JP3453799B2 - カメラ用ミラーのバウンド防止装置 - Google Patents

カメラ用ミラーのバウンド防止装置

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JP3453799B2
JP3453799B2 JP19911793A JP19911793A JP3453799B2 JP 3453799 B2 JP3453799 B2 JP 3453799B2 JP 19911793 A JP19911793 A JP 19911793A JP 19911793 A JP19911793 A JP 19911793A JP 3453799 B2 JP3453799 B2 JP 3453799B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラに組込まれたミ
ラーのバウンドを防止するカメラ用ミラーのバウンド防
止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の装置は、図14に示す様
なものであった。図14において、不図示の主ミラー
は、半透過部を有し主ミラー保持枠202に固定されて
いる。203は支持部材であって、主ミラー保持枠20
2と一体になっている。支持部材203には軸205及
び206並びにピン207が固定されている。軸205
は、不図示のカメラ本体に回転可能に軸支されている。
サブミラー211は、サブミラー保持枠212に固定さ
れている。213はサブミラー支持部材であって、サブ
ミラー保持枠212と一体になっている。サブミラー支
持部材213は、軸206の回りに回転可能に軸支され
ている。ピン215は、サブミラー支持部材213に固
定されている。このピン215とピン207との間に、
トグルばね216が掛け渡されている。
【0003】軸227及び218並びにピン219、2
20及び224は、不図示のカメラ本体に固定されてい
る。偏心ピン221は、不図示のカメラ本体に回転調整
可能に取り付けられている。主ミラー受け222は、軸
218の回りに回転可能に取り付けられている。主ミラ
ー受け222は、腕222a及び222b、折り曲げ2
22c並びに摩擦面222dを有している。腕222a
は、偏心ピン221と接触してる。腕222bの先端部
には、ばね226の一端が取り付けられている。
【0004】折り曲げ222cは、主ミラー保持枠20
2と接触している。ブレーキレバー228は、軸227
の回りに回転可能に取り付けられ、接触面228aを有
している。ばね226の他端は、ブレーキレバー228
に取り付けられている。ばね226は、主ミラー受け2
22を軸218の回りに反時計方向に付勢し、ブレーキ
レバー228を軸227の回りに反時計方向に付勢して
いる。ばね226の付勢力によって、腕222aは偏心
ピン221に押し当てられ、接触面228aは摩擦面2
22dに押し当てられている。ミラー戻しばね230
は、一端を支持部材203に固定され、他端を不図示の
カメラ本体に固定されている。このミラー戻しばね23
0によって、主ミラー保持枠202は軸205の回りに
反時計方向に付勢されている。ここでばね226はミラ
ー戻しばね230より強い付勢力を有している。
【0005】次に、従来技術の作動を説明する。公知の
方法によって露出が完了すると、主ミラー保持枠202
はミラー戻しばね230の付勢力によって軸205の回
りに反時計方向に回転復帰してくる。そして主ミラー保
持枠202と折り曲げ222cとが衝突する。この衝撃
力によって主ミラー受け222は、ばね226に抗して
時計方向に回転する。一方、主ミラー保持枠202は反
時計方向に回転を続けピン224と衝突する。そしてこ
こでミラー戻しばね230に抗して時計方向に大きくバ
ウンドする。サブミラー211は、このバウンドに追従
した動きをする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来技術に
おいて、レンズを通って来た光りS1 の一方は主ミラー
で反射されてファインダーへ向かう光りS2 となり、他
方は主ミラーの半透過部分を通ってサブミラー211に
よって反射されて測光測距手段232へ向かう光りS3
となる。主ミラー保持枠202がピン224に衝突して
時計方向に大きくバウンドすると、サブミラー211は
このバウンドに追従した動きをするから、測光測距手段
232へ向かう光りS3 の方向が変化してしまう。この
ようなバウンド中に測光測距を行うと、測光値や測距値
に誤差を生じてしまう。このため従来は、バウンドがお
さまるまで測光測距の開始を待たねばならず、オートフ
ォーカスで被写体を追尾しながらの連写撮影で単位時間
当たりの撮影枚数を多くしようとする場合に障害となっ
ていた。
【0007】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
もので、ミラーダウン後のバウンド時間を短縮すること
で測光測距の開始を早め、これによってオートフォーカ
スで被写体を追尾しながらの連写撮影において単位時間
当たりの撮影枚数を多くすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装置
は、観察位置と撮影位置との間を往復回動可能なミラー
部材と、ミラー部材が衝突した時に回転運動をして衝撃
を吸収すると共に、ミラー部材を所定回動角に位置規制
するためのミラー受け部材と、ミラー受け部材のカメラ
本体に対する相対移動を制動するための制動部材とを有
し、ミラー部材がミラー受け部材に衝突してバウンドす
るバウンド時間が、ミラー受け部材を固定した場合のバ
ウンド時間よりも短くなるように、ミラー受け部材及び
/又はミラー部材の慣性モーメントを決めるように構成
されている。
【0009】
【作用】上記構成のカメラ用ミラーのバウンド防止装置
においては、ミラー部材がミラー受け部材に衝突してバ
ウンドするバウンド時間が、ミラー受け部材を固定した
場合のバウンド時間よりも短くなるように、ミラー受け
部材及び/又はミラー部材の慣性モーメントを決めるよ
うにしたので、ミラーダウン後のバウンド時間を短縮す
ることができ、これにより、測光測距の開始を早めるこ
とができ、オートフォーカスで被写体を追尾しながらの
連写撮影において単位時間当たりの撮影枚数を多くする
ことが可能となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
するが、その前に図1によってバウンド防止装置の原理
について説明する。
【0011】図1において、物体mA は軸Aを中心にし
て角速度ベクトルωA で回転している。物体mB は軸B
を中心にして角速度ベクトルωB で回転している。いま
軸Aを原点として、軸Aから軸Bへ向かう方向にX軸を
とり、これと直角な方向にY軸をとる。さらに図1の紙
面に垂直な方向をZ軸にとる。物体mA の慣性モーメン
トをIA で表し、物体mB の慣性モーメントをIB で表
す。物体mA と物体mB とが点Pc で衝突したときの点
Pc における共通法線を線QQとする。また線QQの方
向余弦をベクトルλで表す。衝突によって、物体mA に
作用する力積をベクトル∫F2dt 、物体mB に作用する
力積をベクトル∫F1dt とする。位置ベクトルrAP、r
BP、rB 及び各成分は図1のようにとる。
【0012】物体mA に角運動量保存の法則を適用す
る。 IA ωA +rAP×∫F2dt =IA ωA´ ・・・・・・・・・(1)
【0013】物体mB に角運動量保存の法則を適用す
る。 IB ωB +rBP×∫F1dt =IB ωB´ ・・・・・・・・・(2) ここでωA´、ωB´はそれぞれ物体mA 、物体mB の衝
突後の角速度ベクトルを表す。
【0014】図1より、位置ベクトルrAP、rBP、rB
には、 rBP=rAP−rB ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) の関係が成り立っている。
【0015】点Pc において作用反作用の法則を適用す
る。
【0016】 ∫F1dt =−∫F2dt ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4) 衝突前の物体mA 、物体mB において、点Pc における
速度のλ方向成分を(va)λ、(vb)λで表す。衝突後の物
体mA 、物体mB において、点Pc における速度のλ方
向成分を(va)λ´、(vb)λ´で表す。そして点Pc にお
ける反発係数をeとすると、 e=〔(vb)λ´−(va)λ´〕/〔(va)λ−(vb)λ〕 ・・・・(5) が成り立つ。
【0017】ここで、 (va)λ=(ωA ×rAP)・λ ・・・・・・・・・・・・・・(6) (vb)λ=(ωb ×rbP)・λ ・・・・・・・・・・・・・・(7) (va)λ´=(ωA´×rAP)・λ ・・・・・・・・・・・・・(8) (vb)λ´=(ωb´×rbP)・λ ・・・・・・・・・・・・・(9) の関係がある。
【0018】この式(1)〜(9)を用いて角速度ベク
トルωA´、ωB´のZ軸方向成分ωAZ´、ωBZ´を求め
ると、
【0019】
【0022】 となる。
【0025】ただしここで、 C1 =−yp λx +(xp −xB )λy ・・・・・・・(12) C2 =−yp λx +xp λy ・・・・・・・・・・・・(13)
【0026】式(10)において衝突前に物体mB は停
止しているものとし、衝突後は物体mA が停止するとす
る。そのときは、 ωBZ=ωAZ´=0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(14) であるから、 C12IA =e C22IB ・・・・・・・・・・・・・・・(15) となる。
【0027】すなわち式(15)が成り立てば、衝突前
に運動していた物体mA は衝突によって停止することに
なる。
【0028】物体mA を主ミラー保持枠202側の部材
と考え、物体mB を主ミラー受け222側の部材とみな
して、ほぼ式(15)が成り立つように設計すればバウ
ンド防止装置となることが解る。
【0029】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0030】図2は、本発明によるカメラ用ミラーのバ
ウンド防止装置の第1実施例を示す斜視図である。図6
は図2をE方向から見た側面図である。
【0031】図2において、一眼レフカメラの主ミラー
1は、不図示のファインダーを通して被写体を観察可能
な位置にある。主ミラー1は半透過部1aを有し、主ミ
ラー保持枠2に固定されている。3及び4は支持部材で
あって、主ミラー保持枠2と一体になっている。支持部
材3には、軸5及び6並びにピン7が固定されている。
支持部材4には、軸8及び9並びにピン10が固定され
ている。軸5及び8は、不図示のカメラ本体に回転可能
に軸支されていて、その中心線は共にLL線である。サ
ブミラー11は、サブミラー保持枠12に固定されてい
る。13及び14はサブミラー支持部材であって、サブ
ミラー保持枠12と一体になっている。サブミラー支持
部材13は、軸6の回りに回転可能に軸支されている。
ピン15はサブミラー支持部材13に固定されている。
このピン15とピン7との間にトグルばね16が掛けて
ある。
【0032】サブミラー支持部材14は、軸9回りに回
転可能に軸支されている。軸6及び9の中心線は、共に
MM線である。軸17及び18並びにピン19及び20
は、不図示のカメラ本体に固定されている。偏心ピン2
1は、不図示のカメラ本体に回転調整可能に取り付けら
れている。主ミラー受け22及び慣性レバー23は、共
に軸18の回りに回転可能に取り付けられている。この
両者は一端がピン24によって結合されているため、一
体となって運動する。主ミラー受け22の腕22aは偏
心ピン21と接触していて、その先端部にはばね26の
一端が取り付けられている。
【0033】ピン25は主ミラー受け22に固定されて
いて、先端部は主ミラー保持枠2と接触している。慣性
レバー23は円弧形状の摩擦面23aを有し、重り27
が取り付けられている。ブレーキレバー28は軸17の
回りに回転可能に取り付けられ、接触面28aを有し、
先端にはピン29が固定されている。ばね26の他端は
このピン29に掛けてある。ばね26は、主ミラー受け
22を軸18の回りに反時計方向に付勢し、ブレーキレ
バー28を軸17の回りに時計方向に付勢している。こ
の付勢力によって、腕22aは偏心ピン21に押し当て
られ、接触面28aは摩擦面23aに押し当てられてい
る。ミラー戻しばね30は一端がピン7に固定され、他
端が不図示のカメラ本体に固定されている。このミラー
戻しばね30によって、主ミラー1は軸5及び8の回り
に反時計方向に付勢されている。この付勢力によって、
主ミラー保持枠2はピン25に押し当てられている。
【0034】ばね26は、ミラー戻しばね30より強い
付勢力を有している。駆動レバー31は、不図示のカメ
ラ本体に取り付けられている。ピン10はこの駆動レバ
ー31の運動軌跡内にある。
【0035】次に、本発明の動作を説明する。
【0036】不図示のレリーズ釦が押されると、駆動レ
バー31は図2のG方向に動きピン10と係合して主ミ
ラー1を上昇させる。このとき主ミラー1はミラー戻し
ばね30に抗して軸5及び8の回りに時計方向に回動す
る。やがて図3に示すように、サブミラー保持枠12と
ピン20とが非接触状態になると、ミラー支持部材13
は、トグルばね16の付勢力によって軸6の回りに反時
計方向に回転し、ミラー支持部材13の腕13aとピン
19とが接触状態になる。さらに主ミラー1が上昇する
と、図4に示すように、軸6とピン7の中心を結ぶNN
線に関してピン15が図3とは反対側に来る。
【0037】するとトグルばね16の付勢力はミラー支
持部材13を軸6回りに時計方向に回転させるように作
用する。これによって今度はミラー支持部材13の腕1
3bとピン19とが接触するようになる。そして主ミラ
ー1が上昇を完了すると図5のように、カメラ本体に固
定されているストッパー33に接触して停止する。この
ときサブミラー保持枠12と主ミラー保持枠2とは、ト
グルばね16の付勢力によって接触し半透過部1aは遮
光される。このあと不図示のシャッタが作動して露出を
行う。露出完了後、駆動レバー31は図2のGとは反対
方向に動く。これに追従して、主ミラー1はミラー戻し
ばね30の付勢力によって軸5及び8の回りに反時計方
向に回転し、観察位置に戻る。
【0038】図6は主ミラー1が下降してきて、ピン2
5と主ミラー保持枠2とが衝突した瞬間を示している。
ここで主ミラー側の部材と主ミラー受け側部材との間に
式(15)がほぼ成り立つように重り27が取り付けて
あるから、衝突後主ミラー側の部材はほとんど停止して
しまい、主ミラー受け側の部材は軸18の回りに時計方
向に回転するようになる。主ミラー側の部材とは、ミラ
ー戻しばね30の付勢力によって主ミラー1が観察位置
に戻る際に運動する全ての部材(すなわち図1において
物体mA に相当する部材)を含む。また主ミラー受け側
部材とは、衝突によってピン25が受けた衝撃力により
運動する全ての部材(すなわち図1において物体mB に
相当する部材)を含む。
【0039】この衝突によって主ミラー受け側部材の得
た運動エネルギーは、ばね26の歪みエネルギーとして
蓄えられるとともに、接触面28aと摩擦面23aとの
間の摩擦力によって消散される。やがて主ミラー受け側
部材は時計方向回転を停止し、こんどはばね26の付勢
力によって反時計方向回転を始める。そしてピン25と
主ミラー保持枠2とは第2回目の衝突を行うが、このと
きは接触面28aと摩擦面23aとの間の摩擦力によっ
て、主ミラー受け側部材の運動エネルギーは十分消散さ
れている。このため主ミラー側部材は殆どバウンドしな
い。
【0040】図7は実際のカメラにおいて実験した結果
である。実験は図2に示す不図示のレンズを通過してき
た光りS1 のうち、測光測距手段32へ向かう光りS3
がミラーダウン後のバウンドによって変化するのを、測
光測距手段32を用いて観察た。ミラーダウン後のバウ
ンドが収まれば、測光測距手段32へ向かう光りS3も
安定するから、測光測距手段32の出力も安定する。そ
こで測光測距手段32の出力が安定するまでの時間をも
ってミラーダウン後のバウンド時間とみなし、図7の縦
軸にとった。また横軸には主ミラー受け側部材の慣性モ
ーメントをとってある。図中破線で示した固定のときと
は主ミラー受け側部材をカメラ本体に固定したときのバ
ウンド時間を表す。実験にあたっては、必ずしも光りS
3 を測定しなくても、例えば主ミラーで反射した光りS
2 をファインダー側にある測光測距手段32´によって
測定してもよい。
【0041】図8は主ミラー1を45°位置に調整する
方法を示している。いま偏心ピン21を21´に回転す
ると、主ミラー受け22はばね26の付勢力によって、
軸18の回りに反時計方向に回転し、22´の位置に来
る。すると衝突点CはC´に移動し、衝突点Cにおける
共通法線PPはP´P´となる。これは式(12)(1
3)のC1 、C2 の値が変わることを意味する。すると
バウンド防止の条件式(15)も変わることになる。さ
らに衝突点CがC´に移動するから反発係数eも変化す
る。また図7の実験結果より、バウンド時間についてこ
れが最小となる点(Bmin 点付近)の存在することが明
らかとなった。なおかつ、バウンド時間が最小となる点
(Bmin 点付近)を境にして、主ミラー受け22の慣性
モーメントが大きいとき(横軸方向右側)の方が、小さ
いとき(横軸方向左側)よりもバウンド時間が短くなり
(縦軸の下側になり)、好ましい結果が得られることが
明らかとなった。
【0042】なお、実際のカメラ用ミラーでは、サブミ
ラー11等が存在するためバウンド防止の原理式(1
5)における慣性モーメントIA の値を簡単に求めるこ
とは困難であるから、前記実験のように慣性モーメント
IB の値を種々変えてバウンド時間を測定し、その結果
から適切な慣性モーメントIB の値を求めてもよい。
【0043】図9は、本発明によるカメラ用ミラーのバ
ウンド防止装置の第2実施例を示す正面図及び側面図で
あり、重り27と軸18との距離を調整可能とした例で
ある。図9aは図2のE方向から見た正面図である。図
9bは図9aの側面図であって、慣性レバー23は断面
とした。
【0044】図9において、重り27は偏心軸27aを
有している。この偏心軸27aは慣性レバー23に回転
調整可能にカシメられている。偏心軸27aを中心にし
て重り27を回転すると、図9aに二点鎖線27´で示
したように、重り27と軸18との距離を調整できる。
【0045】図10は、本発明によるカメラ用ミラーの
バウンド防止装置の第3実施例を示す側面図である。図
10において、ねじ軸27eは慣性レバー23に固定し
てあり、そのねじ部27fに重り27b、27c及び2
7dを取り付けてある。このような構造にしてあれば、
重り27b、27c及び27dの枚数によって質量を調
整できる。
【0046】図11は、本発明によるカメラ用ミラーの
バウンド防止装置の第4実施例を示す正面図である。
【0047】図11において、慣性レバー23に歯車2
3bを設け、これと噛み合う歯車101はカメラ本体に
固定された軸100のまわりに回転可能である。摩擦板
102は歯車101と一体に形成され、軸100のまわ
りに回転可能である。摩擦板102の摩擦面102aは
接触面28aに押し当てられている。ばね105の一端
は摩擦板102に取付けられ、他端はカメラ本体に固定
されている。このばね105によって摩擦板102は軸
100の回りに時計方向に付勢されている。このばね1
05は慣性レバー23が時計方向に回転しようとすると
きの噛み合い部分にガタがないようにしている。このよ
うな構成の場合に、歯車101及び摩擦板102は、慣
性レバー23の回転軸18とは異なった軸100の回り
に回転することになるが、図1における物体mB の慣性
モーメントIB の一部を成すものとみなせる。したがっ
て歯車23bと歯車101とのギア比を変えることによ
って、慣性モーメントIB を調整できる。また摩擦板1
02の質量や形状を変えることによっても慣性モーメン
トIB を調整できる。
【0048】図12は、本発明によるカメラ用ミラーの
バウンド防止装置の第5実施例を示す正面図である。
【0049】図12において、慣性レバー23には長穴
23cが設けられ、これと摺動するピン104bは摩擦
板104に固定されている。摩擦板104はカメラ本体
に固定された軸103のまわりに回転可能である。摩擦
板104の摩擦面104aは接触面28aに押し当てら
れている。ばね106の一端は摩擦板104に取付けら
れ、他端はカメラ本体に固定されている。このばね10
6によって摩擦板104は軸103の回りに時計方向に
付勢されている。このばね106は慣性レバー23が時
計方向に回転しようとするときのピン104bと長穴2
3cの填め合せ部にガタがないようにしている。このよ
うな構成の場合にも、摩擦板104は慣性レバー23の
回転軸18とは異なった軸103の回りに回転すること
になるが、図1における物体mB の慣性モーメントIB
の一部を成すものとみなせる。したがって、摩擦板10
4と慣性レバー23とのレバー比R1 :R2 を変えるこ
とによって、慣性モーメントIB を調整できる。また摩
擦板104の質量や形状を変えることによっても慣性モ
ーメントIB を調整できる。
【0050】図13は、本発明によるカメラ用ミラーの
バウンド防止装置の第6実施例を示す正面図及び側面図
であり、図9に示したような慣性モーメント調整手段を
主ミラー側部材に設けたものである。図13aは図2の
E´方向から見た正面図であり、図13bは図13aの
側面図であるが支持部材4は断面で示されている。
【0051】図13において、ピン10は、係合部10
a、重り部10b及び軸部10cから成り立っている。
10aは駆動レバー31と係合可能である。軸部10c
は、支持部材4に回転可能にカシメられている。係合部
10aと軸部10cとは同軸であって、重り部10bの
みが間隔R3 だけ偏心している。したがって第2実施例
と同様にピン10を回転すると重り部10bは軸8に対
して相対位置が変わる。これは図1及び式(15)にお
ける慣性モーメントIA を調整したことになる。
【0052】以上で説明した実施例によれば、ミラーダ
ウン後のバウンド時間を短縮できるから測光測距の開始
を早められ、これによってオートフォーカスで被写体を
追尾しながらの連写撮影において単位時間当たりの撮影
枚数を多くすることができる。またマニュアルフォーカ
スで連写撮影する場合にもバウンド時間を短くできるか
ら、撮影者がマニュアルフォーカスでピント合わせをし
ながら連写撮影しようとするとき被写体を見やすくでき
る。さらに慣性モーメントの調整手段を有していれば、
主ミラーの45°調整によってバウンド防止条件が変化
しても、これを補正できる。またさらに実験結果からバ
ウンド時間が最も短くなるように調整できる。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明のカメラ用ミラー
のバウンド防止装置によれば、ミラーダウン後のバウン
ド時間を短縮することで測光測距の開始を早め、これに
よってオートフォーカスで被写体を追尾しながらの連写
撮影において単位時間当たりの撮影枚数を多くすること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の原理について説明する概念図である。
【図2】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す側面図である。
【図4】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す側面図である。
【図5】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す側面図である。
【図6】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す側面図である。
【図7】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す特性図である。
【図8】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第1実施例を示す側面図である。
【図9】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止装
置の第2実施例を示す正面図及び側面図である。
【図10】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止
装置の第3実施例を示す側面図である。
【図11】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止
装置の第4実施例を示す正面図である。
【図12】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止
装置の第5実施例を示す正面図である。
【図13】本発明によるカメラ用ミラーのバウンド防止
装置の第6実施例を示す正面図及び側面図である。
【図14】従来のカメラ用ミラーのバウンド防止装置の
一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 主ミラー 2 主ミラー保持枠 3 支持部材 4 支持部材 11 サブミラー 12 サブミラー保持枠 13 サブミラー支持部材 14 サブミラー支持部材 21 偏心ピン 23 慣性レバー 23a 摩擦面 27a 偏心軸 28 ブレーキレバー 28a 接触面 31 駆動レバー 32 測光測距手段 33 ストッパー 102 摩擦板 102a 摩擦面 104 摩擦板 104a 摩擦面

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】観察位置と撮影位置との間を往復回動可能
    なミラー部材と、 前記ミラー部材が衝突した時に回転運動をして衝撃を吸
    収すると共に、前記ミラー部材を所定回動角に位置規制
    するためのミラー受け部材と、 前記ミラー受け部材のカメラ本体に対する相対移動を制
    動するための制動部材とを有し、 前記ミラー部材が前記ミラー受け部材に衝突してバウン
    ドするバウンド時間が、前記ミラー受け部材を固定した
    場合のバウンド時間よりも短くなるように、前記ミラー
    受け部材及び/又は前記ミラー部材の慣性モーメントを
    決めることを特徴とするカメラ用ミラーのバウンド防止
    装置。
  2. 【請求項2】前記ミラー受け部材の慣性モーメントを調
    節するための調節手段を設けたことを特徴とする請求項
    1に記載のカメラ用ミラーのバウンド防止装置。
  3. 【請求項3】前記ミラー部材の慣性モーメントを調節す
    るための調節手段を設けたことを特徴とする請求項1に
    記載のカメラ用ミラーのバウンド防止装置。
  4. 【請求項4】前記ミラー受け部材の慣性モーメントが、
    前記バウンド時間が最少となるときの前記ミラー受け部
    の慣性モーメントよりも大きいことを特徴とする請求
    項1に記載のカメラ用ミラーのバウンド防止装置。
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