JP3444045B2 - 半導体回路およびその駆動方法並びに半導体素子 - Google Patents

半導体回路およびその駆動方法並びに半導体素子

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JP3444045B2 JP24123395A JP24123395A JP3444045B2 JP 3444045 B2 JP3444045 B2 JP 3444045B2 JP 24123395 A JP24123395 A JP 24123395A JP 24123395 A JP24123395 A JP 24123395A JP 3444045 B2 JP3444045 B2 JP 3444045B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力変換装置などに使
われる半導体回路およびその駆動方法並びに半導体素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】電力変換装置は、MOSFETやIGBTなど
のスイッチング素子及びダイオードのような整流作用を
持つ素子、さらにはコンデンサ,インダクタンス,抵抗
などの意図的に組み込まれた素子だけでなく、配線など
が有する寄生のインダクタンスなどから構成される。電
力変換装置ではスイッチング素子や整流素子が電流が流
れている状態(オン状態)と電流が流れなくなる状態
(オフ状態)を繰り返すことで電力の変換を行うため、
素子がオン状態からオフ状態に移行するときに寄生イン
ダクタンスの影響を受け、電源電圧を大きく上回る跳ね
上がり電圧が素子に印加される。
【0003】この跳ね上がり電圧によるスイッチング時
の素子の破壊を防ぐため、従来、跳ね上がり電圧の大き
さを予測してこの値以上の耐圧を有する素子を利用した
り、スナバ回路を用いて跳ね上がり電圧を抑制したりし
ていた。しかし、大きな耐圧の素子を用いることは、コ
ストアップにつながるだけでなく素子の電力損失を増加
させることにもなり望ましいことでない。また、スナバ
回路などを用いて跳ね上がり電圧を防ぐことは部品点数
の増加につながり、結果として装置の大型化,コストア
ップにつながる。
【0004】ところで、スイッチング時に発生する跳ね
上がり電圧は、素子とインダクタンスを同時に流れてい
た電流が、スイッチング動作により急激に減少すること
で発生する。したがって、電流の急激な減少が抑えられ
れば跳ね上がり電圧を抑制できることになる。この点に
着目した方法としては、例えばツェナーダイオードやア
バランシェダイオードを素子に並列に接続する方法があ
る。これは、アバランシェダイオードに加わる電圧がそ
の降伏電圧以上になると、アバランシェダイオードに電
流が流れ、電流の急激な減少を防ぐというものである。
【0005】しかし、これには次のような問題がある。
アバランシェダイオードに電流が流れると、アバランシ
ェダイオードの降伏後の抵抗成分はほとんど零に近いた
め、寄生インダクタンスを流れる電流の減少がなくな
り、ダイオードに加わる電圧が減少する。この電圧がア
バランシェ降伏を生じる電圧以下になるとアバランシェ
ダイオードはオフ状態となり、インダクタンスを流れる
電流が急激に減少しようとするため、アバランシェダイ
オードに印加される電圧が増大し、再びアバランシェ降
伏状態となり、ダイオードに電流が流れる。つまり、ア
バランシェダイオードの電圧と電流は振動し続けること
になり、電磁ノイズ発生の原因になる。
【0006】また、アバランシェダイオードを用いる方
法以外に、例えば文献 EPE JournalVol.4 No.2 June (1
994) p8〜p9 に記載された方法がある。これは、ダイナ
ミックランプ方式と呼ばれる手法の例で、IGBTのコ
レクタ端子とゲート端子間にアバランシェダイオード、
ゲート端子とエミッタ端子間に抵抗が接続された構成に
なっている。コレクタ電圧がアバランシェダイオードで
規定された電圧以上になるとアバランシェダイオードと
抵抗を通して電流が流れ、ゲート電圧が増加することで
IGBTのコレクタ電流が流れ、素子に大きな電圧が印
加されるのを防止するというものである。しかし、この
場合にも、以上に説明するようにアバランシェダイオー
ドを使用した場合と同様な問題が発生する。
【0007】コレクタ電圧がアバランシェダイオードの
降伏電圧を越えた状態の時、ゲート電極にはコレクタ電
圧とアバランシェ降伏電圧との差が印加される。つま
り、アバランシェ降伏電圧を越えるとそれ以上の電圧は
総てゲート電圧に印加される。一般的に、IGBTはわ
ずかなゲート電圧の変化でコレクタ電流が大きく変化す
るため、コレクタ電圧がアバランシェ降伏電圧以上にな
ると、IGBTの電流は急激に増大することになる。例
えば、耐圧数百V,定格電流密度200A/cm2 程度の
IGBTの場合、ゲート電圧15Vにおける飽和電流密
度は数千A/cm2 にもなる。このことは、コレクタ電圧
がコレクタとゲート間に接続されたアバランシェダイオ
ードで規定された電圧よりわずか15V増えただけで、
コレクタ電流が数千Aにもなることを意味している。つ
まり、このダイナミッククランプ方式を用いたIGBT
は、アバランシェダイオードと極めてよく似た出力特性
(ある電圧で急激に電圧が増大する)を示す。このた
め、このダイナミッククランプ方式も前記のアバランシ
ェダイオードの例と同様な問題を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
電力変換装置で使用されていた跳ね上がり電圧の抑制方
法は、電力損失やコストの増大、さらには電磁ノイズの
発生などの問題を抱えていた。本発明は、このような問
題を解決できる半導体回路およびその駆動方法並びに半
導体素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による半導体回路
は、少なくとも半導体素子を含む回路と、これに接続さ
れるインダクタンスとを有し、流れる電流がオンオフ制
御されるものである。さらに、半導体素子を含む回路の
両端に印加する阻止方向電圧の大きさが、第1の電圧値
以上かつ第2の電圧値以下では電流の大きさが阻止方向
電圧の増加とともに増大し、第2の電圧値以上では第1
の電圧値と第2の電圧値間での電流の増加割合より大き
な増加割合で電流が増加する。ここで、第1の電圧値ま
ではリーク電流が流れるだけで、回路は実質電流遮断状
態に在る。
【0010】なお、半導体素子を含む回路とは、半導体
素子および他の受動素子を含む回路のみならず、半導体
素子のみから成る回路や、1ケース内に半導体素子を内
蔵するかまたは半導体素子と周辺回路を内蔵する半導体
モジュールであってもよい。また、半導体素子とは、制
御信号によって主電流を制御できる半導体スイッチング
素子やダイオードなどである。さらに、インダクタンス
は、電動機のような負荷が有するもののみならず、回路
配線のインダクタンスでもよい。これらの点について
は、以下の各構成においても同様である。
【0011】上記した半導体素子を含む回路は、これに
インダクタンスが接続されてかつ流れる電流がオンオフ
制御される半導体回路においてのみならず、他の様々な
回路または半導体素子に接続して用いることができる。
【0012】次に、本発明による半導体回路の駆動方法
において、半導体スイッチング素子の主電極間に印加す
る阻止方向電圧が第1の電圧値以上かつ第2の阻止方向
電圧値以下では、主電流の大きさが阻止方向電圧の増加
とともに増大するように、第2の電圧値以上では第1の
電圧値と第2の電圧値間での主電流の増加割合より大き
な増加割合で主電流が増加するように、それぞれ阻止方
向電圧に応じた制御信号を半導体スイッチング素子に供
給する。ここで、第1の電圧値まではリーク電流が流れ
るだけで、半導体スイッチング素子は実質電流遮断状態
に在る。
【0013】さらに、本発明の半導体素子は、その主電
極間に印加する阻止方向電圧の大きさが第1の電圧値以
上かつ第2の電圧値以下では主電流の大きさが阻止方向
電圧の増加とともに増大し、第2の電圧値以上では第1
の電圧値と第2の電圧値間での主電流の増加割合より大
きな増加割合で主電流が増加する。ここで、第1の電圧
値まではリーク電流が流れるだけで、半導体素子は実質
電流遮断状態に在る。このような特性を有する半導体素
子の具体的な構造は実施例の記載より明らかになるであ
ろう。
【0014】
【作用】上述したような半導体素子を含む回路、または
半導体回路あるいは半導体素子に印加される阻止方向電
圧が第1の電圧値を越えると電圧の大きさに応じた電流
が流れる。この電流が回路中のインダクタンスまたは半
導体素子に接続されるインダクタンスを流れる電流の急
激な減少を防ぎ、回路または半導体素子に印加される電
圧の増加を緩やかに制限する。また、第2の電圧値を越
えるとさらに大きな電流が流れ、印加電圧の増加を急激
に制限する。
【0015】すなわち、第1の電圧値と第2の電圧値間
での微分抵抗(電圧の微少な変化量に対する電流の変化
量)は、第2の電圧値以上での微分抵抗よりも大きい。
そのため、素子のスイッチング動作時など、インダクタ
ンスに電圧が誘起されるとき、第1の電圧値と第2の電
圧値間での微分抵抗がインダクタンスに蓄えられたエネ
ルギーを吸収する役割を果たし、また、第2の電圧値以
上の微分抵抗が電圧の更なる増加を制限する役割を果た
すため、電圧と電流の振動による電磁ノイズの発生や素
子を破壊に導く過電圧の発生が防止される。
【0016】
【実施例】図1,図2,図3,図4は、本発明の実施例
を説明するためのものである。図1は本発明を適用した
半導体回路または半導体素子などの阻止状態の時の電流
・電圧特性、図2(a)は本発明を実施した回路、図2
(b)は図2(a)の回路の各部での電流と電圧の波
形、図3(a)は本発明を実施した他の回路、図3
(b)は図3(a)の回路の各部での電流と電圧の波
形、図4は本発明の効果を説明するための回路図であ
る。
【0017】図1においてV1 は阻止状態の時の電流が
流れ出す電圧、V2 は電流が急激に流れ出す電圧を示
す。図2(a)において、DF は本発明の電流・電圧特
性を示すダイオード、IGBTは本発明の電流・電圧特
性を示すスイッチング素子の一例、E1は直流電源、L
L は配線等が有する寄生のインダクタンス、LM は負荷
のインダクタンス成分を示す。図2(b)において、電
圧と電流の記号は図2(a)中の記号と一致している。
【0018】まず初めに、図1の電流・電圧特性が電流
と電圧の振動を抑制すること及び過電圧を防止すること
を、図2(a)の実施例を用いて説明する。
【0019】スイッチング素子であるIGBTがゲート
信号によってオフ状態になると、IGBTを流れる電流
は急激に減衰する。するとIGBTを流れていた電流は
寄生インダクタンスであるLLと負荷のインダクタンス
であるLMをも流れており、急激に減少することができ
ない。LM にはフライフォイールダイオードDFが接続
されているので、LM を流れていた電流はフライフォイ
ールダイオードのカソードを電流ID として流れ続け
る。このときフライフォイールダイオードには、順方向
電流として電流ID が流れるために、LM の主電極間の
電圧は数Vと低い値になる。
【0020】これに対し、寄生インダクタンスLL を流
れていた電流はIGBTによって急激に遮断されるた
め、IGBTのコレクタ電圧VC を増大させる。しか
し、IGBTは図1に示した阻止状態の電流・電圧特性を有
しているため、IGBTの電圧がV1 以上になると緩や
かに電流が流れるために、コレクタ電圧VC はその増加
速度を緩やかに低下させながら増加する。図1の電流・
電圧特性から明らかなように、IGBTは電圧V1 以上
ではやや大きな微分抵抗を示すことから、この抵抗が寄
生インダクタンスに蓄えられたエネルギーを消費する。
【0021】寄生インダクタンスのLL のエネルギーを
消費しきれずにコレクタ電圧VC が増加した場合、電圧
2 でそれまでよりも電流が急激に増加するので、寄生
インダクタンスLL によるコレクタ電圧VC の増加はな
くなるとともに、しばらくその状態を続けた後、減少し
始める。コレクタ電圧がV2 以下になると再び電圧V1
とV2 間の微分抵抗によってインダクタンスのエネルギ
ーが消費され、コレクタ電圧は緩やかに低下する。
【0022】以上のように、図1に示した電流・電圧特
性を有するスイッチング素子の場合、電圧V1 とV2
の微分抵抗でインダクタンスのエネルギーを吸収するの
で、従来のように電流と電圧が振動して電磁ノイズを発
生することがない。また、コレクタ電圧VC がV2 付近
で抑制されるため、過電圧によるIGBT自身やそれに
並列に接続された回路部品の破壊を防ぐことができる。
【0023】次に、ゲート信号VG によってIGBTが
オン状態になると、フライフォイールダイオードを流れ
ていた電流は減少しはじめ、ついには負の方向に電流
(カソード電極Kからアノード電極Aに向かって流れる
電流)が流れる。この負の電流は、ダイオードの内部に
蓄えられたキャリアによって流れるため、キャリアの低
下とともに零に向かって電流の絶対値を減少し始める。
この電流は寄生インダクタンスLL をも流れているの
で、電流の絶対値の減少に伴って、ダイオードの逆方向
電圧(阻止方向電圧)VD が増加する。電圧VD が電圧
値V1 に到達すると緩やかに電流が流れ出し、逆方向電
圧VD の増加速度を緩やかに低下させる。
【0024】その後の逆方向電流と電圧の関係は、IG
BTの場合と同様であるので省略するが、フライフォイ
ールダイオードにおいても、電流と電圧の振動に伴う電
磁ノイズの発生や、過電圧によるダイオード自身やそれ
に並列に接続された回路部品の過電圧に伴う破壊を防ぐ
ことができる。
【0025】次に、他の実施例を図3により説明する。
ここでは、本発明を適用したスナバ回路の動作を説明す
る。スイッチング素子IGBTのゲート電圧VG を図3
に示すごとくt1 からt2 にかけて0Vに移行させる
と、IGBTを流れていた電流II が低下する。しか
し、この電流II は配線等が有する寄生インダクタンス
L と外部の負荷であるインダクタンスLM も流れるた
め、急激に減少することはできず、電流IDSとしてイン
ダクタンスLS およびダイオードDS に迂回して流れ、
コンデンサCS を充電することになる。IIが0になる
時刻t2でIGBTを当初流れていた電流値IM は総て
DSへ移行するため、時刻t2 でIDSの電流値はIM
なる。その一方で電流IDSはコンデンサCS を充電する
ので、スイッチング素子IGBTの端子間電圧VIGは次
第に増加する。
【0026】端子間電圧VIGが電源電圧E1まで上昇す
る時刻t3 になると、インダクタンス負荷LM と並列に
接続されているダイオードDF がオンするため、スナバ
ダイオードDS を流れていた電流IDSは減少しはじめる
が、寄生インダクタンスLLとスナバ回路の配線が有す
るインダクタンスLS のために急激に減少することがで
きず、減少しながらしばらく流れ続ける。そのため、コ
ンデンサCS の端子間電圧は電源電圧E1より大きくな
り、IGBTの端子間電圧VIGも電源電圧E1より大き
くなる。
【0027】電流IDSが0になる時刻t4になると、コ
ンデンサCSの電圧の方が電源電圧よりも高いために、
コンデンサCS から電源側に向かう電流が流れ、ダイオ
ードDS には逆方向電圧が印加される。ダイオードの内
部にはオン状態の時にキャリアが蓄積されており、この
キャリアが逆方向電流として掃き出され、逆方向電流が
増加しながら流れる。時刻t5 になると、ダイオード内
のキャリアが減少するため、ダイオードの内部には空乏
層が形成され、ダイオードの逆方向電流は一転して急激
に減少し始める。
【0028】このとき、電流の減少が急激であればある
ほど、インダクタンスLS とLL のためにダイオードD
S のアノード電極Aの電位が大きく引き下げられること
になる。つまり、ダイオードDS の逆方向電圧(阻止方
向電圧)VS は増加する。電圧VS が電圧値V1 に到達
すると電流が緩やかに流れ出し、逆方向電圧VS の増加
速度を緩やかに低下させる。その後の逆方向電流と電圧
の関係は、IGBTの場合と同様であるので省略する
が、スナバダイオードにおいても、電流と電圧の振動に
伴う電磁ノイズの発生や、過電圧によるダイオード自身
やそれに並列に接続された回路部品の過電圧に伴う破壊
を防ぐことができる。
【0029】ところで、以上の実施例では、第1の電圧
値と第2の電圧値間での微分抵抗が寄生のインダクタン
スに蓄えられたエネルギーを吸収する役割を果たし、第
2の電圧値以上での微分抵抗が電圧の更なる増加を防ぐ
役割を果たす。しかし、本発明では、第2の電圧値を設
け、これ以上で微分抵抗を小さくすることは必ずしも必
要ではない。例えば、耐圧的に十分な素子で回路が構成
されている電力変換装置の場合、電圧上昇の制限を設け
る必要がなく、第2の電圧値で微分抵抗を小さくするこ
とは必ずしも必要ではない。
【0030】第1の電圧値以上における微分抵抗は、寄
生インダクタンスに蓄えられたエネルギーを吸収し、電
流と電圧の振動を十分に抑制できる大きさであることが
最もよい。次に、この第1の電圧値以上での微分抵抗の
最も好ましい値について、図4を用いて説明する。
【0031】電流と電圧の振動が発生するのは、例えば
スイッチング素子であるIGBTがオフ状態になったと
きこれが等価的にコンデンサとなり、配線などが有する
寄生のインダクタンスと共振現象を起こすからである。
例えば、IGBTは半導体で構成され素子の内部に空乏
層が広がることで回路電流を遮断する。空乏層が広がっ
たときIGBTは空間電荷で構成されたコンデンサとし
て機能しており、これが回路に存在するインダクタンス
と共振現象を発生させることになる。したがって、共振
現象を防止するためには、共振現象を発生するインダク
タンスがエネルギーを蓄えている間、IGBTが完全な
コンデンサとして機能せずに、これが抵抗成分を持てば
よい。図1に示した本発明の電流・電圧特性はこの点に
着目したものであり、第1の電圧値V1 以上でIGBT
が抵抗成分を持つことを示している。
【0032】図4に示す半導体回路で共振現象を発生さ
せる回路ループは3つある。その第1は、IGBTがオ
ン状態からオフ状態に移行したときに共振現象を発生す
る回路ループであり、電源E1,寄生インダクタンスL
L ,電圧降下を発生しないフライフォイールダイオード
F と負荷インダクタンスLM とIGBTとからなるル
ープである。これを等価回路で表すと、電源E1は共振
現象のような高周波の振動現象には影響を及ぼさないの
で無視でき、図4(b)のような等価回路になる。ここ
で、Rは配線の抵抗であり、RI が本発明の電流・電圧
特性によって付け加えられる第1の電圧値以上で発生す
る抵抗成分である。このように、IGBTが本質的に有して
いるコンデンサCI と並列に抵抗RI が接続され、これ
が寄生インダクタンスLL に蓄えられたエネルギーを吸
収し、電流と電圧の振動を抑制する働きをする。
【0033】その第2は、IGBTがオフからオン状態
に移行したときに発生する共振現象である。このとき、
フライフォイールダイオードがリカバリ特性を示し最終
的にはコンデンサになり、寄生インダクタンスとの共振
現象が生じる。このときの共振現象を生じるループは、
寄生インダクタンスLL ,フライフォイールダイオード
F とIGBTからなる。これを等価回路で表すと、図
4(c)のようになり、LL は寄生インダクタンス、C
DFがダイオードが本質的に有するコンデンサ、RDFが第
1の電圧値以上で発生する微分抵抗、Rが配線とIGB
Tのオン抵抗である。この場合も、図4(b)と全く同
じ構成の等価回路となり、第1の電圧値以上で発生する
微分抵抗RDFが、電流と電圧の振動を抑制する。
【0034】その第3は、IGBTがオンからオフ状態
に移行し、それからやや時間が経過したときに発生する
共振現象である。IGBTがオフし、しばらく時間が経
過すると、寄生インダクタンスLL とスナバ回路の寄生
のインダクタンスLS との影響によって、スナバコンデ
ンサCDSの電圧の方が電源電圧よりも高くなる。そのた
め、スナバコンデンサCDSからスナバダイオードDS
通って電源に向かう電流の流れが発生し、最終的にスナ
バダイオードDS はコンデンサとなり、寄生のインダク
タンスLS とLL との共振現象を発生する。スナバ回路
にはスナバ抵抗RS とスナバコンデンサCS があるが、
スナバ抵抗には配線による寄生のインダクタンスLR
直列に存在するため、共振現象に対してこのインダクタ
ンスのインピーダンスが大きく、等価回路にスナバ抵抗
S は含まれない。また、スナバコンデンサCS は通常
スナバダイオードの容量よりはるかに大きいために(通
常、1000から10000倍)、同様に等価回路に含
まれない。
【0035】以上のことから、等価回路は、図4(d)
のようになる。ここでRは配線やスナバコンデンサが有
する寄生の抵抗、CDSはスナバダイオードが本質的に有
するコンデンサ、RDSが第1の電圧値以上で発生する微
分抵抗である。この場合も、図4(d)と全く同じ構成
の等価回路となり、第1の電圧値以上で発生する微分抵
抗RDSが、電流と電圧の振動を抑制する。
【0036】次に、RI ,RDF,RDSなどの第1の電圧
以上で発生する微分抵抗が存在することが、寄生インダ
クタンスとの共振現象を抑制し、さらにこれらの微分抵
抗の値には共振を抑制するための最も効果的な範囲のあ
ることについて説明する。説明は、図4(c)の等価回
路を用いて行う。
【0037】第1の電圧値以上での微分抵抗RI が共振
現象を抑制する効果を発揮するのは、抵抗RI がIGB
Tが基本的に有しているコンデンサCI のインピーダン
ス以下になるときである。すなわち、図4(b)の等価
回路の共振周波数をωとすると、 RI ≦1/ωCI …(数1) が成立すればよい。また、RI の値は配線の電気抵抗R
より小さい範囲では、Rが持つ共振現象の抑制効果より
も小さくなるため、この範囲ではRI の意味がない。つ
まり、RI はRよりも大きい必要がある。したがって、
I が共振現象を効果的に抑制するためには、 R≦RI≦1/ωCI …(数2) であることがよい。
【0038】共振周波数ωは、具体的には図4(b)か
ら求められる。共振周波数ωはRIの上限を決めるもの
であるから、ωを求める場合、配線の抵抗Rは無視でき
る。つまり、微分方程式 LL(dir/dt)+LL(dic/dt)+(1/CI)∫icdt=0 …(数3) (1/CI)∫icdt=ir・RI …(数4) を解くことによって求められる。上記の微分方程式を解
くと共振周波数ωは、 ω=[1/(LL・CI)−(1/4){1/(RI・CI)}2]1/2 …(数5) となる。これを(2)式に代入することによって、RI
は R≦RI≦{(5/4)・(LL/CI)}1/2 …(数6) であることがよい。
【0039】以上のように、図1に示した電流・電圧特
性は、過電圧の発生や共振現象の抑制に効果的であるこ
とを示した。次に、図1の電流・電圧特性を実現するた
めの具体的実施例について説明する。
【0040】図5は、図1の回路におけるIGBTの特
性を実現する、IGBTおよびこれに接続される過電圧
保護回路を有する半導体回路を示す。この図では、スイ
ッチング素子がIGBTであるが、本実施例はIGBT
に限定されることはなく、他の飽和特性を示すスイッチ
ング素子、例えばMOSFETなどでもよい。本実施例は、抵
抗とアバランシェダイオードからなる過電圧保護回路か
ら構成され、アバランシェダイオードZD1とZD2の
降伏電圧をそれぞれV1 とV2 とすると、V1≦V2
関係が成り立つように降伏電圧が設定されている。ま
た、ZD3はIGBTのゲート電極に高電圧が印加されるの
を防止するため組み込まれたものであって、アバランシ
ェ電圧はゲート電極とエミッタ電極間の耐圧以下に設定
される。数百Vから数千V耐圧のIGBTの場合、例え
ば30V程度に設定されることが望ましい。
【0041】ゲートドライブ回路からのゲート信号がI
GBTのしきい値以下になると、IGBTはオフ状態に
移行し、IGBTのコレクタ電圧が増加する。コレクタ
電圧がアバランシェダイオードZD1の降伏電圧V1
なると、ZD1に電流が流れ、図中のA点の電圧VA
増加する。この電圧は、IGBTのしきい値電圧分の電
圧が加算された後、トランジスタで構成されたバッファ
アンプ及びダイオードを通してIGBTに印加されるた
め、コレクタ電圧VC がV1 になるとコレクタ電流が流
れることになる。尚、加算回路はどのような構成のもの
であってもよく、例えば良く知られたようなオペアンプ
を使用した加算回路でもよい。また、トランジスタは、
過電圧保護装置の出力インピーダンスを下げ、IGBT
を制御するためのゲート制御能力を高めるものであっ
て、十分な制御能力があれば他の素子で代用してもよ
い。
【0042】本実施例発明では、A点の電圧VA は抵抗
R1とR3の分割比で決まり、コレクタ電圧をVC とす
ると、 VA={R3/(R1+R3)}・VC=α・VC …(数7) となる。したがって、ゲート電圧VG は、 VG=VA+Vth={R3/(R1+R3)}・VC+Vth=α・VC+Vth …(数8) つまり、本発明では、コレクタ電圧VC がV1 を越えた
後のIGBTのゲート電圧VG の増加割合を抵抗分割比
αを変えることで制御でき、かつαを小さくすることで
ゲート電圧の増加割合を小さくすることができるため、
従来のダイナミッククランプ方式のようにゲート電圧が
急激に増加することはない。IGBTのコレクタ電流の
飽和値Icsatは、 Icsat=g(VG−Vth)2 …(数9) で表される。ここでgは、素子の構造によって決定され
る定数である。(数9)に、(数8)を代入すること
で、 Icsat=g・α2・Vc 2 …(数10) が得られる。本発明では、αを抵抗分割比で自由に決定
でき、この値を十分に小さくすることで、コレクタ電圧
C に対して緩やかに増加するコレクタ電流を得ること
ができる。
【0043】コレクタ電圧がさらに増加し、アバランシ
ェダイオードZD2がアバランシェ降伏する電圧V2
なると、ZD2が導通状態になり、A点の電圧の増加割
合が大きくなる。V2 以後のA点の電圧VA は、 VA=[R3/{(R1・R2)/(R1+R2)+R3]]・VC=β・VC …(数11) となり、コレクタ電流は Icsat=g・β2・Vc 2 …(数12) となる。抵抗分割比で決まるαとβには、必ずα≦βの
関係が成立するため、コレクタ電圧V2 以後のコレクタ
電流の増加割合は、V1 とV2 間の増加割合よりも大き
くなり、図1の電圧電流特性が実現される。尚、図5に
示した回路にはスナバ回路が含まれていないが、スナバ
回路を含む回路構成であってもなんら問題がない。
【0044】図1の実施例において、ダイオードとして
用いることができる回路の具体例およびスイッチング素
子として用いることができる回路の具体例を図6に示
す。図6(a),(c),(d)の各回路は図1におけるダ
イオードとして用いることができるとともに、(e)の
ように通常のIGBTに並列に接続することにより図1
におけるスイッチング素子として用いることができる。
【0045】図6(a)はアバランシェダイオードと抵
抗で構成された一実施例で、図6(b)はそのAとB端
子間の電流・電圧特性である。図6(a)において、ア
バランシェダイオードZD61のアバランシェ降伏電圧
はV1 に、またアバランシェダイオードZD62のそれ
はV2 に設定されている。A−B端子間の電圧VがV1
になるとZD61に電流が流れるが、抵抗R61によっ
て制限を受けるために、A−B間の電流Iの増加割合は
緩やかである。A−B端子間の電圧Vがさらに増加し
て、V2 になるとZD62に電流が流れ出し、電流Iは
急激に増大する。以上のように、図6(a)の回路にお
いても図1のような電流・電圧特性が得られる。尚、説
明は省略するが、図6(c)においても同様に(b)の
ような特性が得られる。
【0046】また、本実施例では、V1 とV2 間の微分
抵抗よりも小さければV2 後に0よりも大きな微分抵抗
を持ってもよく、例えば図6(d)の構成でもよい。ただ
し、R61≧R62であることが必要である。並びに、
図6(d)において、ZD62のアノード端子がR61と
ZD61の接続点に接続された構成でもよい。さらに、
図6(e)に示したように、これらの抵抗とアバランシ
ェダイオードから構成された回路が、他の素子や回路、
例えばIGBTなどのスイッチング素子やダイオードに
並列に接続された構成の回路でもよいのは当然である。
【0047】図1の電流・電圧特性は、スイッチング素
子やダイオードなどの半導体素子自身の構造で実現する
ことも可能である。この一実施例を図7に示す。図7
(a)は本発明を適用したスイッチング素子であるIG
BT、図7(b)はその動作を説明するための図であ
る。本IGBTにおいては、コレクタ側がいわゆる短絡
エミッタ構造を有している。
【0048】ゲート電圧がしきい値電圧以下のとき、I
GBTのコレクタ電極76に正の電圧を印加すると、p
+ 導電型の半導体領域75とN- 導電型の半導体層79
との接合部J1より空乏層791がコレクタ電極76側
に向かって広がる。空乏層791は、p+ 導電型の半導
体層75がN+ 導電型の半導体層76よりも突出してい
るので、空乏層791はまずp+ 導電型の半導体層75
に到達する。空乏層791がコレクタ電極76側のp+
導電型の半導体層75に到達すると、半導体層75から
正孔792がエミッタ電極73側に向かって流れ出す。
つまり、空乏層791がp+ 導電型の半導体層75に到
達する電圧をV1 とすると、この電圧で電流が流れ出す
ことになる。
【0049】コレクタ電圧がさらに増加すると、p+ 導
電型の半導体領域から注入される正孔の量が増加し、コ
レクタ電流が次第に増加する。正孔792は空乏層内で
最も電界の大きいJ1接合付近で電子と正孔を発生させ
るため、正孔792の量がある値に達すると、発生した
電子と正孔がさらに空乏層内で電子と正孔を発生させ、
電子と正孔が急激に増大する、いわゆるアバランシェ降
伏が発生する。このアバランシェ降伏の発生するコレク
タ電圧がV2 である。
【0050】このように、本実施例でも図1の電流・電
圧特性が得られ、本発明の素子を用いることで電流と電
圧の共振現象の抑制と過電圧の発生を防ぐことができ
る。尚、74と76はN+ 導電型の半導体層、72は酸
化シリコンなどの絶縁膜である。
【0051】図8は本発明を適用したスイッチング素子
の他の実施例を示す。本実施例も、図7の実施例と同様
の短絡エミッタ構造を有している。この素子は、ゲート
電極83にしきい値電圧以上の電圧を印加したとき、N
+ 導電型の半導体層841,N+ 導電型の半導体層84
2,N+ 導電型の半導体層843とN- 導電型の半導体
層89がn型反転層でつながり、N+ 導電型の半導体層
843から電子が、P+ 導電型の半導体層87から正孔
が、それぞれN- 導電型の半導体層89に注入されるこ
とによってターンオン動作が行われる。ゲート電極83
の電圧がしきい値電圧以下になると、n型反転層が閉じ
電子の注入がなくなり、同時に正孔の注入も止まり、素
子8はオフ状態となる。
【0052】ところで、本実施例のスイッチング素子8
がオフ状態の時、アノード電極88に正の電圧を印加す
ると、P+ 導電型の半導体層85とN- 導電型の半導体
層89の接合J82およびP+ 導電型の半導体層82と
N- 導電型の半導体層89の接合J81から空乏層がア
ノード電極88側に向かって広がる。空乏層がP+導電
型の半導体層87に到達すると正孔がカソード電極側8
32に向かって注入され、アノード電圧の上昇とともに
注入量が増加する。すなわちアノード電流が増加する。
アノード電圧がV2 に到達すると、図7の実施例と同様
に注入された正孔によって接合J81付近でアバランシ
ェ降伏が発生し、アノード電流は急激に増大する。この
ように、本実施例でも図1の電流・電圧特性が得られ、
本実施例の素子を用いることで電流と電圧の共振現象の
抑制と過電圧の発生を防ぐことができる。
【0053】図9(a)は、本発明を適用したダイオー
ドの実施例である。本発明のダイオード9に逆方向電
圧、つまりカソード電極96側に正の電圧を印加する
と、P+導電型の半導体層92とN- 導電型の半導体層
97との接合J91から空乏層がカソード電極96側に
向かってひろがり、空乏層がP+ 導電型の半導体層95
に到達する逆方向電圧V1 になると、正孔がP+ 導電型
の半導体層95からアノード電極91側に向かって注入
される。正孔の注入量はカソード電圧の増加とともに増
大し、カソード電圧がV2 に到達すると注入された正孔
によって接合J91付近でアバランシェ降伏が発生し、
カソード電流が急激に増大する。このように、本実施例
でも図1の電流・電圧特性が得られ、本実施例の素子を
用いることで電流と電圧の共振現象の抑制と過電圧の発
生を防ぐことができる。尚、電圧V2以上では、アバラ
ンシェ降伏が発生するが、このアバランシェ降伏は、従
来の素子のように、耐圧的に最も弱い周辺部で発生する
わけでなく、素子の内部で発生することから、V2 以上
の電圧を印加して素子を駆動してもよい。
【0054】図9(b)は図9(a)のダイオードの特
性の計算結果の一例であり、逆方向電流が流れない範囲
(VB =0〜2300V)と逆方向電流が緩やかに増加
する領域(VB =2300V〜3300V)と逆方向電
流が急激に増加する領域(VB =3300V)が得られ
ている。J91接合とJ92接合の距離は400μm、
N- 導電型の第1の半導体層97の不純物密度は1.9
×1013cm-3,P+導電形の半導体領域95とN+ 導電
型の半導体層94の面積比は1:2である。また、図
7,図8,図9の実施例において、図7ではコレクタ電
極78側、図8ではアノード電極88側、図9ではカソ
ード電極96側の、P+ 導電型の半導体層とN+ 導電型
の半導体層は図のように限定されるものではなく、例え
ばN+導電型の半導体層がP+ 導電型の半導体層より
も、図7ではエミッタ電極73側、図8ではカソード電
極832側、図9ではアノード電極91側に近い構造で
あってもよい。この場合、図の構造の素子よりも、電圧
1 以後に流れ出す電流の増加の割合大きくなる。つま
り微分抵抗の値を小さくできる。また、P+ 導電型の半
導体層が占める領域を大きくし、N+ 導電型の半導体層
の領域を少なくすることでも、微分抵抗を小さくでき
る。このように、これらの素子では、P+ 導電型の半導
体層とN+ 導電型の半導体層を調整することで、希望の
微分抵抗を得ることができる。
【0055】ところで、図7,図8,図9の実施例にお
いて、空乏層がP+ 導電型の半導体層に到達して電流が
流れる現象をパンチスルーという。本発明においては、
パンチスルー現象が発生する阻止方向電圧VP がパンチ
スルー電流が流れない構造の素子のアバランシェ降伏電
圧VBOより小さいことが必要がある。なぜなら、VP
BO ではパンチスルー電流が流れる前にアバランシェ
降伏が起きるからである。次にパンチスルー電圧VP
アバランシェ降伏電圧VBOよりも小さくなる条件につい
て説明する。尚、ここで示す電圧VP は、これまでの説
明で使用してきたV1 に対応する。また、接合J1とは
図7ではJ1,図8ではJ81,図9ではJ91に相当
する。
【0056】空乏層内で電界が最大になるのはJ1接合
の接合点であることから、アバランシェ降伏電圧VBO
この点での電界εにより決定される。J1接合の接合点
での電界εは ε=q・Q/εs …(数13) で求められる。ここで、qは電子の電荷量、QはJ1接
合を中心に二方向に広がる空乏層のうち、一方の空乏層
内に存在する単位面積当たりの不純物量、εs は半導体
材料の誘電率である。例えばダイオードが図2のような
構造であった場合、空乏層がp+ 導電形の半導体領域2
5に到達するまでの、言い換えるとn- 導電形の半導体
領域の不純物量(単位面積当たり)をQP とすれば、空
乏層がP+導電形の半導体領域に到達する(パンチスル
ー点)時点での、J1接合での電界εP は εP=q・(QP)/εs …(数14) となる。パンチスルー電流が流れない構造のダイオード
では、J1接合付近での電界がアバランシェ降伏を引き
起こす電界εm に達したときにアバランシェ降伏が発生
する。したがって、図1に示した阻止方向電流・電圧特
性(アバランシェ降伏電圧以下でパンチスルー電流が流
れる)は、数14で示されるパンチスルー時のJ1接合
での電界εP が電界εm より小さいときに得られ、 εP=q・(QP)/εs≦εm …(数15) ゆえに、パンチスルー電圧VP がアバランシェ降伏電圧
BOより小さくなるためには、J1接合とJ2接合間の
n- 導電形の半導体領域の不純物量QP が QP≦(εm)・(εs)/q …(数16) であればよい。シリコンを一例としてQP の値を求める
と、εm=3×105(V/m),εs=1.054×10
-12(F/cm),q=1.602×10-19(C)であること
から、 QP≦1.974×1012(cm-2) …(数17) を満足すればよい。
【0057】本発明の阻止方向電流・電圧特性の一例が
得られている図9のダイオードでQPを求めると、J9
1接合とJ92接合の距離が400μm、N-導電型の
第1の半導体層97の不純物密度が1.9×1013cm-3
であることから、QP =1.9×1013cm-3×400μ
m=7.6×1011(cm-2)となり(数17)を満足して
いる。
【0058】図10は、本発明の他の実施例の素子の断
面図である。図7〜図9の素子では、電流は、図で示し
た状態において上下方向に流れる。しかし、本発明は、
このような構造の素子だけでなく、図10のような水平
方向に電流が流れる素子においても有効である。図10
(a)はIGBT、また(b)はダイオードである。図
10(a)のIGBTは、次のように動作する。IGBT10
をオン状態にするためには、ゲート電極Gにエミッタ電
極Eに対してしきい値電圧以上の正の電圧を印加する。
このとき、p型半導体領域104の表面がn型に反転
し、n型半導体領域102とn- 導電型の半導体領域1
06が接続され、領域102から領域106へ向かって
電子が流れる。この電子はP+ 導電型の半導体領域10
5から正孔を引き出し、この正孔は領域104を通って
エミッタ電極へ流れ、IGBT10はオン状態になる。また、
オフ状態にするためには、ゲート電極Gに負の電圧を印
加する。負にすることでn+ 型半導体領域102からの
電子注入が止まり、IGBT10はオフ状態になる。
【0059】このような素子において、本発明はN+ 型
半導体領域103を有し、またオフ状態の時に接合J1
01付近でのアバランシェ降伏電圧よりも低い電圧で、
接合J101から広がる空乏層がP+ 型半導体領域10
5へ到達することを特長とする。つまり、P+ 導電型の
半導体領域104とP+ 導電型の半導体領域105との
間のN- 導電型の半導体領域106の不純物総量が(数
17)を満足することである。この構造のIGBTでも
図1に示した素子方向電流・電圧特性を示すことは容易
に理解できることから詳細は省略するが、空乏層がJ1
02に到達する電圧がV1 で有り、領域105から注入
される正孔により接合J101付近でアバランシェ降伏
が生じる電圧がV2 である。
【0060】図10(a)では、P+ 導電型の半導体領
域105をP+ 導電型の半導体領域104とN+ 導電型
の半導体領域103の間に設けた構造になっているが、
本発明はこのような配置に特定されるわけでなく、領域
104と105の間に領域103が配置された構造でも
よい。また、図では、P+ 導電型の半導体領域105の方
がN+ 導電型の半導体領域103よりも接合が深い構造
(領域105の方が領域103よりもN+ 導電型の半導
体領域108に近くなる構造)でもよい。この場合、空
乏層が広がるN- 導電型の半導体領域106がより低抵
抗でコレクタ電極Cに接地されるため、空乏層が接合J
102に到達する電圧V1 以上での電流の増加割合(微
分抵抗)が、図で示した構造よりも小さくなる。このこ
とは、P+ 導電型の半導体領域105とN+ 導電型の半
導体領域103の接合深さ関係を調整することで、電圧
1 以上での微分抵抗を任意に調整できることを意味
し、応用回路構成に最も適した微分抵抗の素子が提供で
きることを意味する。
【0061】また、図10において、領域107は電気
的絶縁領域であるが、N- 導電型の半導体層106が、
J101とJ102間のN- 半導体領域の距離よりも十
分に広ければ、この領域を設ける必要はない。この場合
はN- 導電型の半導体層106のN+ 導電型の半導体層1
08側の領域が電気的絶縁領域として機能する。
【0062】図10(b)に示す構造のダイオードにお
いて、順方向電流は、アノード電極A,P+ 導電型の半
導体領域1012,N- 導電型の半導体領域1013,
N+導電型の半導体領域1010、およびカソード電極
Kを通して電流が流れる。本ダイオードにおいては、本
発明はP+ 型半導体領域1011を有し、アノード電極
Aに対しカソード電極に正の電圧が印加される阻止状態
の時に接合J103付近でのアバランシェ降伏電圧より
も低い電圧で、接合J103から広がる空乏層がP+ 型
半導体領域1011へ到達することを特長とする。本構
造のダイオードにおいても空乏層がP+ 導電型の半導体
層1011に到達するときの電圧が図1におけるV1
あり、電圧V1 以上で領域1011から注入される正孔
により接合J103付近でアバランシェ降伏が発生する
電圧がV2 である。
【0063】尚、図10(b)の構造のダイオードにお
いても、P+ 導電型の半導体領域1011とN+ 導電型
の半導体領域1010の接合深さは図に示した関係に特
定されるわけでなく、P+ 導電型の半導体領域1011
の方がN+ 導電型の半導体領域1010より深くてもよ
い。尚、この場合の阻止方向電流・電圧特性への影響は
前記図10(a)の場合と同様なので、ここでは説明を
省略する。領域1014は電気的絶縁層であり、これについ
ても(a)と同様である。
【0064】図11は、図3(a)の回路を三相誘導電
動機のインバータ回路として配置した実施例である。2
個のスイッチング素子(例えばIGBT11とIGBT12)が直列
に接続されている。また、それぞれのスイッチング素子
にはフライフォイールダイオードDF が並列に接続され
ている。さらに、それぞれのスイッチング素子には、ス
イッチング時の急激な電圧の上昇からスイッチング素子
を保護するために、いわゆるスナバ回路Sが並列に接続
されている。このスナバ回路はダイオードDSと抵抗R
S の並列接続回路にコンデンサCS を直列に接続したも
のである。各相における2個のスイッチング素子の接続
点は、それぞれ交流端子T3,T4,T5に接続される。
各交流端子に三相誘導電動機が接続される。上アーム側
のスイッチング素子のアノード端子は3個とも共通であ
り、直流端子T1 において直流電圧源の高電位側と接続
されている。下アーム側のスイッチング素子のカソード
電極は3個とも共通であり直流端子T2 において直流電
圧源の低電位側と接続されている。このような構成の装
置において各スイッチング素子のスイッチングにより直
流を交流に変換し、三相誘導電動機を駆動する。
【0065】図11のインバータ回路の動作は、図3
(a)の回路の動作説明から容易に理解できるので、回
路動作の説明は省略する。尚、当然のことであるが、こ
の回路の中に使用されているスイッチング素子であるI
GBT、スナバダイオードDSおよびフライフォイール
ダイオードDF は前記図1の阻止方向電流・電圧特性を
示す素子で、具体的構造は前記図7〜図10で示してき
たものであり、各素子の遮断時に印加される電圧は必要
に応じて電圧値V1 以上になるように回路定数が設定さ
れている。そのため、本実施例のインバータ回路におい
ても、電圧V1 の微分抵抗により、電圧と電流の共振現
象が抑制され回路の誤動作や電磁ノイズが大幅に低減で
きるとともに、過電圧の発生を抑制できる。
【0066】尚、本実施例の電力変換回路はスナバ回路
を含んだ構成になっているが、主回路配線が有する寄生
インダクタンスLL に蓄えられたエネルギーの総てをス
イッチング素子あるいはフライフォイールダイオードが
消費しても、それらが発熱で熱的に破壊しないような放
熱装置を有する電力変換器であれば、スナバ回路は必ず
しも必要でない。図11の実施例の最も有利な点は、従
来の電力変換装置の回路構成を変更せずに、半導体素子
のみを本発明の半導体素子に変えるだけで、電磁ノイズ
や過電圧を大きく抑制できることである。
【0067】尚、本発明の電力変換装置は上記実施例の
回路構成だけに有効なわけではなく、阻止状態の時の印
加電圧V1 以上で電流が流れ、さらに電圧がV2 になる
と急激に電流が流れ出す構造の半導体素子を用いた、総
ての回路で効果が得られる。また、本発明を適用した電
力変換装置に用いられるダイオードについても、本実施
例の中で説明してきた構造に限られるわけではなく、阻
止状態の時に印加される電圧がV1 になると緩やかに電
流が流れ出し、V2 になると前記電圧V1 とV2 の間の
電流の増加率よりも大きく電流が増加する構造であれば
よい。また、上記半導体素子において、P導電形とN導
電形の半導体領域は逆になってもよいことは当然であ
る。この場合、空乏層は主にP- 導電型の半導体中に広
がることになる。
【0068】図12は、図5の回路を三相誘導電動機の
インバータ回路として配置した実施例である。2個のス
イッチング素子が直列に接続されている。また、それぞ
れのスイッチング素子にはフライフォイールダイオード
F が並列に接続されている。さらに、それぞれのスイ
ッチング素子には、スイッチング時の急激な電圧の上昇
からスイッチング素子を保護するために、いわゆるスナ
バ回路Sが並列に接続されている。各スイッチング素子
のゲート電極には、ゲート駆動回路及び過電圧保護回路
が接続されている。
【0069】各相における2個のスイッチング素子の接
続点は、それぞれ交流端子T3,T4,T5 に接続され
る。各交流端子に三相誘導電動機が接続される。上アー
ム側のスイッチング素子のアノード端子は3個とも共通
であり、直流端子T1 において直流電圧源の高電位側と
接続されている。下アーム側のスイッチング素子のカソ
ード電極は3個とも共通であり直流端子T2 において直
流電圧源の低電位側と接続されている。このような構成
の装置において各スイッチング素子のスイッチング動作
により直流を交流に変換し、三相誘導電動機を駆動す
る。
【0070】図12のインバータ回路の動作は、図5の
回路の動作説明から容易に理解できるので、回路動作の
説明は省略する。尚、当然のことであるが、この回路の
中に使用されている過電圧保護回路およびゲート駆動回
路の具体的回路構成は前記図5で示してきたものであ
り、過電圧保護回路はスイッチング素子の主端子間の電
圧値に応じてゲート電圧を制御する。本過電圧保護回路
はスイッチング素子の主端子間の阻止方向電圧がV1
上で電流が緩やかに増加し、またV2 以上ではV1 とV
2 間の電流増加速度以上で電流が増加するようにスイッ
チング素子を制御するため、本実施例のインバータ回路
においても、電圧V1 の微分抵抗により、電圧と電流の
共振現象が抑制され回路の誤動作や電磁ノイズが大幅に
低減できるとともに、過電圧の発生を抑制できる。
【0071】尚、本実施例のインバータ回路はスナバ回
路を含んだ構成になっているが、主回路配線が有する寄
生インダクタンスLL に蓄えられたエネルギーの総てを
スイッチング素子あるいはフライフォイールダイオード
が消費しても、それらが発熱で熱的に破壊しないような
放熱装置を有する電力変換装置であれば、スナバ回路は
必ずしも必要でない。図12の実施例の最も有利な点
は、従来の電力変換装置へ本発明の過電圧保護回路を付
加するだけで、電磁ノイズや過電圧を大きく抑制できる
ことである。また、過電圧保護回路中のアバランシェダ
イオード(ZD1,ZD2,ZD3)の降伏電圧や抵抗
(R1,R2,R3)の値を変えることだけで、電流が
緩やかに増加する電圧V1 ,電流が急激に増加する電圧
2 、あるいはV1 とV2 間の微分抵抗、さらにはV2
以上での抵抗などの阻止方向特性が自由に変えられるこ
とも大きな特徴である。
【0072】図13は、図6の回路をインバータ回路に
応用した実施例である。電力変換装置の基本的構成は、
図11および図12と同様なのでここでは説明を省略す
る。本実施例の電力変換装置は、図6で示したアバラン
シェダイオードZD61,ZD62および抵抗R61か
らなる回路がスイッチング素子と並列に接続された構成
になっている。
【0073】図13のインバータ回路の動作は、図6の
回路の動作説明から容易に理解できる。アバランシェダ
イオードZD61,ZD62および抵抗R61からなる
回路は、図6で説明したようにスイッチング素子が阻止
状態の時に加わる電圧が、V1 になると緩やかに電流が
流れ出し、V2 以上になるとそれ以上に急激に電流が流
れる特性を示すため、V1 以上の電圧で発生する微分抵
抗により、電圧と電流の共振現象を抑制し回路の誤動作
や電磁ノイズの発生を大幅に低減する。また、V2 以上
では電流が急激に増加するため、素子にV2 を大きく上
回る電圧が印加されるのを防止する。
【0074】尚、本実施例の電力変換装置はスナバ回路
を含んだ構成になっているが、主回路配線が有する寄生
インダクタンスLL に蓄えられたエネルギーの総てをス
イッチング素子あるいはフライフォイールダイオードが
消費しても、それらが発熱で熱的に破壊しないような放
熱装置を有している電力変換器であれば、本発明の電力
変換装置でスナバ回路は必ずしも必要でない。図13の
実施例の最も有利な点は、従来の電力変換装置へアバラ
ンシェダイオードと抵抗からなる極めて簡単な回路を付
加するだけで、電磁ノイズや過電圧を効果的に抑制でき
ることである。また、アバランシェダイオード(ZD6
1,ZD62)の降伏電圧や抵抗R61の抵抗値を変え
ることだけで、電磁ノイズや過電圧の抑制効果を自由に
変えられることも本実施例の大きな特徴である。尚、ア
バランシェダイオードと抵抗からなる回路は、図13
(b)と(c)で示した構成でもよい。
【0075】以上で述べてきた本発明の実施例では、第
1の電圧値V1 以上での微分抵抗は一定である必要はな
く、電圧とともに変化してもよい。この場合、電圧の増
加ともに緩やかに微分抵抗が減少する特性であればさら
によい。尚、第1の電圧値V1 以上での微分抵抗は、第
1の電圧V1 以上の総ての電圧範囲で上記(数2)を満
たすことが望ましいが、これにとらわれることはなく少
なくとも任意の電圧値で満足すればよい。
【0076】さらに、本発明で、電流が緩やかに流れ出
す阻止方向電圧V1 は、その装置に定常的に印加される
電圧(一般に電源電圧)より5%から20%程度大きい
電圧に設定されることが良く、また、電流が急激に流れ
出す電圧V2 は定常的に印加される電圧より50から1
00%程度大きい電圧に設定されることが好ましい。前
者の理由は、V1 が定常的に印加される電圧より小さく
なると、装置のスイッチング動作以外の時点でも定常的
に阻止方向電流が流れ、大きな損失が発生することによ
る。また、後者の理由は、V2 をあまり大きくし過ぎる
と、装置自身や装置に並列に接続される他の装置の耐圧
を必要以上に高くしなければならないという弊害が生じ
ることによる。
【0077】本発明の説明において、アバランシェダイ
オードという言葉を用いて説明をしたが、これはツェナ
ーダイオードやバリスタのような、ある規定された電圧
で電流が急激に流れ出す素子であってもよいことは当然
である。重要なことは、ある電圧までは電流がリーク電
流が流れるだけで、ある電圧になると急激に電流が増加
する構造の素子であればよい。
【0078】さらに、本発明はインバータ回路に限ら
ず、コンバータ回路やチョッパー回路などの各種電力変
換装置および電力制御装置、並びに各種のスイッチング
電源などにも適用できる。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
回路中のインダクタンスなどに蓄えられたエネルギーを
回路または半導体素子の微分抵抗で消費できるので、回
路または半導体素子が遮断状態に移行するときに発生す
る電磁ノイズや過電圧の発生を防止できる。従って、電
磁ノイズによる回路の誤動作や過電圧による回路部品の
破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した半導体回路または半導体素子
の阻止状態の電流・電圧特性を示す図である。
【図2】本発明を説明するための図で、(a)は本発明
を実施した回路、(b)は回路各部における電流と電圧
の波形である。
【図3】本発明を説明するための図で、(a)は本発明
を実施した他の回路、(b)は回路各部における電流と
電圧の波形である。
【図4】本発明の効果を説明するための回路図である。
【図5】図1の回路におけるIGBTの特性を実現す
る、IGBTおよびこれに接続される過電圧保護回路を
有する半導体回路を示す図である。
【図6】(a)はアバランシェダイオードと抵抗で構成
された一実施例を示し、(b)はそのAとB端子間の電
流・電圧特性を示す。(c),(d)及び(e)は、(a)
に示した実施例を変形した構成を示す。
【図7】(a)は本発明を適用したスイッチング素子で
あるIGBTを示し、(b)はその動作を説明するため
の図である。
【図8】本発明を適用したスイッチング素子の他の実施
例を示す。
【図9】(a)は本発明を適用したダイオードを示し、
(b)はその特性の計算結果の一例である。
【図10】本発明を適用した他の実施例の素子の断面図
であり、(a)はIGBTを示し、(b)はダイオード
を示す。
【図11】図3(a)の回路をインバータ回路として配
置した実施例。
【図12】図5の回路をインバータ回路として配置した
実施例。
【図13】図6の回路をインバータ回路に応用した実施
例。
【符号の説明】
1 …電流が緩やかに増加し始める第1の電圧値、V2
…電流が急激に増加し始める第2の電圧値、VC …IG
BTのコレクタ電圧、II …IGBTのコレクタ電流、
D …フライフォイールダイオードのカソード電圧、I
D …フライフォイールダイオードのカソード電流、VDS
…スナバダイオードの端子間電圧、IDS…スナバダイオ
ードの端子間電流、7…IGBT、8…半導体素子、9
…ダイオード、RS …スナバ抵抗、CS …スナバコンデ
ンサ、DS …スナバダイオード、101…三相誘導電動
機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 新 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 坂野 順一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 森 睦宏 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 平5−82807(JP,A) 特開 昭50−16483(JP,A) 特開 昭49−74862(JP,A) 特開 平4−115715(JP,A) 特開 平3−208410(JP,A) 特開 平2−25107(JP,A) 特開 平8−316501(JP,A) 特開 平9−47013(JP,A) 実開 昭50−133872(JP,U) 特公 昭46−2707(JP,B1) 岡部豊比古他,トランジスタとICの ための電子回路上巻,マグロウヒル好学 社,1978年12月15日,10版,第19頁図 2.3−3 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 17/00 - 17/70 H01L 29/00 - 29/96

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に設けられる第2導電型の第2の半導体
    層と、 第2の半導体層に隣接する第1導電型の第3の半導体層
    と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第4の半導体層
    と、 第1の半導体層および第4の半導体層に隣接する第1導
    電型の第5の半導体層と、 第2の半導体層および第3の半導体層にオーミック接触
    する第1の主電極と、 第4の半導体層および第5の半導体層にオーミック接触
    する第2の主電極と、 第1の半導体層第2の半導体層および第3の半導体層
    にまたがって設けられる絶縁ゲート電極と、を有し、 第1の半導体層と第4の半導体層の接合部が、第1の半
    導体層と第5の半導体層の接合部よりも、第1の半導体
    層と第2の半導体層の接合部に近い位置に在ることを特
    徴とする半導体素子。
  2. 【請求項2】第1導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に設けられる第2導電型の第2の半導体
    層と、 第2の半導体層に隣接する第1導電型の第3の半導体層
    と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第4の半導体層
    と、 第1の半導体層および第4の半導体層に隣接する第1導
    電型の第5の半導体層と、 第2の半導体層および第3の半導体層にオーミック接触
    する第1の主電極と、 第4の半導体層および第5の半導体層にオーミック接触
    する第2の主電極と、 第1の半導体層第2の半導体層および第3の半導体層
    にまたがって設けられる絶縁ゲート電極と、を有し、 第1の半導体層と第2の半導体層の接合部と、第1の半
    導体層と第4の半導体層の接合部との間において、第1
    の半導体層の単位面積当たりに含まれる第1導電型の不
    純物量が、第1の半導体層の材料のアバランシェ降伏電
    界をεm 、誘電率をεs 、電子の電荷量をqとすると
    (εm)・(εs)/q以下であることを特徴とする半導
    体素子。
  3. 【請求項3】第1導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に設けられる第2導電型の第2の半導体
    層および第3の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する第1導電型の第4の半導体層
    および第5の半導体層と、 第3の半導体層に隣接する第1導電型の第6の半導体層
    と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第7の半導体層
    と、 第1の半導体層および第7の半導体層に隣接する第1導
    電型の第8の半導体層と、 第2の半導体層および第4の半導体層にオーミック接触
    する第1の主電極と、 第7の半導体層および第8の半導体層にオーミック接触
    する第2の主電極と、 第2の半導体層第4の半導体層および第5の半導体層
    にまたがって設けられる第1の絶縁ゲート電極と、 第1の半導体層第2の半導体層および第3の半導体層
    にまたがって設けられる第2の絶縁ゲート電極と、を有
    し、 第5の半導体層と第6の半導体層が電気的に接続され、
    第1の半導体層と第7の半導体層の接合部が、第1の半
    導体層と第8の半導体層の接合部よりも、第1の半導体
    層と第2の半導体層の接合部に近い位置に在ることを特
    徴とする半導体素子。
  4. 【請求項4】第1導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に設けられる第2導電型の第2の半導体
    層および第3の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する第1導電型の第4の半導体層
    および第5の半導体層と、 第3の半導体層に隣接する第1導電型の第6の半導体層
    と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第7の半導体層
    と、 第1の半導体層および第7の半導体層に隣接する第1導
    電型の第8の半導体層と、 第2の半導体層および第4の半導体層にオーミック接触
    する第1の主電極と、 第7の半導体層および第8の半導体層にオーミック接触
    する第2の主電極と、 第2の半導体層第4の半導体層および第5の半導体層
    にまたがって設けられる第1の絶縁ゲート電極と、 第1の半導体層第2の半導体層および第3の半導体層
    にまたがって設けられる第2の絶縁ゲート電極と、を有
    し、 第1の半導体層と第2の半導体層の接合部と、第1の半
    導体層と第7の半導体層の接合部との間において、第1
    の半導体層の単位面積当たりに含まれる第1導電型の不
    純物量が、第1の半導体層の材料のアバランシェ降伏電
    界をεm 、誘電率をεs 、電子の電荷量をqとすると
    (εm)・(εs)/q以下であることを特徴とする半導
    体素子。
  5. 【請求項5】第1導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第2の半導体層
    と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第3の半導体層
    と、 第1の半導体層および第3の半導体層に隣接する第1導
    電型の第4の半導体層と、 第2の半導体層にオーミック接触する第1の主電極と、 第3の半導体層および第4の半導体層にオーミック接触
    する第2の主電極と、を有し、 第1の半導体層と第3の半導体層の接合部は、第1の半
    導体層と第4の半導体層の接合部よりも、第1の半導体
    層と第2の半導体層の接合部に近い位置に在ることを特
    徴とするダイオード。
  6. 【請求項6】第1導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第2の半導体層
    と、 第1の半導体層に隣接する第2導電型の第3の半導体層
    と、 第1の半導体層および第3の半導体層に隣接する第1導
    電型の第4の半導体層と、 第2の半導体層にオーミック接触する第1の主電極と、 第3の半導体層および第4の半導体層にオーミック接触
    する第2の主電極と、を有し、 第1の半導体層と第2の半導体層の接合部と、第1の半
    導体層と第3の半導体層の接合部との間において、第1
    の半導体層の単位面積当たりに含まれる第1導電型の不
    純物量が、第1の半導体層の材料のアバランシェ降伏電
    界をεm 、誘電率をεs 、電子の電荷量をqとすると
    (εm)・(εs)/q以下であることを特徴とするダイ
    オード。
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