JP3459697B2 - 水性洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は水性洗浄剤組成物に関す
る。特に浴槽、浴室、洗面所等において、付着した湯垢
等の汚れを効果的に洗浄除去することに適した水性洗浄
剤組成物に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】浴室の汚れは人体からの皮脂分と、湯水
中のカルシウム、マグネシウム、鉄分など金属イオンの
結合物や、使用石鹸と湯水中の金属イオンとの反応で形
成される金属石鹸（石鹸カス）などが様々な形態で混在
し、頑固な汚れを形成している。従来、この用途の洗剤
には界面活性剤を主体とした中性洗剤や、界面活性剤、
有機酸、グリコールエーテル系などの水溶性溶剤を主体
とした酸性洗剤、さらには界面活性剤、アルカノールア
ミン、珪酸塩、燐酸塩を配合したアルカリ性洗剤などが
あげられる。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】この中で、中性洗剤
は、作業者、作業環境などに対して安全性が高いが、肝
心の洗浄力が満足されない。また、アルカリ性洗剤は、
中性洗剤以上の洗浄力は有するが、皮膚刺激性が強く、
常時素手で浴室洗いを行う作業者にとって、手荒れの問
題が指摘され適切な洗剤とは言い難い。一方、酸性洗剤
は、上記の特異な汚れに対して最も効果的であるが、浴
室のタイルの目地やステンレス浴槽、アルミ部材、大理
石フロアなどの素材に対して損傷を与える。さらには洗
浄群の中には塩素系漂白剤を主体としたトイレ用洗剤や
カビ取り剤などが存在し、万一誤使用によりこれらの洗
剤が浴室用酸性洗剤と混合した際、塩素ガスが発生する
危険性をはらんでいる。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの状
況を考慮し、洗浄力が優れ、かつ人体、素材、作業環境
等に対して安全な浴室用洗剤を得るべく鋭意検討した結
果、界面活性剤の混在下、酸性を示すイオン封鎖剤をモ
ルホリンまたはその誘導体化合物で中和した水性洗浄剤
組成物が浴室の汚れに対し優れた洗浄力を発揮すると同
時に、中性領域にあるため金属類や大理石などの浴室の
素材をほとんど侵さず、また手荒れの心配も少ないこと
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明は、 （Ａ）界面活性剤の０．１〜２０重量％、 （Ｂ）酸性を示すイオン封鎖剤１〜５重量％及び （Ｃ）モルホリンまたはその誘導体化合物０．１〜５重
量％を必須成分として含み、かつｐＨが４．５〜８．０
であることを特徴とする浴室用の水性洗浄剤組成物を提
供するものである。 【０００５】本発明で使用される（Ａ）成分の界面活性
剤は、特に限定されるものではなく、通常の家庭用およ
び業務用洗剤として用いられている非イオン性または陰
イオン性界面活性剤からなる洗浄活性成分を配合するこ
とができる。より具体的には非イオン性界面活性剤では
酸化エチレン付加モル数６〜３５、アルキル鎖炭素数５
〜２２のポリオキシエチレン長鎖アルキルエーテルおよ
びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪
酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキサ
イドが、また陰イオン性界面活性剤としてはアルキルエ
ーテル硫酸エステル塩、酸化エチレン付加モル数１〜
６、アルキル鎖炭素数５〜２２のポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩などがあげられる。（Ａ）成分の本発明水性洗
浄剤組成物における配合量としては、０．１〜２０重量
％であり、好ましくは１〜１０重量％である。配合量が
０．１重量％以下では、（Ｂ）および（Ｃ）成分の作用
により除去した汚れの水への分散、可溶化作用が十分で
はなく洗浄性が不十分である。一方、２０重量％以上の
配合量では、逆に必要以上の泡立ちが認められ、また、
すすぎ性の低下も引き起こすため好ましくない。 【０００６】（Ｂ）成分の酸性を示す金属イオン封鎖剤
としては、クエン酸、ピロリン酸等の有機酸、エチレン
ジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、
ニトリロ三酢酸等のアミノカルボン酸、およびそれらの
水溶性塩があげられる。水溶性塩としてはナトリウム
塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム
塩も含まれ、その一例として、エチレンジアミン四酢酸
二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸アミン塩等が
あげられる。（Ｂ）成分の配合量としては０．５〜１０
重量％であり、好ましくは１〜５重量％である。配合量
が０．５重量％以下では、湯垢等の汚れを効果的に洗浄
除去することが困難であり、一方、１０重量％以上では
手荒れの問題が発生するため好ましくない。 【０００７】（Ｃ）成分は洗浄性を落とすことなく上記
（Ｂ）成分を中和し、水性洗浄剤組成物をｐＨ４．５な
いし８．０に調製するための成分であり、モルホリンや
その誘導体化合物、例えば一例として４−メチルモルホ
リン４−オキサイド１水和物などがあげられる。本発明
者らは、他の中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、珪酸や炭酸のアルカリ金属塩、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン
等も比較検討したが、洗浄性を落とすことなく中和する
ことは困難であった。（Ｃ）成分の使用量は０．１〜５
重量％であり、（Ａ）成分および（Ｂ）成分の使用量に
依存し、そのｐＨを好ましい範囲に調整するために上記
範囲において必要な量が使用される。この範囲の（Ｃ）
成分の使用量で調整できない場合は（Ｂ）成分の量で調
整する。 【０００８】本発明水性洗浄剤組成物のｐＨは４．５〜
８．０であり、好ましくは５．５〜７．５、さらに好ま
しくは６．０〜６．５である。なお、（Ａ）成分、
（Ｂ）成分、（Ｃ）成分の全てについて、それぞれ１種
類あるいは２種類以上使用することができる。また、本
発明において、脂肪酸ジエタノールアミドやアルキルジ
メチルアミンオキサイド等を配合することにより、さら
に起泡性に優れ、立面使用における洗剤の垂れ、乾燥を
抑えた組成とすることができる。また、低温安定化剤や
香料、色素、防腐剤等を任意に配合することもできる。 【０００９】 【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。 実施例１ （Ａ）成分として、酸化エチレン付加モル数平均９、ア
ルキル鎖炭素数平均１２のポリオキシエチレンアルキル
エーテル２．０重量％、酸化エチレン付加モル数平均
３、アルキル鎖炭素数平均１２のポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸エステル塩０．８４重量％、ラウリ
ルジメチルアミンオキサイド０．１０重量％、およびメ
タキシレンスルホン酸塩２．０重量％、（Ｂ）成分とし
て、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム２．５重量
％、（Ｃ）成分として、モルホリン０．２５重量％を水
と混合し、水性洗浄剤組成物を調製した。このもののｐ
Ｈは６．１であった。次いで、以下の試験方法と評価方
法により洗浄力試験を実施した。まず、調製した水性洗
浄剤組成物の原液を、半年間使用し湯垢が付着したポリ
プロピレン製の風呂桶に塗布した後、ウレタン製のスポ
ンジで１０往復こすり洗いしてからウエスで拭き上げ、
目視により以下の５段階評価を行ったところ、５点であ
った。 ５点…汚れが規定のこすり洗いの途中で素早く完全に除
去された。 ４点…汚れが１０往復のこすり洗い後、完全に除去され
た。 ３点…僅かに汚れが残留した。 ２点…５０％程度の汚れが残留した。 １点…ほとんど汚れは除去されなかった。 【００１０】実施例２〜４ モルホリンの配合量を変化させた以外は実施例１と全く
同様の組成と配合量で水性洗浄剤組成物を調製し、実施
例１と同様の方法で評価した結果を以下の表１に示し
た。 【００１１】 【００１２】比較例１ モルホリンの代わりに水酸化ナトリウムを使用した以外
は、実施例１と全く同様の組成でｐＨ６．１となるよう
に水性洗浄剤組成物を調製し、実施例１と同様の評価を
実施したところ、２点であった。このことからも、本発
明水性洗浄剤組成物は洗浄効果が優れたものであること
が分かる。 【００１３】比較例２ 一般的な中性洗剤の一例として、酸化エチレン付加モル
数平均９、アルキル鎖炭素数平均１２のポリオキシエチ
レンアルキルエーテル２．０重量％、酸化エチレン付加
モル数平均３、アルキル鎖炭素数１２のポリオキシエチ
レンアルキルエーテル硫酸エステル塩１．０重量％、メ
タキシレンスルホン酸塩１．０重量％、３−メチル，３
−メトキシブタノール５．０重量％を残量の水と混合
し、水性洗浄剤組成物を調製した。このもののｐＨは
７．８であった。得られた水性洗浄剤組成物を用いて実
施例１と同様の評価を実施したところ、１点であった。
このことからも、本発明水性洗浄剤組成物は洗浄効果が
優れたものであることが分かる。 【００１４】 【発明の効果】本発明の（Ａ）〜（Ｃ）成分を含有し、
ｐＨを４．５〜８．０の間に調製した水性洗浄剤組成物
は、浴室内の人体による皮脂分や、使用石鹸と湯水中の
金属イオンとの反応で形成される金属石鹸（石鹸カス）
などが混在する頑固な汚れを速やかに分解、効果的に洗
浄することができる。その洗浄力は、主として界面活性
剤の効果のみを使用した従来の浴室用中性洗剤と比較し
て格段に優れ、従来の浴室用酸性洗剤と遜色無い洗浄力
を発揮する。また、洗浄力以外にも、特にｐＨを６．０
〜６．５に調製した本発明水性洗浄剤組成物は、浴室内
の金属部材、大理石素材などに対して酸性洗剤よりも安
全性は高く、また同用途のアルカリ洗剤よりも皮膚刺激
の傾向は低いという特徴を有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木庭 秀明 神奈川県中郡大磯町国府本郷699 ジョ ンソン株式会社内 (56)参考文献 特開 平５−279699（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−172795（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−9299（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−330087（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C11D 3/28,3/33,3/20 C11D 3/60,17/08

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 （Ａ）界面活性剤０．１〜２０重量％、 （Ｂ）酸性を示すイオン封鎖剤１〜５重量％及び （Ｃ）モルホリンまたは誘導体化合物０．１〜５重量％
   を必須成分として含み、かつｐＨが４．５から８．５で
   あることを特徴とする浴室用の水性洗浄剤組成物