JP2003266406A - 木材の高定着性防腐防虫処理法、及びその処理木材 - Google Patents

木材の高定着性防腐防虫処理法、及びその処理木材

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JP2003266406A
JP2003266406A JP2002134735A JP2002134735A JP2003266406A JP 2003266406 A JP2003266406 A JP 2003266406A JP 2002134735 A JP2002134735 A JP 2002134735A JP 2002134735 A JP2002134735 A JP 2002134735A JP 2003266406 A JP2003266406 A JP 2003266406A
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sodium silicate
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Kazunobu Shiozawa
計信 塩澤
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Abstract

(57)【要約】 〔課題〕 注入された有効成分が長期間に亘って木材の
内部に高度に定着するようにする。 〔解決手段〕 銅化合物、亜鉛化合物、およびホウ素化
合物の内から選ばれた少くともいずれか一つからなる防
腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとが、要すれ
ば揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解されて
なる第一次処理液と、この第一次処理液を木材に注入
後、この材を常温、減圧処理して半乾燥し、この半乾材
を中和塩の高濃度水溶液である第二次処理液中に高温
や、長期間浸漬し、中性化養生し、木材組織内に中性か
つ不溶性の珪酸塩を生成せしめ、防腐防虫成分を高度に
定着させることによる木材の高度定着性防腐防虫処理法
およびこの処理法による高度に定着された防腐防虫処理
木材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の属する技術分野〕 本発明は、木
材を対象として防腐防虫用に使用される木材の高定着性
防腐防虫処理法及び防腐防虫処理木材に関するものであ
る。
【0002】〔従来の技術〕 従来世界的に広く使用さ
れている防腐防虫剤として、銅、クロム、砒素(略称、
CCA)系が最も一般的であり、このCCA系薬剤は成
分として銅成分は酸化銅、硫酸銅5水塩、また、クロム
成分は三酸化クロム、重クロム酸カリ、重クロム酸ソー
ダ、また、ヒ素成分は、五酸化二ヒ素、ヒ酸等が使用さ
れている。又、塩化第二水銀等の水銀化合物やその他に
はフッ化ナトリウム等のフッ素化合物、ホウ酸やホウ砂
等のホウ素化合物が場合により使用されている。これら
化合物が適宜組み合わされて配合され、水溶液として木
材の防腐防虫用組成物とされる。上記水溶液に酢酸、ア
ンモニア等が定着剤として添加されることも多い。
【0003】 この様にして得られた組成物が木材の中
に注入され防腐防虫機能を発揮する。この様な組成物は
本来的に防腐防虫機能を有している。木材の内部に注入
された組成物は、木材内部で組成物を構成している成分
相互間や木材との間で起る化学反応によって木材内部に
定着される。例えばCCA系薬剤の場合は、クロム成分
が六価クロムの形で木材中に注入され、木材中で還元さ
れ三価クロムとなり、この時に銅、ヒ素成分と結合し、
水に不溶性の錯体を形成し、木材中に定着されている。
このCCA薬剤の定着性はすぐれている。しかし、CC
A系薬剤以外の薬剤については、一般に定着性が悪く、
長期に亘って防腐防虫効果を持続させることができると
いうものではない。
【0004】 この定着性の優れたCCA系薬剤につい
ては、その構成要素のうち、ヒ素化合物、クロム化合物
は毒性が大きく、又水銀等の重金属化合物を毒性が強
く、従ってこのような組成物は、その調整時はもとよ
り、木材えの注入時にも作業者が被毒しないように充分
に管理する必要があるとともに、木材加工時に発生する
廃材や、古くなった木材製品の廃棄処分時に環境汚染に
留意しなければならない等問題点が多い。
【0005】 そのようなことから、近年クロム化合物
やヒ素化合物に代えてホウ酸銅やホウ酸亜鉛、更にホウ
酸、ホウ砂やこれらに銅、亜鉛化合物を加えたものを主
成分とし、これらに要すれば揮発性塩基性化合物を添加
した水溶液が木材の防腐防虫組成物として注目されるに
到っている。このような組成物は、銅成分や亜鉛成分が
主として防腐効果をホウ酸成分が主として防虫効果を発
揮するが、使用量の増加によっては、銅、亜鉛成分も防
虫効果を又ホウ酸成分も防腐効果を発現することが知ら
れている。クロムやヒ素化合物が用いられていないため
毒性が低く又無機化合物であるため、長期の変質がなく
安定性が高いという利点を有している。
【0006】 しかし、上記のホウ素系の化合物を主成
分とする組成物は、通常木材に対する定着性はそれ程良
好なものではなく、それらの注入された木材を土中に埋
没すると約2年でホウ素系化合物のホウ素成分の75%
以上がホウ酸として溶脱すると言われている。
【0007】 又、これら銅、亜鉛、ホウ素系防腐剤に
定着剤としてケイ酸ソーダ又はケイ酸カリを加えた組成
物を水溶液として木材に注入した後に、この木材を中和
塩や酸の水溶液で処理して中和し、材中のケイ酸アルカ
リ塩を不溶性かつ中性のコロイド状のケイ酸塩やケイ酸
のゲルに変えて、木材内部の細孔内に注入された防腐防
虫成分を閉じ込めることにより、これら成分を定着させ
る試みが行なはれているが、中和処理法の不適当さや、
中和時の防腐防虫成分の溶脱分を見落して、この中和処
理材の溶脱試験結果により、防腐成分の低い溶脱値が得
られたことによって、高い定着率として報じられている
恐れがあった。
【0008】〔発明が解決しようとする課題〕 本発明
は、上記のような問題点を解決するためになされたもの
であり、まず第一に低毒性の無機系薬剤としての銅、亜
鉛、ホウ素系薬剤を主成分とし、これに無機系定着剤と
してのケイ酸ソーダ又はケイ酸カリを添加した薬剤を木
材に注入し、その木材に注入された有効成分が長期間に
亘って木材内部に高度にかつ安価な処理費で定着される
ようにする防腐防虫処理法を提供することを目的とし、
第二に注入された有効成分が長期間に亘って高度にかつ
安価な処理費で定着する高耐久性の防腐防虫処理木材を
提供することを目的としている。
【0009】〔課題を解決するための手段〕 本発明の
請求項1記載の木材の防腐防虫処理法は、銅化合物、亜
鉛化合物、および、ホウ素化合物の内から選ばれた少く
ともいずれか一つからなる防腐防虫成分とケイ酸ソーダ
又はケイ酸カリとを、要すれば揮発性を有する塩基性化
合物を含んだ水に溶解されてなる第一次処理液を木材に
注入し、次いでその木材を常温で減圧下に処理し、半乾
燥した後に、請求項1記載の中和塩が高濃度に水に溶解
された第二次処理液に浸漬し、完全に中性化養生した後
に、水を揮散させることを特徴とするものである。
【0010】 本発明の請求項2記載の防腐防虫処理木
材は、銅化合物、亜鉛化合物、および、ホウ素化合物の
内から選ばれた少くともいずれか一つからなる防腐防虫
成分と、ケイ酸ソーダまたはケイ酸カリを、要すれば揮
発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解されている
第一次処理液を木材に注入し、次いでその木材を常温で
減圧下に処理し、半乾燥した後に、請求項1記載の中和
塩が高濃度に水に溶解された第二次処理液に浸漬し、完
全に中性化養生した後、水を揮散させていることを特徴
とするものである。
【0011】〔作用〕 上記請求項1記載の木材の防腐
防虫処理法、および請求項2記載の防腐防虫処理木材に
よれば、通常の防腐防虫用に用いられる銅化合物、亜鉛
化合物、およびホウ素化合物は、人体に対する毒性は少
ないが、防腐防虫効果が良好であり、このような成分が
木材に注入されれば、その木材には防腐防虫機能が付与
された状態になり、木材の腐朽および虫害を有効に抑止
することができる。
【0012】 また通常、銅化合物、亜鉛化合物、およ
びホウ素化合物は、水のみには溶解し難い場合が多い
が、かかる場合、揮発性を有する塩基性化合物を含んだ
水が用いられているため、上記化合物の水えの溶解度が
上昇し、それらは水によく溶けるようになる。従って上
記有効成分を高濃度にすることが可能になり、これら成
分とケイ酸ソーダ、又はケイ酸カリを含む第一次処理液
の木材中えの注入が効果的に行ないうるようになる。
【0013】 また木材中に注入された後に、この材は
減圧処理されて、半乾燥されるが、この半乾燥処理によ
り水分や塩基性化合物の一部は気散し、材中のケイ酸ソ
ーダ又はケイ酸カリは半ゲル化し、コロイド状となり、
次の第二次処理液である中和塩の高濃度水溶液え浸漬さ
れる時に溶脱され難くなる。
【0014】 このコロイド状ケイ酸ソーダ又はケイ酸
カリが木材内部細孔中に存在する状態で、中性化養生が
進行し、又中和塩の作用で塩基性化合物も中性塩とな
り、上記有効成分は水に溶け難くなる。そして中性化養
生を十分に行うことにより中和は完全に行われ、ケイ酸
ソーダ又はケイ酸カリは不溶性かつ中性のケイ酸塩のゲ
ル状コロイドを生じ、木材組織内細孔中に充填され、共
存している防腐防虫成分を木材組織細孔中に閉塞し、有
効成分は著しく溶脱され難くなり、高度に定着されるに
到るものである。
【0015】 ここに使用される第一次処理液の成分と
しての防腐防虫剤として使用できる銅化合物は、ホウ酸
銅、水酸化銅、炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、硫酸銅等で、
ホウ酸銅は四ホウ酸銅、三塩基性四ホウ酸銅が使用し易
い。又亜鉛化合物としては、ホウ酸亜鉛、酢酸亜鉛、水
酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等で、ホウ酸
亜鉛は四ホウ酸亜鉛、四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)が利
用できる。又ホウ素化合物は、ホウ酸及び七酸化四ホウ
素二ナトリウム十水塩(ホウ砂)、又は十三酸化八ホウ
素二ナトリウム四水塩が利用できる。
【0016】 又第一次処理液に場合により使用される
揮発性を有する塩基性化合物としては、Rが水素又は低
級アルキル基又はアミノ低級アルキル基又はオキシ低級
アルキル基である化学式R3Nで表される、いわゆるア
ミン類が使用できる。
【0017】 又第一次処理液に防腐防虫成分の定着用
に使用されるケイ酸ソーダ又はケイ酸カリは、いずれも
木材中に注入された後に、この注入材を中和塩の水溶液
に浸漬養生されるが、その折にこれらケイ酸塩のアルカ
リ成分のナトリウム又はカリウムは中和塩のアニオン成
分と反応して中性塩となり、ケイ酸残基は中和塩のカチ
オン分と反応して、不溶性かつ中性のケイ酸塩となる。
このケイ酸アルカリ塩の中和反応は、両者とも類似であ
るので、以後の中性化反応の説明はケイ酸ソーダの使用
例についてのみ記載する。
【0018】 さらに、ここに使用される第二次処理液
の成分としての中和塩は、希土類塩化物又はアルカリ土
類塩であるため、上記の中性化養生処理により、水に不
溶性のケイ素と希土類塩化物又はアルカリ土類塩との反
応化合物のゲル状コロイドを生成し、それが木材内細孔
を塞ぎ、防腐防虫成分が定着される。
【0019】 希土類塩化物は、塩化スカンジウム、塩
化イットリウム又は塩化ランタノイドであるが、経済的
に有利に利用するためには、天然産の塩化希土が工業的
に有利に利用できる。希土類業界の通念として、この天
然産の塩化希土は、一般に化学式RClで示される
が、Rは原子量140とされているが、この値はおよそ
ランタノイド(主成分はランタン、セリウム、プラセオ
ヂム、ネオヂム)の平均原子量である。この天然塩化希
土は純度約70%で、不純分は主として結晶水である。
【0020】 上記請求項1記載の第一次処理液を木材
に注入し、さらにその後第一次処理液の注入された木材
を塩化希土の水溶液である第二次処理液に浸漬して養生
することによって、ケイ酸ソーダは例えば次式のごとく
反応し、水に不溶性のコロイド状のケイ酸希土ゲルとな
り、木材内の細孔を塞ぐことになる。
【0021】 3(NaO・2SiO)+2RCl
→6NaCl+R・6SiO その結果、防腐防虫成分を木材内部に、溶脱が起こり難
い状態で保持することが可能になる。
【0022】 アルカリ土類塩は、塩化カルシウム、塩
化マグネシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウムま
たは硫酸マグネシウムであるために、請求項1記載の防
腐防虫成分の第一次処理液を木材に注入し、さらにその
後第一次処理液が注入された木材を塩化カルシウム、塩
化マグネシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウムま
たは硫酸マグネシウムの水溶液である第二次処理液に浸
漬し養生することによって、ケイ酸ソーダは例えば次式
のごとく反応し、水に不溶性のコロイド状ケイ酸アルカ
リ土類塩となり、木材内の細孔を塞ぐことになる。
【0023】 NaO・2SiO+CaCl→2
NaCl+CaO・2SiO NaO・2SiO+MgCl→2NaCl+Mg
O・2SiO その結果、請求項1記載の防腐防虫成分を木材の内部
に、溶脱が起こり難い状態で保持することが可能にな
る。
【0024】 又ここで第一次処理液の注入された木材
を第二次処理液に浸漬し中性化養生する際に、この第二
次処理液は高濃度で使用されるが、その濃度は、15乃
至30%が適当である。15%より低い濃度では、中性
化養生時に於て木材中に注入された第一次処理液中の防
腐剤成分が溶出され易くなり、結局処理木材の防腐防虫
成分の定着率が低い結果となる。又30%より高い濃度
では、第一次処理液注入材えの第二次処理液の中和塩の
浸透性が低下して、中性化養生が不完全となり、その結
果、処理木材は溶脱が大きくなり、定着率が低い結果と
なる。すなわち第二次処理液の中和塩の高濃度水溶液と
しては、この濃度は15%から30%程度に限定するこ
とが必要であり、この範囲以外では高い定着率を出し難
いことを発見し、この高濃度範囲を請求項1に入れた。
【0025】 更に、本処理法において、防腐防虫成分
と共に木材に注入されるケイ酸ソーダの木材中の吸収量
は75乃至200kg/mが必要であり、望ましく
は、100乃至150kg/mがよい。この吸収量7
5kg/mより少ない場合は防腐防虫成分の定着性が
不足となるが、これは木材細孔内でのケイ酸塩のゲル状
コロイドの充填性不足により、共存する防腐防虫成分を
木材細孔内に閉塞する効果が少ないためによる。又この
吸収量が200kg/mより多い場合は木材えの注入
性が不良化してくるため、十分な定着性が得られない。
【0026】〔実施例〕本発明に係る第一次処理液は、
銅、ホウ素、亜鉛原体(商品名CBZ−1026Am、
古河機械金属(株)製品)を使用した。この原体に定着
剤として珪酸ソーダを配合して、水で希釈することで、
第一次処理液を現場で容易に作成できる。
【0027】 CBZ1026Am原体は次の配合物で
ある。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩(富田製薬(株)製
品:ホウ酸亜鉛2335) (4Zn(OH)・3H)11.13% (I) (HBO(換算)9.5%,Zn(換算)3.4
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CnCO)16.75%(Cn換算9.5%) (II) ・溶剤(アミン性) 57.23% ・水 14.89% (合計) (100.00%)
【0028】四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩は、ほゞ純
品であり、Zn30.1%,B14.92%(HBO
として85.35%)を含有する。又塩基性炭酸銅は
Cu56.7%を含有する。これらを溶解する溶剤とし
て揮発性アミン類が使用される。
【0029】CBZ1026Am原体の含有する成分の
うち、亜鉛成分は防腐防虫機能を有しており、腐朽菌の
銅耐性菌に対し、有効に作用する。ホウ酸成分は防虫機
能を備えている。更に銅成分は腐朽菌全般に対し、すぐ
れた防腐効力をもち、又防虫効力をもつ。
【0030】本発明に係る第一次処理液は、上記CBZ
1026Am原体を使用するが、この原体は前記の様
に、銅9.5%,ホウ酸9.5%,亜鉛3.4%を含有
しており、この原体を適当な濃度の水溶液とすることに
より、この水溶液である第一次処理液を木材中に注入し
て、木材中のこれら防腐防虫成分の吸収量を所望の値に
設定することができる。この吸収量は良好な防腐防虫性
能を出現させるために、一般に屋内用としてはCu1.
15(CuO1.44)kg/m,HBO1.1
5kg/m(酸化物計2.6kg/m)がよいとさ
れ、更に屋外用としては、Cu2.30(CuO2.8
8)kg/m,HBO2.30kg/m(酸化
物計5.2kg/m)がよいとされている。
【0031】従って、本発明のごとき定着性を出現させ
る目的のためには、屋外用に必要な吸収量であるCu
2.30(CuO2.88)kg/m,HBO
2.30kg/mが望まれるが、CBZ1026A
m原体を用いるときは、Zn0.82(ZnO1.0)
kg/mも材に吸収される。この亜鉛成分も防腐防虫
成分として追加され、銅耐性菌に対し効力を発揮でき
る。
【0032】本発明に係る第一次処理液は、CBZ10
26Am原体の使用により、銅,ホウ素,亜鉛成分を防
腐防虫成分として含むが、更にこれら成分の定着剤とし
てケイ酸ソーダを添加使用する。この理由は、ケイ酸ソ
ーダは、水に溶かして水溶液にすると時間の経過ととも
にケイ酸ソーダの分子が集合してコロイド状にゲル化す
る性質を有している。本発明はこのケイ酸ソーダのゲル
化する性質を利用したものである。すなわち、木材にこ
れら成分が注入されると、上記ゲル化現象によってケイ
酸ソーダは木材に形成している導管、假導管などの細孔
を閉鎖し、木材の内部に銅化合物,亜鉛化合物あるいは
ホウ素化合物等の上記有効成分を閉じ込める働きをする
からである。
【0033】本発明に使用されるCBZ1026Am原
体は溶剤として揮発性塩基性化合物を使用しているが、
これらは第一級アミン,第二級アミン,第三級アミンが
使されており、これらアミン類は比較的揮発性の高いも
のである。
【0034】このような揮発性塩基性化合物が使用され
ている理由は、上記のCBZ1026Am原体の成分は
水のみには極めて溶けにくい性質を有しているが、水が
塩基性になるとよく溶解するようになるからである。
【0035】そして、これら塩基性化合物として揮発性
を有するものが使用されるのは、木材えの注入後の定着
性を向上させるためである。すなわち、これらアミン類
に溶解された配合物が木材に注入された後に、アミン類
が木材の内部から外部に揮散すると、溶解していた上記
配合物は水中から折出し、木材内部に定着する。一旦折
出すると、上記のCBZ1026Am原体中の化合物は
水に溶けにくい性質を有しているため木材の内部からの
溶脱が抑止される。
【0036】そして木材内部においては、ケイ酸ソーダ
(NaO・nSiO,nは2〜3)のゲル化が進行
し、木材内部で生成した上記CBZ1026Am原体中
の化合物を閉じ込めた状態で木材内部に形成されている
細孔を塞ぐため、有効な防腐防虫機能を有する上記CB
Z1026Am原体中の化合物を安定的に木材の内部に
定着することになる。そして塩基性の水溶液のPHは略
9〜13に設定されている。
【0037】第一次処理液の注入操作については、通
常、第一次処理液中に木材を浸漬し、減圧後に加圧注入
することにより、行う注入法が一般的である。具体的に
は、第一次処理液を調製し、この注入液を密閉可能な注
入槽に充填し、これに処理対象の木材を浸漬してから、
上記注入槽を密閉し、槽内の圧力が600〜700mm
Hgになるように減圧して、木材中の空気を除き、その
後常圧に戻して第一次処理液を木材中に注入する。
【0038】木材に第一次処理液を注入させるときに
は、常圧以上に加圧するようにしてもよい。この場合
は、注入槽内に通常5〜20kg/cmGに加圧され
る。このようにして得られた注入処理剤の木材は、次に
第二次処理液中に浸漬し、中性化養生することで、高度
の耐久性ある防腐防虫性能を付与できる。
【0039】この第一次処理液が木材に注入された後
に、この注入材は第二次処理液中に浸漬され、中性化養
生されるが、この中性化養生に先立って、注入材は常温
下に減圧乾燥される。
【0040】この減圧乾燥は木材中に注入された第一次
処理液中の揮発性塩基性化合物および水分を強制乾燥除
去することにより、ケイ酸ソーダが濃縮され、ゲル化が
一段と進行し、木材内部の細孔内にCBZ1026Am
原体中の防腐防虫性化合物を閉塞固定化し、次の第二次
処理液である中和塩の水溶液中に浸漬養生の折に、ケイ
酸ソーダのアルカリ成分の中性化反応に際し、防腐防虫
成分の溶出損失を防止する効果を向上させるものであ
り、極めて重要な処理であることが高定着性実現に対し
ての研究過程で見付けられた。
【0041】上記の減圧乾燥された注入材は、次いで中
和塩の塩化希土又はアルカリ土類塩化物水溶液の第二次
処理液中に浸漬され中性化のため養生される。この操作
によって木材中に注入された第一次処理液中の防腐防虫
成分は共存するケイ酸ソーダのアルカリ成分が中和塩の
アニオン成分と反応して中和塩となり、ケイ酸成分残基
は中和塩のカチオン成分と反応して、不溶性のケイ酸塩
(ケイ酸希土、ケイ酸アルカリ土類金属塩等)となる。
これら不溶性ケイ酸塩類はやはりゲル状のコロイド分子
であり、木材内細孔中に充填され、共存する防腐防虫成
分を木材細孔内に閉塞した状態で吸蔵固定化する。この
ためこれら防腐防虫成分の溶脱を高度に防止することが
できるものである。この中性化養生時のケイ酸ソーダの
アルカリ成分の中性化反応は例えば以下の反応式で示さ
れる。
【0042】3(NaO・nSiO)+2CeCl
→6NaCl+R・3nSiO…………(1) NaO・nSiO+MgCl →2NaCl+MgO・nSiO …………(2)
【0043】上記希土類塩化物としては、塩化セリウ
ム,塩化スカンジウム,塩化イットリウム等が、またア
ルカリ土類塩化物としては、カルシウム,マグネシウ
ム,バリウム,ストロンチウム等の塩化物等が好適に使
用される。
【0044】上記中和塩の木材えの浸透注入は、これら
化合物の水溶液中に前記(I),(II)に示した化合
物または成分とケイ酸ソーダが注入された木材を浸漬
し、静置養生することによって行なわれる。
【0045】そしてこの場合、水溶液中の中和塩の濃度
は、15重量%〜30重量%とされ、更に好ましくは1
5重量%〜20重量%とされる。好ましい濃度範囲に設
定することによって最良の結果が得られる。その理由
は、種々研究の結果上記の下限値より低濃度では、中性
化養生時に防腐防虫成分の溶脱が大となり、最終的に木
材中に注入された防腐防虫成分の定着率が低い値となる
ので、不都合である。又この上限値より高い濃度では、
中和塩の木材中えの浸透が不足となり中性化反応が不良
となり、ケイ酸ソーダがアルカリ性のまゝ残存し、溶脱
され易く、木材中の防腐防虫成分の定着率も低下するた
めである。
【0046】そして、前記(I)(II)に示した有効
成分が塩基性水溶液に溶解されてなるCBZ1026A
m原体の所定濃度の第一次処理液と中和塩すなわち希土
類塩化物あるいはアルカリ土類塩化物またはこれらの混
合物の水溶液である第二次処理液が浸透注入された木材
内部では、不溶性のケイ酸塩によって閉塞された状態で
前記(I),(II)に示した有効成分が定着保持され
た状態になっているのである。
【0047】次に本発明の高定着性処理法の具体的な例
を以下の実施例1〜39に示す。またこれらの実施例の
第一次処理液を実際に木材に注入し、更にこれら注入材
を先ず後排処理して半乾燥し、次いでこれら半半乾材を
直ちに中和塩の水溶液である第二次処理液に浸漬し、中
性化のための養生処理を行ない、所望の高定着性木材を
得て、更にその効果をしらべる溶脱試験を実施した。そ
の結果についても引続き説明する。なお以下の記述にお
ける%は重量%を示している。
【0048】(実施例1)CBZ1026Am原体3.
45部に水63.25部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号33.3部を添加して第
一次処理液100部を作成した。次の成分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3HBO) 0.38% (HBO(換算)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO)) 33.30%(純
分10.71%) ・希釈水 63.25% (合計) (100.00%)
【0049】(実施例2)CBZ1026Am原体3.
45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加して
溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃
度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3HBO) 0.38% (HBO(換算)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0050】(実施例3)CBZ1026Am原体3.
45部に水7.62部を加えて溶解し、次いで(32.
16%)ケイ酸ソーダ1号88.93部を添加して溶解
し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃度と
なる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))88.93%(純
分28.6%) ・希釈水 7.62% (合計) (100.00%)
【0051】(実施例4)CBZ1026Am原体3.
45部に水63.25部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号33.3部を加え、次の
第一次処理液を得た。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3HBO)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))33.3%(純分
10.71%) ・希釈水 63.25% (合計) (100.00%)
【0052】(実施例5)CBZ1026Am原体3.
45部に水63.25部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号33.3部を添加して、
第一次処理液100部を作成した。次の成分濃度とな
る。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分) 0.33%,Zn0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO)) 33.3%(純
分10.71%) ・希釈水 63.25% (合計) (100.00%)
【0053】(実施例6)CBZ1026Am原体3.
45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加して溶
解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃度
となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分) 0.33%,Zn0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0054】(実施例7)CBZ1026Am原体3.
45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加して
溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃
度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分) 0.33%,Zn0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.46%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0055】(実施例8)CBZ1026Am原体3.
45部に水68.79部を加えて溶解し、次いで(3
8.6%)ケイ酸ソーダ3号27.76部を添加して溶
解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃度
となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(38.6%)ケイ酸ソーダ3号 (NaO・3.19(SiO))27.76%(純
分10.72%) ・希釈水 68.79% (合計) (100.00%)
【0056】(実施例9)CBZ1026Am原体3.
45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加して
溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃
度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分) 0.33%,Zn0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%
(純分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0057】(実施例10)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn00.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%
(純分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0058】(実施例11)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を加え
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%
(純分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00)
【0059】(実施例12)CBZ1026Am原体
3.45部に水63.25部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号33.3部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分) 0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% (32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))33.3%(純分
10.71%) ・希釈水 63.25% (合計) (100.00%)
【0060】(実施例13)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0061】(実施例14)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% CHBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu 0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO)) 66.63%
(純分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0062】(実施例15)CBZ1026Am原体
3.45部に水7.75部を加えて溶解し、次いで(3
2.16%)ケイ酸ソーダ1号88.8部を添加して溶
解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分濃度
となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% (32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO)) 88.8%(純
分28.56%) ・希釈水 7.75% (合計) (100.00%)
【0063】(実施例16)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO)) 66.63%
(純分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0064】(実施例17)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO)) 66.63%
(純分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0065】(実施例18)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算値)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0066】(実施例19)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0067】(実施例20)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0068】(実施例21)特級ホウ酸0.33部に水
33.04部を加えて溶解し、次いで(32.16%)
ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加して溶解し、第二
次処理液100部を作成した。次の成分濃度となる。 ・HBO 0.33% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 33.04% (合計) (100.00%)
【0069】(実施例22)CBZ1026Am原体
3.45部に水24.21部を加えて溶解し、次いで
(29.62%)ケイ酸ソーダA72.34部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(29.62%)ケイ酸ソーダA (NaO・SiO) 72.34%(純分2
1.43%) ・希釈水 24.21% (合計) (100.00%)
【0070】(実施例23)CBZ1026Am原体
3.45部に水24.35部を加えて溶解し、次いで
(29.68%)ケイ酸ソーダB72.20部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(29.68%)ケイ酸ソーダB (NaO・0.51(SiO))72.20%(純
分21.43%) ・希釈水 24.35% (合計) (100.00%)
【0071】(実施例24)CBZ1026Am原体
3.45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0072】(実施例25)CBZ1026Am原体
3.45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0073】(実施例26)CBZ1026Am原体
3.45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H) 0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn0.12%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0074】(実施例27)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0075】(実施例28)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を加え
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0076】(実施例29)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0077】(実施例30)CBZ1026Am原体
3.45部に水24.35部を加えて溶解し、次いで
(29.68%)ケイ酸ソーダB72.20部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(29.68%)ケイ酸ソーダB (NaO・2.16(SiO))72.20%(純
分21.43%) ・希釈水 24.35% (合計) (100.00%)
【0078】(実施例31)CBZ1026Am原体
3.45部に水74.34部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号22.21部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))22.21%(純
分7.14%) ・希釈水 74.34% (合計) (100.00%)
【0079】(実施例32)CBZ1026Am原体
3.45部に水63.23部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号33.32部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))33.32%(純
分10.72%) ・希釈水 63.23% (合計) (100.00%)
【0080】(実施例33)CBZ1026Am原体
3.45部に水68.79部を加えて溶解し、次いで
(38.6%)ケイ酸ソーダ3号27.76部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(38.6%)ケイ酸ソーダ3号 (NaO・3.19(SiO))27.76%(純
分10.72%) ・希釈水 68.79% (合計) (100.00%)
【0081】(実施例34)四水酸化亜鉛三(四ホウ
酸)塩0.77部にアミン性溶剤1.16部及び水0.
64部を加えて、60°Cで加温溶解した。この溶液
2.57部を水30.80部にて希釈して後、ケイ酸ソ
ーダ1号(純分32.16%)66.63部を加えて溶
解し、第一次処理液100部を作成した。ここに使用す
るアミン性溶剤としては、モノエタノールアミン44.
8%,ジエチレントリアミン55.2%の混合溶剤を使
用した。次の成分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.77% (HBO(換算分)0.66%,Zn 0.23
%) ・アミン性溶剤 1.16% ・水 0.64% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 30.80% (合計) (100.00%)
【0082】(実施例35)CBZ1026Am原体
3.45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO) 0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0083】(実施例36)CBZ1026Am原体
3.45部に水29.92部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号66.63部を添加
して溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成
分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))66.63%(純
分21.43%) ・希釈水 29.92% (合計) (100.00%)
【0084】(実施例37)CBZ1026Am原体
3.45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0085】(実施例38)CBZ1026Am原体
3.45部に水52.15部を加えて溶解し、次いで
(32.16%)ケイ酸ソーダ1号44.4部を添加し
て溶解し、第一次処理液100部を作成した。次の成分
濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・(32.16%)ケイ酸ソーダ1号 (NaO・2.16(SiO))44.4%(純分
14.28%) ・希釈水 52.15% (合計) (100.00%)
【0086】(実施例39)CBZ1026Am原体
3.45部に水96.55部を加えて溶解し、第一次処
理液100部を作成した。次の成分濃度となる。 ・四水酸化亜鉛三(四ホウ酸)塩 (4Zn(OH)・3H)0.38% (HBO(換算分)0.33%,Zn 0.12
%) ・塩基性炭酸銅 (Cu(OH)・CuCO)0.58% (Cu0.33%) ・アミン性溶剤 1.98% ・水 0.51% ・希釈水 96.55% (合計) (100.00%)
【0087】これらの実施例中のホウ酸,銅,亜鉛は、
この木材防腐剤の有効成分であり、この第一次処理液が
注入量700kg/mで、木材に注入された場合を基
準として、その有効成分吸収量は、HBO2.3k
g/m,Cu2.3kg/m(CuOとして2.8
8kg/m),Zn0.81kg/m(ZnOとし
て1.01kg/m)(酸化物合計6.2kg/
)となる。
【0088】又この第一次処理液のアミン性溶剤は、モ
ノエタノールアミン,エチレンジアミン,ジエチレント
リアミン,及び溶解助剤として重炭酸アンモンを含み、
第一次処理液中の防腐防虫成分の四水酸化亜鉛三(四ホ
ウ酸)塩及び塩基性炭酸銅がそれぞれ単独では水に溶解
しないが、このアミン性溶剤の使用により水に溶解する
ことができるようになるものであり、又溶解状態を安定
化させるための安定剤である。
【0089】次に、この第一次処理液に木片のテストピ
ースを浸漬してそれに第一次処理液を注入する操作(第
一次処理液注入)を行なった。具体的には、まず密閉構
造の注入処理槽の底部に、日本赤松辺材からなる1cm
×2cm×5cm(二方柾)立方のテストピース(2c
m×5cm面:柾目面)を荷重して設定し、この注入槽
に第一次処理液を満たした。
【0090】そして最初の30分間は処理槽内の空気を
吸引除去して、内部をゲージ圧700mmHgの減圧状
態にした。この減圧処理によってテストピースの木材組
織内の空気の一部が吸引除去されるため、以後のテスト
ピースの木材組織内えの薬剤の注入が良好に行なわれ
る。その後、処理槽内を常圧に戻してから、テストピー
スに対し、24時間から48時間の注入処理を施した。
【0091】実施例4〜39の第一次処理液が注入され
たテストピースについては、一部の揮発性の化合物と水
とを取り除くため、事後処理として強制乾燥が施され
た。この強制乾燥は、700mmHgに減圧された乾燥
室において行なわれた。実施例1〜3及び22,23,
39に係るテストピースについては、上記の事後処理は
行なわれなかった。実施例4〜11に係るテストピース
では同2時間の乾燥処理が施され、実施例12〜21及
び24〜38に係るテストピースについては、同4時間
の乾燥処理が施されている。
【0092】以上の第一次処理液の注入条件について
は、表1に示す通りである。表1において、注入量(k
g/m)はそれぞれのテストピースに注入された第一
次処理液の液量である。また事後減量(kg/m)は
上記強制乾燥による第一次処理液の注入量の蒸発減量で
ある。
【0093】
【表1】
【0094】実施例1〜38に係る薬剤が注入され、事
後処理が施されたテストピースを対象として、引き続き
塩化希土(RCl)またはアルカリ土類塩化物(塩化
マグネシウム等)の溶解された第二次処理液えのテスト
ピースの浸漬処理による材中のケイ酸ソーダのアルカリ
分の中性化処理(養生)を行なった。それぞれの第二次
処理液の組成成分は次の通りである。以下%は重量%を
示している。
【0095】(実施例1) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 2.90%(純分2.0%) ・水 97.10% (合計) (100.00%)
【0096】(実施例2) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0097】(実施例3) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 7.26%(純分5.0%) ・水 92.74% (合計) (100.00%)
【0098】(実施例4) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 2.90%(純分2.0%) ・水 97.10% (合計) (100.00%)
【0099】(実施例5) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 2.90%(純分2.0%) ・水 97.10% (合計) (100.00%)
【0100】(実施例6) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 4.35%(純分3.0%) ・水 95.65% (合計) (100.0%)
【0101】(実施例7) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0102】(実施例8) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 2.90%(純分2.0%) ・水 97.10% (合計) (100.00%)
【0103】(実施例9) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 2.90%(純分2.0%) ・水 97.10% (合計) (100.00%)
【0104】(実施例10) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19%) (合計) (100.00%)
【0105】(実施例11) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 14.51%(純分10.0%) ・水 85.49% (合計) (100.00%)
【0106】(実施例12) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0107】(実施例13) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0108】(実施例14) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0109】(実施例15) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0110】(実施例16) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0111】(実施例17) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0112】(実施例18) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0113】(実施例19) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0114】(実施例20) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 36.28%(純分25.0%) ・水 63.72% (合計) (100.00%)
【0115】(実施例21) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0116】(実施例22) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分 ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0117】(実施例23) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 5.81%(純分4.0%) ・水 94.19% (合計) (100.00%)
【0118】(実施例24) ・(68.9%) (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) (100.0%)
【0119】(実施例25) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 29.03%(純分20.0%) ・水 70.97% (合計) (100.00%)
【0120】(実施例26) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 43.54%(純分30.0%) ・水 56.46% (合計) (100.00%)
【0121】(実施例27) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) (100.00%)
【0122】(実施例28) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 29.03%(純分20.0%) ・水 70.97% (合計) (100.00%)
【0123】(実施例29) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 43.54%(純分30.0%) ・水 56.46% (合計) (100.00%)
【0124】(実施例30) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) 100.0%
【0125】(実施例31) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) (100.00%)
【0126】(実施例32) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) (100.00%)
【0127】(実施例33) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) (100.00%)
【0128】(実施例34) ・(68.9%)塩化希土 (RCl) 21.77%(純分15.0%) ・水 78.23% (合計) (100.00%)
【0129】(実施例35) ・(46.95%)塩化マグネシウム (MgCl) 31.95%(純分15.0%) ・水 68.05% (合計) (100.00%)
【0130】(実施例36) ・(46.95%)塩化マグネシウム (MgCl) 31.95%(純分15.0%) ・水 68.05% (合計) (100.00%)
【0131】(実施例37) ・(46.95%)塩化マグネシウム (MgCl) 31.95%(純分15.0%) ・水 68.05% (合計) (100.00%)
【0132】(実施例38) ・(46.95%)塩化マグネシウム (MgCl) 31.95%(純分15.0%) ・水 68.05% (合計) (100.00%)
【0133】上記塩化希土は新日本金属化学株式会社が
販売しているものであり、塩化希土(塩化ランタノイド
とも称す)の純分は68.9重量%であり、以下の組成
を有している。
【0134】 ・塩化セリウム(CeCl) 35.5% ・塩化ランタン(LaCl) 18.2% ・塩化ネオジム(NdCl) 11.2% ・塩化プラセオジム(PrCl) 3.5% ・塩化サマリウム(SmCl) 0.5% ・水(HO) 31.1% (計) (100.0%)
【0135】また、塩化マグネシウムは六水塩を使用
し、その純分は46.95%である。
【0136】実施例1〜38に係る第一次処理液注入及
び事後処理を施こしたテストピースを対象として、すべ
て常圧下でかつ密栓された第二次処理液の充填された浸
漬槽において、60°C下に浸漬され、テストピース中
に注入されたケイ酸ソーダのアルカリ成分を中性化する
ため、比較的長時間養生された。
【0137】これら第二次処理液の浸漬による中性化養
生条件については表2に取り纏めた。
【0138】
【表2】
【0139】この第二次処理液について、表2中の計算
量は、例えばケイ酸ソーダ1号を注入したテストピース
については、ケイ酸ソーダ1号の純分分子量はその化学
式(NaO・2.16(SiO))から191.7
7であり、また塩化希土(RCl)の分子量は24
6.36で、次の中性化反応式から計算される。
【0140】ケイ酸ソーダ1号(純分)の塩化希土との
中性化反応式は次のとおりである。 3(NaO・2.16(SiO))+2RCl →6NaCl+R・{2.16(SiO)}・・・ (1) よって、中性化反応の計算量の塩化希土量Lgは次式に
より算出される。 L={(246.36×2)/(191.77×3)}×y・・・・ (2) ここで、yはテストピースに注入されたケイ酸ソーダ1
号の純分量(8)(吸収量)である。
【0141】例えば、実施例1において第一次処理液の
注入によって、実験木片5ヶ(1木片の材積=10cm
)当りのケイ酸ソーダ1号の純分の吸収量y(g)
は、次のとおり計算される。各実施例での実験における
第一次処理液の実験木片5ヶ当りの注入量をQgとすれ
ば、表1より実施例1の第一次処理液の注入量=707
kg/m=707mg/cmであるから、Q=(7
07mg/cm)×50cm=35.35g.故
に、y=35.35×0.333×0.3216=3.
79g 従って(2)式から、L=3.25gとなる。よって塩
化希土2%水溶液の計算量=3.25/0.02=16
2.5gとなる。実際に実施例1で中性化養生処理に使
用した第二次処理液の使用量は、塩化希土2%水溶液1
62.5gであり、その中性化養生条件は60°C,3
日で、表2に記載のとうりである。
【0142】表2において、実施例24〜29,又実施
例31〜38における実験のごとく、第二次処理液の使
用量が実験木片5ヶの材積(50cm)より少ない場
合、すなわち浴比が1以下の場合には、実験木片を密封
可能なポリ袋に入れ、この中に第二次処理液を入れてか
ら、ポリ袋を小さく折り曲げ、第二次処理液が十分材を
浸漬できる様にして、ポリ袋を密封し、このポリ袋を密
栓可能な浸漬槽中に入れて、中性化養生処理を行なっ
た。
【0143】上記表2に示す第二次処理液による中性化
養生が終了した材は、浸漬槽から取出して、付着物を浸
漬槽中に戻した後に材を常温、2日間、風乾した後、6
0°C,48時間全乾した。この場合、ポリ袋中に入れ
て中性化養生処理した実施例24〜29及び31〜38
の材は、このポリ袋内容物(材及び中性化養生液)を一
般、浸漬槽中に入れてから、ポリ袋内を水100mlで
数回洗浄して、これらを浸漬槽中に移してから、材を取
り出し、同様に付着物を浸漬槽中にもどした後、材を常
温、2回目風乾した後に60°C,48時間全乾した。
【0144】上記の材を取り出した後の中性養生液は、
その養生期間の終点のPHを計り、表2の末端に記し
た。次いで試薬の特級塩酸(35%)を小量宛添加し
て、PH3の酸性として、よく振盪して不溶分をできる
丈溶解し、密栓して、一日以上静置し、上澄液につき中
性化養生液中に溶脱したホウ酸,銅,亜鉛の量を測定し
た。
【0145】これらの第二次処理液による中性化養生処
理の結果につき表3に取り纏めた。
【0146】
【表3】
【0147】表3に示す初めの吸収量は、溶脱試験に用
いた第一次処理液の注入材に注入された液量に各実施例
の第一次処理液の成分濃度を乗じて求めた値で、注入材
の材積1m当りの吸収重量(kg)値を示す。なお第
一次処理液注入材は、第二次処理液による中性化養生処
理に先立って、後排気処理(ゲージ圧700mmHgで
2〜4時間処理)しているが、この場合ケイ酸ソーダ吸
収材は、ケイ酸ソーダの吸収量が純分50〜200kg
/mの実施例各例のごとき場合は、後排気処理で通常
生ずる、注入液の一部排出(キックバック)は殆んど生
じないで、単に減圧乾燥の減量が注入量の数%生ずるの
みであるから、このキックバックはないものとして、後
排気処理前の注入量に成分濃度を乗じて初めの吸収量と
した。
【0148】又表3に示す中性化養生材の吸収量は、第
一次処理液注入材を第二次処理液に浸漬して、注入材中
のケイ酸ソーダのアルカリ成分を中性化養生する際に溶
脱する防腐成分のホウ酸,銅,亜鉛量を分析して求め、
この溶脱分を初めの注入材の成分吸収量から差引いた注
入材中の残存成分量を示す。
【0149】上記表2及び表3に示す中性化養生が完了
した木材を対象として、溶脱率を調べる試験を実施し
た。この試験は、上記第二次処理液による中性化養生が
完了した木材を、常温で2日間風乾し、さらに60°C
の乾燥器中で48時間乾燥し、その後60°Cに加熱し
た温水中に10日間浸漬するものである。そして上記の
温水に溶脱したホウ酸,銅,および亜鉛の量を測定した
(促進溶脱試験法)。
【0150】なお、木材中に吸収されたホウ酸等の溶脱
に関しては、木材の60°C水中での10日間の浸漬
が、木材を二年間土中に埋没した場合に匹敵すること
は、B.R.Johnsonがホウ酸銅を吸収した杭に
つき行なった、野外における2年間に亘る土中埋没試験
の結果を検討することによって得られた知見である。す
なわち、B.R.Johnsonは、ホウ酸銅吸収杭を
2年間土中に埋没し、2年後に杭中に残留しているCu
及びホウ酸の分析値を公開している(Forest P
roduct Journal Vol.33.No.
9,1983,P59〜P63)。
【0151】そこで、発明者は、木片に上記と同様のホ
ウ酸銅を吸収させ、それを60°Cの温水に10時間浸
漬し、その液を分析してCuおよびホウ酸の溶脱量を得
たが、木片中のCu、ホウ酸の残存率が両者で一致し
た。そこで2年間の野外土中埋没試験に相当するものと
して、上記促進溶脱試験を採用した。この促進溶脱試験
を行なうことによって、実際に木材が土中に埋没された
場合の溶脱の状況がよく把握できる。試験結果を表4に
示す。
【0152】
【表4】
【0153】表4中の促進溶脱率は、上記の中性化養生
を行なった後の材につき、前記の促進溶脱試験を行なっ
た時の成分溶脱量を、上記中性化養生材の成分吸収量に
対して溶脱率として求めた値を示す。
【0154】又、表4中の養生及び促進溶脱率は、中性
化養生時の防腐成分のホウ酸,銅,亜鉛の溶脱量及びそ
の後、この中性化養生材の促進溶脱試験の時の防腐成分
のホウ酸,銅,亜鉛の溶脱量の夫々の合計を初めの注入
材の防腐成分吸収量に対して、合計の各成分溶脱率とし
て求めた値を示す。
【0155】中性化養生処理において、有効成分の溶脱
が殆ど生じず、かつその後の促進溶脱試験においても、
有効成分の溶脱が殆ど生じない処理法が最良の定着処理
法である。従って初めの成分吸収量に対し、養生時各成
分溶脱量及び促進溶脱試験時の各成分溶脱量の夫々の合
計溶脱量を養生及び促進溶脱率として求め、養生及び促
進定着率=100−(養生及び促進溶脱率)としたが、
この値の高い程、本発明の高定着処理法として、すぐれ
た木材防腐防虫処理条件となるものである。
【0156】実施例39は、第一次処理液中に防腐防虫
成分のみで、ケイ酸ソーダを配合しない薬液を使用して
木材に注入し、注入材は中性化養生をせず、風乾及び全
乾したものであるが、この処理材の促進溶脱試験結果の
定着率はホウ酸19.4%,Cu72.9%,Zn4
3.8%となり、特にホウ酸の溶脱は大であった。
【0157】実施例1〜3においては、第一次処理液注
入材は事後処理を行わない例であり、材中ケイ酸ソーダ
1号吸収量約75kg/m(実施例1)の材と同約1
50〜200kg/m(実施例2〜3)の材につき、
塩化希土2〜5%で中性化反応の計算量の第二次処理液
中、60°C,3日間の中性化養生処理を行った。この
場合中性化養生時の溶脱率は表3のごとくで、ホウ酸で
ケイ酸ソーダ76kg/m吸収量の材ではおよそ46
%となったが、ケイ酸ソーダ吸収量169〜230kg
/mの材ではおよそ24〜27%と前者の1/2程度
に低下した。銅、亜鉛については、いずれも15%以下
で溶脱率は低かった。
【0158】上の例のごとく注入材のケイ酸ソーダ吸収
量が76kg/m程度の材より、同吸収量が169〜
230kg/mの材のごとくケイ酸ソーダ吸収量が大
きい方が、その中性化養生時の溶脱率は低下し、それに
伴い後で行う促進溶脱試験結果の定着率は向上し、実施
例1で、ホウ酸が13.1%に対し、実施例2〜3では
34.2%と定着率は2倍以上に向上した。銅,亜鉛で
は、促進溶脱試験による定着率はいずれも、およそ94
%以上となり、極めて高くすぐれている。
【0159】実施例1と同4を比較すると、後者は前者
と同じくケイ酸ソーダの吸収量は78kg/m位であ
るが、後者は第1次処理液注入材の事後処理を剤表1に
示すごとく2時間行った以外は、中性化養生は、両者ほ
ゞ同条件(塩化希土2%水溶液を中性化養生の計算量か
らその1、2倍量)で行った。後者は中性化養生時溶脱
率は、ホウ酸で21.6%となり、前者の45.7%の
1/2程度に低下し、更に促進溶脱試験による定着率は
24.7%と前者の約2倍の値を示した。又銅,亜鉛に
ついては、促進溶脱試験による定着率はいずれもおよそ
95%以上となり、良好であった。
【0160】表3に示されるごとく、上記実施例1〜4
の結果からみて、本定着処理は第1次処理液のケイ酸ソ
ーダを注入材中吸収量でおよそ76〜169kg/m
程度とし、注入材は事後処理を減圧(ゲージ圧700m
mHg)下、2時間以上行ない、中性化養生処理を第二
次処理液として塩化希土等の2〜4%水溶液で60°C
で材中のアルカリ分を中性化する時間行えばよいことが
判った。しかし中性化養生時のホウ酸の溶脱は20%以
上で、又促進定着率はホウ酸で25%弱となり、なお不
十分であった。
【0161】そこで実施例5〜11では注入材のケイ酸
ソーダ吸収量をおよそ75〜150kg/mとして注
入後、事後処理を減圧(ゲージ圧700mmHg)下2
時間行い、その後第二次処理液は塩化希土2〜10%の
水溶液を中性化計算量の1.5倍に増加し、60°Cで
3〜10日間養生し、成分定着性をしらべた。
【0162】この結果、中性化養生時の溶脱率は、ホウ
酸で27.0〜50.7%となり、銅は8.7%以下、
亜鉛は12.4%以下で、実施例1〜4の場合とそれ程
大差がない結果で、実施例7のごとくケイ酸ソーダの吸
収量150kg/m程度で、塩化希土濃度を4%とし
て、その使用量を中性化計算量の1.5倍としても、6
0°C,3日間の養生期間では、ホウ酸は中性化養生時
の溶脱率34.3%で、促進溶脱試験での定着率は1.
1%となった。他方実施例10のごとくケイ酸ソーダの
吸収量150kg/m程度で、又中性化養生を塩化希
土4%で、中性化計算量の1.5使用し、60°Cで6
日間行った場合は、ホウ酸は中性化養生時溶脱率27.
0%となり、促進溶脱試験での定着率44.6%で良好
な結果を示した。銅,亜鉛については実施例7も、10
もその中性化養生時の溶脱率は5〜6%程度で、又促進
溶脱試験の定着率は93%以上となり、良好であった。
すなわち実施例7と10の結果を比較すれば、中性化養
生を塩化希土4%程度で、養生条件は60°Cで3日間
より6日間と長い方がすぐれた定着性を示しており、又
実施例3の結果を加えると、中性化養生条件は中性化計
算量の塩化希土量で十分で、その養生期間として60°
C,3日以上で6日間とより長い方が高いホウ酸定着率
を得ることが判明した。
【0163】それ故に実施例12〜15及び17〜1
8,及び21においては、養生期間を7〜10日に増加
する点を中心に定着向上を試みた。すなわち第一次処理
液はケイ酸ソーダ吸収量が75〜200kg/mとな
る目安で、木材に注入し、事後処理は減圧(ゲージ圧7
00mmHg)で、主として4時間行った。そして中性
化養生は塩化希土純分2〜4%水溶液を注入材のアルカ
リ分中性化の計算量からその1.2倍量を用いて、60
°Cで7〜10日間行った。又比較のため60°C,3
日間(実施例16),60°C,4日間(実施例2
0),100°C,1時間(実施例19)も行った。
【0164】これらの処理結果として、実施例12〜1
5,17〜18,21ではその中性化養生時の溶脱率
は、注入材のケイ酸ソーダ1号の吸収量が100kg/
程度より少ない場合(実施例12はケイ酸ソーダ1
号吸収量70.0kg/m)は、ホウ酸では68.1
%と大となったが、この吸収量が100kg/m程度
より多い場合(実施例13〜15,17〜18,21)
は、ホウ酸で45.0%から13.2%と低下でき、そ
して促進溶脱試験での定着率は55.7%〜74.3%
に向上した。
【0165】比較のため行った実施例16,20,及び
19は、第一次処理液のケイ酸ソーダ吸収量は100k
g/m程度より大きい場合であるが、中性化養生の条
件が上記のとおり、夫々(60°C,3日間),(60
°C,4日間),(100°C,1時間)と養生温度及
び時間の違いで、ホウ酸では、中性化養生時の溶脱率は
低いが、促進溶脱試験の定着率は不十分となり、夫々実
施例16では、養生時溶脱率は33.1%であったが、
促進溶脱試験の定着率は39.1%と低目であり、実施
例20では、塩化希土25%の高濃度の養生液を使用し
たが、養生時溶脱率は、1.7%と著しく低く、秀れた
反面、促進溶脱試験の結果の定着率は25.1%とな
り、極めて不十分であった。又実施例19は中性化養生
を高温(100°C)で短時間(1時間)試みたが、養
生時溶脱率は20.4%となり低い反面、促進溶脱試験
での定着率は0%であった。
【0166】以上の結果から、促進溶脱試験での定着率
向上には、中性化養生を60°Cで7日以上の期間の処
理を行うことが必要であると判断された。
【0167】又実施例22,23では第一次処理液中に
配合するケイ酸ソーダを1号の代りにA,BとSiO
/NaOのモル比が1号の2.16よりも低い夫々
1.0,0.51を使用し、ケイ酸ソーダの構造の差に
よる有効成分定着率の差を比較した。ケイ酸ソーダ1号
とケイ酸ソーダA,Bの防腐成分定着性の比較は実施例
14,22,23に示す。
【0168】この3者は、第1次処理液のケイ酸ソーダ
は夫々1号,A,Bを注入材の吸収量で純分150kg
/mとなる様に配合して注入した材につき、事後処理
をケイ酸ソーダ1号吸収材(実施例14)では減圧(ゲ
ージ圧700mmHg)で4時間行い、又ケイ酸ソーダ
A,B吸収材(夫々実施例22,23)では、ケイ酸結
合の縮合度が1以下で小さいため、減圧下の事後処理に
よりキックバック(液もどり)に生ずる傾向があるた
め、事後処理を行わず、直ちに第2次処理液の塩化希土
純分1.0%水溶液を中性化反応の計算量の1.2倍使
用して、この液中に注入材を浸漬し、60°Cで7日間
中性化養生を行った。
【0169】上記の中性化養生終了材は風乾2日、全乾
(60°C,48時間)して、促進溶脱試験を行った。
結果は比較し易くするため再度表5にまとめた。
【0170】
【表5】
【0171】この結果からみて、ケイ酸ソーダ1号吸収
材(実施例14)は、ケイ酸ソーダの吸収量は129k
g/mと予定の150kg/mより少な目であった
が、養生時のHBOの溶脱はやゝ大である反面、
銅,亜鉛の溶脱は数%以下で、又促進溶脱試験での有効
成分定着率はHBO61.5%,Cu94.4%,
Zn100%で全般に良好であり、他方、ケイ酸ソーダ
A(実施例22),B(実施例23)吸収材では、ケイ
酸ソーダの吸収量は夫々169kg/m,174kg
/mと、いずれも予定の150kg/mより多目と
なったが、養生時のHBOの溶脱はいずれも低い
が、銅,亜鉛の溶脱がより高目で、又促進溶脱試験での
定着率はHBOでは両者とも60%以上で、ケイ曹
1号吸収材に比し、同等以上の好結果を示す反面、銅に
ついては夫々83.2%,75.2%とやゝ低い値とな
った。
【0172】又ケイ酸ソーダA,B吸収材では、同程度
のケイ酸ソーダ1号の吸収量の材に対する中性化反応の
塩化希土の量は計算量使用時で、それらのアルカリ成分
(NaO)含有率が珪曹1号,A,Bにつき純分当り
それぞれ32.3%,50.8%,66.9%と次第に
大となり、後者程使用量大で経済性が悪い。
【0173】中性化養生時の有効成分溶脱率を低下さ
せ、促進溶脱試験での有効成分定着率を一段と高める方
法として、前記までの結果からみて、防腐防虫成分及び
ケイ酸ソーダを含む第一次処理液注入材に対し、事後処
理(減圧乾燥)を4時間程度行ない、次いで中性化養生
を塩化希土水溶液からなる第二次処理液に浸漬する方法
で行ない、この場合の溶脱をより低下させるために実施
例20に見るごとく塩化希土の濃度をより高め、又養生
を60°Cで比較的長期間行うことを試みた。そこで実
施例24〜30で、この条件を種々実験した。これらを
次に、まとめた。
【0174】実施例24〜29においては、第一次処理
液にケイ酸ソーダ1号を純分100〜150kg/m
の吸収量となる様に防腐防虫成分と共に配合して木材に
注入した。注入材は事後処理を減圧(ゲージ圧700m
mHg)で4時間行った。この場合、キックバック(液
もどり)は生じず、減圧乾燥による減量のみを生じた。
又比較のため行った実施例30では第一次処理液にケイ
酸ソーダBを純分150kg/mの吸収量となる様に
防腐防虫成分と共に配合し、注入材を同様に処理した。
キックバックを生じたため、その液もどり分の成分吸収
量を差引いた。中性化養生を塩化希土15〜30%水溶
液の第二次処理液を用い、中性化反応の計算量の塩化希
土量を含む水溶液量を使用した。なおこの場合、第二次
処理液は高濃度となるため、液量が少なく、処理材と第
二次処理液の浴比は1以下となるため、第二次処理液中
に注入材を十分浸漬する様に、シール口を有する適当な
サイズのポリエチレン袋中に処理材と養生液を入れて、
シール口を閉じ、これを密閉容器中に入れて、60°C
で12日間、中性化養生を行った。この実験結果は前記
の表1,2,3,4に記してあるが、養生時溶脱率が低
く、促進溶脱試験結果の定着率が高いという目標の処理
条件を明確化するために表6として次に取りまとめた。
【0175】
【表6】
【0176】実施例24〜29は、本発明の高定着処理
法を行った場合の例である。すなわち、第一次処理液中
の防腐防虫成分に(1)ケイ酸ソーダを配合して木材中
に注入し、(2)この注入材を事後処理(ゲージ圧70
0mmHgの減圧下4時間以上乾燥)を行い、注入量の
一部水分を気乾して、注入材中のケイ酸ソーダを半ゲル
化して、水溶性を減少させ、次いで(3)この半乾材を
第二次処理液の塩化希土15〜30%の水溶液中に浸漬
し、60°Cで12日間に亘り、中性化を十分に行う養
生処理を行ったもので、第二次処理の塩化希土量は注入
材中のケイ酸ソーダのアルカリ成分と反応して、これを
中性化する計算量を使用しており、この塩化希土量は必
要最小限かつ十分量で、経済的に最安価量でもある。
【0177】比較のため行った実施例30は、ケイ酸ソ
ーダBを使用しており、この場合先にも述べた様に、注
入材中のケイ酸ソーダBのアルカリ成分を中性化する計
算量の塩化希土の使用量は、ケイ酸ソーダ1号に比して
多量を要し、コスト高となりかつ銅の定着性も不良で好
ましくない。
【0178】上記実施例24〜29においては、第二次
処理液の塩化希土濃度は15〜30%と高濃度で、これ
により中性化養生時の60°C,12日間の養生期間中
の防腐防虫成分の溶脱を抑止する効果を生じており、又
60°C,12日間という約2週間近い養生により、中
性化反応が十分に進み、ケイ酸ソーダは水不溶性かつ中
性のケイ酸希土塩となり、このケイ酸希土塩は極めて微
細なコロイド状であるため、防腐防虫成分のホウ酸,
銅,亜鉛を強く吸蔵し、木材内腔孔中に閉塞した状態と
なり、溶脱が起り難くなり、高い定着性を生ずるもので
ある。
【0179】この実施例24〜26の場合においては、
ケイ酸ソーダ1号を純分で100kg/mの吸収量と
なる様に配合した第一次処理液を注入したが、得られた
注入材のケイ酸ソーダ吸収量は純分98.2〜111.
5kg/m程度の処理材となって、これらの処理材は
その第二次処理液の中性化養生時の溶脱率は図4に示さ
れるごとくで、HBO12.6〜22.8%,Cu
3.5〜9.0%,Zn1.4〜1.8%と少く、又促
進溶脱試験での溶脱率は図3に示されるがごとく、H
BO28.5〜52.3%,Cu9.7〜14.0
%,Zn0.2〜1.5%となり、初めの注入材の吸収
量に対する養生処理及び促進溶脱試験後の最終定着率
(養生及び促進定着率)はHBO41.7〜62.
5%,Cu81.3〜82.9%,Zn96.8〜9
8.2%となった。
【0180】又同じく実施例27〜29の場合では、ケ
イ酸ソーダ1号を純分で150kg/mの吸収量とな
る様に配合した第一次処理液を注入して得られた注入材
は、ケイ酸ソーダ純分吸収量143.6〜163.1k
g/m程度の処理材となったが、これらの処理材はそ
の第二次処理の中性化養生時の溶脱率は図2に示される
ごとく、HBO1.1〜7.2%,Cu3.4〜
7.5%,Zn0.5〜0.9%と少なく、又促進溶脱
試験での溶脱率は図1に示されるごとく、HBO
7.0〜38.9%,Cu6.6〜8.5%,Zn0.
2〜0.4%となり、初めの注入材の成分吸収量に対
し、養生処理及び促進溶脱試験後の最終定着率(養生及
び促進定着率)はHBO60.4〜80.6%,C
u85.8〜88.4%,Zn98.8〜99.4%と
なり、高い定着率を得ることに成功した。
【0181】実施例24〜29の定着方法は、従来のご
とき「ケイ酸ソーダを含む防腐防虫成分を木材に注入
後、この注入材に塩化希土の水溶液を更に注入し、注入
された場所で直ちにケイ酸ソーダのアルカリ成分を中和
させるという処理法」では達成できるものでなく、本発
明者が種々実験の条件を工夫して始めて発見できたもの
である。
【0182】すなわち、本発明の定着方法は、「銅,ホ
ウ素,亜鉛系の防腐防虫成分の水溶液にケイ酸ソーダを
木材中の吸収量が75〜200kg/mの範囲となる
濃度で配合した第一次処理液を木材に注入後、まず注入
材を後排気(減圧)処理を4時間以上行って、注入材を
半乾燥することで注入中のケイ酸ソーダをを半ゲル化
し、水溶性を減少させ、次いでこの半乾材を塩化希土の
15〜30%という特定の高濃度範囲の水溶液からなる
第二次処理液中に、60°Cで10〜14日間浸漬し、
材中の防腐防虫成分の溶脱を防止しつつ、ケイ酸ソーダ
のアルカリ成分を完全に中性化するための比較的長期間
に亘る養生をするもので、これにより材中にケイ酸希土
等の水不溶性の中性の微細なコロイドゲルを生じ、木材
内部腔孔内に上記防腐防虫成分を吸蔵した状態で充填さ
れる。この材を気乾させることで高度の防腐防虫成分定
着性の処理材をうる」というものである。本法を請求項
1にまとめてある。
【0183】本処理法で処理した木材は、中性化養生時
の成分溶脱が少ないため、初めの防腐防虫成分吸収量が
近似的に中性化養生による定着処理後の成分吸収量とし
て取扱えるので現場作業上利便性が高い。
【0184】実施例31〜33においては、第一次処理
液のケイ酸ソーダの種類を1号,3号と変え、又注入材
中のそれらの吸収量が50〜75kg/mとなる様に
配合して注入し、中性化養生処理における注入材のアル
カリ成分の中性化反応に要する塩化希土量の減少によっ
て、定着処理のコストダウンを計った。実施例31,3
2ではケイ酸ソーダ1号が夫々純分52kg/m,7
7.8kg/m,又実施例33ではケイ酸ソーダ3号
が純分68.8kg/mの吸収量の注入材を得た。定
着のための処理は〔0182〕記載の方法に従ったが、
中性化養生は第二次処理液として、塩化希土15.0%
水溶液で、60°C,15日間行った。結果は表2(中
性化養生),表3(ケイ酸ソーダ吸収量),表4(促進
溶脱試験での促進定着率)に示されるが、まとめれば次
のとおりである。
【0185】実施例32はケイ酸ソーダ1号の吸収量7
7.8kg/mで、この場合促進溶脱試験での定着率
は、HBOで40.6%となり、かなり良好である
が、Cu,Znはいずれも80%弱でやゝ少ないが定着
する。他方実施例33はケイ酸ソーダ3号の吸収量6
8.8kg/mで、前者に比しケイ酸ソーダとしての
吸収量はおよそ70kg/m前後で、それ程大差ない
が、後者の促進溶脱試験結果での定着率は、HBO
で10.6%で低く、Cuで75.1%,Znで76.
9%となり、ケイ酸ソーダ1号の方が、同3号より特に
ホウ酸の定着についてはすぐれていた。
【0186】実施例34においては、第一次処理液とし
て防腐防虫の有効成分として、ホウ酸,亜鉛を使用し、
定着剤成分としてケイ酸ソーダ1号(純分吸収量126
kg/m)を用い、〔0182〕の方法で処理した例
である。
【0187】又実施例35〜38では、定着剤成分とし
てケイ酸ソーダ1号を注入材中の吸収量が100〜15
0kg/mとなる様に配合した第一次処理液を用い、
又第二次処理液として塩化マグネシウムの15.0%水
溶液を使用し、〔0182〕記載の本発明の方法によ
り、木材処理を行った。
【0188】この場合、中性化養生時の成分溶脱率はケ
イ酸ソーダ1号純分吸収量106.2〜141.5kg
/mの範囲において、HBOで3.5〜13.8
%,又Cuで4.2〜21.0%,Znは0.7〜2.
0%の範囲の値となり、又促進溶脱試験では定着率は、
BOでは14.5〜27.7%となり、上記のケ
イ酸ソーダ1号の材中の吸収量の範囲で大差がなく、高
々30%弱の定着率となったが、第二次処理液として塩
化マグネシウム液も定着効果を有することが判る。
【0189】又第二次処理液として塩化マグネシウムも
中性化反応の計算量使用でよく、実施例37〜38のご
とく中性化反応の計算量の1.5〜2.0倍使用して
も、促進溶脱試験結果の定着率は大差ない。塩化希土は
特殊地域の産物であるに比し、塩化マグネシウムは海水
から多量に採取できる点、利用性が高い。又塩化マグネ
シウムでの中性化養生の場合は、促進溶脱試験での定着
率は、HBOよりCu,Znにおいて高い。
【0190】以上により、本発明の木材の防腐防虫処理
方法は、防腐防虫機能を有する銅化合物、亜鉛化合物及
びホウ素化合物の内から選ばれた少くともいずれか一つ
からなる防腐防虫成分とケイ酸ソーダとを要すれば揮発
性を有する塩基性化合物と含んだ水に溶解されてなる第
一次処理液を木材に注入した後に、この材を減圧処理し
て半乾燥し、それによりケイ酸ソーダを半ゲル化させコ
ロイド状となし、この半乾材を中和塩の高濃度水溶液か
らなる第二次処理液に浸漬させ、中性化養生されるもの
であり優れた方法である。
【0191】従って、この発明の方法によって処理され
た木材の中には、木材の防腐防虫機能を有するホウ酸,
銅,あるいは亜鉛が、第一次処理液の成分である多量の
半ゲル化したコロイド状のケイ酸ソーダによって十分に
吸蔵されている。そしてこのケイ酸ソーダは第二次処理
液の木材組織内えの進入によって、水不溶性のケイ素化
合物に変化する。従ってたとえ外構材として木材が土中
に埋没されたとしても、有効成分は長期間に亘って溶脱
することはなく、処理材中に保持されるため、本発明の
方法によって防腐防虫成分の注入処理が施された木材
は、腐食と白あり等の害虫による損害を確実に長期に亘
り防ぐことができる。
【0192】この第一次処理液の注入された木材は、さ
らに希土類塩化物やアルカリ土類塩化物のような中和塩
を15〜30%濃度で、かつ中性化反応の計算量使用条
件の下で作成した第二次処理液中に浸漬し、中性化のた
めの養生を60°Cで12〜14日間行った。この条件
下では、この中性化養生時の防腐防虫成分の溶脱損失を
十分抑制できかつ材中のケイ酸ソーダのアルカリ成分の
中性化反応を十分完結させる。
【0193】このような中和塩は、第一次処理液中のケ
イ酸ソーダを木材の組織中の細孔内で、水に不溶性かつ
中性のケイ酸希土塩等のコロイドにかえる。その結果、
上記有効成分の木材組織内えの閉じ込め効果が発揮さ
れ、木材に有効成分が注入された状態で、有効成分は確
実に定着され、これら有効成分の溶脱率が極めて減少す
る。
【0194】本発明の木材の防腐防虫処理方法は、木材
に上記有効成分およびケイ酸ソーダが溶解された防腐防
虫組成物を注入し、その後さらに上記有効成分およびケ
イ酸ソーダが注入された木材を、希土類塩化物やアルカ
リ土類塩化物のような中和塩の水溶液中に浸漬し養生す
るように構成されているため、この中和塩の存在によっ
て、上記組成物中のケイ酸ソーダのファインなコロイド
の不溶化が実現し、木材のより微細な内部に中性かつ不
溶性のケイ酸塩が到達可能になり、より微細な細孔にお
いてその細孔を閉塞し、結局全体的な閉塞効果は向上す
る。そして、その結果より多くの上記組成物を木材の内
部に、溶脱が起こり難い状態で保持することが可能にな
る。
【0195】さらに、本発明の防腐防虫処理が施された
木材は、上記有効成分とケイ酸ソーダとが塩基性水溶液
に溶解されてなる木材の高定着性防腐防虫組成物が注入
され、更に希土類塩化物又はアルカリ土類塩化物のいず
れか一方の水溶液に浸漬養生されてなるものであるた
め、木材の内部においては、ゲル化した水不溶性のケイ
酸塩によって閉塞された状態で上記有効成分が定着保持
されているため、この木材を長期間空中に曝したり、土
中に埋没したとしても、上記ゲル化した水溶性のケイ酸
塩に阻止されて、上記組成物は容易に溶脱せず極めて長
期間に亘って組成物が注入された木材の防腐防虫効果が
持続する。
【0196】[発明の効果]本発明の請求項1に記載の
木材の防腐防虫処理方法および請求項2に記載の防腐防
虫処理が施された木材によれば、通常の防腐防虫用に用
いられる銅化合物,亜鉛化合物,およびホウ素化合物
は、人体に対する毒性は少ないが、防腐防虫効果が良好
であり、このような成分が木材に注入されれば、その木
材には防腐防虫機能が付与された状態になり、木材の腐
食および虫害を有効に抑止することができ好都合であ
る。
【0197】また、通常、銅化合物、亜鉛化合物、およ
びホウ素化合物は水のみには溶解し難い場合が多いが、
溶媒として揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水が用
い得るため、上記各化合物(有効成分)の水えの溶解度
が上昇し、それらは水によく溶けるようになる。従って
上記有効成分を高濃度にすることが可能になり、木材中
えの有効成分の注入を効果的に行い得るようになる。ま
た、木材に注入されて後、減圧下に半乾燥されて、塩基
性成分や水が揮散すると、上記有効成分は水に溶け難く
なり、又ケイ酸ソーダも半ゲル化して、水溶性を感じ、
その結果溶脱が有効に抑制され、有効成分は木材内部に
よく定着する。
【0198】さらに、請求項1記載の処理方法によれ
ば、木材には、上記銅化合物、亜鉛化合物、ホウ素化合
物の内少くともいずれか一つが水に溶解され、かつケイ
酸ソーダが含まれた第一次処理液が注入され、かつ中和
塩を15〜30%の高濃度に含む第二次処理液に浸漬さ
れ、中性化養生されるため、かゝる高濃度の中和塩水溶
液中では、注入材中の上記有効成分は溶脱が抑止され、
その状態で中性化反応が行われて、ケイ酸ソーダは中性
かつ水不溶性のコロイド状のケイ酸塩ゲルとなるため、
木材内部細孔内に上記の溶脱抑止された有効成分が閉じ
込められた状態になり、高い定着性が得られる。
【0199】又上記中性化養生は60°Cで12〜14
日間行うが、この処理により材中のケイ酸ソーダを完全
に中性化することができるため、完全なる不溶性のコロ
イド状ケイ酸塩ゲルとなり、これが木材細孔を塞ぐた
め、木材細孔内に閉じ込められた上記有効成分を十分な
る溶脱防止状態となし得ることにより、高い定着性を得
た。
【0200】本発明の請求項1記載の木材の防腐防虫処
理方法および請求項2に記の防腐防虫処理が施された木
材によれば、通常の防腐防虫用に用いられる銅化合物、
亜鉛化合物、およびホウ素化合物に定着成分として、ケ
イ酸ソーダを配合した第一次処理液を注入した木材を
〔0182〕項に記載の本発明の方法により処理すると
きは、実施例24〜29に示される様に、第二次処理液
による中性化養生時の有効成分の溶脱が殆んどないた
め、得られた木材は第一次処理液注入時の成分吸収量
(表3記載の「初めの吸収量」)をもって、近似的に中
性化養生済材の成分吸収量(表3記載の「中性化養生材
の吸収量」)とすることができる点、現場作業上都合が
よい。例えば、実施例25(ケイ酸ソーダ1号吸収量:
純分110.1kg/m)では、「初めの吸収量」
(kg/m)は夫々、HBO,Cu,Znにつ
き、2.5,2.5,0.9に対し、「中性化養生材の
吸収量」(kg/m)は2.2,2.5,0.9で、
成分保持率%は、夫々、88.0,100,100であ
る。又、実施例27(ケイ酸ソーダ1号吸収量:純分1
58.2kg/m)では、「初めの吸収量」(kg/
)は、夫々、HBO,Cu,Zn,につき、
2.4,2.4,0.9に対し、「中性化養生材の吸収
量」(kg/m)は2.4,2.4,0.9で、成分
保持率%は夫々、100,100,100である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一次処理液注入材(但し、ケイ酸ソーダ1号
純分吸収量143.6〜163.1kg/m)の第二
次処理(60°C,12日間,浸漬,中性化養生)液の
塩化希土濃度と促進溶脱試験の結果(溶脱率)との関係
を示すグラフであり、横軸に第二次処理液の塩化希土濃
度が設定され、縦軸にホウ酸,銅,および亜鉛の溶脱率
が設定されている。
【図2】第一次処理液注入材(但し、ケイ酸ソーダ1号
純分吸収量143.6〜163.1kg/m)の第二
次処理(60°C,12日間,浸漬,中性化養生)液の
塩化希土濃度とこの第二次処理液えの浸漬養生処理時の
成分溶脱率との関係を示すグラフであり、横軸に第二次
処理液の塩化希土濃度が設定され、縦軸にホウ酸,銅,
および亜鉛の溶脱率が設定されている。
【図3】第一次処理液注入材(但し、ケイ酸ソーダ1号
純分吸収量98.2〜111.5kg/m)の第二次
処理(60°C,12日間,浸漬,中性化養生)液の塩
化希土濃度と促進溶脱試験の結果(溶脱率)との関係を
示すグラフであり横軸に第二次処理液の塩化希土濃度が
設定され、縦軸にホウ酸,銅,亜鉛の溶脱率が設定され
ている。
【図4】第一次処理液注入材(但し、ケイ酸ソーダ1号
純分吸収量98.2〜111.5kg/m)の第二次
処理(60°C,12日間,浸漬,中性化養生)液の塩
化希土濃度と、この第二次処理液えの浸漬、養生時の成
分溶脱率との関係を示すグラフであり、横軸に第二次処
理液の塩化希土濃度が設定され、縦軸にホウ酸,銅,お
よび亜鉛の溶脱率が設定されている。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅化合物、亜鉛化合物、及びホウ素化合
    物の内から選ばれた少なくともいずれか一つからなる防
    腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとが要すれ
    ば、揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解され
    てなる第一次処理液を木材に注入した後、この材を減石
    処理して半乾燥し、この半乾材を、中和塩の15乃至3
    0%濃度の水溶液からなる第二次処理液に浸漬養生し、
    材中のアルカリ成分を中性化することを特徴とする高定
    着性防腐防虫処理法。
  2. 【請求項2】 銅化合物、亜鉛化合物、及びホウ素化合
    物の内から選ばれた少なくともいずれか一つからなる防
    腐防虫成分とケイ酸ソーダ又はケイ酸カリとが要すれ
    ば、揮発性を有する塩基性化合物を含んだ水に溶解され
    てなる第一次処理液を木材に注入した後、この材を減圧
    処理して半乾燥し、この半乾材を、中和塩の15乃至3
    0%濃度の水溶液からなる第二次処理液に浸漬養生し、
    材中のアルカリ成分が中性化されていることを特徴とす
    る高定着性防腐防虫処理された木材。
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