JP3439859B2 - 圧入ケーソン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧入ケーソンに係り、
さらに詳しくは圧入用ジャッキによりアンカ材を反力と
してケーソンを圧入し、沈設して行く圧入ケーソンに関
する。

【０００２】

【従来の技術】図９および図１０に、圧入用ジャッキに
よりアンカ材を反力してケーソンを圧入し、沈設する型
式の従来技術を示す。

【０００３】これらの図に示す従来技術では、次のよう
に施工している。 アンカ材４０をケーソン１の外側に配置し、その下
端部を地盤Ｇに固定する。 ケーソン１の上部に圧入用反力桁４１を架設し、こ
れの上部に圧入用ジャッキ４２を設置し、この圧入用ジ
ャッキ４２に前記アンカ材４０の上端部側を連結する。 ケーソン１の作業室２で、その底部の地盤Ｇを掘削
し、圧入用ジャッキ４２によりアンカ材４０を反力とし
てケーソン１を圧入し、沈設する。 ケーソン１を圧入沈設後、ケーソン１の上部の圧入
用反力桁４１を撤去し、ケーソン上部を構築する。 以上の〜の作業を繰り返して行い、ケーソン構
造物を地下深く沈設して行く。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来技術
には圧入用反力桁４１の架設，撤去作業工程に多大な時
間と労力を要する問題があり、圧入用反力桁４１を撤去
しなければ、ケーソン１を圧入後、ケーソン上部を構築
できないという問題もある。また、アンカ材４０をケー
ソン１の外側に配置しているので、ケーソン外部で苦渋
作業を行わなければならないという問題もあった。

【０００５】本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、アンカ材をケーソン圧入
の反力として利用する工法の利点をそのまま活かし、し
かも圧入用反力桁の架設，撤去作業を必要とせず、ケー
ソンの圧入，沈設作業をケーソンの内部で遂行でき、ニ
ューマチックケーソンの圧入，沈設に採用しても、作業
室スラブに設けられたアンカ材通し用の穴からの漏気を
的確に防止し得る圧入ケーソンを提供することにある。

【０００６】また、本発明の他の目的は、ケーソンの沈
設のための水荷重に影響されず、圧入，沈設作業を行い
得る圧入ケーソンを提供することにある。

【０００７】さらに、本発明の他の目的はニューマチッ
クケーソンの圧入，沈設に採用しても、作業室スラブの
上方に、圧入用ジャッキの操作用の大気圧の作業空間を
確保し得る圧入ケーソンを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、ケーソン１内の下部に形成された作業室
スラブ３に、互いに所定の間隔をおいて複数個のアンカ
通し用の穴４を設け、これらの穴４と同数配置されかつ
下端部を地盤Ｇに固定したアンカ材５を、前記穴４に貫
通させるとともに、各穴４とアンカ材５間の空隙部に、
かつ前記作業室スラブ３の上部から下部にわたって充填
材を注入しシールする密閉式アンカ通し装置７を設け、
前記作業室スラブ３上に前記アンカ材５を対応させて圧
入用ジャッキ２５を設置し、当該圧入用ジャッキ２５に
アンカ材５を連結し、ケーソン１の作業室２の底部の地
盤Ｇを掘削しながら圧入用ジャッキ２５によりアンカ材
５を反力としてケーソン１を地盤Ｇに圧入し、沈設する
ようにしたものである。

【０００９】また、前記目的を達成するため、本発明は
ケーソン１の沈設時に水荷重を利用する圧入ケーソンに
おいて、前記圧入用ジャッキ２５の周りをオープンシャ
フト３０または遮蔽トンネル３１で囲み、圧入用シャフ
ト２５の操作用の作業空間を確保するようにしたもので
ある。この場合、前記遮蔽トンネル３１にはマンロック
３２およびマンシャフト３３が連設されている。

【００１０】さらに、前記目的を達成するため、本発明
は、ケーソン１内の下部に形成された作業室スラブ３
に、互いに所定の間隔をおいて複数個のアンカ通し用の
穴４を設け、これらの穴４と同数配置されかつ下端部を
地盤Ｇに固定したアンカ材５を、前記穴４に貫通させる
とともに、各穴４とアンカ材５間の空隙部に、かつ前記
作業室スラブ３の上部から下部にわたって充填材を注入
しシールする密閉式アンカ通し装置７を設け、前記作業
室スラブ３上に前記アンカ材５を対応させて圧入用ジャ
ッキ２５を設置し、当該圧入用ジャッキ２５にアンカ材
５を連結し、これら圧入用ジャッキ２５が設置されてい
る空間の上部に、作業室スラブ３と平行に区画スラブ３
４を形成し、前記作業室スラブ３と区画スラブ３４間
に、圧入用ジャッキ２５の操作用の作業空間３５を設
け、ケーソン１の作業室２の底部の地盤Ｇを掘削しなが
ら圧入用ジャッキ２５によりアンカ材５を反力としてケ
ーソン１を地盤Ｇに圧入し、沈設するようにしたもので
ある。

【００１１】

【作用】本発明では、下端部を地盤Ｇに固定した複数本
のアンカ材５をケーソン１の作業室スラブ３に貫通させ
る。また、作業室スラブ３上に前記アンカ材５に対応さ
せて圧入用ジャッキ２５を設置し、当該圧入用ジャッキ
２５にアンカ材５を連結する。ついで、ケーソン１の作
業室２の底部の地盤Ｇを掘削しながら圧入用ジャッキ２
５によりアンカ材５を反力としてケーソン１を地盤Ｇに
圧入し、沈設する。

【００１２】このように、アンカ材５を作業室スラブ３
に貫通させ、このアンカ材５を反力としてケーソン１を
圧入し、沈設するようにしているので、圧入用反力桁の
架設，撤去作業を必要とせず、その分作業能率の向上、
および省力化を図ることができるし、沈設後、直ちにケ
ーソン上部の構築に移行することができる。

【００１３】また、ケーソン１の圧入，沈設作業を全て
ケーソン内部で行うことができるので、他の構造物に対
して近接施工が可能となる。

【００１４】しかも、アンカ材５を反力としてケーソン
１を圧入，沈設する工法の利点、つまり大深度掘削に
も、軟弱地盤でも沈設制御ができるので、施工精度が向
上し、工程管理を確実にできること、ニューマチックケ
ーソンを圧入することにより、従来ケーソンの沈下時に
起きていた周辺地盤の引き込みを押さえることができる
ため、周辺の地盤沈下を抑制できること、硬質の砂層，
砂礫層での圧力を最少限の先掘りで施工できる等の利点
をそのまま活かすことができる。

【００１５】さらに、本発明では作業室スラブ３にアン
カ材通し用の穴４を明け、この穴４とアンカ材５間の空
隙部にグリース等の充填材を注入し、密閉している。

【００１６】これにより、ニューマチックケーソンの圧
入，沈設において、作業室スラブ３に明けられたアンカ
材通し用の穴４からの圧縮空気の漏洩を的確に防止する
ことができるし、穴４からの漏気に起因する笛吹き音等
の騒音を防止することができる。

【００１７】また、本発明ではケーソン１の沈設時に水
荷重を利用する圧入ケーソンにおいて、圧入用ジャッキ
２５の周りをオープンシャフト３０または遮蔽トンネル
３１により囲み、圧入用ジャッキ２５の操作用の作業空
間を確保するようにしている。

【００１８】これにより、ケーソン沈設のための水荷重
に影響されず、圧入用ジャッキ２５を操作し、ケーソン
１の圧入，沈設作業を遂行できるし、圧入用ジャッキ２
５の操作を大気圧下で行うことができ、作業員を苦渋作
業から解放することができる。

【００１９】さらに、本発明では前記圧入用ジャッキ２
５が設置されている空間の上部に、作業室スラブ３と平
行に区画スラブ３４を形成し、これら作業室スラブ３と
区画スラブ３４間に、圧入用ジャッキ２５の操作用の作
業空間３５を設けている。

【００２０】その結果、ニューマチックケーソンの圧入
において、作業室スラブ３の上方に圧入用ジャッキ２５
の操作用の大気圧の作業空間３５を確保することができ
る。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００２２】図１〜図３はニューマチックケーソンに適
用した本発明の第１実施例を示すもので、図１は縦断正
面図、図２は平面図、図３は図１のＡ部の詳細を示す拡
大縦断面図である。

【００２３】これらの図に示す第１実施例では、ケーソ
ン１内の下部に形成された作業室スラブ３の下方に作業
室２が形成されている。

【００２４】前記作業室スラブ３には、この実施例では
円周方向に等間隔をおいてアンカ材通し用の穴４が４個
設けられている。各穴４には、アンカ材５を貫通させて
いる。また、作業室スラブ３上にはアンカ材通し用の各
穴４に対応する位置に、圧入用ジャッキ２５が設置され
ている。

【００２５】前記アンカ材５には、ＰＣ鋼線またはＰＣ
鋼棒等が用いられる。各アンカ材５は、下端部がアンカ
体６を介して地盤Ｇに固定されている。また、各アンカ
材５は前記穴４を通じて作業室スラブ３に貫通させたう
えで、アンカ材固定金物２６を介して当該圧入用ジャッ
キ２５に連結されている。

【００２６】前記アンカ材通し用の穴４とアンカ材５間
の空隙部は、密閉式アンカ通し装置７によりシールされ
ている。この密閉式アンカ通し装置７は、作業室スラブ
３の上下部に設けられたグリースタンク８，９と、フラ
ット部１４ａおよびスリーブ部１４ｂを有するパッキン
１４と、同じくフラット部１５ａおよびスリーブ部１５
ｂを有するパッキン１５と、アンカ材通し用の穴４内に
収納されたチューブ２２と、充填材であるグリース２４
とを装備している。前記グリースタンク８は、作業室ス
ラブ３の上面との間に、パッキン１４のフラット部１４
ａをはさんで、取り付け金具１０および取り付けボルト
１２により固定されている。前記アンカ材５とグリース
タンク８の上端部間の空隙は、他のパッキン１６により
封鎖されており、このパッキン１６は座板１８および取
り付けボルト２０によりグリースタンク８に固定されて
いる。前記グリースタンク９は、作業室スラブ３の下面
との間に、パッキン１５のフラット部１５ａをはさん
で、取り付け金具１１および取り付けボルト１３により
固定されている。前記アンカ材５とグリースタンク９の
下端部間の空隙は、他のパッキン１７により封鎖されて
おり、このパッキン１７は座板１９および取り付けボル
ト２１によりグリースタンク９に固定されている。前記
パッキン１４のスリーブ部１４ｂは、グリースタンク８
内に配置され、このグリースタンク８内を通るアンカ材
５の外周面に接し、この部分をシールしている。前記パ
ッキン１５のスリーブ部１５ｂは、グリースタンク９内
に配置され、このグリースタンク９内を通るアンカ材５
の外周面に接し、この部分をシールしている。前記チュ
ーブ２２は、ゴム等の弾力性を有する材料で形成され、
作業室スラブ３に設けられたアンカ材通し用の穴４内に
収められ、グリース２４が充填されたとき、穴４の周壁
に密着するようになっている。前記グリースタンク９に
は、ニップル２３が設けられている。このニップル２３
は、グリース供給装置（図示せず）に接続されていて、
このニップル２３を通じてグリースタンク９，チューブ
２２およびグリースタンク８内にグリース２４を供給
し、充填し、シールするようになっている。

【００２７】前記圧入用ジャッキ２５は、前記アンカ材
５を反力としてケーソン１を圧入し、沈設するようにな
っている。

【００２８】前記第１実施例にかかる圧入ケーソンは、
次のように沈設される。

【００２９】まず、ケーソン１を沈設すべき場所を余掘
りし、ケーソン１を設置する。

【００３０】前記ケーソン１の作業室スラブ３に予め設
けられたアンカ材通し用の各穴４に、密閉式アンカ通し
装置７のチューブ２２を収納し、作業室スラブ３の上面
にはスリーブ部１４ｂを有するパッキン１４およびグリ
ースタンク８を取り付け金具１０および取り付けボルト
１２により取り付け、作業室スラブ３の下面にはスリー
ブ部１５ｂを有するパッキン１５およびグリースタンク
９を取り付け金具１１および取り付けボルト１３により
取り付ける。

【００３１】そして、アンカ材通し用の各穴５およびこ
れに取り付けられた密閉式アンカ通し装置７にアンカ材
５を挿通し、作業室スラブ３に貫通させる。ついで、地
盤Ｇにアンカ材固定用の穴を掘削し、その穴にアンカ材
５を挿入し、アンカ体６を介してアンカ材５の下端部を
固定する。

【００３２】また、アンカ材５とグリースタンク８の上
端部間の空隙を、座板１８および取り付けボルト２０に
より取り付けられたパッキン１６で封鎖し、同アンカ材
５とグリースタンク９の下端部間の空隙を座板１９およ
び取り付けボルト２１により取り付けられたパッキン１
７で封鎖する。

【００３３】ついで、グリースタンク９に設けられたニ
ップル２３を通じてグリースタンク９，チューブ２２お
よびグリースタンク８にグリース２４を供給し、充填す
る。これにより、アンカ材５におけるグリースタンク
８，９を通る部分は、グリース２４と、このグリース２
４の圧力でアンカ材５の外周面に密着されたパッキン１
４，１５のスリーブ部１４ｂ，１５ｂによりシールさ
れ、またアンカ材５におけるチューブ２２内を通る部分
は、同じくグリース２４を充填することにより穴４の周
壁面に密着されたチューブ２２と、これに充填されたグ
リース２４とによりシールされる。なお、ケーソン１の
圧入，沈設の過程で、密閉式アンカ通し装置７内のグリ
ース２４の圧力が低下したときは、ニップル２３を通じ
てグリース２４を補給する。

【００３４】続いて、作業室スラブ３上におけるアンカ
材通し用の穴４に対応する位置に圧入用ジャッキ２５を
設置し、当該圧入用ジャッキ２５にアンカ材固定金物２
６を介してアンカ材５を連結する。

【００３５】以上のように、ケーソン１に各部材をセッ
トしたうえで、ケーソン１の作業室２の底部の地盤Ｇを
手掘りまたは機械掘りで掘削し、その掘削土砂をケーソ
ンシャフト２８およびケーソンロック２７を通じて地上
まで搬送し、排土する。

【００３６】ケーソン１の作業室２内で地盤Ｇを掘削
後、圧入用ジャッキ２５によりアンカ材５を反力として
ケーソン１を圧入し、沈設する。

【００３７】ケーソン１の沈設後、ケーソン上部１′を
構築する。

【００３８】しかして、前述の作業室２の底部の地盤Ｇ
を掘削する作業、圧入用ジャッキ２５によりアンカ材５
を反力としてケーソン１を圧入する作業、ケーソン１を
圧入，沈設後、ケーソン上部１′を構築する作業を繰り
返して行い、ケーソン構造物を地下深く沈設して行く。

【００３９】以上説明したこの第１実施例によれば、ア
ンカ材５を作業室スラブ３に貫通させ、このアンカ材５
を反力としてケーソン１を圧入し、沈設するようにして
いるので、圧入用反力桁の架設，撤去作業を必要とせ
ず、その分作業能率の向上、および省力化を図ることが
できるし、沈設後、直ちにケーソン上部１′の構築に移
行することができる。

【００４０】また、ケーソン１の圧入，沈設作業を全て
ケーソン内部で行うことができるので、他の構造物に対
して近接施工が可能となる。

【００４１】しかも、アンカ材５を反力としてケーソン
１を圧入，沈設する工法の利点、つまり大深度掘削に
も、軟弱地盤でも沈設制御ができるので、施工精度が向
上し、工程管理を確実にできること、ニューマチックケ
ーソンを圧入することにより、従来ケーソンの沈下時に
起きていた周辺地盤の引き込みを押さえることができる
ため、周辺の地盤沈下を抑制できること、硬質の砂層，
砂礫層での圧力を最少限の先掘りで施工できる等の利点
をそのまま活かすことができる。

【００４２】さらに、作業室スラブ３におけるアンカ材
通し用の穴４の上部にはグリースタンク８と、アンカ材
５の外周面に密着可能なスリーブ部１４ｂを有するパッ
キン１４と、アンカ材５とグリースタンク８の上端部間
の空隙を封鎖するパッキン１６とを設け、アンカ材通し
用の穴４内にはこれの周壁面に密着可能なチューブ２２
を収納し、アンカ材通し用の穴４の下部にはグリースタ
ンク９と、アンカ材５の外周面に密着可能なスリーブ部
１５ｂを有するパッキン１５と、アンカ材５とグリース
タンク９の下端部間の空隙を封鎖するパッキン１７とを
設け、前記グリースタンク９，チューブ２２およびグリ
ースタンク８の内部にわたってグリース２４を充填した
密封式アンカ通し装置７を設けているので、ニューマチ
ックケーソンの圧入，沈設において、作業室スラブ３に
設けられたアンカ材通し用の穴４からの圧縮空気の漏洩
を的確に防止することができるし、穴４からの漏気に起
因する笛吹き音等の騒音を防止することができる。

【００４３】次に、図４は本発明の第２実施例を示す縦
断正面図、図５は図４の平面図である。

【００４４】これら図４および図５に示す第２実施例
は、ケーソン１の沈設に水荷重を利用する工法に適用し
たもので、各圧入用ジャッキ２５の周りに、圧入用ジャ
ッキ２５の操作用の作業空間を確保するための施設であ
るオープンシャフト３０が設置されている。このオープ
ンシャフト３０は、ケーソン１における作業室スラブ３
の上部空間に注入される荷重水２９よりも高い高さに形
成されていて、圧入用ジャッキ２５の周りを囲み、圧入
用ジャッキ２５の操作用の作業空間を確保するようにな
っている。

【００４５】これにより、ケーソン沈設のための水荷重
に影響されず、圧入用ジャッキ２５を操作し、ケーソン
１の圧入，沈設作業を遂行できるし、圧入用ジャッキ２
５の操作を大気圧下で行うことができ、作業員を苦渋作
業から解放することができる。

【００４６】この第２実施例の他の構成，作用について
は、前記第１実施例と同様である。

【００４７】さらに、図６は本発明の第３実施例を示す
縦断正面図、図７は図６の平面図である。

【００４８】これら図６および図７に示す第３実施例
も、ケーソン１の沈設に水荷重を利用する工法に適用し
たもので、４基の圧入用ジャッキ２５がかかる圧入用ジ
ャッキ２５の操作用の作業空間を確保するための施設で
ある遮蔽トンネル３１で囲まれている。この遮蔽トンネ
ル３１により、荷重水２９の影響を受けない、圧入用ジ
ャッキ２５の操作用の作業空間が確保されている。

【００４９】前記遮蔽トンネル３１には、マンロック３
２およびマンシャフト３３が連設されており、作業員が
遮蔽トンネル３１内に前記マンロック３２，マンシャフ
ト３３を通じて出入りし得るように構成されている。

【００５０】この第３実施例も、ケーソン沈設のための
水荷重に影響されず、圧入用ジャッキ２５を操作し、ケ
ーソン１の圧入，沈設作業を遂行できるし、圧入用ジャ
ッキ２５の操作を大気圧下で行うことができ、作業員を
苦渋作業から解放することができる。

【００５１】この第３実施例の他の構成，作用について
は、前記第１実施例と同様である。

【００５２】進んで、図８は本発明の第４実施例を示す
縦断正面図である。

【００５３】この図８に示す第４実施例では、圧入用ジ
ャッキ２５が設置されている空間の上部に、作業室スラ
ブ３と平行に区画スラブ３４が形成されており、作業室
スラブ３と区画スラブ３４間に、圧入用ジャッキ２５の
操作用の作業空間３５が設けられている。

【００５４】前記区画スラブ３４の上部には、ケーソン
ロック２７およびケーソンシャフト２８が連設されてい
て、これらの設備を通じて掘削土砂を搬送し、または作
業員が圧入用ジャッキ２５の操作用の作業空間３５に出
入りし得るように構成されている。

【００５５】この第４実施例においても、ニューマチッ
クケーソンにおいて、圧入用ジャッキ２５の操作用の大
気圧の作業空間３５を確保することができる。

【００５６】この第４実施例の他の構成，作用について
は、前記第１実施例と同様である。

【００５７】なお、本発明ではアンカ材５を４本設けた
図示の実施例に限らない。また、各部の具体的構造は、
第１，第２，第３および第４実施例に限らず、所期の機
能を発揮し得る構造であればよい。

【００５８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
記載の発明では互いに所定の間隔をおいて配置しかつ下
端部を地盤Ｇに固定した複数本のアンカ材５を、ケーソ
ン１の作業室スラブ３に貫通させ、作業室スラブ３上に
前記アンカ材５に対応させて圧入用ジャッキ２５を設置
し、当該圧入用ジャッキ２５にアンカ材５を連結し、ケ
ーソン１の作業室２の底部の地盤Ｇを掘削しながら圧入
用ジャッキ２５によりアンカ材５を反力としてケーソン
１を地盤Ｇに圧入し、沈設するようにしており、アンカ
材５を作業室スラブ３に貫通させ、このアンカ材５を反
力としてケーソン１を圧入し、沈設するようにしている
ので、圧入用反力桁の架設，撤去作業を必要とせず、そ
の分作業能率の向上、および省力化を図り得る効果があ
り、またケーソン１の圧入，沈設作業を全てケーソン内
部で行うことができるので、他の構造物に対して近接施
工が可能となる効果があり、しかもアンカ材５を反力と
してケーソン１を圧入，沈設する工法の利点、すなわち
大深度掘削にも、軟弱地盤でも沈設制御ができるので、
施工精度が向上し、工程管理を確実にできること、ニュ
ーマチックケーソンを圧入することにより、従来ケーソ
ンの沈下時に起きていた周辺地盤の引き込みを押さえる
ことができるため、周辺の地盤沈下を抑制できること、
硬質の砂層，砂礫層での圧力を最少限の先掘りで施工で
きる等の利点をそのまま活かし得る効果もある。さら
に、本発明では作業室スラブ３に設けられたアンカ材通
し用の穴４と、これに貫通されたアンカ材５間の空隙部
に、充填材を注入しシールする密閉式アンカ通し装置７
を設けているので、ニューマチックケーソンの圧入，沈
設において、作業室スラブ３に設けられたアンカ材通し
用の穴４からの圧縮空気の漏洩を的確に防止し得る効果
があり、穴４から漏気することに起因する笛吹き音等の
騒音を防止し得る効果もある。

【００５９】また、本発明の請求項２、３記載の発明で
はケーソン１の沈設時に水荷重を利用する圧入ケーソン
において、前記圧入用ジャッキ２５の周りをオープンシ
ャフト３０または遮蔽トンネル３１で囲み、圧入用ジャ
ッキ２５の操作用の作業空間を確保するようにしている
ので、ケーソン沈設のための水荷重に影響されず、圧入
用ジャッキ２５を操作し、ケーソン１の圧入、沈設作業
を遂行し得る効果があり、圧入用ジャッキ２５の操作を
大気圧下で行うことができ、作業員を苦渋作業から解放
し得る効果がある。

【００６０】さらに、本発明の請求項４記載の発明では
前記圧入用ジャッキ２５が設置されている空間の上部
に、作業室スラブ３と平行に区画スラブ３４を形成し、
前記作業室スラブ３と区画スラブ３４間に、圧入用ジャ
ッキ２５の操作用の作業空間３５を設けているので、ニ
ューマチックケーソンにおいても、圧入用ジャッキ２５
の操作用の大気圧の作業空間３５を確保し得る効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す縦断正面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１のＡ部の詳細を示す拡大断面図である。

【図４】本発明の第２実施例を示す縦断正面図である。

【図５】図４の平面図である。

【図６】本発明の第３実施例を示す縦断正面図である。

【図７】図６の平面図である。

【図８】本発明の第４実施例を示す縦断正面図である。

【図９】従来技術を示す縦断正面図である。

【図１０】図９の平面図である。

【符号の説明】

１ ケーソン ２ ケーソンの作業室 ３ 作業室スラブ ４ アンカ材通し用の穴 ５ アンカ材 ６ アンカ材を固定しているアンカ体 Ｇ 地盤 ７ 密閉式アンカ通し装置 ８，９ 密閉式アンカ通し装置のグリースタンク １４，１５ 密閉式アンカ通し装置のパッキン １４ａ，１５ａ 同パッキンのフラット部 １４ｂ，１５ｂ 同パッキンのスリーブ部 ２２ 密閉式アンカ通し装置のチューブ ２４ 密閉式アンカ通し装置のグリース ２５ 圧入用ジャッキ ２６ 圧入用ジャッキへのアンカ材固定金物 ２９ 荷重水 ３０ 圧入用ジャッキの周りを囲むオープンシャフト ３１ 圧入用ジャッキの周りを囲む遮蔽トンネル ３２ 遮蔽トンネルに連設されたマンロック ３３ 遮蔽トンネルに連設されたマンシャフト ３４ 区画スラブ ３５ 圧入用ジャッキの操作用の作業空間

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーソン（１）内の下部に形成された作
   業室スラブ（３）に、互いに所定の間隔をおいて複数個
   のアンカ通し用の穴（４）を設け、これらの穴（４）と
   同数配置されかつ下端部を地盤Ｇに固定したアンカ材
   （５）を、前記穴（４）に貫通させるとともに、各穴
   （４）とアンカ材（５）間の空隙部に、かつ前記作業室
   スラブ（３）の上部から下部にわたって充填材を注入し
   シールする密閉式アンカ通し装置（７）を設け、前記作
   業室スラブ（３）上に前記アンカ材（５）を対応させて
   圧入用ジャッキ（２５）を設置し、当該圧入用ジャッキ
   （２５）にアンカ材（５）を連結し、ケーソン（１）の
   作業室（２）の底部の地盤Ｇを掘削しながら圧入用ジャ
   ッキ（２５）によりアンカ材（５）を反力としてケーソ
   ン（１）を地盤Ｇに圧入し、沈設することを特徴とする
   圧入ケーソン。
2. 【請求項２】 ケーソン（１）の沈設時に水荷重を利用
   する圧入ケーソンにおいて、前記圧入用ジャッキ（２
   ５）の周りをオープンシャフト（３０）または遮蔽トン
   ネル（３１）で囲み、圧入用シャフト（２５）の操作用
   の作業空間を確保したことを特徴とする請求項１記載の
   圧入ケーソン。
3. 【請求項３】 前記遮蔽トンネル（３１）にはマンロッ
   ク（３２）およびマンシャフト（３３）が連設されてい
   ることを特徴とする請求項２記載の圧入ケーソン。
4. 【請求項４】 ケーソン（１）内の下部に形成された作
   業室スラブ（３）に、互いに所定の間隔をおいて複数個
   のアンカ通し用の穴（４）を設け、これらの穴（４）と
   同数配置されかつ下端部を地盤Ｇに固定したアンカ材
   （５）を、前記穴（４）に貫通させるとともに、各穴
   （４）とアンカ材（５）間の空隙部に、かつ前記作業室
   スラブ（３）の上部から下部にわたって充填材を注入し
   シールする密閉式アンカ通し装置（７）を設け、前記作
   業室スラブ（３）上に前記アンカ材（５）を対応させて
   圧入用ジャッキ（２５）を設置し、当該圧入用ジャッキ
   （２５）にアンカ材（５）を連結し、これら圧入用ジャ
   ッキ（２５）が設置されている空間の上部に、作業室ス
   ラブ（３）と平行に区画スラブ（３４）を形成し、前記
   作業室スラブ（３）と区画スラブ（３４）間に、圧入用
   ジャッキ（２５）の操作用の作業空間（３５）を設け、
   ケーソン（１）の作業室（２）の底部の地盤Ｇを掘削し
   ながら圧入用ジャッキ（２５）によりアンカ材（５）を
   反力としてケーソン（１）を地盤Ｇに圧入し、沈設する
   ことを特徴とする圧入ケーソン。