JP3455359B2 - 建設機械の作業範囲制限制御装置 - Google Patents

建設機械の作業範囲制限制御装置

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JP3455359B2
JP3455359B2 JP06486096A JP6486096A JP3455359B2 JP 3455359 B2 JP3455359 B2 JP 3455359B2 JP 06486096 A JP06486096 A JP 06486096A JP 6486096 A JP6486096 A JP 6486096A JP 3455359 B2 JP3455359 B2 JP 3455359B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベル等の
建設機械の作業範囲制限制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の作業範囲制限制御装置に
関する公知技術としては、例えば以下のものがある。 特開平3−208923号公報 この公知技術においては、上方に予めフロント装置の侵
入禁止領域を設定するとともに、その侵入禁止領域の下
方にアクチュエータの減速領域を設定する。そして、フ
ロント装置の各先端位置のうち最大高さにある部分がこ
の減速領域に侵入すると、油圧ポンプの吐出量を減らし
てアクチュエータの作動速度を落とし、さらに侵入禁止
領域まで達するとパイロット操作装置の元圧を断ち、ア
クチュエータの動作を止めてしまう。これにより、フロ
ント装置の一部が上方の障害物に接触することを防ぐよ
うになっている。 特開平2−176902号公報 特開平2−176903号公報 これらの公知技術においては、フロント装置が干渉回避
物との干渉を回避すべき侵入禁止領域を設定するととも
に、この侵入禁止領域を作動油温度又はフロント装置速
度に応じて演算補正し、フロント装置が補正した侵入禁
止領域に入った場合にはフロント装置を停止させる。す
なわちフロント装置を停止させる際、実際には、制御手
段からの電気信号を介してパイロット圧力を制御し、ア
クチュエータに作動油を供給する流量制御弁を中立位置
に戻してアクチュエータの動作を止める、という一連の
動作の間に応答遅れが生じる。この応答遅れは、特に、
作動油の粘性が低下する低温時や、フロント装置速度が
速い場合に顕著であると考えられることから、作動油温
度又はフロント装置速度に応じてあらかじめ侵入禁止領
域を広く設定し停止位置をやや手前に補正しておくこと
により、低温時やフロント装置の高速動作時にも、フロ
ント装置と干渉回避物との干渉を確実に防止するように
なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知技術においては以下の課題が存在する。すなわち、公
知技術においては、作業環境条件によっては、侵入禁
止領域にフロント装置が侵入するのを防止するのが困難
である。例えば、低温時には作動油の粘性が低下するこ
とから、パイロット操作装置の作動油の元圧を断ってか
ら、アクチュエータに作動油を供給する流量制御弁が中
立位置に戻りアクチュエータの動作を止めてしまうまで
の間にある程度の応答遅れが生じるので、この応答遅れ
の分だけ侵入禁止領域にフロント装置が入り込み、当初
の目的より余分に掘削を行う可能性がある。また、減速
領域は一度設定されると固定であることから、例えば減
速領域の大きさに比しフロント装置の速度が比較的大き
い場合、減速が不十分となり、同様に侵入禁止領域にフ
ロント装置が入り込む可能性がある。
【0004】また、公知技術においては、温度やフロ
ント装置速度といった作業環境条件が考慮され、これら
を基に侵入禁止領域が補正されている。しかしながら、
補正方法として、侵入禁止領域の拡大、すなわちフロン
ト装置の停止位置を手前側に移動させる構成であること
から、補正量と実際の応答遅れ動作量が合致しない場合
には、本来の侵入禁止領域の手前でフロント装置が止ま
ってしまい、当初の目的どおりの十分な掘削が行えない
可能性がある。すなわち例えば、温度補正を行う場合に
は、最もフロント装置速度が速い場合に合わせて侵入禁
止領域を設定することとなるので、フロント装置速度が
比較的遅い場合には補正過大となって本来侵入を禁止し
たい位置よりも手前でフロント装置が止まる場合があ
る。また速度補正を行う場合には、最も作動油粘性が大
きい場合に合わせて侵入禁止領域を設定するのこととな
るで、作動油粘性が比較的小さい場合には補正過大とな
って本来侵入を禁止したい位置よりも手前でフロント装
置が止まる場合がある。
【0005】本発明の目的は、作業環境条件のいかんを
問わず、侵入禁止領域へのフロント装置の侵入を防止し
つつ、侵入禁止領域直前までの十分な掘削を行うことが
できる、建設機械の作業範囲制限制御装置を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、上下方向に回動可能な複数のフロ
ント部材により構成される多関節型のフロント装置と、
前記複数のフロント部材を駆動する複数の油圧アクチュ
エータと、前記複数のフロント部材の動作を指示する複
数の操作手段と、前記複数の操作手段の操作に応じて駆
動され、前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧
油の流量を制御する複数の流量制御弁とを備え、前記複
数の操作手段が操作パイロット圧を出力し対応する流量
制御弁を駆動する複数のパイロット操作装置である建設
機械に備えられ、前記フロント装置に関して予め設定さ
れたモニターポイントと予め設定された侵入禁止領域と
の距離が所定の減速距離以下になったとき、該モニター
ポイントと侵入禁止領域との距離が小さくなるに従って
小さくなるような指令電流値を計算して出力する減速演
算手段と、前記複数のパイロット操作装置の少なくとも
1つとこれに対応する複数の流量制御弁との間に設けら
れ、前記パイロット操作装置から出力された操作パイロ
ット圧を前記指令電流値に応じて減圧して出力する電気
式減圧弁とを備え、前記モニターポイントが前記侵入禁
止領域に近づくと前記フロント装置を減速し、前記侵入
禁止領域に到達すると前記フロント装置を停止させる建
設機械の作業範囲制限制御装置において、前記フロント
装置の動作特性に影響を与える状態量を検出する検出手
段と、この検出手段で検出された状態量に応じて、前記
減速距離を可変に設定する減速距離設定手段とを有する
ことを特徴とする建設機械の作業範囲制限制御装置が提
供される。すなわち、フロント装置に関して予め設定さ
れたモニターポイントが侵入禁止領域に近づき、モニタ
ーポイントと侵入禁止領域との距離が所定の減速距離以
下になると、減速演算手段がモニターポイントと侵入禁
止領域との距離が小さくなるに従って小さくなる指令電
流値を計算して電気式減圧弁に出力する。そしてこの電
気式減圧弁がパイロット操作装置から出力された操作パ
イロット圧をこの指令電流値に応じて減圧して出力す
る。これによって、モニターポイントが侵入禁止領域に
近づくとフロント装置を減速し、侵入禁止領域に到達す
るとフロント装置を停止させる。ここで、本発明におい
ては、上記のようなフロント装置の動作中、検出手段
が、フロント装置の動作特性の影響を与える状態量、例
えば、作動油の温度、複数のフロント部材のうち少なく
とも1つの速度、複数のパイロット操作装置のうち少な
くとも1つの操作量、エンジンの回転数等を検出してお
り、さらに減速距離設定手段が、検出された状態量に応
じて減速距離を可変に設定する。つまり上記の例で言う
と、例えば作動油の温度が比較的低い場合、フロント部
材の速度が比較的速い場合、操作量が比較的大きい場
合、エンジン回転数が比較的大きく圧油流量が多い場合
等、応答遅れによる影響がある程度発生すると見込まれ
るような場合には減速距離を比較的長く設定することと
すれば、フロント装置が侵入禁止直前まで達したときに
は既に停止する寸前にまで十分減速されているので、こ
の応答遅れの影響がほとんど生じることなく、侵入禁止
領域直前の境界線上で確実に停止させることができる。
したがって、作業環境条件に配慮せず単に減速領域のみ
を設定する従来構成のように、侵入禁止領域へフロント
装置が侵入するのを防止し、またフロント装置の停止位
置を手前側に移動させる従来構成のように、侵入禁止領
域手前でフロント装置が止まるのを防止できる。
【0007】好ましくは、前記建設機械の作業範囲制限
制御装置において、前記検出手段は、前記建設機械にお
ける作動油の温度を検出することを特徴とする建設機械
の作業範囲制限制御装置が提供される。
【0008】また好ましくは、前記建設機械の作業範囲
制限制御装置において、前記検出手段は、前記複数のフ
ロント部材のうち少なくとも1つの速度を検出すること
を特徴とする建設機械の作業範囲制限制御装置が提供さ
れる。
【0009】また好ましくは、前記建設機械の作業範囲
制限制御装置において、前記検出手段は、前記複数のパ
イロット操作装置のうち少なくとも1つの操作量を検出
することを特徴とする建設機械の作業範囲制限制御装置
が提供される。
【0010】また好ましくは、前記建設機械の作業範囲
制限制御装置において、前記検出手段は、前記油圧アク
チュエータに供給される圧油の供給源である油圧ポンプ
を駆動するエンジンの回転数を検出することを特徴とす
る建設機械の作業範囲制限制御装置が提供される。
【0011】また好ましくは、前記建設機械の作業範囲
制限制御装置において、前記検出手段は、前記建設機械
における作動油の温度、前記複数のフロント部材のうち
少なくとも1つの速度、前記複数のパイロット操作装置
のうち少なくとも1つの操作量、及び前記油圧アクチュ
エータに供給される圧油の供給源である油圧ポンプを駆
動するエンジンの回転数のうち、少なくとも2つを検出
し、前記減速距離設定手段は、この検出された少なくと
も2つの状態量のうち、前記フロント装置の動作特性に
より多くの影響を与えるものに応じて、前記減速距離を
可変に設定することを特徴とする建設機械の作業範囲制
限制御装置が提供される。すなわち、そのときの状態量
で最も停止位置のズレに影響が出るものに基づき減速距
離を設定することにより、侵入禁止領域へのフロント装
置の侵入や、侵入禁止領域手前でのフロント装置の停止
を、最も有効かつ確実に防ぐことができる
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を油圧ショベルに適
用した場合の実施形態を図1〜図15により説明する。
なお、本実施形態は下方の範囲制限制御を行う場合につ
いてのものである。図1において、本発明が適用される
油圧ショベルは、エンジン57により駆動される油圧ポ
ンプ2と、この油圧ポンプ2からの圧油により駆動され
るブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケット
シリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3
e,3fを含む複数の油圧アクチュエータと、これら油
圧アクチュエータ3a〜3fのそれぞれに対応して設け
られた複数の操作レバー装置4a〜4fと、油圧ポンプ
2と複数の油圧アクチュエータ3a〜3f間に接続さ
れ、操作レバー装置4a〜4fの操作信号によって制御
され、油圧アクチュエータ3a〜3fに供給される圧油
の流量を制御する複数の流量制御弁5a〜5fと、油圧
ポンプ2と流量制御弁5a〜5fの間の圧力が設定値以
上になった場合に開くリリーフ弁6とを有し、これらは
油圧ショベルの被駆動部材を駆動する油圧駆動装置を構
成している。
【0013】また、油圧ショベルは、図2に示すよう
に、垂直方向にそれぞれ回動するブーム1a、アーム1
b及びバケット1cからなる多関節型のフロント装置1
Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体
1Bとで構成され、フロント装置1Aのブーム1aの基
端は上部旋回体1dの前部に支持されている。ブーム1
a、アーム1b、バケット1c、上部旋回体1d及び下
部走行体1eはそれぞれブームシリンダ3a、アームシ
リンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及
び左右の走行モータ3e、3fによりそれぞれ駆動され
る被駆動部材を構成し、それらの動作は上記操作レバー
装置4a〜4fにより指示される。
【0014】図1に戻り、操作レバー装置4a〜4f
は、操作信号としてパイロット圧を出力し、対応する流
量制御弁5a〜5fを駆動する、パイロット操作装置と
呼ばれる油圧パイロット方式である。そしてそれぞれの
操作レバー装置4a〜4fは、図3に示すように、オペ
レータにより操作される操作レバー40と、操作レバー
40の操作量と操作方向に応じたパイロット圧を生成す
る一対の減圧弁41,42とにより構成され、減圧弁4
1,42の一次ポート側はエンジン57で駆動されるパ
イロットポンプ43に接続され、二次ポート側はパイロ
ットライン44a,44b;45a,45b;46a,
46b;47a,47b;48a,48b;49a,4
9b(図1参照)を介して対応する流量制御弁の油圧駆
動部50a,50b;51a,51b;52a,52
b;53a,53b;54a,54b;55a,55b
(図1参照)に接続されている。
【0015】また例えばブーム用のパイロット操作装置
4aは、操作レバー40が図3のA方向に操作される
と、パイロットポンプ43からのパイロット元圧を減圧
弁41により操作レバー40の操作量に比例した圧力に
変化させてパイロットライン44aに出力し、この圧力
が流量制御弁5aの油圧駆動部50aに与えられること
により流量制御弁5aのスプールは図1の右方に動かさ
れる。これにより、主ポンプである油圧ポンプ2からの
圧油はブームシリンダ3aのボトム側に供給され、ブー
ムシリンダ3aは伸長するよう駆動され、図2に示され
るブーム1aは上方に動かされる。操作レバー40を図
3のB方向に操作すると、パイロットポンプ43からの
パイロット元圧を減圧弁42により操作レバー40の操
作量に比例した圧力に変化させてパイロットライン44
bに出力し、この圧力が流量制御弁5aの油圧駆動部5
0bに与えられることにより流量制御弁5aのスプール
は図1の左方に動かされ、油圧ポンプ2からの圧油はブ
ームシリンダ3aのロッド側に供給され、ブームシリン
ダ3aは収縮するよう駆動され、図2に示されるブーム
1aは下方に動かされる。操作レバー40を中央位置に
戻すと、減圧弁41,42はパイロットライン44a,
44bをタンクにつなげ、流量制御弁5aへのパイロッ
ト圧の付与は解除され、流量制御弁5aは復元スプリン
グにより中立位置に戻され、ブーム1aの動きは停止す
る。アーム用、バケット用のパイロット操作装置4b,
4cについても同様である。このようなブーム用、アー
ム用、バケット用のパイロット操作装置4a〜4cの操
作を単独又は適当に組み合わせて行うことにより、フロ
ント装置1Aを所望の態様で屈折動作させ、掘削積込作
業などを行うことができる。なお、本願明細書中では、
パイロット操作装置4a,4bから出力されたパイロッ
ト圧のことを特に「操作パイロット圧」と呼ぶ。
【0016】以上のような油圧ショベルに本実施形態に
よる作業範囲制限制御装置が設けられている。この作業
範囲制限制御装置は、予め作業に応じてフロント部材が
侵入してはならない領域(侵入禁止領域)を指示するた
めの設定器7と、ブーム1a、アーム1b及びバケット
1cのそれぞれの回動支点に設けられ、フロント装置1
Aの位置と姿勢を算出するためにそれぞれの回動角を検
出する角度検出器8a,8b,8cと、ブームシリンダ
3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋
回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fを含む複
数の油圧アクチュエータに供給される作動油の流路内
(図示せず)に取り付けられ、作動油温度を検出する油
温センサ56と、設定器7の設定信号、角度検出器8
a,8b,8cの検出信号、及び油温センサ56からの
検出信号を入力し、フロント部材が侵入してはならない
侵入禁止領域を設定すると共に、その侵入禁止領域に応
じて作業範囲を制限制御するための電気信号を出力する
制御ユニット9と、パイロットライン44a,44b,
45a,45bにそれぞれ設置され、パイロット操作装
置4a,4bから出力された操作パイロット圧をパイロ
ット一次圧としてこれを制御ユニット9から出力された
それぞれの電気信号に応じて減圧して出力する比例電磁
弁10a,10b,11a,11bとで構成されてい
る。
【0017】比例電磁弁10a,10b,11a,11
bは電気式減圧弁であり、図4に示すような構造を有し
ている。すなわちこの図4において、概略的には、ソレ
ノイド156に制御ユニット9(図1参照)からの電気
信号が与えられ、入力ポート150にパイロット操作装
置4a,4b(図1参照)から出力された操作パイロッ
ト圧がパイロット一次圧として導かれ、出力ポート15
1からのパイロット二次圧(出力圧)が流量制御弁5
a,5bの油圧駆動部50a,50b;51a,51b
(図1参照)に与えられるようになっている。ここで、
ソレノイド156に与えられる電気信号の電流値がゼロ
の時は、ソレノイド156には電磁力は発生せず、内部
通路154を介して圧力室155に伝えられるパイロッ
ト一次圧による付勢力Fpによりスプール15は図示
右方に移動し、出力ポート151をタンクポート152
に連通し、パイロット二次圧をタンク圧にする(フルク
ローズ)。ソレノイド156に与えられる電気信号の電
流値がゼロでないときは、その電流値に応じた軸方向の
力Fsが発生し、スプール153を図示左方に動かし、
圧力室155により与えられる付勢力Fpとつりあった
位置でスプール153は止まる。このとき、出力ポート
151とタンクポート152の連通は遮断され、出力ポ
ート151は入力ポート150と絞りを介して連通し、
出力ポート151にはその絞りに応じて減圧された圧力
が発生し、これがパイロット二次圧として出力される。
また、圧力室155にはその出力ポート151の減圧さ
れた圧力(パイロット二次圧)が内部通路154を介し
て導かれ、付勢力Fpはパイロット二次圧に応じた値と
なっている。そして、ソレノイド156に与えられる電
気信号の電流値が増加し、軸方向の力Fsが大きくなる
と、それに応じてスプール153は図示左方に動かさ
れ、スプール153の絞りは弱くなって減圧の程度は小
さくなり、出力ポート151に発生する圧力(パイロッ
ト二次圧)は増加する。ソレノイド156に与えられる
電気信号の電流値が最大になると、スプール153は絞
りが全く働かない位置まで動かされ(フルオープン)、
出力ポート151に発生する圧力(パイロット二次圧)
は入力ポート150の圧力(パイロット一次圧)と同じ
になる。
【0018】設定器7は、操作パネルあるいはグリップ
上に設けられたスイッチ等の操作手段により設定信号を
制御ユニット9に出力し侵入禁止領域の設定を指示する
もので、操作パネル上には表示装置等、他の補助手段が
あってもよい。また、ICカードによる方法、バーコー
ドによる方法、レーザによる方法、無線通信による方法
等、他の方法を用いてもよい。
【0019】制御ユニット9は図5に示すような制御機
能を有している。すなわち、制御ユニット9は、侵入禁
止領域演算部9a、フロント姿勢演算部9b、制限値記
憶メモリ9c、モニターポイント選択演算部9d、減速
制御演算部9e、最大シリンダ速度演算部9f、最大パ
イロット圧演算部9g、バルブ指令電流値演算部9h、
電流出力部9iの各機能を有している。
【0020】侵入禁止領域演算部9aでは、設定器7か
らの指示でフロント部材が侵入してはならない領域(侵
入禁止領域)の設定演算を行う。その一例を図6を用い
て説明する。
【0021】図6において、オペレータの操作でバケッ
ト1cの先端を制限したい高さ上の点Pcまでもってゆ
き、設定器7からの指示でそのときのバケット1cの先
端の位置を計算し、その位置を侵入禁止領域の境界の設
定値とする。ここで、点Pcの位置はフロント姿勢演算
部9bにて計算される。
【0022】フロント姿勢演算部9bでは、角度検出器
8a〜8cで検出したブーム、アーム、バケットの回動
角と、制御ユニット9の記憶装置に予め記憶した図6に
示すようなフロント装置1A及び車体1Bの各部寸法L
1,L2,L3,L4,L5等のデータとを用いてフロ
ント装置1Aの位置と姿勢を計算する。このとき、位置
と姿勢は例えばブーム1aの回動支点を原点としたXZ
座標系の座標値として求める。XZ座標系は本体1Bに
固定した垂直面内にある直交座標系である。
【0023】ここで、侵入禁止領域演算部9aでの設定
演算を行うとき、フロント姿勢演算部9bは、点Pcの
位置をXZ座標系のZ座標値として計算し、その値を侵
入禁止領域の境界の設定値(Z座標値=Pcz)とす
る。侵入禁止領域演算部9aで計算されたこの侵入禁止
領域の境界の設定値(Z座標値=Pcz)は制限値記憶
メモリ9cに記憶しておく。
【0024】また、フロント装置1Aには予め所定箇所
に複数のモニターポイントM1,M2が設定されてお
り、フロント姿勢演算部9bでは、制限制御による作業
中に各モニターポイントM1,M2の位置を計算してい
る。本実施形態では、モニターポイントM1はアーム1
bの後端であり、モニターポイントM2はバケット1c
の回動中心(バケットピン)を中心にした半径L3(バ
ケットピンからバケット先端までの距離)の円の最下点
である。このときも、各モニターポイントの位置はXZ
座標系の値として求め、各モニターポイントの高さはX
Z座標系のZ座標値として計算される。
【0025】ここで、フロント姿勢演算部9bで計算さ
れるモニターポイントM1の位置(M1x,M1z)や、モ
ニターポイントM2の位置(M2x,M2z)は、回動角
α,β,γから記憶装置に記憶した図6に示される各部
寸法を用いて下記の式により求まる。
【0026】 M1x=L1cosα−L4cos(α+β)+L5sin(α+β) …(A) M1z=−L1sinα+L2sin(α+β)+L5cos(α+β) …(B) M2x=L1cosα+L2cos(α+β) …(C) M2z=−L1sinα−L2sin(α+β)−L3 …(D) モニターポイント選択部9dでは、フロント姿勢演算部
9bで計算されたモニターポイントM1,M2のZ座標
値M1z,M2zと、制限値記憶メモリ9cに記憶した侵入
禁止領域の境界の設定値Pczとから、モニターポイン
トM1,M2と侵入禁止領域の境界との間の距離L1M,L
2Mを計算し、距離L1M,L2Mを比較し、侵入禁止領域に
近い方のモニターポイント、すなわちL1M<L2Mであれ
ばM1を、L1M>L2MであればM2を選択し、選択モニタ
ーポイントMsとする。なお、L1M=L2Mの場合はどち
らを選択モニターポイントとしてもよいが、ここではM
1を選択モニターポイントとする。
【0027】減速制御演算部9eでは、モニターポイン
ト選択部9dで選択されたモニターポイントMsのZ座
標値Mszと、制限値記憶メモリ9cに記憶した侵入禁止
領域の境界の設定値Pczと、制御ユニット9の記憶装
置に予め記憶しておいた減速領域の範囲を示す距離(以
下、減速距離という)LDO及び油温センサ56からの検
出信号とに基づき算出された補正減速距離LDと、減速
関数(後述)とから、ブームシリンダ3aの伸び方向と
縮み方向、アームシリンダ3bの伸び方向と縮み方向に
対する減速指令信号KBU,KBD,KAU,KADを演算す
る。この演算内容を以下に説明する。まず、選択モニタ
ーポイントMsと侵入禁止領域の境界との間の距離LM
を計算する。図6ではモニターポイントM2が最も低い
位置にあるとして距離LMが計算されている。
【0028】次いで、減速距離LDOに補正ゲインKを乗
じて油温補正を行い、補正減速距離LDを求める。すな
わち、LD=K×LDOとなる。
【0029】この補正ゲインKの値を図7に示す。この
図に示されるように、油温センサ56で検出された作動
油温度が0℃以上ではK=1であるが、0℃より小さく
なるにつれてKの値は上昇し、マイナス20℃でK≒
1.5となっている。このようにして、油温が0℃より
低いほど減速距離は大きく補正され、例えばマイナス2
0℃では減速距離が1.5倍に拡大されることとなる
(以下、この補正減速距離で示される領域を、補正減速
領域という)。
【0030】その後、この補正減速距離LDと距離LMと
を比較し、LM>LDであれば選択モニターポイントMs
がまだ補正減速領域に入っていないので、減速指令信号
KBU,KBD,KAU,KADは全て1にする。LM≦LDであ
れば選択モニターポイントMsが補正減速領域に入って
いると判断し、下記の減速関数から減速指令信号KBU,
KBD,KAU,KADを演算する。
【0031】KBU=1 KBD=LM/LD KAU=LM/LD KAD=LM/LD 上記の減速関数を図8に示す。この図から分かるよう
に、ブームシリンダ3aの縮み方向に対する減速指令信
号KBDの減速関数、アームシリンダ3bの伸び方向及び
縮み方向に対する減速指令信号KAU,KADの減速関数
は、減速距離LD以下で距離LMが小さくなるにしたがっ
て減速指令信号が1から0まで直線的に小さくなるよう
に設定されている。
【0032】最大シリンダ速度演算部9fでは、予め制
御ユニット9の記憶装置に記憶しておいたブームシリン
ダ3aの伸び方向及び縮み方向の最大シリンダ速度VBU
max,VBDmaxとアームシリンダ3bの伸び方向及び縮み
方向の最大シリンダ速度VAUmax,VADmaxと、上記で計
算した減速指令信号KBU,KBD及びKAU,KADよりブー
ムシリンダ3aの伸び、縮み動作の減速最大シリンダ速
度VBUmaxc,VBDmaxcとアームシリンダ3bの伸び、縮
み動作の減速最大シリンダ速度VAUmaxc,VADmaxcを演
算する。この演算式を以下に示す。
【0033】VBUmaxc=KBU×VBUmax VBDmaxc=KBD×VBDmax VAUmaxc=KAU×VAUmax VADmaxc=KAD×VADmax 最大パイロット圧演算部9gでは最大シリンダ速度演算
部9fで演算した減速最大シリンダ速度VBUmaxc,VBD
maxc,VAUmaxc,VADmaxcと予め制御ユニット9の記憶
装置に記憶しておいた図9の(a),(b),(c)及
び(d)に示すようなパイロット圧とシリンダ速度のテ
ーブルよりブームシリンダ3aの伸び、縮み動作の減速
最大パイロット圧PBUmaxc,PBDmaxcと、アームシリン
ダ3bの伸び、縮み動作の減速最大パイッロト圧PAUma
xc,PADmaxcを演算する。
【0034】バルブ指令電流値演算部9hでは最大パイ
ロット圧演算部9gで演算したPBUmaxc,PBDmaxc,P
AUmaxc,PADmaxcと予め制御ユニット9の記憶装置に記
憶しておいた図10に示すようなパイロット圧と電流値
のテーブルより、ブームシリンダ3aの伸び、縮み動
作、アームシリンダ3bの伸び、縮み動作の速度を規定
する比例電磁弁10a,10b,11a,11bに対す
る指令電流値iBU,iBD,iAU,iADを演算する。
【0035】電流出力部9iでは、バルブ指令電流値演
算部9hで計算されたiBU,iBD,iAU,iADを図示せ
ぬ増幅器で増幅し、電気信号として比例電磁弁10a,
10b,11a,11bに出力する。ここで、減速制御
演算部9eで計算される減速指令信号がKBU=1,KBD
=1,KAU=1,KAD=1のときに最大パイロット圧演
算部9gで演算される減速最大パイロット圧PBUmaxc,
PBDmaxc,PAUmaxc,PADmaxcは操作パイロット圧の最
大圧力(パイロットポンプ元圧)に設定されており、減
速最大パイロット圧PBUmaxc,PBDmaxc,PAUmaxc,P
ADmaxcをパイロット圧の最大圧力にするときの指令電流
値iBU,iBD,iAU,iADは比例電磁弁10a,10
b,11a,11bをフルオープンにする電流値であ
る。また、KBU=0,KBD=0,KAU=0,KAD=0の
ときは減速最大パイロット圧PBUmaxc,PBDmaxc,PAU
maxc,PADmaxcを0にすることであり、このときの指令
電流値iBU,iBD,iAU,iADは比例電磁弁10a,1
0b,11a,11bをフルクローズにする電流値(シ
リンダ3a,3bが動作しない電流値)である。
【0036】以上の制御の流れを図11にフローチャー
トとして示す。図11において、手順400,410は
フロント姿勢演算部9bに相当し、手順200,50
0,510はモニターポイント選択演算部9dに相当
し、手順600〜630は減速制御演算部9eに相当
し、手順700は最大シリンダ速度演算部9fに相当
し、手順800〜820は最大パイロット圧演算部9g
に相当し、手順900はバルブ指令電流値演算部9hに
相当し、手順1000は電流出力部9iに相当する。な
お、手順300は安全のための初期設定である。
【0037】また、以上において、比例電磁弁10a,
10b又は11a,11bはパイロット操作装置4a,
4bの少なくとも1つとこれに対応する流量制御弁5a
又は5bとの間に設けられ、パイロット操作装置4a又
は4bから出力された操作パイロット圧を指令電流値に
応じて減圧して出力する電気式減圧弁を構成し、制御ユ
ニット9のフロント姿勢演算部9b、制限値記憶メモリ
9c、モニターポイント選択演算部9d、減速制御演算
部9e、最大シリンダ速度演算部9f、最大パイロット
圧演算部9g、バルブ指令電流値演算部9h、及び電流
出力部9iは、モニターポイントMsと侵入禁止領域と
の距離が所定の減速距離以下になったとき、モニターポ
イントMsと侵入禁止領域との距離が小さくなるに従っ
て小さくなるような指令電流値を計算して出力する減速
演算手段を構成する。また油温センサ56は、フロント
装置1Aの動作特性に影響を与える状態量を検出する検
出手段を構成し、減速演算手段を構成する減速制御演算
部9eは、この油温センサ56で検出された状態量であ
る作動油温度に応じて、減速距離を可変に設定する減速
距離設定手段を構成する。
【0038】次に、以上のように構成した本実施例の動
作を説明する。フロント装置1Aを下方に動かそうとし
てオペレータがブーム用及びアーム用のパイロット操作
装置4a,4bの操作レバーをそれぞれブーム下げ方向
及びアームクラウド方向に操作すると、ブーム下げ側の
パイロットライン44b及びアームクラウド側のパイロ
ットライン45aに操作パイロット圧が生成され、油圧
制御弁5a,5bが駆動され、フロント部材であるブー
ム1a及びアーム1bが動かされる。ブーム1a、アー
ム1b及びバケット1cの各関節角は位置検出手段であ
る角度検出器8a〜8cにより検出され、その検出信号
が制御ユニット9のフロント姿勢演算部9bに入力され
る。フロント姿勢演算部9bではこの入力信号によりモ
ニターポイントM1,M2の位置を演算し、モニターポ
イント選択部9dでは、フロント姿勢演算部9bで計算
されたモニターポイントM1,M2のZ座標値M1z,M
2zと、制限値記憶メモリ9cに記憶した侵入禁止領域の
境界の設定値Pczとから、モニターポイントM1,M2
と侵入禁止領域の境界との間の距離L1M,L2Mを計算
し、侵入禁止領域に近い方のモニターポイントを選択モ
ニターポイントMsとする。
【0039】減速制御演算部9eでは、モニターポイン
ト選択部9dで選択されたモニターポイントMsのZ座
標値Mszと、制限値記憶メモリ9cに記憶した侵入禁止
領域の境界の設定値Pczと、選択モニターポイントM
sと侵入禁止領域の境界との間の距離LMを計算し、また
制御ユニット9に予め記憶された減速距離LDOを油温セ
ンサ56からの検出信号に基づいて補正した補正減速距
離LDとこの距離LMとを比較し、選択モニターポイント
Msが補正減速領域に入っているかどうかを判断する。
【0040】このとき、フロント装置1Aがまだ低く下
がっておらず、選択モニターポイントMsが侵入禁止領
域から遠いときは、LM>LDであるので、減速制御演算
部9eでは選択モニターポイントMsが補正減速領域に
入っていないと判断し、KBU=1,KBD=1,KAU=
1,KAD=1の減速指令信号を生成し、これに応じて比
例電磁弁10a,10b,11a,11bをフルオープ
ンする。これによりブーム用の油圧制御弁5a及びアー
ム用の油圧制御弁5bにはパイロット操作装置4a,4
bで生成された操作パイロット圧がそのまま伝達され、
フロント装置1Aをオペレータの操作通りに動かすこと
ができる。
【0041】フロント装置1Aが侵入禁止領域に近づき
選択モニターポイントMsが補正減速領域に到達する
と、減速制御演算部9eではLM≦LDとなるので選択モ
ニターポイントMsが補正減速領域に入ったと判断さ
れ、距離LMに従って図8に示す減速関数から1より小
さい減速指令信号KBD,KAU,KADが生成される。そし
てこの減速指令信号に応じて比例電磁弁10b,11
a,11bが絞られ、ブーム及びアームの動作速度が減
じられる。そしてフロント装置1Aが更に侵入禁止領域
に近づき、侵入禁止領域の境界上まで来ると、比例電磁
弁10b,11a,11bがフルクローズされ、ブーム
シリンダ3a及びアームシリンダ3bの動きを止めてフ
ロント装置1Aを停止させる。このとき、比例電磁弁1
0b,11a,11bをフルクローズにし、流量制御弁
5a,5bを中立位置にし、ブームシリンダ3a及びア
ームシリンダ3bの動作を止めるという一連の動作の間
には、パイロットライン44b,45a,45b、及び
ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bへの配管内
の作動油の粘性により、ある程度の応答遅れが生じる。
このような応答遅れは、特に、作動油の粘性が低下する
低温時に顕著となる傾向がある。しかしながら本実施形
態においては、油温センサ56で作動油の温度が検出さ
れ、減速制御演算部9eで図7に示したテーブルに基づ
き補正ゲインKが設定されるとき、作動油の低温度側
(作動油の温度が0℃より低い場合)で補正ゲインKが
1より大きく設定され、これによって補正減速距離LD
が補正前の減速距離LDOより長く設定される。したがっ
てこの補正減速距離LDが長くなっている分、フロント
装置1Aが侵入禁止直前まで達したときには既に停止寸
前にまで十分減速されていることとなるので、この応答
遅れの影響がほとんど生じることなく、侵入禁止領域直
前の境界線上で確実に停止させることができる。
【0042】以上説明したように、本実施形態による作
業範囲制限制御装置によれば、作動油温度に応じて補正
した補正減速距離LDを用いてブーム及びアームの減速
制御を行うので、作動油温度のいかんを問わず、侵入禁
止領域へのフロント装置1Aの侵入を防止しつつ、侵入
禁止領域直前までの十分な掘削を行うことができる。
【0043】なお、本発明の作業範囲制限制御装置は上
述の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
一例として、フロント装置1Aの位置と姿勢に関する状
態量を検出する手段として回動角を検出する角度計を用
いたが、シリンダのストロークを検出してもよい。ま
た、侵入禁止領域を下方に設定した場合について説明し
たが、上方、前方に設定した場合についても同様であ
る。さらに、図7に示したテーブルでは、作動油の温度
が0℃以上で補正ゲインK=1としたが、応答遅れによ
る影響がほとんどないと見込まれるような高温領域では
逆に補正ゲインを1より小さくして補正減速距離LDを
比較的短く設定することもできる。この場合は、操作時
間が不必要に長くなるのを抑制できる効果がある。ま
た、フロント装置1Aの動作特性に影響を与える状態量
として作動油温度を例にとり、この作動油温度を油温セ
ンサ56で検出し、これに基づき図7のテーブルで示す
ような補正ゲインKを設定したが、この状態量はこれに
限られない。他の状態量に関する変形例を以下、順次説
明する。 フロント部材1Aの速度に基づき補正ゲインKを設定
する場合 例えば、前述した(C),(D)式の時間変化より、減速制御
演算部9eでモニターポイントM2の速度を求め、さら
に図12に示すテーブルに基づき補正ゲインKを設定す
る場合である。補正ゲインKは、モニターポイントM2
における速度に応じて1〜1.2の値をとるが、速度が
大きいほど大きな値となる。これは、速度が早いほど慣
性が大きいことから、正確に停止位置で停止させるには
早めに減速させる必要があるからである。このような補
正ゲインKの設定により、補正減速距離LDは最大1.
2倍に補正されることとなる。なお、これに限られず、
(A)(B)式の時間変化よりモニターポイントM1の速度を
求めたり、さらに角度検出器8a〜8cからの出力の時
間変化と寸法L1〜L5とによりブーム1a、アーム1
bの重心位置における速度を求め、同様のテーブルに基
づいて補正ゲインKを設定しても良い。またフロント部
材1Aのうち他の部分の速度を求めることも考えられ、
要は、フロント部材1Aのうち少なくとも1つの速度を
検出して補正ゲインKを設定すれば足りる。
【0044】なおこの場合、角度検出器8a,8b,8
c、フロント姿勢演算部9b、及び減速制御演算部9e
が、フロント装置1Aの動作特性に影響を与える状態量
を検出する検出手段を構成する。
【0045】操作レバー装置4a,4bの操作量に基
づき補正ゲインKを設定する場合 例えば、図1中に一点鎖線で示したように、操作レバー
装置4a,4bのパイロットライン44a,44b;4
5a,45bの操作パイロット圧を操作レバー30の操
作量として検出し検出信号を制御ユニット9へ出力する
圧力センサ59を設け、図13に示すテーブルに基づき
補正ゲインKを設定する場合である。補正ゲインKは、
操作レバー30の操作量に応じて1〜1.2の値をとる
が、操作量が大きいほど大きな値となる。これは、操作
量が大きいほど対応するフロント部材1Aの速度が速く
慣性が大きいことから、正確に停止位置で停止させるに
は早めに減速させる必要があるからである。このような
補正ゲインKの設定により、補正減速距離LDは最大
1.2倍に補正されることとなる。なおこの場合、圧力
センサ59が、フロント装置1Aの動作特性に影響を与
える状態量を検出する検出手段を構成する。
【0046】また、この図13はテーブルの一例を示し
ているが、実際は操作レバー装置4a,4bのテーブル
はそれぞれ別個に設けられる。さらに、図13のテーブ
ルでは、補正ゲインKの値が1〜1.2となっている
が、例えば0.8〜1.2としてもよい。この場合、操
作レバー30微操作時等における補正減速領域を小さく
することができ、ぎりぎりまでフロント部材1Aが動け
るようにして操作時間が不必要に長くなるのを抑制でき
る効果がある。
【0047】エンジン57の回転数に基づき補正ゲイ
ンKを設定する場合 例えば、図1中に一点鎖線で示したように、油圧ポンプ
2及びパイロットポンプ43を駆動するエンジン57の
回転数を検出し対応する検出信号を制御ユニット9へ出
力する回転数センサ58を設け、図14に示すテーブル
に基づき補正ゲインKを設定する場合である。補正ゲイ
ンKは、エンジン回転数の値に応じて1〜1.3の値を
とるが、エンジン回転数が大きいほど大きな値となる。
これは、エンジン回転数が大きいほど油圧ポンプ2から
の吐出流量が多くなりフロント部材1Aの速度が速くな
って慣性が大きくなることから、正確に停止位置で停止
させるには早めに減速させる必要があるからである。こ
のような補正ゲインKの設定により、補正減速距離LD
は最大1.3倍に補正されることとなる。
【0048】なおこの場合、回転数センサ58が、フロ
ント装置1Aの動作特性に影響を与える状態量を検出す
る検出手段を構成する。
【0049】作動油温度、アーム速度・ブーム速度、
操作レバー装置4a,4bの操作量、エンジン57の回
転数に基づき補正ゲインKを設定する場合 すなわち、図15に示すように、上記実施形態で説明し
たような作動油温度に基づく補正ゲインK1、変形例
で説明したようなフロント部材1Aの速度に基づく補正
ゲインK2、変形例で説明したような操作レバー装置
4a,bの操作量に基づく補正ゲインK3、変形例で
説明したようなエンジン57の回転数に基づく補正ゲイ
ンK4のうち最大のものを選択して最終的な補正ゲイン
Kとして用いる場合である。この場合、これら4つの状
態量のうち最も停止位置のズレに影響が出るものに基づ
いて補正減速距離を設定することとなるので、侵入禁止
領域へのフロント装置1Aの侵入や、侵入禁止領域手前
でのフロント装置1Aの停止を、最も有効かつ確実に防
ぐことができる効果がある。
【0050】なおこの場合、角度検出器8a,8b,8
c、フロント姿勢演算部9b、減速制御演算部9e、圧
力センサ59、及び回転数センサ58が、フロント装置
1Aの動作特性に影響を与える状態量を検出する検出手
段を構成する。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、検出手段がフロント装
置の動作特性の影響を与える状態量を検出し、さらに減
速距離設定手段が検出された状態量に応じて減速距離を
可変に設定する。よって、応答遅れによる影響がある程
度発生すると見込まれるような場合には減速距離を比較
的長く設定することとすれば、フロント装置が侵入禁止
直前まで達したときには既に停止する寸前にまで十分減
速されているので、侵入禁止領域直前の境界線上で確実
に停止させることができる。したがって、作業環境条件
に配慮せず単に減速領域のみを設定する従来構成のよう
に、侵入禁止領域へフロント装置が侵入するのを防止
し、またフロント装置の停止位置を手前側に移動させる
従来構成のように、侵入禁止領域手前でフロント装置が
止まるのを防止できる。すなわち、作業環境条件のいか
んを問わず、侵入禁止領域へのフロント装置の侵入を防
止しつつ、侵入禁止領域直前までの十分な掘削を行うこ
とができる。また逆に、例えば作動油の温度が比較的高
い場合、フロント部材の速度が比較的遅い場合、操作量
が比較的小さい場合、エンジン回転数が比較的小さい場
合等、応答遅れによる影響がほとんどないと見込まれる
ような場合には減速距離を比較的短く設定することとし
て、操作時間が不必要に長くなるのを抑制できる効果も
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による建設機械の作業範囲
制限制御装置を油圧駆動装置と共に示す図である。
【図2】本発明が適用される油圧ショベルの外観を示す
図である。
【図3】油圧パイロット方式の操作レバー装置の構成を
示す図である。
【図4】比例電磁弁の構造を示す図である。
【図5】本実施形態の制御ユニットの制御機能を示す機
能ブロック図である。
【図6】本実施形態の作業範囲制限制御で用いる座標系
と進入禁止領域の設定方法及び減速領域を示す図であ
る。
【図7】作動油温度と補正ゲインとの関係を表す図であ
る。
【図8】減速制御演算におけるモニターポイントと侵入
禁止領域との距離に対する減速指令信号の関係を示す図
である。
【図9】最大パイロット圧演算部におけるパイロット圧
とシリンダ速度の関係を示す図である。
【図10】バルブ指令電流値演算部におけるパイロット
圧と比例電磁弁に出力する電流値との関係を示す図であ
る。
【図11】制御ユニットの処理内容を示すフローチャー
トである。
【図12】変形例によるフロント部材速度と補正ゲイ
ンとの関係を表す図である。
【図13】変形例による操作レバー操作量と補正ゲイ
ンとの関係を表す図である。
【図14】変形例によるエンジン回転数と補正ゲイン
との関係を表す図である。
【図15】変形例による補正ゲインの算出方法を表す
図である。
【符号の説明】
1A フロント装置 1B 車体 1a ブーム 1b アーム 1c バケット 2 油圧ポンプ 3a ブームシリンダ 3b アームシリンダ 4a〜f 操作レバー装置 5a〜f 流量制御弁 7 設定器 8a〜c 角度検出器 9 制御ユニット 9a 侵入禁止領域演算部 9b フロント姿勢演算部 9c 制限値記憶メモリ 9d モニターポイント選択演算部 9e 減速制御演算部 9f 最大シリンダ速度演算部 9g 最大パイロット圧演算部 9h バルブ指令演算部 9i 電流出力部 10a〜11b 比例電磁弁(電気式減圧弁) 50a〜55b 油圧駆動部 56 湯温センサ 57 エンジン 58 回転数センサ 59 圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−35239(JP,A) 特開 平6−146326(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02F 3/43 E02F 9/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下方向に回動可能な複数のフロント部材
    により構成される多関節型のフロント装置と、前記複数
    のフロント部材を駆動する複数の油圧アクチュエータ
    と、前記複数のフロント部材の動作を指示する複数の操
    作手段と、前記複数の操作手段の操作に応じて駆動さ
    れ、前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の
    流量を制御する複数の流量制御弁とを備え、前記複数の
    操作手段が操作パイロット圧を出力し対応する流量制御
    弁を駆動する複数のパイロット操作装置である建設機械
    に備えられ、前記フロント装置に関して予め設定された
    モニターポイントと予め設定された侵入禁止領域との距
    離が所定の減速距離以下になったとき、該モニターポイ
    ントと侵入禁止領域との距離が小さくなるに従って小さ
    くなるような指令電流値を計算して出力する減速演算手
    段と、前記複数のパイロット操作装置の少なくとも1つ
    とこれに対応する複数の流量制御弁との間に設けられ、
    前記パイロット操作装置から出力された操作パイロット
    圧を前記指令電流値に応じて減圧して出力する電気式減
    圧弁とを備え、前記モニターポイントが前記侵入禁止領
    域に近づくと前記フロント装置を減速し、前記侵入禁止
    領域に到達すると前記フロント装置を停止させる建設機
    械の作業範囲制限制御装置において、 前記フロント装置の動作特性に影響を与える状態量を検
    出する検出手段と、 この検出手段で検出された状態量に応じて、前記減速距
    離を可変に設定する減速距離設定手段とを有することを
    特徴とする建設機械の作業範囲制限制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の建設機械の作業範囲制限
    制御装置において、前記検出手段は、前記建設機械にお
    ける作動油の温度を検出することを特徴とする建設機械
    の作業範囲制限制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の建設機械の作業範囲制限
    制御装置において、前記検出手段は、前記複数のフロン
    ト部材のうち少なくとも1つの速度を検出することを特
    徴とする建設機械の作業範囲制限制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の建設機械の作業範囲制限
    制御装置において、前記検出手段は、前記複数のパイロ
    ット操作装置のうち少なくとも1つの操作量を検出する
    ことを特徴とする建設機械の作業範囲制限制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の建設機械の作業範囲制限
    制御装置において、前記検出手段は、前記油圧アクチュ
    エータに供給される圧油の供給源である油圧ポンプを駆
    動するエンジンの回転数を検出することを特徴とする建
    設機械の作業範囲制限制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の建設機械の作業範囲制限
    制御装置において、前記検出手段は、前記建設機械にお
    ける作動油の温度、前記複数のフロント部材のうち少な
    くとも1つの速度、前記複数のパイロット操作装置のう
    ち少なくとも1つの操作量、及び前記油圧アクチュエー
    タに供給される圧油の供給源である油圧ポンプを駆動す
    るエンジンの回転数のうち、少なくとも2つを検出し、
    前記減速距離設定手段は、この検出された少なくとも2
    つの状態量のうち、前記フロント装置の動作特性により
    多くの影響を与えるものに応じて、前記減速距離を可変
    に設定することを特徴とする建設機械の作業範囲制限制
    御装置。
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