JP3434635B2 - 含水化粧料の変臭・変色防止方法 - Google Patents

含水化粧料の変臭・変色防止方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含水化粧料の変臭
・変色防止方法に関し、更に詳細には、特定の含窒素化
合物を用いることにより、アミノ酸及びその塩、N−ア
シルアミノ酸及びその塩、ペプチド、タンパク質から選
ばれる一種以上と、グリセリン、ジグリセリン、ポリエ
チレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれ
る一種又は二種以上とを含有する含水化粧料の変臭・変
色を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧料にはその目的や用途に応じ
て各種美容成分が配合されてきた。例えば、動植物等か
ら抽出される天然由来物質や微生物産生物質、あるいは
化学合成物質等が多方面から種々検討され、製品への配
合が試みられている。これらの中で、アミノ酸及びその
塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、ペプチド、タンパ
ク質は、保湿効果のある美容成分として知られている。
また、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール等の水溶性多価アルコー
ルは、保湿性に優れる化粧品原料として汎用されてい
る。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、アミ
ノ酸及びその塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、ペプ
チド、又はタンパク質は、グリセリン、ジグリセリン、
ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、プロピレングリコール、又はジプロピレングリコー
ルを含有する含水化粧料に配合すると、経時的に、特に
高温条件下に於いて、変臭して特異な臭いを発したり、
褐色に着色するという安定性上の問題点があった。そこ
で、これを防止する対策として、香料等を用いて変臭を
マスキングする方法、バッファー剤の配合によりpH調
整する方法等が挙げられるが、その効果は充分なもので
はなく、配合禁忌とも言える処方上の制約を有している
のが実情であった。従って、グリセリン、ジグリセリ
ン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、プロピレングリコール、又はジプロピレングリコ
ールを含有する含水化粧料にアミノ酸及びその塩、N−
アシルアミノ酸及びその塩、ペプチド、又はタンパク質
を配合して各々の持つ効果を発現し、且つ、変臭や変色
の発生を抑制する方法の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究した結果、特定の含窒素化合物
を配合することにより、アミノ酸及びその塩、N−アシ
ルアミノ酸及びその塩、ペプチド、又はタンパク質を含
有し、且つ、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレン
グリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレン
グリコール、又はジプロピレングリコールを含有する含
水化粧料を安定化し、変臭・変色の発生を防止すること
を見いだし、発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、(a)アミノ酸及びそ
の塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、ペプチド、タン
パク質から選ばれる一種又は二種以上と、(b)グリセ
リン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、1,3
−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコールから選ばれる一種又は二種以上とを含
有する含水化粧料に於いて、(c)下記一般式(I)乃
至(III)で示される含窒素化合物及びその塩の一種
又は二種以上を用いることを特徴とする含水化粧料の変
臭・変色防止方法である。
【0006】
【化4】
【0007】
【化5】
【0008】
【化6】
【0009】[式中、R1乃至R3は同種又は異種の水素
原子、アミノ基、グアニル基、カルバミル基である。但
し、R1は同種の水素原子である場合を除く。]
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に於けるアミノ酸は、特に
限定されないが、例えば、グリシン、セリン、スレオニ
ン、フェニルアラニン、システイン、メチオニン、アス
パラギン、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、プ
ロリン等の脂肪族及び芳香族の中性・酸性・塩基性アミ
ノ酸及びイミノ酸等が挙げられる。また、塩としては、
ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等
が挙げられる。N−アシルアミノ酸とは、アミノ酸のア
ミノ基の水素原子がアシル基に置換されたもので、アシ
ル基は炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖又は環状
のものである。例えば、N−アセチルグルタミン酸、N
−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリスチルアラニン、
N−N−オレイルスレオニン、N−シンナモイルグリシ
ン、N−ニコチノイルグルタミン酸等が挙げられる。ま
た、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタ
ノールアミン塩等が挙げられる。さらに、ペプチド、タ
ンパク質は、これらのアミノ酸がペプチド結合したもの
で、例えば、ペプチドとしては、グリシルグリシン、グ
ルタチオン等のオリゴペプチド、キサンチンオキシダー
ゼやリパーゼ等の酵素、牛血清エキス、プラセンタエキ
ス等が、また、タンパク質としては、コラーゲン、加水
分解コラーゲン、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【0011】本発明に於けるグリセリン、ジグリセリ
ン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール
は、保湿性に優れた水溶性多価アルコールであり、安全
性も高い為、古くから化粧品等の原料として汎用されて
きた。また、本発明のポリエチレングリコールとは、分
子量が3万以下のものである。特に、グリセリンの場合
が、アミノ酸及びその塩、N−アシルアミノ酸及びその
塩、ペプチド、タンパク質のいずれかとの配合に於いて
一番変臭・変色が起きやすい傾向を示した。
【0012】本発明に用いられる特定の含窒素化合物
は、下記一般式(I)乃至(III)で示される含窒素
化合物及びその塩で、これらの一種又は二種以上を適宜
使用することができる。
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】[式中、R1乃至R3は同種又は異種の水素
原子、アミノ基、グアニル基、カルバミル基である。但
し、R1は同種の水素原子である場合を除く。]
【0017】本発明の特定の含窒素化合物は、好ましく
は、グアニジン、グアニルグアニジン、アミノグアニジ
ン、1,3−ジアミノグアニジン、グアニル尿素、セミ
カルバジド、カルバミル尿素、カルボヒドラジド、チオ
尿素、チオセミカルバジド、グアニルチオ尿素等であ
る。また、これらの塩としては、好ましくは、炭酸塩、
塩酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硫酸塩、硝酸塩
等が挙げられる。本発明の特定の含窒素化合物は、特に
好ましくは、炭酸グアニジン、塩酸アミノグアニジン、
塩酸セミカルバジドである。
【0018】本発明の特定の含窒素化合物の含有量は、
含窒素化合物の種類、アミノ酸及びその塩、N−アシル
アミノ酸及びその塩、ペプチド、又はタンパク質の種類
及び含有量などによって異なるが、含水化粧料中0.0
01〜20重量%、より好ましくは0.01〜5重量%
である。この範囲で用いれば、本発明の効果が効率的に
且つ顕著に発現する。なお更に、キレート剤を併用すれ
ば、更に効果の向上を図ることができる。
【0019】また、本発明の方法により化粧料の変臭を
防止することができるので、従来試みられていたように
香料によるマスキングをする必要がなく、従って、香料
の配合量を低減したり、又は香料を無添加とすることが
できる。これは、皮膚安全性の観点からより好ましいも
のである。
【0020】本発明の変臭・変色防止方法を用いる含水
化粧料としては、その剤型は特に限定されず、液状、乳
液状、ゲル状、クリーム状、懸濁状のいずれでも構わな
い。また、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、頭
髪化粧料、ボディ化粧料、手足化粧料、浴用剤等に用い
ることができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて更に詳細に説明する
が、本発明はこれらによりなんら限定されるものではな
い。
【0022】実施例1〜5及び比較例1〜4:クリーム 以下に示す処方及び製法により、クリームを製造した。
得られた各クリームにつき変臭防止効果、変色防止効果
を評価した。
【0023】(処方)
【表1】
【0024】(製法) A.成分(1)〜(6)及び(21)を加熱混合し、7
0℃とする。 B.成分(7)〜(19)及び(22)を加熱混合し、
70℃とする。 C.AにBを添加混合した後、冷却する。 D.Cに成分(20)を添加して均一に混合し、クリー
ムを得る。
【0025】(評価方法)上記クリームを、5℃及び5
0℃の恒温槽に2週間放置した後、香料専門パネル10
名を用いて、匂いの官能評価及び外観観察を行い、変臭
防止効果、変色防止効果を評価した。 <評価>50℃のサンプルを5℃のサンプルのサンプル
と比較して、匂いの官能評価及び外観観察結果につい
て、それぞれ以下のように評価点を付与した。 全く変化のないもの : 4点 ほとんど変化のないもの : 3点 やや変化のあったもの : 2点 明らかに変化しているもの : 1点
【0026】<判定>評価点の平均点から以下のように
判定した。 (平均点) 3.5点以上 : ◎ 3.0点以上3.5点未満 : ○ 2.0点以上3.0点未満 : △ 2.0点未満 : × 上記評価方法から得られた結果については表2に示し
た。
【0027】
【表2】
【0028】表2の評価結果から明らかなように、本発
明の方法を用いたものは、変臭・変色を生ずることがな
く、安定性に優れていた。一方、比較例のものでは変臭
・変色が生じ、また、香料を配合しても変臭を充分にマ
スキングすることはできなかった。
【0029】 実施例6:化粧水 (処方) (重量%) 1.ポリオキシエチレン(60EO)硬化ヒマシ油 0.2 2.ミリスチン酸イソプロピル 0.05 3.防腐剤 0.1 4.香料 0.02 5.エタノール 15.0 6.加水分解コラーゲン 0.3 7.炭酸グアニジン 0.1 8.クエン酸 0.08 9.グリセリン 10.0 10.1,3−ブチレングリコール 5.0 11.乳酸 0.05 12.乳酸ナトリウム 0.1 13.精製水 残量
【0030】(製法) A.成分(1)〜(5)を均一に混合する。 B.成分(6)〜(13)を均一に混合する。 C.BにAを添加混合して化粧水を得る。 実施例6の化粧水は、変臭・変色がなく、経時安定性が
良好で、保湿性に優れた化粧水であった。
【0032】 実施例7:洗顔料 (処方) (重量%) 1.ステアリン酸 10.0 2.パルミチン酸 8.0 3.ミリスチン酸 12.0 4.ラウリン酸 4.0 5.オレイルアルコール 1.5 6.ラノリン 1.0 7.グリセリン 18.0 8.水酸化カリウム 6.0 9.塩酸セミカルバジド 0.03 10.カゼイン 0.2 11.セリン 0.3 12.香料 0.1 13.防腐剤 0.2 14.精製水 残量
【0032】(製法) A.成分(1)〜(6)及び(13)を加熱混合し、7
0℃とする。 B.成分(7)〜(8)及び(14)を加熱混合し、7
0℃とする。 C.AにBを添加し、反応が終了後、冷却する。 D.Cに成分(9)〜(12)を添加混合して洗顔料を
得る。 実施例7の洗顔料は、経時的な変臭・変色がなく安定
で、しっとり感のある洗顔料であった。
【0033】 実施例8:洗顔料 (処方) (重量%) 1.N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 20.0 2.グリセリン 15.0 3.ポリエチレングリコール400 15.0 4.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0 5.ラノリン 1.0 6.香料 0.1 7.塩酸アミノグアニジン 0.03 8.エデト酸塩 0.05 9.防腐剤 0.1 10.精製水 残量
【0034】(製法) A.成分(1)〜(5)を加熱混合し、70℃とする。 B.成分(7)〜(10)を混合溶解する。 C.AにBを添加し、均一混合後、冷却する。 D.Cに成分(6)を添加混合して洗顔料を得る。 実施例8の洗顔料は、経時的な変臭・変色がなく安定
で、しっとり感のある洗顔料であった。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法は、アミノ
酸及びその塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、ペプチ
ド、又はタンパク質を含有し、且つ、グリセリン、ジグ
リセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、プロピレングリコール、又はジプロピレン
グリコールを含有する含水化粧料を安定化し、変臭・変
色の発生を抑制する効果的な方法である。従って、従来
の処方上の制約を受けることなく、経時的に安定で、且
つ、保湿効果に優れた含水化粧料を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アミノ酸及びその塩、N−アシル
    アミノ酸及びその塩、ペプチド、タンパク質から選ばれ
    る一種又は二種以上と、(b)グリセリン、ジグリセリ
    ン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコ
    ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール
    から選ばれる一種又は二種以上とを含有する含水化粧料
    に於いて、(c)下記一般式(I)乃至(III)で示
    される含窒素化合物及びその塩の一種又は二種以上を用
    いることを特徴とする含水化粧料の変臭・変色防止方
    法。 【化1】 【化2】 【化3】 [式中、R1乃至R3は同種又は異種の水素原子、アミノ
    基、グアニル基、カルバミル基である。但し、R1は同
    種の水素原子である場合を除く。]
  2. 【請求項2】 含窒素化合物が、炭酸グアニジン、塩酸
    アミノグアニジン、塩酸セミカルバジドのいずれかであ
    ることを特徴とする請求項1記載の含水化粧料の変臭・
    変色防止方法。
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