JP3456355B2 - 粒体被覆装置、及び粒体被覆方法 - Google Patents

粒体被覆装置、及び粒体被覆方法

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JP3456355B2
JP3456355B2 JP33159296A JP33159296A JP3456355B2 JP 3456355 B2 JP3456355 B2 JP 3456355B2 JP 33159296 A JP33159296 A JP 33159296A JP 33159296 A JP33159296 A JP 33159296A JP 3456355 B2 JP3456355 B2 JP 3456355B2
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    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粒体表面の被覆装
置、及び同装置を用いる被覆方法に関する。更に詳述す
れば、肥料、農薬等の粒体を被覆してその溶出を制御す
る際等に用いて有用な噴流被覆装置、及び同装置を用い
た被覆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】噴流方式を用いた粒体の被覆方法として
は、例えば特公昭38−13896号に開示してあるよ
うに、円筒状の槽の底部を逆円錐形とし、その下端側を
水平方向に切断して気体噴出用の絞り部となし、前記絞
り部にオリフィスを形成した噴流塔を用い、前記オリフ
ィスを通して高速な気流体を槽内の垂直方向に噴出させ
ることにより、槽内において被覆すべき粒体を吹き上
げ、これに被覆液を吹き付けて粒体を被覆する方法があ
る。
【0003】また、特公昭38−2294号は、槽内の
中央噴流部に案内管を設け、この案内管を通して粒体を
吹き上げると共に、前記案内管内に設けた噴霧ノズルか
ら被覆液を供給する方法を開示している。更に特公昭5
0−1355号は、槽内の噴流部に案内管を設け、その
周辺環状部にも気体を通して流動状或いはそれに近い浮
遊の状態にしておき、粒子同士の付着等のトラブルを回
避する方法を開示している。
【0004】これらの被覆方法は、何れも医薬品表面の
被覆を目的とするもので、小規模、且つ丁寧に被覆する
場合には好ましい方法であるが、例えば肥料の様に安
価、且つ大量の粒体の被覆を行う場合には適切な方法と
は言い難い。
【0005】安価に、且つある程度大量の粒体を被覆す
る被覆法として、特公平2−31039号においては、
噴流塔内のオリフィス上方に、粒体が通過するガイド管
を垂直に設けた噴流被覆装置を用いて、オリフィスから
塔内に不活性気体を送入するに際し、オリフィスにおけ
る気体の流速を20m/secから70m/secと
し、ガイド管内の流速を20m/sec以下に調節して
粒体の被覆を行う方法を開示している。この被覆方法に
より、噴流塔を大型化し、一度にある程度大量の被覆を
行なう場合にも、粒体を均等に被覆できるようになり、
得られる被覆粒体は品質が安定したものである。
【0006】一方、特開平6−9303号、特開平6−
9304号、特開平6−72805号、特開平6−80
514号、特公平5−29634号、特開平4−202
078号、特開平4−202079号、特開平6−87
684号は、施用後一定期間内は活性成分を溶出させな
いか、若しくは溶出を極度に抑制した期間(この期間を
以後初期溶出抑制期間と称する)と、一定期間経過後速
やかな溶出を行う期間(この期間を以後溶出期間と称す
る)とを有する、いわゆる時限溶出型の溶出パターンを
有する被膜の形成技術を開示している。
【0007】この技術によれば、直径が200から25
0mmの塔径の小さい噴流塔を用いて皮膜を形成する場
合は、良好な時限溶出型の溶出パターンを持つ皮膜を得
ることができる。しかし、塔径が500mm以上となる
ような大型の噴流塔を用いて皮膜を形成する場合は、初
期溶出抑制期間が極端に短くなる問題がある。そして、
この問題は、前記特公平2−31039号に開示する大
量処理技術によっても解決できていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記大型噴流
被覆装置の問題点、即ち初期溶出抑制期間が極端に短く
なる問題点に鑑みなされたものである。即ち、本発明者
らは、前記問題点の生じる原因がオリフィス部を通って
噴流塔内に垂直上方向に噴出する不活性気体によって粒
体が上方に吹き上げられる際に、粒体がガイド管内壁と
衝突し、若しくはガイド管内壁と接触する際の摩擦にあ
ると推測し、このガイド管と粒体との衝突若しくは摩擦
による被膜の損傷を回避すべく研究を重ねた。
【0009】ところが驚くべきことに、噴流塔の槽の直
径が500mm以上であっても、槽内に気体を噴出させ
る絞りを設け、前記絞りの上方に垂直方向にガイド管を
設け、前記絞りの中心付近に噴霧ノズルを設けた粒体被
覆装置において、前記ガイド管の内側表面をフッ素樹脂
面にすると、時限溶出型の溶出パターンの被膜を有する
粒体を確実に製造でき、このものは小型の噴流塔で製造
するものと同等の、十分な長さの初期溶出抑制期間を有
する粒体であることを知得し、本発明を完成するに至っ
たものである。
【0010】以上の記述からも明らかなように、本発明
の目的は、大型の噴流方式の粒体被覆装置を用いて大量
に粒体の被覆を行う場合であっても、時限溶出型の様な
精密な溶出制御が可能である粒体の被覆装置、及び粒体
の被覆方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、内径が500mm以上の槽主体と、前記槽
主体の底部に形成してなり前記槽主体内部に気体を噴入
させる絞り部と、前記絞り部の上方に配設したガイド管
と、前記絞り部の中心軸近傍に配設した噴霧ノズルと、
前記槽主体に設けた粒体投入口とを少なくとも有する噴
流塔を備えた粒体被覆装置において、前記ガイド管の内
側表面をフッ素樹脂で形成してなることを特徴とする粒
体被覆装置を提案するもので、ガイド管がフッ素樹脂を
主成分とする材料で構成してなること、ガイド管がその
内側表面にフッ素樹脂ライニングを施こしてなること、
ガイド管の口径が絞り部口径の1.2〜4.0倍である
こと、粒体が肥料、又は農薬であることを含む。
【0012】また本発明は、内径が500mm以上の槽
主体と、前記槽主体の底部に形成してなり前記槽主体内
部に気体を噴入させる絞り部と、前記絞り部の上方に配
設したガイド管と、前記絞り部の中心軸近傍に配設した
噴霧ノズルと、前記槽主体に設けた粒体投入口とを少な
くとも有する噴流塔を備えた粒体被覆装置において、前
記ガイド管の内側表面をフッ素樹脂で形成してなる粒体
被覆装置を用いて粒体を被覆することを特徴とする粒体
の被覆方法で、ガイド管がフッ素樹脂を主成分とする材
料で構成してなること、ガイド管がその内面にフッ素樹
脂ライニングを施してなること、ガイド管の口径が絞り
部口径の1.2〜4.0倍であること、粒体が肥料、又
は農薬であること、絞り部における気体の流速を20〜
70m/secに、ガイド管内の気体の流速を循環粒体
の終端速度の0.5〜3倍に制御することを含む。
【0013】以下、本発明を、本発明者らの考察を交え
て説明する。
【0014】噴流塔の槽の内径(以下、槽径)の拡大に
伴う被覆された活性物質の初期溶出速度の増大傾向は、
500mm以上の槽径の場合に明確に顕れる。活性物質
粒体の粒径が同一であれば、槽径が小さくなるほど、つ
まり槽径に比例してガイド管の径が小さくなるほど、粒
体とガイド管との衝突・接触の確率が高くなり、また逆
に槽径が大きくなるほど、つまりガイド管の径が大きく
なるほどその確率が低くなると考えらる。従って、絞り
部やガイド管を通過する気体の速度(粒子の速度)がほぼ
同じであれば、衝突や接触による粒体の損傷は槽径の小
さい噴流塔の方が大きいと考えるのが順当である。しか
しながら実際にはこれと逆のことが起こっており、本発
明者らは推測の域を出ないものの、その原因を以下のよ
うに考えた。
【0015】即ち、特開平2−31039号に記載して
あるように、槽径が大型化しても絞り部やガイド管を通
過する気体の速度(粒子の速度)の最適条件は或る一定の
範囲内にある。この範囲内にあれば、絞り部からの気体
の噴出により発生する粒子の噴流の高さは気体の速度に
依存し、槽径に無関係のはずである。しかし、実際には
同一の気体の速度であっても、槽径が大きくなるに従っ
て格段に噴流の高さが大きくなる傾向にある。この現象
は槽径が大きくなる(即ち、ガイド管径が大きくなる)に
従って、各粒体毎の噴出速度のばらつきが大きくなるこ
とに起因するのではないかと考えられる。つまり、比較
的少数ではあるが粒体の一部に、ガイド管との衝突・接
触により被膜に正常な溶出機能を損なうような衝撃を受
ける或るレベル以上の大きな運動エネルギーを持った粒
体が発生していると考えられる。この一部粒体の損傷が
初期溶出速度の増大、時限溶出型の場合には初期溶出抑
制期間の短期化、初期溶出抑制期間における溶出促進を
もたらしていると推測される。
【0016】従来技術の問題点であった、時限溶出型に
おける初期溶出抑制期間の短期化は、槽径が200から
250mmと云った比較的小型のものにおいては見られ
ない。更に、槽径が200から250mmと云った比較
的小型の噴流塔においては、本発明において開示するよ
うにガイド管の内側表面をフッ素樹脂面としても、得ら
れる被覆粒体の活性成分の溶出パターンに変化は見られ
ず、初期溶出抑制期間が長くなるようなことは無い。噴
流塔の大型化に伴う初期溶出期間の短期化は、槽径が5
00mm以上になる場合に観察され、槽径が700mm
以上である場合に明確に発生し、900mm以上になる
場合においては特に著しく、この範囲では得られる粒体
は時限溶出型とは云えない溶出パターンを示す。
【0017】本発明は初期溶出期間の短期化の現象が著
しい槽径の領域において顕著に作用し、槽の径が500
mm以上、好ましくは700mm以上、更に好ましくは
900mm以上の場合にその利点が顕著に確認される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
を詳細に説明する。
【0019】図1は、本発明粒体被覆装置の構成の一例
を示すもので、図中2は垂直に設けられた噴流塔であ
る。前記噴流塔2は、主要部を円筒状の槽主体4で構成
し、その内部に円筒状のガイド管6を不図示の固定手段
で取り付けてある。槽主体4の下部側は下方に向かうに
従って徐々に内径を小さく形成した逆錘状の底部8を一
体に形成すると共に、底部8の下端側を切断して槽主体
4よりも小径の絞り部10を形成してある。
【0020】前記絞り部10には、抜き出し管12の一
端が連結してあり、またその他端側は開閉弁14を介し
て被覆粒体抜き出し口16になっている。前記抜き出し
管12には気体供給管18の一端が連結してあり、この
気体供給管18はその中間に気体加熱器20を介して他
端をブロアー22に連結している。これにより、ブロア
ー22から供給される気体は気体加熱器20で加熱され
た後、絞り部10を通って槽主体4内に噴出される。な
お、24は気体供給管に介装した流量計である。
【0021】前記絞り部10の中心近傍には、噴霧ノズ
ル26が配設してある。前記噴霧ノズル26には被覆液
供給ポンプ28を介装した被覆液供給管30の一端が連
結してあると共に、被覆液供給管30の他端は被覆液調
製槽32に連結してある。これにより、被覆液調製槽3
2で調製された被覆液は被覆液供給ポンプ28によって
被覆液供給管30を通って噴霧ノズル26に送られ、そ
の後槽主体4内に噴霧される。なお、34は蒸気加熱用
ジャケットである。
【0022】36は前記槽主体4に形成した粒体投入口
で、この投入口を通して粒体が槽主体4内に供給され、
被膜が被覆される。なお、38は粒体投入口バルブであ
る。
【0023】また、40は槽主体4の上部壁42に取り
付けた排出管で、これを通して槽主体4内の気体が外部
に放出される。
【0024】本発明で使用する槽主体4は中心軸方向を
垂直方向に設けてなる、内径が500mm以上の槽であ
る。
【0025】本発明においては、噴流塔2の槽主体4の
内径の大きさに特に上限を定めるものではないが、槽主
体4の内径を拡大し、容量を増やしたとしても、運転条
件や設備上の様々な制約を受け、内径が2500mmを
越える場合には或る一定以上の能力アップは期待できな
い。こう云った面から、実用的には槽主体4の内径の大
きさは最大2500mm以下であることが望ましい。
【0026】前記槽主体4の形状は特に制限がなく、水
平方向断面の形状が円形であっても、多角形のものであ
ってもよい。また前記槽主体4の下端の底部は逆錐状に
限られず、平面状であっても良い。しかしながら、前記
槽主体4の下端底部が平面の場合には、粒体を噴流状態
にしたとき、下端底部の縁部側で粒体の循環が悪くなる
ことから逆錐状であることが好ましく、更に粒体の循環
の均一性の面から云えば、前記槽主体4の断面の形状は
円形であることが望ましい。
【0027】また、前記槽主体4の下端側に形成した絞
り部10には別途種々のオリフィス板やベンチュリを挿
入できるように構成してもよい。
【0028】前記ガイド管6の形状としては、円筒状の
他、パイプに穿孔したもの、或いは金網を筒状にしたも
の等が挙げられる。ガイド管6の形状や材質は特に限定
するものではないが、被覆時の被膜の損傷を最小限に抑
えたい場合には、孔や突起物のない平滑なパイプを用い
ることが好ましい。しかしながら、噴流気体の流速調節
や特定の目的のために孔や突起を設けたガイド管であっ
ても、本発明の作用効果は十分認められる。ガイド管は
前記絞り部10の上方であって槽主体4内に、ガイド管
6の軸方向を垂直にして固定若しくは懸垂する。
【0029】噴霧ノズル26は前記絞り部10の中心軸
方向に沿って絞り部の近傍にあれば良く、前記絞り部1
0よりも高い位置であっても、低い位置であっても良
い。噴霧ノズル10の位置、形状は噴霧液体の性状、運
転条件等によって適宜決定する。
【0030】絞り部10における気体速度は、噴出気体
量と絞り口径とによって決まる。また、ガイド管6内の
気体速度も同じ手法で計算することが出来る。ガイド管
6と絞り部10との間隔は粒体の循環を妨げない範囲で
選定することが好ましい。ガイド管6の口径は絞り部の
口径の1.2から4.0倍が好ましく、1.5から3.
0倍がより好ましい。本発明においては絞り部10にお
ける気体の流速、及びガイド管内における気体の流速は
特に限定するものではないが、品質の安定のためには絞
り部10から装置内に不活性気体を送入するに際の、絞
り部10における気体の流速を20m/secから70
m/secとし、ガイド管6内の流速を循環粒体の終端
速度の3倍以下、好ましくは0.5〜1.5倍、更に好
ましくは0.8〜1.2倍に調節して被覆を行う方法が
推奨される。
【0031】本発明に用いる気体は粒体及び溶剤に対し
て不活性のものであれば良く、特に限定されるものでは
ない。具体的には、空気、窒素ガス、ヘリウムガス等が
例示できる。
【0032】本発明においては、上記噴流被覆装置のガ
イド管6の少なくとも内側表面をフッ素樹脂面とするも
のである。従って、前記ガイド管6はフッ素樹脂を主成
分とする材料で製造するものであっても、フッ素樹脂の
無垢の筒状体であっても、フッ素樹脂と骨材からなるも
のであっても、更に特に限定はしないが金属等の筒状体
の内面にフッ素樹脂ライニングを施したものであっても
良い。
【0033】フッ素樹脂としては、現在商品化されてい
るフッ素樹脂の何れであっても使用でき、これらは何れ
も非常に優れた効果を発揮する。フッ素樹脂としては、
四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン
・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化
エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹
脂(PFA)、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂
(ETFE)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTF
E)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化
ビニル樹脂(PVF)、三フッ化塩化エチレン・エチレ
ン共重合樹脂(ECTFE)等が例示できる。これらフ
ッ素樹脂の何れも非常に優れた非粘着性、耐薬品性、耐
熱性を有し、これらの性質は本発明においては非常に好
ましいものである。
【0034】上記フッ素樹脂の種類は、粒体の被覆材を
溶解するのに用いる溶剤の種類、絞り部から噴出される
気体の温度、粒体との反応性等を勘案して最適のフッ素
樹脂材料を選択すべきである。
【0035】本発明において、ガイド管へフッ素樹脂を
ライニングする場合には、ライニングの施工方法は、シ
ートライニング、塗布、積層ライニング、粉体被覆等、
何れの方法であってもよい。ライニング材の種類や性
状、接着性や機械強度等の物性にあった施工法を選択す
べきである。
【0036】ライニングの厚さはライニング材の種類や
設備の規模、運転条件、運転頻度によって必要な厚さが
異なり一概に特定することは出来ないが、50μm以
上、好ましくは100μm以上、更に好ましくは1mm
程度以上あれば十分な効果を得ることができる。
【0037】フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂、例えば、
塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ナイロン11、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリフェニレンオキサイド等を用いても本発明類似
の効果を得ることができるが、粒体とガイド管との衝突
による衝撃、及び接触による摩擦を軽減する必要性か
ら、ガイド管の主成分若しくはライニングに用いる材料
としては、粘着性の極めて低いフッ素樹脂において特に
顕著な効果が得られる。
【0038】更に、本発明においてガイド管の内部表面
以外に、被覆装置と粒体とが接触する部分(接粒部)にも
フッ素樹脂ライニングを施して粒体に時限溶出型の溶出
パターンの被膜を被覆する場合には、溶出にばらつきが
少なく、被膜組成によって決定される初期溶出抑制期間
が安定して得られるので、接粒部にライニングを施すこ
とは本発明にとって好ましいことである。
【0039】本発明の被覆装置において、被覆される粒
体には特に制限がないが、本発明の被覆装置による被覆
は、粒体に含まれる活性成分が溶出速度を調節する必要
性のあるものの場合に、特に有効である。活性成分はそ
の目的、用途等によって異なるが、尿素、硫安、塩安、
硝安、塩化加里、硫酸加里、硝酸加里、硝酸ソーダ、燐
酸アンモニア、燐酸加里、燐酸石灰、キレート鉄、酸化
鉄、塩化鉄、ホウ酸、ホウ砂、硫酸マンガン、塩化マン
ガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、モ
リブデン酸アンモニウム、OMUP(クロチリデンジウ
レア)、IBDU(イソブチリデンジウレア)やオキザ
マイド等の肥料、殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬等が
例示できる。粒体は1種以上の活性成分の粒状物であっ
ても良く、更には活性成分の1種以上とベントナイト、
ゼオライト、タルク、クレー、ケイソウ土等の不活性担
体とからなる粒状物であっても良い。更には前述の活性
成分粒体を樹脂や無機物で被覆したものであってもよ
い。
【0040】これらの粒体の粒径は特に制限はないが、
0.1〜10mm、特に1〜5mmのものが好ましい。
【0041】本発明の被覆装置において用いる粒体の被
覆材は特に限定されるものではないが、粒体に含まれる
活性成分の溶出を厳密に制御できる材料、組成のものを
選択すればよい。このような被覆材としては、硫黄に代
表される無機被覆材や、アルキッド樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、
ポリ塩化ビニリデン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0042】これらのうち、肥料や農薬のように厳密、
且つ長期に亘る溶出制御が求められる活性成分の場合に
おいては、被覆材として熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を
用いることが好ましく、より高度な溶出制御が必要であ
れば、熱可塑性樹脂を用いることが特に好ましい。
【0043】好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリオレ
フィン及びその共重合体と、ポリ塩化ビニリデン及びそ
の共重合体とを挙げることができる。好ましいポリオレ
フィン及びその共重合体としてはポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、エチレン・一酸化炭素共重合体、
エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン
・アクリレート共重合体、エチレン・メタクリル酸共重
合体、ゴム系樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタアク
リレート等を挙げることができ、好ましいポリ塩化ビニ
リデン及びその共重合体としては、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体等を挙げるこ
とができる。更に、ポリ−2−ハイドロキシ−2−アル
キル酢酸、ポリ−3−ハイドロキシ−3−アルキルプロ
ピオン酸等に代表されるの生分解性ポリエステルも挙げ
ることができる。
【0044】これらの被覆材は有機溶剤に溶解させ、噴
流塔内において噴流状態にある粒体に噴霧して被覆を行
っても良く、また溶融状態で噴霧しても良いが、本発明
においては、上記樹脂の貧溶媒液溶液を用い、これを粒
体に噴霧すると共に瞬間乾燥することによって被膜を形
成する製膜法において特に有効である。上記樹脂の貧溶
媒を用いて瞬間乾燥する場合には、樹脂と有機溶剤との
組み合わせにおいて、熱時には高濃度で溶解し、冷時に
は樹脂が析出してゼリー状となる性質を有する組み合わ
せが好ましく、この組み合わせによる被膜は非常に緻密
な被膜を形成するので、特に時限溶出型の被膜形成に適
している。
【0045】上記以外の被覆材としては、タルクに代表
される無機フィラーや、界面活性剤等を用いることもで
きる。これら被覆材は溶剤に溶解・分散、若しくは溶融
・分散され、噴霧用ノズルに送られ被覆に共される。
【0046】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。
【0047】1.被覆装置 実施例及び比較例で用いた被覆装置を図1に示す。
【0048】2.被覆方法 被覆操作はブロアー22を用いて所定の風量と温度に保
持した空気を噴流塔2に送りながら所定量の粒体を粒体
投入口36から投入した。次いで塔内の粒体が所定の温
度に達したら、被覆液供給ポンプ28を作動させて被覆
液調製槽32内の被覆液を所定の速度で噴霧ノズル26
に所定時間送り被覆液を噴霧し、所定の被覆率とした後
ブロアー22を止めて被覆粒体抜き出し口16より被覆
粒体を抜き出した。
【0049】被覆装置のサイズ、運転条件、ガイド管の
材質・構成、及び設定被覆率を表1、2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】 Dc:噴流塔径 Dp:粒体径(平均) W :噴流塔への粒体の投入量 Q :噴流用空気の流量 uo:絞り部の空気の風速(風速の調節は種々の口径の オリフィス板を用いて調節した、風速は計算値) ug:ガイド管内の空気の風速(分速の調節は種々のガ イド管径のものを用いて調節した、風速はピート管により実測) 被覆率:7.5% 被覆操作中の粒体の温度:65℃ *1:SUS304 *2:四フッ化エチレン樹脂 *3:高密度ポリエチレン d=0.961 MI=100 *4:四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂 被覆液は下記表3に示す組成物よりなる100℃の溶液
である。
【0052】
【表3】 3.製造した被覆粒体の評価 製造した被覆肥料粒体のそれぞれ10gを200ml水
中に浸漬して25℃に静置した。所定期間経過後、肥料
と水とを分離し、水中に溶出した尿素を定量分析により
求めた。肥料には新水を200ml入れて再び25℃に
静置、所定期間後同様の分析を行なった。この様な操作
を反復して水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係
をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80%溶出率に
至る日数を知ることが出来る。
【0053】溶出試験の結果を表4に示す。浸漬開始か
ら10%溶出に至るまでの日数(誘導期間)を「D1」
とし、それ以降80%溶出に至るまでの日数(溶出期
間)を「D2」とし、全溶出期間(D1+D2)を「D
T」と表記した。表中の24時間溶出率とは溶出試験開
始後24時間経過の時点の溶出率である。
【0054】
【表4】 表4から明らかなように、比較例のD1、D2、DTは
いずれも実施例のそれよりもバラツキが大きいものであ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明の被覆装置は、直径が500mm
以上である槽の最下部に、槽内に気体を噴出させるため
の絞り部を設け、前記絞りの上方に垂直方向にガイド管
を設け、前記絞りの中心付近に噴霧ノズルを設けると共
に、前記ガイド管の内側表面をフッ素樹脂で構成したの
で、一度に大量の粒体に時限溶出型の被覆を行う場合で
あっても、充分な長さの初期溶出抑制期間を有する被覆
粒体を製造することができる。更に、本発明装置はポリ
オレフィン等の貧溶媒を用い、粒体表面にポリオレフィ
ン被膜を均質に被覆する必要がある場合に特に有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒体被覆装置の構成の一例を示す概略
説明図である。
【符号の説明】
2 噴流塔 4 槽主体 6 ガイド管 8 底部 10 絞り部 20 気体加熱器 22 ブロアー 26 噴霧ノズル 32 被覆液調製槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−156024(JP,A) 特開 平3−38238(JP,A) 特公 平2−31039(JP,B2) 特公 平2−34652(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 2/00 C05G 3/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内径が500mm以上の槽主体と、前記
    槽主体の底部に形成してなり前記槽主体内部に気体を噴
    入させる絞り部と、前記絞り部の上方に配設したガイド
    管と、前記絞り部の中心軸近傍に配設した噴霧ノズル
    と、前記槽主体に設けた粒体投入口とを少なくとも有す
    る噴流塔を備えた粒体被覆装置において、前記ガイド管
    の内側表面をフッ素樹脂で形成してなることを特徴とす
    る粒体被覆装置。
  2. 【請求項2】 ガイド管がフッ素樹脂を主成分とする材
    料で構成してなる請求項1に記載の粒体被覆装置。
  3. 【請求項3】 ガイド管がその内側表面にフッ素樹脂ラ
    イニングを施こしてなる請求項1に記載の粒体被覆装
    置。
  4. 【請求項4】 ガイド管の口径が絞り部口径の1.2〜
    4.0倍である請求項1に記載の粒体被覆装置。
  5. 【請求項5】 粒体が肥料、又は農薬である請求項1に
    記載の粒体被覆装置。
  6. 【請求項6】 内径が500mm以上の槽主体と、前記
    槽主体の底部に形成してなり前記槽主体内部に気体を噴
    入させる絞り部と、前記絞り部の上方に配設したガイド
    管と、前記絞り部の中心軸近傍に配設した噴霧ノズル
    と、前記槽主体に設けた粒体投入口とを少なくとも有す
    る噴流塔を備えた粒体被覆装置において、前記ガイド管
    の内側表面をフッ素樹脂で形成してなる粒体被覆装置を
    用いて粒体を被覆することを特徴とする粒体の被覆方
    法。
  7. 【請求項7】 ガイド管がフッ素樹脂を主成分とする材
    料で構成してなる請求項6に記載の粒体の被覆方法。
  8. 【請求項8】 ガイド管がその内面にフッ素樹脂ライニ
    ングを施してなる請求項6に記載の粒体の被覆方法。
  9. 【請求項9】 ガイド管の口径が絞り部口径の1.2〜
    4.0倍である請求項6に記載の粒体の被覆方法。
  10. 【請求項10】 粒体が肥料、又は農薬である請求項6
    に記載の粒体の被覆方法。
  11. 【請求項11】 絞り部における気体の流速を20〜7
    0m/secに、ガイド管内の気体の流速を循環粒体の
    終端速度の0.5〜3倍に制御する請求項6に記載の粒
    体の被覆方法。
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