JP3446840B2 - 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びその硬化塗膜の製造方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びその硬化塗膜の製造方法

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JP3446840B2 JP30527993A JP30527993A JP3446840B2 JP 3446840 B2 JP3446840 B2 JP 3446840B2 JP 30527993 A JP30527993 A JP 30527993A JP 30527993 A JP30527993 A JP 30527993A JP 3446840 B2 JP3446840 B2 JP 3446840B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化塗膜表面の耐汚染
性と硬化塗膜自体の加工性とに優れるという従来相反す
ると考えられていた特性を有する、優れた活性エネルギ
−線硬化型樹脂組成物およびその硬化塗膜の製造方法に
関するものである。
【0002】本発明は、基材に塗装して硬化させた後
に、該硬化塗膜を折曲げ、延伸、変形等の加工を施せる
加工性を有し、かつ硬化塗膜表面の耐汚染性の優れた活
性エネルギ−線硬化型樹脂組成物及びその硬化塗膜の製
造方法を提供するものである。
【0003】更に具体的には、塗装後、折曲げ、延伸、
変形等の加工を行う用途として、プレコートメタルのご
とき金属や、PET、塩化ビニル、ABS、PP、ポリ
カーボネート、ナイロン等のプラスチック類の塗装用
途、建材用、ラミネート用、成形品の表面接着用フィル
ム等の用途、また紙等のコーティング材、柔軟性の必要
とされるビデオテープ、フロッピーディスク等の磁性記
録材のバインダ−用樹脂用途、あるいは、表面の汚染
性、耐傷性、衝撃吸収性が必要とされる建材用ガラス、
自動車用ガラス、ビン等のガラス飛散防止用のコーティ
ング材用途に、広く使用され得るものである。
【0004】
【従来の技術】近年、無公害化、省力化、省行程化等の
理由から家庭電気器具、内外装建材、事務用品、車両等
の製造に、被塗物の加工後に塗装を行う、所謂ポストコ
ートを避け、基本的に被塗物の加工前に塗装、硬化を行
って、その後、種々の加工により、欲する形状とするプ
レコート塗料の要求が高まっている。
【0005】被塗物としては、例えば、アルミ、鉄、
銅、種々の合金等の金属板や、ポリエステル、塩化ビニ
ル、ポリカーボネート等の種々のプラスチック材料であ
り、このような加工を行うプレコート塗料としては、意
匠性の向上や表面の保護の他に、必要とされる加工性が
なければ、プレコート塗料として使用できない。
【0006】即ち、その加工性とは、塗装板を折り曲げ
たり、変形させたりするため、硬化塗膜として、施され
る加工に対応する伸度を有していなければならない。こ
の為、塗膜として、伸度に対応する硬化構造因子とし
て、適切な架橋密度、ガラス転移温度が必要となる。一
般に架橋密度が大きい方が、弾性率が大きくなる反面、
伸度は低下する。またガラス転移温度は、基本的には、
低い方が柔軟性に富み、伸度が高い傾向があるが、弾性
率が低く、また硬化物の強度が低くなる。
【0007】プレコート塗料としては、前述の伸度の他
に、塗装物表面の耐汚染性、硬度の両立が求められてお
り、従来からさまざまな樹脂組成についてその検討が行
われていた。例えば、プレコート鋼板として、一般的に
使用されてる樹脂組成物としては、高分子ポリエステル
樹脂とメラミン樹脂を組み合わせたもので、高分子ポリ
エステルが良好な伸度を有し、これにメラミン樹脂の自
己縮合と架橋にて、硬度、耐汚染性を向上させることを
意図している。
【0008】また、ポリオールとポリイソシアネートに
よる2液型ウレタン樹脂組成物もポリオール成分が塗膜
の伸度を確保し、イソシアネートにより架橋密度を高く
して、耐汚染性や硬度を向上させる試みがなされてい
る。更に、硬化時間の短縮、省エネルギー化の観点か
ら、紫外線や電子線等の活性エネルギ−線硬化システム
を使用する検討も行われている。
【0009】一方、後記する本発明で言う成分傾斜構造
とは、基本的には多成分系での特定成分が、特定方向
(深さ方向)に濃度変化が生じるもので、こうした成分
傾斜構造の例は、いくつか報告されている。例えば、色
材,64巻(12),720−786頁には、壱岐島ら
のポリエステル−メラミン系での熱硬化系が、また高分
子論文集44巻,No.1,9−14頁(1987年1
月)には、多留らのアミノ−アルキッド硬化樹脂塗膜の
表面偏析についての研究例が報告されている。
【0010】また、三木らは、コンバ−テック,199
1/1,1頁あるいは、コンバ−テック,1990/
8,1頁で、溶媒キャストによるフッ素系樹脂、アクリ
ル系樹脂の界面組成変化を報告している。またMich
eal B.Clark,Jr.らは、Macromo
lecules1991,24,799−805頁に、
高分子量のホモポリマ−として塩化ビニルとポリイプシ
ロンカプロラクトンの系で、それらの結晶性、分子量と
表面構造の解析を報告している。
【0011】しかしながら、これらは、多成分のポリマ
ーブレンドや熱硬化系で空気界面や基板界面に特定の成
分が濃化、配向しているものであり、活性エネルギー線
での反応系で、特定の成分が濃化、配向することを報告
しているものはなかった。
【0012】また、後記する本発明の活性エネルギ−線
硬化型樹脂組成物のように、ポリウレタンアクリレ−ト
とポリエステルアクリレ−トとからなる樹脂組成物の公
知例としては、例えば、特公平4−311714号公報
の、脂環族ジカルボン酸を使用するポリエステルウレタ
ンアクリレ−トと、非芳香族系アクリレ−トの併用系に
て、高耐候性の塗装物が開示されている。
【0013】さらに、特公平2−7346号公報では、
特定の分子量のポリウレタンジアクリレ−トと、特定の
分子量のポリエステルジアクリレ−トと、モノビニル化
合物等の多成分系で接着剤として有用な組成物が、特開
平2−219811号公報では、エステルアクリレ−ト
やウレタンアクリレ−トを含む種々のオリゴマーまたは
それらの混合物に、更にアクリル酸エステル等を含有さ
せた、シーラント等の車両底面用の紫外線硬化型樹脂組
成物が開示されている。
【0014】しかしながら、これらは成分傾斜構造を形
成する樹脂組成物を開示しておらず、また活性エネルギ
ー線硬化によって、成分傾斜構造を形成することによ
り、優れたプレコート塗装物を製造できることも、全く
記載、示唆されていなかった。
【0015】即ち、従来の樹脂組成物によるプレコート
塗装では、それらの配合割合を如何に検討しても、加工
性と耐汚染性の両立には、限界があり、ポストコート並
みの硬度、光沢、耐汚染性、耐薬品性等の性能を有し、
かつ、硬化物の高加工性、例えば、180度折り曲げ加
工(0T)に耐えうるプレコート塗装板を製造する事
は、全く困難であった。
【0016】つまり、耐汚染性は、表面の架橋密度と相
関しており、架橋密度が高ければ高いほど耐汚染性は良
好となるが、架橋密度が高いと、硬化物の伸度が低下
し、自由な変形加工ができず、無理に変形、加工させる
と塗膜が破断して、クラック等が生じてしまう為に、加
工に多大な制限があるという欠点を有していた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、優れた光沢、耐汚染性、耐溶剤性を有し、
かつ柔軟性を有することにより、折曲げ、延伸、変形等
のポスト加工を施せ得る高加工性を併せ持ち、金属、プ
ラスチック等のプレコート塗装やガラスコーテイングに
適する、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、並びにそ
の硬化塗膜の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
如き発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭
意、検討を重ねた結果、特定の組成からなる活性エネル
ギ−線硬化型樹脂組成物を用い、更に該樹脂組成物の硬
化前に、熱処理を行なうことによって、硬化塗膜の深さ
方向で、不均一な構造、即ち、硬化塗膜表面から深さ方
向に高密度架橋成分の成分傾斜構造を有する硬化塗膜が
形成され、該硬化塗膜により上述の問題点が解決できる
ことを見い出して、本発明を完成させるに到った。
【0019】即ち、本発明は、3個以上の(メタ)アク
リロイル基を有し、該(メタ)アクリロイル基の含有量
が2mmol/g以上で、分子量が800から3000
である分岐状ポリエステル(メタ)アクリレート(A)
と、(メタ)アクリロイル基を有し、該(メタ)アクリ
ロイル基の含有量が1mmol/g以下で、分子量が3
000から30000である線状ポリウレタン(メタ)
アクリレート(B)の少なくとも2種の樹脂成分を含
み、かつ、これらの重量比(A)/(B)が10/90
〜50/50であることを特徴とする、活性エネルギ−
線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0020】また、本発明は、上述の本発明の活性エネ
ルギー線硬化型樹脂組成物を基材に塗装した後、50℃
以上、かつ該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の分解
温度以下の温度で熱処理した後、活性エネルギー線照射
により、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化さ
せることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型樹脂組
成物硬化塗膜の製造方法を提供するものである。
【0021】本発明によれば、硬化塗膜内部の架橋密度
は、初期設計の分岐状ポリエステル(メタ)アクリレー
ト〔以下、高密度架橋成分と略記する。〕(A)と、線
状ポリウレタン(メタ)アクリレート〔以下、低密度架
橋成分と略記する。〕(B)との配合比によって決定さ
れ、充分な加工性を有する架橋密度、即ち、塗膜表面よ
りかなり低い架橋密度で、硬化塗膜全体の加工性が保持
される結果、優れた硬度を有する塗装表面を有しなが
ら、加工性に優れるという、従来公知の技術からは相反
する性質を有する硬化塗膜が得られることになる。
【0022】硬化塗膜表面が耐汚染性、耐溶剤性等の満
足し得る性能を有するためには、高密度架橋成分(A)
が、硬化塗膜表面を構成する樹脂成分中に60重量%以
上存在していることが必要であり、言葉を代えて説明す
れば、硬化後に、硬化させた塗膜表面の樹脂成分中に、
高密度架橋成分(A)が、硬化させる前の樹脂組成物の
(A)/(B)の組成比率(重量比)よりも多い高密度
架橋成分(A)組成比率、例えば、(A)/(B)=6
0/40〜100/0で存在することが必要である。
【0023】成分傾斜構造を形成することのできる本発
明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、高密度架橋
成分(A)として3個以上の(メタ)アクリロイル基を
有し、該(メタ)アクリロイル基の含有量が2mmol
/g以上で、分子量が800から3000である分岐状
ポリエステル(メタ)アクリレート(A)を、低密度架
橋成分(B)として(メタ)アクリロイル基を有し、該
(メタ)アクリロイル基の含有量が1mmol/g以下
で、分子量が3000から30000である線状ポリウ
レタン(メタ)アクリレート(B)を用いる組成であ
り、この組成物は、基材に塗装して塗膜とした後の熱的
な刺激により、空気界面に分岐状ポリエステル(メタ)
アクリレート(A)が濃化した塗膜となり、これを活性
エネルギー線照射にて硬化させることにより、ごく表面
に架橋密度の高い、耐汚染性に優れた層が形成され、か
つ硬化物内部は柔軟な硬化塗膜となる。
【0024】ここでいう高密度架橋成分(A)としての
分岐状ポリエステル(メタ)アクリレートは、必須の構
成成分として環状エステル化合物と、3官能以上のポリ
オール化合物と、(メタ)アクリル酸をエステル化、エ
ステル交換等の反応してなる化合物類で、(メタ)アク
リロイル基を3個以上有し、6個程度含有することが好
ましい。
【0025】高密度架橋成分(A)の(メタ)アクリロ
イル基数が3個未満の場合には、硬化した際の架橋密度
が小さく、耐汚染性等の求める性質が発現されにくい。
また、分子量が800より低いと、成分傾斜構造が形成
されにくくなるし、分子量が3000を越えると、線状
ポリウレタン(メタ)アクリレート(B)との相溶性が
悪くなり、組成物としての取扱いが困難となる。
【0026】ここで言う環状エステル化合物としては、
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロ
ラクトン、ε−カプロラクトン、置換ε−カプロラクト
ン、D−グルコノ−1,4−ラクトン、1,10−フェ
ナントレンカルボラクトン、4−ペンテン−5−オリ
ド、12−ドデカノリド等ラクトン類が挙げられる。
【0027】また、ここで言う置換ε−カプロラクトン
とは、アルキル基が1から12までの炭素原子を有す
る、種々のε−モノアルキルカプロラクトンであって、
例えば、ε−メチルカプロラクトン、ε−エチルカプロ
ラクトン、ε−プロピルカプロラクトン、ε−ドデシル
カプロラクトンなどの1置換アルキルラクトン類から、
2から3のアルキル置換のものが使用できる。本発明に
用いる環状エステル化合物としては、ε−カプロラクト
ンが特に好ましく用いられる。
【0028】また、ここで言う3官能以上のポリオール
化合物としては、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロー
ルプロパン、グリセリン、ジグリセロ−ル、3−メチル
ペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリト
ール、ジペンンタエリスリトール、トリペンタエリスリ
トール、2,2,6,6,−テトラメチロ−ルシクロヘ
キサノ−ル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレ−ト、マンニット、ソルビト−ル、イノシト−ル、
グルコース類などである。本発明に用いられる3官能以
上のポリオール化合物としては、ジペンンタエリスリト
ールが、特に好ましく用いられる。
【0029】また、環状エステル化合物と3官能以上の
ポリオール化合物と(メタ)アクリル酸をエステル化、
エステル交換等の反応する際に、上述以外のポリオール
化合物、あるいは、カルボキシル基含有化合物、エステ
ル化合物を更に使用し、分子内に導入してもよい。こう
したポリオール化合物としては、公知慣用のものが使用
できる。そのうちの代表的な例を挙げれば、エチレング
リコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブ
タンジオール、
【0030】1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカ
ンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチ
ルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリ
コールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4
−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシ
クロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチ
レンオキサイド付加ビスフェノ−ルA、プロピレンオキ
サイド付加ビスフェノ−ルA等である。
【0031】更に、ここで言うカルボキシル基含有化合
物としては、公知慣用の各種のカルボン酸、またはそれ
らの酸無水物、及びそれらカルボン酸化合物と低級アル
キルアルコールのエステル化物が使用できる。それらの
うちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、
クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく
酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、
【0032】2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−
ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテ
レフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、またはジ
メチル−ないしはジエチルエステルの如き、5−ナトリ
ウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル
類、
【0033】あるいは、オルソフタル酸、4−スルホフ
タル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン
酸、しゅう酸、マロン酸、グルタン酸、トリメリット
酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、メ
チルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリッ
ト酸、またはこれらの酸無水物、または、メタノール、
エタノール等とのアルコールエステル化合物などが挙げ
られる。
【0034】本発明で用いる低密度架橋成分(B)は、
硬化塗膜の加工性を発現させるのに不可欠な構成要素で
あって、その硬化塗膜は、基本的に欲する加工性に見合
う、十分な伸度を有していることが必要である。この
為、低密度架橋成分(B)は、分子量を3000から3
0000と比較的大きい分子量に限定し、さらに、硬化
しても架橋密度が大きくならないように、(メタ)アク
リロイル基の含有量が1mmol/g以下の線状ポリウ
レタン(メタ)アクリレートに限定している。
【0035】低密度架橋成分(B)としての線状ポリウ
レタン(メタ)アクリレート(B)は、一分子中に(メ
タ)アクリロイル基と水酸基を併有する化合物と、ポリ
オール化合物と、ポリイソシアネート化合物とのウレタ
ン化反応によって生成される線状ポリウレタン(メタ)
アクリレートが挙げられる。
【0036】この線状ポリウレタン(メタ)アクリレー
トは、線状構造を有しているため、機械的性質、特に伸
度が得易く、加工性の面で好ましい。また、分子量が3
000より小さいと、十分な加工性が得にくく、また分
子量が30000を越えると粘度が高くなり、取扱いが
困難となる。
【0037】該線状ポリウレタン(メタ)アクリレート
の構成物質として用いられる一分子中に(メタ)アクリ
ロイル基と水酸基を併有する化合物としては、公知慣用
のものが使用できる。それらのうちでも特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、
【0038】3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはグリシ
ジルメタクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、上掲
された如き、各種の水酸基を有する(メタ)アクリレー
ト化合物と、ε−カプロラクトンおよび、その変性物と
の開環反応物などである。
【0039】また、ここで言うポリオール化合物として
は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル、アルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオー
ル等使用でき、また単独で使用しても、2種以上の併用
であってもよく、またポリオール化合物の分子量の制限
はないが好ましくは、100以上5000以下のものが
好適である。
【0040】ここでポリエーテルポリオールとしては、
公知慣用のものが使用できるがそのうちでもとくに代表
的なもののみを例示するにとどめれば、ポリテトラメチ
レングリコール、プロピレンオキサイド変性ポリテトラ
メチレングリコール、エチレンオキサイド変性ポリテト
ラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール等のエーテルグリコールあるい
は、3官能以上のポリオールを開始剤として環状エーテ
ルを開環重合してできるポリエーテルポリオール等であ
る。
【0041】また、ポリエステルポリオールとしては、
前述したポリオール類と、やはり前述したカルボキシル
基含有化合物、あるいは、前述の環状エステル化合物の
エステル化反応、エステル交換反応により得られるもの
が使用できる。
【0042】また、ここで言うポリカーボネートポリオ
ールとしては、特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニル
カーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−ト
ルイル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カ
ーボネートもしくは2−トリル−4−トリル−カーボネ
ート、またはジメチルカーボネートもしくはジエチルカ
ーボネートのような、ジアリール−ないしはジアルキル
カーボネートと;
【0043】上掲された如き、各種のポリオールと、上
記した如きポリカルボン酸との反応生成物のようなポリ
エステルジオールなどとのエステル交換反応によって得
られるものなどで代表されるポリオール類との反応によ
って得られる部類のカーボネート誘導体などである。
【0044】また、ポリイソシアネートとしては、単独
で使用しても、あるいはイソシアヌレート化せしめた形
のポリイソシアネートとイソシアネート化合物とを併用
してもよいことは、無論であり、かかるイソシアネート
化合物として代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、トルレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネートもしくはイソホロンジイ
ソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートの如
き、各種の脂環式ジイソシアネート化合物;
【0045】またはヘキサメチレンジイソシアネートも
しくはリジンジイソシアネートの如き、各種の脂肪族ジ
イソシアネート化合物など各種の化合物などが挙げられ
る。また、耐候性、耐久性を考えると、水添ジフェニル
メタンジイソシアネートをポリイソシアネートとして使
用したものが好適である。
【0046】こうした低密度架橋成分(B)としての線
状ポリウレタン(メタ)アクリレートの各種原料は、欲
する物性によってその調整を変えることにより、広範な
機械的性能を有するものが得られることは周知の通りで
ある。本発明には、耐久性の面から、ポリオール化合物
としては、ポリエステル系ポリオール、またはポリカ−
ボネ−トポリオ−ルが好ましく、更に十分な加工性を有
する為には、脂肪族の構造を有するポリエステルポリオ
ールまたは、ポリカ−ボネ−トポリオ−ルが好ましい。
【0047】脂環構造を有するものは、分子構造による
剛性の為、弾性率が大きくなるが、伸度がでにくくな
る。そのため、ポリエステルポリオール、ポリカ−ボネ
−トポリオ−ルの構造としては、多塩基酸化合物は、脂
肪族系のものを使用するのがよく、一部脂環族系のもの
が使用できる。
【0048】本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成
物の高密度架橋成分(A)と低密度架橋成分(B)の組
成比率は、重量比で(A)/(B)が10/90〜50
/50の範囲であり、なかでも、10/90から25/
75の範囲が加工性と耐汚染性のバランスから特に好ま
しい。
【0049】本発明の製造方法による硬化塗膜が成分傾
斜構造を有していることは、特定の溶剤中で、硬化塗膜
を膨潤させ、その変形の有無を調べることで、容易に判
定出来る。即ち、ゲルの膨潤性は、その架橋密度と密接
な関係があり、ゲル膨潤率が大きいほど、架橋密度は、
低いことになる。(Encyclopedia ofP
olymer Technology4巻 63〜65頁
(1966年)Inter−science出版)
【0050】即ち、成分傾斜構造をとることにより、硬
化塗膜表面での架橋密度が、硬化塗膜内部あるいは、塗
装基材側に比較して高い場合には、ゲルの膨潤率が異な
り、変形が生じる。ガラス板等の基材に塗装し加熱処理
した後、活性エネルギー線硬化させ、次いで、基板から
剥離させて得た硬化塗膜を、溶剤により膨潤させた場合
には、硬化塗膜表面の膨潤率が相対的に小さく、硬化塗
膜内部、硬化塗膜裏面(基材側の面)、あるいは基材界
面側は体積膨張が大きい為に、表面方向(空気界面側)
に硬化塗膜膨潤体が反り返ることから、容易に傾斜構造
を有していることが確認できる。界面間あるいは硬化物
内部での成分傾斜構造が存在しない場合には、このよう
な変形は生じない。
【0051】硬化塗膜全体が優れた加工性を有する為に
は、硬化塗膜全体の平均架橋密度は低く設定する必要が
あり、ごく表面だけに、高架橋成分が濃化した構造が必
要である。それ故、高架橋成分が濃化している表面領域
は、空気界面より深さ方向に1〜3ミクロン程度、特に
100オングストロ−ムの範囲で密に高架橋成分が分布
・濃化し、成分傾斜構造が形成されていることが必要で
ある。
【0052】更に、傾斜構造を形成する高密度架橋成分
(A)と、低密度架橋性分(B)の組成物の硬化塗膜で
は、加熱処理により、高密度架橋成分(A)が、空気界
面に濃化する。この為、表面の架橋密度が大きくなり、
その結果良好なる耐汚染性が得られる。このときの濃化
の定性、定量方法としては、以下に説明する表面分析が
有効な手段として用いられる。
【0053】表面分析の具体的な手法としては、ATR
−IR等の表面の赤外スペクトル、ESCAによる原子
の定量、原子結合状態の測定により、硬化物表面の成分
構造が決定できる。(三木ら,コンバ−テック 199
0/8 1頁、コンバ−テック1991/1 1頁、 M
acromolecules 1991,24巻,79
9−805頁)
【0054】ATR−IR法(Attenuated Total Refra
ction-IR法、赤外全反射吸収スペクトル法)は、赤外分
光分析法の一種で、赤外光は、臨界角を越えた入射角
で、屈折率の大きい物質(プリズム)から屈折率の小さ
な試料に移る際に、この境界面で全反射するが、この境
界面では、波長に比例した深さだけ試料に浸入して反射
し、このとき試料に吸収があると光の一部が吸収される
原理を用いた分析方法である。(実験化学講座6 分光
I第4版、日本化学会、丸善株式会社発行)これによ
り、硬化物表面から深さ方向に数ミクロンまでの測定が
可能である。
【0055】また、X線光電子分光法(ESCA、Elec
tron Spectroscope for ChemicalAnalysis またはXP
S、X-Ray Photoelectron Spectroscope)は、物質にX
線を照射して発生する光電子を用いたスペクトロスコピ
ーである。この分析は、試料の表面から数10から約1
00オングストロームまでを選択的に測定することがで
き、構成元素の局所的な結合状態の情報を得ることがで
きる。これらの分析機器により、本発明の製造方法によ
る硬化塗膜の特徴的な構造を知ることができる。
【0056】例えば、高密度架橋成分(A)としてポリ
エステルアクリレートを、低密度架橋成分(B)として
ポリウレタンアクリレ−トを使用する組成物の場合で
は、ポリウレタンアクリレ−トがウレタン結合にN原子
を有しており、ポリエステルアクリレ−ト中には、N原
子が存在していない為、ESCAでの深さ方向でのN原
子の定量により、高密度架橋成分と低密度架橋成分の存
在割合を、硬化塗膜表面から約100オングストロ−ム
の範囲で定量し、高密度架橋成分(A)が硬化塗膜表面
に濃化していることを確認することができる。同様に酸
素、窒素、その他のマーカー原子に着目し、各々の成分
中の含有理論値より、その深さ方向での含有割合を算出
することができる。
【0057】本発明の成分傾斜構造を有する活性エネル
ギー線樹脂硬化物を、上述の分析手法で分析した結果、
良好な表面物性を有する構造としては、表面に高密度架
橋成分(A)が60%以上濃化していることが好まし
い。更に、ポリエステルアクリレートとポリウレタンア
クリレ−トを使用する場合は、表面の組成が、その理論
窒素原子量の1/3以下であるものが好ましい。
【0058】更に詳しくは、硬化後に、硬化させた塗膜
表面の樹脂成分中に、高密度架橋成分(A)が、硬化さ
せる前の樹脂組成物の(A)/(B)の組成比率よりも
多い高密度架橋成分(A)組成比率、即ち、(A)/
(B)=60/40〜100/0で存在することが必要
である。
【0059】更に、高密度架橋成分(A)が硬化塗膜表
面で最も高濃度に分布し、順次、深さ方向に、高密度架
橋成分(A)の含有率が減少する成分傾斜構造をとるこ
とが好ましく、本発明の製造方法で得られる硬化塗膜
は、硬化塗膜表面から100オングストロームの深さで
は概略(A)/(B)=60/40〜100/0の範囲
にあり、硬化物表面から3ミクロンの深さでは、(A)
/(B)=30/70〜60/40の範囲にある。
【0060】樹脂組成物中の硬化成分の成分傾斜構造へ
の転移には、何らかの外的、内的刺激が必要であり、基
本的には、光や熱等のエネルギーの供給がその刺激にな
る。具体的には、硬化前での加熱処理による成分傾斜構
造への転移エネルギーの供給が必要であり、硬化組成物
の温度が50℃以上、好ましくは、70℃以上で、かつ
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の分解温度以下の温
度、具体的には250℃以下の温度、より好ましくは2
00℃以下の温度で加熱処理を行う。
【0061】加熱処理時間は、用いる組成物の樹脂組成
により異なり、短時間である方が生産性の点から好まし
いが、通常は10秒間以上が必要である。加熱方法は、
通常の加熱方法、温風、マイクロウエーブ、超音波、赤
外線、遠赤外線により行うことができる。
【0062】また、本発明で樹脂硬化に用いる活性エネ
ルギー線とは、電子線、α線、γ線、X線、中性子線ま
たは、紫外線のごとき、電離放射線や光などを総称する
ものである。本発明において、活性エネルギ−線として
紫外線を用いて本発明の樹脂組成物を硬化させる場合に
は、特に波長1000〜8000オングストロームの紫
外線により解離してラジカルを発生する光(重合)開始
剤を併せて使用することが好ましい。
【0063】かかる光(重合)開始剤としては公知慣用
のものが、いずれも使用できるが、そのうちでも代表的
な例を挙げれば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン誘
導体、ミヒラ−ズケトン、ベンジン、ベンジル誘導体、
ベンゾイン誘導体、ベンゾインメチルエ−テル類、α−
アシロキシムエステル、チオキサントン類、アンスラキ
ノン類およびそれらの各種誘導体などで、例えば4−ジ
メチルアミノ安息香酸、
【0064】4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、ア
ルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス
(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル、
ベンゾイン、ベンゾインベンゾエ−ト、ベンゾインアル
キルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフ
ェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ルジフェノイルフォスフィンオキシド、
【0065】2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル
−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニ
ル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、こうした光
(重合)開始剤に公知慣用の光増感剤をも併用すること
ができる。
【0066】かかる光増感剤として特に代表的なものの
みを例示するに留めれば、アミン類、尿素類、含硫黄化
合物、含燐化合物、含塩素化合物またはニトリル類もし
くはその他の含窒素化合物などである。
【0067】本発明の活性エネルギ−線硬化型樹脂組成
物を基材に塗装後、50℃以上、かつ活性エネルギー線
硬化型樹脂組成物の分解温度以下の温度で熱処理した
後、電子線照射によって硬化させる際の電子線は、加速
エネルギーが0.1から3.0MeVの電子線であっ
て、コッククロフト型、コッククロフトワルトン型、パ
ンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型、エレクトロンカーテ
ン型などの各種の電子線加速器を使用することができ
る。また照射線量に特に制限はないが、通常0.1から
20Mradの範囲が適当である。
【0068】活性エネルギー線硬化を行う雰囲気として
は、硬化させる組成物の温度が高い方が、反応性が良好
で、特に硬化させる塗膜の表面温度が、40℃以上であ
ることが好ましい。また、酸素の重合阻害を防止する観
点から、不活性ガス中にて活性エネルギー線の照射によ
る硬化の反応を行うことが望ましい。不活性ガスとして
は、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム、クリプ
トン等の通常のものが挙げられ、好ましくは残存酸素濃
度が1%以下であると、良好な硬化塗膜が得られる。
【0069】また、本発明の硬化樹脂組成物には、必要
に応じて、更に他の成分を加えることが可能である。こ
れら他の成分としては、活性エネルギー線による硬化を
阻害しない溶剤、反応性希釈剤、ポリマー、無機充填
剤、無機顔料、または有機顔料、及び重合禁止剤、酸化
防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、光吸収剤、レ
ベリング剤等の添加剤など加えることが出来る。
【0070】上述の溶剤として、特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、トルエンもしくはキシレンの
如き芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン
の如きケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルもしくは酢酸
ブチルの如きエステル類;メタノール、エタノール、プ
ロパノールもしくはブタノールの如きアルコール類;ヘ
キサン、ヘプタンの如き脂肪族炭化水素類をはじめ、セ
ロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ジメチ
ルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどが挙げら
れる。
【0071】また、反応性希釈剤としては、無溶剤化や
ハイソリッド化などの目的で、単官能性のものから多官
能性のものまで広く用いられるが、本発明の傾斜成分構
造の形成を損なわない範囲で使用する必要がある。
【0072】反応性希釈剤のうちでも特に代表的なもの
のみを例示するに留めれば、イソボルニル(メタ)アク
リレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、ジシ
クロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロフ
ルフリル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)
アクリレ−ト、水添ロジン(メタ)アクリレ−ト、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレ
ート、N−ビニルピロリドン、1−ビニルイミダゾー
ル、
【0073】テトラヒドロフルフィリル(メタ)アクリ
レート、カルビトール(メタ)アクリレート、フェノキ
シエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン
(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、
【0074】ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ートまたはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート、または上記反応性希釈剤のエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド等環状エーテル化合物での変
性した(メタ)アクリレート化合物などである。
【0075】前述のポリマーとしては、飽和ないしは不
飽和の、いずれのものでもよいが、当該ポリマーは、硬
化塗膜の物性などの改質、あるいは、コストの低減を目
的として添加することが出来る。その具体例としては、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹体、ポリビニルブチラール樹脂、繊維素系樹
脂または塩素化ポリプロピレンなどを挙げることが出来
る。これらもまた本発明の傾斜成分構造の形成を損なわ
ない範囲で使用する必要がある。
【0076】前述の無機充填剤として代表的なものに
は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、
クレー、炭酸バリウム、石膏、アルミナ白、シリカ、珪
酸カルシウム、炭酸マグネシウム シリカパウダー、コ
ロイダルシリカ、アスベスト粉末、水酸化アルミニウ
ム、ステアリン酸亜鉛の如き体質顔料;
【0077】黄鉛、ジンククロメートもしくはモリブデ
ート・オレンジの如きクロム酸塩、紺青の如きフェロシ
アン化物、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化鉄、炭
化クロムグリーンの如き金属酸化物、カドミウムイエロ
ー、カドミウムレッドもしくは硫化水銀の如き金属硫化
物、セレン化物もしくは硫酸鉛の如き硫酸塩、群青の如
き珪酸塩、あるいは炭酸塩、コバルト・バイオレッドも
しくはマンガン紫の如き燐酸塩またはアルミニウム粉、
亜鉛末、真鍮粉、マグネシウム粉、鉄粉、銅粉もしくは
ニッケル粉の如き金属粉、更には、カーボンブラックな
どの無機顔料;
【0078】あるいは、アゾ顔料、フタロシアニン・ブ
ルー、フタロシアニン・グリーンの如き銅フタロシアニ
ン系顔料またはキナクリドン系顔料のような有機顔料な
どがある。更にその他の着色、防錆、体質顔料のいずれ
も使用でき、2種以上の併用であってもよいが、これら
は紫外線を活性エネルギー線として使用する場合は、硬
化に必要な紫外線量を確保できる透明性を有する範囲で
使用する必要がある。
【0079】本発明の製造方法で得られる硬化塗膜とし
ては、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を金
属、プラスチックス、紙、ガラス、木工等の基材に塗装
した後、硬化させたものを挙げることが出来る。金属に
塗装した硬化塗膜としては、原板としての切板または、
コイル状の鉄板、電気亜鉛メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ
鋼板、またはクロム酸、リン酸処理等の化成処理を施し
たもの、アルミニュウム板、ステンレス板または鋼板等
に塗装硬化させ、硬化塗膜とすることができる。本発明
の製造方法で得られる硬化塗膜としては、(電気)亜鉛
メッキ鋼板に塗装硬化させたものが、表面美観、コス
ト、耐食性等のバランスから特に好ましい。
【0080】また、本発明の製造方法において、金属板
に施す前処理は、必要に応じ、従来公知の方法で行うこ
とが出来、例えば金属板では、その製造行程で既に化成
処理を施した鋼板にあっては、単に洗浄処理のみの前処
理を施すだけで十分であるが、化成処理を施していない
ものは、その材質に応じた化成処理を施すことが好まし
い。
【0081】また、この原板と本発明における樹脂組成
物の層間に、密着性、耐食性、防錆性の向上の面におい
てプライマーを用いることもできる。このプライマーの
組成としては、エポキシ、変性エポキシ、ビニルフェノ
ール、エポキシアクリル、ポリエステル樹脂等が使用で
き、熱、電子線、紫外線、遠赤外線等の硬化方法につい
ては、何等制約を受けない。
【0082】また、プライマーの塗装方法としては、ナ
チュラルロールコート、リバースロールコート、カーテ
ンフローコート、スプレーコート、等通常の方法で行う
ことが出来る。プライマーの膜厚としては、1〜10ミ
クロン、好ましくは、2〜5ミクロン程度であることが
望ましい。
【0083】本発明に於ける樹脂組成物を、原板に直接
あるいは、プライマー塗装された塗装板に塗装する方法
としては、ナチュラルロールコート、リバースロールコ
ート、カーテンフローコート、スプレーコート等の通常
の方法で行うことが出来る。膜厚としては、1〜数10
0ミクロン、好ましくは、5〜100ミクロン程度であ
ることが望ましい。また先に述べたように、塗装方法、
膜厚等の条件によっては、好ましい液粘度を得る為に、
溶剤を添加する事が出来るが、電子線にて硬化させる前
に、この溶剤を除去させることが望ましい。
【0084】その他、各種プラスチック材料、ガラス材
料に塗装する場合も同様に、必要に応じて、プラスチッ
クまたはガラス表面へのプラズマ処理、プライマ−処
理、シランカップリング剤等の処理を行うことができ
る。
【0085】本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成
物を用い、本発明の製造方法によって製造される硬化塗
膜は、硬化塗膜表面から深さ方向に高密度架橋成分の成
分傾斜構造を有し、硬化塗膜表面が耐汚染性、耐溶剤性
を有し、かつ硬化塗膜自体の破断伸度が80%以上で、
優れた加工性を有する。
【0086】本発明の製造方法で得られる硬化塗膜の表
面が、良好な耐汚染性を有することは、具体的には、塗
膜の試験方法として、JIS K5400に準じた方法
で評価できる。具体的な耐汚染性の試験方法としては、
汚染材料として、黒色または赤色の油性マーキングペン
を用い硬化塗膜に塗料画線跡を付け、18時間以上放置
した後、ガーゼにエタノール/石油ベンジン(1/1重
量比)の混合溶剤を浸して、塗料画線跡を拭き取った
後、残存する赤色を色差計にて測定する方法で評価でき
る。
【0087】また、本発明の製造方法で得られる硬化塗
膜の耐溶剤性は、従来広く用いられている塗装物と同等
の良好な耐溶剤性を示し、これらはいずれも本発明の硬
化塗膜表面が高度に架橋していることを表している。さ
らに、本発明の製造方法で得られる硬化塗膜は、全体と
して加工性に優れる為に、硬化塗膜の破断伸度は80%
以上であり、特にその上限を設ける必要はないが、該硬
化塗膜の破断伸度は、通常80%以上300%以下であ
り、極めて優れた加工性を有する。
【0088】
【実施例】次に、本発明を実施例、比較例および試験結
果例により、一層、具体的に説明するが、本発明はもと
よりこれら実施例のみに限定されるものではない。以下
において、部および%は特に断りのない限りは、すべて
重量基準であるものとする。
【0089】(合成例1)(ポリウレタンアクリレート
b−1の中間体b−1iの合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、イソホロンジイソシアネート222部を仕込み、6
5℃まで昇温した。次に2−ヒドロキシエチルアクリレ
−ト116部を2時間かけて滴下反応させた。滴下終了
後、75℃まで昇温させて、5時間反応させ、中間体b
−1iを得た。このときの残存NCO%は、12.4%
であった。
【0090】(合成例2)(ポリウレタンアクリレート
b−1の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、酢酸エチル5019部、3−メチル−1,5−ペン
タンジオールとアジピン酸のポリエステルジオール(分
子量500、水酸基価224.4 KOH−mg/g)
3037.5部と、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール666.7部を仕込んで、均一に溶解した。
【0091】これを65℃まで昇温してから、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート2810部を仕込み、
65℃で5時間反応を行った。このときのイソシアネー
ト価は、0.05%であった。次に、合成例1で得たb
−1iを1014部仕込んで70℃で8時間反応を行っ
た。IRスペクトルにより、残存するイソシアネート基
が存在していないことを確認し、数平均分子量約720
0、不揮発分60%の目的とするウレタンアクリレート
(b−1)の溶液を得た。
【0092】(合成例3)(ポリウレタンアクリレート
b−2の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、酢酸エチル4800部、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート2882部を仕込み、65℃まで昇温し
た。次にポリ1,6−ヘキサンカ−ボネ−トジオール
(分子量600、水酸基価187KOH−mg/g)3
600部と、1,6−ヘキサンジオール472部を仕込
んで、65℃で5時間反応を行った。
【0093】このときのイソシアネート価は0.72%
であった。次にヒドロキシエチルアクリレート235g
を仕込み、更に同温度にて3時間反応を行い、IRスペ
クトルにより、残存するイソシアネート基が存在してい
ないことを確認し、数平均分子量約7200、不揮発分
61%の目的とするウレタンアクリレート(b−2)の
溶液を得た。
【0094】(合成例4)(ポリウレタンアクリレート
b−3の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、酢酸エチル5500部、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート3144部を仕込み、65℃まで昇温し
た。次に3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジ
ピン酸のポリエステルジオール(分子量1000、水酸
基価112.2KOH−mg/g)4000部と、3−
メチル−1,5−ペンタンジオール826部を仕込ん
で、65℃で5時間反応を行った。
【0095】このときのイソシアネート価は、0.63
%であった。次にヒドロキシブチルアクリレート260
部を仕込み、更に同温度にて3時間反応を行い、IRス
ペクトルにより、残存するイソシアネート基が存在して
いないことを確認し、数平均分子量約8300、不揮発
分60%の目的とするウレタンアクリレート(b−3)
の溶液を得た。
【0096】(合成例5)(ポリエステルアクリレート
a−1の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、ジペンタエリスリトール254部、イプシロンカプ
ロラクトン912部を仕込み、170℃にて開環反応を
行った。次にアクリル酸432部を仕込んで、140℃
で4時間反応を行った。酸価0.2KOH−mg/gの
目的とするポリエステルアクリレート(a−1)を得
た。このものの比重は、1.12g/cm3(25℃)
で、分子量は約1500、6官能のポリエステルアクリ
レートであった。
【0097】(合成例6)(ポリエステルアクリレート
a−2の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、ペンタエリスリトール272部と、無水コハク酸1
00部を仕込み、170℃で5時間脱水縮合を行った
後、イプシロンカプロラクトン684部を仕込み、17
0℃にて開環反応を5時間行った。次にアクリル酸43
2部を仕込んで、140℃で4時間反応を行った。酸価
0.2KOH−mg/gの目的とするポリエステルアク
リレート(a−2)を得た。このものの比重は、1.1
3g/cm3(25℃)で、分子量は約1470、設計
で6官能のポリエステルアクリレートであった。
【0098】(合成例7)(比較対照用ポリウレタンア
クリレートc−1の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、酢酸エチル962部とイソホロンジイソシアネート
444部を仕込み、65℃まで昇温した。次に、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸のポリエ
ステルジオール(分子量1000、水酸基価112.2
KOH−mg/g)1000部を仕込んで、65℃で5
時間反応を行った。このときのイソシアネート価は3.
50%であった。
【0099】次にヒドロキシエチルアクリレート232
部を仕込み、更に同温度にて3時間反応を行い、IRス
ペクトルにより、残存するイソシアネート基が存在して
いないことを確認し、数平均分子量約1700、不揮発
分60%の目的とするウレタンアクリレート(c−1)
の溶液を得た。
【0100】(合成例8)(比較対照用ウレタンアクリ
レートc−2の合成例) 温度計、攪拌器およびコンデンサ−を備えたフラスコ
に、イソホロンジイソシアネート222部を仕込み、6
5℃まで昇温した。次にヒドロキシエチルアクリレート
232部を、2時間で滴下し、更に同温度にて3時間反
応を行った。IRスペクトルにより、残存するイソシア
ネート基が存在していないことを確認し、比較対照用ウ
レタンアクリレート(c−2)を得た。
【0101】(実施例1〜5)(電子線硬化でのクリア
ーフィルムでの実験) 表1に示す塗料配合を行い、ガラス上に乾燥塗装膜厚で
50ミクロンになるよう塗装した。このものを100℃
の乾燥機中で3分間加熱処理を行った後、酸素濃度20
0〜300ppmの窒素雰囲気下にて、加速電圧175
kV、加速電流4mAで、6Mrad電子線を照射し、
硬化塗膜を作成した。電子線照射は、25℃の室温にて
行った。表1中のPETAはペンタエリスリト−ルトリ
アクリレ−ト(分子量298)を表わす。評価結果を表
2,3,4に示す。
【0102】(比較例1〜4)表1に示す塗料配合を行
い、実施例1、2と同様な方法により硬化塗膜を作成し
た。評価結果を表2,3,4に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】〔評価方法〕 (理論N量)理論N量は、仕込み量および反応から、樹
脂中の理論窒素原子モル数を算出し、樹脂の構成原子中
の窒素原子の原子モル%で示した。なお各種合成例にて
得られた樹脂について、そのN原子含有量を表5に示
す。
【0108】
【表5】
【0109】(ゲル膨潤) 硬化塗膜をソルベッソ100/アセトン=70/30
(重量比)の混合溶剤中に3分間浸漬して、空気中に取
り出し、硬化塗膜の変形を観察した。変形の結果を、下
記に示す記号で記した。 ++ : 硬化塗膜の空気界面サイドに大きくカ−ルし
た。 + : 硬化塗膜の空気界面サイドにカ−ルした。 +− : 硬化塗膜は、ほぼ変形しなかった。 − : 硬化塗膜の基材剥離界面サイドにカ−ルし
た。 −− : 硬化塗膜の基材剥離界面サイドに大きくカ−
ルした。
【0110】(表面N量の測定) 表面N量を島津製作所製、ESCA−850(X線源
Mgアノ−ド(8KV,30mA))にて、深さ方向に
数10オングストロ−ムで測定した。数値は、構成原子
(C,N,O)中の窒素原子の原子モル%で示した。
【0111】(破断伸度) 硬化塗膜を1cm巾に切り出し、これを万能引っ張り試
験機(テンシロン:東洋ボ−ルドウィン社製)で、チャ
ック間2cm クロスヘッド速度20mm/minにて
引っ張り試験を行い、破断するまでの伸度を下式にて算
出した。 破断伸度(%)=(L−L)/L×100 ここで、 L:破断時のサンプル長(cm) L:初期サンプル長(cm)
【0112】(高密度架橋成分表面含有量) ESCAにて測定された表面N含有量から、次式にて表
面高密度架橋成分含有量を算出した。 高密度架橋成分表面含有量(%)={(b−w)/(b
−a)}×100 ここで、 a:高密度架橋成分N原子の原子モル%(理論値) b:低密度架橋成分N原子の原子モル%(理論値) w:ESCAでの表面N原子の原子モル%
【0113】(耐汚染性) 硬化塗膜に赤色油性マジックペンを塗り、室温で24時
間放置する。その後ガーゼにエタノール/石油ベンジン
(1/1重量比)の混合溶剤を浸し、マジックペン塗料
画線跡を拭き取り、残存する赤色を色差計にて測定し
た。色差の値が小さい方が、塗装表面に残存する色素が
少なく、耐汚染性が良好であることを意味する。
【0114】表1による配合で硬化させたクリアフィル
ムは、表2のゲル膨潤の実験結果から明らかなように、
本発明の硬化塗膜は、高密度架橋成分の傾斜が形成され
ており、その結果、空気界面での架橋密度が高くなって
いることが証明される。また比較例1,2では、ゲル膨
潤による変形が基板サイドにやや認められるが、これは
硬化時の微量酸素による重合阻害により、空気界面での
架橋が嫌気状態にある基板サイドに比較して、やや少な
くなった為と推定される。
【0115】硬化塗膜表面の樹脂の窒素量から、高密度
架橋成分の表面含有率を計算した結果を表4に示した。
本発明の硬化塗膜表面の樹脂中の窒素原子量は、理論組
成に比較して、極めて低い値を示しており、実施例での
成分傾斜硬化物は、そのごく表面(数10オングストロ
−ム)の範囲で、高密度架橋成分が60%以上の濃化が
起こっている事がわかる。
【0116】これに対して、比較例の窒素原子量は、理
論値と類似した値を示している。更に、本発明の硬化塗
膜は優れた表面の耐汚染性を有し、かつ破断伸度は、全
ての硬化物で150%を大きく上回っている。比較例で
は、耐汚染性は、良好ではなく、かつ破断伸度も50%
以下であった。
【0117】(実施例6)(電子線硬化の加熱処理の影
響) 表6に示す塗料配合を行い、ガラス上に乾燥塗膜厚で5
0ミクロンになるよう塗装した。次に、このサンプルを
5mmHgの減圧下、25℃にて5時間溶剤除去を行っ
た。更に、このサンプルを100℃の乾燥機中で3分
間、加熱処理を行った後、酸素濃度200〜300pp
mの窒素雰囲気下にて、加速電圧175kV、加速電流
4mAで、6Mrad電子線を25℃の室温にて照射し
た。評価結果を表7、表8及び図1に示す。
【0118】(比較例5) 加熱処理を行わない以外は実施例6と同様な樹脂組成、
硬化方法でサンプルを作成した。評価結果を表7、表8
及び図1に示す。
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】〔評価方法〕 (表面微小硬度) 表面微小硬度計(島津製作所社製:ダイナミック超微小
硬度計DUH−200)にて測定し、下式にて示される
ダイナミック硬さを表面微小硬度として示した。なお試
験荷重は、2.00gに設定し、変位スケ−ル5μmで
測定し、圧子はDH15(115゜三角錐圧子)を使用
した。また試験結果は、繰り返し5回の測定値の平均値
で示した。
【0123】ダイナミック硬さ(H)=F/αD2ここ
で、H:ダイナミック硬さ(g/μm2
【0124】実施例6と比較例5は、加熱処理の効果を
調べた結果である。表7から明かなように、加熱処理を
行った実施例6は、硬化塗膜表面に高密度架橋成分が濃
化し、表面の耐汚染性、破断伸度ともに、極めて良好な
物性値を示した。しかしながら加熱処理を行わないもの
は、伸度は、ほぼ同等であっても耐汚染性が悪い結果と
なった。
【0125】表8、図1は、表面微小硬度を微小硬度計
により測定したものであるが、表8、図1の結果から明
らかなように、成分傾斜構造をとる組成は、0〜5ミク
ロン程度までの微小硬度が高く、また表面に近いほど硬
度が高いことが理解される。
【0126】(実施例7)(紫外線による硬化) 表9に示す塗料配合を行い、ガラス上に乾燥塗膜厚50
ミクロンになるよう塗装した。このものを100℃の乾
燥機中で3分間、加熱処理を行った後、サンプルを石英
ガラス製の密封できる箱に入れ、箱内の空気を窒素にて
置換した。このときの残存酸素濃度は500〜800p
pmであった。次に、このサンプルを高圧水銀ランプ
(80W/cm)で、照射距離15cmの高さ、ライン
スピ−ド10m/minの条件で、3回紫外線を照射
し、硬化させた。評価結果を表10に示す。
【0127】(比較例6) 表9に示す塗装配合を行い、実施例1,2と同様な方法
により硬化塗膜を作成した。表中のIrgacure184 は、光
開始剤の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
を表わす。評価結果を表10に示す。
【0128】
【表9】
【0129】
【表10】
【0130】(実施例8〜10) 表11に示す塗料配合を行い、高速分散機で1000r
pm、1時間分散を行った。この塗料を、熱硬化型エポ
キシプライマーを2ミクロンの乾燥塗膜厚で塗布した電
気亜鉛メッキ鋼板(0.6mm厚)に、乾燥塗膜厚25
ミクロンになるように塗装した。
【0131】このものを130℃の乾燥機中で、1分間
加熱処理した後、酸素濃度200〜300ppmの窒素
雰囲気下にて、加速電圧175kV、加速電流4mA
で、8Mrad電子線を照射した。この時の電子線照射
時の塗膜の膜面の温度は、電子線照射前で70℃、照射
後直後で50℃であった。実施例8〜10は、おのおの
実施例1,2,4の配合物に酸化チタンで、白色のエナ
メル塗料化を行ったものである。評価結果を表12に示
す。
【0132】(比較例7〜9) 表11に示す塗装配合を行い、実施例9〜11と同様な
方法にて塗装鋼板を作成した。表中のTiO2は、酸化
チタン(タイペ−クCR−93;石原産業社製)を表わ
す。酸化チタンは、塗料固形分でPWC=45%で設定
した。また塗料の不揮発分は、55%として配合した。
また比較例7,8,9は、おのおの比較例1,3,4で
の配合物に酸化チタンで、白色のエナメル塗料化を行っ
たものである。評価結果を表12に示す。
【0133】(比較例10)(従来品:熱硬化タイプ) オイルフリーアルキッド樹脂106.3部(不揮発分4
0%、水酸基価24KOH−mg/g)に、ブチル化メ
ラミン樹脂(不揮発分40%)25部を配合し、更に酸
化チタン(CR−93:石原産業株式会社製)67部を
配合して、高速分散機にて1000rpmで1時間分散
を行った。この塗料を、熱硬化型エポキシプライマーを
乾燥塗膜厚2ミクロンになるよう塗布した電気亜鉛メッ
キ鋼板(0.6mm厚)に、乾燥塗膜厚25ミクロンに
なるように塗装した。このものを260℃の乾燥機中で
1分加熱硬化させた。評価結果を表12に示す。
【0134】
【表11】
【0135】
【表12】
【0136】〔評価方法〕 (加工性) 硬化後の塗装鋼板を180゜の折り曲げを0T、1T、
2Tにて行い、クラックの有無を評価した。 ◎ : クラックが入らない。 ○ : 10倍のルーペにて確認できるクラックが少し入
る。 △ : 目でみて確認できるクラックが少し入る。 × : 塗膜が割れないが、大きいクラックが入る。 ×× : 塗膜が割れる。
【0137】(実施例11〜13) 表11に示す実施例8、9、10と同様の塗料配合で、
実施例11、12、13用の塗料(実施例8の塗料配合
と実施例11の塗料配合が同一、実施例9の塗料配合と
実施例12の塗料配合が同一、実施例10の塗料配合と
実施例13の塗料配合が同一)を調製し、高速分散機に
て1000rpmで1時間分散を行った。この塗料を5
mm厚さのガラス板に乾燥膜厚25ミクロンで塗装を行
った。
【0138】これを130℃の乾燥機中で、1分間熱処
理した後、酸素濃度200〜300ppmの窒素雰囲気
下にて、加速電圧175kV、加速電流4mA、8Mr
adの電子線を照射した。この時の電子線照射時の塗膜
面の温度は、電子線照射前で70℃、照射後直後で50
℃であった。評価結果を表13に示す。
【0139】(比較例11〜13) 表11に示す比較例7、8、9と同様の塗料配合で、比
較例11、12、13用の塗料(比較例7の塗料配合と
比較例11の塗料配合が同一、比較例8の塗料配合と比
較例12の塗料配合が同一、比較例9の塗料配合と比較
例13の塗料配合が同一)を調製し、実施例11〜13
と同様な方法にて硬化塗膜を作成した。評価結果を表1
3に示す。
【0140】
【表13】
【0141】(実施例14) 実施例9と同様な塗料を作成して、乾燥膜厚25ミクロ
ンになるようガラス板に塗装し、加熱処理条件を変化さ
せた時の耐汚染性の変化を調べた。実験は、溶剤の影響
がないように、サンプルを予め室温で減圧乾燥し、十分
に溶剤を除去したものを使用した。この塗装板の加熱処
理条件を変化させ、電子線を実施例9と同様の条件にて
照射した。硬化後、硬化塗膜をガラス板から剥離し、そ
の耐汚染性を調べた。結果を図2、図3に示す。
【0142】図2から、成分傾斜構造の形成速度は、加
熱処理の温度に関連しており、加熱処理温度が高いほど
傾斜構造の形成速度が早いことがわかる。
【0143】また、加熱処理を行わないと、成分傾斜構
造はとりえないことが理解される。更に図3から、裏面
では、加熱処理によって耐汚染性が殆ど変化していない
ことから、加熱処理により、空気界面側に高密度架橋成
分の濃化が生じる形で成分傾斜構造を形成することがわ
かる。
【0144】(実施例15) 実施例9と同様な塗料を作成して、乾燥膜厚25ミクロ
ンになるようガラス板に塗装した。130℃で1分間加
熱処理をした後、電子線照射直前の塗料膜の表面温度を
変化させて耐汚染性を測定した。その結果を表14に示
す。
【0145】
【表14】
【0146】図2から、加熱処理温度が高いと、短時間
で耐汚染性が向上するが、50℃未満では、耐汚染性は
向上しないか、もしくは耐汚染性向上に長時間を要する
ことが明らかである。表14から、25℃にて硬化させ
た物よりも70℃で照射、硬化させたもの方が良好な結
果を示した。また図3から明らかなように、硬化物表面
(空気界面側)の耐汚染性は、裏面の耐汚染性が130
℃での長い加熱処理時間でも変化しないのに対し、わず
かな時間で向上することが知れる。
【0147】
【発明の効果】本発明は、優れた光沢、耐汚染性、耐溶
剤性を有し、かつ柔軟性を有することにより、折曲げ、
延伸、変形等のポスト加工を施せ得る高加工性を併せ持
ち、金属、プラスチック等のプレコート塗装やガラスコ
ーテイングに適する、活性エネルギー線硬化型樹脂組成
物、硬化物、並びに該硬化物の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の活性エネルギー線硬化物(実施例
6)と比較例5の硬化物表面からの深さ(μm)とダイ
ナミック硬さ(表面微小硬度、g/μm2)の関係を示
すグラフである。白四角が実施例6、黒四角が比較例5
の硬化物表面からの深さ(μm)とダイナミック硬さ
(表面微小硬度、g/μm2)の関係を示す。
【図2】 本発明の活性エネルギー線硬化物の加熱処理
温度(℃)、加熱処理時間(秒)と耐汚染性の関係を示
すグラフである。(実施例14)図中、(1)の黒四角は
加熱温度25℃、(2)の左部分が黒の四角は加熱温度5
0℃、(3)の右部分が黒の四角は加熱温度70℃、(4)の
白四角は加熱温度100℃、(5)の黒菱形は加熱温度1
30℃での加熱処理時間と耐汚染性の関係を示す。
【図3】 130℃で加熱処理した本発明の活性エネル
ギー線硬化物の表面と裏面での、加熱処理時間(秒)と
耐汚染性の関係を示す。(実施例14)図中、黒四角が
硬化物表面(空気界面側)、白四角が硬化物裏面の加熱
処理時間(℃)と耐汚染性の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 299/00 - 299/08 C08F 290/00 - 290/14 C09D 1/00 - 201/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3個以上の(メタ)アクリロイル基を有
    し、該(メタ)アクリロイル基の含有量が2mmol/
    g以上で、分子量が800から3000である分岐状ポ
    リエステル(メタ)アクリレート(A)と、(メタ)ア
    クリロイル基を有し、該(メタ)アクリロイル基の含有
    量が1mmol/g以下で、分子量が3000から30
    000である線状ポリウレタン(メタ)アクリレート
    (B)の少なくとも2種の樹脂成分を含み、かつ、これ
    らの重量比(A)/(B)が10/90〜50/50で
    あることを特徴とする、活性エネルギ−線硬化型樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 分岐状ポリエステル(メタ)アクリレー
    ト(A)が、環状エステル化合物と、(メタ)アクリル
    酸と、3官能以上のポリオールとを反応してなるポリエ
    ステル(メタ)アクリレートである、請求項1記載の活
    性エネルギ−線硬化型樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 環状エステル化合物がε−カプロラクト
    ンで、かつ、3官能以上のポリオールがジペンタエリス
    リトールである、請求項2記載の活性エネルギ−線硬化
    型樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 線状ポリウレタン(メタ)アクリレート
    (B)が、イソシアネート成分として4,4'−ジシク
    ロヘキシルメタンジイソシアネートを、ポリオ−ル成分
    としてポリエステルポリオ−ルおよび/またはポリカ−
    ボネ−トポリオ−ルを必須の構成成分として成るポリウ
    レタン(メタ)アクリレートである、請求項3記載の活
    性エネルギ−線硬化型樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 分岐状ポリエステル(メタ)アクリレー
    ト(A)と線状ポリウレタン(メタ)アクリレート
    (B)の重量比(A)/(B)が10/90〜25/7
    5である、請求項1、2、3または4記載の活性エネル
    ギ−線硬化型樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の活性
    エネルギー線硬化型樹脂組成物を基材に塗装した後、5
    0℃以上、かつ該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の
    分解温度以下の温度で熱処理した後、活性エネルギー線
    照射により、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬
    化させることを特徴とする、硬化塗膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 不活性ガス雰囲気下で活性エネルギ−線
    照射する、請求項6記載の硬化塗膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 塗装塗膜の表面温度を40℃以上、かつ
    活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の分解温度以下の温
    度条件下で、活性エネルギー線を照射する、請求項7記
    の硬化塗膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 活性エネルギ−線が、紫外線または電子
    線である、請求項6、7または8記載の硬化塗膜の製造
    方法。
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