JP3447193B2 - 清澄緑茶飲料の製造方法 - Google Patents
清澄緑茶飲料の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緑茶飲料の製造方
法に関し、特に、緑茶の風味を損なうことなく、濁り成
分を除去した清澄緑茶飲料の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、缶やプラスチック容器等へ緑茶抽
出物を密封容器に充填した緑茶飲料が次々に製品化され
ている。しかしながら、緑茶飲料は、長期間の保存によ
り、含有成分の変性により風味が損なわれ、また、浮遊
物や沈殿物等の濁りが形成されることがある。このよう
な濁りは、特に、プラスチック容器のように透明容器に
収容された製品の場合には、製品の視覚的な品質の低下
を感じさせる原因ともなる。 【0003】そこで、緑茶飲料を製品化するに当たっ
て、この濁りの生成を抑制する種々の方法が開発されて
いる。この浮遊物や沈殿物等の濁りの形成は、主にポリ
フェノール類等の高分子成分の会合等による変性が原因
と考えられている。また、この浮遊物や沈殿物等の濁り
の形成に伴い、風味も損なわれる傾向がある。そのた
め、これらの方法は、主に、この濁り成分をいかに除去
するかという観点から開発されている。 【0004】具体的には、その一つとして、緑茶抽出液
を限外ろ過膜によりろ過する方法(特開平4−4574
4号公報)がある。この方法の場合、沈殿物等の生成は
抑制されるものの、限外ろ過により緑茶の風味成分まで
除去されることから緑茶特有の風味が乏しくなるという
欠点がある。 【0005】また、特開平4−311348号公報に
は、緑茶をアスコルビン酸による酸性化で急冷して沈殿
形成を促進させ、遠心分離等でろ過後、ケイソウ土を加
えてろ過し清澄化する方法が開示されている。しかし、
この方法の場合も沈殿物の生成は抑制されるものの、溶
液のpHの急激な変動が原因と考えられる緑茶の風味の
変性という問題がある。 【0006】また、特開平8−228684号公報に
は、ヘミセルラーゼで酵素処理する方法が開示されてい
るが、このような酵素処理を用いた場合には、酵素とい
う緑茶以外の成分添加により緑茶本来の風味が変化する
という問題がある。 【0007】更に、また茶原料から有効成分の抽出及び
酸成分の添加により高分子成分を分解し、酸性茶抽出液
を得る工程及び当該酸性茶抽出液を高圧均質化する工程
を備える方法(特開平7−170912号公報)があ
る。しかし、この方法の場合も、高分子成分を分解し得
るほどの酸等が添加されることから、最終的に得られる
緑茶抽出液の風味が劣化するという問題がある。 【0008】以上の通り、従来の製造方法では、濁り成
分は除去できるものの、緑茶本来の風味が保持できない
という問題がある。 【0009】そこで、本発明は、上記課題に鑑み、緑茶
本来の風味を損なうことなく、濁り成分を除去した清澄
緑茶飲料の製造方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の清澄緑茶飲料の製造方法は、溶存酸素濃度
を5ppm以下に調整し、0.5〜2.0ppmアスコル
ビン酸ナトリウムが添加された50〜100℃の温水を
用いて、緑茶葉を煎じ緑茶を抽出する緑茶抽出工程と、
前記緑茶抽出工程後、緑茶抽出液を10〜30メッシュ
のフィルター及び100〜200メッシュのフィルター
に順次通過させ、緑茶抽出液から茶殻を除去する茶殻除
去工程と、前記茶殻除去工程後の緑茶抽出液を冷却器に
通過させて10℃程度に冷却し、冷却後5,000rp
m〜10,000rpmの速度で遠心分離を行うことに
より濁り成分を分離除去する濁り成分除去工程とを含む
ことを特徴とする。 【0011】すなわち、本発明の清澄緑茶飲料の製造方
法は、溶存酸素濃度を低くし、さらに、酸化防止剤とし
てアスコルビン酸ナトリウムを0.5〜2.0ppmの濃
度範囲で添加して、含有成分の酸化を防止しながら緑茶
を抽出する。なお、ここで添加された濃度範囲のアスコ
ルビン酸ナトリウムはpH等を急激に変化させるもので
はないため、従来の方法のように風味を劣化させること
がない。また、このアスコルビン酸ナトリウムは、後述
する一連の製造工程において、緑茶抽出液の酸化を防止
する。 【0012】緑茶抽出後は、目の粗いフィルターと目の
細かいフィルターを用いて緑茶抽出液を順次ろ過するこ
とにより、フィルターの目詰まりを防止しつつ、迅速に
茶殻を除去することができる。こうして茶殻を迅速に除
去することにより、長時間茶殻が混在した場合の風味や
色調の劣化を防止することができる。 【0013】最終的な濁り成分除去工程では、予め緑茶
抽出液を10℃程度に冷却し、濁り成分の沈殿を促進し
た状態で、所定の速度で遠心分離を行い、緑茶の風味成
分を残したまま、濁り成分を分離除去する。 【0014】従って、本発明の清澄緑茶飲料の製造方法
によれば、緑茶本来の風味を損なうことなく、濁りを形
成しない清澄緑茶飲料を製造することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態を説明する。 【0016】1、緑茶抽出工程 本発明において使用する緑茶葉は、任意の茶葉を単独で
または混合して使用することができる。好適には、緑茶
の風味を豊かにするために、玉露茶葉を、例えば、緑茶
葉に対して5%〜50%の割合で混合して用いる。 【0017】上記において選択した緑茶葉を煎じるに当
たり、温水をデアレータ等の脱気装置により脱気して、
溶存酸素濃度を低減させる。溶存酸素濃度としては、可
能な限り低くすることが好ましく、具体的には5ppm
以下に調整する。このように溶存酸素濃度を低くするこ
とにより、抽出中に緑茶抽出液が酸化されて、風味や色
調が変化することを防止することができる。 【0018】さらに、温水に酸化防止剤を添加して、よ
り確実に酸化を防止する。この酸化防止剤としては、例
えば、アスコルビン酸ナトリウムを用いることができ
る。このアスコルビン酸ナトリウムを用いる場合に0.
5〜2.0ppmの濃度で使用することが好ましい。こ
の濃度で使用した場合、緑茶抽出液のpHを大きく変動
させることがないため、風味が損なわれることがない。 【0019】前記温水の湯温は、50℃〜100℃の範
囲であればよいが、玉露茶葉を混合して用いた場合に
は、50℃〜70℃とし、玉露特有の風味を有効に引き
出すことが好ましい。 【0020】茶葉の使用量は、抽出温水1,000リッ
トルに対し25kg〜35kgの範囲で使用することが
でき、この範囲で茶葉の品質等に応じて適宜使用量を増
減させることができる。 【0021】抽出時間は、3分から10分の範囲である
ことが好ましく、この範囲で使用する茶葉の品種、製法
等に応じて適宜時間を調整することができる。 【0022】2、茶殻除去工程 緑茶抽出液から茶殻を除去する工程は、茶殻の混在によ
る風味の変化や色調の変化などを防ぐためにも、迅速に
行うことが必要である。そのため、次の2段階の工程に
より行うことが望ましい。すなわち、予め大きな茶殻を
分取し得るフィルターを用いてろ過する工程と、残りの
細かい茶殻を分取し得るフィルターによりろ過する工程
とを順次行う。 【0023】上記した大きな茶殻を分取し得るフィルタ
ーとしては、具体的には、10〜30メッシュ程度のフ
ィルターを用いればよい。また、細かい茶殻を分取し得
るフィルターとしては、100〜200メッシュ程度の
フィルターを用いればよい。このように、予め大きな茶
殻を分取した後、残りの細かい茶殻を分取することによ
り、フィルターの目詰まりを起こさせることなく、すば
やく茶殻を除去することができる。従って、茶殻が長時
間混在することにより生じる風味の変化や色調の変化を
防止することができる。 【0024】3、濁り成分除去工程 上記において茶殻を除去した後の緑茶抽出液は、プレー
トクーラー等の冷却器などを通過させて迅速に10℃程
度まで冷却する。緑茶抽出液は、抽出時の温度で放置す
ると酸化反応が進みやすく風味が損なわれる原因とな
る。そのため、先ず、緑茶抽出液を冷却し、酸化反応等
の進行を抑制することが好ましい。また、ここで10℃
程度まで冷却することにより、後述する遠心分離操作に
おいて、緑茶抽出液に含有されている濁り成分を沈殿し
易くする。 【0025】上記冷却部としては、プレートクーラーの
ように既存の冷却装置を任意に選択して使用することが
できる。ここで、プレートクーラーを用いた場合には、
プレートクーラーの内部の冷媒として、約5℃のチルド
水や5℃以下の不凍液を用いる。約5℃のチルド水を用
いた場合には、緑茶抽出液の流速を調整し、緑茶抽出液
をプレートクーラー上に10〜20秒程度滞留させるこ
とにより、緑茶抽出液の温度を抽出時の温度50〜10
0℃を10℃程度にまで冷やすことができる。次いで、
ここで冷却された緑茶抽出液を遠心分離器に注入し、濁
りの原因成分を遠心分離により除去する。 【0026】遠心分離を行う場合には、5,000rp
m〜10,000rpmの回転数で遠心分離を行う。連
続遠心分離器を用いた場合には、上記回転数で、流速
8,000リットル/時間から20,000リットル/
時間の範囲の処理速度に調整する。 【0027】なお、遠心分離操作前に緑茶抽出液を10
℃程度まで冷却しない場合には、上記した遠心分離条件
では、十分濁り成分を除去することができない。 【0028】しかし、本実施の形態では、遠心分離操作
前に緑茶抽出液を10℃程度まで冷却し、濁り成分を沈
殿し易くしているため、通常の遠心分離器の処理速度
(流速8,000リットル/時間から20,000リッ
トル/時間)により濁り成分を適切に除去することが可
能となっている。 【0029】以上の通り、緑茶抽出液の温度を調節する
ことにより、簡便な遠心分離器を用いて効率よく濁り成
分を分離除去することが可能となった。その結果、長期
保存に適した緑茶抽出液の取得が可能となる。 【0030】なお、このようにして得られた清澄化した
緑茶抽出液は、必要に応じてケイソウ土等のろ過助剤を
用いたろ過、目のサイズが0.5〜5ミクロン程度の精
密ろ過等を行うことができる。 【0031】以上の操作により得られた清澄化した緑茶
抽出液は、アスコルビン酸等の酸化防止効果を有する化
合物を添加することによって、更に長期間保存に耐え得
る緑茶抽出液を生成することができる。また、その後、
重曹、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等に
より当該緑茶抽出液のpHを6.0〜7.0程度に調節
し、缶、瓶、PETボトル等のプラスチック容器に充填
するのに適した緑茶抽出液を得ることができる。 【0032】また、上記本実施の形態における一連の工
程は、緑茶抽出液の酸化を防ぐため、窒素気流中で行っ
てもよい。 【0033】 【実施例】次に、実施例等に基づいて本発明を具体的に
説明するが、当該実施例によって、本発明は、何ら限定
されるものではない。 【0034】[実施例1]デアレーターを用いて溶存酸
素量5ppm以下にして、かつ1ppmのアスコルビン
酸ナトリウムを添加した60℃の温水1,000リット
ル中で玉露10kgと煎茶20kgの混合茶葉を6分間
抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離するた
め、20メッシュと150メッシュの金網の分離器に順
次通過させ分離し、茶抽出液を得る。得られた抽出液を
冷媒にチルド水を用いたプレートクーラーを通し、10
℃まで冷却した後、6,000rpmの回転数で遠心分
離操作を行い、清澄化された茶抽出液を得た。得られた
緑茶抽出液は、緑茶抽出液の2倍量の水を加水したビタ
ミンCを500ppm濃度で添加し、重曹でpH6.5
に調整し、容器つめ用の緑茶抽出液を得た。 【0035】[実施例2]デアレーターを用いて溶存酸
素量5ppm以下にして、かつ1ppmのアスコルビン
酸ナトリウムを添加した70℃の温水1,000リット
ル中で玉露15kgと煎茶15kgの混合茶葉を5分間
抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離するた
め、20メッシュと150メッシュの金網の分離器に順
次通過させ分離し、茶抽出液を得る。得られた抽出液を
冷媒にチルド水を用いたプレートクーラーを通し、10
℃まで冷却した後、6,000rpmの回転数で遠心分
離操作を行い、清澄化された茶抽出液を得た。得られた
緑茶抽出液は、緑茶抽出液の2倍量の水を加水したビタ
ミンCを500ppm濃度で添加し、重曹でpH6.5
に調整し、容器つめ用の緑茶抽出液を得た。 【0036】[比較例1]60℃の温水1,000リッ
トル中で玉露15kgと煎茶15kgの混合茶葉を6分
間抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離する
ため、150メッシュの金網の分離器で分離し、茶抽出
液を得る。得られた抽出液を冷媒にチルド水を用いたプ
レートクーラーを通し、10℃まで冷却した後、7,0
00rpmの回数で遠心分離操作を行い、清澄化された
茶抽出液を得た。得られた緑茶抽出液は、緑茶抽出液の
2倍量の水を加水したビタミンCを500ppm濃度で
添加し、重曹でpH6.5に調整し、容器つめ用の緑茶
抽出液を得た。 【0037】[比較例2]60℃の温水1,000リッ
トル中で玉露15kgと煎茶15kgの混合茶葉を6分
間抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離する
ため、150メッシュの金網の分離器で分離し、茶抽出
液を得る。得られた抽出液をプレートクーラーを通し、
30℃まで冷却した後、7,000rpmの回数で遠心
分離操作を行い、清澄化された茶抽出液を得た。得られ
た緑茶抽出液は、緑茶抽出液の2倍量の水を加水したビ
タミンCを500ppm濃度で添加し、重曹でpH6.
5に調整し、容器つめ用の緑茶抽出液を得た。 【0038】[判定]上記の実施例および比較例で得た
緑茶抽出液をペットボトルに封入し、30℃3ヶ月間保
管し、パネラー5名による官能検査を行った。 【0039】官能検査は、風味(味、香り)の劣化、濁
り・沈殿等の有無を判定し総合評価した。 【0040】 【表1】 【0041】 【発明の効果】以上の通り、本発明の清澄緑茶飲料の製
造方法によれば、酸化を防止した条件下で緑茶抽出及び
茶殻除去が行われ、さらに、抽出液の温度を調節し簡便
な遠心分離操作により効率的かつ迅速に濁り成分が除去
されるため、長期に保存した場合に緑茶の風味が劣化す
ることがなく、また、沈殿や濁りを形成することがな
い。 【0042】従って、本発明は、缶やプラスティック容
器に収容され、長期保存される緑茶飲料の製品として適
した清澄緑茶飲料を製造することができる。
法に関し、特に、緑茶の風味を損なうことなく、濁り成
分を除去した清澄緑茶飲料の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、缶やプラスチック容器等へ緑茶抽
出物を密封容器に充填した緑茶飲料が次々に製品化され
ている。しかしながら、緑茶飲料は、長期間の保存によ
り、含有成分の変性により風味が損なわれ、また、浮遊
物や沈殿物等の濁りが形成されることがある。このよう
な濁りは、特に、プラスチック容器のように透明容器に
収容された製品の場合には、製品の視覚的な品質の低下
を感じさせる原因ともなる。 【0003】そこで、緑茶飲料を製品化するに当たっ
て、この濁りの生成を抑制する種々の方法が開発されて
いる。この浮遊物や沈殿物等の濁りの形成は、主にポリ
フェノール類等の高分子成分の会合等による変性が原因
と考えられている。また、この浮遊物や沈殿物等の濁り
の形成に伴い、風味も損なわれる傾向がある。そのた
め、これらの方法は、主に、この濁り成分をいかに除去
するかという観点から開発されている。 【0004】具体的には、その一つとして、緑茶抽出液
を限外ろ過膜によりろ過する方法(特開平4−4574
4号公報)がある。この方法の場合、沈殿物等の生成は
抑制されるものの、限外ろ過により緑茶の風味成分まで
除去されることから緑茶特有の風味が乏しくなるという
欠点がある。 【0005】また、特開平4−311348号公報に
は、緑茶をアスコルビン酸による酸性化で急冷して沈殿
形成を促進させ、遠心分離等でろ過後、ケイソウ土を加
えてろ過し清澄化する方法が開示されている。しかし、
この方法の場合も沈殿物の生成は抑制されるものの、溶
液のpHの急激な変動が原因と考えられる緑茶の風味の
変性という問題がある。 【0006】また、特開平8−228684号公報に
は、ヘミセルラーゼで酵素処理する方法が開示されてい
るが、このような酵素処理を用いた場合には、酵素とい
う緑茶以外の成分添加により緑茶本来の風味が変化する
という問題がある。 【0007】更に、また茶原料から有効成分の抽出及び
酸成分の添加により高分子成分を分解し、酸性茶抽出液
を得る工程及び当該酸性茶抽出液を高圧均質化する工程
を備える方法(特開平7−170912号公報)があ
る。しかし、この方法の場合も、高分子成分を分解し得
るほどの酸等が添加されることから、最終的に得られる
緑茶抽出液の風味が劣化するという問題がある。 【0008】以上の通り、従来の製造方法では、濁り成
分は除去できるものの、緑茶本来の風味が保持できない
という問題がある。 【0009】そこで、本発明は、上記課題に鑑み、緑茶
本来の風味を損なうことなく、濁り成分を除去した清澄
緑茶飲料の製造方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の清澄緑茶飲料の製造方法は、溶存酸素濃度
を5ppm以下に調整し、0.5〜2.0ppmアスコル
ビン酸ナトリウムが添加された50〜100℃の温水を
用いて、緑茶葉を煎じ緑茶を抽出する緑茶抽出工程と、
前記緑茶抽出工程後、緑茶抽出液を10〜30メッシュ
のフィルター及び100〜200メッシュのフィルター
に順次通過させ、緑茶抽出液から茶殻を除去する茶殻除
去工程と、前記茶殻除去工程後の緑茶抽出液を冷却器に
通過させて10℃程度に冷却し、冷却後5,000rp
m〜10,000rpmの速度で遠心分離を行うことに
より濁り成分を分離除去する濁り成分除去工程とを含む
ことを特徴とする。 【0011】すなわち、本発明の清澄緑茶飲料の製造方
法は、溶存酸素濃度を低くし、さらに、酸化防止剤とし
てアスコルビン酸ナトリウムを0.5〜2.0ppmの濃
度範囲で添加して、含有成分の酸化を防止しながら緑茶
を抽出する。なお、ここで添加された濃度範囲のアスコ
ルビン酸ナトリウムはpH等を急激に変化させるもので
はないため、従来の方法のように風味を劣化させること
がない。また、このアスコルビン酸ナトリウムは、後述
する一連の製造工程において、緑茶抽出液の酸化を防止
する。 【0012】緑茶抽出後は、目の粗いフィルターと目の
細かいフィルターを用いて緑茶抽出液を順次ろ過するこ
とにより、フィルターの目詰まりを防止しつつ、迅速に
茶殻を除去することができる。こうして茶殻を迅速に除
去することにより、長時間茶殻が混在した場合の風味や
色調の劣化を防止することができる。 【0013】最終的な濁り成分除去工程では、予め緑茶
抽出液を10℃程度に冷却し、濁り成分の沈殿を促進し
た状態で、所定の速度で遠心分離を行い、緑茶の風味成
分を残したまま、濁り成分を分離除去する。 【0014】従って、本発明の清澄緑茶飲料の製造方法
によれば、緑茶本来の風味を損なうことなく、濁りを形
成しない清澄緑茶飲料を製造することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態を説明する。 【0016】1、緑茶抽出工程 本発明において使用する緑茶葉は、任意の茶葉を単独で
または混合して使用することができる。好適には、緑茶
の風味を豊かにするために、玉露茶葉を、例えば、緑茶
葉に対して5%〜50%の割合で混合して用いる。 【0017】上記において選択した緑茶葉を煎じるに当
たり、温水をデアレータ等の脱気装置により脱気して、
溶存酸素濃度を低減させる。溶存酸素濃度としては、可
能な限り低くすることが好ましく、具体的には5ppm
以下に調整する。このように溶存酸素濃度を低くするこ
とにより、抽出中に緑茶抽出液が酸化されて、風味や色
調が変化することを防止することができる。 【0018】さらに、温水に酸化防止剤を添加して、よ
り確実に酸化を防止する。この酸化防止剤としては、例
えば、アスコルビン酸ナトリウムを用いることができ
る。このアスコルビン酸ナトリウムを用いる場合に0.
5〜2.0ppmの濃度で使用することが好ましい。こ
の濃度で使用した場合、緑茶抽出液のpHを大きく変動
させることがないため、風味が損なわれることがない。 【0019】前記温水の湯温は、50℃〜100℃の範
囲であればよいが、玉露茶葉を混合して用いた場合に
は、50℃〜70℃とし、玉露特有の風味を有効に引き
出すことが好ましい。 【0020】茶葉の使用量は、抽出温水1,000リッ
トルに対し25kg〜35kgの範囲で使用することが
でき、この範囲で茶葉の品質等に応じて適宜使用量を増
減させることができる。 【0021】抽出時間は、3分から10分の範囲である
ことが好ましく、この範囲で使用する茶葉の品種、製法
等に応じて適宜時間を調整することができる。 【0022】2、茶殻除去工程 緑茶抽出液から茶殻を除去する工程は、茶殻の混在によ
る風味の変化や色調の変化などを防ぐためにも、迅速に
行うことが必要である。そのため、次の2段階の工程に
より行うことが望ましい。すなわち、予め大きな茶殻を
分取し得るフィルターを用いてろ過する工程と、残りの
細かい茶殻を分取し得るフィルターによりろ過する工程
とを順次行う。 【0023】上記した大きな茶殻を分取し得るフィルタ
ーとしては、具体的には、10〜30メッシュ程度のフ
ィルターを用いればよい。また、細かい茶殻を分取し得
るフィルターとしては、100〜200メッシュ程度の
フィルターを用いればよい。このように、予め大きな茶
殻を分取した後、残りの細かい茶殻を分取することによ
り、フィルターの目詰まりを起こさせることなく、すば
やく茶殻を除去することができる。従って、茶殻が長時
間混在することにより生じる風味の変化や色調の変化を
防止することができる。 【0024】3、濁り成分除去工程 上記において茶殻を除去した後の緑茶抽出液は、プレー
トクーラー等の冷却器などを通過させて迅速に10℃程
度まで冷却する。緑茶抽出液は、抽出時の温度で放置す
ると酸化反応が進みやすく風味が損なわれる原因とな
る。そのため、先ず、緑茶抽出液を冷却し、酸化反応等
の進行を抑制することが好ましい。また、ここで10℃
程度まで冷却することにより、後述する遠心分離操作に
おいて、緑茶抽出液に含有されている濁り成分を沈殿し
易くする。 【0025】上記冷却部としては、プレートクーラーの
ように既存の冷却装置を任意に選択して使用することが
できる。ここで、プレートクーラーを用いた場合には、
プレートクーラーの内部の冷媒として、約5℃のチルド
水や5℃以下の不凍液を用いる。約5℃のチルド水を用
いた場合には、緑茶抽出液の流速を調整し、緑茶抽出液
をプレートクーラー上に10〜20秒程度滞留させるこ
とにより、緑茶抽出液の温度を抽出時の温度50〜10
0℃を10℃程度にまで冷やすことができる。次いで、
ここで冷却された緑茶抽出液を遠心分離器に注入し、濁
りの原因成分を遠心分離により除去する。 【0026】遠心分離を行う場合には、5,000rp
m〜10,000rpmの回転数で遠心分離を行う。連
続遠心分離器を用いた場合には、上記回転数で、流速
8,000リットル/時間から20,000リットル/
時間の範囲の処理速度に調整する。 【0027】なお、遠心分離操作前に緑茶抽出液を10
℃程度まで冷却しない場合には、上記した遠心分離条件
では、十分濁り成分を除去することができない。 【0028】しかし、本実施の形態では、遠心分離操作
前に緑茶抽出液を10℃程度まで冷却し、濁り成分を沈
殿し易くしているため、通常の遠心分離器の処理速度
(流速8,000リットル/時間から20,000リッ
トル/時間)により濁り成分を適切に除去することが可
能となっている。 【0029】以上の通り、緑茶抽出液の温度を調節する
ことにより、簡便な遠心分離器を用いて効率よく濁り成
分を分離除去することが可能となった。その結果、長期
保存に適した緑茶抽出液の取得が可能となる。 【0030】なお、このようにして得られた清澄化した
緑茶抽出液は、必要に応じてケイソウ土等のろ過助剤を
用いたろ過、目のサイズが0.5〜5ミクロン程度の精
密ろ過等を行うことができる。 【0031】以上の操作により得られた清澄化した緑茶
抽出液は、アスコルビン酸等の酸化防止効果を有する化
合物を添加することによって、更に長期間保存に耐え得
る緑茶抽出液を生成することができる。また、その後、
重曹、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等に
より当該緑茶抽出液のpHを6.0〜7.0程度に調節
し、缶、瓶、PETボトル等のプラスチック容器に充填
するのに適した緑茶抽出液を得ることができる。 【0032】また、上記本実施の形態における一連の工
程は、緑茶抽出液の酸化を防ぐため、窒素気流中で行っ
てもよい。 【0033】 【実施例】次に、実施例等に基づいて本発明を具体的に
説明するが、当該実施例によって、本発明は、何ら限定
されるものではない。 【0034】[実施例1]デアレーターを用いて溶存酸
素量5ppm以下にして、かつ1ppmのアスコルビン
酸ナトリウムを添加した60℃の温水1,000リット
ル中で玉露10kgと煎茶20kgの混合茶葉を6分間
抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離するた
め、20メッシュと150メッシュの金網の分離器に順
次通過させ分離し、茶抽出液を得る。得られた抽出液を
冷媒にチルド水を用いたプレートクーラーを通し、10
℃まで冷却した後、6,000rpmの回転数で遠心分
離操作を行い、清澄化された茶抽出液を得た。得られた
緑茶抽出液は、緑茶抽出液の2倍量の水を加水したビタ
ミンCを500ppm濃度で添加し、重曹でpH6.5
に調整し、容器つめ用の緑茶抽出液を得た。 【0035】[実施例2]デアレーターを用いて溶存酸
素量5ppm以下にして、かつ1ppmのアスコルビン
酸ナトリウムを添加した70℃の温水1,000リット
ル中で玉露15kgと煎茶15kgの混合茶葉を5分間
抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離するた
め、20メッシュと150メッシュの金網の分離器に順
次通過させ分離し、茶抽出液を得る。得られた抽出液を
冷媒にチルド水を用いたプレートクーラーを通し、10
℃まで冷却した後、6,000rpmの回転数で遠心分
離操作を行い、清澄化された茶抽出液を得た。得られた
緑茶抽出液は、緑茶抽出液の2倍量の水を加水したビタ
ミンCを500ppm濃度で添加し、重曹でpH6.5
に調整し、容器つめ用の緑茶抽出液を得た。 【0036】[比較例1]60℃の温水1,000リッ
トル中で玉露15kgと煎茶15kgの混合茶葉を6分
間抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離する
ため、150メッシュの金網の分離器で分離し、茶抽出
液を得る。得られた抽出液を冷媒にチルド水を用いたプ
レートクーラーを通し、10℃まで冷却した後、7,0
00rpmの回数で遠心分離操作を行い、清澄化された
茶抽出液を得た。得られた緑茶抽出液は、緑茶抽出液の
2倍量の水を加水したビタミンCを500ppm濃度で
添加し、重曹でpH6.5に調整し、容器つめ用の緑茶
抽出液を得た。 【0037】[比較例2]60℃の温水1,000リッ
トル中で玉露15kgと煎茶15kgの混合茶葉を6分
間抽出する。抽出後、直ちに茶抽出液と茶殻を分離する
ため、150メッシュの金網の分離器で分離し、茶抽出
液を得る。得られた抽出液をプレートクーラーを通し、
30℃まで冷却した後、7,000rpmの回数で遠心
分離操作を行い、清澄化された茶抽出液を得た。得られ
た緑茶抽出液は、緑茶抽出液の2倍量の水を加水したビ
タミンCを500ppm濃度で添加し、重曹でpH6.
5に調整し、容器つめ用の緑茶抽出液を得た。 【0038】[判定]上記の実施例および比較例で得た
緑茶抽出液をペットボトルに封入し、30℃3ヶ月間保
管し、パネラー5名による官能検査を行った。 【0039】官能検査は、風味(味、香り)の劣化、濁
り・沈殿等の有無を判定し総合評価した。 【0040】 【表1】 【0041】 【発明の効果】以上の通り、本発明の清澄緑茶飲料の製
造方法によれば、酸化を防止した条件下で緑茶抽出及び
茶殻除去が行われ、さらに、抽出液の温度を調節し簡便
な遠心分離操作により効率的かつ迅速に濁り成分が除去
されるため、長期に保存した場合に緑茶の風味が劣化す
ることがなく、また、沈殿や濁りを形成することがな
い。 【0042】従って、本発明は、缶やプラスティック容
器に収容され、長期保存される緑茶飲料の製品として適
した清澄緑茶飲料を製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平4−311348(JP,A)
特開 平6−343389(JP,A)
特開 平5−168407(JP,A)
特開 平6−105654(JP,A)
特開 平2−13348(JP,A)
特開 平6−311847(JP,A)
特開 昭62−126934(JP,A)
特開 平8−228684(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A23F 3/20
A23F 3/16
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 溶存酸素濃度を5ppm以下に調整し、
0.5〜2.0ppmアスコルビン酸ナトリウムが添加さ
れた50〜100℃の温水を用いて、緑茶葉を煎じ緑茶
を抽出する緑茶抽出工程と、 前記緑茶抽出工程後、緑茶抽出液を10〜30メッシュ
のフィルター及び100〜200メッシュのフィルター
に順次通過させ、緑茶抽出液から茶殻を除去する茶殻除
去工程と、 前記茶殻除去工程後の緑茶抽出液を冷却器に通過させて
10℃程度に冷却し、冷却後5,000rpm〜10,
000rpmの速度で遠心分離を行うことにより濁り成
分を分離除去する濁り成分除去工程とを含む清澄緑茶飲
料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10112597A JP3447193B2 (ja) | 1997-04-18 | 1997-04-18 | 清澄緑茶飲料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10112597A JP3447193B2 (ja) | 1997-04-18 | 1997-04-18 | 清澄緑茶飲料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10290662A JPH10290662A (ja) | 1998-11-04 |
JP3447193B2 true JP3447193B2 (ja) | 2003-09-16 |
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ID=14292365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10112597A Expired - Fee Related JP3447193B2 (ja) | 1997-04-18 | 1997-04-18 | 清澄緑茶飲料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3447193B2 (ja) |
-
1997
- 1997-04-18 JP JP10112597A patent/JP3447193B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH10290662A (ja) | 1998-11-04 |
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