JP3450050B2 - 開閉器 - Google Patents

開閉器

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JP3450050B2
JP3450050B2 JP07173094A JP7173094A JP3450050B2 JP 3450050 B2 JP3450050 B2 JP 3450050B2 JP 07173094 A JP07173094 A JP 07173094A JP 7173094 A JP7173094 A JP 7173094A JP 3450050 B2 JP3450050 B2 JP 3450050B2
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洋 藤井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は開閉器に関するもの
で、例えば、回路遮断器、限流器、電磁接触器などのよ
うに、電流遮断時にアークを生じる開閉器に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図129は、従来の回路遮断器の開成時
の状態を示す側面図である。図において、1は可動接触
子、2は可動接触子1の一端に固着された可動接点、3
は可動接触子1の回動により可動接点2と接離する固定
接点、4は固定接点3を持つ固定接触子で、固定接触子
4は固定接点3が固着されている接点板5と一端に端子
部6を持ち他端が接点板5に接続されている接続導体7
とからなる。図に示すように接点板5は固定接点3が固
着されている端部が端子部6方向を向いており、もう一
方の端が接続導体7に接続されていて、この部分の接続
導体7と接点板5の形状は略U字状になっている。
【0003】8は消弧板で可動接触子1の回転を妨げな
いように可動接触子1の回動の軌跡に沿って切り込みの
入った略馬蹄形をしている。9は消弧板8を保持する消
弧側板である。10は可動接触子1を回動させる機構
部、11は機構部10を手動で操作するためのハンド
ル、12はもう一つの端子部、13は可動接触子1と端
子部12を接続する導体である。14はこれらを収納す
る容器で、ベース15とカバー16からなる。17はカ
バー16に設けられた排気孔である。
【0004】次に動作について説明する。図129の状
態で、端子部6を電源に、端子部12を負荷に接続し、
ハンドル11を操作する。すると機構部10が動作し可
動接触子1は一端に設けられた回動中心(図示せず)を
中心として回動して、可動接点2が固定接点3と接触す
る。この可動接触子1の閉成状態を示したのが図130
で電力が電源から負荷に供給される。このときには通電
の信頼性を確保するために可動接点2は固定接点3に規
定の接触圧力で押さえつけられている。
【0005】ここでハンドル11を操作し機構部10を
動作させたり、または負荷側の回路で短絡事故などが起
こり回路に事故電流が流れ機構部10内に設けられてい
る電流検出部(図示せず)が機構部10を動作させたり
すると、可動接触子1が回動し可動接点2と固定接点3
が開離し、接点2と3の間にアークが発生する。この状
態を図131に示す。なお、短絡電流などで大電流が流
れると、接点2と3の接触面における電磁反発力が非常
に強くなり、前記の可動接点2にかかっている接触圧力
に打ち勝つようになり、そのため可動接触子1は機構部
10の動作を待たずに回動し、接点2、3の開離が起こ
ることがよく知られている。
【0006】接点2、3の間に発生したアークAは、消
弧板8の吸引作用によって消弧板8方向、即ち端子部6
方向に駆動され引き伸ばされる。この結果、消弧板8に
よってアークAは冷却され、またアークAが長く引き伸
ばされることで、アーク電圧が上昇し、電流零点でアー
クAは消弧されて電流遮断が完了する。また短絡遮断時
などでアークAの発生直後の早い時期にアーク電圧を高
くすることができれば短絡電流を小さく絞る限流も行う
ことができる。
【0007】遮断器の遮断性能や限流性能を向上させる
には上述したようにアーク電圧を高める必要がある。こ
のためにはアークを引き伸ばしたり冷却しなければなら
ない。消弧板8以外にアークを引き伸ばす方法としてよ
く使われているのは、例えば特開昭60−49533号
公報や特開平2−68831号公報に示されているよう
な固定接触子形状を利用する方法である。これらに示さ
れている固定接触子形状は、図129に示した固定接触
子4の形状と基本的には同じである。
【0008】固定接触子4による電流経路は図132に
おいて電流が端子部6から流れ込むとすれば、端子部6
から接続導体7、接点板5を経て固定接点3に至る。こ
こで接点板5に流れる電流は固定接点3の上のアークA
が存在する空間に紙面の裏から表に至る向きの磁場Bを
発生する。従って、この磁場BはアークAの電流に対し
て端子部6方向の電磁力Fをおよぼす。この電磁力Fで
アークAは端子部6方向に引き伸ばされ、消弧板8の吸
引効果も加わって消弧板8に効果的に冷却される。これ
らによって、遮断性能の優れた遮断器が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】回路遮断器などの開閉
器では、従来製品との整合をとるためや絶縁距離を確保
するために、図133に示すように取り付け面19から
の端子部6の高さAはあまり低くすることができない。
一方、小型化の要求は強まり、長さ方向の寸法Bや高さ
方向の寸法Cを小さくすることが望まれている。更に遮
断性能を確保するためには可動接点2と固定接点3の間
の接点間距離Dは長くする必要がある。
【0010】この結果、図129でも示されているよう
に、固定接点3の接触表面は端子部6より低い位置に設
置せざるを得なくなっている。このため図133に示す
ように接続導体7の端子部6側に上下方向の立ち上がり
部の接続導体7aが必要になっている。この接続導体7
の接続導体7aは可動接点2と固定接点3の間の空間に
面している。更に回路遮断器の長さ方向の寸法Bを小さ
くするために、上記の空間と接続導体7aとは接近して
いるのが実状である。
【0011】ここでもう一度固定接触子4に流れる電
流、ただし接点板5に流れる電流以外の電流によるアー
クへの電磁力を考えてみる。図134の矢印で示すよう
に端子部6から電流が流れ込むとすると、接続導体7の
接続導体7aに流れる電流(図の下向きの電流)により
作られる磁場はアークAの空間で、紙面の表から裏に至
向きである。この磁場はアークAを端子部6とは逆方
向に駆動する電磁力Fを発生する。簡単には接続導体7
aとアークAに流れる電流がほぼ平行で逆方向のため互
いに反発力を及ぼし、アークAは端子部6とは逆方向に
駆動されるといえる。更に接続導体7の接点板5の下の
ほぼ水平部に流れる電流もアークAの空間で紙面の表側
から裏に向かう方向の磁場を発生し、この電磁力もアー
クAを端子部6とは逆方向に駆動する。
【0012】また図134のAA断面を示したのが図1
35であるが、接続導体7aの作るアークAを端子部6
とは逆方向に駆動する磁場は、固定接触子の長手方向の
中心線上でいちばん大きい値Bをとり、中心線上からは
ずれるとアークAを逆方向へ駆動する磁場の成分B1が
小さくなる。従って、例えば接点板5の電流によりアー
クAが端子部6方向に駆動されるとしても逆駆動磁場が
強い中心線上は避けて、中心線からはずれた端の方に駆
動されてしまう。そして中心線からはずれた位置では、
明らかに接点板5による駆動磁場も弱まるので、ますま
すアークAは端子部6方向には駆動されなくなってしま
う。以上のことから、電流遮断時に接点間に発生したア
ークを十分に引き伸ばすことができず、またそのため消
弧板8の冷却作用を十分に受けることができないため、
必要な限流遮断性能が得られないという問題があった。
【0013】請求項1、2、5、6の発明は上記のよう
な問題点を解消するためになされたもので、簡単な構成
にて優れた限流遮断性能を有する開閉器を得ることを目
的とする。
【0014】請求項3の発明は、簡単な構成にて特に大
電流遮断時の限流遮断性能を向上させた開閉器を得るこ
とを目的とする。
【0015】請求項4の発明は、遮断性能の信頼性を向
上させた開閉器を得ることを目的とする。
【0016】請求項7の発明は、遮断電流が大きくなっ
ても請求項1記載の開閉器と同様に優れた限流遮断性能
を持つ開閉器を得ることを目的とする。
【0017】請求項8,9,10の発明は、消弧板など
によるアーク駆動力が弱い場合でも請求項1記載の開閉
器と同様に優れた限流遮断性能を持つ開閉器を得ること
を目的とする。
【0018】請求項11の発明は、請求項8記載の開閉
器より更に優れた限流遮断性能を持つ開閉器を得ること
を目的とする。
【0019】請求項12の発明は、優れた遮断性能を持
つ開閉器を得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る開閉器
は、可動接点を有する可動接触子と、この可動接触子の
開閉動作で前記可動接点と接離可能な固定接点を一端部
に設けると共に、この一端部から接続導体部を介してそ
の他端部を端子部とした固定接触子と、前記可動接触子
及び前記固定接触子を支えるベース備えた開閉器にお
いて、前記固定接触子は、前記可動接点が前記固定接点
より開離する方向を上方としたとき、前記接続導体部の
端子部に隣接される部位には、前記可動接点と固定接点
とが接離する動作線と対向し且つ前記端子部より下方に
位置する立上がり部を設け、前記接続導体部の一端部か
ら立ち上がり部までの部位が前記端子部より下方に位置
するよう配置すると共に、前記立上がり部に前記動作線
と対向する第1の開口部を設けた固定接触子とし、前記
ベースは、前記固定接触子の立ち上がり部を前記可動接
点側から見ると、そのベースの一部が前記第1の開口部
から露出するように配置したベースとすると共に、前記
ベースは部材をアーク冷却用部材のベース、または、前
記ベースの前記第1の開口部から露出する部分に別のア
ーク冷却用部材を設けたベースとしたものである。
【0021】請求項2に係る開閉器は、請求項1におい
て、固定接触子の固定接点の近傍から第1の開口部に向
かって延在するアークランナを設け、このアークランナ
が前記第1の開口部の上端部より下方に位置するように
配置したものである。
【0022】請求項3に係る開閉器は、請求項2におい
て、アークランナの端部を下向きにしたものである。
【0023】請求項4に係る開閉器は、請求項2におい
て、アークランナの先端部を上向きにしたものである。
【0024】請求項5に係る開閉器は、請求項2におい
て、アークランナの少なくとも先端部の幅を接続導体部
の第1の開口部の幅より狭くし、且つ、上記先端部を第
1の開口部に挿入したものである。
【0025】請求項6に係る開閉器は、請求項2におい
て、アークランナが先端部が第1の開口部を突き抜ける
ように構成したものである。
【0026】請求項7に係る開閉器は、請求項1におい
て、第1の開口部周辺の接続導体部の少なくとも可動接
点と対向する側を絶縁する絶縁物を設けたものである。
【0027】請求項8に係る開閉器は、請求項1におい
て、固定接触子は、固定接点取り付け側を上方へ折り返
すようにして、この折り返し部を接点板として固定接点
を取り付けるように構成したものである。
【0028】請求項9に係る開閉器は、請求項8におい
て、定接触子は、接点板の下方に位置する接続導体部
を前記接点板と対向する部分に第2の開口部を設けるよ
うに構成したものである。
【0029】請求項10に係る開閉器は、請求項9にお
いて、固定接触子の開口部は、第1と第2の開口部とを
つないで一つの開口部としたものである。
【0030】請求項11に係る開閉器は、請求項8〜1
のいずれか1項において、固定接触子の固定接点の近
傍から第1の開口部に向かって延在するアークランナを
設け、このアークランナは、前記第1の開口部の上端部
より下方に位置するように配置すると共に、少なくとも
前記接点板の下側の接続導体部上を覆うようにした磁性
体からなるアークランナとしたものである。
【0031】請求項12に係る開閉器は、請求項8〜1
のいずれか1項において、ほぼU字状の磁性体からな
るアークランナを設け、前記アークランナは、U字状の
湾曲している底部の外側に突出する先端部分を形成する
と共に、U字状の両脚部が接点板の下側の接続導体部上
を覆うように配置し、且つ、前記U字状の両脚部の先端
部は前記接点板と前記接続導体部の下側とがつながって
いる部分の近傍の接続導体部に電気的に接続した状態で
取り付けられ、更に前記U字状の湾曲している底部およ
び前記突出した先端部分が前記接続導体部と電気的に非
接触とすると共に、前記先端部分が第1の開口部に挿入
されるように構成したものである。
【0032】
【作用】請求項1の発明における開閉器は、接続導体部
の立ち上がり部に設けた第1の開口部はアークを接点側
に押し戻す磁場成分を減少させて、限流遮断性能を向上
すると共に、第1の開口部の内部のアーク冷却部材にア
ークを触れさせてこの部材から発生する蒸気によりアー
クを冷却し、アーク電圧を上げる。
【0033】請求項2の発明における開閉器は、アーク
ランナにより固定接触子側アークスポットと第1の開口
部内のアーク冷却部材との距離を近づけ、アーク冷却部
材の蒸気によるアーク冷却作用を増大させて、アーク電
圧を上げる。
【0034】請求項3の発明における開閉器は、アーク
ランナの先端部を下向きにして、アークが吹き出す方向
を第1の開口部内のアーク冷却部材の方向にし、大電流
領域においてアークがアーク冷却部材に吹き付けられる
ようにしたので、特に大電流遮断時のアーク電圧を上げ
ることができる。
【0035】請求項4の発明における開閉器は、可動接
触子先端部とアークランナとの最短距離を可動接触子先
端部と接続導体部との最短距離より近づけたので、アー
クがアークランナ以外の固定接触子の部位に転流するの
を防ぎ、アークを引き伸ばす電磁力を維持できるので、
遮断失敗が生じ難い。
【0036】請求項5の発明における開閉器は、アーク
ランナの少なくとも先端部の幅を接続導体部の第1の開
口部の幅より狭くしたので、アークを確実に第1の開口
部内のアーク冷却部材に触れさせて冷却でき、アーク電
圧を上げることができる。
【0037】請求項6の発明における開閉器は、アーク
ランナの先端部が第1の開口部を突き抜けるようにした
ので、アークランナの先端部にアークスポットが到達す
ると、アークとアーク冷却部材との距離が近くなりアー
クを冷却する作用が向上すると共に、第1の開口部の幅
によりアーク柱の径が制限されるので、アーク電圧を上
げることができる。
【0038】請求項7の発明における開閉器は、第1の
開口部の周囲の接続導体部を絶縁物で電気的に絶縁する
ようにしたので、アークの直径が大きくなりアークが電
磁反発力に抗して第1の開口部周辺の接続導体部に近づ
くと、絶縁物から放出される熱分解ガスによってもアー
クが冷却され、且つアークの幅が小さくなり第1の開口
部の中に入りやすくなり、より一層アークは冷却を受け
る。特に大電流アークでもアークが第1の開口部の中ま
で伸びやすくまた冷却を受けることができる。
【0039】請求項8の発明に係る開閉器は、固定接触
子の固定接点取付け側を上方へ折り返すようにして、こ
の折り返し部を接点板として固定接点を取付けるような
構成にしたので、接点板を流れる電流はアークを第1の
開口部の方へ駆動するように作用し、また、接点板の下
方の接続導体部とアークとは距離が大きくなるのでアー
クを接点側に押し戻す力は弱くなり、アークは第1の開
口部のアーク冷却部材へ押し付けられ、そのため大量の
アーク冷却部材の熱分解ガスが発生しアークは冷却され
る。それ故、消弧板などによるアーク駆動力が弱い場合
でも適応できる。
【0040】請求項9の発明に係る開閉器は、固定接触
子の接点板の下方に位置する接続導体部の接点板と対向
する部分に第2の開口部を設けるよう構成したので、こ
の第2の開口部両側の接続導体部に流れる電流は両側に
分流するのでアークとの相対距離は第2の開口部がない
場合よりも更に大きくなりアークを押し戻す力は更に小
さくなり、アークが第1の開口部のアーク冷却部材に強
く押し付けられ、そのため大量のアーク冷却部材の熱分
解ガスが発生しアークは冷却される。それ故、消弧板な
どによるアーク駆動力が弱い場合でも適応できる。
【0041】請求項10の発明に係る開閉器は、固定接
触子の開口部は、立ち上がり部の第1の開口部と接点板
と対向する第2の開口部とをつないで一つの開口部とし
たので、開口部の両側の接続導体部に分流して流れる経
路が長く、従って、アークを押し戻す力はそれだけ弱く
なり、そのため大量のアーク冷却部材の熱分解ガスが発
生しアークは冷却される。それ故、消弧板などによるア
ーク駆動力が弱い場合でも適応できる。
【0042】請求項11の発明に係る開閉器は、電流遮
断時に第1の開口部の両側の接続導体部に流れる電流
は、両側に分流するので、アークとの相対距離が大きく
なり、この電流によるアークにかかる電磁反発力が減少
する。また、接点板の両側と端子部側の接続導体部を覆
う磁性体アークランナは接点板下方の接続導体部を流れ
る電流によるアークを接点側へ押し戻すよう逆方向に駆
動する電磁力を遮蔽する。更に、接点板に流れる電流は
アークを第1の開口部方向に駆動する電磁力が働き、こ
れらの電磁力によってアーク及びアークスポットは強力
に第1の開口部方向に引き伸ばされ駆動される。また、
第1の開口部両側の左右導体による電磁反発力によりア
ークは左右に偏らず第1の開口部内に真っすぐ伸び、ま
た固定接点上のアークスポットもアークランナの中心軸
上を駆動してアークランナの先端部に達しやすい。この
ためアークは第1の開口部内のベース等のアーク冷却部
材に強く押し付けられベースからの大量の熱分解ガスに
より冷却を受ける。
【0043】請求項12の発明に係る開閉器は、折り返
しの接点板の電流はアークを第1の開口部のアーク冷却
部材の方に押し付けるよう作用し、第2の開口部の両側
の接続導体部の電流はアークを押し戻すよう作用する
が、アークランナによって遮蔽してアークの押し戻し力
を弱め、また、アークランナは接点板と接続導体部のつ
ながっている近傍で接続導体部に取り付けられていて、
この取り付け部以外は接続導体部と電気的に接触してい
ないので、遮断時にアークランナに流れる電流はアーク
を第1の開口部のアーク冷却部材へ押し付けるよう作用
し、更に、アークランナの先端部が第1の開口部内に挿
入されているので、固定接触子側のアークスポットと第
1の開口部内のアーク冷却部材との距離をより小さくで
き、アークを冷却する作用がより向上する。また、アー
クランナにアークスポットが飛び移った瞬間でも駆動磁
場が発生でき、アークは第1の開口部方向に伸びやす
く、且つアークスポットが第1の開口部内に駆動されや
すいためベース等のアーク冷却部材からの大量の熱分解
ガスにより冷却を強く受ける。
【0044】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の実施例1の構成を図について説明す
る。図1はこの実施例に係る開閉器としての回路遮断器
の一部切り欠き図であり、図129と同一または相当部
分には同一符号を付して重複説明を省略する。図1
(a)が正面図、図1(b)が側面図である。
【0045】図において、20は固定接触子4に設けら
れた切り溝であり、この切り溝20は可動接触子1が開
閉動作時に回動する面に沿って設けられている。更に詳
しく述べると、切り溝20は、端子部6と固定接点3を
電気的に接続する接続導体7のほぼ中心線上に設けられ
ており、切り溝20の左右には導電路が配置されてい
る。この切り溝20を有する固定接触子4は、容器14
の一部をなしているベース15によって保持されてお
り、可動接点2の接触面から見て固定接触子4の背後に
位置するベース15の部分が切り溝20によって露出し
ている。
【0046】図1に示した消弧板8は、可動接触子1の
回動を妨げないようにするための切欠部が設けられた構
成となっている。なお、図1においては、機構部、電流
検出部を図示していないが、これらは当然、容器14内
に収納されている。図2(a)は、図1の可動接触子
1、固定接触子4および切り溝20の位置関係を示した
簡略正面図であり、図2(b)は可動接触子1、固定接
触子4、切り溝20およびベース15の位置関係を示し
た簡略側面図である。図2では、固定接点3と可動接点
2が接触している状態を示している。図3は、図1の固
定接触子4の斜視図であり、切り溝20は端子部6から
下方に伸び接続導体7に設けられ、この切り溝20の左
右には接続導体7aが形成されている。
【0047】次に動作について説明する。過負荷電流な
どの比較的小さな事故電流遮断時には、電流検出部(図
示せず)により事故電流を検出して機構部(図示せず)
を動作させて可動接触子1を回動させ、接点を開離させ
る。短絡電流等の大電流遮断時には、機構部の動作を待
たず、接点間の電磁反発力にて可動接触子1が回動し、
接点が開離する。この接点の開離にともない、接点間に
アークが発生することは従来と同様である。
【0048】接点間に発生したアークは、可動接触子1
を流れる電流による磁気駆動力および馬蹄形をした磁性
体の消弧板8による磁気駆動力などにより端子部6方向
に引き伸ばされる。この時、接続導体7の一部をなす接
続導体7aに切り溝20が設けられていないと、接続導
体7aを流れる電流とアークとが強く反発してアークが
接点間に押し戻される。しかし、接続導体7aに切り溝
20が設けられているので、アークを押し戻す力を発生
する電流アークが引き伸ばされる方向から左右にずれて
おり、アークを押し戻す力は相対的に小さくなってい
る。
【0049】このことについて更に詳細に述べる。図4
(a)に示すように、切り溝20の中心を原点として直
交座標系を定義すると、切り溝20の左右の導体は、図
4(b)のように表される。ここで、距離2aにて平行
に配置されている左右の導体を流れる電流は導体断面の
中心線上に集中しており、左右の導体の長さは十分長い
と近似すると、z軸上の点PO(z)でのアークを駆動
する磁場成分は以下のように表される。 By=(μI/4πa)sin(2θ) 但し、θの範囲は−90゜<θ<90゜であり、μは透
磁率、電流I=I1+I2である。
【0050】ここで、z=a・tanθの関係から、z
軸上の駆動磁場強度を求めると、図4(e)のグラフの
曲線Bのようになる。比較のため、切り溝を設けない図
4(c)の固定接触子4の場合について、同様な座標系
を図4(d)のように定義し、電流は導体断面の中心線
上に集中していて導体の長さは十分長いと近似すると、
z軸上の点PO(z)でのアークを駆動する磁場成分は
以下のように表される。 By=μI/2πz
【0051】この関係を同様にグラフにすると、図4
(e)の曲線Dのようになる。同図において、磁場強度
Byが正の場合、アークは固定接点3から端子部6側へ
と電磁力を受ける。アークが固定接点3と接続導体7a
の間にある場合、磁場強度Byは負の値であり、接続導
体7aを流れる電流が作る磁場はアークを固定接点3側
へと押し戻す力を発生する。図4(e)の曲線Bと曲線
Dを比較すれば明らかなように、このアークを固定接点
3側へと押し戻す力は、切り溝20を設けた方が小さい
ことがわかる。
【0052】遮断動作が進み、アークが更に引き伸ばさ
れると、図5に示す状態となる。同図では、Aがアーク
を示している。この状態では、引き伸ばされたアークA
により切り溝20から露出している導電路以外の物質で
あるベース15が暴露され、ベース材の蒸気を発生す
る。この蒸気によりアークAが冷却されアーク電圧が上
昇するので、電流が急速に限流される。
【0053】また、図4(e)から分かるように、切り
溝20に入ったアークには、接続導体7aを流れる電流
によるアークを押し戻す力が働かないので、アークは図
5の状態を保つことができる。更に、切り溝20の左右
に接続導体7aが位置しているので、アークが切り溝2
0の中心線上から左右にずれてこの左右の接続導体7a
に近づくと、この左右の接続導体を流れる電流による電
磁反発力によりアークは中心線上に押し戻される。よっ
て、アークは安定してベース蒸気により冷却される。
【0054】このように、接続導体7に切り溝20を設
けるという簡単な構成にて、電流遮断時の冷却作用を高
めてアーク電圧を上昇させ、優れた限流遮断性能を実現
できる。なお、この実施例では、ベース15がアークの
冷却部材として冷却作用をしているがこのベースが切り
溝20の奥に無い場合でも、切り溝20の両側の接続導
体7aによって電流が分流されるので、遮断時のアーク
に対して押し戻す力が少なくなり、アークは引き伸ばさ
れアーク電圧が向上し、消弧板でアークが消弧される。
従って、ベース等のアーク冷却部材が無い場合でも効果
がある。
【0055】実施例2. 図6は、この発明の実施例による固定接触子4の斜視
図である。この実施例による切り溝20は、固定接触子
4の屈曲部をまたがって設けられている。このように屈
曲部に前記切り溝20を設けると、曲げ加工が簡単にな
る。また、図6(c)、図6(b)、図6(a)の順で
前記切り溝20の長さが長くなっているが、図6のよう
な固定接触子構造では、切り溝20が長いほど固定接触
子4を流れる電流による前記アークを固定接点3側に押
し戻す力が小さくなる。
【0056】実施例3. 図7は、この発明の実施例による回路遮断器の要部
示す側面図である。この実施例による接続導体7は、接
続導体7a、接続導体7b、接点側接続導体7cにて構
成されていて、一端が固定接点3が固着している接点板
5に、他端が端子部6にそれぞれ接続されている。接続
導体7bは、接点板5の位置より下方に配置されてい
る。また、図8は前記固定接触子4の斜視図であり、切
り溝20は接続導体7aの中心線上に設けられている。
【0057】前記接続導体7bを流れる電流Ibはアー
クAを接点側に押し戻す力を発生する電流成分である。
そこで上記のように、接続導体7bを接点板5より下方
に設けると、電流Ibがアークから遠くなるので、アー
クAを押し戻す力がより小さくなり、アークAが切り溝
20から露出しているベースにより強くあたるので、限
流性能がより向上する。
【0058】実施例4. 図9は、この発明の実施例による回路遮断器の要部
示す斜視図である。この実施例によるベース15では、
ベース15の切り溝20から露出している部分の中心部
が端子部6側にV字状にくびれた、くびれ部15aを設
けている。このくびれ部15aのようにくびれさせる
と、アークが前記ベースの部分の近くまで引き伸ばされ
た時にアークが左右どちらかにぶれようとしても、ベー
スから出る蒸気の圧力の影響にてアークが中心線上にと
どまる。従って、消弧板(図示せず)等の部品表面のア
ークによる劣化が軽減されるので、沿面抵抗劣化等によ
る再点弧などの遮断失敗がなくなる。
【0059】実施例5. 図10は、この発明の実施例による回路遮断器の要部
を示す側面図である。この実施例によるベース15で
は、ベース15の切り溝20から露出している部分を横
方向のひだ状にしたひだ部15bを設けている。このひ
だ部15bのようにすると、アークが切り溝20から露
出しているベース15の部分に押し付けられたとき、ア
ークはひだの先端部近傍にとどまるので、ひだの根元付
近は殆ど炭化しない。従って、上下方向のベース15の
沿面抵抗劣化を防ぐことができ、沿面抵抗劣化等による
再点弧などの遮断失敗がなくなる。また、ベース表面を
ひだ状にすることによりアークに接するベース15の面
積が大きくなるので、アークを冷却する効果が増大して
限流性能が向上する。
【0060】実施例6. 図11は、この発明の実施例による回路遮断器の要部
を示す側面図である。図では、切り溝20とベース15
の間に、アークに暴露されるとアークを冷却する蒸気を
発生する物質でできた冷却板23を設けている。
【0061】このように切り溝20とベース15の間に
冷却板23を設ければ、ベース材よりアーク冷却作用が
大きな蒸気を発生する物質によりアークを冷却すること
ができるので、限流遮断性能がより向上する。また、ベ
ース15に直接アークAを暴露させると、暴露面が炭化
して沿面抵抗が低下する。高電圧の回路の遮断を行う場
合、前記沿面抵抗の低下が再点弧の原因になることがあ
る。そこで、アークが暴露しても沿面抵抗の低下し難い
材料で冷却板23をつくれば、このような再点弧を防止
することができる。
【0062】なお、冷却板23は、ポリメチルペンテ
ン、ナイロン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、等の樹
脂、又は、それらの樹脂に水酸化マグネシュウム、水酸
化アルミニューム等を混入したもの。また、アーク暴露
後も沿面抵抗が低下し難い材料は、分子構造上でベンゼ
ン環を含まないかその割合の少ない高分子材料が用いら
れる。また、ベースの材料としては、フェノール樹脂、
不飽和ポリエステル等の機械的強度の強い樹脂にガラス
ファイバー等の強化繊維を充填したものなどが用いられ
る。
【0063】実施例7. 図12(a)、図12(b)、図12(c)、図12
(d)は、この発明の実施例による冷却板23の斜視
図である。図では、冷却板23のアークが暴露する凹凸
を設けている。このように冷却板23に凹凸を設ける
と、アークに暴露される面積が増えるので、アークを冷
却する蒸気の発生量が増加し、アーク電圧が一層増加す
る。また、図12(a)と図12(b)に示すように、
冷却板23に横方向に溝を設ければ、縦方向の沿面抵抗
が増加するので再点弧を防止することができる。
【0064】実施例8. 図13は、この発明の実施例による積層冷却板24の
斜視図である。図では、アーク冷却効果の大きい物質2
4aとアーク暴露後も沿面抵抗の高い物質24bを交互
に積層した積層冷却板24を示している。なお、この積
層冷却板24では、アーク冷却効果の大きい物質24a
が飛び出るように積層している。このように2つの物質
を積層すると、飛び出ているアーク冷却効果の大きい物
質によりアークが効果的に冷却される。更に、引っ込ん
でいるアーク暴露後も沿面抵抗の高い物質24bにより
縦方向の沿面抵抗を維持でき、再点弧を防止できる。
【0065】実施例9. 図14は、この発明の実施例9による回路遮断器の要部
を示す側面図、図15は図14の固定接触子4の斜視図
である。図14、図15では、固定接点3の近傍から切
り溝20に向かって延びるアークランナ21が設けられ
ており、切り溝20は接続導体7aに設けられている。
このアークランナ21の材質は、鉄、銅、タングステン
等の金属、または、それらにクロム、スズ等のメッキを
施したものが用いられる。
【0066】図14に示すように、アークランナ21を
設けると、開極と同時に接点間に発生したアークAはア
ークランナ21を走行してアークランナの先端部に至
る。従って、アークランナ21を設けることにより、可
動接触子側のアークスポットと切り溝20から露出して
いるベース15の部分の距離が近くなる。そのため、ベ
ースに触れるアークAの長さが長くなるので、アークを
冷却する作用が増大して限流性能が向上する。また、ア
ーク電流が大きくなるとアークスポットからの金属蒸気
の吹き出し力が大きくなり、アークを磁場の作用により
十分引き伸ばすことが困難になることがある。このよう
な場合にも、アークランナ21を設けておけば、アーク
スポット自体がベース15に近づくので、アークAが十
分引き伸ばされなくてもベース15の蒸気によるアーク
を冷却する作用を維持できる。
【0067】実施例10. 図16(a)は、この発明の実施例10による固定接触
子の斜視図、図16(b)は図16(a)の断面Sにお
ける断面図である。図におけるアークランナ21は、接
続導体7bを打ち出して作成している。このように打ち
出し加工にてアークランナ21を作成すると、別の部品
を必要とせず、製造コストの低減となる。
【0068】実施例11. 図17は、この発明の実施例11による回路遮断器の要
を示す側面図、図18は図17の固定接触子4の斜視
図である。図17、図18では、接点板5より接続導体
7bの方が下方に位置する固定接触子4を用い、アーク
ランナ21の切り溝20側の端部を下方に曲げている。
【0069】図19には、磁場中に対向電極間にアーク
を発生させた場合のアークの外観を示している。電流が
小さいときはローレンツ力によりアークAは右方向に引
き伸ばされる。しかし、アーク電流が大きくなりアーク
スポットの電流密度がある値を超えると、電極表面から
の金属蒸気の吹き出しが急激に増大して、磁場の有無に
拘らずアークAは電極面に垂直な方向へ形成される。こ
のことは、大電流アークでは、磁場の作用によりアーク
を引き伸ばすことが困難であることを示している。
【0070】そこで、図17のように、アークランナ2
1の切り溝20側の端部を下方に曲げ、アークランナ2
1の先端部に移動したアークスポットからの金属蒸気の
吹き出し方向(図中に矢印にて示す)を切り溝20方向
にすれば、磁場によるアークの引き伸ばしが困難な大電
流アークの場合でも、アークAを切り溝20から露出し
ているベース15に押し付けることができる。また、ア
ークの吹き出し力は電流が大きくなるほど強くなるの
で、大電流遮断になるほどアークAはベース15に強く
押しつけられ冷却作用が増大する。従って、大電流遮断
になるほどアークの冷却作用が増大して、限流遮断性能
が向上する。
【0071】実施例12. 図20は、この発明の実施例12による回路遮断器の要
を示す側面図、図21は図20の固定接触子4の斜視
図である。この実施例による接続導体7は接続導体7
a、接続導体7bにて構成されていて、一端が固定接点
3が固着している接点板5に、他端が端子部6にそれぞ
れ接続されている。接点板5は接続導体7bから折り返
すように接続されており、接点板5には接続導体7bの
電流Ibと逆方向の電流Idが流れる。また、アークラ
ナ21は折り返すように接続されている接点板5の先
端部に接続されており、アークランナ21の切り溝20
側の端部は下方に曲げられている。
【0072】このように、アークを端子部側に駆動する
磁場を発生するように接点板5を設けると、開極初期の
比較的電流の小さい領域において素早くアークを固定接
点3からアークランナ21に移し、その後もアークを端
子部6側へと引き伸ばすことができる。また、アーク電
流値が増大して金属蒸気の吹き出しが増大しても、アー
クランナの先端部が下方に曲げられているので、金属蒸
気は切り溝20から露出しているベース15方向に吹き
出し、アークがベースに強く押し付けられる。従って、
小電流から大電流のどの領域においてもベース蒸気によ
るアークを冷却する作用を維持でき、優れた限流遮断性
能を発揮することができる。
【0073】実施例13. 図22、図23は、この発明の実施例13による固定接
触子4の斜視図である。図22では図18と、図23で
は図21とそれぞれほぼ同一の形状の固定接触子4を示
している。但し、図22、図23のアークランナ21は
切り出し加工にて作られている。このようにアークラン
ナ21を切り出し加工にて作成すると、別の部品を必要
とせず、製造コストの低減となる。
【0074】実施例14. 図24は、この発明の実施例14による固定接触子4の
斜視図である。アークランナ21は固定接点3の切り溝
20側の近傍から切り溝20方向にのびている。アーク
ランナ21は途中で上方に曲げられ、更に、切り溝20
付近でアークランナ21端部が下方に曲げられている。
従って、アークランナ21を側面から見ると上に凸の形
状をしている。
【0075】可動接触子1(図示せず)は上方に開極す
るのでアークランナ21を上方にのばした方が、可動接
触子1とアークランナ21との開極中の距離を小さくた
もて、アークランナを曲げずに真っすぐのばす場合より
アークがアークランナに転流しやすい。従って、このよ
うにアークランナ21を途中で上方に曲げると、開極初
期において、アークを素早く固定接点3からアークラン
ナ21に移し、素早くアークランナ21の先端部まで走
行させることができる。
【0076】また、アーク電流値が増大して金属蒸気の
吹き出しが増大しても、アークランナ21の先端部が下
方に曲げられているので、金属蒸気は切り溝20から露
出しているベース15(図示せず)方向に吹き出すの
で、アークはベース15に強く押し付けられる。また、
電流が増加してアークの電流密度がある値を超えると電
流の増加と共にアークスポットが広がろうとする。しか
し、アークランナ21が側面からみて上に凸の形状をし
ているので、前記凸部によりアークスポットが固定接点
3側に広がるのが抑制される。このような理由により、
より大電流の遮断時においてもベース蒸気によるアーク
を冷却する作用を有効に利用でき、優れた限流遮断性能
を発揮することができる。
【0077】実施例15. 図25は、この発明の実施例15による回路遮断器の要
を示す側面図、図26は図25の固定接触子4の斜視
図である。図25は、固定接点3の近傍から切り溝20
に向かって斜め上方に延びるアークランナ21が設けら
れており、切り溝20は接続導体7aに設けられてい
る。可動接触子1先端部とアークランナ21との最短距
離r1は、端子部6と固定接点3とを接続する接続導体
7と可動接触子1先端部との最短距離r2より小さくな
るように配置している。また、図27は固定接触子4の
変形例を示す。
【0078】図25に示すように、アークランナ21を
設けると、開極と同時に接点間に発生したアークはアー
クランナー21を走行してアークランナの先端部に至
る。アーク電流の増加と共にアーク径が大きくなるの
で、切り溝20から露出しているベースがアークに暴露
され蒸気を発生してアークを冷却する。この時、接続導
体7がアークランナ21より可動接触子1の先端部に近
いと、アークが接続導体7に転流してしまい、アークを
引き伸ばす電磁力が激減して遮断失敗をおこすことがあ
る。従って、図25のように、アークランナ21を接続
導体7より可動接触子1先端部に近付けて前記転流を防
ぐことにより、遮断性能の信頼性を向上させることがで
きる。
【0079】実施例16. 図28は、この発明の実施例16による固定接触子4の
斜視図である。図では、固定接点3近傍から切り溝20
に向かってのびるアークランナ21を設けている。アー
クランナ21の先端部は切り溝20の幅より狭くしてい
る。図28(a)、図28(c)では固定接点3側の幅
が切り溝20側の幅より広いアークランナ21を、図2
8(b)では固定接点3側の幅と切り溝20側の幅が等
しいアークランナ21をそれぞれ示している。
【0080】このようにアークランナ21の先端部の幅
を切り溝20の幅より狭くすると、アークランナ21の
先端部に走行してきたアークが、切り溝20の中心部に
集まるので、切り溝20から露出しているベース15
(図示せず)に効果的に触れさせることができ、安定し
たアークを冷却する作用が得られ、優れた限流遮断性能
が実現できる。
【0081】ところで、図28(c)の固定接触子4で
は、固定接点3近傍から切り溝20に向かって斜め上方
にのびるアークランナ21を設けている。アークラン
1の先端部は切り溝20の幅より狭くしている。可動
接触子1(図示せず)は上方に開極するのでアークラン
ナ21を上方にのばした方が、可動接触子1とアークラ
ナ21の開極中の距離を小さく保てて、アークラン
曲げずに真っすぐのばす場合よりアークがアークラン
ナに転流しやすい。
【0082】つまり、図28(c)のように、切り溝2
0に向かって斜め上方にのびるアークランナ21を設け
ると、開極初期において素早くアークを固定接点3から
アークランナ21に移すことができる。また、アークを
電流が大きくなってアーク径が増大しても、アークラン
ナ21の先端部が固定接点3より上方にあるので、アー
クスポットが固定接点3までもどってくることを防止
し、アークをアークランナ21の先端部に止めることが
できる。更に、アークランナ21の先端部の幅を切り溝
20の幅より狭くしているので、アークランナの先端部
に走行してきたアークが、切り溝20の中心部に集まる
ので、切り溝20から露出しているベース15(図示せ
ず)に効果的に触れさせることができ、より安定したア
ークを冷却する作用が得られ、優れた限流遮断性能が実
現できる。
【0083】実施例17. 図29は、この発明の実施例17による固定接触子4の
斜視図である。図では、固定接点3近傍から切り溝20
に向かってのびるアークランナ21を設けている。アー
クランナ21の先端部は切り溝20の幅より狭くしてい
る。また、図29(a)では、アークランナ21の切り
溝20側端部の厚さを固定接点3側端部の厚さより厚く
している。図29(b)では、アークランナ21の切り
溝20側端部を折り返している。
【0084】このようにアークランナ21の先端部の幅
を切り溝20の幅より狭くすると、アークランナ21の
先端部に走行してきたアークが、切り溝20の中心部に
集まるので、切り溝20から露出しているベース15
(図示せず)に効果的に触れさせることができ、安定し
たアークを冷却する作用が得られ、優れた限流遮断性能
が実現できる。
【0085】更に、図29では、アークランナ21の先
端部の厚さを厚くしたり、折り返したりして、アークラ
ナ21の先端部のボリュームを大きくしているので、
多頻度の遮断動作を実施してもアークランナ21があま
り消耗せず、多頻度遮断動作による遮断性能の低下が生
じ難い。
【0086】実施例18. 図30は、この発明の実施例18による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では、固定接点3近傍から切
り溝20に向かってのびるアークランナ21を設け、前
記アークランナの先端部を切り溝20に入れている。こ
のように、アークランナ21の先端部を切り溝20に入
れると、開極と同時に発生したアークAの固定接触子4
側のアークスポットがアークランナ21の先端部まで移
動し、前記アークスポットと切り溝20から露出してい
るベース15との距離をより小さくすることができ、ベ
ース15に触れるアークAの長さが長くなる。従って、
アークを冷却する作用が一層向上してアーク電圧が上昇
し、より優れた限流遮断性能が得られる。
【0087】実施例19. 図31は、この発明の実施例19による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では、固定接点3近傍から切
り溝20に向かって斜め上方にのびるアークランナ2
を設け、前記アークランナの先端部を切り溝20に入れ
ている。図32は、図31の変形例である。
【0088】このように、切り溝20に向かって斜め上
方にのびるアークランナ21を設けると、開極初期にお
いて素早くアークAを固定接点3からアークランナ2
に移すことができる。また、アーク電流が大きくなって
アーク径が増大しても、アークランナ21の先端部が固
定接点3より上方にあるので、アークスポットが固定接
点3まで戻ってくることを防止し、アークAをアークラ
ナ21の先端部に止めることができる。更に、アーク
ランナ21の先端部を切り溝20に入れているので、ア
ークランナの先端部まで移動してきた固定接触子4側の
アークスポットと切り溝20から露出しているベース1
5との距離が近くなり、ベース15に触れるアークAの
長さが長くなるので、アークを冷却する作用が一層向上
し、より優れた限流遮断性能が得られる。
【0089】実施例20. 図33は、この発明の実施例20による回路遮断器の要
を示す側面図である。図33では、接点板5より接続
導体7bの方が下方に位置する固定接触子4を用い、ア
ークランナ21の切り溝20側の端部を下方に曲げ、ア
ークランナ21の先端部を切り溝20に入れている。可
動接触子1は、閉成状態である。
【0090】このように、アークランナ21の先端部を
切り溝20に入れると、固定接触子4側のアークスポッ
トがアークランナ21の先端部まで移動し、前記アーク
スポットと切り溝20から露出しているベース15との
距離がより小さくなり、ベース15に触れるアークの長
さが長くなる。従って、アークを冷却する作用が一層向
上し、アーク電圧が上昇する。更に、アーク電流が増大
しても、アークランナ21の切り溝20側の端部を下方
に曲げているので、アークランナ21の先端部に移動し
たアークスポットから吹き出す金属蒸気の方向が切り溝
20方向となり、アークスポットからの金属蒸気の吹き
出しが大きくなるほど、アークは切り溝20から露出し
ているベース15に押し付けられるので、大電流遮断に
なるほどアークの冷却作用が増大して、限流遮断性能が
向上する。
【0091】実施例21. 図34は、この発明の実施例21による回路遮断器の要
を示す側面図である。この実施例による接続導体7
は、接続導体7a、接続導体7bにて構成されていて、
一端が固定接点3が固着している接点板5に、他端が端
子部6にそれぞれ接続されている。接点板5は接続導体
7bから折り返すように接続されており、接点板5には
接続導体7bの電流Ibと逆方向の電流Idが流れる。
また、アークランナ21は折り返すように接続されてい
る接点板5の先端部に接続されており、アークランナ2
1の切り溝20側の端部は下方に曲げられ、アークラン
ナ21の先端部を切り溝20に入れている。
【0092】このように、アークランナ21の先端部を
切り溝20に入れると、開極と同時に発生したアークの
固定接触子4側のアークスポットがアークランナ21の
先端部まで移動し、前記アークスポットと切り溝20か
ら露出しているベース15との距離がより小さくなり、
ベース15に触れるアークの長さが長くなる。従って、
アークを冷却する作用が一層向上し、アーク電圧が上昇
する。更に、アークを端子部6側に駆動する磁場を発生
するように接点板5を接続しているので、開極初期の比
較的電流の小さい領域において素早くアークを固定接点
3からアークランナ21に移し、その後もアークを端子
部6側へと引き伸ばすことができる。
【0093】また、アーク電流値が増大して金属蒸気の
吹き出しが増大しても、アークランナ21の先端部が下
方に曲げられているので、金属蒸気が切り溝20から露
出しているベース15方向に吹き出し、アークはベース
15に強く押し付けられる。従って、小電流から大電流
のどの領域においてもベースからの蒸気によるアークを
冷却する作用を維持でき、優れた限流遮断性能を発揮す
ることができる。
【0094】実施例22. 図35は、この発明の実施例22による回路遮断器の要
を示す簡略図であり、図35(a)が正面図、図35
(b)は側面図である。図では、固定接点3近傍から切
り溝20に向かって斜め上方にのびるアークランナ2
を設け、前記アークランナの先端部を切り溝20に入れ
ている。更に、アークランナ21の固定接点3側の部位
の断面積を前記アークランナ21の先端部(切り溝20
側端部)の断面積より大きくしている。
【0095】アークを冷却する効果を向上させるために
アークランナ21の先端部を切り溝20に入れるには、
アークランナ21の先端部の幅を切り溝20の幅より小
さくする必要がある。しかし、幅の細いアークランナを
用いると、アークランナの熱容量が小さくなり、繰り返
し遮断動作を行うとアークランナが溶断することがあ
る。そこで、図35のように、アークランナ21の固定
接点3側の部位の断面積を先端部(切り溝20側端部)
の断面積より大きくしてアークランナの熱容量を大きく
すると、アークランナの消耗を低減させ、多頻度の遮断
動作における遮断性能の低下を防ぐことができる。
【0096】実施例23. 図36は、この発明の実施例23による回路遮断器の要
を示す簡略図であり、図36(a)が正面図、図36
(b)は側面図である。図では、固定接点3近傍から切
り溝20に向かってアークランナ21がのび、前記アー
クランナが切り溝20を突き抜けている。切り溝20か
ら露出しているベース15の部位は、少なくともアーク
ランナ21の幅より大きな幅で、少なくとも突き抜けて
いるアークランナ21の長さ分だけ端子部6側に後退し
ている。
【0097】このように構成した場合の動作について説
明する。開極と同時に発生したアークAは、アークラン
ナ21を走行してアークランナ21の先端部に至る。ア
ークAが走行中、切り溝20を超えて端子部6側にきた
とき、接続導体7aを流れる電流は、それ以前と逆に、
アークAを切り溝20から露出しているベース15側に
押し出す力を発生するようになる(図4参照)。従っ
て、アークAは強くベース15に触れるので、アークを
冷却する作用が増大する。また、アーク電流が大きくな
り、アーク径が大きくなろうとすると、アークAは切り
溝20を横切る部分で、切り溝の幅Wa以上幅方向に広
がることができないので、アーク径が制限される。従っ
て、アークの電流密度が上昇し、アーク電圧が上がるの
で、いっそう限流遮断性能が向上する。
【0098】実施例24. 図37は、この発明の実施例24による回路遮断器の要
を示す斜視図である。図において、切り溝20から露
出しているベース15の部位に、アークランナ21の幅
により若干大きな幅で、アークランナ21の先端部が入
り込むような溝を設けている。
【0099】このような構成にすると、アークランナ2
1の先端部に到達したアークが、前記溝の中に入ってベ
ース15に囲まれる状態になり、ベース15から発生す
る蒸気によるアーク冷却作用が一層向上する。また、ベ
ース15に設けた前記溝の幅によりアークランナ側のア
ークスポットが広がるのが制限されるので、アークの電
流密度が更に上昇し、アーク電圧が一層上がる。従っ
て、限流遮断性能が一層向上する。
【0100】実施例25. 図38は、この発明の実施例25による回路遮断器の要
を示す正面図である。図39は、図38の説明のため
の側面図である。図では、切り溝20の中程の部分にく
びれ部20aを設けている。
【0101】図39(a)は、開極初期の比較的電流が
小さく、アーク径の小さな状態を示していて、アークA
は素早くアークランナ21の先端部まで走行する。この
とき、アークAは切り溝の中程のくびれ部20aから下
方において切り溝20を横切る。続いて、図39(b)
に示すように、可動接触子1が更に回動すると、アーク
は切り溝20の中程のくびれ部20aより上方にて切り
溝を横切る。この後、アーク電流が大きくなってアーク
径が増大しようとしても、アーク径はくびれ部20aに
より自由に広がることができなくなる。従って、アーク
の電流密度が上昇し、アーク電圧が上がる。つまり、こ
のような構成にすると、大電流遮断時の限流性能がより
向上する。
【0102】尚、この実施例では、切り溝20の中程の
部分にくびれ部20aを設けたが、切り溝20の固定接
点3側の幅を開極初期の比較的アーク径の小さいアーク
の走行を妨げない程度に狭くして、切り溝20の端子部
6側の幅を前記固定接点側の幅より広くしても同様な効
果が得られる。
【0103】実施例26. 図40は、この発明の実施例26による回路遮断器の要
を示す正面図である。図41は、図40の側面図であ
る。図では、切り溝20の幅が端子部6に近づくほど狭
くなっている。また、固定接触子4の接点板5は、アー
クを端子部6方向に駆動する磁場成分を発生するよう
に、接続導体7bから折り返すように接続されている。
アークランナ21は、固定接点3近傍から切り溝20を
突き抜け端子部6側へと延びている。
【0104】このように、アークを端子部6側に駆動す
る磁場成分を多く発生する固定接触子構造と、端子部6
側になるにつれて幅が狭くなる切り溝20を同時に用い
ると、アークが切り溝20の幅の狭い方へと押し込まれ
るので、アーク径が広がるのをおさえれ、限流遮断性
能がより向上する。
【0105】実施例27. 図42は、この発明の実施例27による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では、固定接点3近傍から端
子部6側へとアークランナ21が延びており、前記アー
クランナは、一度切り溝20を突き抜け、そこで上方へ
と曲げられ、再び切り溝20を突き抜けている。
【0106】事故電流を効果的に限流するには、電流値
が大きくなる前にアーク電圧を立ち上げる必要がある。
電流が大きくなってからアーク電圧を高くしても、電流
を小さくしぼることができないだけでなく、アークに注
入されるエネルギーが大きくなり容器内の圧力が非常に
上昇して容器を破損することがある。そこで、図42の
ようなアークランナ21を用いると、開極初期にはアー
クAが図42(a)の状態となり、アークAとベース1
5の距離を近くでき、アークAをベース蒸気により冷却
でき、電流を効率的に限流する。
【0107】遮断動作後半になると、図42(b)に示
すように、アークAはアークランナ21の先端部まで走
行してベース15から離れる。従って、遮断動作後半に
はベース15から発生する蒸気量を減少させることがで
きるので、容器内圧力の上昇による容器の破損を防ぐこ
とができる。
【0108】実施例28. 図43は、この発明の実施例28による可動接触子1と
固定接触子4の斜視図である。図では可動接触子1にア
ークホーン22を設けている。図43(a)では、真っ
すぐに延びるアークホーン22を、図43(b)では、
斜め上方に延びるアークホーン22を、図43(c)で
は、下方に延びるアークホーン22をそれぞれ示してい
る。
【0109】このように可動接触子にアークホーン22
を設けると、接点間に発生したアークの可動接触子1側
のアークスポットがアークホーン22の先端部へと移動
するので、アークと切り溝20から露出しているベース
15(図示せず)との距離が近くなり、ベース15から
の蒸気によるアークの冷却作用が増大し、限流遮断性能
が向上する。
【0110】なお、アークホーン22の材質は、アーク
に対して消耗し難い物質が用いられ、銅、銀などより融
点の高い金属で、例えば、鉄、タングステンなどが用い
られる。
【0111】実施例29. 図44は、この発明の実施例29による可動接触子1の
斜視図である。実施例28では、ベース蒸気によるアー
クの冷却作用を増大させるためにアークホーン22を設
けたが、アークホーン22の先端部に素早くアークスポ
ットが移動しなければ、アークホーン22の効果は小さ
い。そこで、図44(a)に示すように、アークホーン
22の可動接点2と反対側の部分に溝を設ければ、図中
の矢印のように電流が流れ、アークをアークホーン22
の先端部に駆動する磁場が発生する。従って、素早くア
ークをアークホーン22の先端部まで駆動することがで
きる。図44(a)では、単に溝を設けたが、図44
(b)のように溝の部分に電気抵抗の大きな物質22a
を挿入すれば、溝を設けることによる機械的強度の低下
を防げる。
【0112】実施例30. 図45は、この発明の実施例30による可動接触子1の
斜視図である。実施例28では、ベース蒸気によるアー
クの冷却作用を増大させるためにアークホーン22を設
けたが、繰り返し遮断動作を行うとアークホーン22の
先端部が消耗して限流遮断性能が低下する。そこで、図
45(a)のように、アークホーン22としてアークに
対して消耗し難い物質を接続すれば、アークホーン22
の消耗による限流遮断性能の低下を防げる。尚、図45
(a)では、はめ込みを作ってロー付けもしくはかしめ
等にてアークホーン22を固定する場合を示したが、図
45(b)のように、アークホーン22をねじ込んで固
定してもよい。
【0113】実施例31. 図46は、この発明の実施例31による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では、可動接触子1に設けた
アークホーン22の先端部を切り溝20に入れている。
図47、図48は、前記アークホーンの変形例であり、
図47では、斜め上方に延びるアークホーン22を、図
48では、下方に延びるアークホーン22をそれぞれ示
している。
【0114】このように、閉成状態において可動接触子
1のアークホーン22の先端部が切り溝20に入るよう
にすると、接点間に発生したアークAの可動接触子1側
のアークスポットがアークホーン先端部へと移動し、ア
ークAと切り溝20から露出しているベース15との距
離がより近くなり、特に開極初期において、ベース15
からの蒸気によるアークの冷却作用が増大し、限流遮断
性能がより向上する。
【0115】実施例32. 図49は、この発明の実施例32による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では可動接触子1にアークホ
ーン22を、固定接触子4にはアークランナ21をそれ
ぞれ設けている。
【0116】このように、可動接触子1にアークホーン
22を、固定接触子4にアークランナ21を同時に設け
ると、接点間に発生したアークAの可動接触子1側のア
ークスポットがアークホーン22の先端部へと、固定接
触子4側のアークホーンがアークランナ21の先端部へ
とそれぞれ移動するので、アークAと切り溝20から露
出しているベース15との距離が更に近くなり、ベース
15からの蒸気によるアークの冷却作用が一層増大し、
限流遮断性能が一層向上する。
【0117】実施例33. 図50は、この発明の実施例33による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では、可動接触子1にアーク
ホーン22を、固定接触子4にはアークランナ21をそ
れぞれ設け、アークホーン22の先端部を斜め上方に、
アークランナ21の先端部を斜め下方にそれぞれ曲げて
いる。
【0118】このように、先端にいくほどアークホーン
22とアークランナ21の距離が開くような構成にする
と、接点間で発生したアークAがアークホーン22およ
びアークランナ21を走行することにより、必然的にア
ーク長が伸び、アーク電圧が急速に立ち上がる。更に、
アークAがアークホーン22およびアークランナ21の
先端部に到達した後、アーク電流が大きくなっても、ア
ークホーン22およびアークランナ21からの金属蒸気
吹き出し方向(図50中矢印にて示す)が切り溝20方
向となるので、アークAがベース15に強く押し付けら
れ、アークを冷却する作用が増大する。従って、小電流
から大電流までの全ての領域において、優れた限流遮断
性能を得ることができる。
【0119】実施例34. 図51は、この発明の実施例34による回路遮断器の要
を示す斜視図である。図では、可動接触子1に下方に
伸びるアークホーンを、固定接触子4には固定接点3近
傍から切り溝20に伸びる馬蹄形のアークランナ21を
それぞれ設けている。閉成状態では、アークホーン22
の先端部が、馬蹄形のアークランナ21の内側に突っ込
まれており、開成状態ではアークホーン22の先端部は
馬蹄形のアークランナ21の上方に位置するように構成
している。
【0120】このような構成にすると、開極と同時に接
点間にて発生したアークは、素早くアークホーン22と
アークランナ21に転流する。従って、接点間にアーク
が停滞している時間が短くなり、接点の消耗が軽減され
る。また、馬蹄形アークランナ21を磁性体で作れば、
アークの転流を促す磁場成分が増加し、初期の転流速度
が一層速くなる。アークランナ21に転流したアークは
アークランナ21の先端部へと走行し、ベース蒸気によ
り冷却されるので、優れた限流遮断性能が得られる。
【0121】実施例35. 図52は、この発明の実施例35による回路遮断器の要
を示す側面図である。図では、可動接触子1にアーク
ホーン22を、固定接触子4にはアークランナ21をそ
れぞれ設けている。尚、閉成状態において、アークホー
ン22およびアークランナ21の先端部は切り溝20に
入るように配置している。
【0122】このように、閉成状態におけるアークホー
ン22およびアークランナ21の先端部を切り溝20に
入れると、図52に示すように、開極と同時に接点間で
発生したアークAがアークホーン22およびアークラン
ナ21を走行して切り溝20に入るので、開極初期にお
いて、アークAのアーク長のほとんどの部分がベース1
5に触れ、アークを冷却する効果を一層向上させること
ができ、アーク電圧が急速に立ち上がる。従って、限流
遮断性能が一層向上する。
【0123】実施例36. 図53は、この発明の実施例36による回路遮断器の要
を示す側面図である。図53(a)が開極初期の状態
を、図53(b)が遮断動作後半の状態をそれぞれ示し
ている。図では、固定接点3近傍から切り溝20方向に
のびるアークランナ21および、閉成状態において先端
部を切り溝20に入れているアークホーン22を設けて
いる。アークランナ21の先端部は切り溝20に入らな
いように、切り溝20の手前に位置するようにしてい
る。アークホーン22の先端部は可動接触子1が回動す
ることにより、切り溝20から外へ出るようにしてい
る。
【0124】このように構成すると、開極と同時に接点
間に発生したアークAは、アークランナ21およびアー
クホーン22を走行して図53(a)に示すような状態
となる。この時、アークAは切り溝20から露出してい
るベース15に触れ、ベース蒸気により急速に冷却さ
れ、アーク電圧が素早く立ち上がる。遮断動作が進み、
遮断動作後半になると、可動接触子1が回動して図53
(b)で示すような状態となる。この状態では、アーク
ホーン22が切り溝20から遠ざかるので、アークAが
ベース15から遠ざかり、ベース15からの蒸気発生量
は減少する。
【0125】一般に、事故電流を効果的に限流するに
は、電流値が大きくなる前にアーク電圧を立ち上げる必
要がある。電流が大きくなってからアーク電圧を高くし
ても、電流を小さくしぼることはできないだけでなく、
アークに注入されるエネルギーが大きくなり容器内の圧
力が非常に上昇して容器を破損することがある。そこ
で、上記のような構成にすることにより、開極初期にア
ーク電圧を素早く立ち上げ、且つ、遮断動作後半の容器
内圧力の発生を防ぐことができ、容器の破損のない優れ
た限流遮断性能を有する開閉器を実現できる。
【0126】実施例37. 図54は、この発明の実施例37による回路遮断器の固
定接触子の平面図である。図54において4は固定接触
子、3は固定接触子4の一端に固着された固定接点、6
は固定接触子4の他端部に形成された端子部、7は固定
接点3と端子部6をつなげる接続導体、20は接続導体
7に形成された切り溝であり、7aは切り溝20の左右
の接続導体である。31は切り溝20の周囲の接続導体
部を電気的に絶縁している絶縁物である。図54のAA
断面図である図55に示すように、絶縁物31は接続導
体7の上面だけでなく、切り溝20の内側の面も絶縁し
ている。
【0127】図56は上記の固定接触子4を用いた回路
遮断器の電極部の側面図であり、閉成状態を示してい
る。図で1は可動接触子、1aはその一端に設けられた
回動中心、2は可動接触子1の一端に固着された可動接
点、15はベースである。なお、図では消弧板などは省
略している。図に示すように閉成状態において可動接触
子1の先端32は接続導体7の切り溝20に面してお
り、切り溝20によりベース15のベース露出面33の
部分が露出している。
【0128】次に動作について説明する。図57は電流
遮断時を示している。電流遮断時には可動接触子1が回
動中心1aを軸として回動することで開極し、固定接点
3と可動接点2の間にアークAが発生する。接続導体7
を流れる電流は切り溝20の部分で左右の接続導体7a
に分流するため、この電流によるアークに対する電磁反
発力は減少し接点間アークAは端子部6の方向に伸びや
すく、また左右の接続導体7aによる電磁反発力により
アークは左右に偏らず真っすぐに切り溝20方向に伸
び、切り溝20のベース露出面33に触れてベース15
の熱分解ガスによる冷却を受けるため、優れた遮断性能
を示す。これらの作用は実施例1で説明の回路遮断器と
同様なので詳細な説明は省略する。
【0129】次に遮断電流が大きい場合の動作を説明す
る。この場合も上に示したような作用があるのは当然で
あるが、しかし電流が大きくなるとアークAの断面積も
電流密度を一定にするように増大し、アークAの直径は
切り溝20の幅より大きくなる状態になり得る。その結
果、左右の接続導体7aの電磁反発力があるにも拘ら
ず、アークAは左右の接続導体7aに近づこうとする。
この状態を図57のAA断面で示したのが図58であ
る。本実施例では左右の接続導体7aは絶縁物31で覆
われている。従って、アークAの直径が大きくなり左右
の接続導体7aに近づくと、アークAの熱によって左右
の接続導体7aを覆っている絶縁物が熱分解を起こしガ
スを放出する。
【0130】図58では、この熱分解ガスを模式図的に
矢印で示している。この分解ガスは、前述したベースの
熱分解ガスと同様にアークを冷却する。しかも絶縁物3
1によるアークAの冷却は単にアークを冷やすだけでな
い。図58に示すようにこの冷却によりアークAは偏平
になり断面の左右の幅が小さくなる。更にこの冷却効果
は左右の接続導体7aの電磁反発力と同様にアークAを
左右に偏らせずに真ん中に維持するように働く。これら
の結果アークAの直径が切り溝20の幅より大きくなっ
ても、アークAは切り溝20の中に入ることができ、ベ
ース露出面33の分解ガスによる冷却を十分に受けるこ
とができる。また絶縁物31によって左右の接続導体7
aなど切り溝20の周辺の接続導体7のアークAによる
損傷を防ぐことができるのは言うまでもない。以上の作
用により本実施例の回路遮断器では、大電流遮断時でも
優れた限流遮断性能を発揮することができる。
【0131】絶縁物31の材質としては、プラスチック
のような有機物でもセラミクスのような無機物でもどち
らでも効果がある。特に有機物では熱分解ガスが発生し
やすいため大きな効果があり、例えばポリブチレンテレ
フタレートやポリオキシンベンジレンあるいはポリアミ
ド等の樹脂またはそれらの樹脂に充填材としてガラスフ
ァイバーやセラミックファイバー、水酸化マグネシウム
などを混入したもの等がある。
【0132】実施例38. 図59は、この発明の実施例38による回路遮断器の要
部を示す側面図である。上記実施例では、接続導体7の
切り溝20が設けられた導体部分は実質的にベースの露
出面33に接しているが、図59と図59のAA断面図
である図60に示すように、切り溝20とベース露出面
33の間に空間34を設け、絶縁物31の切り溝20の
内側の絶縁している部分を伸ばした細隙部分35によっ
て、切り溝20とベース露出面33の間の細隙空間34
を形成しても、上記実施例と同様な効果がある。更にこ
の構成では接点間アークAの切り溝20に対する部分が
すべて細隙空間34にはいることができるため、絶縁物
31の細隙部分35とベース露出面33からの熱分解ガ
スによる冷却効果が大きく、より優れた遮断性能が得ら
れる。
【0133】実施例39. 図61は、この発明の実施例39による固定接触子の斜
視図で、図に示すように切り溝20の周辺の接続導体7
の絶縁として、接続導体7の上面のみを絶縁し切り溝2
0の内面は絶縁しない簡便な構造でも、所期の効果は得
られる。またこの実施例の変形として固定接触子の平面
図62(a)とAA断面図(b)に示すように、切り溝
20の周辺の接続導体7を絶縁するために、切り溝20
自身をも覆うような絶縁物31を用いても実施例37と
同様な効果が得られる。
【0134】実施例40. 63は、この発明の実施例40による回路遮断器の電
極部の側面図である。図において、4は固定接触子、3
は接点板5に固着された固定接点、6は固定接触子4の
一端に形成された端子部で接続導体7によって接点板5
に接続されている。接続導体7の他端部はほぼU字状に
曲がっており接点板5に接続されていて、接点板5の他
端部は端子部6方向を向いている。1は一端に可動接点
2が固着された可動接触子であり、閉成時の可動接触子
1の先端部32に対向する接続導体7の部分には切り溝
20が設けられ、切り溝20を通してベース15の露出
面33が露出している。
【0135】次に動作について説明する。図63では電
流遮断時の可動接触子1が開極し固定接点3と可動接点
2の間に発生したアークAが示されている。接続導体7
を流れる電流は切り溝20の部分で左右の接続導体7a
に分流するため、これらの電流によるアークに対する電
磁反発力は減少し接点間アークAは端子部6方向に伸び
やすくなることは実施例1の回路遮断器と同様なので詳
しい説明は省略する。また左右の接続導体7aによる電
磁反発力によりアークは左右に偏らず真っすぐに切り溝
20方向に伸び、切り溝20のベース露出面33に触れ
るとベースの熱分解ガスによる冷却をうけることも実施
例1の回路遮断器と同様である。
【0136】本実施例では図63において矢印で示した
ように固定接触子4を流れる電流のうち接点板5を流れ
る電流Idが閉成時の可動接触子1を流れる電流とほぼ
反平行である。従って、接点板5を流れる電流は接点間
のアークAに対して端子部方向の電磁力を及ぼす。ま
た、接点板5の下方の接続導体部7を流れる電流Ibは
アークAを接点側に押し戻す力を発生するが、アークA
との距離が大きいのでその影響を小さくしている。この
結果、上で述べたアークを切り溝20のベース露出面3
3に触れさせる力が非常に大きくなり、大量の熱分解ガ
スの発生によりアークが冷却されるため優れた限流遮断
性能の回路遮断器が得られる。
【0137】図64は、図63のU字状固定接触子の変
形例であり、図64(a)は固定接点3を固着した接点
板5と対向する接続導体部7の部分に切り溝36を設け
たものである。そして、切り溝36の左右の接続導体7
bには電流が分流して流れる。この分流した電流はアー
クAとの距離をより大きくすることができるのでアーク
を接点側に押し戻す力をより小さくすることができる。
図64(b)は切り溝20と切り溝36とを一つの切り
溝にしたもので、図64(a)と同様の効果がある。
【0138】実施例41. 65(a)は、この発明の実施例41による回路遮断
器の要部を示す側面図で、図65(b)はその固定接触
子4の斜視図である。この実施例は実施例40の変形例
である。この実施例による接続導体7は、切り溝20と
左右の接続導体7a、切り溝36と左右の接続導体7b
にて構成されていて、一端が固定接点3が固着している
接点板5に、他端が端子部6にそれぞれ接続されてい
る。接点板5は左右の接続導体7bから折り返すように
ロー付けして接続されており、接点板5には左右の接続
導体7bの電流Ibと逆方向の電流Idが流れる。
【0139】上記のように、接点板に左右の接続導体7
電流Ibと逆方向の電流Idが流れるようにすれ
ば、電流IdによりアークAが切り溝20方向に引き伸
ばされる。また、アークを接点側に押し戻す力を発生す
る電流IbをアークAから遠ざけることができる。した
がって、アークAが切り溝20から露出しているベース
に更に強く当たるので、限流性能が一層向上する。図6
5(c)は切り溝20と切り溝36とを一つの切り溝に
したもので、図65(b)と同様の効果がある。
【0140】また、図66は接点板5が左右の接続導体
7bから折り返すように接続されている固定接触子4の
斜視図であり、切り曲げ加工にて製造されたものであ
る。このように切り曲げ加工にて製造すれば、固定接点
3以外の部分を一つの部品にて作成でき、製造コストを
下げることができる。
【0141】しかし、切り曲げ加工では、接点板の高さ
をある程度以上高く(最低でも導体の板厚より高く)設
計しないと接点板5部分を切り出せないので、図65の
ようにロー付けにて、接点板を接続すれば任意の接点板
の高さを実現できる。また、切り曲げ加工やロー付けで
は必然的に折り返し部が長くなるので、固定接触子4の
長さに制限がある場合は、実施例40の図63、図64
のように、曲げ加工にて作成する方法が有効である。
【0142】上記実施例40、41ではU字状、コ字
状、またはユ字状に折り返し部を設けたがこれらの形状
に留まらず、固定接触子4を流れる電流が折り返して固
定接点3の取付け部では反対方向へ流れるように構成し
たものであればよい。次に示す実施例42も同様の目的
で構成したものである
【0143】実施例42. 図67は、この発明の実施例42による回路遮断器の要
部を示す側面図である。上記実施例では接点板5は接続
導体7に固定されている場合を示したが、図67に示す
ように接点板5が反発構造をしていてもよい。図67に
おいて固定接点3は反発子5aと呼ばれる接点板5に固
着されており、反発子5aの他端部は回転自在に回転軸
39で支持されている。反発子5aは巻バネ40によっ
て固定接点3が可動接点2に接触する方向に力を受けて
いる。41は巻バネ40の支点である。端子部6は上記
実施例と同様に切り溝20を持つ接続導体7に接続さ
れ、切り溝20を通じてベース15の露出面33が露出
している。接続導体7と反発子5aは反発子5aの回転
軸39を中心として回転運動を妨げないように、フレキ
シブルな導体42で接続されている。
【0144】図68は本実施例の電流遮断時を示してい
る。遮断時には反発子5aと可動接触子1に流れる電流
が互いに平行で向きが逆なため、反発子5aと可動接触
子1には互いに電磁反発力が働く。反発子5aを抑えて
いる巻バネ40の力よりこの電磁反発力が大きくなる
と、図に示すように反発子5aは回転軸39を中心とし
て回転する。反発子5aに流れる電流は、前述したよう
にアークを切り溝20の方向に押しやる力を発生するた
め固定接点上のアークスポットは反発子5aの先端に駆
動される。
【0145】この時反発子5aは反発し回転しているた
め、反発子5aの先端部は切り溝20のベース露出面3
3に向いている。このため反発子5aの先端に移動した
アークスポットから出たアークはベース露出面33に強
く吹き付けられる。従って、アークは電磁力の作用だけ
でなく、この吹き付けの効果によってもベース露出面3
3に押しつけられるため、より多くのベースからの熱分
解ガスが発生しアーク冷却効果が高まり、上記実施例以
上の限流遮断性能の向上が図られる。
【0146】実施例43. 図69は、この発明の実施例43による回路遮断器の固
定接触子の斜視図である。ここで固定接触子4は、上記
実施例41に示した接点板5を接続導体7の切り曲げで
構成したものである。本実施例では、接点板5の両脇お
よび端子部側の接続導体7を磁性体、例えば鉄からなる
アークランナ21で覆ったものである。接点板5の両脇
のアークランナ21で覆われた接続導体7、即ち、接点
板5の切り曲げによって生じた切り溝36(図70で図
示)の左右の接続導体7bとしている。
【0147】図70は図69のAA断面で、動作を説明
するために断面部のみを示している。紙面の裏側が端子
部6方向である。ここで電流が端子部6から流れ込むと
すると、接点板5に流れる電流は紙面の裏側向きでB1
の磁場を発生する。この磁場B1はアークAに流れる太
い矢印で示した電流に対して端子部6方向、紙面の裏
向きの電磁力を発生する。このことは、前に述べた通り
である。一方、切り曲げで生じた切り溝36の左右の接
続導体7bを流れる電流は紙面の表向きで、この電流が
作る磁場はアークAを端子部6とは逆方向に動かす電磁
力を発生する。しかし本実施例では左右の接続導体7b
上をアークランナ21が覆っており、しかもアークラン
ナ21が磁性体であるため、図70に示したように左右
の接続導体7bに流れる電流による磁場B2はこの磁性
体であるアークランナ21に遮蔽され、アークAの端子
部6方向への駆動を妨げない。
【0148】この結果、図71に示すように電流遮断時
にアークAは強力な切り溝20方向の駆動力を受け、ま
た、固定接点3上のアークスポットもアークランナ2
の先端部43に駆動されやすい。なお、このアークを切
り溝20方向に駆動する力には、当然前記実施例で説明
したように、接続導体7の切り溝20による反駆動(反
駆動磁場)の低減も寄与している。更に、普通本実施例
のように接続導体7を覆うほどに幅の広いアークラン
1がある場合、アークランナ21の先端部に駆動され
たアークスポットは、アークランナ21の中心にいると
は限らず左右に偏ってしまう。
【0149】これは回路遮断器が一般に三相回路で使わ
れ、それぞれの電極部が隣り合っているため、隣の相を
流れる電流の電磁力の影響を受けるためである。ところ
が本実施例では、前記実施例で説明したように切り溝2
0の左右の接続導体7aによる電磁力によりアークAは
左右に偏らず真っすぐに駆動される。このためアークラ
ナ21上のアークスポットはアークランナ21の先端
部43の中央に駆動される。これらの結果、アークAは
切り溝20のベース露出面33に強力に押し付けられ大
量の熱分解ガスにより冷却されるため、優れた限流遮断
性能が得られる。
【0150】実施例44. 図72は、この発明の実施例44による固定接触子の平
面図である。上記実施例ではアークランナ21の先端部
43までの幅の広い物を示していたが、図72に示すよ
うにアークランナ21の先端部43の幅を切り溝20の
幅より狭くしてもよい。このようにアークランナ21を
構成すると、アークランナ21の先端部43上のアーク
スポットをより中心に維持しやすい。また、本実施例の
変形例として、図73(a)、図73(b)に示すよう
にアークランナ21の中央に他の部分より高く盛り上げ
た突起部44を設けても、アークスポットをアークラン
ナ21の中心に維持しやすい。
【0151】実施例45. 図74は、この発明の実施例45による固定接触子の側
面図及び断面図である。実施例43では、接点板5の周
りのアークランナ21が固定接点3の表面より低いもの
を示したが、図74に示すように逆に固定接点3の表面
が周りのアークランナ21より低くても同様な効果があ
る。更に、固定接点3よりアークランナ21の方が高い
ため、固定接点3上のアークスポットがアークランナ2
1に移りやすいという効果もある。
【0152】実施例46. 図75、図76は、この発明の実施例46による回路遮
断器の固定接触子の側面図と平面図である。ここで固定
接触子4は、上記実施例43と同様に接点板5を接続導
体7の切り曲げで構成したものである。また、同じよう
に接点板5の両脇および端子部側の接続導体7を磁性
体、例えば鉄からなるアークランナ21で覆っている。
接点板5の両脇のアークランナ21で覆われた接続導体
7、即ち、切り曲げによって生じた切り溝36の両側の
接続導体部を左右の接続導体7bとしている。
【0153】更に、本実施例では固定接点3に対して端
子部6とは逆方向の接続導体7(図の左側)に、少なく
とも固定接点3の横の部分で、アークランナ21の先端
部43とは反対側に接続部45、46を設け接続導体7
と接続している。固定接点3よりアークランナ21の先
端部43側では、図に示すようにアークランナ21と接
続導体7は電気的な接触が起こらないように、アークラ
ナ21の接続部45、46は他の部分に比べて下方に
厚くして先端部43を浮かせている。
【0154】図75には端子部6から電流が流れ込む
と、アークAのアークスポットが前記実施例で説明した
磁気駆動力でアークランナの先端部43に移ったときの
電流を矢印で示している。本実施例では、上記のように
アークランナ21を接続導体7に接続したので固定接点
3上のアークスポットがアークランナ21に移った後、
アークランナ21には矢印で示したような電流が流れ続
ける。この電流はアークスポットが固定接点3上にある
ときに接点板5に流れる電流と同じ方向であり、従って
この電流による電磁力はアークおよびアークスポットを
切り溝20方向に駆動する力である。このためアークス
ポットがアークランナの先端部43に移った後もアーク
Aは切り溝20方向に駆動を受け、前記実施例で説明し
たように、ベース露出面33の熱分解ガスによる冷却を
受け、より優れた遮断性能が得られる。
【0155】上記実施例では固定接点3よりアークラン
ナの先端部43側ではアークランナ21と接続導体7を
接触させないように、アークランナ21の接続部45、
46を他の部分より下方に厚くして先端部を浮かせてい
るが、図77に示すようにアークランナ21の接続部4
5、46より先端部43側で曲げてアークランナ21の
先端部43が接続導体7に触れないように浮かせてもよ
い。このようにしても上記実施例と同様な効果があるこ
とは言うまでもない。
【0156】実施例47. 図78は、この発明の実施例47による固定接触子の側
面図である。この実施例は上記実施例46と同様な効果
があるもので、本実施例では固定接点3よりアークラン
ナの先端部43側でアークランナ21と接続導体7を接
触させないために、接続導体7のアークランナ21との
接続部より端子部6側を図に示すように下に曲げた構成
をしている。このような構成にしても上記実施例と同様
な効果がある。更に本実施例では、普通、銅である接続
導体7を曲げるだけで、機械的強度の強い鉄からなるア
ークランナ21を曲げなくてもよく、工作が楽にできる
利点がある。
【0157】実施例48. 施例46、47ではアークスポットがアークランナ2
1に移ってからは、アークランナ21に電流が流れ、図
75に示すようにこの電流はアークランナ21のその部
分に面している接続導体7に流れる電流とほぼ平行であ
り向きが逆である。従って、接続導体7とアークラン
1の間には電磁反発力が働く。アークランナ21は接
続導体7に接続部45、46の部分でしか固定されてお
らず、アークランナの先端部43を上に持ち上げるよう
な上記の電磁反発力が加わると接続部45、46が破損
しやすい。特に大電流ではこの恐れが大きい。アークラ
ナ21と接続導体7の接続強度は、接続をロー付けや
リベットなどでしたり、また、その他の接続手段を用い
たとしても、アークランナ21と接続導体7との接続面
積が広いほうが強くすることができる。
【0158】本実施例は図79に示すようにアークラン
ナ21の接点板5の両脇の接続部45、46を端子部6
とは逆方向に伸ばし、接点板5の前で、互いに繋いだ接
続部47を持つ構成としている。そしてアークランナ2
1の接続部47を接続導体7に接続し、接続部47をア
ークランナ21の他の部分より下方に厚くして、接続部
以外ではアークランナ21と接続導体7が接触しないよ
うにしている。このような構成にしても上記実施例と同
様な効果がある。更に、本実施例ではアークランナ2
と接続導体7との接続を接点板5の前(端子部6と反対
側)で行っているために、接続面積を容易に広く取るこ
とができ、接続強度を高めることができる。
【0159】実施例49. 図80は、この発明の実施例49による回路遮断器の固
定接触子の斜視図である。ここで固定接触子4は、上記
実施例43と同様に接点板5を接続導体7の切り曲げで
構成したものである。また同じように接点板5の両脇お
よび端子部側の接続導体7を磁性体、例えば鉄からなる
アークランナ21で覆っている。図80のAA断面であ
る図81に示したように、更に、本実施例のアークラン
ナ21は接続導体7の上側で、且つ、接点板5の下側の
空間にも伸びている部分48を備えている。アークラン
ナ21の上面と接点板5の間は電気的接触がないように
隙間が設けられている。もちろん隙間でなく絶縁物を設
けてもよい。
【0160】このような構成にしても、前記実施例43
と同様に優れた遮断性能が得られる。更に本実施例で
は、アークAを切り溝20方向に駆動する電磁力が強ま
っている。図81は紙面の裏側が端子部6側を示してお
り、端子部6から電流が流れ込むとすると切り曲げによ
って接点板5を形成したときにできる切り溝36の左右
の接続導体7bに流れる電流は図に示すように紙面の裏
側から表に向かう方向である。これらの電流はアークA
に逆駆動力即ちアークAを切り溝20とは逆の方向に駆
動する磁場B2を発生する。磁場B2は実施例43と同
様に磁性体のアークランナ21に遮蔽されるが、本実施
例では接点板5の下側にもアークランナの部分48があ
るため、B2の磁場を遮蔽する効果がより高い。
【0161】更に、接点板5に流れる電流は紙面の表
から裏側に向かう方向に流れ、この電流による磁場B1
はアークAを切り溝20方向に駆動する電磁力を発生す
るが、接点板5の下の磁場B1の通り道に磁性体のアー
クランナの部分48があるため磁気抵抗が低くなり、ア
ーク駆動磁場B1非常に強くなる。これらの効果によ
り、アークAを切り溝20方向に駆動する力が大きくな
り、前述した切り溝20のベース露出面33による冷却
効果が高まりより遮断性能が向上する。
【0162】実施例50. 図82は、この発明の実施例50による固定接触子の斜
視図である。上記実施例ではアークランナ21の上面が
平らなものを示したが、図82に示すようにアークラン
ナ21の接点板5より切り溝20側に他の部分より高い
部分である高部49を設けても上記実施例と同様な効果
がある。更に、接点板5より切り溝20側のアークラン
ナ21の高部49が高いので、固定接点3上のアークス
ポットがアークランナ21の高部49に移りやすく、更
に遮断性能が向上する。図83は、本実施例の他の変形
例でアークランナ21の接点板5より切り溝20側の高
部49の幅を狭くしたものである。このようにしても同
様な効果がある。
【0163】実施例51. 図84は、この発明の実施例51による固定接触子の斜
視図である。本実施例ではアークランナ21を固定接点
3の横から切り溝20の部分を曲げて、接点板5より
切り溝20側にアークランナの高部49を形成してい
る。図85は、本実施例のアークランナ21の三面図で
ある。図84、図85から分かるように、アークラン
1の端子部6側に高部を形成するために、接点板5の
下の部分50を残して、接点板5の端子部6側と両脇に
位置するアークランナの部分49、51、52の部分に
溝を入れ上方向に曲げている。このように構成しても上
記実施例と同様な効果がある。更に、本実施例ではアー
クランナ21の接点板5の端子部6の高部49だけで
なく、固定接点3の横の部分51、52も高くすること
ができるため、アークランナ21へのアークスポットの
移動が一層たやすくなるため遮断性能が向上する。
【0164】実施例52. 図86は、この発明の実施例52による回路遮断器の固
定接触子の斜視図である。ここで固定接触子4は、上記
実施例43と同様に接点板5を接続導体7の切り曲げで
構成したものである。また同じように接点板5の両脇お
よび端子部側の接続導体7を磁性体、例えば鉄からなる
アークランナ21で覆っている。更に、本実施例ではア
ークランナ21の先端部43は接続導体7に設けられた
切り溝20の内部に入り込んでいる。当然アークラン
先端部43は切り溝20の幅より狭くなっている。上
記のような構成にしても実施例43と同様な効果がある
ことは言うまでもない。
【0165】更に本実施例では、図86のAA断面であ
る図87に示すように電流遮断時に固定接点3上のアー
クスポットが前述した接点板5や切り溝20の左右の接
続導体7aに流れる電流によってアークランナ21に移
り更にアークランナ21の先端部43に達することがで
きる。アークランナ21の先端部43は切り溝20の中
まで伸びており、ベース露出面33に非常に近い。従っ
て、アークAがベース露出面33に接触する面積が大き
くなり、より大きなアークAのエネルギーがベース露出
面33に与えられる。この結果、ベース露出面33の熱
分解が多くなり発生する熱分解ガスも増大するため、こ
のガスによるアークAに対する冷却効果が向上する。こ
のため一層の遮断性能の向上が図れる。
【0166】実施例53. 図88は、この発明の実施例53による固定接触子の側
面図である。上記実施例では切り溝20からベース15
の面33が露出しているが、図88に示すように切り溝
20とベース面33の間に冷却板23を置いて、遮断時
のアークを冷却板23に接触させて冷却してもよい。こ
のような構成にしても上記実施例と同様な効果を奏す
る。更に、ベース15の材料は機械強度や工作精度
他、多量に使うためコストなどから選定され、アーク
に触れたときの冷却性能の面から材料を選ぶことは十分
にできないことがあるが、本実施例の冷却板23は独立
して最もアーク冷却効果の高い材料にすることができ
る。従って、より遮断性能の向上が図れる。
【0167】冷却板23の材質としては、プラスチック
のような有機物でもセラミクスのような無機物でもどち
らでもよい。特に有機物では熱分解ガスが発生しやすい
ため大きな効果があり、例えばポリブチレンテレフタレ
ートやポリオキシベンジレンあるいはポリアミド等の樹
脂またはそれらの樹脂に充填材としてガラスファイバー
やセラミックファイバー、水酸化マグネシウムなどを混
入したもの等がある。図89は本実施例の変形例を示し
ている。この例では、冷却板23のアークが触れる面に
図に示すように多数の溝53を設けている。こうするこ
とによって電流遮断時にアークに触れる冷却板23の表
面積を大きくすることができ、より多くの熱分解ガスが
発生し冷却効果を高めることができる。
【0168】実施例54. 図90は、この発明の実施例54による固定接触子の側
面図である。本実施例では切り溝20がある接続導体7
の部分とベース露出面33の間に実質的な空間34を設
けており、アークランナ21の先端部43が切り溝20
からベース露出面33側に突き出ている。このような構
成にしても実施例52と同様な効果がある。更に、前に
説明したように接点板5と切り溝20の左右の接続導体
7aに流れる電流による電磁力によって固定接点3上の
アークスポットがアークランナ21の先端部に達する
と、本実施例の構成では電流が端子部6から流れ込むと
して図90の矢印で示すように電流が流れる。
【0169】アークランナの先端部43に流れる電流は
アークAをベース露出面33に押し付ける電磁力を発生
する。また、切り溝20の左右の接続導体7aに流れる
電流もアークAに流れる電流と逆方向のためアークAを
ベース露出面33に押し付ける。このようにひとたびア
ークランナの先端部43にアークスポットが移ると、ア
ークAをベース露出面33に押し付ける電磁力が付加的
に発生するため、よりベースの露出面33の熱分解ガス
が多くなり一層遮断性能が向上する。
【0170】図91は本実施例の変形例を示しており、
切り溝20を突き抜けたアークランナ21の先端部43
を下側に曲げ、アークランナーの先端部43をベース露
出面33に向けるような構成している。一般にアーク
スポットからはそのアークスポットの電極面に垂直方向
にアークの実体である電極材料が蒸発した金属蒸気であ
る高温ガスを噴出する。従って、本実施例の構成にする
と上記実施例と同様にアークスポットがアークランナの
先端部43に達すると付加的な電磁力が働く以外に、ア
ークランナの先端部43のアークスポットからアークラ
ナ21の面が向いている方向、即ちベース露出面33
にアークが吹き付けられる。この吹き付けの効果によっ
て、更に多くの熱分解ガスが発生しアークAの冷却が促
進され、遮断性能が向上する。
【0171】なお実施例52〜54では、アークラン
1として切り溝20より固定接点3側では平板状のも
のを示したが、図92に示すように固定接点3より切り
溝20側で上に曲がっていてアークランナ21と接続導
体7が電気的に接触しない構造のものを用いて、アーク
スポットがアークランナ21に移った後でもアークラン
ナ21に流れる電流による電磁力でアークAをベース露
出面33に強力に押し付けるようにしてもよい。
【0172】実施例55. 図93は、この発明の実施例55による回路遮断器の固
定接触子の側面図である。また図94は平面図である。
ここで固定接触子4は、上記実施例52と同様に接点板
5を接続導体7の切り曲げで構成したものである。ま
た、同じように接点板5の両脇および端子部側の接続導
体7を磁性体、例えば鉄からなるアークランナ21で覆
っており、アークランナ21の先端部43は接続導体7
に設けられた切り溝20の内部に入り込んでいる。本実
施例のアークランナ21は、略U字状(又は、コ字状)
をしておりU字の脚部45a、46aが接点板5の両脇
に位置しており、U字の底部の先端部43が切り溝の中
に入っている。
【0173】上記のU字の脚部45a、46aの先端部
54、55は、図93上で下方向に打ち出されており、
アークランナ21の他の部分の下面より先端部54、5
5の下面は下方向に突出している。アークランナ21の
この先端部54、55が接続導体7の端子部6とは逆の
端部にリベット56、57で接続されている。一方アー
クランナ21のU字の底部49aは図93上で上方向に
曲げられて形成されており、少なくともアークランナの
先端部43が固定接点3より高い位置になるように構成
されている。また、アークランナ21のU字の脚部45
a、46aはほぼ水平になっているため、アークラン
1はそのU字の脚部の先端部54、55の部分でしか
接続導体7とは接触していない。
【0174】本実施例では上記のようにアークランナ2
1を構成したので、電流遮断時に前述した接点板5に流
れる電流による電磁力で固定接点3上のアークスポット
がアークランナ21のU字の底部49aに移っても、ア
ークランナ21のU字の脚部45a、46aには接点板
5に流れていた電流と同方向の電流が流れ続ける。この
電流はアークAを切り溝20方向に駆動する電磁力を発
生するので、アークスポットが固定接点3からアークラ
ナのU字の底部49aに転移した瞬間でも切り溝20
方向への駆動力が消失することがない。アークランナ2
1のU字の底部49aの固定接点3に最も近いところは
エッジ部58であり、固定接点3上のアークスポットは
最初このエッジ部58に転移すると考えられる。普通エ
ッジ等の角ばった部分にはアークが滞留しやすい。
【0175】本実施例ではアークスポットが最も滞留し
やすいアークランナのU字の底部49aに転移した瞬間
にも、駆動磁場がアークに働き続けるため、速やかにア
ークスポットはアークランナの先端部43まで駆動され
る。このときに切り溝20および左右の接続導体7aも
重要な役割を演ずることは前に説明した通りである。図
93ではアークスポットがアークランナの先端部43に
達した状態を示している。このときアークAをベース露
出面33に押し付ける電磁力を発生するのは、アークラ
ナ21のU字の脚部45a、46aの部分とU字の底
部49aの部分に流れる電流であり、電流の経路が長い
ため強力である。従って、ベース露出面33の熱分解ガ
スによる冷却効果が大きく優れた遮断性能が発揮でき
る。なお、上記実施例ではアークランナ21と接続導体
7をリベットで接続しているが、溶接やロー付け等の他
の方法でもよい。
【0176】実施例56. 図95は、この発明の実施例56による固定接触子の簡
略図で、図95(a)は上面図、図95(b)は側面
図、図95(c)は下から見た下面図である。本実施例
ではアークランナ21のU字の底部49a、先端部43
の部分に打ち出した突起部44を設けており、接点板5
を切り曲げて形成するために生ずる切り溝36と切り溝
20を一体化している。また、切り溝20の図95上で
の上側の端部59を端子部6に近づけるよう設けてい
る。本実施例においても上記実施例と同様な効果があ
る。
【0177】更に、本実施例ではアークランナ21に突
起部44を設けたため、固定接点3からアークスポット
がアークランナ21に移るとき、アークランナ21のエ
ッジ部58に滞留しずらく、より速やかにアークラン
先端部43にアークスポットが駆動される。更に、切
り溝20の上の端部59が端子部6にあるため、アーク
Aのベース露出面33方向への動きが制限されず、より
広いベース露出面33にアークAが接触する。従って、
冷却効果も高まり遮断性能が向上する。
【0178】実施例57. 図96は、この発明の実施例57による固定接触子の斜
視図である。本実施例においては切り溝20の周辺の接
続導体7が絶縁物31で絶縁されている。切り溝20の
内側の面も図96に示すように絶縁物31によって覆わ
れている。他の構成は、上記実施例と同じであり、本実
施例においても上記実施例と同様な効果がある。
【0179】更に本実施例においては、切り溝20の周
辺の接続導体7が絶縁物31によって絶縁されているた
め、アークスポットがアークランナ21の先端部43に
移ったアークA(図示せず)は、切り溝20のベースの
露出面33(図示せず)を上記実施例のように熱分解す
るだけでなく切り溝20の内側の絶縁物31も熱分解さ
せるため、大量の熱分解ガスにより冷却を受けるため、
より遮断性能が向上する。また、切り溝20の周辺の絶
縁物31は、電流が大きくなりアークの直径が絶縁物3
1で覆われた切り溝20の幅より大きくなってアークが
切り溝20内に入らなくなるときに、両側からアークを
冷却しアークの幅を小さくしてアークが切り溝20内に
入りやすくする働きもする。
【0180】図97は本実施例の変形例を示しており、
固定接点3とアークランナ21の突起部44以外の部分
も絶縁するように絶縁物60を付加した物である。本実
施例では切り溝20の周辺の接続導体7を絶縁する絶縁
物31と一体化しているものを示した。このような構成
にしても上記実施例と同様な効果がある。
【0181】アークランナ21は突起部44以外絶縁
物60で絶縁されているため、遮断電流が大きくアーク
スポットが切り溝20内部のアークランナ21の先端部
43に納まらないときでもアークスポットは突起部44
に限定される。そしてアーク熱によって突起部44の周
囲の絶縁物60が熱分解ガスを放出するので、この分解
ガスによってもアークは冷却される。従って、本実施例
ではより一層の遮断性能の向上が図れる。
【0182】実施例58. 図98は、この発明の実施例58による回路遮断器の固
定接触子の斜視図である。ここで固定接触子4は、前記
実施例52と同様に接点板5を接続導体7の切り曲げで
構成したものである。また、同じように接点5の両脇お
よび端子部側の接続導体7を磁性体、例えば鉄からなる
アークランナ21で覆っており、アークランナ21の先
端部43は接続導体7に設けられた切り溝20の内部に
入り込んでいる。更に、本実施例では図98のAA断面
を示す図99(アークランナ21は図示せず)に示すよ
うに、接続導体7の接点板5の下方にできる切り溝36
の左右の接続導体7bの断面のそれぞれの重心と固定接
点3の表面の中心を結んでできる二等辺三角形の底角θ
が45度未満になるように構成されている。このような
構成にしても前記実施例52と同様な効果がある。
【0183】更に本実施例では、固定接点3上のアーク
スポットの駆動に悪影響を与える接点板5より下方にあ
る接続導体7の切り溝36の左右の接続導体7bを流れ
る電流による電磁力を低減できる。アークはアークスポ
ットとそれ以外のアーク陽光柱に大きく分けられる。電
磁力はアークスポットにもアーク陽光柱にも働くが、普
通アーク陽光柱は電磁力に敏感に応答し動こうとする
が、アークスポットの方は滞留しやすくアークの駆動を
制限している。従って、アーク駆動にはアークスポット
部分の駆動磁場を強める。今の場合では固定接点3の表
面上の逆方向の駆動磁場を低減させることが重要にな
る。
【0184】図99において紙面の裏側が端子部6方向
とし電流が端子部6から流れ込むとすると、切り溝36
の左右の接続導体7bを流れる電流は紙面裏側から表側
への向きである。この電流は、前に述べたようにアーク
Aを端子部6とは逆方向に駆動する磁場を発生する。図
99に示すように左右の接続導体7bの断面の重心間の
距離を2dとし、この重心間を結ぶ直線からの固定接点
表面までの距離をhとする。更に、左右の接続導体7b
に流れる電流がそれぞれ全電流Iの1/2に分流してい
るとすると固定接点3の表面上の磁束密度Bは次のよう
になる。 B=k(I/d)sin(2θ) h=d・tanθ ここでkは比例定数である。
【0185】図100は上記磁束密度Bをhの関数とし
て模式的に表したものである。図100から判るように
固定接点3の表面までの距離hがdのときに最大値を取
る。それ以降はhの増加(θ>45゜)にしたがって穏
やかに減少していく。一方、hがdより減少(θ<45
゜)するとBは急速に減少する。前に述べたように、こ
の磁場(磁束密度)Bは固定接点3の表面上のアークス
ポットを逆方向に駆動する磁場であり、小さければ小さ
いほどアークAを切り溝20方向に駆動しやすくなる。
この磁場をθが45度以上の領域で小さくしようとする
と、上で述べたように固定接点3の表面迄の距離(h)
を大幅に高くしないと効果がない。しかし本実施例のよ
うにθを45度未満になるように構成すれば、固定接点
3の表面までの距離(h)を少しでも小さくすることに
よって、逆駆動磁場を効果的に低減することができ、そ
の結果アークが切り溝20内に駆動されやすくなり、遮
断性能の向上が図れる。
【0186】実施例59. 図101は、この発明の実施例59による回路遮断器の
要部を示す側面図である。ここで固定接触子4は、前記
実施例52と同様に接点板5を接続導体7の切り曲げで
構成したものである。また、同じように接点板5の両脇
および端子部6側の接続導体7を磁性体、例えば鉄から
なるアークランナ21で覆っており、アークランナ2
の先端部43は接続導体7に設けられた切り溝20の内
部に入り込んでいる。更に、本実施例では図に示す可動
接触子1の先端部32とアークランナ21の先端部43
の間の最短距離PQ1=r1が可動接触子1の先端部3
2と接続導体7の間の最短距離PQ2=r2より短くな
るように構成されている。
【0187】上記のように構成しても、実施例52と同
様な効果がある。更に、図102に示すようにアークA
が駆動されて固定接点3上のアークスポットがアークラ
ナ21の先端部に移った状態では、前に説明した通り
アークランナ21に流れる電流によりアークAは切り溝
20の方向に電磁力を受けている。実際の遮断では何か
の拍子にこの電磁力によってアークAが接続導体7に飛
び移ることもあり得る。図103はアークランナの先端
部43上のアークスポットが電磁力により接続導体7に
移った瞬間の状態を示している。
【0188】アークランナの先端部43から接続導体7
にアークスポットが移るときにはアークランナ21に流
れる電流による端子部6方向の電磁力が働いているの
で、アークスポットは可動接触子1との距離が最短にな
る接続導体7上の点Q2ではなく、切り溝20の端子部
6側59に移ることになる。この状態ではアークAを端
子部6方向に駆動するアークランナ21の電流は流れて
おらず、また、端子部6に流れる電流はアークAを固定
接点3側に押し戻す電磁力を発生する。
【0189】また、アークの本性としてなるべくアーク
長を短くしようとするため、接続導体7の切り溝20の
端子部6側59のアークスポットは可動接触子1から最
短距離にある接続導体7上の点Q2に移動する。しか
し、アークランナ21上の点Q1は更に可動接触子1に
近いため、結局アークスポットはアークランナ21の先
端部43の点Q1に戻ることになる。
【0190】以上時間を追って説明したが、実際アーク
スポットがアークランナ21から接続導体7に移りまた
アークランナ21に戻ってくるのは一瞬のことである。
従って、本実施例の構成では、アークが何かの拍子に接
続導体7に移っても瞬時にアークランナ21に戻ってく
るので、実施例52で説明した発明の効果を安定に発揮
させることができ、遮断性能の向上が得られる。
【0191】なお、本実施例では可動接触子1と端子部
6との間の最短距離が可動接触子1と接続導体7との間
の最短距離PQ2=r2より大きい場合を説明したが、
可動接触子1と端子部6との間の最短距離が接続導体7
までの最短距離PQ2=r2より小さい場合は、可動接
触子1とアークランナ21との間の最短距離PQ1=r
1を可動接触子1と端子部6との間の距離より小さくし
なければならないことは言うまでもない。
【0192】実施例60. 図104は、この発明の実施例60による回路遮断器の
要部を示す側面図である。本実施例でも上記実施例と同
様に可動接触子1とアークランナ21との最短距離PQ
1=r1は可動接触子1と接続導体7との最短距離PQ
2=r2より小さく構成されている。更に、本実施例で
はr1とr2の関係を変えずに、アークランナ21の先
端部43にほぼ水平な端面61を設けている。本実施例
においても上記実施例と同様な効果を奏する。
【0193】前に説明したように、一般にアークスポッ
トからはそのアークスポットの電極面に垂直方向にアー
クの実体である金属蒸気からなる高温ガスを噴出する。
従って、上記実施例ではアークランナの先端部43の面
が可動接点3側に向いているので、アークは可動接点方
向に吹き出すためベース露出面33に接触しずらい。し
かし本実施例のようにアークランナの先端部43に水平
な端面61を設けているため端面61に駆動されたアー
クスポットからは垂直方向にアークが吹き出し、切り溝
20のベース露出面33にアークが接触しやすいという
利点がある。従って、アークAによるベース露出面33
の熱分解ガスの発生が促進され、そのガスによるアーク
Aの冷却効果が向上し遮断性能が高まる。
【0194】また、図105は本実施例の変形例であり
アークランナ21の先端部43の端面61をベース露出
面33方向に向けた構造をしている。このような構造に
すれば、アークAがアークスポットからベース露出面3
3方向に吹き出すので、更にベース露出面33にアーク
が接触しやすくなる。
【0195】図106はその他の変形例である。図10
6(a)は側面図、図106(b)は固定接触子の平面
図である。本変形例では図に示すようにアークランナ2
1の先端部43に突起部44を設け、突起部44の端面
61がベース露出面33方向に向くように構成してい
る。このように構成しても、同様にアークAがベース露
出面33に接触しやすくなる。
【0196】実施例61. 図107は、この発明の実施例61による回路遮断器の
要部を示す簡略図で、図107(a)は側面図、図10
7(b)は平面図である。ただし図107(b)では可
動接触子1を省略している。本実施例でも上記実施例と
同様に可動接触子1とアークランナ21との最短距離P
Q1=r1は可動接触子1と接続導体7との最短距離P
Q2=r2より小さく構成されている。更に本実施例で
は、切り溝20の中を貫くようにアークランナ21の先
端部43より端子部6側のベースに突出部62を設けこ
の突出部62の可動接触子1に向かうベース露出面33
をほぼ垂直に構成している。
【0197】以上のように構成しても、実施例59と同
様な効果がある。更に、アークランナの先端部43の端
子部6側にベースの突出部62のベース露出面33があ
るため、図107(a)に示すようにアークAがアーク
ランナの先端部43の面に垂直に吹き出しても、ベース
突出部62のベース露出面33がすぐ近くにあるため、
アークAはベース露出面33に接触しやすく冷却されや
すい。この結果、より遮断性能が向上する。なお、本実
施例ではベースの突出部62にアーク冷却用のベース露
出面33を設けた場合を説明したが、ベースを突出させ
ることなく、他の部材でアーク冷却用のベース露出面3
3を構成してもよい。
【0198】実施例62. 上に説明した実施例では、切り溝20は接続導体7を
打ち抜き等で作った開口部(第1の開口部)であるが、
図108から図111に示すような開口部でもよい。図
108は接続導体7の中心線に沿って両方へ開いた形の
開口部である。開口部は他の部分よりも断面積が小さく
なり電流密度が大きくなるが、この構造では電流密度の
増大を抑制し、また、開口部の機械的強度も向上するこ
とができる。
【0199】図109は下方へ打ち出して船底形に膨ら
ませたもので、電流密度の増大を抑制し、機械的強度も
持たせることができる。なお、この船底の底部にアーク
冷却部材を取り付けるとアークの冷却効果が大きくな
る。
【0200】図110は接続導体7の立ち上がり部を引
っ込ませて、この開口部両側に流れる電流でアークを押
し戻す力を少なくするようにしたものである。図111
は丸孔を示したもので、この他楕円や長円などであって
もよい。以上の四つの実施例以外にも種々の変形がある
が、要するに電流が両側に分流するよような開口部(第
1の開口部)であればよい。また、切り溝36について
も上記と同様に開口部(第2の開口部)として適用する
ことができる。
【0201】実施例63. 上に説明した実施例では、固定接触子4は、端子部6
が接続導体7の立ち上がり部の頂部にあったが、図11
2、図113に示すように端子部6は立ち上がり部の頂
部より下にあってもよい。機構部の構成やベース構造、
ケースの構造等で構造に制約を受ける場合に利用でき
る。
【0202】実施例64. 図114は、この発明の実施例64による回路遮断器の
要部を示す側面図である。ここで4は固定接触子であ
り、一端部に端子部6を持ちもう一方の端部には固定接
点3が固着された接点板5が接続されている接続導体7
からなる。図に示すように接点板5はほぼ接続導体7と
重なっているが、両者の接続個所以外には電気的接触が
ないように間隙63が設けられている。
【0203】1は可動接触子であり、回動中心1aの回
りに回動することによって固定接点3と接離可能な可動
接点2が固着されている。可動接触子1は機械的に機構
部(図示せず)と連結され、電気的にはリレー部(図示
せず)を通りもう一方の端子(図示せず)に接続されて
いる。8は消弧板であり、可動接触子1の回動を妨げな
いように略U字形の切り込みを持つ。15はベース、1
6はカバーであり電極部、機構部、リレー部を収納する
箱である。
【0204】図115は本実施例の固定接触子4の平面
図であり、図116は図115のAA断面で動作を説明
するために断面部分のみを示している。図115に示す
ように接点板5に対向する接続導体7には長手方向の中
心線に対して対称に切り溝36が設けられている。7b
は切り溝36の両側にある左右の接続導体7である。図
115に示すように切り溝36の左右の接続導体7bの
断面の各々の重心をa、bとし、また固定接点3の接触
表面の中心をcとしたときに、abを底辺とする二等辺
三角形abcの底角θが45度未満になるように構成さ
れている。また、接点板5の接点が固着されている面は
左右の接続導体7bの上面より上に位置している。
【0205】次に動作について説明する。可動接触子1
が閉成状態の時には可動接点2と固定接点3は接触して
おり電流は端子部6から固定接触子4、可動接触子1を
通り、リレー部を経由しもう一方の端子から出て行く。
このときに機構部を手動で操作するか、または事故電流
が流れてリレー部からの信号で機構部が自動的に動いて
可動接触子1が開極して固定接点3と可動接点2が離れ
ると接点間にアークが発生する。以上は従来例と同様な
ので詳しい説明は省略する。
【0206】図117は接点間にアークAが発生した状
態を示している。ここで消弧板は省略した。図中の矢印
は端子部6から電流が流れ込むとしたときの電流であ
る。接点板5に流れる電流がアークAの部分に作る磁場
は紙面の裏側から表側に向かう方向で、この磁場はアー
クAを端子部6方向に駆動する電磁力を発生するが、接
続導体7の切り溝36の左右の接続導体7bを流れる電
流はアークAの部分に紙面表側から裏側に向かう方向の
磁場を発生し、この磁場はアークAを端子部とは逆方向
に駆動する電磁力を発生する。
【0207】一般にアークはアークスポットからそれが
接している電極表面に垂直方向にアークの実体である金
属蒸気からなる高温ガスを吹き出す。従って、アークを
ある方向に駆動させるには吹き出たアークをなるべく早
く駆動方向に曲げなければならない。即ちなるべくアー
クスポットに近い位置で大きな駆動力を掛ける必要があ
る。今の場合、アークスポット即ち固定接点3の表面上
で端子部6方向の電磁力を強める必要がある。逆に言え
ば、端子部6とは逆方向への電磁力を発生する切り溝3
6の左右の接続導体7bに流れる電流による磁場を固定
接点3の表面上で小さくる必要がある。
【0208】本実施例では、固定接点3上のアークスポ
ットの駆動に悪影響を与える接点板5に対向している接
続導体7の切り溝36の左右の接続導体7bを流れる電
流による電磁力を低減することができる。図118は図
117のAA断面を示していて、実施例58で示した図
99と同一の関係となる。
【0209】図118において紙面裏側が端子部6方向
であり、電流が端子部6から流れ込むとすると、切り溝
36の左右の接続導体7bを流れる電流は紙面の裏側か
ら表側に向かう方向である。この電流は、前に述べたよ
うにアークAを端子部6とは逆方向に駆動する磁場を発
生する。図118に示すように左右の接続導体7bの断
面の重心ab間の距離を2dとし、この重心間を結ぶ直
線からの固定接点表面までの距離をhとする。更に左右
の接続導体7bに流れる電流がそれぞれ全電流Iの1/
2に分流しているとすると固定接点3の表面上の磁束密
度Bは次のようになる(実施例58の式と同一)。 B=k(I/d)sin(2θ) h=d・tanθ ここでkは比例定数である。
【0210】図119は上記磁束密度Bをhの関数とし
て模式的に表したもので、図から判るように磁束密度B
は固定接点3の表面までの距離hがdのときに最大値を
取る。それ以降はhの増加(θ>45゜)にしたがって
穏やかに減少していく。一方、hがdより減少(θ<4
5゜)するとBは急速に減少する。前に述べたように、
この磁場(磁束密度)Bは固定接点3の表面上のアーク
スポットを逆方向に駆動する磁場であり、小さければ小
さいほどアークAは端子部方向に駆動しやすくなる。
【0211】この磁場をθが45度以上の領域で小さく
しようとすると、上で述べたように固定接点3の表面迄
の距離(h)を大幅に大きくしないと効果がない。しか
し本実施例のようにθを45度未満になるように構成す
れば、固定接点3の表面までの距離(h)を少しでも小
さくすることによって、固定接点3の表面上の逆駆動磁
場を効果的に低減することができる。
【0212】更に、図118に示すように固定接点3上
のアークスポットは、電流が大きくなると接点板5の面
まで広がる。アークスポットが更に広がり万一左右の接
続導体7bにアークスポットが広がると接点板5を経由
する電流の一部が左右の接続導体7bから直接アークA
に流れるようになる。この結果、接点板5を流れる電流
が少なくなるため、アークAを端子部6方向に駆動する
電磁力が減少してしまう。本実施例では接点板5のアー
クが広がる面が左右の接続導体7bの上面より高い位置
にあるため、それ以上アークスポットは左右の接続導体
7bまでには広がらず、全ての電流は接点板5を経由す
る。従って、接点板5に流れる電流によるアークAを端
子部6方向に駆動する電磁力が減少することはない。
【0213】以上のように、本実施例ではアークAを端
子部6方向に駆動する電磁力を強めることができるの
で、アークAは大きく引き伸ばされる。この結果、消弧
板8の冷却作用が有効に働くので優れた遮断性能が得ら
れる。図120は本実施例の変形例を示しており、接点
板5を接続導体7の切り曲げ加工で構成したものであ
る。このような構成でも上記実施例と同様な効果があ
る。
【0214】実施例65. 図121は、この発明の実施例65による回路遮断器の
要部を示す側面図であり、固定接点3の端子部6側にア
ークランナ21を設け、このアークランナ21の上面を
固定接点3の表面と少なくとも同じか、それより低く構
成したものである。このような構成にしても上記実施例
と同様な効果がある。更に固定接点3上のアークスポッ
トは前述した強い電磁力によって端子部6方向に駆動さ
れるため、アークランナ21上に移動する。アークラン
ナ21の表面の高さは固定接点3の高さと同じかそれよ
り低いため、上記実施例と同様に左右の接続導体7bの
重心間を底辺としてアークランナ21の表面の高さを高
さとする二等辺三角形において底角は45度未満であ
る。
【0215】従って、前に説明したように本実施例では
アークランナ21上に移動したアークスポットに対して
も、逆駆動磁場を減少させることができる。この結果、
アークAは速やかにアークランナ21の先端部43と可
動接点2間に駆動され、大きく伸ばされるため、より消
弧板8の冷却作用を受けやすく遮断性能が向上する。
【0216】図122は本実施例において、接点板5の
下の接続導体7に設けた切り溝36を端子部6方向にア
ークランナ21に対向する接続導体7の部分まで伸ばし
変形例を示している。このような構成にすると、固定
接点3およびアークランナ21上で逆駆動磁場を発生さ
せる電流路の内、左右の接続導体7bを流れる経路が長
くなるため、上記実施例で述べた固定接点3およびアー
クランナ21上での逆駆動磁場を更に減少させることが
できる。
【0217】実施例66. 図123は、この発明の実施例66による回路遮断器の
固定接触子の側面図である。また図124はこの固定接
触子の平面図、図125は図124のAA断面である。
ここで固定接触子4は、固定接点3の表面と切り溝36
の左右の接続導体7bとの位置関係などは前記実施例6
4と同様な構成になっているが、更に本実施例において
は、絶縁物64によって接続導体7の表面が覆われてお
り、絶縁物64を接点板5と接続導体7との間隙63に
差し込んで固定した構成になっている。
【0218】このような構成にしても、上記実施例64
と同様な効果があることは言うまでもない。更に本実施
例では図125に示すように、接点板5の両脇に位置す
る左右の接続導体7bが絶縁物64で覆われているた
め、この部分の絶縁物64がアークAの熱によって熱分
解ガスを図中の矢印で示したように放出する。この結
果、アークAはこの熱分解ガスでも冷却されるため、よ
り遮断性能が向上する。
【0219】この絶縁物64は、プラスチックのような
有機物でもセラミクスのような無機物でもどちらでもよ
い。特に有機物では熱分解ガスが発生しやすいため大き
な効果があり、例えばポリブチレンテレフタレートやポ
リオキシベンジレンあるいはポリアミド等の樹脂または
それらの樹脂に充填材としてガラスファイバーやセラミ
ックファイバー、水酸化マグネシウムなどを混入したも
の等がある。
【0220】実施例67. 図126は、この発明の実施例67による固定接触子の
側面図を示しており、上記実施例と同様な構成をしてい
るが、本実施例においては図126のAA断面図12
7に示すように絶縁物64の接点板5が当たる部分に接
点板5の幅の溝65を設け、接点板5がこの溝65の中
に沈んでいる構成をしている。このような構成にして
も、上記実施例と同様な効果があることはもちろんであ
る。更に本実施例では、接点板5の固定接点3の固着面
と絶縁物64との段差を小さくできる。従って、絶縁物
64の表面が固定接点3上のアークスポットに近いた
め、より多くの絶縁物64の熱分解ガスが発生し、アー
クを冷却するため遮断性能の向上が図れる。
【0221】また、図128は本実施例の変形例であ
る。ここでは切り溝36に面する絶縁物64の部分に切
り溝36の幅の下方への突出部66を設け、突出部66
を切り溝36にはめて絶縁物64を固定している。この
ために、絶縁物64の接点板5が入る溝65の深さを突
出部66の分だけ深くしている。このような構成にして
も、上記実施例の効果があることは言うまでもない。
【0222】なお、上記各実施例では回路遮断器の場合
を説明したが、他の開閉器であってもよく上記実施例と
同様な効果が得られる。
【0223】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、接続導体部の立ち上がり部に第1の開口部を設けた
ので、アークを接点側に押し戻す磁場成分を減少させる
ことができ、簡単な構成で優れた限流遮断性能を有する
開閉器を得られる効果があり、また、第1の開口部の内
部にベース等のアーク冷却部材を設けたので、アークを
効率よく冷却し限流遮断性能を向上し、簡単な構成にて
優れた限流遮断性能を有する開閉器を得られる効果があ
る。
【0224】請求項2の発明によれば、固定接点の近傍
から第1の開口部に向かって延在するアークランナを
けたので、固定接触子側アークスポットと第1の開口部
内のアーク冷却部材との距離を近づけ、アーク冷却部材
の蒸気によるアーク冷却作用を増大させ、簡単な構成に
て優れた限流遮断性能を有する開閉器を得られる効果が
ある。
【0225】請求項3の発明によれば、アークランナの
前記第1の開口部側の端部を下向きにしたので、簡単な
構成にて、アークが吹き出す方向を第1の開口部内のア
ーク冷却部材の方向にし、大電流領域においてアークが
アーク冷却部材に吹き付けられるようし、特に大電流遮
断時の限流遮断性能を向上させた開閉器を得られる効果
がある。
【0226】請求項4の発明によれば、可動接触子先端
部とアークランナとの最短距離を可動接触子先端部と接
続導体部との最短距離より近づけるようにしたので、ア
ークがアークランナ以外の固定接触子の部位に転流する
のを防ぎ、アークを引き伸ばす電磁力を維持できるの
で、遮断失敗が生じ難く、従って、遮断性能の信頼性を
向上させた開閉器を得られる効果がある。
【0227】請求項5の発明によれば、アークランナの
少なくとも先端部の幅を接続導体部の第1の開口部の幅
より狭くしたので、アークを確実に第1の開口部内のア
ーク冷却部材に触れさせて冷却でき、簡単な構成にて優
れた限流遮断性能を有する開閉器を得られる効果があ
る。
【0228】請求項6の発明によれば、アークランナの
先端部が第1の開口部を突き抜けるようにしたので、ア
ークランナの先端部にアークスポットが到達すると、ア
ークとアーク冷却部材との距離が近くなりアーク冷却作
用が向上すると共に、第1の開口部の幅によりアーク柱
の径が制限され、アーク電圧を上げることができ、簡単
な構成にて優れた限流遮断性能を有する開閉器を得られ
る効果がある。
【0229】請求項7の発明によれば、第1の開口部の
周囲の接続導体部を絶縁物で電気的に絶縁するようにし
たので、アークの直径が大きくなりアークが電磁反発力
に抗して第1の開口部周辺の接続導体部に近づくと、絶
縁物から放出される熱分解ガスによってもアークが冷却
され、且つアークの幅が小さくなり第1の開口部の中に
入りやすくなり、より一層アークは冷却を受け、特に大
電流アークでもアークが第1の開口部の中まで伸びやす
くまた冷却を受けやすいため、大電流遮断時でも遮断性
能の優れた開閉器が得られる効果がある。
【0230】請求項8の発明によれば、固定接触子の固
定接点取付け側を上方へ折り返すようにして、この折り
返し部を接点板として固定接点を取付けるような構成に
したので、接点板を流れる電流はアークを第1の開口部
の方へ駆動するように作用し、また、接点板の下方の接
続導体部とアークとは距離が大きくなるのでアークを接
点側に押し戻す力は弱くなり、アークは第1の開口部の
アーク冷却部材へ押し付けられ強く冷却される。従っ
て、消弧板などによるアーク駆動力が弱い場合でも、優
れた遮断性能を持つ開閉器が得られる効果がある。
【0231】請求項9の発明によれば、固定接触子の接
点板の下方に位置する接続導体部の接点板と対向する部
分に第2の開口部を設けるよう構成したので、この第2
の開口部両側の接続導体部に流れる電流は両側に分流す
るので、アークとの相対距離は第2の開口部が無い場合
よりも更に大きくなりアークを押し戻す力は更に小さく
なり、アークは第1の開口部のアーク冷却部材に強く押
し付けられ強く冷却される。従って、消弧板などによる
アーク駆動力が弱い場合でも、優れた遮断性能を持つ開
閉器が得られる効果がある。
【0232】請求項10の発明によれば、固定接触子の
開口部は、立ち上がり部の第1の開口部と接点板と対向
する第2の開口部とをつないで一つの開口部としたの
で、開口部の両側の接続導体部に分流して流れる経路が
長くなり、それ故、アークを押し戻す力はそれだけ弱く
なってアークはより強く冷却され、優れた遮断性能を持
つ開閉器が得られる効果がある。
【0233】請求項11の発明によれば、接点板の下方
にある接続導体部に第2の開口部を設けると共に、アー
クランナを設けたので、折り返しの上部にある接点板を
流れる電流はアークを第1の開口部の方へ駆動するよう
に作用し、また、アークランナは接点板より下の接続導
体部による逆駆動磁場を遮蔽し、アークは第1の開口部
方向に伸びやすく、且つ、冷却を強く受けるので、優れ
た遮断性能を持つ開閉器が得られる効果がある。
【0234】請求項12の発明によれば、折り返しの接
点板の電流はアークを第1の開口部のアーク冷却部材の
方に押し付けるよう作用し、接点板下方の接続導体部の
第2の開口部の両側の接続導体の電流はアークを押し戻
すよう作用するが、アークランナによって遮蔽してアー
クの押し戻し力を弱め、また、アークランナは接点板と
接続導体部のつながっている近傍で接続導体部に取り付
けられていて、この取り付け部以外は接続導体部と電気
的に接触していないので、遮断時にアークランナに流れ
る電流はアークを第1の開口部のアーク冷却部材へ押し
付けるよう作用し、更に、アークランナの先端部が第1
の開口部内に挿入されているので、固定接触子側のアー
クスポットと第1の開口部内のアーク冷却部材との距離
をより小さくでき、アークを冷却する作用がより向上す
る。また、アークランナにアークスポットが飛び移った
瞬間でも駆動磁場が発生でき、アークは第1の開口部方
向に伸びやすく、且つアークスポットが第1の開口部内
に駆動されやすいためアーク冷却部材の冷却を強く受け
るので、優れた遮断性能を持つ開閉器が得られる効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1による回路遮断器を示す
一部切り欠き正面図および側面図である。
【図2】 図1の可動接触子、固定接触子および切り溝
の位置関係を示した正面図および側面図である。
【図3】 図1の固定接触子の斜視図である。
【図4】 図1の固定接触子の切り溝の左右の導体を流
れる電流が発生する磁場強度分布の説明図である。
【図5】 この発明の実施例1による回路遮断器の要部
の側面図である。
【図6】 この発明の実施例2による固定接触子の斜視
図である。
【図7】 この発明の実施例3による回路遮断器の要部
の側面図である。
【図8】 図7の固定接触子の斜視図である。
【図9】 この発明の実施例4による回路遮断器の要部
の斜視図である。
【図10】 この発明の実施例5による回路遮断器の要
部の側面図である。
【図11】 この発明の実施例6による回路遮断器の要
部の側面図である。
【図12】 この発明の実施例7による冷却板の斜視図
である。
【図13】 この発明の実施例8による積層冷却板の斜
視図である。
【図14】 この発明の実施例9による回路遮断器の要
部の側面図である。
【図15】 図14の固定接触子の斜視図である。
【図16】 この発明の実施例10による固定接触子の
斜視図および断面図である。
【図17】 この発明の実施例11による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図18】 図17の固定接触子の斜視図である。
【図19】 磁場中において、対向電極間に発生したア
ークの外観の模式図である。
【図20】 この発明の実施例12による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図21】 図20の固定接触子の斜視図である。
【図22】 この発明の実施例13による固定接触子の
斜視図である。
【図23】 この発明の実施例13による固定接触子の
斜視図である。
【図24】 この発明の実施例14による固定接触子の
斜視図である。
【図25】 この発明の実施例15による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図26】 図25の固定接触子の斜視図である。
【図27】 図25の固定接触子の斜視図である。
【図28】 この発明の実施例16による固定接触子の
斜視図である。
【図29】 この発明の実施例17による固定接触子の
斜視図である。
【図30】 この発明の実施例18による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図31】 この発明の実施例19による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図32】 この発明の実施例19による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図33】 この発明の実施例20による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図34】 この発明の実施例21による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図35】 この発明の実施例22による回路遮断器の
要部の正面図および側面図である。
【図36】 この発明の実施例23による回路遮断器の
要部の正面図および側面図である。
【図37】 この発明の実施例24による回路遮断器の
要部の斜視図である。
【図38】 この発明の実施例25による回路遮断器の
要部の正面図である。
【図39】 この発明の実施例25による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図40】 この発明の実施例26による回路遮断器の
要部の正面図である。
【図41】 図40の側面図である。
【図42】 この発明の実施例27による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図43】 この発明の実施例28による可動接触子と
固定接触子の斜視図である。
【図44】 この発明の実施例29による可動接触子の
斜視図である。
【図45】 この発明の実施例30による可動接触子の
斜視図である。
【図46】 この発明の実施例31による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図47】 この発明の実施例31による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図48】 この発明の実施例31による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図49】 この発明の実施例32による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図50】 この発明の実施例33による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図51】 この発明の実施例34による回路遮断器の
要部の斜視図である。
【図52】 この発明の実施例35による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図53】 この発明の実施例36による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図54】 この発明の実施例37による固定接触子の
平面図である。
【図55】 図54の固定接触子の断面図である。
【図56】 この発明の実施例37による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図57】 この発明の実施例37による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図58】 図57の断面を示す説明図である。
【図59】 この発明の実施例38による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図60】 図59の回路遮断器の要部の断面図であ
る。
【図61】 この発明の実施例39による回路遮断器の
固定接触子の斜視図である。
【図62】 この発明の実施例39による他の変形例を
示す固定接触子の断面図である。
【図63】 この発明の実施例40による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図64】 この発明の実施例40による他の変形例を
示す固定接触子の斜視図である。
【図65】 この発明の実施例41による回路遮断器の
要部の側面図および斜視図である。
【図66】 この発明の実施例41による他の変形例を
示す固定接触子の斜視図である。
【図67】 この発明の実施例42による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図68】 この発明の実施例42による回路遮断器の
電流遮断時を示した動作説明図である。
【図69】 この発明の実施例43による固定接触子の
斜視図である。
【図70】 図69の断面を示す動作説明図である。
【図71】 この発明の実施例43による回路遮断器の
要部の側面図である。
【図72】 この発明の実施例44による固定接触子の
平面図である。
【図73】 この発明の実施例44による他の変形例を
示す固定接触子の断面図である。
【図74】 この発明の実施例45による固定接触子の
側面図および断面図である。
【図75】 この発明の実施例46による固定接触子の
側面図である。
【図76】 図75の固定接触子の平面図である。
【図77】 この発明の実施例46による他の変形例を
示す固定接触子の側面図である。
【図78】 この発明の実施例47による固定接触子の
側面図である。
【図79】 この発明の実施例48による固定接触子の
平面図および側面図である。
【図80】 この発明の実施例49による固定接触子の
斜視図である。
【図81】 図80の固定接触子の断面図である。
【図82】 この発明の実施例50による固定接触子の
斜視図である。
【図83】 この発明の実施例50による他の変形例を
示す固定接触子の斜視図である。
【図84】 この発明の実施例51による固定接触子の
斜視図である。
【図85】 この発明の実施例51による固定接触子の
アークランナの三面図である。
【図86】 この発明の実施例52による固定接触子の
斜視図である。
【図87】 図86の固定接触子の断面図である。
【図88】 この発明の実施例53による固定接触子の
側面図である。
【図89】 この発明の実施例53による他の変形例を
示す固定接触子の側面図である。
【図90】 この発明の実施例54による固定接触子の
側面図である。
【図91】 この発明の実施例54による他の変形例を
示す固定接触子の側面図である。
【図92】 この発明の実施例54による他の変形例を
示す固定接触子の側面図である。
【図93】 この発明の実施例55による固定接触子の
側面図である。
【図94】 この発明の実施例55による固定接触子の
平面図である。
【図95】 この発明の実施例56による固定接触子の
平面図、側面図および下面図である。
【図96】 この発明の実施例57による固定接触子の
斜視図である。
【図97】 この発明の実施例57による他の変形例を
示す固定接触子の斜視図である。
【図98】 この発明の実施例58による固定接触子の
斜視図である。
【図99】 図98の固定接触子の断面を示す動作説明
図である。
【図100】 図98の固定接点上の逆駆動磁場の大き
さを示すグラフ図である。
【図101】 この発明の実施例59による回路遮断器
の要部の側面図である。
【図102】 この発明の実施例59による回路遮断器
の電流遮断時を示す動作説明図である。
【図103】 この発明の実施例59による回路遮断器
の電流遮断時にアークが端子部に移った瞬間の動作説明
図である。
【図104】 この発明の実施例60による回路遮断器
の要部の側面図である。
【図105】 この発明の実施例60による変形例を示
した要部の側面図である。
【図106】 この発明の実施例60による他の変形例
を示した要部の側面図および平面図である。
【図107】 この発明の実施例61による回路遮断器
の要部の側面図および平面図である。
【図108】 この発明の実施例62による切り溝の平
面図および断面図である。
【図109】 この発明の実施例62による切り溝の斜
視図および断面図である。
【図110】 この発明の実施例62による切り溝の固
定接触子の側面図である。
【図111】 この発明の実施例62による切り溝の平
面図である。
【図112】 この発明の実施例63による固定接触子
の側面図である。
【図113】 この発明の実施例63による固定接触子
の側面図である。
【図114】 この発明の実施例64による回路遮断器
の要部の側面図である。
【図115】 この発明の実施例64による固定接触子
の平面図である。
【図116】 図115の固定接触子の断面を示す動作
説明図である。
【図117】 この発明の実施例64による回路遮断器
の電流遮断時を示す動作説明図である。
【図118】 図117の固定接触子の断面を示す動作
説明図である。
【図119】 図117の固定接点上の磁場の大きさを
示すグラフ図である。
【図120】 この発明の実施例64による変形例を示
す固定接触子の斜視図である。
【図121】 この発明の実施例65による回路遮断器
の要部の側面図である。
【図122】 この発明の実施例65による他の変形例
を示す固定接触子の平面図である。
【図123】 この発明の実施例66による固定接触子
の側面図である。
【図124】 図123の固定接触子の平面図である。
【図125】 図124の固定接触子の断面図である。
【図126】 この発明の実施例67による固定接触子
の側面図である。
【図127】 図126の固定接触子の断面図である。
【図128】 この発明の実施例67による他の変形例
を示す固定接触子の断面図である。
【図129】 従来の回路遮断器の開成時を示す側面図
である。
【図130】 従来の回路遮断器の閉成時を示す側面図
である。
【図131】 従来の回路遮断器の電流遮断時を示す側
面図である。
【図132】 従来の回路遮断器の電流遮断時の固定接
触子による駆動磁場の発生の説明図である。
【図133】 従来の回路遮断器の電極部の位置関係を
示す説明図である。
【図134】 従来の回路遮断器の電流遮断時の固定接
触子の発生する逆駆動磁場を示す説明図である。
【図135】 図134の断面を示す説明図である。
【符号の説明】
1 可動接触子 2 可動接点 3 固定接点 4 固定接触子 5 接点板 6 端子部 7 接続導体(接続導体部) 7a.7b 接続導体 20 切り溝(第1の開口部) 21 アークラン 22 アークホーン 23 冷却板(アーク冷却部材) 36 切り溝(第2の開口部) 64 絶縁物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福谷 和則 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (72)発明者 岸本 康雄 福山市緑町1番8号 三菱電機エンジニ アリング株式会社 姫路事業所福山支所 内 (56)参考文献 特開 昭60−232628(JP,A) 特開 平6−20547(JP,A) 特開 昭61−151945(JP,A) 特開 昭60−175336(JP,A) 特開 昭60−54131(JP,A) 実開 昭60−129053(JP,U) 実開 昭49−134258(JP,U) 国際公開84/002032(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 73/18

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動接点を有する可動接触子と、この可
    動接触子の開閉動作で前記可動接点と接離可能な固定接
    点を一端部に設けると共に、この一端部から接続導体部
    を介してその他端部を端子部とした固定接触子と、前記
    可動接触子及び前記固定接触子を支えるベース備えた
    開閉器において、 前記固定接触子は、前記可動接点が前記固定接点より開
    離する方向を上方としたとき、前記接続導体部の端子部
    に隣接される部位には、前記可動接点と固定接点とが
    する動作線と対向し且つ前記端子部より下方に位置す
    る立上がり部を設け、前記接続導体部の一端部から立
    上がり部までの部位が前記端子部より下方に位置するよ
    う配置すると共に、前記立上がり部に前記動作線と対向
    する第1の開口部を設けた固定接触子とし、 前記ベースは、前記固定接触子の立ち上がり部を前記可
    動接点側から見ると、そのベースの一部が前記第1の開
    口部から露出するように配置したベースとすると共に、
    前記ベースは部材をアーク冷却用部材のベース、また
    は、前記ベースの前記第1の開口部から露出する部分に
    別のアーク冷却用部材を設けたベースとしたことを特徴
    とする開閉器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、固定接触子の固定接
    点の近傍から第1の開口部に向かって延在するアークラ
    ンナを設け、このアークランナが前記第1の開口部の上
    端部より下方に位置するように配置したことを特徴とす
    る開閉器。
  3. 【請求項3】 請求項2において、アークランナの端部
    を下向きにしたことを特徴とする開閉器。
  4. 【請求項4】 請求項2において、アークランナの先端
    部を上向きにしたことを特徴とする開閉器。
  5. 【請求項5】 請求項2において、アークランナの少な
    くとも先端部の幅を接続導体部の第1の開口部の幅より
    狭くし、且つ、上記先端部を第1の開口部に挿入したこ
    とを特徴とする開閉器。
  6. 【請求項6】 請求項2において、アークランナは、
    端部が第1の開口部を突き抜けるように構成したことを
    特徴とする開閉器。
  7. 【請求項7】 請求項1において、第1の開口部周辺の
    接続導体部の少なくとも可動接点と対向する側を絶縁す
    る絶縁物を設けたことを特徴とする開閉器。
  8. 【請求項8】 請求項1において、固定接触子は、固定
    接点取り付け側を上方へ折り返すようにして、この折り
    返し部を接点板として固定接点を取り付けるように構成
    したことを特徴とする開閉器。
  9. 【請求項9】 求項8において、固定接触子は、接点
    板の下方に位置する接続導体部を前記接点板と対向する
    部分に第2の開口部を設けるように構成したことを特徴
    とする開閉器。
  10. 【請求項10】 請求項9において、固定接触子の開口
    部は、第1と第2の開口部とをつないで一つの開口部と
    したことを特徴とする開閉器。
  11. 【請求項11】 求項8〜10のいずれか1項におい
    て、固定接触子の固定接点の近傍から第1の開口部に向
    かって延在するアークランナを設け、このアークランナ
    は、前記第1の開口部の上端部より下方に位置するよう
    に配置すると共に、少なくとも前記接点板の下側の接続
    導体部上を覆うようにした磁性体からなるアークランナ
    としたことを特徴とする開閉器。
  12. 【請求項12】 請求項8〜10のいずれか1項におい
    て、ほぼU字状の磁性体からなるアークランナを設け、
    前記アークランナは、U字状の湾曲している底部の外側
    に突出する先端部分を形成すると共に、U字状の両脚部
    が接点板の下側の接続導体部上を覆うように配置し、且
    つ、前記U字状の両脚部の先端部は前記接点板と前記接
    続導体部の下側とがつながっている部分の近傍の接続導
    体部に電気的に接続した状態で取り付けられ、更に前記
    U字状の湾曲している底部および前記突出した先端部分
    が前記接続導体部と電気的に非接触とすると共に、前記
    先端部分が第1の開口部に挿入されるように構成したこ
    とを特徴とする開閉器。
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