロム酸カリ、重クロム酸
ソーダ、また、ヒ素成分は、五酸化二ヒ素、七酸等が使
用されている。又、塩化第二水銀等の水銀化合物やその
他にはフッ化ナトリウム等のフッ素化合物、ホウ酸やホ
ウ砂等のホウ素化合物が場合により使用されている。こ
れら化合物が適宜組み合わされて配合され、水溶性とし
て木材の防腐防虫用組成物とされる。上記水溶液に酢
酸、アンモニア等が定着剤として添加されることも多
い。
【0003】 この様にして得られた組成物が木材の中
に注入され防腐防虫機能を発揮する。この様な組成物は
本来的に防腐防虫機能を有している。木材の内部に注入
された組成物は、木材内部で組成物を構成している成分
相互間や木材との間で起る化学反応によって木材内部に
定着される。例えばCCA系薬剤の場合は、クロム成分
が六価クロムの形で木材中に注入され、木材中で還元さ
れ三価クロムとなり、この時に銅、ヒ素成分と結合し、
水に不溶性の錯体を形成し、木材中に定着されている。
このCCA薬剤の定着性はすぐれている。しかし、CC
A系薬剤以外の薬剤については、一般に定着性が悪く、
長期に亘って防腐防虫効果を持続させることができると
いうものではない。
【0004】 この定着性の優れたCCA系薬剤につい
ては、その構成要素のうち、ヒ素化合物、クロム化合物
は毒性が大きく、又水銀等の重金属化合物も毒性が強
く、従ってこのような組成物は、その調製時はもとよ
り、木材えの注入時にも作業者が被毒しないように充分
に管理する必要があるとともに、木材加工時に発生する
廃材や、古くなった木材製品の廃棄処分時に環境汚染に
留意しなければならない等問題点が多い。
【0005】〔発明が解決しようとする課題〕 そのよ
うなことから、近年クロム化合物やヒ素化合物に代えて
ホウ酸銅やホウ酸亜鉛、更にホウ酸、ホウ砂やこれらに
銅、亜鉛化合物を加えたものを主成分とし、これらに要
すれば揮発性塩基性化合物を添加した水溶液が木材の防
腐防虫用組成物として注目されるに至っている。このよ
うな組成物は、銅成分や亜鉛成分が主として防腐効果を
ホウ酸成分が主として防虫効果を発揮するが、使用量の
増加によっては、銅、亜鉛成分も防虫効果を又ホウ酸成
分も防腐効果を発現することが知られている。クロムや
ヒ素化合物が用いられていないため毒性が低く又無機化
合物であるため、長期の変質がなく安定性が高いという
利点を有している.
【0006】 しかし、上記のホウ素系の化合物を主成
分とする組成物は、通常木材に対する定着性はそれ程良
好なものではなく、それらの注入された木材を土中に埋
没すると約2年でホウ素系化合物のホウ素成分の75%
以上がホウ酸として溶脱すると言われている。
【0007】 本発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたものであり、まず第一に、注入された
有効成分が長期間に亘って木材内部に定着するような防
腐防虫組成物を提供することを目的とし、第二に注入さ
れた有効成分が長期間に亘って木材の内部に定着される
ようにする防腐防虫処理法を提供することを目的とし、
第三に注入された有効成分が長期間に亘って定着する防
腐防虫処理木材を提供することを目的としている。
【0008】〔課題を解決するための手段〕 本発明の
請求項1記載の木材の定着性防腐防虫組成物は、銅化合
物、亜鉛化合物、およびホウ素化合物の内から選ばれた
少なくともいずれか一つからなる防腐防虫成分とケイ酸
ソーダ又はケイ酸カリとが要すれば揮発性を有する塩基
性化合物を含んだ水に溶解されて得られる第一次処理液
と酸が低濃度に水に溶解された第二次処理液とから構成
されていることを特徴とするものである。
【0009】 本発明の請求項2記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記銅化合物がホウ酸銅、水酸化銅、
炭酸銅、酢酸銅、塩化銅および硫酸銅の内から選ばれた
少なくともいずれか一つであることを特徴とするもので
ある。
【0010】 本発明の請求項3記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項2記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記ホウ酸銅が、四ホウ酸銅、三塩基
性四ホウ酸銅の内から選ばれた少なくともいずれか一つ
であることを特徴とするものである。
【0011】 本発明の請求項4記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記亜鉛化合物がホウ酸亜鉛、酢酸亜
鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、および硫酸亜鉛
の内から選ばれた少なくともいずれか一つであることを
特徴とするものである。
【0012】 本発明の請求項5記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項4記載のホウ酸亜鉛が、四ホウ
酸亜鉛、四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)の内から選ばれた
少なくともいずれか一つであることを特徴とするもので
ある。
【0013】 本発明の請求項6記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記ホウ素化合物が、ホウ酸および七
酸化四ホウ素二ナトリウム十水塩(ホウ砂),および十
三酸化八ホウ素二ナトリウム四水塩の内から選ばれた少
なくともいずれか一つであることを特徴とする。
【0014】 本発明の請求項7記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記揮発性を有する塩基性化合物は、
Rが水素又は低級アルキル基又はアミノ低級アルキル基
又はオキシ低級アルキル基である化学式RNで表され
ることを特徴とする。
【0015】 本発明の請求項8記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記酸は、無機酸又は有機酸であるこ
とを特徴とする。
【0016】 本発明の請求項9記載の木材の定着性防
腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防虫
組成物において、上記無機酸は、塩酸、硫酸、燐酸、炭
酸の内から選ばれた少なくともいずれか一つであること
を特徴とする。
【0017】 本発明の請求項10記載の木材の定着性
防腐防虫組成物は、請求項1記載の木材の定着性防腐防
虫組成物において、上記有機酸は、水溶性の高い種類
で、一塩基性酸では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、二塩基性酸では、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、さらにオキシ三塩基性酸として、クエン酸が使
用でき、これらの酸の内から選ばれた少なくともいずれ
か一つであることを特徴とするものである。
【0018】 本発明の請求項11記載の木材の防腐防
虫処理物は、銅化合物、亜鉛化合物、および、ホウ素化
合物の内から選ばれた少なくともいずれか一つからなる
防腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとを、要す
れば揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解され
てなる第一次処理液を木材に注入し、次いでその木材を
防湿シートで被覆し、溶媒の揮散を防止した状態で暫時
養生して、第一次処理液を木材組織内部の細胞壁内に浸
透させた後に、請求項1記載の酸が低濃度に水に溶解さ
れた第二次処理液に浸漬し、中和処理した後に、過剰の
酸を水洗除去し、次いで水を揮発させることを特徴とす
るものである。
【0019】 本発明の請求項12記載の防腐防虫処理
木材は、銅化合物、亜鉛化合物、および、ホウ素化合物
の内から選ばれた少くともいずれか一つからなる防腐防
虫成分と、ケイ酸ソーダ、または、ケイ酸カリを、要す
れば揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解され
ている第一次処理液を木材に注入し、次いでその木材を
防湿シートで被覆し、溶媒の揮酸を防止した状態で暫時
養生して、第一次処理液を木材組織内部の細胞壁内に浸
透させた後に、請求項1記載の酸が低濃度に水に溶解さ
れた第二次処理液に浸漬し、中和処理した後に、過剰の
酸を水洗除去し、次いで水を揮散させていることを特徴
とするものである。
【0020】〔作用〕 上記請求項1記載の木材の定着
性防腐防虫組成物、請求項11記載の木材の防腐防虫処
理法、および、請求項12記載の防腐防虫処理木材によ
れば、通常の防腐防虫用に用いられる銅化合物、亜鉛化
合物、およびホウ素化合物は、人体に対する毒性は少な
いが、防腐防虫効果が良好であり、このような成分が木
材に注入されれば、その木材には防腐防虫機能が付与さ
れた状態になり、木材の腐朽および虫害を有効に防止す
ることができる。
【0021】 また通常、銅化合物、亜鉛化合物、およ
びホウ素化合物は、水のみには溶解し難い場合が多い
が、溶媒として揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水
が用いられているため、上記各化合物の水えの溶解度が
上昇し、それらは水によく溶けるようになる。従って上
記有効成分を高濃度にすることが可能になり、これら成
分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリを含む第一次処理液の
木材中えの注入が効果的に行ないうるようになる。ま
た、木材中に注入された後は、次の第二次処理液である
酸の低濃度水溶液えの浸漬、浸透処理をされるが、その
間に一部は気散し、また中和で塩基性化合物が中性塩と
なることにより、上記有効成分は水に溶け難くなって、
溶脱が抑制され、有効成分は木材中に定着される。
【0022】 上記請求項2記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、銅化合物がホウ酸銅、水酸化銅、炭
酸銅、酢酸銅、塩化銅、および硫酸銅の内から選ばれた
少なくともいずれか一つであり、これらは優れた防腐防
虫機能を有しており、かつ木材中にケイ酸ソーダ又はケ
イ酸カリおよび中和のための酸の注入がなくとも、木材
内部えの定着性は本来的に相当に優れている。
【0023】 上記請求項3記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、ホウ酸銅が、四ホウ酸銅、および三
塩基性四ホウ酸銅の内から選ばれた少なくともいづれか
一つであり、これらは優れた防腐防虫機能を有してい
る。
【0024】 上記請求項4記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、亜鉛化合物は、ホウ酸亜鉛、酢酸亜
鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、および硫酸亜鉛
の内から選ばれた少なくともいずれか一つであり、これ
らは優れた防腐防虫機能を有しているとともに、木材中
にケイ酸ソーダ又はケイ酸カリ、および中和のための酸
の注入がなくても木材内部えの定着性は本来的に相当に
優れたものになる。
【0025】 上記請求項5記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、ホウ酸亜鉛は、四ホウ酸、四水酸化
亜鉛三(四ホウ酸)の内から選ばれた少なくともいずれ
か一つであり、これらはいずれも優れた防腐防虫機能を
保持しているものである。
【0026】 上記請求項6記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、ホウ素化合物は、ホウ酸、および七
酸化四ホウ素二ナトリウム十水塩(ホウ砂)又は十三酸
化八ホウ素二ナトリウム四水塩の内から選ばれた少くと
もいずれか一つであり、これらは優れた防腐防虫機能を
有しているとともに、第一次処理液中にケイ酸ソーダ、
またはケイ酸カリを含有させて木材に注入し、かつこの
材を酸の低濃度水溶液の第二次処理液中に浸漬すること
によって、ケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリを中和し
て、不溶性の重合ケイ酸ゲル結晶を形成させ、ホウ酸成
分を共結晶化させることにより、木材内での定着性を向
上させることができる。
【0027】 上記請求項7記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、揮発性を有する塩基性化合物は、R
が水素または低級アルキル基またはアミノ低級アルキル
基またはオキシ低級アルキル基である化学式RNで表
されるいわゆるアミン類であり、これらアミン類が溶解
された水には上記ホウ酸銅等の銅化合物、上記ホウ酸亜
鉛等の亜鉛化合物、およびホウ酸等のホウ素化合物がよ
く溶解するようになる。
【0028】 上記請求項8記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、酸は無機酸、または有機酸であるた
め、上記請求項1記載の組成物である第一次処理液を木
材に注入し、さらにその後第一次処理液が注入された木
材を、酸として無機酸または有機酸の低濃度の水溶液で
ある第二次処理液に浸漬し、酸を木材中に浸透させるこ
とにより木材中に不溶性の重合ケイ酸ゲルを生成し、こ
の重合ケイ酸ゲルが結晶化して、その際にその結晶格子
中に構造の近似するホウ酸成分を取り込み共結晶化する
ことにより、ホウ酸成分を不溶化し定着させる。さらに
この重合ケイ酸ゲル中に他の防腐防虫成分の銅、亜鉛成
分がとり囲まれて不溶化し、溶脱抑制される。
【0029】 上記請求項9記載の木材の定着性防腐防
虫組成物によれば、無機酸は塩酸、硫酸、燐酸、または
炭酸であるため、上記請求項1記載の組成物である第一
次処理液を木材に注入し、さらにその後第一次処理液が
注入された木材を塩酸、硫酸、燐酸、または炭酸の低濃
度水溶液である第二次処理液中に浸漬することによっ
て、ケイ酸ソーダは例えば次式のごとく反応し、水に不
溶性の重合ケイ酸ゲルとなり、さらに結晶化しホウ酸成
分を共結晶化して不溶化し、又他の防腐防虫成分の銅、
亜鉛成分もこの重合ケイ酸ゲルにとり囲まれて不溶化
し、いずれも定着してくる。
【0030】 ケイ酸ソーダ(NaO・nSiO
は、水溶液中では水和物(NaO・nSiO・nH
O)の形のとる。構造式で示せば、次のように酸で中
和反応し、先づ(1)式のごとく水に分散性のケイ酸n
量体を生じ、このケイ酸n量体は、酸の存在下にさらに
縮合重合して(2)式の水に不溶性の重合ケイ酸ゲルを
生成し、この重合ケイ酸ゲルは結晶化して、不溶性固体
となる。
【0031】 上記請求項10記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、有機酸は、一塩基性酸では蟻酸、
酢酸、プロピオン酸、酪酸、二塩基性酸では、蓚酸、マ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、またオキシ三塩基性酸
のクエン酸であるため、上記請求項1記載の組成物であ
る第一次処理液を木材に注入し、さらにその後、第一次
処理液が注入された木材を上記の蟻酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
またはクエン酸の低濃度の水溶液である第二次処理液に
浸漬することによって、ケイ酸ソーダは例えば、次式の
ごとく反応し、水に不溶性の重合ケイ酸ゲルとなり、さ
らに結晶化し、ホウ酸成分を共結晶化して不溶化し、ま
た他の防腐防虫成分の銅、亜鉛成分もこの重合ケイ酸ゲ
ルに囲まれて不溶化し、いずれも定着する。
【0032】
【0033】 さらに、請求項1記載の組成物および請
求項11記載の処理法によれば、木材には上記銅化合
物、亜鉛化合物、およびホウ素化合物の内の少なくとも
いずれか一つが水に溶解され、かつケイ酸ソーダ、また
はケイ酸カリが含まれた第一次処理液が先づ注入され、
次いでこの木材を防湿シートで被覆し、暫時養生される
が、この間に第一次処理液の各成分は木材内部の細胞壁
内に浸透注入される。次いで請求項1,9,10記載の
無機酸、または有機酸のいずれか一種を水で低濃度に溶
解した第二次処理液に、前記第一次処理液で処理した木
材が浸漬されると、かヽる低濃度の酸は木材の内部細胞
壁内に存在する第一次処理液中に浸透してゆき、ケイ酸
ソーダ、またはケイ酸カリのアルカリ成分を次第に中和
して、例えば、ケイ酸ソーダは前記(1)式のごとく反
応し、先づ水に分散性のケイ酸ゲル(HO{Si(O
H)O}nH)となり、全てのケイ酸ソーダがケイ酸
ゲルとなった後、更に酸の存在下に、この分散性のケイ
酸ゲルがさらに脱水により、前記(2)式のごとく縮合
重合して、水に不溶性の重合ケイ酸ゲル(HO{Si
(OH)O}mnH)となる。この重合ケイ酸ゲルは
次第に結晶化しその結晶格子中に構造の近似するホウ酸
成分をとり込み共結晶化し、ホウ酸成分を不溶化して定
着させる。またこの重合ケイ酸ゲル中に他の防腐防虫成
分の銅、亜鉛成分も、とり囲まれて不溶化しいずれも定
着する。
【0034】 上記請求項1の第二次処理液である酸の
低濃度水溶液に、第一次処理液を注入し、防湿シート被
覆して養生し、木材の内部組織の細胞壁内に第一次処理
液が浸透した木材を浸漬した場合に、その木材の細胞壁
内の第一次処理液中のケイ酸ソーダが前記(1)式のよ
うに中和されるためには、この酸成分は第一次処理液と
酸成分を含む第二次処理液の接触界面で、中和により生
成する分散性のケイ酸ゲルが直ちに縮合重合して不溶性
の重合ケイ酸ゲル固型物膜となることは、それより内部
のケイ酸ソーダと酸成分の反応を遮断することになり、
より木材内部での中和反応が起りにくくなるため、これ
を防止する必要がありこのためには、第二次処理液の酸
が、木材中の第一次処理液との接触面で直ちに反応せず
に浸透してゆき、十分均一に拡散した後に中和反応を生
じ、先ず前記(1)式に示される分散性のケイ酸ゲルと
なり、全てのケイ酸ソーダが分散性ケイ酸ゲルとなった
後、更に酸の存在下に、この分散性のケイ酸ゲルがさら
に脱水して、前記(2)式のごとく縮合重合して、水に
不溶性の重合ケイ酸ゲル固型物となることが必要で、こ
のためには酸の濃度は、中和反応速度が十分遅いように
低濃度であることが必要であり、この濃度は酸として数
%以下が必要で、好適には2〜0.2%である。この発
見により始めて本発明の有効成分の定着法が完成したも
のである。
【0035】 またこの請求項1,および請求項11記
載の第一次処理液中のケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリ
成分は、定着させようとする銅化合物、亜鉛化合物、お
よびホウ素化合物の内から選ばれた少なくともいずれか
一つからなる防腐防虫成分に対して、これらをとり囲
み、包みこむ程度に十分に高濃度である。これはケイ酸
ソーダ、またはケイ酸カリが第一次処理液として木材に
注入された後に、これら防腐防虫成分を木材組織内部に
おいて、とり囲み包みこんでおき、後に第二次処理液の
酸の低濃度水溶液に浸漬して中和することにより、不溶
性の重合ケイ酸ゲル固型物となり、さらに結晶化して水
の浸入を防止する機能を長期に亘り、安定に保持させる
ためである.このためケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリ
濃度は上記銅化合物、亜鉛化合物、またはホウ素化合物
の内から選ばれた少くともいずれか一つからなる防腐防
虫成分の濃度に対して、これらを六面体的にとり囲むた
めに、分子量をケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリの方
が、これら防腐防虫成分のいずれか一つより大きいと考
えて、数倍以上が必要である。
【0036】〔実施例〕 本発明に係る木材の定着性防
腐防虫組成物は、以下の防腐防虫成分とケイ酸ソーダ、
またはケイ酸カリとが溶媒である水に溶解されてなる第
一次処理液と、この第一次処理液を木材に注入後、木材
内の第一次処理液中に浸透してケイ酸ソーダ、またはケ
イ酸カリを中和し、不溶性の重合ケイ酸ゲルに変化させ
るため使用する酸の低濃度水溶液である第二次処理液か
らなる。
【0037】 1)銅化合物、 2)亜鉛化合物、 3)ホウ素化合物、 4)銅化合物、亜鉛化合物およびホウ素化合物の内のい
ずれか二つの混合物、または三つの混合物、 これら1)〜4)に掲げた化合物または組成物は、それ
ぞれ優れた防腐防虫性能を有しており、いずれも従来用
いられていたヒ素化合物や、クロム、水銀等の重金属化
合物とは異なり毒性は低い。
【0038】 特に、本発明においては、以下の銅化合
物が防腐防虫成分として適用可能である。 ・四ホウ酸銅(CuB) ・三塩基性四ホウ酸銅(3Cu(OH)・CuB
) ・第一水酸化銅(Cu(OH)) ・第二水酸化銅(Cu(OH)) ・酢酸銅((CHCOO)2Cu) ・塩基性炭酸銅(Cu(OH)・CuCO) ・塩化銅(CuCl) ・硫酸銅(CuSO
【0039】 また、本発明においては、以下の亜鉛化
合物が防腐防虫成分として適用可能である。 ・四ホウ酸亜鉛(ZnB) ・二塩基性四ホウ酸亜鉛(ZZn(OH)・ZnB
) ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)(4Zn(OH)・3
) ・酢酸亜鉛((CHCOO)Zn) ・水酸化亜鉛(Zn(OH)) ・酸化亜鉛(ZnO) ・塩化亜鉛(ZnCl) ・硫酸亜鉛(ZnSO
【0040】 また、本発明においては、以下のホウ素
化合物が適用可能である。 ・ホウ酸(HBO) ・七酸化四ホウ素・二ナトリウム・十水塩(ホウ砂)
(Na・10HO) ・十三酸化八ホウ素・二ナトリウム・四水塩(Na
13・4HO)
【0041】 上記四ホウ酸銅は、硫酸銅水溶液とホウ
砂水溶液とを混合すると CuSO・5HO+Na・10HO →CuB+NaSO+15HO・・・・・・・(5) 上記の反応式で四ホウ酸銅が沈澱として生成する。副生
する硫酸ソーダは水中に溶解するので分離できる。
【0042】 上記三塩基性四ホウ酸銅(3Cu(O
H)・CuB)は硫酸銅とホウ砂の高濃度水溶
液と等モル比で、大量の約60℃に加温された水中に添
加することによって得ることができる。まず(5)式の
通りに四ホウ酸銅(CuB)が生成し、これが直
ちに加水分解して下記式に示すように三塩基性四ホウ酸
銅(3Cu(OH)・CuB)が得られるので
ある。
【0043】 4CuB+21HO →{Cu(OH)}・B(OH)+3H+15HO →{3Cu(OH)}・CuB+12HBO・・・・・(6) 具体的な例で示すと、硫酸銅五水塩の40%水溶液(6
0℃)125重量部にホウ砂10水塩の10.2%の水
溶液(60℃)750部を等モル比で100重量部の水
(60℃)に添加しつゝ攪拌する。この混合液を60℃
で1時間放置し、次いで20〜30℃に放冷し、一昼夜
放置する。この放置によって得られた沈澱を未反応のホ
ウ砂がなくなるまで繰り返し水洗し、その後60℃で4
8時間乾燥し、24.3gの三塩基性四ホウ酸銅を得る
ことができた。
【0044】 上記第一水酸化銅(Cu(OH))は、
銅の電極を用いた食塩水の電気分解によって得ることが
できる。
【0045】 上記第二水酸化銅(Cu(OH)
は、アンモニア水に硫酸第二銅(CuSO)を溶解
し、その溶液に水酸化ナトリウムを加えることによって
青い結晶として得られる。
【0046】 上記二塩基性四ホウ酸亜鉛(2Zn(O
H)・ZnB)は、塩化亜鉛にホウ砂を反応さ
せて調整する。これを反応式で示すと以下のようにな
る。
【0047】 具体的にはまず常温で塩化亜鉛の10%水溶液27.3
部にホウ砂10水塩の2%水溶液381.5部を添加し
つつ攪拌して白色の沈澱を得た。この沈澱の未反応のホ
ウ砂が完全になくなるまで沈澱の水洗を繰り返し、適量
になるまで40℃で24時間以上乾燥し、2.90gの
二塩基性四ホウ酸亜鉛を得た。
【0048】 次に、四水酸化亜鉛・三(四ホウ酸)
(4Zn(OH)・3H)は、富田製薬株
式会社より、商品名「ホウ酸亜鉛2335」として販売
されている。
【0049】 上記ホウ酸(HBO)および7酸化
四ホウ素二ナトリウム+水塩(ホウ砂)(Na
・10HO)は多くの化学関係の会社で製造され、
かつ販売されている。また十三酸化八ホウ素二ナトリウ
ム四水塩(Na13・4HO)は、U.S.
Borax社より、商品名「ティンボア(Tim−bo
r)」として販売されている。
【0050】 上記の生成物のうちの亜鉛成分は防腐防
虫成分を有しており、ホウ酸成分は防虫機能を備えてい
る。
【0051】 本発明の定着性防腐防虫組成物は、上記
1)〜4)に示した組成物に要すれば、塩基性水溶液の
存在下でケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリが添加されて
溶解されて得られる第一次処理液と、この第一次処理液
を木材に注入後、木材中の第一次処理液中に浸透してケ
イ酸ソーダまたはケイ酸カリを中和して不溶性の重合ケ
イ酸ゲル固型物に変化させて、上記防腐防虫成分を閉じ
こめる等で溶脱防止するために使用される、酸の低濃度
水溶液の第二次処理液からなる。
【0052】 上記1)〜4)に示した組成物にケイ酸
ソーダ、またはケイ酸カリが添加される理由を以下に示
す。即ち第一次処理液注入材を防湿シートで被覆し、溶
媒の揮散を防止した状態で暫時、養生すると第一次処理
液の成分は木材内部組織の導管、仮導管などの細孔を経
て、これら導管の壁部分の細胞壁内に浸透してゆき、細
胞壁内に充満される。この様に単なる導管の細孔内でな
く、その壁部分の細胞壁内に防腐防虫成分を含むケイ酸
ソーダ、またはケイ酸カリが導入されると、これら成分
は木材の深部に注入されることとなり、一段と溶脱され
難く定着性が向上されることとなり、また腐朽菌の攻撃
が虫害による木材の劣化の生ずる原因となる細胞壁部分
が十分保護されることにより、防腐防虫効果が一段と向
上するものである。この場合ケイ酸ソーダ、またはケイ
酸カリは防腐防虫成分を木材細胞壁内に閉じこめる効果
があり、定着性向上の要因となる。
【0053】 上記第一次処理液を木材に注入後、この
木材を防湿シートで被覆して、溶媒の揮散を防止した状
態で、暫時養生することによって、第一次処理液中の成
分を木材細胞壁中に浸透させた後、この処理材を第二次
処理液である酸の低濃度水溶液に浸漬するときは、酸の
濃度が低いために、木材の導管の細孔内や細胞壁内に存
在する第一次処理液との接触時にその境界面で、ケイ酸
ソーダ、またはケイ酸カリとの中和反応の速度が抑制さ
れて遅くなり、それより酸成分の第一次処理液中えの浸
透速度が早く起ることにより、第一次処理液と酸の接触
界面で、酸はケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリと直ちに
反応せずに浸透してゆき、十分均一に木材中の第一次処
理液中に拡散した後に中和反応を生じ、まず前記(1)
式に示される水分散性のケイ酸ゲルとなり、全てのケイ
酸ソーダ、またはケイ酸カリが分散性ケイ酸ゲルとなっ
た後、更に酸の存在下に、この分散性のケイ酸ゲルがさ
らに脱水して、前記(2)式のごとく縮合重合して、水
に不溶性の重合ケイ酸ゲル固型物となる。この固型物は
次第に結晶化し、この際に存在するホウ酸成分をその結
晶格子中にとり込んで共結晶化し、またこの重合ケイ酸
ゲル中に他の防腐防虫成分の銅、亜鉛成分がとじこめら
れ、密封されるため、いずれも不溶化し、溶脱防止され
て定着することになるものである。この様な第二次処理
液の低濃度の酸の濃度は数%以下が適当であり、好適に
は2〜0.2%である.第二次処理液の酸の濃度が5%
以上の高濃度の場合は、第一次処理液注入材を第二次処
理液に浸漬した場合、第一次処理液と第二次処理液の接
触界面で直ちに中和反応が起り、生じたケイ酸ゲルが直
ちに縮合重合して不溶性の重合ケイ酸ゲル固型膜となっ
て木材表面を被覆し、より木材内部でのケイ酸ソーダま
たはケイ酸カリの中和反応が阻害されるため好ましくな
い。また酸の濃度が0.1%以下の場合は、木材に注入
された第一次処理液が第二次処理液中に溶脱されて来
て、中和反応は第二次処理液中で起ることとなり好まし
くない。
【0054】 上記塩基性の水溶液としては揮発性塩基
性化合物であるアンモニアが水に溶解されたアンモニア
水を用いることが多いが、特にアンモニアに限定される
ものではなく、モノメチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミ
ン、トリプロピルアミン、モノベンジルアミン等の第一
級アミン、第二級アミン、第三級アミンの他、オキシア
ルキルアミンとしてモノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、またアミノ低級アル
キルアミンとして、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン等のアミン類が好適に使用可能である。
【0055】 このような揮発性塩基性化合物の水溶液
が用いられる理由は、上記1)〜4)に示した化合物ま
たは組成物は通常水のみには極めて溶けにくい性質を有
しているが、水が塩基性になるとよく溶解するようにな
るからである。
【0056】 そして、塩基性化合物として揮発性を有
するものが選ばれるのは木材えの注入後の定着性を向上
させるためである。すなわち、例えば塩基性の水溶液と
してアンモニア水が用いられた場合には、このアンモニ
ア水に溶解された本発明に係る組成物が木材に注入さ
れ、さらに防湿シートで被覆され、暫時養生され木材深
部の細胞壁中に成分が浸透した後に、防湿シートを除去
するときNHが速やかに木材内部から外部に揮散する
ため、塩基性化合物の濃度が低下し、溶解していた上記
1)〜4)に示す化合物または組成物は水中から析出し
木材内部に定着し易くなる。一旦析出すると上記1)〜
4)に示す化合物または組成物は水に溶けにくい性質を
有しているため、木材の内部からの溶脱は有効に抑制さ
れるのである。
【0057】 そして、木材の内部の細胞壁内において
は、第一次処理液中成分のケイ酸ソーダ(NaO・n
(SiO),nは2〜4.55)またはケイ酸カリ
(KO・n(SiO),nは2〜4.55)が第二
次処理液の酸の低濃度水溶液の均一な浸透後に、先づゆ
るやかに水中分散性のケイ酸ゲルに全ケイ酸塩が化学変
化し、生成したケイ酸ゲルは次いで酸により脱水縮合重
合して、水不溶性の重合ケイ酸ゲル固型物となり、次い
でこの重合ケイ酸ゲル固型物は結晶化し、その際その結
晶格子中に構造の近似したホウ酸成分がとり込まれて重
合ケイ酸、ホウ酸共結晶体となり、ホウ酸成分は不溶化
し、溶脱し難くなる。またこの重合ケイ酸ゲル・ホウ酸
共結晶体内に共存している他の防腐防虫成分の銅、亜鉛
成分も閉じこめられて溶脱し難くなり、定着するもので
ある.そして塩基性の水溶液のpHは9〜13に設定さ
れている。
【0058】 こヽで使用されるケイ酸ソーダ(Na
O・n(SiO),nは2〜4.45)は、SiO
/NaOモル比〔MR〕(N)が2〜4.45で、富
士化学株式会社の商品である.これらは、図1に示され
るように、重量平 として安定な範囲であり、この程度のモル比の商品が使
用できる。また、ここで使用されるケイ酸カリ(K
・n(SiO),nは2〜4.55)はSiO/K
Oモル比〔MR〕(K)が2〜4.55で、富士化学
株式会社の商品である Oに相当しており、この範囲のケイ酸カリが水溶液とし
て安定な範囲であり、この程度のモル比の商品が安定に
使用できる。
【0059】 このような水溶液に溶解される銅化合物
の濃度範囲は、通常0.1〜10重量%に設定される。
具体的な銅化合物毎の好ましい濃度範囲、すなわち最良
の結果が得られる濃度範囲は以下の通りである。 ・四ホウ酸銅(CuB) 0.2〜8.0重量% ・三塩基性四ホウ酸銅 (3Cu(OH)・CuB) 0.1〜5.0重量% ・第二水酸化銅(Cu(OH)) 0.1〜5.0重量% ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.1〜5.0重量% ・硫酸銅(CuSO) 0.3〜6.0重量%
【0060】 また上記水溶液に溶解された亜鉛化合物
の濃度範囲は、通常0.1〜9.5重量%に設定され
る。具体的な亜鉛化合物の好ましい濃度範囲、すなわち
最良の結果が得られる濃度範囲は以下の通りである。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸) (4Zn(OH)・3H) 0.3〜5.0重量% ・酸化亜鉛(ZnO) 0.2〜5.0重量%
【0061】 さらに、上記水溶液に溶解されるホウ素
化合物の濃度範囲は、通常0.1〜5.0重量%に設定
される。具体的なホウ素化合物の好ましい濃度範囲、す
なわち最良の結果が得られる濃度範囲は以下の通りであ
る。 ・ホウ酸(HBO) 0.1〜3.0重量% ・七酸化四ホウ素二ナトリウム十水塩(ホウ砂) (Na・10HO) 0.1〜3.0重量% ・十三酸化八ホウ素二ナトリウム・四水塩 (Na13・4HO) 0.1〜2.0重量%
【0062】 ケイ酸ソーダ(NaO・n(Si
)),またはケイ酸カリの(KO・n(Si
))の濃度は、通常0.5〜50重量%とされる。
好ましくは0.5〜30重量%とされる。好ましい濃度
範囲にすると最良の結果が得られる。
【0063】 上記のような濃度の範囲が設定された理
由は、下限値よりも低いとそれらが注入された木材に効
果的な防腐防虫機能が付与されないためであり、上限値
よりも高いと木材の表面の木材組織で組成物の付着によ
る変色や閉塞が発生し、効果的に組成物が木材内部にま
で浸透しないためである。
【0064】 その他の添加剤としては、エリレングリ
コール、プロピレングリコール等の脂肪属二価アルコー
ル、これら二価アルコールの水溶性アルキルエーテル、
およびアルキルエステルが浸透剤として使用可能であ
る。なお上記エチレングリコール等の他に、公知の各種
界面活性剤を浸透剤として使用してもよい。また香料等
の芳香剤、染料等の着色剤が添加されることもある。
【0065】 組成物の注入操作については、通常、組
成物の水溶液の第一次処理液中に木材を浸透し、減圧後
に加圧注入することにより行なう注入法が一般的であ
る。具体的には、各成分をあらかじめ設定された所定の
割合で混合して、防腐防虫組成物、すなわち第一次処理
液を調整し、この処理液を密閉可能な注入槽に充填し、
これに処理対象の木材を浸漬してから上記注入槽を密閉
し、槽内の圧力が600〜700mmHgになるように
減圧して、木材中の空気を除き、その後、常圧に戻して
処理液を注入し浸透させる。
【0066】 木材に第一次処理液に注入させるときに
は、常圧以上に加圧するようにしてもよい。この場合は
注入槽内は通常5〜20kg/cmに加圧される。こ
のようにして得られた第一次処理液の注入済み木材は、
木材の深部の細胞壁内に第一次処理液成分を浸透させる
ため、防湿シートで被覆して溶媒の揮散を防止した状態
で常温下1〜2日養生させる。この操作により木材組織
の導管、仮導管の細孔に圧入された第一次処理液成分は
これら導管、仮導管壁の細胞壁内に浸透する。この様に
木材細胞壁内に浸透注入処理して得られた木材は、常温
で数日間風乾されるかあるいは50〜60℃で強制乾燥
されると、防腐防虫木材となるが、防腐防虫成分が細胞
壁内に存在することにより、その防腐防虫機能は一段と
向上するものである.
【0067】 このようにして得られた防腐防虫木材の
効力を長期間持続させるために、上記1)〜4)に示し
た化合物または組成物のいずれかとケイ酸ソーダまたは
ケイ酸カリとが要すれば塩基性水溶液に溶解されてなる
第一次処理液が、細胞壁内にまで浸透注入された木材
に、さらに無機酸、または有機酸の低濃度水溶液の第二
次処理液の浸透注入が行われる。
【0068】 このように、無機酸または有機酸を木材
に浸透注入するのは、ケイ酸ソーダまたはケイ酸カリは
上記無機酸または有機酸の存在によって、木材の導管や
仮導管の細孔や細胞壁内にまで入りこんだ状態で、例え
ば下記反応式に示すように、水不溶性の重合ケイ酸ゲル
となり、その細孔や細胞壁内に沈着し、それらを閉塞す
るので上記1)〜4)に示した化合物または組成物のい
ずれかが木材の細孔や細胞壁内で密封され定着した状態
になるのである.
【0069】 ケイ酸ソーダは、水溶液中では、(Na
O・n(SiO)・nHO)なる水和した化学式
で示される.これは構造式では、(NaO{Si(O
H)O}nNa)で示される。従ってケイ酸ソーダの
酸(HX)による中和やその後の酸の存在の下で起る脱
水および縮合重合反応は次のように表わすと判りやす
い。
【0070】 上記無機酸としては、塩酸、硫酸、燐
酸、炭酸が、また有機酸としては、一塩基性酸の蟻酸、
酢酸、プロピオン酸、酪酸、二塩基性酸の蓚酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、オキシ三塩基性酸のクエン
酸等が好適に使用される。
【0071】 上記中和用酸の木材えの注入は、これら
酸の低濃度水溶液中に、すでに上記1)〜4)に示した
化合物または組成物とケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリ
とが混合された第一次処理液が注入され、さらに防湿シ
ートで被覆して、溶媒の揮散を防いだ状態で、常温で1
〜2日養生して、木材組織の内部の細胞壁内に第一次処
理液成分が浸透された木材を浸漬ることによって行なわ
れる。
【0072】 そして、この場合水溶液中の中和用の酸
の濃度は、0.2〜5.0重量%で、好適には0.2〜
2.0重量%とされる。好ましい濃度範囲に設定するこ
とによって最良の結果が得られる.その理由は種々研究
の結果、上記の上限値以上の濃度では、ケイ酸ソーダ、
またはケイ酸カリが配合されて木材中に浸透注入された
第一次処理液が、酸の水溶液中に浸漬された事でその両
処理液の接触境界面で、ケイ酸ソーダ、またはケイ酸カ
リの中和反応が急激に起り、ケイ酸ゲルが生成すると直
ちに脱水および縮合重合して水不溶性の重合ケイ酸ゲル
固型膜を生成して、その後の酸成分の木材組織内部えの
浸透を妨害してしまい、木材内部の細胞壁内のケイ酸ソ
ーダ、またはケイ酸カリの酸による中和反応を停止さ
せ、重合ケイ酸ゲル生成を不可能にするためである。ま
た上記下限値以下の濃度では、木材中に浸透注入された
第一次処理液が酸の第二次処理液中に浸漬された状態
で、その両処理液の接触によって、第一次処理液が酸の
水溶液中に次第に拡散してゆき、希釈化されて木材中か
ら抜け出し、酸の水溶液中に溶解してしまい、第一次処
理液の成分が木材中から減少し失なわれてしまい、木材
の防腐防虫機能が失なわれるためである。
【0073】 そして、上記1)〜4)に示した化合物
または組成物のいずれかとケイ酸ソーダ、またはケイ酸
カリが、要すれば塩基性水溶液に溶解されてなる組成物
に、酸の低濃度水溶液が浸透注入されている木材内部に
おいては、不溶性の重合ケイ酸ゲルの結晶化した結晶格
子中にホウ酸成分がとり込まれて、共結晶体となり、不
溶化して溶脱防止され定着しており、また上記1)〜
4)に示した有効成分も不溶性重合ケイ酸ゲル中にとり
囲まれて閉塞された状態で定着保持されているのであ
る。
【0074】 つぎに、本発明の防腐防虫組成物の具体
的な例を以下の実施例1〜22に示す。また、これらの
実施例の組成物の水溶液を実際に木材に注入し、その効
果を調べる性能試験を実施したが、その結果についても
引き続き説明する。なお、以下の記述における%は重量
%を示している。また実施例中、例えばケイ酸ソーダ
3.2とは本ケイ酸ソーダのSiO/NaOのモル
比が3.2であることを示す。
【0075】 (実施例1) ・三塩基性四ホウ酸銅 (3Cu(OH)・CuB) 0.34%
【0076】 (実施例2)
【0077】 (実施例3)
【0078】 (実施例4)
【0079】 (実施例5)
【0080】 (実施例6)
【0081】 (実施例7)
【0082】 (実施例8)
【0083】 (実施例9)
【0084】 (実施例10)
【0085】 (実施例11)
【0086】 (実施例12)
【0087】 (実施例13)
【0088】 (実施例14)
【0089】 (実施例15)
【0090】 (実施例16)
【0091】 (実施例17)
【0092】 (実施例18)
【0093】 (実施例19)
【0094】 (実施例20)
【0095】 (実施例21)
【0096】 (実施例22)
【0097】なお、上記実施例1〜3で用いた三塩基性
四ホウ酸銅(3Cu(OH)・CuB)の銅の
純分は49.7重量%であり、ホウ素成分をホウ酸とし
て換算した場合のホウ酸の純分は48.36重量%であ
る。また、実施例4〜12で用いた四水酸化亜鉛三(四
ホウ酸)(4Zn(OH)・3H)の亜鉛
の純分は30.1重量%であり、ホウ素成分をホウ酸と
して換算した場合のホウ酸の純分は85.35重量%で
ある。また、実施例11,12で用いた塩基性炭酸銅
(Cu(OH)・CuCO)の銅の純分は56.7
重量%である。また、実施例17.18で用いた第二水
酸化銅(Cu(CH))の銅の純分は48.8重量%
である。また、実施例19,20で用いた硫酸銅五水塩
(CuCO・5HO)の銅の純分は25.45重量
%である。また、実施例15〜17で用いたホウ砂(N
・10HO)のホウ素成分をホウ酸とし
て換算した場合のホウ酸の純分は64.85重量%であ
る。また、実施例21,22で用いた十三酸化八ホウ素
二ナトリウム四水塩(Na13・4HO)の
ホウ素成分をホウ酸として換算した場合のホウ酸の純分
は119.91重量%である。
【0098】そして、アンモニア水およびモノエタノー
ルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンは
上記ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、水酸化銅、塩基性炭酸銅を
水によく溶けるようにする溶解助剤であり、また、重炭
酸アンモニウムはこれら成分の溶解状態を安定化させる
ための安定剤である。
【0099】つぎに、上記実施例1〜22からなるそれ
ぞれの第一次処理液に木片のテストピースを浸漬して、
それに本発明に係る防腐防虫組成物(薬剤)を注入する
操作(第一次処理液注入処理)を行った。具体的には、
まず密閉構造の注入処理槽に上記それぞれの第一次処理
液を充填した。この第一次処理液で満された処理槽内
に、日本赤松からなる1cm×2cm×5cm立方のテ
ストピースを錘を載せて沈めた.
【0100】そして最初の30分間は処理槽内の空気を
吸引除去して内部を700mmHgの減圧状態にした。
この減圧処理によってテストピースの木材組織内に存在
していた空気の一部が吸引除去されるため、処理槽内を
常圧にもどすと、以後のテストピースの木材組織内えの
薬剤の注入が良好に行われる。その後、実施例1,4,
11,13,15,21の薬剤(ケイ酸ソーダ、または
ケイ酸カリを含まないもの)については、常圧に戻され
てからテストピースに対して30分間の注入処理が施さ
れ、実施例2,3,5,6,7,8,9,10,12,
14,16,17,18,19,20,22のテストピ
ースについては、使用薬剤がケイ酸ソーダ、またはケイ
酸カリを含むため注入速度が低下するため、24時間の
常圧における注入処理が施された。
【0101】つぎに、これら第一次処理液の注入材に対
し、材の導管、または仮導管内の細孔を経て、さらに深
部の細胞壁内に薬剤を浸透注入させるため、第一次処理
液の注入材をポリエチレンフィルム等の防湿シートで被
覆し、注入された第一次処理液の溶媒の揮散を防止した
状態で、常温で24時間養生した。ただし、実施例1
1,12のみは40℃で12時間養生した。
【0102】以上の第一次処理液の注入処理の条件につ
いては、表1に示すとうりである。表1において、注入
量(kg/m)はそれぞれのテストピースに注入され
た第一次処理液の量流である.
【0103】また、第一次処理液注入後に防湿シートで
被覆して行なった浸透処理の条件についても表1に示し
た.防湿シートによる被覆は、ポリエチレン50ミクロ
ンのフィルムを使用した密封および開封可能なシール口
をもった袋を用い、この袋の中に第一次処理液を注入し
たテストピースを入れて、シール口を密封して行ない、
これを常温乃至40℃で所定時間養生して浸透処理を行
なった。
【0104】
【表1】
【0105】上記の第一次処理液の注入および細胞壁内
えの浸透を施した処理材は、その後、実施例3,5,6
〜10,12,14,16〜19,22のごとく第一次
処理液中にケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリを含む場合
についてのみ、これらケイ酸アルカリ塩を中和するため
第二次処理液として各試験の0.5〜2.0重量%の水
溶液中に浸漬した。この際使用する第二次処理液量は、
第一次処理液を注入したテストピースの材稜に対する倍
率である浴比で示し、この浴比を10〜30倍とした。
また中和処理は60℃で20時間行った。なお、実施例
1,4,11,13,15,21では、ケイ酸アルカリ
塩を含まぬ第一次処理液を注入したテストピースのた
め、第二次処理液による中和は行わなかった。実施例2
については、比較のため珪酸ソーダを含む第一次処理液
を注入し、細胞壁内えの浸透処理を施したが、第二次処
理液による中和、および水洗処理は行わなかった。ま
た、実施例20では、ケイ酸ソーダを含む第一次処理液
を使用し、注入および、浸透処理をしたが第二次処理液
は炭酸(HCO)0.21重量%の水溶液を浴比4
0倍で用い、24℃で48時間中和処理した。これら第
二次処理液による中和処理は密閉容器中で行った。これ
らを表2に示した。
【0106】
【表2】
【0107】上記表2に示す第一次処理液の処理が完了
した木材を対象として、溶脱率を調べる試験を実施し
た.この試験は上記第二次処理液での中和処理が完了し
た木材を浴比10倍の水に24時間浸漬して過剰の酸を
流出除去した後に、室温で24時間風乾し、さらに60
℃の乾燥器中で2日間乾燥し、その後60℃に加熱した
温水中に10日間浸漬するものである。そして上記温水
に溶脱したホウ酸、銅および亜鉛の量を測定した(促進
野外溶脱試験法)。
【0108】なお、木材中に含浸されたホウ酸の溶脱に
関しては、木材の60℃の温水えの10日間の浸漬が、
木材を二年間土中に埋没した場合に匹敵することは、
B.R.Johnsonがホウ酸銅を吸収した杭につき
行った、野外における2年間に亘る土中埋没試験の結果
を検討することによって新たに得られた知見である。す
なわち、B.R.Johnsonはホウ酸銅吸収杭を2
年間土中に埋没し、2年後に杭中に残留しているCuお
よびホウ酸の分析値を公開している(Forest P
roduct Journal Vol.33,No.
9,1983,p59〜p63)。
【0109】そこで発明者は、木片に上記と同等のホウ
酸銅を吸収させ、それを60℃の温水に10日間浸漬
し、その液を分析してCuおよびホウ酸の溶脱量を得た
が、木片中のCu,ホウ酸の残存率が両者で一致した。
そこで、2年間の野外土中埋没試験に相当するものとし
て、上記促進溶脱試験を採用した。この促進溶脱試験を
行うことによって、実際に木片が土中に埋没された場合
の溶脱の状況がよく把握できる。また、溶脱試験結果か
ら算出される成分の定着率の良否に対し直接的に関係す
ると考えられるものとして、ケイ酸ソーダの(SiO
/NaO)モル比(〔MR〕(N)と略記する),ま
たはケイ酸カリの(SiO/KO)モル比(〔M
R〕(K)と略記する)の大小と量的な因子がある。こ
の〔MR〕(N),または〔MR〕(K)は、これらケ
イ酸アルカリ塩の水溶液につき、光散乱法でその重量平
均分子量を測定した結果が知られており、これらのモル
比が大となるにつれケイ酸アルカリ塩の重量平均分子量
は大となっている。この関係を表3に示した。
【0110】
【表3】
【0111】図1は、表3に示すケイ酸ソーダのSiO
/NaOモル比〔M SiO/NaOモル比〔MR〕(N)が設定され、
縦軸にケイ酸ソーダの重 係が図1と同様にグラフで示されている。
【0112】上記の溶脱試験結果を表4にまとめた。こ
の溶脱試験結果から判定される各実施例の防腐防虫剤の
定着性の良否に対し、その理由ずけとなる注入ケイ酸ソ
ーダのSiO/NaOモル比〔MR〕(N)および
重量平均分子量、または、注入ケイ酸カリのSiO
NaOモル比〔MR〕(K)および重量平均分子量を
図1,または図2の内外 値から求めて表4中に記載し
た。
【0113】
【表4】 *ケイ酸カリ:SiO/KOモル比=4.55
【0114】表4の結果から判るように、実施例1のよ
うに第一次処理液の注入で防腐防虫剤のホウ酸銅のみ注
入、吸収されケイ酸ソーダの注入されていない木材で
は、酸による中和処理は不要のため行わないが、ホウ酸
の溶脱率は80.0%となり、銅のそれは25.0%と
なる。また、実施例2のように第一次処理液注入で防腐
防虫剤のホウ酸銅とケイ酸ソーダの注入されている木材
でも、第二次処理で酸による中和処理がされていない場
合は、銅成分の溶脱はやヽ低下する傾向はあるがホウ酸
の溶脱は実施例1の第一次処理でケイ酸ソーダが注入さ
れていない木材と同様に、殆ど溶脱され溶脱率は78.
2%となり、ケイ酸ソーダ添加の効果は少ない。
【0115】実施例3は、第一次処理液注入で防腐防虫
剤のホウ酸銅およびケイ酸ソーダが注入され次いで木材
内部細胞壁内えの浸透処理のなされた木材を、第二次処
理で硫酸の1.0重量%の水溶液に浸漬し中和処理が行
われた場合で、定着向上の効果が格段と向上し、ホウ酸
の溶脱率は18.2%と減少し、また銅についても溶脱
率は5.3%と減少を示し、本発明の方法によって定着
率が飛躍的に上昇し、すぐれた定着効果を示している。
【0116】実施例4は、防腐防虫剤のホウ酸亜鉛とし
て、四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)のみを使用し、実施例
1と同様にケイ酸ソーダを注入していない例であり、酸
による中和処理を行っていない場合で、この場合もホウ
酸溶脱率は80.0%となり、また亜鉛成分の溶脱率も
56.0%と高い結果となっている.
【0117】実施例5〜8は、四水酸化亜鉛三(四ホウ
酸)を防腐防虫剤として使用し、またケイ酸ソーダ、ま
たはケイ酸カリを使用するに当り、SiO/Na
またはSiO/KOモル比を変化させることによ
り、これらケイ酸ソ 注入し、防湿シート被覆により、注入した第一次処理液
の溶媒の揮散を防止して、常温で24時間養生すること
によって木材内部の細胞壁内に第一次処理液の各成分を
浸透させ、次いで第二次処理液の低濃度の酸水溶液に6
0℃で20時間浸漬して木材内部の細胞壁内に存在して
いるケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリを中和して水不溶
性の重合ケイ酸ゲルを生成させた。この重合ケイ酸ゲル
は次第に結晶化して、その結晶格子中にホウ酸をとり込
み、水不溶性の重合ケイ酸・ホウ酸の共結晶化を生じ、
ホウ酸を定着させるものである.またこの際、共存して
いる防腐防虫成分の銅成分、亜鉛成分も水不溶性の重合
ケイ酸ゲル結晶体中にとじ込められるため、これらの成
分も定着されることになるものである。
【0118】さて、ここで使用されるケイ酸ソーダのS
iO/NaOモル比、またはケイ酸カリのSiO
/KOモル比の差、すなわちこれらケイ酸アル 小さくなり、定着率が高いことが見出された。すなわち
実施例5ではケイ酸ソーダ2.01を使用しており、こ
れはSiO/NaOモル比〔MR〕(N)が このケイ酸ソーダ使用の実施例5では、ケイ酸ソーダ
2.01の木材中吸収量は173kg/mとかなり高
いが、ホウ酸溶脱率は42.7%となり、実施例4に示
されるケイ酸ソーダ配合のない場合のホウ酸溶脱率8
0.0%,すなわちホウ酸定着率20.0%に比し、ホ
ウ酸定着率57.3%と一段と向上した。
【0119】実施例6はケイ酸ソーダ3.2を用いた。
これはSiO/Na 6ではケイ酸ソーダ3.2の木材中吸収量は112.4
kg/mで、実施例5の173kg/mより低い
が、しかしホウ酸の溶脱率は21.8%とさらに一段と
低下し、定着率は78.2%と著しく向上した。また、
実施例7ではケイ酸ソーダ4.45を使用しており、こ
れはSiO/NaOモル比4.45であ は、上記と同様に図1のグラフから図上で求められる。
この実施例7ではケイ酸ソーダ4.45の木材中吸収量
は、100kg/mで実施例6と同程度である。実施
例7のホウ酸の溶脱率は、21.2%で極めて低いが、
実施例6のホウ酸溶脱率21.8%と同程度であり、こ
れは両者のケイ酸ソーダの重量平均分子量が340と6
50で、この範囲では酸による中和で生成する重合ケイ
酸ゲルの結晶格子のホウ酸分子のとり込み量は大差なく
高いと考えられる。
【0120】また、実施例8ではケイ酸カリ4.55を
使用しており、これはSiO/KOモル比4.55
であることを示し、このケイ酸カリの重量平均分 施例8では、ケイ酸カリ4.55の木材中吸収量は11
3kg/mで、実施例6,7と同程度であるが、ホウ
酸の溶脱率は15.3%とさらに低く、定着率はほヾ8
5%に達している。また亜鉛成分の溶脱率も2.2%
で、定着率は97.8%となっている。
【0121】この様にケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリ
のSiO/NaO,またはSiO/KOモル比
が大となると、これらケイ酸ソーダ、またはケイ 酸による中和によって生成する重合ケイ酸ゲルの分子量
も、より大となると考えられる。この場合重合ケイ酸ゲ
ルの分子量が大となる程、その重合ケイ酸ゲルの結晶化
度が上昇してホウ酸分子を結晶格子中にとり込み、共結
晶体が生成し易くなり、それによりホウ酸の溶脱率が低
下し、定着率が向上することとなる。また同時にこの一
段と分子量の大きい重合ケイ酸ゲル結晶体中に銅成分・
亜鉛成分も閉込められ定着性が一段と向上するものであ
る。
【0122】実施例6,9,10では、ケイ酸ソーダ
3.2につきこれを使用した場合の木材中えの吸収量の
大小がホウ酸成分の定着性の大小に及ぼす効果をしらべ
た。すなわち実施例6,9,10では防腐防虫成分とし
て四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)(4Zn(OH)2・3
)を使用し、ケイ酸ソーダ3.2の濃度を
変えて配合して、木材中に注入し、ケイ酸ソーダ3.2
の吸収量のみをそれぞれ112.4kg/m,60.
0kg/m,30.0kg/mとなる様に注入し、
この第一次処理液を注入した木材を防湿シートで被覆し
て養生し、木材の細胞壁内に第一次処理液成分を浸透さ
せてから、これらの処理材を第二次処理液として塩酸の
1.0%水溶液中に浸漬して中和処理し、ケイ酸ソーダ
3.2を重合ケイ酸ゲルとし結晶化させてホウ酸成分、
亜鉛成分を定着させた。この場合の実施例6,9,10
のホウ酸成分の定着率は、それぞれ78.2%,60.
0%,39.5%となり、注入したケイ酸ソーダ3.2
の吸収量の低下につれて定着率も低下した。このこと
は、ホウ酸の定着については重合ケイ酸ゲル結晶も量的
な定着効果があることを示していると判断される.な
お、亜鉛成分については、ケイ酸ソーダ3.2の吸収量
の上記範囲の低下では、定着率は81.3%,80.3
%,74.4%となり、低下は僅かであった.すなわ
ち、ケイ酸ソーダ3.2を定着剤として使用する場合
は、ホウ酸定着率60.0%以上の効果を出すために
は、木材中えのケイ酸ソーダ3.2の吸収量は60kg
/m以上が好ましい。
【0123】実施例11,12では防腐防虫剤として四
水酸化亜鉛三(四ホウ酸)(42n(OH)・3H
BO),および塩基性炭酸銅配合剤を使用したもの
で、銅成分、亜鉛成分、ホウ素成分の三成分からなる防
腐防虫用組成物で、その効果も一段と高い。この場合、
実施例11ではこれら薬剤に定着剤となるケイ酸ソーダ
3.2の共存しない第一次処理液を使用した例であり、
実施例12ではこれら防腐防虫用組成物にケイ酸ソーダ
3.2を定着剤として共存させた第一次処理液を使用し
た。第一次処理液の木材中えの注入後は、両者とも同様
に第一次処理液の木材細胞壁内えの浸透処理を行なった
が、前者はケイ酸ソーダ3.2が存在しないため第二次
処理液の酸水溶液での中和処理を行わず、後者は2%の
プロピオン酸で中和処理を起った。この後者のケイ酸ソ
ーダ3.2の木材中えの吸収量は60.0kg/m
あるが、この両者の溶脱試験結果の溶脱率は、ホウ酸に
ついて前者80.0%に対し後者は40.1%で半減
し、また銅、亜鉛成分についてもそれぞれ前者25.0
%,56.0%に対し、後者は10.4%,19.7%
と同様に半分以下に減少し、従って定着率は前者ではホ
ウ酸20.0%,銅75.0%,亜鉛44.0%に対
し、後者はそれぞれ59.9%,89.6%,80.3
%となり、この結果は、実地の野外2年の土中埋没条件
で、ホウ酸、銅、亜鉛とも十分残存し、防腐防虫効力を
保持していると判断できる。
【0124】実施例13〜22においては、ホウ素化合
物単独、またはホウ素化合物と銅化合物を防腐防虫剤と
し、これらにケイ酸ソーダ3.2を木材中の吸収量6
0.0kg/mとなるように配合した第一次処理液を
使用し、表2記載の各種酸の低濃度の水溶液を第二次処
理液として使用し、中和処理した例を説明したものであ
るが、この中実施例13,15,21は比較例として第
一次処理液中にケイ酸ソーダ3.2を配合しない場合を
記載した。これら比較例においては、処理材の溶脱試験
結果の溶脱率はホウ酸では、それぞれ80%,85%,
85.1%と極めて高く、定着率としてはそれぞれ20
%,15%,14.9%となり、実地の野外2年の土中
埋没結果でもこの様に定着性は悪いと判断できる。
【0125】これに対し、第一次処理液中にケイ酸ソー
ダ3.2の配合された例である実施例14,16,1
7,18,19,20,22においては、処理材の溶脱
試験結果の定着率は、ホウ酸成分でそれぞれ55%,5
0%,49%,55%,55%,54%,55%でいず
れも高い定着率を示した。また、第一次処理液に銅化合
物を配合した実施例17,18,19,20では、銅成
分の定着率もそれぞれ89.7%,89.1%,90.
0%,90.0%で極めて高い定着率を示し、本発明の
処理法により防腐防虫成分の定着率が極めて高められる
ことを確認した。
【0126】以上詳述したように、銅、亜鉛、およびホ
ウ素の化合物は優れた防腐防虫機能を有しており、さら
にこれらにケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリを共存させ
た第一次処理液を木材に注入し、さらに木材細胞壁内え
の浸透処理を施した後、この木材を第二次処理液として
の酸の低濃度水溶液に浸漬して中和することによって、
ケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリを重合ケイ酸ゲル結晶
とすることによりホウ酸、銅、亜鉛成分を定着向上させ
る効果を出すことができたが、さらにこれら化合物は木
材を難燃性にする効果も備えている。そこで防腐防虫処
理が施された木材の難燃効果を示すために以下の比較試
験を実施した。
【0127】1cm×2cm×5cm立方の木片からな
る複数の第一テストピースを用意した。この第一テスト
ピースには、四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)(4Zn(O
H)・3H),塩基性炭酸銅(Cu(O
H)・CuCO),およびケイ酸ソーダ3.2(N
O・3.2SiO)を溶解した第一次処理液を注
入し、さらに細胞壁内えの浸透処理を施し、次いで第二
次処理液の塩酸(HCl)1%水溶液で中和し、さらに
水洗および乾燥して処理木材を得た。一方、上記と同じ
寸法の第二テストピースを用意した。この第二テストピ
ースは、如何なる溶液も注入させていない。
【0128】そして上記テストピースを実験用バーナー
の炎の最上部に1分間、設置させた。その後テストピー
スをバーナー炎の最上部から取り去り、炎が継続してい
る時間(残炎時間),および炎が消滅した後、炎のない
状態で残り火がくすぶっている時間(残り時間),およ
び炭化した部分の長さ(炭化長)を測定した。表5に比
較試験の結果を示す。
【0129】
【表5】
【0130】この表から判るように、薬剤処理が施され
た第一テストピースは、バーナー炎を取り去った後に残
炎は生じなかったが、薬剤処理を施していない第二テス
トピースは110秒間残炎が継続し、この残炎が消滅し
た後も、さらに330秒間残り炎が存在した。また、炭
化した部分の長さは第一テストピースの場合は2.4c
mであったが、第二テストピースの場合は3.5cmで
あった。以上の比較試験の結果、本発明の防腐防虫処理
が施された木材は、先に詳述した防腐防虫効果に加えて
難燃性の備わったものになる。
【0131】さらに、本発明にかヽる組成物で処理され
た木材は防腐防虫効果が長期間に亘って持続されると同
様に難燃効果も長期間に亘って持続される。
【0132】以上より、本発明の木材の防腐防虫処理方
法は木材が本発明の防腐防虫機能を有する組成物とケイ
酸ソーダ、またはケイ酸カリを含む第一次処理液を注入
され、ポリエチレンシートのごとき湿気遮断性のシート
で被覆され、溶媒の揮散を防止された状態で保存して、
その間に処理液成分を木材組織深部の細胞壁内に浸透せ
しめ、次いでこの処理材を第二次処理液である酸の低濃
度の水溶液中に浸漬し、木材細胞壁中のケイ酸ソーダ、
またはケイ酸カリを中和し、重合ケイ酸ゲル結晶とする
ことにより、ホウ酸をその重合ケイ酸ゲル結晶格子中に
とり込ませて共結晶化させることで、顕著に定着させ、
さらに第一次処理液中の防腐防虫成分も重合ケイ酸ゲル
結晶中に閉じ込めることで定着向上させるものですぐれ
た処理方法である。
【0133】従って、この発明の方法によって処理され
た木材の中には、木材の防腐防虫機能を有するホウ酸、
銅、あるいは亜鉛が第一次処理液の成分であるケイ酸ソ
ーダ、あるいはケイ酸カリと共に木材細胞壁内に注入さ
れ、次いで第二次処理液である酸の低濃度水溶液が木材
細胞壁内部まで浸透できることにより、木材細胞壁内で
重合ケイ酸ゲル結晶となり、ホウ酸を共結晶化して定着
し、また共存している防腐防虫成分をも重合ケイ酸ゲル
結晶の中に閉じ込めて定着向上させている。従って上記
のように木材が土中に埋没されたとしても、有効成分は
長期間に亘って溶脱することなく、有効成分の注入処理
が施された木材は腐朽と白あり等の害虫による被害を確
実に防ぐことができる。
【0134】以上詳述したように、本発明の定着性防腐
防虫組成物は第一次処理液中にホウ素、銅および亜鉛化
合物のいずれかまたはそれらの組み合せからなる防腐防
虫機能を備えた有効成分と、木材内部で上記有効成分の
定着剤としての重合ケイ酸ゲル結晶を、第二次処理液と
しての酸の低濃度水溶液による中和によって生成すると
ころの出発物質としてのケイ酸ソーダ、またはケイ酸カ
リを溶解させることによって得られる。そして上記有効
成分のいずれもが、優れた防腐防虫機能を備えかつ人体
に対する毒性は低い。このような有効成分の木材えの注
入によって、木材は防腐防虫機能を発揮するようにな
る。
【0135】第一次処理液の注入された木材は、防湿シ
ートで被覆され、溶媒の揮散を抑制された状態で暫時養
生され、この間に第一次処理液中の成分は木材組織の深
部の細胞壁中に浸透される。このように処理した木材
を、その後さらに酸の低濃度水溶液の第二次処理液に浸
漬する。この第二次処理液は希薄な酸であるため、木材
中の第一次処理液との接触界面において、ケイ酸ソー
ダ、またはケイ酸カリの中和によって生ずるケイ酸ゲル
は、酸の脱水縮合作用が弱いので、不溶性の重合ケイ酸
ゲル固型物となって木材表面に固型膜を生成するに到ら
ず、水分散性の微小浮遊ゲル体となって存在し、さらに
第二次処理液の酸成分が次第に木材中の第一次処理液中
に浸透してゆき、順次水分散性のケイ酸ゲル微小浮遊体
を生成し、木材中の第一次処理液中のケイ酸ソーダ、ま
たはケイ酸カリの全てが水分散性のケイ酸ゲル微小浮遊
体に変化して 、これらケイ酸ゲル浮遊体が酸の脱水触
媒作用によって次第に縮合重合して、水不溶性の重合ケ
イ酸ゲル高分子固体となり、さらに結晶体を形成する.
この結晶化の際にホウ酸分子を、その構造の近似するが
故に重合ケイ酸ゲル結晶格子中にとり込み、共結晶体と
なりホウ酸分子を不溶化し定着させるものである。ま
た、その重合ケイ酸ゲル結晶体の生成によって、共存し
ている銅、亜鉛成分もその結晶体にとり囲まれて、水不
溶化し定着してくるものである。
【0136】さら、に本発明の防腐防虫処理が施された
木材は、上記有効成分とケイ酸ソーダ、またはケイ酸カ
リとが塩基性水溶液に溶解されてなる木材の防腐防虫組
成物が浸透処理によって、木材深部の細胞壁中に浸透注
入され、さらに酸の低濃度水溶液が浸透注入されてなる
ものであるため、木材の細胞壁内において水不溶性の重
合ケイ酸ゲル結晶を生成し、この結晶成長時にホウ酸を
共結晶化して不溶化して定着し、また、共存している他
の有効成分の銅、亜鉛成分も、この重合ケイ酸ゲル結晶
にとり囲まれて、閉じ込められた状態で定着保持されて
いるため、この木材を長期間空中に曝したり、土中に埋
没したとしても上記の水不溶性の重合ケイ酸ゲル結晶に
阻止されて、上記組成物は容易に溶脱せず極めて長期間
に亘ってこれら組成物が注入された木材の防腐防虫効果
が持続される。
【0137】さらにまた、上記有効成分としての銅、亜
鉛、および、あるいは、ホウ素化合物を含有する木材は
高い難燃性を有しており、火災対策の上からも好都合で
ある。
【0138】〔発明の効果〕本発明の請求項1に記載の
木材の定着性防腐防虫組成物、請求項11に記載の木材
の防腐防虫処理法、および請求項12記載の防腐防虫処
理木材によれば、通常の防腐防虫用に用いられる銅化合
物、亜鉛化合物、およびホウ素化合物は、人体に対する
毒性は少いが、防腐防虫効果が良好であり、このような
成分が木材の内部組織内に注入されれば、その木材には
防腐防虫機能が付与された状態になり、木材の腐朽、お
よび虫害を有効に抑止することができ好都合である。
【0139】また、通常、銅化合物、亜鉛化合物、およ
びホウ素化合物は、水のみには溶解し難い場合が多い
が、溶媒として揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水
が用いられているため、上記各化合物(有効成分)の水
えの溶解度が上昇し、それらは水によく溶けるようにな
る。従って上記有効成分を高濃度にすることが可能にな
り、木材中への有効成分の注入を効果的に行い得るよう
になる。また、木材中に注入された後に塩基性成分が揮
散または酸で中和されると、上記有効成分は水に溶け難
くなり、その結果溶脱が有効に抑制され、有効成分は木
材内部によく定着する。
【0140】そして、特に請求項1に記載の組成物、お
よび請求項11に記載の処理法によれば、木材には、上
記銅化合物、亜鉛化合物、およびホウ素化合物の中の少
くともいずれか一つおよびケイ酸ソーダ、またはケイ酸
カリが水に溶解された第一次処理液が注入され、さらに
この注入材が防湿シートで被覆されて、溶媒の揮散を抑
制した状態で暫時養生されることとなり、この間に木材
に注入された第一次処理液の有効成分およびケイ酸ソー
ダ、またはケイ酸カリが木材組織の深部の細胞壁内に浸
透注入され、一段と溶脱され難くかつ有効成分の防腐防
虫機能も一段と向上するものである.
【0141】次いで、上記のごとく第一次処理液の成分
が木材の細胞壁内に浸透注入された状態で、第二次処理
液である酸の低濃度水溶液に浸漬されるときは、第二次
処理液が希酸水溶液であるが故に、木材内部に注入され
存在している第一次処理液と接触するとき、第二次処理
液の酸成分が次第に木材中の第一次処理液中に浸透して
ゆき、先づ水分散性の微細ケイ酸ゲル浮遊体を第一次処
理液の全体中に生成してくる。次いで次第にこれら水分
散性のケイ酸ゲル浮遊体が、酸の触媒作用で脱水により
縮合重合して水不溶性の重合ケイ酸ゲル固体となり、さ
らに結晶化してくる。この結晶化の際に、ホウ酸分子を
結晶格子中にとり込み共結晶体を形成して、ホウ酸を水
に不溶化し、ホウ酸の溶脱が防止され、定着することに
なるものである。また、木材に注入された第一次処理液
中の他の有効成分の銅、亜鉛成分もこの不溶性の重合ケ
イ酸ゲル結晶体によって、とり囲まれ閉じ込められるた
め水に不溶化し、定着性が向上することになる。
【0142】この定着条件の発見によって、高価で、多
価金属カチオンの存在によって、不溶化するために銅、
亜鉛化合物と共用できないケイ酸コロイドを使用せず、
安価で安定性のよいケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリを
使用し、上記有効成分と共用した第一次処理液を使用し
て木材に注入後、第二次処理液の希酸水溶液で中和する
方法で、木材内部に重合ケイ酸ゲルを生成させ、上記の
ごとくホウ酸およびその他の銅、亜鉛の有効成分を定着
させたもので、実用性あるすぐれた定着法である。
【0143】そして、木材内部(細胞壁内)においては
ケイ酸ソーダ、またはケイ酸カリの酸による中和によっ
て形成された不溶性の重合ケイ酸ゲル結晶体によって閉
塞された状態で上記有効成分が定着保持されているた
め、この木材を長期間空中に曝したり、土中に埋没した
としても、上記の不溶性の重合ケイ酸ゲル結晶体によっ
て阻止されて、上記組成物は容易に溶脱しないため、極
めて長期間に亘ってこの組成物が注入された木材の防腐
防虫高価が継続する。
【0144】本発明の請求項2記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、銅化合物がホウ酸銅、水酸化銅、
炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、および硫酸銅の内から選ばれ
た少くともいずれか一つであり、これらは優れた防腐防
虫機能を有しており、かつ木材中にケイ酸ソーダ、また
はケイ酸カリおよび希酸の注入による中和で生成する不
溶性重合ケイ酸ゲル結晶体がなくても、木材の内部の細
胞壁内えの定着は優れている。
【0145】本発明の請求項3記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、ホウ酸銅が、四ホウ酸銅、三塩基
性四ホウ酸銅の内から選ばれた少くともいずれか一つで
あり、これらは優れた防腐防虫機能を有している。
【0146】本発明の請求項5記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、亜鉛化合物はホウ酸亜鉛、酢酸亜
鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、および硫酸亜鉛
の内から選ばれた少くともいずれか一つであり、これら
は優れた防腐防虫機能を有している。
【0147】本発明の請求項5記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、ホウ酸亜鉛は四ホウ酸亜鉛、四水
酸化亜鉛三(四ホウ酸)の内から選ばれた少くともいず
れか一つであり、これらは防腐防虫機能を有している。
【0148】本発明の請求項6記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、ホウ素化合物は、ホウ酸および七
酸化四ホウ素二ナトリウム十水塩(ホウ砂),または十
三酸化八ホウ素二ナトリウム四水塩の内から選ばれた少
くともいずれか一つであり、これらは優れた防腐防虫機
能を有しているとともに、第一次処理液中にケイ酸ソー
ダ、またはケイ酸カリを含ませ、かつ第二次処理液の希
酸の水溶液を浸透注入することによって、木材の細胞壁
内で定着させることができる。
【0149】本発明の請求項7記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、揮発性を有する塩基性化合物は、
Rが水素、または低級アルキル基、またはアミノ低級ア
ルキル基、またはオキシ低級アルキル基である化学式R
Nで表されるいわゆるアミン類であり、これらのアミ
ン類は水によく溶解すると共に、このようなアミン類が
溶解された水には上記ホウ酸銅等の銅化合物、上記ホウ
酸亜鉛等の亜鉛化合物、およびホウ酸等のホウ素化合物
がよく溶解されるようになる。
【0150】本発明の請求項8記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、中和用の酸は、無機酸、または有
機酸であるため、上記請求項1記載の組成物である第一
次処理液を木材に注入し、さらにその後、第一次処理液
が注入された木材を中和用の酸としての無機酸、または
有機産の低濃度水溶液である第二次処理液に浸漬し、酸
を浸透、注入することによって、水に不溶性の重合ケイ
酸ゲル結晶を生成させ、その結晶格子中にホウ酸成分を
とり込み共結晶化させて不溶体として溶脱を防止し、ま
たその重合ケイ酸ゲル結晶の不溶体内に共存する他の上
記有効成分の銅、亜鉛成分を閉じ込めて不溶化し、溶脱
防止し、その結果としてこれらの上記有効成分の定着性
を向上させた。
【0151】本発明の請求項9記載の木材の定着性防腐
防虫組成物によれば、無機酸は、塩酸、硫酸、燐酸、炭
酸であるため、上記請求項1記載の組成物である第一次
処理液を木材に注入し、さらにその後第一次処理液が注
入された木材を防湿シートで被覆して、溶媒の揮散を防
止して保存養生して、その間に木材内部の細胞壁内に第
一次処理液の成分を浸透注入させた後に、この木材を上
記の酸のいずれか一つの低濃度水溶液である第二次処理
液に浸漬し、酸成分を木材の細胞壁内にまで浸透させ
て、木材内部に存在しているケイ酸ソーダ、またはケイ
酸カリを酸で中和して水不溶性の重合ケイ酸ゲル結晶体
とし、その結晶格子中にホウ酸成分をとり込ませて、不
溶性の重合ケイ酸ゲル・ホウ酸共結晶体を生成させて、
ホウ酸の溶脱を防ぎ、また、第一次処理液中に共存して
いる上記組成物の他の銅、亜鉛成分も不溶性の重合ケイ
酸ゲル・ホウ酸共結晶体中に閉じ込めて、溶脱され難く
なり、その結果、上記組成物を溶脱が起り難い状態で木
材細胞壁中に保持することが可能になる。
【0152】本発明の請求項10記載の木材の定着性防
腐防虫組成物によれば、有機酸は、水溶性の高い種類
で、一塩基性酸では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、二塩基性酸では、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、さらにオキシ三塩基性酸として、クエン酸が使
用できるため、上記請求項1記載の組成物である第一次
処理液を木材に注入し、さらに第一次処理液が注入され
た木材を防湿シートで被覆して、保存養生して木材内部
の細胞壁内に第一次処理液成分を浸透、注入させた後
に、この木材を上記の酸のいずれか一つに低濃度水溶液
である第二次処理液に浸漬し、酸成分を木材の細胞壁内
にまで浸透させて、木材内部に存在しているケイ酸ソー
ダまたはケイ酸カリを酸で中和して水不溶性の重合ケイ
酸ゲル結晶体とし、その結晶格子中にホウ酸成分をとり
込ませて、不溶性の重合ケイ酸ゲル、ホウ酸共結晶体を
生成させて、ホウ酸の溶脱を防ぎ、また、第一次処理液
中に共存している上記組成物の他の銅、亜鉛成分も不溶
性の重合ケイ酸ゲル・ホウ酸共結晶体中に閉じ込めら
れ、溶脱され難くなり、その結果上記組成物を溶脱が起
り難い状態で木材細胞壁中に保持することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一次処理液に使用するケイ酸ソーダ(Na
O・nSiO)のSiO/NaOモル比〔MR〕
(N)とその水溶液につき光散乱法で測定された /NaOモル比〔MR〕(N)が設定され、縦軸
に重量平均分子量(Mw)が設定されている。(大阪珪
酸曹達株式会社の珪酸曹達カタログによった)。
【図2】第一次処理液に使用するケイ酸カリ(KO・
nSiO)のSiO/KOモル比〔MR〕(K)
とその水溶液につき光散乱法で測定された重量平 れている。(大阪珪酸曹達株式会社の珪酸曹達カタログ
によった)。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅化合物、亜鉛化合物、およびホウ素化
    合物の内から選ばれた少くともいずれか一つからなる防
    腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとが要すれば
    揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解されて得
    られる第一次処理液と、酸が低濃度に水に溶解された第
    二次処理液とから構成されていることを特徴とする木材
    の定着性防腐防虫組成物。
  2. 【請求項2】 上記銅化合物が、ホウ酸銅、水酸化銅、
    炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、および硫酸銅の内から選ばれ
    た少くともいずれか一つであることを特徴とする請求項
    1記載の木材の定着性防腐防虫組成物。
  3. 【請求項3】 上記ホウ酸銅が、四ホウ酸銅、三塩基性
    四ホウ酸銅の内から選ばれた少なくともいずれか一つで
    あることを特徴とする請求項1記載の木材の定着性防腐
    防虫組成物。
  4. 【請求項4】 上記亜鉛化合物が、ホウ酸亜鉛、酢酸亜
    鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛および硫酸亜鉛の
    内から選ばれた少なくともいずれか一つであることを特
    徴とする請求項1記載の木材の定着性防腐防虫組成物。
  5. 【請求項5】 上記ホウ酸亜鉛は、四ホウ酸亜鉛、四水
    酸化亜鉛三(四ホウ酸)の内から選ばれた少なくともい
    ずれか一つであることを特徴とする請求項1記載の木材
    の定着性防腐防虫組成物。
  6. 【請求項6】 上記ホウ素化合物はホウ酸及び七酸化四
    ホウ素二ナトリウム十水煙(ホウ砂),又は十三酸化八
    ホウ素二ナトリウム四水塩の内から選ばれた少くともい
    ずれか一つであることを特徴とする請求項1記載の木材
    の定着性防腐防虫組成物。
  7. 【請求項7】 上記揮発性を有する塩基性化合物は、R
    が水素又は低級アルキル基又はアミノ低級アルキル基又
    はオキシ低級アルキル基である化学式RNで表される
    ものであることを特徴とする請求項1記載の木材の定着
    性防腐防虫組成物。
  8. 【請求項8】 上記酸は、無機酸、有機酸の内から選ば
    れた少なくともいずれか一つであることを特徴とする請
    求項1記載の木材の定着性防腐防虫組成物。
  9. 【請求項9】 上記無機酸は、塩酸、硫酸、燐酸、炭酸
    の内から選ばれた少なくともいずれか一つであることを
    特徴とする請求項1記載の木材の定着性防腐防虫組成
    物。
  10. 【請求項10】 上記有機酸は、水溶性の高い種類で、
    一塩基性酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、二塩
    基性酸では、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
    さらに、オキシ三塩基性酸として、クエン酸が使用で
    き、これらの酸の内から選ばれた少なくともいずれか一
    つであることを特徴とする請求項1記載の木材の定着性
    防腐防虫組成物。
  11. 【請求項11】 銅化合物、亜鉛化合物、およびホウ素
    化合物の内から選ばれた少なくともいずれか一つからな
    る防腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとが要す
    れば揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解され
    た第一次処理液を木材に注入し、次いでこの木材を防湿
    シートで被覆し、暫時養生して、第一次処液を木材組織
    内部の細胞壁内に浸透させた後に、請求項1記載の酸が
    低濃度に水に溶解された第二次処理液に浸漬し、中和処
    理した後、過剰の酸を水洗除去し、後に水を揮散させる
    ことを特徴とする木材の防腐防虫処理法。
  12. 【請求項12】 銅化合物、亜鉛化合物、およびホウ素
    化合物の内から選ばれた少なくともいずれか一つからな
    る防腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとが要す
    れば揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解され
    た第一次処理液を木材に注入し、次いでこの木材を防湿
    シートで被覆し、暫時養生して、第一次処理液を木材組
    織内部の細胞壁内に浸透させた後に、請求項1記載の酸
    が低濃度に水に溶解された第二次処理液に浸漬し、中和
    処理した後、過剰の酸を水洗除去して、後に水を揮散さ
    せることによって得られることを特徴とする防腐防虫処
    理木材。
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