JP3436428B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JP3436428B2 JP27167594A JP27167594A JP3436428B2 JP 3436428 B2 JP3436428 B2 JP 3436428B2 JP 27167594 A JP27167594 A JP 27167594A JP 27167594 A JP27167594 A JP 27167594A JP 3436428 B2 JP3436428 B2 JP 3436428B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、広い温度範囲にわたっ
て柔軟性を有し、かつ強靱であるという特徴を有し、自
動車バンパー、消音ギヤ、スポーツシューズソール、チ
ューブ、ホースなどに使用でき、機械的物性および熱的
物性などの物性バランスが良く、外観の優れた成形品を
与える新規な熱可塑性エラストマー組成物に関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】従来より、硬質ゴム状または皮革状の成
形品を与える素材としては、軟質塩化ビニル樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ナイロ
ン12、ポリエステル系エラストマーなどが一般的に使
用されている。 【0003】しかしながら、軟質塩化ビニル樹脂は耐寒
性、エチレン−酢酸ビニル樹脂は耐摩耗性、熱可塑性ウ
レタン樹脂は成形加工性、ナイロン12は耐寒性、ポリ
エステル系エラストマーは耐加水分解性、耐熱老化性と
それぞれにおいて難点もしくは要改良点を有しており、
これらが実用途開拓上の障害となっている。また、特開
昭61−40355号公報には、ブロック共重合タイプ
のポリエステル系エラストマーとカルボキシ基および/
またはエポキシ基含有オレフィン重合体とを配合するこ
とにより、ポリエステル系エラストマーの耐加水分解
性、耐熱老化性を改良する方法が開示されている。しか
しながら、この組成物はポリエステル成分がブロック共
重合タイプのエラストマーであるゆえに、剛性、耐熱
性、耐衝撃性、耐油性、電気特性などの物性バランスが
十分でない。 【0004】さらに、特開昭55−137154号公報
には、ポリアルキレンテレフタレートとエチレン・グリ
シジルメタクリレート共重合体、およびエポキシ系化合
物、イソシアネート系化合物、カルボン酸無水物からな
る群より選ばれた多官能性化合物を配合することが提案
されている。また特開昭61−221260号公報に
は、熱可塑性ポリエステルと無水マレイン酸グラフトエ
チレン・プロピレンランダム共重合体およびエチレン・
グリシジルメタクリレート共重合体を配合することが提
案されている。しかしながら、これらの組成物は、エラ
ストマーとしての剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐油性など
のバランスが良好でない。 【0005】さらに、特開昭63−113056号公報
には、飽和ポリエステル樹脂に不飽和エポキシ化合物と
エチレンとの共重合体を溶融混練により配合することに
より、相溶性を改善し、低温時の耐衝撃性に優れ、剛性
とのバランスも良好な組成物が得られることが提案され
ているが、産業的に使用するためには低温耐衝撃性、耐
熱性、耐油性、剛性などのバランスが十分でない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、飽和
ポリエステル樹脂の特徴である耐熱性、耐摩耗性、耐薬
品性に加えて、耐寒性、特に低温時の耐衝撃性およびゴ
ム弾性と剛性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー
組成物を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる観
点より飽和ポリエステル樹脂にエポキシ変性ブロック共
重合体を配合してなるポリエステル系エラストマーを広
汎かつ緻密に探索検討した結果、特定の多官能性化合物
を配合することにより耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性、耐
寒性、特に低温時の耐衝撃性およびゴム弾性と剛性との
バランスに優れる各種成形品用熱可塑性エラストマー組
成物が得られることを見いだし、本発明に到達した。 【0008】すなわち本発明は、 (イ)飽和ポリエステル樹脂、 (ロ)ビニル芳香族化合物の重合体ブロック、部分的に
エポキシが付加した共役ジエン化合物重合体ブロックお
よび/または部分的にエポキシが付加した水素化共役ジ
エン化合物重合体ブロックとからなるエポキシ変性ブロ
ック共重合体、および、 (ハ)アミノ基、カルボン酸無水物基、カルボキシル基
および−C(=X)−NH−C(=Y)−単位(式中X
およびYは共に酸素原子または硫黄原子、もしくは一方
が酸素原子で他方が硫黄原子であることを表す。)のう
ちから選ばれる同一または異なる官能基を少なくとも2
個以上含む多官能性化合物からなり、成分(イ)の配合
割合が15〜55重量%の範囲にあり、成分(ロ)の配
合割合が42〜85重量%の範囲にあり、かつ成分
(ハ)の配合割合が0.01〜25重量%の範囲(成分
(イ)、(ロ)および(ハ)の合計は100重量%)に
あることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物であ
る。以下本発明を詳細に説明する。 【0009】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の構
成成分(イ)の飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸
成分の少なくとも40モル%がテレフタル酸であるジカ
ルボン酸成分、およびジオール成分からなる。上記テレ
フタル酸以外のジカルボン酸成分としては、アジピン
酸、セパシン酸、ドデカンジカルボン酸などの炭素数2
〜20の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、またはシク
ロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸の単
独ないしは混合物が挙げられる。また、上記ジオール成
分としてはエチレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジオールなどの脂肪族グリコール、脂環式グリコー
ルの単独または混合物が挙げられる。これらの中でも、
特にポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテ
レフタレートの場合に本発明の効果がより望ましく発揮
できる。また溶媒としてo−クロロフェノールを用い2
5℃で測定した固有粘度が0.5〜3.0dl/gの範
囲であることが好ましく、この範囲の飽和ポリエステル
樹脂を使用した場合には、機械的強度に特に優れる。 【0010】次に本発明の熱可塑性エラストマー組成物
の構成成分であるエポキシ変性ブロック共重合(ロ)に
ついて述べる。エポキシ基含有ブロック共重合体(ロ)
を構成するビニル芳香族化合物として、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三級
ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、p−メチルスチレ
ン、1,1−ジフェニルスチレン等のうちから1種また
は、2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、
イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル
−1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,
3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等の
内から1種、または2種以上が選ばれ、中でもブタジエ
ン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。 【0011】ここでいうブロック共重合体とは、ビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブ
ロック共重合体をいい、ビニル芳香族化合物と共役ジエ
ン化合物の共重合比は5/95〜70/30であり、特
に10/90〜60/40の範囲が好ましい。また、本
発明に供するブロック共重合体の数平均分子量は5,0
00〜600,000、好ましくは10,000〜50
0,000の範囲であり、分子量分布[重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)]は10以下である。またブロック重合体の分子構
造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の
組み合わせのいずれであってもよい。例えば、A−B−
A、B−A−B−A、(A−B−)4Si、A−B−A
−B−A等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジ
エン化合物ブロック重合体である。さらにブロック重合
体の共役ジエン化合物の不飽和結合は部分的に水素添加
したものでもよい。 【0012】本発明に供するブロック重合体の製造方法
としては、上記した構造を有するものであればどのよう
な製造方法もとることもできる。例えば、特公昭40−
23798号、特公昭47−3252号、特公昭48−
2423号、特願昭49−105970号、特願昭50
−27094号、特公昭46−32415号、特開昭5
9−166518号、特公昭49−36957号、特公
昭43−17979号、特公昭56−28925号公報
に記載された方法により、リチウム触媒などを用いて不
活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブ
ロック共重合体を合成することができる。さらに特公昭
42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、
あるいは特開昭59−133203号公報に記載された
方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水
素添加して、本発明に供する部分的に水添したブロック
共重合体を合成することができる。本発明では上記した
ブロック共重合体をエポキシ化することにより本発明で
使用されるエポキシ変性ブロック共重合体が得られる。 【0013】本発明におけるエポキシ変性ブロック共重
合体は上記のブロック共重合体を不活性溶媒中でハイド
ロパーオキサイド類、過酸類などのエポキシ化剤と反応
させることにより得ることができる。過酸類としては過
ギ酸、過酢酸、過安息香酸の混合物を過酸化水素と、あ
るいは有機酸を過酸化水素と、あるいはモリブデンヘキ
サカルボニルをターシャリブチルハイドロパーオキサイ
ドと併用して触媒効果を得ることができる。また、エポ
キシ化剤の最適量は、使用する個々のエポキシ化剤、所
望されるエポキシ化度、使用する個々のブロック共重合
体などのごとき可変要因によって決めることができる。
なお、得られたエポキシ変性共重合体の単離は適当な方
法、例えば貧溶媒で沈澱させる方法、重合体を熱水中に
攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、直接脱溶媒
法などで行うことができる。 【0014】本発明で使用される構成成分(ハ)の多官
能性化合物としては、アミノ基、カルボン酸無水物基
C(=X)−NH−C(=Y)−単位から選ばれる官
能基を1分子中に2個以上含むものが挙げられる。この
多官能性化合物(ハ)の分子量には特に制限はなく高分
子化合物も含まれる。 【0015】成分(ハ)の多官能性化合物のアミノ基を
一分子中に2個以上含有する化合物について以下に具体
例を挙げる。例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミ
ン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,4−ジア
ミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、エチレンジア
ミン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族ジアミン類;ヘ
キサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミン
カルバメート等の脂肪族ジアミンカルバメート類;ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、エチル
アミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、2
−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、アミノエチ
ルエタノールアミン、1,3−ビス(3−アミノプロポ
キシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,3,6−トリ
スアミノメチルヘキサン、イミノビスプロピルアミン、
メチルイミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレ
ン)トリアミン等の脂肪族ポリアミン類;メンセンジア
ミン、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジアミノ
シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミ
ノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等の脂環族ポリ
アミン類;m−キシリレンジアミン、テトラクロル−p
−キシリレンジアミン等の芳香環を持つ脂肪族ポリアミ
ン類;m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエ
ーテル、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノジフ
ェニルスルホン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−ト
ルイジン)、4,4’−チオジアニリン、o−フェニレ
ンジアミン、ジアニシジン、メチレンビス(o−クロロ
アニリン)、2,4−トルエンジアミン、ビス(3,4
−ジアミノフェニル)スルホン、ジアミノジトリルスル
ホン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、4−メト
キシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−アミ
ノベンジルアミン等の芳香族アミン類;1,3−ビス
(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシクロキサン等のケイ素を含有するポリアミン類な
どが挙げられる。また、アミン変性シリコンオイル;末
端官能基がアミンであるブタジエン−アクリロニトリル
共重合体;N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメ
チレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメ
チルジエチレントリアミン等の第三級アミン化合物;エ
チレンとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
の共重合体等のエチレン単位とα,β−不飽和カルボン
酸N,N−ジアルキルアミノアルキルエステル単位から
なるエチレン共重合体;エチレンとN,N−ジメチルア
ミノプロピルアクリルアミドの共重合体等のエチレン単
位とN,N−ジアルキルアミノアルキルα,β−不飽和
カルボン酸アミド単位からなるエチレン共重合体;コハ
ク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタ
ル酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド等のジ
ヒドラジド化合物;ジアミノマレオニトリル;ソラミン
等も使用できる。さらに2,4,6−トリス(ジメチル
アミノメチル)フェノール、2−エチル−4−メチルイ
ミダゾール等のイミダゾール類などのエポキシ樹脂硬化
剤も使用できる。 【0016】成分(ハ)の多官能性化合物のカルボン酸
無水物基を一分子中に2個以上含有する化合物として
は、エチレン単位および無水マレイン酸単位からなるエ
チレン共重合体、イソブチレンと無水マレイン酸の共重
合体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体等が挙げら
れ、これらの共重合体にはさらに共重合体成分として、
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルあるいはカ
ルボン酸ビニルエステルなどを含有していてもよい。 【0017】例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのアクリル酸、
メタクリル酸のアルキルエステル、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニルなどを共重合体成分として含有していても
よい。さらに無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテー
ト)等も挙げられる。 【0018】成分(ハ)の多官能性化合物のカルボキシ
ル基を一分子中に2個以上含有する化合物としてはシュ
ウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカンジカルボン酸、カルバリル酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、エチ
レン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共
重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸メチルエス
テル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチ
ルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル
酸ブチルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸−酢
酸ビニルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸−
メタクリル酸メチルエステル共重合体、エチレン−メタ
クリル酸−メタクリル酸エチルエステル共重合体、エチ
レン−メタクリル酸−メタクリル酸ブチルエステル共重
合体、エチレン−メタクリル酸−酢酸ビニルエステル共
重合体などの脂肪族多価カルボン酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリ
ット酸などの芳香族多価カルボン酸が挙げられ、とくに
脂肪族多価カルボン酸が好ましく使用できる。 【0019】成分(ハ)の多官能性化合物の−C(=
X)−NH−C(=Y)−を一分子中に2個以上含有す
る化合物としては、複素環式化合物、芳香族化合物、脂
肪族化合物のものが挙げられる。複素環式化合物として
はパラバン酸、アロキサン、アロキサンチン、アロキサ
ン−5−オキシム、バルビツル酸、5,5−ジエチルバ
ルビツル酸、5−エチル−5−フェニルバルビツル酸、
5−(1−メチルブチル)−5−アリルバルビツル酸、
5,5−ジアリルバルビツル酸、イソシアヌル酸などお
よびこれらの化合物の−C(=O)−の酸素原子を硫黄
原子で置換したもの、たとえば2,4−ジチオバルビツ
ル酸、2−チオバルビツル酸などが挙げられる。また、
芳香族化合物としてはピロメリット酸ジイミド、メリッ
ト酸トリイミド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカ
ルボン酸ジイミドおよびこれらに対応するチオイミドが
挙げられる。また、脂肪族化合物としてはトリウレッ
ト、1−メチルトリウレット、1,1−ジエチルトリウ
レットなどが挙げられる。さらに多官能性化合物(ハ)
として1分子中に1個以上のカルボキシル基とアミノ
基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシル基および−C
(=X)−NH−C(=Y)−から選ばれる1個以上の
官能基を有するものも含まれる。例えばその具体的な例
として4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、12−
アミノドデカン酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキ
シヘキサン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒド
ロキシバルビツル酸、5−アミノバルビツル酸、5−ヒ
ドロキシイミノバルビツル酸などが挙げられる。なお、
成分(ハ)としては、以上挙げたすべての多官能性化合
物を併用してもさしつかえない。 【0020】本発明による熱可塑性エラストマー組成物
において、構成成分(イ)の配合割合は15〜55重量
%の範囲、好ましくは20〜50重量%の範囲である。
成分(イ)の配合割合が15重量%未満では、耐熱性、
耐油性が不十分となり、一方55重量%を超えると剛
性、耐寒性、特に低温時の耐衝撃性および柔軟性におい
て好ましい結果が得られない。 【0021】本発明において成分(ハ)の多官能性化合
物の配合割合は、エポキシ基に対する反応性によって調
節する必要があるが、0.01〜25重量%であり、特
に0.1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。成
分(ハ)の多官能性化合物の配合割合が0.01重量%
未満では耐衝撃性などの機械的物性の改良効果が満足で
きるものではなく、逆に20重量%を超えると、その増
量効果は認められなくなる。一般的に、通常耐衝撃性を
改良すれば、剛性が低下し、耐熱変形性が悪くなり、耐
油性も悪くなる傾向がある。ところが本発明による組成
物においては、成分(ハ)の多官能性化合物を配合する
ことにより、耐衝撃性を向上させ、かつ剛性を向上し、
耐熱変形性を改良し、耐油性の改良に成功しており、こ
れは予見できない改良効果である。以上の構成成分
(イ)と(ハ)の合計配合割合の100重量%からの差
が構成成分(ロ)の配合割合であり、42〜85重量%
の範囲内から選ばれる。 【0022】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製
造する方法は溶融状態で混練する方法が用いられる。成
分(イ)の飽和ポリエステル樹脂、成分(ロ)のエポキ
シ変性ブロック共重合体、および成分(ハ)の多官能性
化合物を同時に溶融混練してもよい。あるいは、成分
(ロ)と成分(ハ)を溶融混練−ペレット化し、このペ
レットを飽和ポリエステル樹脂(イ)に添加し、溶融混
練してもよい。また、成分(イ)と成分(ロ)とを溶融
混練してなる組成物に対して、さらに後段で成分(ハ)
を添加し溶融混練してもよい。さらに成分(ハ)多官能
性化合物と、この成分(ハ)に対して不活性な樹脂とを
予め溶融混練してマスターバッチを作っておき、本発明
の熱可塑性樹脂組成物を製造するときに適量添加して溶
融混練することも好ましい方法である。本発明におい
て、溶融混練により顕著な物性改良効果が発生する理由
は、適度な架橋作用により良好な物性を有するポリマー
のミクロ分散状態ができるためであると考えられる。 【0023】溶融混練には、一般に使用されている一軸
もしくは二軸などの各種押出機、バンバリーミキサー、
ロール、各種ニーダー等の混練装置を用いることができ
る。本発明の樹脂組成物には、その成形性、物性を損な
わない限りにおいて他の成分、例えば顔料、染料、補強
剤、充填剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、核剤、
滑剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤等の添加剤等、ある
いは他の重合体を添加配合することができる。特に各種
の表面処理がなされているガラス繊維、炭素繊維、タル
ク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムなどの補強剤
や充填剤を本発明の樹脂組成物に添加すると、高剛性で
しかも衝撃強度の高い極めて有用な材料を得ることがで
きる。なお、本発明の混練された樹脂組成物は射出成
形、押出成形その他の各種成形加工法によって成形され
る。 【0024】 【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらにより限定されるものではない。 【0025】(測定方法)実施例中の物性測定は以下の
方法で行った。 (1)耐熱変形性(ヒートサグ):サンプルを片持梁に
保持し、100℃の熱風炉中に2時間放置した時に発生
するたわみ量を測定した(サンプル形状は100x20
x2tmm)。 (2)曲げ弾性率:JIS K7203(厚さ2mm)
に従って実施した。 (3)引張破断点強度および伸び:JIS K6301
(厚さ2mm)に従って実施した。 (4)アイゾット衝撃強度:JIS K7110(厚さ
4mm、測定温度−20℃、V−ノッチ付)に従って実
施した。NBは50kgcm/cm以上であり、試験片
が破断しなかったことを示す。 (5)耐油性:JIS K6301に従って、潤滑油N
o.3を使用し、70℃で22時間浸漬し、重量増加を
測定して実施した。 【0026】(参考例1:エポキシ変性ブロック共重合
体(1)の製法)攪拌機、還流冷却管、および温度計を
備えたジャケット付反応器に水添スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体(旭化成(株)製、タフテック H−
1041)400g、シクロヘキサン1500gを仕込
み、ついで過酢酸の30wt%酢酸エチル溶液39gを
連続滴下させ、攪拌下50℃で3時間エポキシ化反応を
おこなった。反応液を常温にもどして反応器より取り出
し、水洗を行いスチームストリッピングにより溶剤を除
去し、エポキシ変性ブロック共重合体を得た。得られた
エポキシ変性ブロック共重合体を共重合体(1)とす
る。なお、共重合体のエポキシ等量は5,340であ
る。 【0027】(参考例2:エポキシ変性ブロック共重合
体(2)の製法)攪拌機、および温度計を備えたジャケ
ット付反応器にポリスチレン−ポリブタジエン−ポリス
チレンのブロック共重合体(日本合成ゴム(株)製、商
品名:TR2000)300g、シクロヘキサン3,0
00gを仕込み溶解し、温度60℃、水添触媒としてジ
−p−トリルビス(1−シクロペンタジエニル)チタニ
ウム/シクロヘキサン溶液(濃度1ミリモル/1)40
mlと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5ミリモル/
1)8mlとを0℃、2.0kg/cm2の水素圧下で
混合したものを添加、水素分圧2.5kg/cm2にて
30分間反応させた。得られた部分水添重合体溶液は、
減圧乾燥により溶剤を除去した(ブタジエン部全体の水
添率30%)。この部分水添重合体300gとシクロヘ
キサン1,500gを仕込み溶解した。ついで過酢酸の
30wt%酢酸エチル溶液300gを連続滴下させ、攪
拌下40℃で3時間エポキシ化反応をおこなった。反応
液を常温にもどして反応器より取り出し、多量のメタノ
ールを加えて重合体を析出させ、濾別後水洗し、乾燥さ
せエポキシ変性ブロック共重合体を得た。得られたエポ
キシ変性ブロック共重合体を共重合体(2)とする。な
お、重合体のエポキシ等量は275である。 【0028】(参考例3:エポキシ変性ブロック共重合
体(3)の製法)攪拌機、還流冷却管、および温度計を
備えたジャケット付反応器にポリスチレン−ポリブタジ
エン−ポリスチレンのブロック共重合体(日本合成ゴム
(株)製、商品名:TR2000)300g、酢酸エチ
ル1,500gを仕込み溶解した。ついで過酢酸の30
wt%酢酸エチル溶液169gを連続滴下させ、攪拌下
40℃で3時間エポキシ化反応をおこなった。反応液を
常温にもどして反応器より取り出し、多量のメタノール
を加えて重合体を析出させ、濾別後水洗し、乾燥させエ
ポキシ変性重合体(3)を得た。得られたエポキシ変性
ブロック共重合体のエポキシ等量は470である。 【0029】(実施例1〜11)30mmφベント付単
軸押出機を用いて240℃で、表−1に示す成分
(イ)、成分(ロ)、および成分(ハ)を表−1に示す
配合割合で溶融混練し、それぞれのエラストマー組成物
を得た。各々のエラストマー組成物について、120℃
で3時間乾燥して成形材料とし、射出成形機を用いて、
成形温度250℃で、金型温度80℃にて物性測定用試
験片を作製した。得られた試験片の耐熱変形性、曲げ弾
性率、引張破断点強度、伸び、アイゾット衝撃強度およ
び耐油性の測定結果は表−1に示す通りであった。な
お、使用した成分(ハ)の多官能性化合物を表−2に示
す。 【0030】(比較例1〜3)本発明の組成物の構成成
分(イ)と(ロ)の配合割合を変え(比較例1,2)あ
るいは成分(ハ)の多官能性化合物を添加しなかった
(比較例3)以外は、実施例1と同様に溶融混練し物性
測定を行った。その測定結果は表−3に示す通りであっ
た。 【0031】(比較例4)本発明の構成成分(ロ)とし
てエポキシ基を含有しない共重合体を用いた以外、実施
例1と全く同じ方法により行った。 【0032】(実施例12〜15)30mmφベント付
単軸押出機を用いて250℃で、表−1に示す成分
(イ)、成分(ロ)、成分(ハ)を表−1に示す配合割
合で溶融混練し、それぞれのエラストマー組成物を得
た。各々のエラストマー組成物について、120℃で3
時間乾燥して成形材料とし、射出成形機を用いて、成形
温度250℃で、金型温度80℃にて物性測定用試験片
を作製した。得られた試験片の耐熱変形性、曲げ弾性
率、引張破断点強度、伸び、アイゾット衝撃強度および
耐油性の測定結果は表−1に示す通りであった。 【0033】(比較例5,6)本発明の組成物の構成成
分(イ)と(ロ)の配合割合を変え、あるいは成分
(ハ)の多官能性化合物を添加しなかった他は実施例1
2と同様に溶融混練し、物性測定を行った。その測定結
果は表−3に示す通りであった。剛性が低く、耐衝撃性
も不充分であり、耐油性も不良であった。 【0034】(比較例7)本発明の成分(ロ)としてエ
ポキシ基を含有しない共重合体を用いた以外、実施例1
2と全く同じ方法により行った。 【0035】 【表1】【0036】 【表2】【0037】 【表3】【0038】 【発明の効果】以上述べたように、本発明による熱可塑
性エラストマー組成物は、機械的物性および熱的物性な
どの成形品諸物性のバランスが非常に良好であり、外観
も良好である点において顕著な効果を発揮する。特に成
分(ハ)の配合添加により、耐衝撃性を低下させずに剛
性を大きくし、耐熱変形性を改良できたのは予見できな
い改良効果であるといえよう。また、本発明により提供
される新規な柔軟性に富むエラストマー組成物は、通常
のポリエステル系エラストマーに用いられる成形加工
法、例えば、射出成形、押出成形などの成形加工法によ
り容易に成形品、シート等に加工され、耐熱性、耐摩耗
性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性等の物性バランス
が極めて良好で、かつ外観の均一性および平滑性の優れ
た製品を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 101:02)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(イ)飽和ポリエステル樹脂、 (ロ)ビニル芳香族化合物の重合体ブロック、部分的に
    エポキシが付加した共役ジエン化合物重合体ブロックお
    よび/または部分的にエポキシが付加した水素化共役ジ
    エン化合物重合体ブロックとからなるエポキシ変性ブロ
    ック共重合体、および、 (ハ)アミノ基、カルボン酸無水物基、カルボキシル基
    および−C(=X)−NH−C(=Y)−単位(式中X
    およびYは共に酸素原子または硫黄原子、もしくは一方
    が酸素原子で他方が硫黄原子であることを表す。)のう
    ちから選ばれる同一または異なる官能基を少なくとも2
    個以上含む多官能性化合物からなり、 成分(イ)の配合割合が15〜55重量%の範囲にあ
    り、成分(ロ)の配合割合が42〜85重量%の範囲に
    あり、かつ成分(ハ)の配合割合が0.01〜25重量
    %の範囲(成分(イ)、(ロ)および(ハ)の合計は1
    00重量%)にあることを特徴とする熱可塑性エラスト
    マー組成物。
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