JP3438989B2 - 版胴押出し制御可能な中押しローラ同期系を有する輪転式孔版印刷機及び版胴押出し制御方法 - Google Patents

版胴押出し制御可能な中押しローラ同期系を有する輪転式孔版印刷機及び版胴押出し制御方法

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JP3438989B2
JP3438989B2 JP09432595A JP9432595A JP3438989B2 JP 3438989 B2 JP3438989 B2 JP 3438989B2 JP 09432595 A JP09432595 A JP 09432595A JP 9432595 A JP9432595 A JP 9432595A JP 3438989 B2 JP3438989 B2 JP 3438989B2
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41LAPPARATUS OR DEVICES FOR MANIFOLDING, DUPLICATING OR PRINTING FOR OFFICE OR OTHER COMMERCIAL PURPOSES; ADDRESSING MACHINES OR LIKE SERIES-PRINTING MACHINES
    • B41L13/00Stencilling apparatus for office or other commercial use
    • B41L13/04Stencilling apparatus for office or other commercial use with curved or rotary stencil carriers

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  • Inking, Control Or Cleaning Of Printing Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輪転式孔版印刷機に係
り、特に版胴がインク通過性の可撓性周壁を有し、印刷
に際して版胴の可撓性周壁がその内側から中押しローラ
により印刷部にて局部的に押し出される構造の輪転式孔
版印刷機に於ける中押しローラの作動機構及びその作動
を制御する方法に係る。
【0002】
【従来の技術】輪転式孔版印刷機の一つとして、インク
通過性の可撓性周壁を有する版胴と、版胴の周壁に外側
から近接して対向する裏押しローラと、版胴の周壁に内
側から接し該周壁の裏押しローラに対向する部分を裏押
しローラへ向けて選択的に押し出す中押しローラとを有
し、中押しローラが版胴の中心軸線よりこれに平行に偏
倚した揺動軸線の周りに揺動する腕部材により自身の中
心軸線の周りに回転可能に担持され、これによって腕部
材がその揺動軸線の周りの第一の揺動位置にあるときに
は中押しローラは版胴の周壁に丁度内接するか或いは版
胴の周壁より離れており、腕部材がその揺動軸線の周り
の第二の揺動位置にあるときには中押しローラは版胴の
周壁の裏押しローラに対向する部分を裏押しローラへ向
けて押し出すようになっており、版胴の周壁の周りに孔
版原紙が巻装され、版胴の周壁の一部が中押しローラに
より裏押しローラへ向けて押し出されつつ版胴と裏押し
ローラとが互いに反対方向へ回転されるとき、版胴と裏
押しローラの対向部との間の挾み領域へ供給されたシー
ト材に版胴の内側から供給されたインクにより孔版原紙
の穿孔画像に従った孔版印刷が施される基本構造のもの
が、本件出願人と同一人の出願に係る特開平1−204
781号公報に於て提案されており、また同一の基本構
造に基づき版胴に於けるインク通過性の可撓性周壁の構
造に関し改良された輪転式孔版印刷機が、同一人の出願
に係る特開平2−225078号公報に於て提案されて
いる。
【0003】更に又、上記の基本構造に加えて、中押し
ローラを歯車列により版胴の回転に同期させて回転駆動
し、中押しローラの回転を単に版胴周壁とのインク層を
介した摩擦接触による連れ回りに委ねるのではなく、中
押しローラを版胴の回転に同期した所定の回転数比にて
明確に回転させるようにし、中押しローラによって版胴
周壁に及ぼされるスキージ作用の度合を安定化させると
同時に、その際歯車列を経て中押しローラに作用する力
によって中押しローラと共に腕部材を上述の第一の揺動
位置より第二の揺動位置へ移動させるよう構成された輪
転式孔版印刷機が、同じく本件出願人と同一の出願人に
よる特開平3−254984号に於て提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如く
一連の歯車列にて中押しローラを版胴の回転に同期した
所定の回転数比にて回転させることにより中押しローラ
によって版胴周壁に及ぼされるスキージ作用の度合を所
望の値に確実に設定する構成に於て、かかる中押しロー
ラ同期回転用歯車列を経て伝達される力の流れを制御す
ることによって中押しローラと共に腕部材を前記第一の
揺動位置より前記第二の揺動位置へ移動させる力を任意
に制御し、腕部材が前記第二の揺動位置へ移動されるこ
とにより中押しローラが版胴の周壁の一部をそれに対向
する裏押しローラへ向けて押し出す度合を任意に制御す
ることができる輪転式孔版印刷機を提供すること、又そ
のような輪転式孔版印刷機にして前記歯車列を経て伝達
される力の流れの制御がより確実に行われる輪転式孔版
印刷機を提供すること、又そのような輪転式孔版印刷機
にして中押しローラの押出し強さが中押しローラの長さ
方向に亙ってより均一に制御される輪転式孔版印刷機を
提供すること、更に又そのような輪転式孔版印刷機に於
て中押しローラにより版胴を押し出す作動を制御する上
で特に好ましい制御方法を提供することを課題としてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、上記の先の提案になる輪転式孔版印刷機
に於ける如く、中押しローラが、版胴の中心軸線に一致
する中心軸線の周りに版胴に同期して回転する第一の歯
車と、版胴の中心軸線に一致する揺動軸線の周りに揺動
する腕部材により自身の中心軸線の周りに回転可能に担
持され前記第一の歯車と噛合う第二の歯車と、版胴の中
心軸線よりこれに平行に偏倚した揺動軸線の周りに揺動
する腕部材により中押しローラの中心軸線に一致する自
身の中心軸線の周りに中押しローラと共に回転するよう
担持され前記第二の歯車と噛合う第三の歯車とを含む駆
動歯車列を経て、版胴の回転に同期して回転するよう構
成された輪転式孔版印刷装置に於て、前記第三の歯車の
回転を該歯車を担持する前記腕部材に対し制御された制
動力にて制動する制動装置か又は前記第三の歯車を担持
する前記腕部材の揺動軸線が前記版胴の中心軸線と前記
中押しローラの中心軸線とを含む仮想平面に対し前記第
二の歯車の中心とは反対の側に位置するという条件の下
に前記第二の歯車の回転を該歯車を担持する前記腕部材
に対し制御された制動力にて制動する制動装置かの少な
くとも一方を設けること、又それに加えて前記第二の歯
車と前記第三の歯車の軸間距離が所定の噛合軸間距離以
上に増大することを制限する手段を設けること、或は前
記第三の歯車が前記中押しローラの両端部に一対として
設けられ且これに対応して前記第一及び第二の歯車並び
に該第二の歯車を担持する腕部材もそれぞれ一対として
設けられているとして該一対の腕部材が前記版胴の中心
軸線に一致するそれらの揺動軸線の周りに一体となって
揺動するよう該一対の腕部材を互いに剛固に連結する連
結手段を設けることを提案し、更に又そのような輪転式
孔版印刷機に於て前記制動装置の作動をその制動作用が
印刷開始時に一時的に強められるように制御することを
提案するものである。
【0006】
【発明の作用】添付の図1を参照して上記の中押しロー
ラ操作機構の作用を説明する。尚図1は本発明による輪
転式孔版印刷機の一つの実施例を幾分解図的に示す正面
図である図3の一部に対応しているので、図1に於ける
各部が輪転式孔版印刷機全体の構成に於て占める位置或
はその配置等については図3及びそれに対応する側面図
である図4又は図5を参照されたい。
【0007】図1に於て、10は版胴であり、12はそ
のインク通過性の可撓性周壁である。かかるインク通過
性の可撓性周壁は線材を織製又は編成してなる網材或い
は多数の小孔をあけられた薄板の長方形シート材を円筒
状に巻いたものよりなっており、シート材の巻き初めと
巻き終りの部分に真の円筒形状より外れた部分を有する
が、全体としては図上の点Oaを通る紙面に垂直な直線
を中心軸線とする円筒体である。従って図1は以下に説
明する本発明の要部を円筒状版胴10の中心軸線の方向
に見た正面図であり、Oaは版胴12の中心軸線を指す
ものとする。14は版胴の周壁12に外側から近接して
対向する裏押しローラである。そして版胴10と裏押し
ローラ14とは、印刷が実行されるとき、図中に矢印に
て示す如く互いに反対方向に、即ち版胴10は図にて反
時計廻り方向に又裏押しローラ14は図にて時計廻り方
向に回転する。
【0008】版胴10内には、その周壁12に内側から
接して該周壁の一部を裏押しローラ14へ向けて選択的
に押し出す中押しローラ16が設けられている。中押し
ローラ16は版胴の中心軸線Oaよりこれに平行に偏倚
した第一の揺動軸線Obの周りに揺動する腕部材18に
より自身の中心軸線Ocの周りに回転可能に担持されて
いる。尚、腕部材18は、後程説明する図3に示す如く
一対の腕部材であり、中押しローラ16をその両端部に
て担持している。
【0009】上記の通り腕部材18の揺動軸線Obが版
胴の中心軸線Oaよりこれに平行に偏倚した位置にある
ことにより、腕部材18が図1に示す如き第一の揺動位
置にあるときには、中押しローラ16は版胴の周壁12
に丁度内接するが、腕部材18がこれより揺動軸線Ob
の周りに図にて僅かに反時計廻り方向へ回動した第二の
揺動位置に来ると、中押しローラ16は図にて仮想線に
て示す位置へ移動し、それに伴なって版胴の周壁12の
裏押しローラ14に対向する部分を該裏押しローラへ向
けて図にて仮想線にて示すように押し出す。
【0010】20は版胴10を回転式に支持する版胴支
持軸であり、当然のことながら版胴の中心軸線Oaに一
致する中心軸線を有している。この中心軸線Oaの周り
に版胴10の回転に同期して回転する第一の歯車22が
設けられている。尚、後述の実施例に於ては、この歯車
22は版胴10の一部にこれと一体に設けられている
が、本発明の実施に当っては、歯車22は必ずしも版胴
10と一体に形成されなくてもよく、また歯車22が版
胴10とは別の部材として構成された場合に、歯車22
が版胴10に固定されて版胴10と一体となって回転す
るようになっている実施例の他に、歯車22が版胴支持
軸20上に装着されるが版胴支持軸20に対し回転可能
であって、版胴10の回転速度とは異なる回転速度にて
版胴の回転に同期して回転するようになっている実施例
が可能である。
【0011】歯車22と噛合う第二の歯車24が設けら
れている。歯車24は版胴の中心軸線Oaに一致する揺
動軸線の周りに揺動する腕部材26により自身の中心軸
線Odの周りに回転可能に担持されている。腕部材26
は上記の通り版胴10の中心軸線Oaと一致する揺動軸
線の周りに揺動することから、後程説明する図4及び5
に示す如く腕部材26は版胴支持軸20によりその周り
に回動可能に支持されていてよい。
【0012】中押しローラ16の中心軸線Ocに一致す
る中心軸線を有する第三の歯車28が設けられている。
この歯車28は、中押しローラ16と共に回転するよ
う、該中押しローラと連結されており、そのため後程説
明する図4及び5に示す如く、中押しローラを支持する
中押しローラ支持軸30上に固定された状態に支持され
ていてよい。この第三の歯車28は第二の歯車24と噛
合っている。
【0013】尚、図1より明らかな通り、第二の歯車2
4の中心軸線Odは、腕部材26の揺動軸線である版胴
10の中心軸線Oaと中押しローラ16の中心軸線Oc
とを通る仮想平面S1に対し、腕部材18の揺動軸線O
bとは反対の側に位置している。
【0014】かかる構成に於て、今版胴10が矢印の方
向に回転すると、それに同期して歯車22が図にて反時
計廻り方向に回転し、歯車22と噛合った歯車24は図
にて時計廻り方向に回転し、歯車24と噛合った歯車2
8は図にて反時計廻り方向へ回転する。中押しローラ1
6は歯車28と一体となって回転する。かかる歯車列に
よる版胴10と中押しローラ16との連動関係に於て
は、今簡単のため歯車22が版胴10と一体となって同
時回転する実施例について見ると、版胴と中押しローラ
の直径比と歯車列の増速比との間の関係により、歯車列
を伝わる力の伝達方向が異なってくる。
【0015】即ち、前記直径比と前記増速比とが互いに
等しいときには、歯車列にはいずれの方向にも実質的な
駆動力の伝達は生じない。
【0016】前記直径比よりも前記増速比が大きいと、
中押しローラ16の外周面が版胴の周壁12よりも進み
方向により速く移動するので、中押しローラ16の回転
は版胴の周壁より制動作用を受け、歯車列を通って歯車
22より歯車28へ向かう力の流れが生じる。即ち、歯
車24は歯車22より両者の歯の接触線P1に於て揺動
軸線Oaと中心軸線Odとを結ぶ仮想平面S2に垂直な
方向の力F1(但しF1は互いに噛合う歯車の歯面間に
作用する力のピッチ線に沿う接線方向成分である。後述
のF8についても同じ。)を及ぼされる。(以下説明の
便宜上三次元機構を図1に表わされた二次元機構として
説明し、接触線P1、仮想平面S2等は接触点P1、仮
想線S2等と表現する。)接触点P1に作用する力F1
は歯車24の中心Odに於ては力F2に相当する。力F
2は仮想線S2に垂直であり、その大きさは歯車22の
ピッチ円の半径をR1とし、歯車24のピッチ円の半径
をR2とすると、F1×R1/(R1+R2)である。
歯車24にその中心Odにて作用する力F2は、歯車2
4の中心Odと歯車28の中心Ocとを結ぶ仮想線S3
に沿う方向の力F3と腕部材26内に仮想線S2に沿っ
て作用する力F4とに分解でき、力F4は腕部材26内
に作用する応力により支持される。
【0017】力F3は歯車24より仮想線S3に沿って
歯車28へ及ぼされ、歯車28にその中心Ocにて仮想
線S3の延長上に作用する力F5(F5=F3)を生ず
る。この力F5は、揺動中心Obと歯車28の中心Oc
とを結ぶ仮想線S4に沿って作用する力F6と歯車28
の中心(即ち中押しローラ16の中心)Ocより中押し
ローラ16と版胴12との接触点P2へ向かう力F7と
に分解でき、力F6は腕部材18内に作用する応力によ
り支持されるので、力F7により中押しローラ16は版
胴周壁12を内側より半径方向外方へ押し出す。
【0018】歯車28には又歯車24より歯車28への
トルクの伝達に伴って両者の噛合いピッチ線に沿う接線
方向に力F8が作用する。この力F8の大きさは、歯車
24が通常の軸受により軽く回転できるよう支持されて
いるとすれば、力F1の大きさにほぼ等しい。力F8
は、その大きさと歯車28のピッチ円の半径との積に等
しい点Ob周りの回転モーメントを生ずるので、力F8
の作用は、歯車28のピッチ円の半径をR3(図示せ
ず)とし又点OcとObの間の距離をL(図示せず)す
ると、F8×R3/Lの大きさの力がF5に加算される
ことにほぼ等しい。かかる力の増分は力F5が力F6と
力F7とに分解されたと同様に両方向の力に分解でき、
それに相当して力F7方向の力が増大し、中押しローラ
16が版胴周壁12を半径方向外方へ押出す力を増大さ
せる。
【0019】更に又、歯車24と歯車28との噛合い点
P3には両者の歯面の間の接触に於ける接触角が存在す
るので、両者のピッチ円に沿う方向の力F8が生ずると
きにはそれに対応してF8の大きさに圧力角の正接(t
an)を掛けた大きさの力F9が歯車28に対し図示の
方向に作用する。この力F9もF5に加算され、かかる
F5の増分に相当して中押しローラ16が版胴周壁12
を半径方向外方へ押出す力を増大させる。
【0020】以上の解析は前述の直径比と増速比とにつ
いて直径比よりも増速比が大きいとし、これによって中
押しローラ16の回転に対し版胴12より制動力が及ぼ
されるとの前提に立っているが、かかる中押しローラ1
6の回転に対する制動を、歯車28(従って又これと一
体に回転する中押しローラ16)とそれを担持する腕部
材18との間に制動装置を設け、かかる制動装置によっ
て制動力を制御された要領にて与えようとするのが本発
明の第一の態様である。このように歯車28(中押しロ
ーラ16)の回転に対する制動が制動装置によって与え
られるようになっていれば、かかる制動装置による制動
作用の大きさを任意の大きさに調節することにより、中
押しローラ16によって版胴周壁12を半径方向外方へ
押出す度合が任意に制御されるので、中押しローラ16
と版胴周壁12との間の相対速度は専ら孔版印刷に於け
るスキージ効果の観点から定められてよく、即ち上記の
直径比と増速比との間の関係は、版胴周壁12の内周面
に対し中押しローラ16の外周面が任意の相対速度にて
進むよう、或いは両者間に相対速度が生じないよう、或
いは版胴周壁12の内周面に対し中押しローラ16の外
周面が相対的に遅れるよう任意に設定されてよい。
【0021】即ち、上記の解析より明らかな通り、該解
析に於ける前提である前記直径比よりも前記増速比が大
きいという条件が逆にされ、前記直径比が前記増速比よ
り大きく、版胴の回転に際して中押しローラ16が版胴
周壁12との接触により版胴周壁12の側から進み方向
へ駆動される状態が生ずると、もし本発明による制動装
置が設けられていないときには、図1に於ける力F1は
その方向が逆になり、中押しローラ16を版胴周壁12
に対し半径方向外向きに押付ける力は一切生じないこと
になる。しかしこの場合にも、本発明による上記の制動
装置が設けられれば、中押しローラ16は版胴周壁12
より進み方向の駆動力を及ぼされつつも、制動装置によ
ってその回転が制動されるので、歯車22より歯車28
へ向かう力の流れが生じ、上に解析した要領により中押
しローラ16を版胴周壁12に対し半径方向外向きに押
付ける力が制御された態様にて得られる。
【0022】上の解析に於ては、歯車28(中押しロー
ラ16)の回転に対し制動力が作用するものとしたが、
これに加えて、或いはこれに代えて、歯車24の回転に
対し歯車24と腕部材26との間に設けられた制動装置
により制動作用が及ぼされてもよい。かかる制動装置に
より歯車24の回転が制動されると、歯車28が制動さ
れるか否かによって力F8が作用するか否か或いはその
方向が逆になるか否かに拘らず、力F3に基づく力F7
は上記の場合と同様に生じるので、やはり該制動装置の
制動力を調節することにより中押しローラ16によって
版胴周壁12を半径方向外向きに押出す作用が制御され
た態様にて達成される。
【0023】図2は歯車列に対する腕部材18の配置が
図1の場合と鏡反転され、その枢動軸線Obが版胴の中
心点Oaと中押しローラ16の中心点Ocとを結ぶ仮想
線S1に対し歯車24の中心点Odと同じ側に配置され
た構造を示す図1と同様の図である。かかる歯車列と腕
部材の配列構造そのものは前述の特開平3−25498
4号公報に示されているものと同じである。尚図2に於
て図1に於ける部分に対応する部分は図1に於けると同
じ符号により示されている。図2に示す構造に於ても、
歯車28(中押しローラ16)の回転が制動されていれ
ば、力F1によりそれに対応する力F2が生じ、それに
よって歯車24を歯車28に対し押付ける力F3が生
じ、歯車28の中心Ocには力F5が作用する。しかし
この場合、特に図示の設計では、力F5が仮想線S4に
沿う方向の力F6と仮想線S1に沿う方向の力F7とに
分解されると、力F7は図にて上向きの力となり、中押
しローラ16を版胴周壁12より半径方向内向きに引離
す力を生ずる。(この構造では設計が多少異なっても力
F7が下向きに大きく生じることはない。)しかしこの
場合にも、歯車28(中押しローラ16)が制動されて
いれば、力F1に対応する力F8が生じ、これに相当す
る歯車28の中心Oc上の力F9を仮想線S4に沿う方
向の力F10と仮想線S1に沿う方向の力F11とに分
けることにより中押しローラ16の中心Ocには中押し
ローラ16を版胴周壁12に対し半径方向外向きに押付
ける力F11が生じ、この力F11は同中心Ocに作用
する図にて上向きの力F7に比して十分大きな力となる
ので、やはり歯車28(中押しローラ16)の回転をそ
れを担持する腕部材18に対し制動する制動装置が設け
られることにより、該制御装置の制動力を制御すること
によって中押しローラ16により版胴周壁12を半径方
向外向きに押出す作用を制御された態様にて達成するこ
とができる。
【0024】尚図2に示す構造では、歯車28(中押し
ローラ16)には制動装置が設けられず、歯車24に対
してのみその回転を腕部材26に対し制動する制動装置
が設けられた場合、力F8が実質的に生じないので、中
押しローラ16を版胴周壁12の内周面に対し半径方向
外向きに押付ける有効な作用は得られない。
【0025】以上の説明から明らかな如く、図1及び図
2が示す構成のいずれに於ても中押しローラ16によっ
て版胴周壁12を半径方向外方へ押し出す力は、図1の
場合には歯車28又は歯車24、図2の場合には歯車2
8、に制御された制動作用を及ぼすことによって、制御
された大きさに調節される。かくして上記の各歯車に及
ぼす制動作用の大きさを適宜に制御することにより、版
胴周壁に対する中押しローラ周縁の相対速度を版胴の回
転速度の如何に拘らず常に一定に保ち、版胴周壁に対し
中押しローラによって与えられるスキージ作用の強さを
一定に維持する中押しローラ同期用歯車列を利用して中
押しローラによる版胴押出しの度合を随時適格に制御す
ることができる。
【0026】歯車24と歯車28の間には上述如く両者
の噛合い部に於ける圧力角に基づいて両者を互いに乖離
させようとする力F9が両歯車の中心OdとOcとを結
ぶ仮想線S3に沿って作用するので、両歯車の噛合い圧
力角が大きく且噛合い歯面間の摩擦係数が低いときには
両歯車は互いに離れる方向へ相対的に偏倚し、両歯車の
噛合いが浅くなったり更には外れたりする恐れがあり、
かかる噛合いの不安定が生ずると印刷画像の濃度にに斑
が生ずる恐れがあるる。この点に関し、歯車24と歯車
28の軸間距離が所定の噛合軸間距離以上に増大するこ
とを制限する手段が設けられていれば、両歯車の噛合い
外れ方向の相対偏倚が確実に抑制され、上述の力F9の
作用に拘らず孔版印刷機の確実な作動と安定した印刷濃
度が達成される。
【0027】従って又、上記の各歯車に及ぼす制動作用
の大きさを、特に印刷開始時に一時的に強くする制御が
行われれば、印刷開始時にはどうしても印刷濃度が不足
するという孔版印刷の特性に対応させて印刷開始時に一
時的に中押しローラをより強く版胴周壁に押し付け、印
刷開始時より直ちに所定濃度の孔版印刷を達成すること
ができる。
【0028】
【実施例】以下に図3〜図8を参照して本発明による輪
転式孔版印刷機を実施例について詳細に説明する。これ
らの図に示す実施例に於ける中押しローラの作動機構は
図1に示されているものに相当している。図4及び図5
はそれぞれ図3に示されている装置の幾分解図的側面図
であり、特に本発明に従って組込まれる制動装置の構成
に関し発明の二つの態様を示す図である。又図6〜図8
は図3〜図5に対応してこれらの図に示す実施例の構造
の一部に変更を加えた他の実施例を示す図である。これ
らの図に於て図1に示した部分に対応する部分は図1に
於けると同じ符号により示されている。但し図4及び図
5に於ける版胴10の回転位相は図3に於けるそれより
180度ずれており、又同様に図7及び図8に於ける版
胴10の回転位相も図6に於けるそれより180度ずれ
ている。
【0029】先ず、図3〜図5に於て、10は版胴であ
り、12はそのインク通過性の可撓性周壁である。かか
るインクの可撓性周壁は、線材を織製又は編成してなる
網材或いは多数の小孔を開けられた薄板の長方形シート
材を、その両側縁部が一対の円板部材32の周縁に沿っ
て着座した状態にて円筒状に巻いたものよりなってお
り、シート材の巻き始めは一対の円板部材32間に円筒
体の一つの母線に沿うよう橋渡しされた横木34に装着
されており、シート材の巻き終りの部分は一対の円板部
材32の外周面と横木34との間の空隙部内へ自由に差
込まれた状態とされているか或いは該差込み状態にばね
により付勢された状態となっている。かかる版胴の構造
は上述の特開平1−204781号公報及び特開平2−
225078号公報に示されている通りのものであって
よく、本発明の要旨をなすものではない。14は版胴の
周壁12に外側から近接して対向する裏押しローラであ
る。裏押しローラ14には、それが版胴10と同期して
版胴とは逆の回転方向に回転されるとき版胴の横木34
と出会う位置に、外周面より切欠かれた横溝36が形成
されている。版胴10内にはその周壁12に内側から接
して該周壁の一部を裏押しローラ14へ向けて選択的に
押出す中押しローラ16が設けられている。中押しロー
ラ16は版胴の中心軸線Oaよりこれに平行に偏倚した
揺動軸線Obの周りに揺動する腕部材18により自身の
中心軸線Ocの周りに回転可能に担持されている。腕部
材18は図4及び図5に示されている如く一対として設
けられており、版胴10を回転式に支持する版胴支持軸
20により版胴10内の空間に支持された内枠38より
腕部材支持軸40によって揺動軸線Obの周りに揺動す
るよう支持されている。尚版胴支持軸20は図には示さ
れていない孔版印刷装置の外枠より非回転式に支持され
ている。裏押しローラ14も又裏押しローラ支持軸42
により前記外枠から支持されている。
【0030】版胴の中心軸線Oaの周りに版胴の回転に
同期して回転する第一の歯車22が設けられている。図
示の実施例に於ては、歯車22は版胴の両端部を構成す
る一対の円板部材32の各々にそれと一体に構成されて
おり、版胴と共に回転するようになっている。
【0031】歯車22と噛合う第二の歯車24が、版胴
の中心軸線Oaに一致する揺動軸線の周りに揺動する腕
部材26により、自身の中心軸線Odの周りに回転可能
に担持されている。歯車22と腕部材26とはいずれも
一対として設けられており、一対の腕部材26はその一
端部にて版胴支持軸20上に回動可能に装着されてい
る。
【0032】中押しローラ16の中心軸線Ocに一致す
る中心軸線を有する第三の歯車28が、中押しローラ1
6と共に回転するよう設けられている。歯車28もまた
一対として設けられており、一対の腕部材18により中
押しローラ支持軸30を介して回転可能に支持されてお
り、即ち中押しローラ16を担持する中押しローラ支持
軸30の両端部に該軸に対しトルク伝達関係に固定され
取付けられている。従って、一対の歯車28は、中押し
ローラ支持軸30を介して中押しローラ16と一体とな
って回転する。一対の歯車28はそれぞれ対応する歯車
24と噛合っている。
【0033】版胴の横木34上には孔版原紙の先端部を
取付けるクランプ44が設けられており、穿孔された孔
版原紙Sが、その前縁部を図3に示す如くクランプ44
にて横木34上に保持された状態にて、その後端部まで
版胴周壁12の周りにそれに沿って巻付けられるように
なっている。版胴12と裏押しローラ14とは図には示
されていない連結機構により互いに反対の回転方向に、
即ち図3で見て版胴10は反時計廻り方向にまた裏押し
ローラ14は時計廻り方向に互いに同期して回転駆動さ
れるようになっている。図4及び図5に於て版胴の両端
部を構成する一対の円板部材32の周りに形成されてい
る歯車の歯形部分46はかかる連動機構の一部をなすも
のである。
【0034】版胴10と裏押しローラ14とが図3に示
す状態よりそれぞれ矢印方向に幾分回転し、裏押しロー
ラ14の横溝36が設けられていない外周面が版胴の周
壁12に対向した状態になると、版胴周壁12が中押し
ローラ16によって半径方向外方へ押出されていない状
態にて、両者間に印刷に当って印刷用紙を版胴10と裏
押しローラ14の間に挾み込む挾み領域を与える数ミリ
程度の僅かな空隙が残されるようになっている。かかる
空隙へ向けて図3にて左方より印刷用紙を供給すべく、
給紙トレイ48、給紙ローラ50、給紙ガイド52、5
4、これらの給紙ガイド間に形成された給紙通路56、
該給紙通路内に印刷用紙が供給されているか否かを検知
する給紙センサ58等を含む給紙機構が設けられてい
る。かかる給紙機構は種々の構成に於て公知であり、本
発明の要旨をなすものではない。
【0035】上記の挾み領域内にて中押しローラ16に
より版胴周壁12の一部が裏押しローラ14へ向けて半
径方向外方へ押出された状態にて版胴10と裏押しロー
ラ14とがそれぞれ図3に示す矢印方向に回転されると
き、上記の給紙機構より供給された印刷用紙が版胴周壁
12上に巻装された孔版原紙Sと裏押しローラ14との
間に押し挾まれ、版胴の内部に設けられた図には示され
ていないインク供給機構より中押しローラ16の外周面
上に均一な薄い層として供給されたインクが、インク通
過性の版胴周壁12を通過し、更に孔版原紙Sの穿孔部
を通って印刷用紙上に移転され、孔版印刷が行われる構
成は、既に上述の特開平1−204781号公報及び特
開平2−225078号公報に記載されている通りであ
る。かくして孔版印刷を施された印刷用紙は排紙ガイド
60、62にて解図的に示された排紙案内機構を経て排
紙トレイ64上に受けられる。
【0036】上記の如き孔版印刷を実行するに当って、
横木34の近傍にては中押しローラ16が横木34に衝
突することを避け、また孔版原紙の始端と終端の近傍に
て不要なインクの供給を行わず、孔版原紙の始端と終端
を除く実質的な印刷領域に於てのみ中押しローラ16に
よる版胴周壁12の半径方向外方への押出しを達成すべ
く、中押しローラ支持軸30の両端部には一対のローラ
66のそれぞれが回転可能に装着されており、これに対
応して一対の円板部材32にはローラ66に作用するカ
ム68が設けられている。かかるカム68とローラ66
との係合により、図3に現われているカム68の輪郭形
状より明らかな通り、中押しローラ16は横木34の近
傍にて版胴周壁12の自然な円筒形状による内周面に接
する位置を越えて版胴周壁へ向けて押出されない位置に
保持され、その他の部分にて適宜版胴周壁12を半径方
向外方へ押出す偏倚を行うようになっている。
【0037】腕部材18の自由端部には鉤部70が設け
られており、これと係合する鉤形端部72を有する梃子
74が枢軸76の周りに枢動可能に内枠38より支持さ
れている。内枠38にはソレノイド78が設けられてお
り、その作動鉄心80の端部は枢軸82にて梃子74の
他端と枢動連結されている。梃子74は圧縮コイルばね
84の作用により常時は枢軸76の周りに図3で見て反
時計廻り方向のモーメントを与えられており、それが図
3に示されている揺動位置にあってローラ66がカム6
8の隆起部上に乗上げたときには何時でもその鉤形端部
72にて腕部材18の端部に設けられた鉤部70を受入
れ、その後ローラ66がカム68の隆起部より外れても
中押しローラ16を円筒周壁12の自然な円筒形状の内
周面内に保持する状態を保つようになっている。そして
ソレノイド78が通電されたときのみ梃子74は枢軸7
6の周りに図3にて時計廻り方向に揺動し、その鉤形端
部72が鉤部70より外れ、腕部材18が枢動軸線Ob
の周りに図3にて反時計廻り方向に揺動することを許す
ようになっている。
【0038】ここ迄の構成は、腕部材18の揺動中心O
bが版胴10の中心軸線Oaと中押しローラ16の中心
軸線Ocとを含む前述の仮想平面S1に対して歯車24
の中心軸線Odとは反対の側に位置することを除き、前
述の特開平3−254984号公報に示されているもの
と同じである。
【0039】かかる公知の構成に加えて、本発明によれ
ば、上に図1及び2を参照して説明した作用及び効果を
達成すべく、図4に示す実施例に於ては、歯車28と中
押しローラ16との一体回転体の回転を腕部材18に対
し制御された制動力にて制動するための電磁ブレーキ8
6が設けられている。電磁ブレーキ86は一対として設
けられており、そのソレノイド88が通電されることに
より、歯車28の一方の側面に設けられた環状の制動面
に対し制動用の摩擦部材が電流の強さに応じた大きさの
力にて押付けられ、歯車28の回転を制動する構造を有
している。かかるブレーキ86の選択的作動により歯車
28と中押しローラ16との一体回転体の回転に対し制
御された制動力を及ぼすことによって、版胴周壁12に
対し中押しローラ16が与えるスキージ作用の方向及び
強さの設定の如何に拘らず、中押しローラ16による版
胴周壁12の押出し量及び押出し力の大きさを適宜制御
することができることは、図1を参照して上に説明した
通りである。
【0040】図5は本発明による輪転式孔版印刷機の第
二の態様を示す図4と同様の図である。図5に於ては図
4に示す部分に対応する部分は図4に於けると同じ符号
により示されている。この機構に於ては、歯車24の回
転を腕部材26に対して選択的に制動する電磁ブレーキ
90が設けられている。電磁ブレーキ90もまた一対と
して設けられ、各々が一対の歯車24の対応する一方に
対し作用するようになっている。電磁ブレーキ90は、
腕部材26に取付けられてこれより支持されたソレノイ
ド92と、歯車24を腕部材26に対し回転可能に取付
け且該歯車と一体となって回転する軸94にトルク伝達
関係に連結されたディスク96とを有しており、ソレノ
イド92が通電されることによりその電流の大きさに応
じて変化する制動力をディスク96を介して歯車24に
及ぼすようになっている。かかる電磁ブレーキ90によ
り歯車24の回転を腕部材26に対し制御された強さに
選択的に制動することにより、中押しローラ16が版胴
周壁12に及ぼすスキージ作用の方向及び大きさの設定
の如何に拘らず、中押しローラ16による版胴周壁12
の半径方向外方への押出しの大きさ及び強さを適宜制御
することができることは上に図1を参照して説明した通
りである。
【0041】また図4に示した機構、即ち制動装置86
により歯車28と中押しローラ16の一体回転体の回転
を腕部材18に対し制動する構成の場合には、版胴10
の中心軸線Oaと中押しローラ16の中心軸線Ocとを
含む仮想平面S1に対して腕部材18の揺動軸線Obと
歯車24の中心軸線Odとが同じ側にある図2に示す構
成の場合にも、制動装置86の制御された制動作動によ
り、中押しローラ16によって版胴周壁12に及ぼすス
キージ作用の方向及び強さの設定の如何に拘らず、中押
しローラ16による版胴周壁12の半径方向外方への押
出しの大きさ及び強さを適宜制御することができること
は、図2を参照して上に説明した通りである。
【0042】図6〜図8は図3〜図5に対応して図3〜
図5に示されている実施例の一部の構成を変更した他の
実施例を示す図である。図6〜図8に於て図3〜図5に
示されている部分に対応する部分は図3〜図5に於ける
符号と同じ符号により示されている。図6〜図8に示さ
れている実施例に於ては、歯車24と歯車28との軸間
距離がこれら両歯車の間の噛合いに於ける所定の噛合い
軸間距離以上に増大することを制限する手段が設けられ
ており、それは図示の実施例に於ては歯車24の軸と歯
車28の軸との間に掛け渡されたリンク98として構成
されている。リンク98は細長い板状の部材であり、そ
の両端部にそれぞれ歯車24及び歯車28の軸の一部を
受入れる孔を有しており、これらの孔に歯車24及び歯
車28の軸の一部が通された態様にてリンク98がこれ
ら両歯車の軸部の間に掛け渡されることにより、図1を
参照して説明した如く歯車24と歯車28との間に作用
する駆動トルクに基づく力F8と両歯車の噛合いに於け
る圧力角とに基づいて両歯車の間にそれらを互いに乖離
させる方向に作用する力F9が生じても、両歯車の間の
噛合い軸間距離はリンク98により規定された所定の値
以上には増大せず、両歯車の噛合いは安定して維持され
る。尚かかるリンクの孔に係合する歯車24及び歯車2
8の軸部はこれら各歯車の回転部分の任意の部分であっ
てよく、又歯車の歯の外周の一部がリンクの孔内に受け
られるようになっていてもよい。リンク98に於けるこ
れらの孔は、力F8により力F9を生ずる作用が妨げら
れないよう、少なくとも一方が両歯車の近接方向への相
対移動を許す長孔とされるか、該長孔に相当する直径が
大きめのゆるい孔とされる。
【0043】又図6〜図8に於てはリンク98はこれら
の図に於ける他の構成部材と同様に幾分解図的に示され
ているが、リンク部材98はその組付けの便宜のため、
その両端の孔の中心を通る二つの軸線を含む一つの平面
に沿って二分割された部材をボルトにより締合せた構
造、或いはその両端の各孔を組立てに当って開放するこ
とができるよう両端部が各孔の中心を通る面によって分
割された円弧部材をボルトにより締合わせた構造に作ら
れてよい。端部に孔を有するこの種のリンクの孔を装置
の組立てに当って開放可能にする上記の如き分割締付け
構造は、エンジンのコネクチングロッド等に於てそれ自
身周知の構造であるので、図面の複雑さを避けるため図
にはその詳細は示されていない。また上記の作用に鑑
み、リンク98に代えて両歯車の軸間に掛け渡された無
端鎖が用いられても良い。
【0044】更に又図6〜図8に示されている実施例に
於ては、一対の歯車24を担持する一対の腕部材26
は、それと一体に構成された腕部100と、これら一対
の腕部100を互いに剛固に連結する棒部材102によ
り、その揺動軸線Oaの周りに互いに一体となって揺動
するようになっており、これによってこれら一対の歯車
24より歯車28を経て中押しローラの両端部に加えら
れる押圧力が等しくされ、中押しローラはその長さ方向
に均一に押出されるようになっている。
【0045】尚図6〜図8に示された上記の修正構造も
又図2に示す歯車列構造に対して同様に適用可能である
ことは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による輪転式孔版印刷装置に於ける発明
の要部をなす中押しローラ操作機構の作用及び効果を発
明の第一の態様について説明する説明図。
【図2】本発明による輪転式孔版印刷装置に於ける発明
の要部をなす中押しローラ操作機構の作用及び効果を発
明の第二の態様について説明する説明図。
【図3】本発明による輪転式孔版印刷装置の一つの実施
例を示す幾分解図的正面図。
【図4】図3に示す輪転式孔版印刷装置の側面を本発明
の第一の態様について示す幾分解図的側面図。
【図5】図3に示す輪転式孔版印刷装置の側面を本発明
の第二の態様について示す幾分解図的側面図。
【図6】図3に示す実施例の一つの変形実施例を示す図
3と同様の幾分解図的正面図。
【図7】図6に示す実施例であって図4に示す電磁ブレ
ーキと同様の電磁ブレーキを用いる実施例を示す図4と
同様の幾分解図的側面図。
【図8】図6に示す実施例であって図5に示す電磁ブレ
ーキと同様の電磁ブレーキを用いる実施例を示す図5と
同様の幾分解図的側面図。
【符号の説明】
10…版胴 12…版胴の周壁 14…裏押しローラ 16…中押しローラ 18…腕部材 20…版胴支持軸 22…第一の歯車 24…第二の歯車 26…腕部材 28…第三の歯車 30…中押しローラ支持軸 32…円板部材 34…横木 36…横溝 38…内枠 40…腕部材支持軸 42…裏押しローラ支持軸 44…クランプ 46…歯形部分 48…給紙トレイ 50…給紙ローラ 52,54…給紙ガイド 56…給紙通路 58…給紙センサ 60,62…排紙ガイド 64…排紙トレイ 66…ローラ 68…カム 70…鉤部 72…鉤形端部 74…梃子 76…枢軸 78…ソレノイド 80…作動鉄心 82…枢軸 84…圧縮コイルばね 86…電磁ブレーキ 88…ソレノイド 90…電磁ブレーキ 92…ソレノイド 94…軸 96…ディスク 98…リンク 100…腕部 102…棒部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−254984(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41L 13/18 B41L 13/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中心軸線の周りに回転可能に支持されイン
    ク通過性の可撓性シート材よりなる円筒状の周壁部を有
    する版胴と、前記版胴の中心軸線に平行に配置された中
    心軸線の周りに回転可能に支持されその円筒状外周面と
    前記版胴の外周面との間に印刷を施されるべきシートを
    挾んで搬送する挾み領域を形成する裏押しローラと、前
    記版胴の周壁部にその半径方向内側より当接し該周壁部
    の一部を前記裏押しローラへ向けて半径方向外方へ押出
    す中押しローラと、前記版胴の中心軸線に一致する中心
    軸線の周りに前記版胴に同期して回転する第一の歯車
    と、前記版胴の中心軸線に一致する揺動軸線の周りに揺
    動する腕部材により自身の中心軸線の周りに回転可能に
    担持され前記第一の歯車と噛合う第二の歯車と、前記版
    胴の中心軸線よりこれに平行に偏倚した揺動軸線の周り
    に揺動する腕部材により前記中押しローラの中心軸線に
    一致する自身の中心軸線の周りに前記中押しローラと共
    に回転するよう担持され前記第二の歯車と噛合う第三の
    歯車とを有し、前記中押しローラが前記版胴の回転に同
    期して回転するよう構成された輪転式孔版印刷機に於
    て、前記第三の歯車の回転を該歯車を担持する前記腕部
    材に対し制御された制動力にて制動する制動装置を有す
    ることを特徴とする輪転式孔版印刷機。
  2. 【請求項2】中心軸線の周りに回転可能に支持されイン
    ク通過性の可撓性シート材よりなる円筒状の周壁部を有
    する版胴と、前記版胴の中心軸線に平行に配置された中
    心軸線の周りに回転可能に支持されその円筒状外周面と
    前記版胴の外周面との間に印刷を施されるべきシートを
    挾んで搬送する挾み領域を形成する裏押しローラと、前
    記版胴の周壁部にその半径方向内側より当接し該周壁部
    の一部を前記裏押しローラへ向けて半径方向外方へ押出
    す中押しローラと、前記版胴の中心軸線に一致する中心
    軸線の周りに前記版胴に同期して回転する第一の歯車
    と、前記版胴の中心軸線に一致する揺動軸線の周りに揺
    動する腕部材により自身の中心軸線の周りに回転可能に
    担持され前記第一の歯車と噛合う第二の歯車と、前記版
    胴の中心軸線よりこれに平行に偏倚した揺動軸線の周り
    に揺動する腕部材により前記中押しローラの中心軸線に
    一致する自身の中心軸線の周りに前記中押しローラと共
    に回転するよう担持され前記第二の歯車と噛合う第三の
    歯車とを有し、前記中押しローラが前記版胴の回転に同
    期して回転するよう構成された輪転式孔版印刷機に於
    て、前記第三の歯車を担持する前記腕部材の揺動軸線は
    前記版胴の中心軸線と前記中押しローラの中心軸線とを
    含む仮想平面に対し前記第二の歯車の中心軸線とは反対
    の側に位置し、前記第二の歯車の回転を該歯車を担持す
    る前記腕部材に対し制御された制動力にて制動する制動
    装置を有することを特徴とする輪転式孔版印刷機。
  3. 【請求項3】請求項1又は2による輪転式孔版印刷機に
    して、前記第二の歯車と前記第三の歯車の軸間距離が所
    定の噛合軸間距離以上に増大することを制限する手段を
    有することを特徴とする輪転式孔版印刷機。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかによる輪転式孔版
    印刷機にして、前記第三の歯車は前記中押しローラの両
    端部に一対として設けられており、これに対応して前記
    第一及び第二の歯車並びに該第二の歯車を担持する腕部
    材もそれぞれ一対として設けられており、該一対の腕部
    材が前記版胴の中心軸線に一致するそれらの揺動軸線の
    周りに一体となって揺動するよう該一対の腕部材を互い
    に剛固に連結する連結手段を有することを特徴とする輪
    転式孔版印刷機。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかによる輪転式孔版
    印刷機に於ける版胴押出し制御方法にして、印刷開始時
    に前記制動装置の制動作用を一時的に強めることを特徴
    とする版胴押出し制御方法。
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