JP3436027B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

Info

Publication number
JP3436027B2
JP3436027B2 JP33728896A JP33728896A JP3436027B2 JP 3436027 B2 JP3436027 B2 JP 3436027B2 JP 33728896 A JP33728896 A JP 33728896A JP 33728896 A JP33728896 A JP 33728896A JP 3436027 B2 JP3436027 B2 JP 3436027B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speed
gear ratio
rotation speed
acceleration
upper limit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33728896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10176750A (ja
Inventor
裕介 皆川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP33728896A priority Critical patent/JP3436027B2/ja
Publication of JPH10176750A publication Critical patent/JPH10176750A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3436027B2 publication Critical patent/JP3436027B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機を備え
た車両の変速制御装置の改良に関し、特にマニュアルモ
ードを備えた無段変速機の変速制御装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】車両に用いられる無段変速機としては、
従来からベルト式やトロイダル式があり、これら無段変
速機の変速制御装置では、車速VSPとスロットル開度
TVO(またはアクセル開度)に応じて目標変速比を決
定する自動変速モードに加えて、従来のマニュアル変速
機と同様に、任意の変速段を設定可能なマニュアルモー
ドを備えたものが知られており、例えば、本願出願人が
提案した、特願平8−4810号等がある。
【0003】これは、シフトレバーをアップシフトまた
はダウンシフトの位置へ操作することにより、無段変速
機の変速比を任意の変速段に設定するマニュアルモード
を備えたもので、車速VSPやスロットル開度TVOに
拘わらず、運転者が所望の変速比を選択可能としたもの
である。
【0004】このような、無段変速機のマニュアルモー
ドは、例えば、図22に示すように、マニュアルモード
の変速段SPを1速から6速の6段構成とし、各変速段
SPに応じて変速比i(1)〜i(6)を予め設定し、
シフトレバーの操作に応じて変速比i(n)を切り換
え、これら手動で決定される変速比i(n)は、従来の
マニュアル変速機の変速段に相当する。
【0005】ところで、このようなマニュアルモードで
は、運転者が設定した変速比でアクセルペダルを踏み続
けたまま走行すると、エンジンの許容回転数を超える場
合があるため、無段変速機の変速制御装置ではこのよう
なエンジンのオーバーレブ(過回転)を防止するため
に、エンジン回転数または無段変速機の入力回転数が予
め設定した上限値Nelimを超えないように、変速比を
自動的に変更している。
【0006】いま、例えば、図中1速(SP=1)を選
択して加速を続けると、エンジン回転数または入力軸回
転数が上限回転数Nelimを超えようとすると、無段変
速機の変速比を自動的かつ連続的にHi側へ変更し、エ
ンジン回転数を減少させてオーバーレブを防止してい
る。なお、無段変速機側で設定される上限回転数Ne
limは、図22のように、エンジンの過回転を防止する
ためにエンジン制御コントローラが実行する燃料カット
回転数Nfcよりも小さい値に設定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の無段変速機の変速制御装置においては、上記上限回
転数Nelimを超えようとすると、運転者が設定した変
速段SPにかかわらずHi側の変速比へ自動的に変速を
行って、エンジン回転数が燃料カット回転数Nfcを超
えるのを防止しているため、例えば、1速(SP=1)
で加速して車速VSP(1)を超えて目標入力軸回転数
がNelimに到達すると、変速比が連続的にHi側へ変
更されるとともに、変速段SPの設定値は1速(SP=
1)から2速(SP=2)へ自動的にアップシフトされ
るため、次に、運転者がアップシフトの操作を行うと、
2速から3速(SP=3)へのアップシフトとなるが、
運転者は1速から2速へのアップシフトであると誤認識
して、現在の変速段が把握できなくなる場合があった。
【0008】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、マニュアルモードにおいて上限回転数付近
で運転を行うような場合でも、運転者が変速位置を誤認
識するのを防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図23に
示すように、無段変速機10に連結されるエンジンと、
前記エンジンが許容回転数を超えないように第1の回転
数を超えたときに出力を規制する過回転防止手段103
と、車両の運転状態に応じて前記無段変速機10の目標
変速比を設定する第1目標変速比設定手段100と、運
転者によって操作される変速指令手段108からの信号
に基づいて、無段変速機10の目標変速比を予め設定し
た複数の変速段のうちのひとつに設定する第2目標変速
比設定手段101と、前記第1目標変速比設定手段10
0と第2目標変速比設定手段101とを選択的に切り換
える変速モード切換手段102と、前記変速モード切換
手段102の出力に基づいて無段変速機10の変速比を
変更する変速制御手段104とを備えた無段変速機の変
速制御装置において、前記変速モード切換手段102が
第2目標変速比設定手段101を選択したときに、運転
者の加減速意図を検出する加減速意図検出手段105
と、前記第2目標変速比設定手段の加速側上限回転数を
前記第1回転数よりも大きく設定する一方、前記第2目
標変速比設定手段の減速側上限回転数を前記第1回転数
よりも小さく設定する上限回転数設定手段106と、前
記加減速意図検出手段106が運転者の加速意図を検出
したときに前記加速側上限回転数を選択する一方、同じ
く加減速意図検出手段が運転者の減速意図を検出したと
きに前記減速側上限回転数を選択する上限回転数切換手
段107とを備え、前記変速制御手段104は選択され
た上限回転数を超えないように変速比を制御する。
【0010】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記加減速意図検出手段は、アクセルペダルの解
放状態のときに運転者の減速意図を検出する一方、その
他の場合に運転者の加速意図を検出する。
【0011】また、第3の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記第2目標変速比設定手段は、減速側の目標変
速比を加速側の目標変速比に比してHi側に設定する。
【0012】また、第4の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記第2目標変速比設定手段は、実際の変速比を
目標変速比へ向けて変化させるための時定数設定手段を
備え、この時定数設定手段は時定数付与回転数をLow
側の変速段になるほど小さく設定する。
【0013】また、第5の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記第2目標変速比設定手段は、無段変速機の入
力軸回転数が加速側上限回転数または減速側上限回転数
へ到達したときに、運転者が設定した変速段の上限回転
数となったことを警告する警告手段を備える。
【0014】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、変速モード
切換手段により第2目標変速比設定手段を設定すると、
無段変速機の変速比は運転者が設定した変速段に設定さ
れるとともに、運転者の加減速意図に応じてエンジン制
御手段が過回転を防止するため出力を規制する第1回転
数の上下に加速側上限回転数と減速側上限回転数が設定
され、運転者の加減速意図に応じてこれら上限回転数が
切り換えられるため、加速側ではエンジン回転数が第1
回転数を超えて出力が規制されることにより、加速度も
急減し、運転者は従来のマニュアル式変速機と同様に、
エンジンの許容回転数を超えて加速を継続した場合の加
速度の頭打ちを体感することにより、設定した変速段の
上限回転数が近づいたことを確実に認識することがで
き、さらに、加速を継続した場合には、変速比を連続的
にHi側へシフトして過回転を防止でき、一方減速側で
は、ダウンシフト等の際には、入力軸回転数が出力が規
制される第1回転数よりも小さい減速側上限回転数に規
制されるため、シフト位置を固定したまま再加速を行う
と、再び上記加速時と同様に、第1回転数を超えて出力
規制によるエンジン出力の急減により加速度も急減し、
運転者は加速度の頭打ちを体感して、ダウンシフト後の
変速段における上限回転数が近づいたことを認識するこ
とができ、従来のマニュアル式変速機と同様の運転感覚
を味わうことが可能となって、エンジンの過回転を防止
しながらも常時シフト位置を認識することが可能となっ
て、前記従来例に比して、マニュアルモードを備えた無
段変速機の運転性を大幅に向上させることが可能となる
のである。
【0015】また、第2の発明は、アクセルペダルの操
作状態に基づいて運転者の加減速意図を検出するため、
加減速意図を容易かつ迅速に検出することが可能とな
る。
【0016】また、第3の発明は、加速側と減速側の変
速比に若干差を設けて、加速側の変速比をLow側に設
定したため、シフトダウンを行ってから加速を行う際に
は、同一の変速段SPでありながら加速側の変速比が若
干Low側に設定されているため、迅速に加速を行うが
可能となり、常時シフト位置を認識させながら、マニュ
アルモードを備えた無段変速機の運転性をさらに向上さ
せることが可能となる。
【0017】また、第4の発明は、実際の変速比を目標
変速比へ向けて変化させる時定数の設定回転数をLow
側の変速段になるほど小さく設定したため、Low側の
変速段でのエンジン回転数の上昇速度を緩やかに変化さ
せることができ、出力規制制御による加速度の過大な減
少を抑制することで車両の挙動を安定させて運転性を向
上させるとともに、入力軸回転数のオーバーシュートを
確実に防いで、エンジンの過回転防止制御を正確に行う
ことができ、マニュアルモードを備えた無段変速機の運
転性をさらに向上させるとともに、制御精度の向上を図
ることができる。
【0018】また、第5の発明は、無段変速機の入力軸
回転数が加速側上限回転数または減速側上限回転数へ到
達したときに、警告手段は運転者が設定した変速段の上
限回転数となったことを警告するため、運転者は第1回
転数を超えたときのエンジン出力の低下と、警告手段か
らの警告により現在の変速段の上限を容易かつ確実に認
識することができ、前記従来例に比して、マニュアルモ
ードを備えた無段変速機の操作性及び運転性を向上させ
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。
【0020】図1は、無段変速機として、ダブルキャビ
ティ型の無段変速機10を採用した無段変速装置1に本
発明を適用した一例を示し、トルクコンバータ12及び
前後進切換装置40を介して、無段変速機10へエンジ
ンの駆動力が入力される。
【0021】そして、無段変速装置1は、変速制御コン
トローラ2の指令値に応動するステップモータ61が、
油圧制御装置4を介して無段変速機10の変速比を制御
するものである。
【0022】無段変速機10としてはハーフトロイダル
型の第1トロイダル変速部18と第2トロイダル変速部
20から構成されて2組の入出力ディスクを備えたダブ
ルキャビティ型で構成した例を示し、第1トロイダル変
速部18の入力ディスクと出力ディスクとの間に挟持さ
れるパワーローラ18cは、図2に示すように、オフセ
ットされた回転軸50bに軸支され、この回転軸50b
を図中上下方向へ駆動するとともに軸回りに回動可能な
トラニオン軸50aは、油圧シリンダ50によって軸方
向へ駆動される。なお、図2では第1トロイダル変速部
18のパワーローラ18cについて説明したが、第2ト
ロイダル変速部20のパワーローラも同様に構成され
る。
【0023】そして、トラニオン軸50aの上下方向の
変位に応じてパワーローラ18cの傾斜角(トラニオン
軸50aの軸まわり変位)を変更することで変速比を連
続的に変更する。
【0024】変速制御コントローラ2は、運転者のアク
セルペダル(図示せず)操作に応動するスロットル開度
TVO(又はアクセルペダル開度ACS)と、エンジン
回転数Neをエンジン制御コントローラ3から読み込む
とともに、無段変速機10の入力軸回転センサ6が検出
した入力軸回転数Nt、出力軸回転センサ7が検出した
出力軸回転数No、変速指令手段および変速モード切換
手段としてのシフトレバー5に応動するセレクトスイッ
チ5Aから、運転者が設定したシフト位置Posをそれ
ぞれ読み込んで、後述するように、運転者が選択した自
動変速モードとマニュアルモードのうちの一方の変速マ
ップに基づいて、予め設定した変速マップから運転状態
に応じた実目標入力軸回転数RREVを求めて、変速比
変更手段を駆動するアクチュエータとしてのステップモ
ータ61(図1、図2参照)へ目標変速比RTOとPI
制御等によるフィードバック制御量に応じた制御量AS
TPを指令するもので、ステップモータ61の駆動量
(ステップ数FSTP)と変速比(実目標変速比RRT
O)の関係は図15に示すように一義的に決定される。
【0025】一方、エンジン制御コントローラ3は、前
記従来例と同様に、運転状態に応じた燃料噴射量制御、
点火時期制御を行うもので、エンジン回転数Neが所定
の回転数Nfcを超えようとすると、燃料カットによっ
て過回転を防止する制御も行っており、この過回転防止
のための燃料カットは、図4または図19の変速マップ
に示した第1回転数としての燃料カット回転数Nfc以
上の領域で行われ、エンジンの許容回転数は燃料カット
回転数よりも大きな値に設定される。
【0026】ここで、無段変速装置1は、自動変速モー
ドに加えてマニュアルモードを備えており、シフトレバ
ー5のセレクトスイッチ5Aは、例えば、図3に示すよ
うに構成され、「H」型のゲートに、従来のDレンジ等
のシフト位置に加えて、マニュアルモード切換スイッチ
13(変速モード切換手段)とアップスイッチ8及びダ
ウンスイッチ9を付加したもので、シフトレバー5が中
央のマニュアルモード切換スイッチ13を通過するたび
に、Dレンジからマニュアルモードへ、あるいは逆に切
り換えられる。
【0027】マニュアルモードでは、シフトレバー5の
操作によってアップスイッチ8またはダウンスイッチ9
がONになると、図4の変速マップに基づいて、例え
ば、変速段SPが1速〜7速の間で順次切り換えられ、
変速段SPに応じた目標入力軸回転数RREV0(また
は目標変速比)が設定される。
【0028】一方、自動変速モードでは、図示はしない
が、スロットル開度TVO等をパラメータとして車速V
SPに応じた目標入力軸回転数RREV0(または目標
変速比)が設定される。なお、図中「P」、「R」、
「N」はそれぞれ、パーキング、後進、ニュートラルの
シフト位置を示す。
【0029】上記マニュアルモードに対応して、運転者
の視認可能な位置には、点灯や点滅等により、選択した
変速段SPが所定の上限回転数を超えようとしたことを
知らせる警告表示部11が図1に示すように設けられ、
この警告表示部11は変速制御コントローラ2からの警
告信号Fspに基づいて駆動される。
【0030】また、無段変速機10の変速比変更手段と
しては、図2に示すように、トロイダル型で構成された
無段変速機10のパワーローラ18cを軸支したトラニ
オン軸50aを軸方向へ駆動する油圧シリンダ50と、
ステップモータ61の駆動とトラニオン軸50aの変位
に応じて、実変速比をフィードバックしながら油圧シリ
ンダ50へ圧油を供給するコントロールバルブ60を主
体に構成されており、ステップモータ61は変速制御コ
ントローラ2からの指令に応じてスプール63を駆動
し、油圧シリンダ50のピストン50Pの上下の油室5
0H、50Lへ油圧を給排する。
【0031】この油圧に応じたトラニオン軸50aの軸
方向変位と軸まわりの変位(=パワーローラ18cの傾
転角)は、リンクを含んで構成されたならい機構67を
介して、スプール63と相対的に運動するスリーブ64
へフィードバックされ、油圧シリンダ50への油圧は、
目標変速比RTOに応じたステップモータ61の駆動量
と、パワーローラ18cの傾転角、すなわち、実変速比
RTOに応じて調整され、この変速比は図15に示した
ように、ステップモータ61の駆動量に応じて一義的に
決定される。
【0032】次に、変速制御コントローラ2に設定され
たマニュアルモードの変速マップは、図4に示したよう
に、変速段数を7段とした場合の一例を示し、各変速段
SP(n)にはそれぞれ所定の変速比i(n)が設定さ
れる。ただし、n=1〜7である。
【0033】各変速段SP(n)には、加速側(Dri
ve側)の上限回転数Ndと、減速側(Coast側)
の上限回転数Ncが、エンジン制御コントローラ3が過
回転防止制御を行う燃料カット回転数Nfcを挟んだ上
下にそれぞれ設定され、加速側の上限回転数Ndは、燃
料カット回転数Nfcより回転数ΔNxだけ大きく設定
される一方、減速側の上限回転数Ncは、燃料カット回
転数Nfcよりも回転数ΔNxだけ小さく設定され、Δ
Nxは、例えば、1000rpm等に予め設定されてい
る。なお、図中VSP(1d)〜(5d)は各変速段の
加速側で上限回転数Ndに到達する車速VSPを、VS
P(1c)〜(6c)は各変速段の減速側で上限回転数
Ncに到達する車速VSPをそれぞれ示す。
【0034】すなわち、加速側では、1速(SP=1)
を選択して、アクセルペダルを踏み続けていくと、所定
の変速比i(1)で車速VSP=VSP(1d)に到達
し、入力軸回転数(トルクコンバータ12のロックアッ
プ時には入力軸回転数=エンジン回転数Ne)は加速側
上限回転数Ndとなり、その後は、入力軸回転数が上限
値Ndを超えないように変速比がi(1)から連続的に
Hi側へシフトするように設定される。
【0035】一方、減速側では、車速VSP(1c)以
上で2速から1速へダウンシフトを行っても、目標入力
軸回転数は減速側上限値Ncを超えないように、変速比
はi(1)よりもHi側にセットされた後、車速VSP
がVSP(1c)以下になった時点で、変速比は1速の
所定値i(1)に固定されるのである。
【0036】このようなマニュアルモードを備えた変速
制御コントローラ2は、図5、図6の制御概念図に示す
ように、車速VSPとスロットル開度TVO及びセレク
トスイッチ5Aからのシフト位置Posをパラメータと
して、車両の運転状態及び運転者の要求に応じた実目標
入力軸回転数RREVを求める変速判断部70と、この
実目標入力軸回転数RREVと実際の入力軸回転数Nt
の偏差に応じて、例えば、PI制御によるフィードバッ
ク制御部を行って、目標変速比RTOとフィードバック
制御量に応じてステップモータ61を駆動する変速制御
部80に大別される。
【0037】上記変速判断部70は、図6に示すよう
に、自動変速モードのときには、車速VSP、スロット
ル開度TVOに基づいて回転数計算部72が目標入力軸
回転数マップ値RREV0を求め、マニュアルモードの
ときには、シフト位置Posに基づいて変速段決定部7
1が変速段SP(n)を決定した後、回転数計算部72
が図4のマップより目標入力軸回転数マップ値RREV
0を算出する。
【0038】そして、目標回転数変化量決定部73で
は、上記目標入力軸回転数マップ値RREV0から、後
述するような1次遅れの実目標入力軸回転数RREVを
求める。
【0039】ここで、変速制御コントローラ2で行われ
る制御の一例を図7〜図14のフローチャートに示し、
上記図5、図6の制御概念図を参照しながら以下に詳述
する。なお、各フローチャートは所定時間毎、例えば1
0msec毎にそれぞれ実行されるものである。
【0040】まず、図7は車両の運転状態及び運転者の
操作状況を検出する信号計測処理のフローチャートで、
ステップS1では、エンジンの運転状態としてエンジン
制御コントローラ3よりスロットル開度TVO、エンジ
ン回転数Neを読み込む一方、無段変速機10から入力
軸回転数Nt、出力軸回転数Noを読み込むとともに、
運転者の運転意図を検出するため、セレクトスイッチ5
Aからのシフト位置Posを読み込む。
【0041】そして、ステップS2では、車両の運転状
態を示す各値の演算を行うもので、まず、出力軸回転数
Noに変換定数Aを乗じて車速VSPを得るとともに、
入力軸回転数Ntと出力軸回転数Noの比から実変速比
RTOをそれぞれ演算する。
【0042】次に、図8のフローチャートは、上記ステ
ップS1、S2で求めた運転状態に基づいて行われる変
速制御の概要を示すものである。
【0043】ステップS3は、後述するように、車両の
運転状態に応じて目標入力軸回転数マップ値RREV
0、目標変速比マップ値RTO0をそれぞれ演算して、
1次遅れの実目標入力軸回転数RREVを決定する変速
判断部で、上記図5の制御概念図に示した変速判断部7
0に相当する。
【0044】そして、ステップS4では、上記ステップ
S3で求めた実目標入力軸回転数RREVに基づいて、
ステップモータ61の制御量ASTPの演算を行うもの
で、図5の変速制御部80に相当する。
【0045】この変速制御部は、図9のフローチャート
のように、ステップS5で目標変速比RTOに応じたス
テップモータ61の制御位置FSTPを求めてから、ス
テップS6でPI(比例積分)制御によるステップモー
タ61のフィードバック制御量FBSTPを演算し、ス
テップS7で、ステップモータ61等の応答特性に応じ
た制御量ASTPを求める。
【0046】そして、上記ステップS8で求めた制御量
ASTPを、図10のステップS8で、ステップモータ
61に指令して変速比変更手段の駆動を行うとともに、
ステップS9で警告信号Fspを警告表示部11へ出力
する。
【0047】次に、上記図8のステップS3並びに図
5、図6の制御概念図に示した変速判断部は図11、図
12のサブルーチンより構成され、以下に詳述する。
【0048】まず、ステップS10は、セレクトスイッ
チ5Aからのシフト位置Posが、上記Dレンジからマ
ニュアルモードへ切り換えられたか否かを判定し、マニ
ュアルモードが選択された場合にはステップS11へ進
む一方、DレンジのままであればステップS14へ進
む。
【0049】マニュアルモードの場合では、ステップS
11で、シフト位置Posに応じて変速段SPを決定し
てから、ステップS12で車両の加減速状態Mの判定を
行う。
【0050】この車両の加減速の判定は、例えば、走行
抵抗の推定値とスロットル開度TVO等に応じて、運転
者の加速要求または減速要求に応じて加減速状態M=D
rive(加速側)またはM=Coast(減速側)に
設定する。
【0051】上記判定において走行抵抗推定値を用いる
ことで、急な坂道の登坂中等で、車両加速度が一時的に
負(減速)となってもスロットル開度TVOが所定値以
上であれば、加速要求であると判定することができ、運
転者の意図を正確に判定することができる。
【0052】なお、上記走行抵抗推定値の演算について
は、本願出願人が提案した特願平7−309293号等
と同様にモデルマッチング手法等によって行われる。
【0053】次に、ステップS13では、上記図4のマ
ニュアルモードの変速マップから、変速段SPと加減速
状態Mをパラメータとして、車速VSPに応じた目標入
力軸回転数マップ値RREV0を演算する。
【0054】ステップS15では、上記ステップS13
で求めた目標入力軸回転数マップ値RREV0と加減速
状態Mに応じた加速側上限回転数Ndまたは減速側上限
回転数Ncとを比較して、現在の加減速状態Mに応じた
上限回転数以上の場合には、ステップS16へ進んで、
警告フラグFspを1にセットする一方、そうでない場
合にはステップS17へ進んで警告フラグFspを0に
リセットしてステップS18の目標回転数変化量決定部
へ進む。
【0055】一方、上記ステップS10で自動変速モー
ドと判定された場合には、ステップS14へ進んで、図
示しない変速マップより、スロットル開度TVOをパラ
メータと車速VSPから目標入力軸回転数マップ値RR
EV0を求めた後、ステップS18の目標回転数変化量
決定部へ進む。
【0056】ステップS18の目標回転数変化量決定部
は、図12のステップS20〜S24のサブルーチンに
より構成される。
【0057】まず、ステップS20では、前回制御時の
実目標入力軸回転数RREVを前回値RREVoldへ格
納した後、ステップS21で、現在の変速中(変速過渡
状態)か定常状態にあるかを判定して、変速中であれば
ステップS22へ進んで、一次遅れの時定数Krに固定
値K1を代入した後、ステップS24で、ステップS2
2で設定された1次遅れ時定数Kr、上記目標入力軸回
転数マップ値RREV0、前回値実目標入力軸回転数R
REVoldより、次式に基づいて1次遅れの実目標入力
軸回転数RREVを演算する。
【0058】 RREV=(RREV0+RREVold×Kr)/(Kr+1) ……(1) したがって、目標入力軸回転数マップ値RREV0と実
目標入力軸回転数RREVの関係は、図16に示すよう
になり、スロットル開度TVOに応じて設定された1次
遅れ時定数Krにより、実目標入力軸回転数RREVは
マップ値RREV0に向けて漸増し、ステップモータ6
1を目標入力軸回転数マップ値RREV0へ向けて追従
させる。
【0059】一方、上記ステップS21の判定で、定常
状態と判定された場合には、ステップS23へ進んで、
目標入力軸回転数マップ値RREV0を実目標入力軸回
転数RREVへ代入して処理を終了する。
【0060】こうして、一次遅れ時定数Krによって実
目標入力軸回転数RREVを求めて変速判断部を終了す
ると、次に、図8のステップS4に示した変速制御部、
すなわち、図9のステップS5〜S7の処理を行う。
【0061】ステップS5の変速制御量計算部と、ステ
ップS6のフィードバック制御量計算部は、図13のス
テップS30〜S36のサブルーチンで構成されてお
り、ステップS30、S31が変速制御量計算部を、続
くステップS32〜S36がフィードバック制御量計算
部を示す。
【0062】まず、ステップS30では、上記(1)式
で求めた一時遅れの実目標入力軸回転数RREVと、無
段変速機10の出力軸回転数Noの比から実目標変速比
RRTOを求める。
【0063】次に、ステップS31では、この実目標変
速比RRTOから、ステップモータ61の駆動量である
制御ステップ数FSTPを、図15のマップより演算す
る。なお、図15のマップは、ステップモータ61等の
特性に応じて予め設定されたものである。
【0064】続いて行われるフィードバック制御量計算
は、まず、ステップS32で、実目標入力軸回転数RR
EVと入力軸回転数Ntの差Nerrを求め、ステップ
S33では、この回転数差Nerrの積分値を回転数差積
分値Niとして演算する。
【0065】そして、ステップS34では、この回転数
差Nerrに所定の比例ゲインkpを乗じてフィードバッ
ク制御量の比例分FBpを演算する。なお比例ゲインk
pは実変速比RTOと車速VSPに応じた図示しない所
定のマップあるいは関数より決定されるものである。
【0066】ステップS35では、上記ステップS33
で求めた回転数差積分値Niに所定の積分ゲインkiを
乗じてフィードバック制御量の積分分FBiを演算す
る。なお、積分ゲインkiは実変速比RTOと車速VS
Pに応じた図示しない所定のマップあるいは関数より決
定されるものである。
【0067】こうして、ステップS36では、比例分F
Bpと積分分FBiの和からフィードバック制御量FB
STP(ステップ数)を求める。
【0068】次に、図9のステップS7に示すステップ
モータ制御部は、図14に示すサブルーチンのように構
成される。
【0069】まず、ステップS40では、上記変速制御
部のステップS31で求めた制御ステップ数FSTP
と、上記フィードバック制御量計算部のステップS36
で求めたフィードバック制御量FBSTPの和を目標ス
テップ数DSRSTPとして求める。
【0070】そして、ステップS42〜S47では、目
標ステップ数DSRSTPと現在の制御量ASTPか
ら、ステップモータ61の応答速度に応じて制御量AS
TPの演算が行われ、目標制御量DSRSTPが現在の
制御量ASTPよりも大きな場合は、制御量ASTPを
予め設定した制御量DSTPずつ目標値DSRSTPま
で増大する。なお、DSTPは単位時間当たりのステッ
プ数を示し、ステップモータ61の速度特性に応じて予
め設定したものである。
【0071】すなわち、図17において、ステップモー
タ61へ実際に出力する制御量ASTPが目標制御量D
SRSTPとなるまで、所定の制御量DSTPずつ増減
して、コントロールバルブ60のスプール63が所定の
変速比となるようにステップモータ61を駆動する。
【0072】こうして、図7〜図14のフローチャート
から求めた制御量ASTPは、図10に示した信号出力
部のステップS8で、変速制御コントローラ2からステ
ップモータ61へ出力されて、パワーローラ18cを一
次遅れ定数Krに応じた速度で傾転させて、無段変速機
10を実目標変速比RRTOに設定するとともに、警告
フラグFspはステップS9で警告表示部11に出力さ
れ、マニュアルモードの変速段SPで入力軸回転数が上
限回転数NdまたはNc以上となると、警告表示部11
が点灯あるいは点滅して、変速段SPに応じた変速比i
(n)を維持できる限界に達したことを運転者に知らせ
る。
【0073】上記のような無段変速装置1によって、例
えば、シフトレバー5を操作してマニュアルモードの1
速(SP=1)に設定して、アクセルを踏み込んで加速
した場合を考える。なお、以下の説明では、トルクコン
バータ12がロックアップ状態であると仮定し、エンジ
ン回転数Ne=入力軸回転数Ntである。
【0074】いま、入力軸回転数Ntが減速側上限回転
数Ncより低い回転数にあり、スロットル開度TVOの
増大により1速の変速比i(1)に応じて車両は加速
し、上記図11のステップS12、S13では加速要求
と判定されて、加減速状態M=Driveとなって、上
限回転数は加速側上限回転数Ndに設定される。
【0075】車速VSPの増大に応じて入力軸回転数=
エンジン回転数Neが減速側上限回転数Ncを超え、燃
料カット回転数Nfcに達すると、エンジン制御コント
ローラ3は燃料カットによりエンジンの過回転防止制御
を開始する。
【0076】このため、エンジン出力の急減により、加
速度も急減するため、運転者は従来のマニュアル式変速
機と同様に、エンジンの許容回転数を超えて加速を継続
した場合の加速度の頭打ちを体感することにより、1速
における上限回転数Ndが近づいたことを認識すること
ができ、図3のシフトレバー5をアップシフトスイッチ
8側へ操作して2速(SP=2)へシフトアップするこ
とができる。
【0077】ところで、燃料カット回転数Nfcを超え
てさらに加速を続けた場合には、図4において、車速V
SPは図中VSP(1d)まで増大して入力軸回転数N
tが加速側上限回転数Ndに達するため、変速制御コン
トローラ2は目標入力軸回転数RREV=Ndとして、
変速比を連続的にHi側へシフトして過回転を防止す
る。このとき、上記図11のステップS13、S15よ
り、警告フラグFspが1にセットされるため、警告表
示部11が点灯または点滅して、マニュアルモードの変
速比i(1)を解除したことを運転者に警告することが
できるのである。
【0078】一方、減速側について説明すると、例え
ば、マニュアルモードの2速(SP=2)に設定して、
図4のA点において、アクセルペダルを解放(スロット
ル開度TVO=0)するとともに、シフトレバー5を操
作してダウンシフトスイッチ9をONにすると、上記図
11のステップS11、12より減速のためダウンシフ
トと判定されて、加減速状態M=Coastとなり、上
限回転数は減速側上限回転数Ncに設定される。
【0079】したがって、目標入力軸回転数RREV0
は図4の点線で示した減速側上限回転数Ncとなるとと
もに、上記上記図11のステップS13、S15より、
警告フラグFspが1にセットされるため、警告表示部
11が点灯または点滅して、マニュアルモードの変速比
i(1)へのダウンシフトが規制されたことを運転者に
警告することができるのである。
【0080】このダウンシフトによって車速VSPが図
中VSP(1c)まで減少すると、上記ステップS13
により、変速比は1速の値i(n)に固定されると同時
に、ステップS15、S17より警告フラグがリセット
されて、警告表示部11が消灯することにより、運転者
は変速比がダウンシフトを要求した設定値(SP=1)
に固定されたことを認識することができる。
【0081】そして、このダウンシフトの際には、必ず
燃料カット回転数Nfcよりも所定値ΔNxだけ小さい
減速側上限回転数Ncに規制されるため、シフト位置を
固定したまま再加速を行うと、再び上記加速時と同様
に、燃料カット回転数Nfcを超えるため、エンジン制
御コントローラ3が燃料カットを行って、エンジン出力
の急減により加速度も急減し、運転者は加速度の頭打ち
を体感して、ダウンシフト後の1速における上限回転数
Ndが近づいたことを認識することができ、従来のマニ
ュアル式変速機と同様の運転感覚を味わうことが可能と
なって、常時シフト位置を認識することが可能となっ
て、前記従来例に比してマニュアルモードを備えた無段
変速機の運転性を大幅に向上させることが可能となるの
である。
【0082】図18、図19は第2の実施形態を示し、
前記第1実施形態の加減速の判定をスロットル開度TV
Oのみによって行うようにしたものである。
【0083】図18は、前記第1実施形態の図11のフ
ローチャートに示したステップS12を削除する一方、
目標入力軸回転数マップ値RREV0を演算するステッ
プS13をステップS13Aに変更したもので、このス
テップS13Aでは、前記第1実施形態の図4の変速マ
ップに代わって、図19に示す変速マップにより、車速
VSP、変速段SP及びスロットル開度TVOからマニ
ュアルモードの変速比を設定する。
【0084】この図19の変速マップは、図中実線がT
VO≠0のとき、すなわち、アクセルペダルを踏み込ん
だときに設定されるマップで、図中破線はTVO=0の
とき、すなわち、アクセルペダルを解放してエンジンブ
レーキあるいは惰性走行を行う際に設定されるマップで
あり、これら実線のマップを加速側、破線のマップを減
速側とすると、加速側のマップの変速比i(n)は減速
側のマップの変速比i(n)’よりも若干大きく(Lo
w側に)設定され、その他は前記第1実施形態と同様で
ある。
【0085】加速側(Drive側)の上限回転数Nd
と、減速側(Coast側)の上限回転数Ncは、前記
第1実施形態と同じくエンジン制御コントローラ3が過
回転防止制御を行う燃料カット回転数Nfcを挟んだ上
下にそれぞれ設定され、加速側の上限回転数Ndは、燃
料カット回転数Nfcより回転数ΔNxだけ大きく設定
される一方、減速側の上限回転数Ncは、燃料カット回
転数Nfcよりも回転数ΔNxだけ小さく設定され、Δ
Nxは、例えば、1000rpm等に予め設定されてい
る。なお、図中VSP(1d)〜(5d)は各変速段の
加速側で上限回転数Ndに到達する車速VSPを、VS
P(1c)〜(6c)は各変速段の減速側で上限回転数
Ncに到達する車速VSPをそれぞれ示す。
【0086】すなわち、加速側では、1速(SP=1)
を選択して、アクセルペダルを踏み続け(TVO≠0)
ていくと、所定の変速比i(1)で車速VSP=VSP
(1d)に到達し、入力軸回転数(トルクコンバータ1
2のロックアップ時には入力軸回転数=エンジン回転数
Ne)は加速側上限回転数Ndとなり、その後は、入力
軸回転数が上限値Ndを超えないように変速比がi
(1)から連続的にHi側へシフトするように設定され
る。
【0087】一方、減速側は加速側の同一の変速段に比
してHi側の変速比i(n)’に設定された他は前記従
来例と同様であり、アクセルペダルを放して(TVO=
0)車速VSP(1c)以上で2速から1速へダウンシ
フトを行っても、目標入力軸回転数は減速側上限値Nc
を超えないように、変速比は1速の所定値i(1)’よ
りもHi側にセットされ、車速VSPがVSP(1c)
以下になった時点で、変速比は1速の減速側の所定の変
速比i(1)’に固定される。
【0088】加速側と減速側の判定を、スロットル開度
TVOに応じてのみ行うことで加減速意図の判定を容易
かつ迅速に行うとともに、マニュアルモードの加速側と
減速側の変速比に若干差を設けて、加速側の変速比をL
ow側に設定したため、シフトダウンを行ってから加速
を行う際には、同一の変速段SPでありながら加速側の
変速比が若干Low側に設定されているため、迅速に加
速を行うことが可能となり、前記第1実施形態の作用、
効果に加えて、マニュアルモードを備えた無段変速機の
運転性をさらに向上させることができるのである。
【0089】図20、図21は、第3の実施形態を示
し、前記第1実施形態の一次遅れ定数Krを付与する回
転数を、変速段SPがLow側になるほど小さく設定す
るようにしたものである。
【0090】図20は、前記第1実施形態の図12のフ
ローチャートに示した、一次遅れ定数Krを付与するス
テップS22を、変速段SPに応じた入力軸回転数Nn
(n=1〜7)で一次遅れ時定数Krを変化させるステ
ップS22Aに変更したもので、その他は、前記第1実
施形態と同様である。なお、変速段SPと入力軸回転数
Nnによって定数Krに設定される値は、前記第1実施
形態と同様の固定値K1や、変速段SPに応じた値等に
設定される。
【0091】そして、前記第1実施形態の図11に示し
たステップS13において、目標入力軸回転数RREV
0を設定するためのマニュアルモードの変速マップは、
図21の実線に示すように設定され、加速側の上限回転
数Ndを上記と同様に燃料カット回転数Nfcより所定
値ΔNxだけ大きく設定する。なお、減速側については
前記第1または第2実施形態と同様であり、図示は省略
する。
【0092】図21の変速マップにおいて、1速、すな
わち、変速段SP=1のときの一次遅れ定数Kr付与回
転数Nnは図中N1であり、以下、2速以降は順次N2
〜N7となり(7速に対応したN7は図示せず)、これ
ら一次遅れ定数付与回転数Nnは、 N1<N2<N3<N4<N5<N6<N7 の関係に設定される。
【0093】加速時などではLow側の変速比ほど、エ
ンジン回転数Neの上昇速度が大きいため、一次遅れ定
数Krを付与する回転数がすべての変速段SPで同一の
場合には、1速ないし2速等のLow側の変速段SPで
加速を行うと、燃料カット回転数Nfcを超えたときの
加速度の減少が過大になって運転性を損なう場合や、加
速側上限回転数Ndを超えて目標入力軸回転数のオーバ
ーシュートが発生する場合がある。
【0094】このため、変速比が大きいLow側の変速
段SPほど、一次遅れ定数付与回転数Nnを小さくする
ことで、実目標入力軸回転数RREVは図21の破線に
示すように、Low側の変速比でのエンジン回転数Ne
=入力軸回転数Ntの上昇速度を緩やかに変化させるこ
とができ、燃料カットによる上記のような加速度の過大
な減少を抑制して車両の挙動を安定させて運転性を向上
させるとともに、入力軸回転数Ntのオーバーシュート
を確実に防いで、エンジンの過回転防止制御を正確に行
うことができ、マニュアルモードを備えた無段変速機の
運転性をさらに向上させるとともに、制御精度の向上を
図ることができる。
【0095】なお、上記実施形態において、無段変速機
としてトロイダル型を採用した場合について述べたが、
図示はしないが、Vベルト式を採用した場合にも上記と
同様の作用、効果を得ることができる。
【0096】また、運転者に現在の変速段SPを維持で
きないことを知らせる警告手段として警告表示部11を
採用した例を示したが、図示はしないが、音声などで警
告を発生する手段であってもよい。
【0097】また、上記図13のステップS32〜S3
6のフィードバック制御量演算を、入力軸回転数の実目
標値RREVと現在値Ntの差Nerrより行ったが、
図示はしないが、実際の変速比と目標変速比の差やパワ
ーローラ18cの傾転角の目標値との差等に基づいて行
っても同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す無段変速装置のブロッ
ク図。
【図2】トロイダル無段変速機の変速比変更手段の概念
図。
【図3】マニュアルモードを備えたシフトゲートの概略
図である。
【図4】マニュアルモードの変速マップで、変速段SP
をパラメータとして車速VSPと目標入力軸回転数の関
係を示す。
【図5】変速制御の概要を示すブロック図。
【図6】同じく、変速判断部の概要を示すブロック図。
【図7】変速制御コントローラで行われる制御の一例を
示すフローチャートで、信号計測処理を示す。
【図8】同じく制御の一例を示すフローチャートで、C
VT制御処理の概要を示す。
【図9】同じく制御の一例を示すフローチャートで、変
速制御部の概要を示す。
【図10】同じく制御の一例を示すフローチャートで、
信号出力処理を示す。
【図11】同じくCVT制御処理で行われる変速判断部
の詳細を示すフローチャート。
【図12】同じく変速判断部を構成する目標回転数変化
量決定部の詳細を示すフローチャート。
【図13】同じく変速制御部で行われる変速制御量計算
部及びFB制御計算部の詳細を示すフローチャート。
【図14】同じくステップモータ制御部の詳細を示すフ
ローチャート。
【図15】実目標変速比RRTOとステップモータの制
御位置FSTPの関係を示すマップ。
【図16】時定数Krと実目標入力軸回転数RREV及
び目標回転数マップ値RREV0の時間経過に応じた関
係を示すグラフ。
【図17】目標ステップ数DSRSTPと実際の出力ス
テップ数ASTPの関係を示すグラフ。
【図18】第2実施形態を示し、変速判断部のフローチ
ャートである。
【図19】同じく、マニュアルモードの変速マップで、
変速段SPをパラメータとして車速VSPと目標入力軸
回転数の関係を示し、図中実線が加速側を、図中破線が
減速側を示す。
【図20】第3実施形態を示し、目標回転数変化量決定
部のフローチャートである。
【図21】同じく、マニュアルモードの変速マップで、
変速段SPをパラメータとして車速VSPと目標入力軸
回転数を示し、図中破線が実目標回転数RREVを示
す。
【図22】従来例のマニュアルモードの変速マップで、
変速段SPをパラメータとした車速VSPと目標入力軸
回転数の関係を示す。
【図23】第1ないし第5の発明に対応するクレーム対
応図である。
【符号の説明】
1 無段変速装置 2 変速制御コントローラ 3 エンジン制御コントローラ 5 シフトレバー 5A セレクトスイッチ 6 入力軸回転センサ 7 出力軸回転センサ 8 アップスイッチ 9 ダウンスイッチ 10 無段変速機 13 マニュアルモード切換スイッチ 18c パワーローラ 70 変速判断部 71 変速段決定部 72 回転数計算部 73 目標回転数変化量決定部 80 変速制御部 100 第1目標変速比設定手段 101 第2目標変速比設定手段 102 変速モード切換手段 103 過回転防止手段 104 変速制御手段 105 加減速意図検出手段 106 上限回転数設定手段 107 上限回転数切換手段 108 変速指令手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/00 - 61/12,61/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無段変速機に連結されるエンジンと、 前記エンジンが許容回転数を超えないように第1の回転
    数を超えたときに出力を規制する過回転防止手段と、 車両の運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を
    設定する第1目標変速比設定手段と、 運転者によって操作される変速指令手段からの信号に基
    づいて、無段変速機の目標変速比を予め設定した複数の
    変速段のうちのひとつに設定する第2目標変速比設定手
    段と、 前記第1目標変速比設定手段と第2目標変速比設定手段
    とを選択的に切り換える変速モード切換手段と、 前記変速モード切換手段の出力に基づいて無段変速機の
    変速比を変更する変速制御手段とを備えた無段変速機の
    変速制御装置において、 前記変速モード切換手段が第2目標変速比設定手段を選
    択したときに、運転者の加減速意図を検出する加減速意
    図検出手段と、 前記第2目標変速比設定手段の加速側上限回転数を前記
    第1回転数よりも大きく設定する一方、前記第2目標変
    速比設定手段の減速側上限回転数を前記第1回転数より
    も小さく設定する上限回転数設定手段と、 前記加減速意図検出手段が運転者の加速意図を検出した
    ときに前記加速側上限回転数を選択する一方、同じく加
    減速意図検出手段が運転者の減速意図を検出したときに
    前記減速側上限回転数を選択する上限回転数切換手段と
    を備え、 前記変速制御手段は選択された上限回転数を超えないよ
    うに変速比を制御することを特徴とする無段変速機の変
    速制御装置。
  2. 【請求項2】前記加減速意図検出手段は、アクセルペダ
    ルの解放状態のときに運転者の減速意図を検出する一
    方、その他の場合に運転者の加速意図を検出することを
    特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記第2目標変速比設定手段は、減速側
    の目標変速比を加速側の目標変速比に比してHi側に設
    定したことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の
    変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第2目標変速比設定手段は、実際の
    変速比を目標変速比へ向けて変化させるための時定数設
    定手段を備え、この時定数設定手段は時定数付与回転数
    をLow側の変速段になるほど小さく設定することを特
    徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 前記第2目標変速比設定手段は、無段変
    速機の入力軸回転数が加速側上限回転数または減速側上
    限回転数へ到達したときに、運転者が設定した変速段の
    上限回転数となったことを警告する警告手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御
    装置。
JP33728896A 1996-12-17 1996-12-17 無段変速機の変速制御装置 Expired - Fee Related JP3436027B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33728896A JP3436027B2 (ja) 1996-12-17 1996-12-17 無段変速機の変速制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33728896A JP3436027B2 (ja) 1996-12-17 1996-12-17 無段変速機の変速制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10176750A JPH10176750A (ja) 1998-06-30
JP3436027B2 true JP3436027B2 (ja) 2003-08-11

Family

ID=18307214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33728896A Expired - Fee Related JP3436027B2 (ja) 1996-12-17 1996-12-17 無段変速機の変速制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3436027B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4899441B2 (ja) * 2005-11-21 2012-03-21 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
JP5386777B2 (ja) * 2006-12-05 2014-01-15 マツダ株式会社 自動変速機付き車両の報知装置
JP6070921B2 (ja) * 2012-05-21 2017-02-01 三菱ふそうトラック・バス株式会社 自動変速機の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10176750A (ja) 1998-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4123289B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
US8589040B2 (en) Vehicle driving-force control device
JP3491423B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
EP0965775B1 (en) Speed controller and control method of continuously variable transmission
JP4109426B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP3211737B2 (ja) 無段変速機の変速比制御装置
JP3152176B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP3436027B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP3425841B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP3240961B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP3624640B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP3624639B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP3627456B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JPH0932899A (ja) 無段変速機の変速速度制御装置
JPH10184875A (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP3510399B2 (ja) 無段変速機の変速速度制御装置
JP4835257B2 (ja) 車両用無段変速機の変速制御装置
JP2005090610A (ja) 車両用無段変速機の制御装置
JP4461823B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP2005042768A (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP3659093B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP2003185004A (ja) 無段変速機の手動変速切り替え制御装置
JP3528498B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP4025064B2 (ja) 無段変速機の変速モード切り替え時変速制御装置
JPH0356757A (ja) 自動変速装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080606

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090606

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees