JP3453429B2 - トナー用架橋ポリエステル樹脂 - Google Patents

トナー用架橋ポリエステル樹脂

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JP3453429B2
JP3453429B2 JP17968294A JP17968294A JP3453429B2 JP 3453429 B2 JP3453429 B2 JP 3453429B2 JP 17968294 A JP17968294 A JP 17968294A JP 17968294 A JP17968294 A JP 17968294A JP 3453429 B2 JP3453429 B2 JP 3453429B2
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伸司 久保
陽一 永井
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法、静電印刷法などにおいて、静電荷像または磁気潜像
の現像に用いられる乾式トナーとして有用なポリエステ
ル樹脂に関し、より詳しくは、高いタフネスを有し、低
温定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および耐
刷性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂に関する。 【0002】 【従来の技術】静電荷像より恒久的な顕像を得る方法に
おいては、光導電性感光体または静電記録体上に形成さ
れた静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナー
によって現像した後、定着される。磁気潜像の場合は、
磁気ドラム上の潜像を磁性体を含むトナーによって現像
した後、定着される。定着は、光導電性感光体または静
電記録体上に現像によって得られたトナー像を直接融着
させるか、紙やフィルム上にトナー像を転写した後、こ
れを転写シート上に融着させることによって行われる。
トナー像の融着は、溶剤蒸気との接触、加圧および加熱
によって行われ、加熱方式には、電気オーブンによる無
接触加熱方式と加圧ローラーによる圧着加熱方式がある
が、定着工程の高速化が要請される最近では主として後
者が用いられている。 【0003】乾式現像方式で使用されるトナーには、1
成分系トナーと2成分系トナーがある。2成分系トナー
は、まず樹脂、着色剤、荷電制御剤およびその他必要な
添加剤を溶融混練して十分に分散させた後、粗粉砕し、
次いで微粉砕して、所定の粒度範囲に分級して製造され
る。1成分系トナーは、上記の2成分系のトナーの各成
分の他に磁性鉄粉を添加して同様に製造される。 【0004】樹脂は、トナー配合中の主成分であるた
め、トナーに要求される性能の大部分を支配する。この
ためトナー用樹脂には、トナー製造においては溶融混練
工程での着色剤の分散性、粉砕工程での粉砕性の良い事
などが要求され、またトナーの使用においては定着性、
オフセット性、ブロッキング性および電気的性質が良い
ことなど多用な性能が要求される。トナーの製造に用い
られる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル系樹脂などが公知で
あるが、圧着加熱定着方式用は主にスチレンと(メタ)
アクリル酸エステルの共重合体が用いられてきた。 【0005】しかし、複写機やプリンターが高性能化す
るにつれて、そのトナー用樹脂に要求される性能のポイ
ントも変化してきている。特に非磁性1成分系トナー
は、トナーを帯電させる時に強いシェアをかけるので、
トナーバインダー樹脂にかなりのタフネスが要求され
る。ポリエステル系架橋樹脂は、スチレンと(メタ)ア
クリル酸エステルの共重合体に比べて樹脂のタフネスは
高く、この分野に適しているが、樹脂のタフネスを上げ
ると定着性能が低下する欠点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な欠点を解消するためになされたものであり、その目的
とするところは、高いタフネスを有するとともに、低温
定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および耐刷
性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂を提供するこ
とにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を進めた結果、酸成分およびアル
コール成分に特定量の特定成分を使用するとともに特定
のトリオール化合物を重合体成分として含み、特定の物
性を有するポリエステル樹脂がその目的を達成できるこ
とを見い出し、本発明を完成した。すなわち、本発明
は、(a)芳香族ジカルボン酸成分、(b)3価以上の
多価カルボン酸成分および/または多価アルコール成分
の少なくとも1種、(c)下記の一般式(I)で表わさ
れる芳香族ジオールの少なくとも1種、(d)脂肪族ジ
オール成分、および(e)下記の一般式(II)で表わされ
るトリオール化合物の少なくとも1種からなり、上記
(b)成分が全酸成分に対して0〜20モル%、上記
(c)成分が全酸成分に対して90モル%以下、上記
(d)成分が全酸成分に対して10モル%以上、上記
(e)成分が全酸成分に対して0.05モル%以上10
モル%以下である非線状重縮合体であって、ガラス転移
温度が40〜80℃、軟化温度が90〜170℃である
ことを特徴とするトナー用架橋ポリエステル樹脂にあ
る。 【0008】 【化3】 【0009】 【化4】 【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において用いられる芳香族ジカルボン酸(a)は、
テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
およびその低級アルキルエステルから選ばれるものであ
る。テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキルエ
ステルの例としては、ジメチルテレフタル酸、ジメチル
イソフタル酸、ジエチルテレフタル酸、ジエチルイソフ
タル酸、ジブチルテレフタル酸、ジブチルイソフタル酸
などが挙げられるが、コストおよびハンドリングの点で
ジメチルテレフタル酸やジメチルイソフタル酸が好まし
い。上記の芳香族ジカルボン酸は、ガラス転移温度(以
下、Tgと略記する。)を上げて耐ブロッキング性の向
上に寄与し、それの持つ疎水性のため耐湿性にも効果が
ある。したがって、芳香族ジカルボン酸は、全酸成分に
対して80モル%以上、好ましくは90モル%以上使用
される。芳香族ジカルボン酸の中でもイソフタル酸系は
反応性を高める効果があるが、コストの面より、全酸成
分中50モル%以下の使用が好ましく、またテレフタル
酸は、樹脂のTgをアップさせるのに効果があり、全酸
成分中50モル%以上の使用が好ましい。上記の(a)
成分は1種または2種以上を併用して使用される。 【0011】本発明においては、多官能成分として3価
以上の多価カルボン酸成分および/または多価アルコー
ル(b)と後述の上記の一般式(II)で表わされるトリオ
ール化合物(e)が使用される。 【0012】本発明において用いられる3価以上の多価
カルボン酸および/または多価アルコール(b)は、3
価以上の多価カルボン酸および多価アルコールから選ば
れるものである。3価以上の多価カルボン酸の例として
は、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シ
クロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレン
トリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,
7,8−オクタンテトラカルボン酸およびこれらの酸無
水物などを挙げることができる。多価アルコールの例と
しては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサテトラ
ロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、
庶糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペ
ンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパント
リオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオー
ル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げ
られ、これらの1種または2種以上を併用して使用され
る。 【0013】本発明においては、多官能成分として上記
の(b)成分の外に、上記の一般式(II)で表わされるト
リオール化合物(e)を使用しているため、該トリオー
ル化合物(e)だけで十分な量範囲にあれば、上記の
(b)成分は必ずしも使用する必要はない。しかし、上
記の(b)成分を全酸成分に対して20モル%以下、好
ましくは2〜10モル%の範囲で使用することにより、
樹脂のTgを高めるとともに、樹脂に凝集性を付与し、
非オフセット性を高めることができるものである。
(b)成分の使用量が20モル%を超えると架橋反応を
制御することが困難となり、また、樹脂のタフネスを低
下させることになり好ましくない。また、上記の一般式
(II)で表されるトリオール化合物(e)と上記の(b)
成分の合計は2モル%以上30モル%以下が望ましく、
より好ましくは2モル%以上15モル%以下である。こ
れは、(b)成分と(e)成分との合計が、2モル%未
満では十分な効果が得られないためであり、30モル%
を超えると架橋反応を制御することが困難になり、ポリ
エステル樹脂のタフネスを低下させる傾向にあるためで
ある。 【0014】本発明において用いられる芳香族ジオール
(c)は、上記の一般式(I)で表わされる芳香族ジオ
ールの少なくとも1種が使用される。上記の一般式
(I)で表される芳香族ジオールの例として、ポリオキ
シエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.
0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエ
チレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−
(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキ
シエチレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(3.
3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、
1種または2種以上を併用して使用される。これらの中
でも、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびポリオキシ
プロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンの使用が特に好ましい。 【0015】芳香族ジオールはTgを上げる効果がある
ため、耐ブロッキング性が良好となる。これらの芳香族
ジオールは、反応性が乏しく全酸成分に対して80モル
%以上用いると反応性が極めて低下し、生産性が低下す
るようになる。従って、芳香族ジオールは、全酸成分に
対して90モル%以下、好ましくは80モル%以下の範
囲で使用される。 【0016】また、本発明において用いられる脂肪族ジ
オール(d)としては、エチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン
ジメタノール、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、
定着性の点からエチレングリコール、ネオペンチルグリ
コールが好ましい。特にエチレングリコールは反応性を
高めることができる。脂肪族ジオールは、全酸成分に対
し10モル%以上、好ましくは30モル%以上の範囲で
使用される。上記の(a)成分は、1種または2種以上
を併用して使用される。 【0017】本発明において用いられる上記の一般式(I
I)で表わされるトリオール化合物(e)は、樹脂に架橋
構造を付与して樹脂の凝集性を高めるとともに非オフセ
ット性を高め、さらに樹脂のタフネスをある程度維持し
たまま、定着性を向上させる効果がある。 【0018】上記の一般式(II)で表されるトリオール化
合物(e)の例としては、例えば市販されているプラク
セル308(ダイセル化学工業(株)製品)が挙げられ
る。上記の(e)の成分の使用量は、全酸成分に対して
0.05モル%以上10モル%以下、好ましくは0.1
モル%以上6モル%以下である。10モル%を超えて使
用するとポリマーの主鎖が十分に成長しない内に、ゲル
化点に達して網目構造を形成し始めるために、ポリマー
の溶融粘度自体は高くなるが、樹脂のタフネスが低下
し、また、ポリカプトラクトン構造のブロック共重合量
が高くなるために、Tgの低下が大きくなり、定着性
能、タフネスおよび耐ブロッキング性のバランスが崩れ
てしまうので好ましくない。また、一方、0.05モル
%未満の使用では定着性の向上効果が得られない。 【0019】また、本発明においては、上記以外の重合
成分も、その必要性能に応じて本発明の目的を阻害しな
い範囲で、併用して使用することができる。一般に、ポ
リエステル樹脂の原料として公知のモノマーは、本発明
の効果を保つ範囲で、使用してさしつかえない。例え
ば、ジカルボン酸成分として、セバシン酸、イソデシル
琥珀酸、フマル酸、アジピン酸、およびこれらのモノメ
チル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルなどが
使用できる。 【0020】これらの2価カルボン酸は、トナーの定着
性および耐ブロッキング性に影響を与える。脂肪族系の
セバシン酸やアジピン酸は、定着性は向上するが、Tg
の低下をもたらすため耐ブロッキング性が低下するよう
になる。この傾向は、脂肪族酸の場合、長鎖のモノマー
程強い。従って、これらの特性を考慮して使用する必要
がある。 【0021】以上の構成からなる本発明のトナー用ポリ
エステル樹脂は、Tgが40〜80℃、好ましくは50
〜70℃、軟化温度が90〜170℃、好ましくは95
〜160℃であることが重要である。 【0022】これは、Tgが40℃未満では、耐ブロッ
キング性が悪く、一方、Tgが80℃を超えると耐ブロ
ッキング性は良好であるが、定着性能が著しく低下し、
また、軟化温度が90℃未満では、定着性能は向上する
が、樹脂の凝集力が極端に低下し、十分な非オフセット
性が得られなくなり、一方、軟化温度が170℃を超え
ると非オフセット性は向上するが、定着性能が極端に悪
くなるためである。 【0023】本発明のトナー用架橋樹脂のタフネス指標
は、250μm以上600μm以下である事が好まし
い。タフネス指標が250μm未満の樹脂を用いたトナ
ーは、トナーのタフネスが弱く、現像中にトナーが粉砕
されてトナーの帯電量が変わり、安定した画像濃度を得
ることが出来ない。また、タフネス指標が600μmを
超える樹脂を用いたトナーは、トナーの強度は良好で、
現像中のトナーの粉砕およびスペントトナーの発生も抑
制できるが、トナーの強度が強すぎるため、トナーとし
ての重要なファクターである定着性能を低下させる。従
って、タフネス指標は、250μm以上600μm以下
である事が好ましく、より好ましくは300μm以上5
50μm以下である。 【0024】なお本発明でいうタフネス指標は、以下に
記す樹脂のタフネス評価法により求められるものであ
る。 【0025】樹脂のタフネス評価法: ポリエステル粉砕樹脂を篩にかけ粒径1400〜20
00μmのサンプルを50g用意する。 の分級サンプル30gをトリオサイエンス製のブレ
ンダーTR−BLで微粉砕する。(目盛り10:30
秒) 質量を秤量した篩を、篩の目の粗さが100μm、1
50μm、250μm、500μm、710μmおよび
1000μmの順序で下から組み立てる。 の操作で得られた微粉砕物を20g秤量する。 微粉砕物をで組み立てた篩の最上部に入れ、筒井理
科器機製のミクロ形電磁振動篩器M−2型で30分振動
する。(目盛り10) 各篩上の樹脂の重量を秤量する。 各篩上の樹脂重量を片対数グラフにプロット(各メッ
シュパスの累積重量)し、そのグラフより、全体の50
重量%がパスする粒径を読み取る。 【0026】本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂の
製造においては、上記の重合成分(a)〜(e)を反応
釜に仕込み、加熱昇温して、エステル化反応、またはエ
ステル交換反応を行う。この時、必要に応じて硫酸、チ
タンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネ
シウム、酢酸マンガンなどの通常のエステル化反応また
はエステル交換反応で使用されるエステル化触媒または
エステル交換触媒を使用することができる。次いで、常
法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去す
る。その後引き続き重合反応を実施するが、このとき1
50mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去さ
せながら重合を行う。 【0027】また、重合に際しては通常公知の重合触
媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキシ
ド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモ
ン、二酸化ゲルマニウムなどを用いることができる。ま
た、重合温度、触媒量については特に限定されるもので
はなく、必要に応じて任意に設定すれば良い。 【0028】本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂に
おいては、必要によりシリカなどの無機粉末を加えて耐
ブロッキング性を改良することができる。このシリカ粉
末の添加はバインダー樹脂のTgが低い場合、その効果
は特に顕著である。 【0029】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例および比較例における性能評価は以下
の方法を用いて行った。 【0030】(1)Tg(ガラス転移温度)(℃) (株)島津製作所製、示差走査熱量計を用い、昇温5℃
/分で測定した時のTg近傍の吸熱曲線の接線と、ベー
スラインとの接点をTgとした。 【0031】(2)軟化温度(℃) (株)島津製作所製、フローテスター(CFT−50
0)を用いて、ノズル1.0mmφ×10mmL、荷重
30kgf、昇温3℃/分、サンプル量1.0gの条件
下でサンプルが半分流出した時の温度を軟化温度(℃)
とした。 【0032】(3)組成分析 樹脂をヒドラジンで加水分解し、液体クロマトグラフィ
ーで定量した。 【0033】(4)タフネス指標 上記樹脂のタフネス評価法により求めた。 【0034】(5)非オフセット性(非オフセット定着
温度幅(℃)) 紙の上にトナーを均一にふりかけ(初期濃度ID=1.
0±0.3)、温度可変式の定着ローラーに通す。次
に、定着部分のテープ剥離をし、濃度減衰率を求める。
ローラーの温度を上げていった時、定着率が90%を超
えた温度を最低定着温度とした。また、さらに温度を上
げていった時、トナーが熱ローラーに付着し始めた温度
を高温オフセット開始温度とした。最低定着温度と高温
オフセット開始温度の間を定着可能領域(非オフセット
定着温度幅)とした。定着ローラーのスピードは100
mm/分に設定し、ニップ幅は8.0mmに設定して評
価した。最低定着温度が140℃であり、かつ非オフセ
ット定着温度幅が70℃以上あるものを良好な定着性能
を示すものとした。 【0035】(6)耐ブロッキング性 50mlのガラス製サンプル瓶中にトナー5gを入れ、
50℃の恒温槽中に50時間放置した後、室温まで冷却
し、その凝集度を観察した。その凝集度は、次のような
方法によって評価した。なお本発明においては、凝集度
A,B,Cのものは使用可能と判断した。 A:サンプル瓶を逆さにしただけでトナーが落ちる。 B:サンプル瓶を逆さにし、軽く振っただけでトナーが
落ちる。 C:サンプル瓶を逆さにし、軽くたたくとトナーが落ち
る。 D:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてやるとト
ナーが落ちる。 E:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてもトナー
は落ちない。 【0036】また、実施例および比較例で用いた略記号
は、次のものを表わす。 ジオールA:ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン プラクセルP308:ダイセル化学工業(株)製、分子
量850 【0037】実施例1 表1に示す量のテレフタル酸、イソフタル酸、トリメリ
ット酸、エチレングリコール、ジオールAおよびプラク
セルP308を蒸留塔を備えた反応容器に投入した。さ
らに、触媒であるジブチルスズオキシドを全酸成分に対
して0.03重量部添加し、内温を260℃、撹拌回転
数200rpmに保ち、常圧下で5時間エステル化反応
させた。その後、反応系内を30分かけて1.0mmH
gまで減圧し、内温240℃に保持してエチレングリコ
ールを留出せしめながら縮合反応を2時間行って、淡黄
色透明の樹脂R−1を得た。表1に得られた樹脂R−1
の組成分析結果および樹脂物性値を示す。 【0038】 【表1】 【0039】次に得られた樹脂R−1 94重量部に対
して、カーボンブラック(三菱化成(株)製、#40)
5重量部、荷電制御剤(オリエント化学工業(株)製、
ボントロンS−34)1重量部をヘンシェルミキサーで
プレミキシングし、次いで栗本鉄工(株)製インターナ
ルミキサーを用いて170℃、65rpmの条件で溶融
混練を行った。溶融混練物を室温迄冷却後、ハンマーミ
ルで粗粉砕した後、ジェットミルを用いて20μm以下
まで粉砕した。その後、日本ニューマチック社の風力分
級機を用い、粒径を5〜20μmにしてトナーT−1を
得た。このトナーT−1について非オフセット性試験お
よび耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表
2に示す。 【0040】 【表2】【0041】樹脂R−1は高いタフネスを有し、また、
トナーT−1は、非オフセット性および耐ブロッキング
性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセット
定着温度幅を有していた。 【0042】実施例2 重合仕込み組成を表3のようにする以外は、実施例1と
同様の操作を行い、樹脂R−2を得た。樹脂R−2の組
成分析結果および樹脂物性値を表3に示す。 【0043】 【表3】 【0044】次に、上記樹脂R−2を用いて、実施例1
と同様の操作を行い、トナーT−2を得た。この得られ
たトナーT−2について非オフセット性試験および耐ブ
ロッキング性試験を行った。その試験結果を表4に示
す。 【0045】 【表4】 【0046】樹脂R−2は高いタフネスを有し、また、
トナーT−2は、非オフセット性および耐ブロッキング
性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセット
定着温度幅を有していた。 【0047】 【0048】 【0049】 【0050】 【0051】 【0052】実施例3 重合仕込み組成を表5のようにする以外は、実施例1と
同様の操作を行い、樹脂R−3を得た。樹脂R−3の組
成分析結果および樹脂物性値を表5に示す。 【0053】 【表5】 【0054】次に、上記樹脂R−3を用いて、実施例1
と同様の操作を行い、トナーT−3を得た。この得られ
たトナーT−3について非オフセット性試験および耐ブ
ロッキング性試験を行った。その試験結果を表6に示
す。 【0055】 【表6】 【0056】樹脂R−3は十分なタフネスを有し、ま
た、トナーT−3は、非オフセット性および耐ブロッキ
ング性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセ
ット定着温度幅を有していた。 【0057】比較例1〜2 重合仕込み組成を表9のようにする以外は、実施例1と
同様の操作を行い、樹脂R−8〜R−9を得た。樹脂R
−8〜R−9の組成分析結果および樹脂物性値を表9に
示す。 【0058】 【表9】 【0059】次に、上記樹脂R−8〜R−9を用いて、
実施例1と同様の操作を行い、トナーT−8〜T−9を
得た。この得られたトナーT−8〜T−9について非オ
フセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。
その試験結果を表10に示す。 【0060】 【表10】 【0061】樹脂R−8は、トリオール化合物が共重合
されていないため、Tgとタフネスは上がるものの、ト
ナーT−8の最低定着温度が175℃と高くなった。ま
た、樹脂R−9は、トリオール化合物を過剰に共重合し
たため、Tgが低くて、十分なタフネスがなく、そのた
めにトナーT−9は、耐ブロッキング性が悪く、最低定
着温度は低かったが、十分な非オフセット温度幅が得ら
れなかった。 【0062】比較例3〜4 重合仕込み組成を表11のようにする以外は、実施例1
と同様の操作を行い、樹脂R−10〜R−11を得た。
樹脂R−10〜R−11の分析結果および樹脂物性値を
表11に示す。 【0063】 【表11】【0064】次に、上記樹脂R−10〜R−11を用い
て、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−10〜T
−11を得た。この得られたトナーT−10〜T−11
について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試
験を行った。その試験結果を表12に示す。 【0065】 【表12】 【0066】樹脂R−10は、(b)成分であるトリメ
リット酸が過剰に共重合されているため、Tgとタフネ
スが低かった。そのために、トナーT−10は、耐ブロ
ッキング性が悪く、また最低定着温度は低かったが、十
分な非オフセット温度幅がなかった。樹脂R−11は、
(d)成分である脂肪酸ジオールを共重合させていない
ため重縮合反応が十分進まずタフネスが低かった。その
ために、トナーT−11は最低定着温度は低かったが、
十分な非オフセット温度幅が得られなかった。 【0067】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のトナー用
架橋ポリエステル樹脂は、特定のトリオール化合物を共
重合させることによって、樹脂のタフネスが高く、かつ
低温定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および
耐刷性に優れており、電子写真法、静電記録法や静電印
刷法等において静電荷像または磁気潜像に用いる乾式ト
ナー用樹脂として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 陽一 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 中村 純也 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (56)参考文献 特開 平3−128924(JP,A) 特開 平4−40470(JP,A) 特開 平4−337741(JP,A) 特開 平6−118705(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)芳香族ジカルボン酸成分、(b)
    3価以上の多価カルボン酸成分および/または多価アル
    コール成分の少なくとも1種、(c)下記の一般式
    (I)で表わされる芳香族ジオールの少なくとも1種、
    (d)脂肪族ジオール成分、および(e)下記の一般式
    (II)で表わされるトリオール化合物の少なくとも1種
    からなり、上記(b)成分が全酸成分に対して0〜20
    モル%、上記(c)成分が全酸成分に対して90モル%
    以下、上記(d)成分が全酸成分に対して10モル%以
    上、上記(e)成分が全酸成分に対して0.05モル%
    以上10モル%以下である非線状重縮合体であって、ガ
    ラス転移温度が40〜80℃、軟化温度が90〜170
    ℃であるトナー用架橋ポリエステル樹脂。 【化1】【化2】
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