JP3433826B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JP3433826B2 JP24218993A JP24218993A JP3433826B2 JP 3433826 B2 JP3433826 B2 JP 3433826B2 JP 24218993 A JP24218993 A JP 24218993A JP 24218993 A JP24218993 A JP 24218993A JP 3433826 B2 JP3433826 B2 JP 3433826B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルキルメタクリレート
系の部分架橋ゲル状重合体からなる熱硬化性樹脂組成
物、およびそれよりなる成形材料に関する。詳細には、
本発明は硬化速度が大きく且つ成形性が良好で、成形品
の厚みがかわっても硬化度が一定であり、しかも厚み方
向に硬化度が均等で物性の優れた成形品を製造すること
のできるアルキルメタクリレート系の部分架橋ゲル状重
合体からなる熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂は、その優れた耐候性と卓
越した透明性により、照明カバー、自動車部品、レンズ
やプリズム等の光学部品などとして広く用いられてい
る。近年アクリル樹脂の用途の拡大に伴い、種々の機能
要求が発生してきており、そのような機能として耐熱性
の向上や耐薬品性の向上がある。そして、アクリル樹脂
に耐熱性や耐薬品性を付与する方法としては、アルキル
メタクリレート系単量体またはそのシラップを(メタ)
アクリロイル基を2個以上有する化合物と重合させて部
分架橋ゲル状重合体を製造し、それを成形材料として用
いることが従来提案されている(特開昭60−2021
28号公報および特開昭62−2201号公報)。かか
る従来技術による場合は、透明でしかも耐熱性に優れた
アクリル樹脂架橋成形品が得られるが、長時間使用した
り高温下で使用すると成形品の変形や光沢の消失がしば
しば発生するという欠点がある。
【0003】部分架橋ゲル状重合体より得られるアクリ
ル樹脂成形品における上記の欠点を解決するために、成
形品表面の硬化度を向上させることが提案されている
(特開昭63−291927号公報)。しかし、この技
術による場合は、型内に充填した部分架橋ゲル状重合体
を所定温度に加圧加熱して硬化させた後に、成形品の表
面部分の硬化度を向上させるために型の温度を更に上昇
させる必要があり、その結果成形品の取り出しに当たっ
ては型の温度を下げてから型から取り出す必要があり、
成形サイクルが長くなって生産性が低下するという問題
がある。成形サイクルを短縮して生産性を向上させるた
めには、そのような多段加熱を行わずに一定の温度で成
形が行えることが望ましい。
【0004】一方、熱硬化性樹脂の成形に当たって硬化
時間をできるだけ短縮しようとする場合は、型の温度を
上昇させるか、硬化触媒を増量するか、または硬化促進
剤を添加することが一般的に行われている。しかしなが
ら、これらの手段による場合は、硬化初期の反応は速く
なるものの、成形品の厚みが増加するにしたがって硬化
度が減少したり、厚み方向の硬化度に分布を生じ成形品
の外観が不良になったり、同一触媒組成で種々の厚みの
成形品を製造することが困難であるなどの問題があり、
充分に満足のゆく結果が得られていないのが現状であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
品の硬化度を高くするために型の温度を更に上昇させる
必要がなく、一定の型温度を採用して短い成形サイクル
で生産性よく耐熱性のアクリル樹脂成形品を製造するこ
とのできる熱硬化性樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、成形品の厚みが変わっても硬
化度にあまり影響がなく、種々の厚みの成形品の製造に
そのまま使用することができ、しかも硬化度が高く且つ
厚み方向に均一な硬化度を有し、外観、耐熱性、耐久
性、透明性などの特性に優れたアクリル樹脂成形品を製
造できる熱硬化性樹脂組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは、素材面、成形面、装置面などの種々の点
から検討を重ねた。その結果、部分架橋アルキルメタク
リレート系重合体および重合開始剤を含有する熱硬化性
樹脂組成物において、その重合開始剤として、特定の発
熱ピーク温度を有するパーオキシケタールから主として
なる過酸化物を使用し、それを特定の割合で組成物中に
含有させると上記の目的を達成できることを見出して本
発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、アルキルメタクリレ
ートを主体とする単量体またはそのシラップと少なくと
も2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを重
合してなる部分架橋ゲル状重合体(A)、および過酸化
物(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物において、過酸
化物(B)が110℃以上130℃未満の発熱ピーク温
度を有するパーオキシケタールを主成分とする過酸化物
であり、且つ過酸化物(B)の添加量が活性酸素量とし
て0.05〜0.2%である熱硬化性樹脂組成物、並び
にその熱硬化性樹脂組成物からなる成形材料である。
【0008】本発明の熱硬化性樹脂組成物の主要成分で
ある部分架橋ゲル状重合体(A)は、アルキルメタクリ
レートを主体とする単量体またはそのシラップと、少な
くとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(架橋剤)[以下「ポリ(メタ)アクリロイル化合物」
という)とを、アゾ化合物や過酸化物などの既知の重合
開始剤を使用してまたは使用せずに部分的に架橋重合し
て得られるゲル状重合体であり、該部分架橋ゲル状重合
体(A)に上記特定の過酸化物(B)を添加して最終的
に加熱架橋することによって成形品を製造することがで
きる。
【0009】部分架橋ゲル状重合体(A)の製造に用い
られる上記の「アルキルメタクリレートを主体とする単
量体」とは、アルキルメタクリレート単独、またはアル
キルメタクリレートと少量(通常約10モル%以下)の
他の共重合性α,β−エチレン性不飽和単量体との単量
体混合物をいう。また「そのシラップ」とは、アルキル
メタクリレート単独またはアルキルメタクリレートと少
量の他の共重合性α,β−エチレン性不飽和単量体との
単量体混合物中に、アルキルメタクリレート重合体また
はアルキルメタクリレートと他の単量体との共重合体が
溶解しているシラップをいう。
【0010】その際のアルキルメタクリレートとして
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プ
ロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチ
ルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘ
キシルメタクリレートなどのメタクリル酸のC1〜C15
のアルキルエステル、或いはそれらの任意の混合物を使
用することができ、そのうちでもメタクリル酸の低級ア
ルキルエステルまたはそのシラップが好ましく、特にメ
チルメタクリレートまたはそのシラップが好ましい。
【0011】アルキルメタクリレートを主体とする単量
体または単量体混合物の代わりにアルキルメタクリレー
トを主体とする単量体のシラップを使用する場合は、シ
ラップ中におけるアルキルメタクリレート重合体または
アルキルメタクリレートと他の共重合性単量体との共重
合体の含有割合が15重量%以下で且つアルキルメタク
リレートまたはアルキルメタクリレートと他の共重合単
量体との単量体混合物の割合が85重量%以上であるシ
ラップを用いるのが好ましい。シラップ中のアルキルメ
タクリレート重合体または共重合体の割合が15重量%
を超えると、そのようなシラップとポリ(メタ)アクリ
ロイル化合物との反応により得られた部分架橋ゲル状重
合体を使用して成形品を製造した場合に、成形品を高温
雰囲気中に置いた際にヘイズを発生して透明性が損なわ
れる場合がある。
【0012】また、本発明でいうポリ(メタ)アクリロ
イル化合物とは、式:CH2=C(R1)COO−(式中
1はHまたはメチル基を示す)で表される(メタ)アク
リロイル基を1分子中に2個以上有する化合物を意味
し、2個または3個以上の(メタ)アクリロイル基を有
するポリ(メタ)アクリロイル化合物のいずれもが使用
できる。それらのうちで、2個の(メタ)アクリロイル
基を有するポリ(メタ)アクリロイル化合物は、一般に
下記の式(1);
【0013】
【化1】 CH=C(R1)COO−R2−OOC(R1)C=CH (1) (式中R1はHまたはメチル基、R2は2価の有機基を示
す)で表わすことができ、上記の式(1)において、2
価の有機基R2の分子量が2000以下であるのが好ま
しい。
【0014】式(1)で表されるポリ(メタ)アクリロ
イル化合物の好ましい例としては、基R2が、式:−C2
4−(OC24)m−(式中mは好ましくは0〜23)で
表されるエチレン基または(ポリ)エチレンオキサイド
基、式:−C36−(OC36)n−(式中nは好ましくは
0〜7)で表されるプロピレン基または(ポリ)プロピ
レンオキサイド基、式:−C48−(OC48)p−(式
中pは好ましくは0〜7)で表されるブチレン基または
(ポリ)ブチレンオキサイド基、式:−C612−(OC
612)q−(式中qは好ましくは0〜7)で表されるヘ
キシレン基または(ポリ)ヘキシレンオキサイド基、ネ
オペンチル基等のアルキレン基またはポリアルキレンオ
キサイド基である化合物;2,2−ビス[4−(メタク
リロキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−
(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンなどの
基R2が芳香核を有する化合物;1,4−ビス(メクリ
ロキシメチル)シクロヘキサンなどの基R2が脂環基で
ある化合物などを挙げることができる。
【0015】また、上記の式(1)で表されるポリ(メ
タ)アクリロイル化合物において、2価の有機基R2
ウレタン形成反応で生成した基であってもよく、そのよ
うな基R2を有するポリ(メタ)アクリロイル化合物の
例としては、ヒドロキシ(メタ)アクレート類、ジオー
ル類およびジイソシアネート類の反応により得られるジ
(メタ)アクリロイルポリウレタンを挙げることができ
る。その際に使用し得る好ましいジオール類の例として
は、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(エ
チレンオキサイド)ジオール、コポリ(エチレンオキサ
イド−プロピレンオキサイド)ジオール、ヒドロキシエ
トキシ化ビフェノールA、ヒドロキシエトキシ化ビスフ
ェノールS、スピログリコール、カーボネートジオール
などを挙げることができ、またジイソシアネート類の例
としては、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシ
アネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
トなどを挙げることができる。
【0016】また、3個以上の(メタ)アクリロイル基
を有する化合物の例としては、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタント
リ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテト
ラアクリレートなどを挙げることができ、これらの3官
能以上のポリ(メタ)アクリロイル化合物も使用するこ
とができる。
【0017】そして、上記したアルキルメタクリレート
を主体とする単量体またはそのシラップ100重量部に
対して、ポリ(メタ)アクリロイル化合物を約3〜100
重量部、好ましくは5〜30重量部の割合で混合し、こ
の混合物をアゾ化合物や過酸化物などのラジカル重合開
始剤を用いてまたは用いずにゲル分率が約15〜50
%、好ましくは25〜35%の部分架橋ゲル状重合体が
得られるまで重合し、それにより得られた重合体を部分
架橋ゲル状重合体(A)として用いるのがよい。その際
のラジカル開始剤としては、ビニル重合で通常用いられ
ている公知のアゾ系および過酸化物系のラジカル開始剤
のいずれを用いてもよく、それらのうちで比較的低温で
働くものを使用するのが好ましい。
【0018】また、本発明で使用する部分架橋ゲル状重
合体(A)のゲル分率が15%未満であると、部分架橋
ゲル状重合体(A)と過酸化物(B)との熱硬化性樹脂
組成物を用いて成形品を製造する際に、表層の硬化時間
と厚み中央部の硬化時間に大幅な差異を生じて厚み中央
部に割れが生ずる場合がある。一方、部分架橋ゲル状重
合体(A)のゲル分率が50%よりも高いと、成形時に
熱硬化性樹脂組成物の型キャビイティー内での流れが不
安定になり、成形品に流動跡が生じて外観が不良になる
ことが多い。なお、本発明でいうゲル分率は次のように
して測定した値をいう。
【0019】ゲル分率の測定:得られた部分架橋ゲル状
重合体を2mm以下の小片とし、その所定量を試料とし
て採取してその重量(x)を測定し、これを2%のハイ
ドロキノンを添加したアセトン中に入れてソックスレー
抽出機により50℃で10時間抽出処理する。次いでア
セトン中に残留した試料を取り出して乾燥後その重量
(y)を測定し、下記の数式1からゲル分率(%)を求
める。
【0020】
【数1】ゲル分率(%)=(y/x)×100
【0021】そして、本発明では、上記の部分架橋ゲル
状重合体(A)に対して、110℃以上130℃未満の
発熱ピーク温度を有するパーオキシケタール(b1)を
主成分とする過酸化物(B)を活性酸素量として0.0
5〜0.2%の割合で添加する。過酸化物(B)の添加
量が0.05%未満の場合は成形品の硬化度が充分に高
くならないために、型からの離型時に成形品に変形が生
じたり、成形品の機械的強度が不足し、一方0.2%を
超えても硬化状態が不良になり成形品の厚み中央部にク
ラックを発生し易くなり外観不良となる。ここで、本発
明における過酸化物の発熱ピーク温度とは、過酸化物を
部分架橋ゲル状重合体(A)中に混合して下記のように
して測定したときの温度をいい、また部分架橋ゲル状重
合体(A)に対する過酸化物の活性酸素量とは下記のよ
うにして算出した量をいう。
【0022】過酸化物の発熱ピーク温度の測定:部分架
橋ゲル状重合体、および該ゲル状重合体1kgに対して
活性酸素量0.193%の過酸化物を混合して試料をつ
くり、これをアルミニウム製の密閉パンに3mg充填
し、DSC(マック・サイエンス社製3100型)を用
いて室温から250℃まで10℃/分の昇温速度で昇温
した時に発熱量が最大値を示す温度を発熱ピーク温度と
する。
【0023】部分架橋ゲル状重合体(A)に対する過酸
化物の活性酸素量: 下記の数式2により各過酸化物の単位重量当たりの活性
酸素量を求め、該過酸化物の配合量から部分架橋ゲル状
重合体(A)1kgあたりの過酸化物の活性酸素量
(%)を算出する。
【0024】
【数2】 活性酸素量(%)=Pu×{(No×16)/Mw} 式中、Pu=過酸化物の純度(%) No=過酸化物の−O−O−結合の数 Mw=過酸化物の分子量
【0025】本発明で用いるパーオキシケタール
(b1)は、通常下記の一般式(2):
【0026】
【化2】 (式中、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立してア
ルキル基、シクロアルキル基、アリール基などの炭化水
素基であり、R3とR4は互いに結合して2価の環状炭化
水素基を形成していてもよく、R5およびR6は好ましく
はt−ブチル基である)
【0027】本発明では、上記の一般式(2)で表され
るパーオキシケタールのうちで、その発熱ピーク温度が
110℃以上130℃未満のものを使用することが必要
であり、かかる特定の過酸化物を特定量で使用すること
により、最終成形品における残存二重結合の割合の極め
て少ない充分に硬化した、耐熱性および耐久性などに優
れた成形品が得られ、しかも製造する成形品の厚みが変
わってもそのような優れた特性が損なわれない。それに
対してパーオキシケタールであっても発熱ピーク温度が
110℃以上130℃未満の範囲から外れるものを使用
した場合は、最終成形品における残存二重結合の割合が
高くなって充分に硬化した成形品が得られず、また成形
品の厚みによりその硬化度に差異を生じて成形品の耐熱
性や耐薬品性などが劣ったものとなる。発熱ピーク温度
が110℃以上130℃未満であるパーオキシケタール
(b1)の好ましい例としては、1,1−t−ブチルパ
ーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよ
び2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタンを挙げる
ことができ、それらのいずれか一方または両方の混合物
を用いるのが好ましい。
【0028】そして、本発明では、過酸化物(B)とし
て、発熱ピーク温度が110℃以上130℃未満である
パーオキシケタール(b1)を単独で使用しても、また
は該パーオキシケタール(b1)と共に少量の他の過酸
化物を併用してもよく、通常、活性酸素量でパーオキシ
ケタール(b1)を0.05〜0.2%、好ましくは
0.09〜0.2%、そして他の過酸化物を0〜0.1
26%の割合で使用するのが好ましい。
【0029】特に、過酸化物(B)として、活性酸素量
で、パーオキシケタール(b1)を0.09〜0.11
%、該パーオキシケタール(b1)と併用して部分架橋
ゲル状重合体(A)を硬化させる際に発熱ピークが少な
くとも2つ発生する110℃未満の発熱ピーク温度を有
する過酸化物(b2)を0〜0.006%、好ましくは
0.003〜0.006%、130℃以上140℃未満
の発熱ピーク温度を有する過酸化物(b3)を0〜0.
06%、好ましくは0.04〜0.06%、および14
0℃以上170℃以下の発熱ピーク温度を有する過酸化
物(b4)を0〜0.06%、好ましくは0.04〜
0.06%の割合で含む過酸化物を使用した場合には、
成形品の厚みが例えば1mm、2mm、3mmというよ
うに異なる場合であっても、熱硬化性樹脂組成物におけ
る部分架橋ゲル状重合体(A)や過酸化物(B)の種類
や組成を成形品の厚みごとに変えなくても、同じ熱硬化
性樹脂組成物を用いて硬化度やその他の物性にほとんど
遜色のない充分に硬化した良好な成形品を得ることがで
きる。
【0030】上記において、パーオキシケタール
(b1)と併用して部分架橋ゲル状重合体(A)を硬化
させる際に発熱ピークが少なくとも2つ発生する110
℃未満の発熱ピーク温度を有する過酸化物(b2)と
は、パーオキシケタール(b1)および過酸化物(b2
の両者を部分架橋ゲル状重合体に混合してなる成形材料
を用いて、上記した方法によりその発熱ピーク温度を測
定した場合に、パーオキシケタール(b1)に起因する
発熱量の最大値を示すピーク温度のほかに、発熱ピーク
温度が110℃未満である過酸化物(b2)に起因する
発熱量の最大値を示すピーク温度を生じさせることので
きる過酸化物をいう。
【0031】過酸化物(b2)としては、その発熱ピー
ク温度が110℃未満で且つ上記した少なくとも2つの
発熱ピークを生ずる過酸化物であればいずれでもよく、
その種類は限定されない。そのような条件を満たす過酸
化物(b2)の例としては、2,4,4−トリメチルペ
ンチルパーオキシ−2−ネオデカノエート、クミルパー
オキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデ
カノエート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカー
ボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオ
キシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカ
ノエートなどを挙げることができる。
【0032】パーオキシケタール(b1)と共に0.0
06%以下の過酸化物(b2)を使用した場合には、パ
ーオキシケタール(b1)の発熱量が最大になる反応の
前に過酸化物(b2)の反応が生じることによって、発
熱量を経時的に分散させて一時に過剰な発熱が生じない
ようにすることができ、しかも型に熱硬化性樹脂組成物
(成形材料)を完全に充填するまでの時間と硬化反応の
開始時間との調節が可能になって成形が円滑に行われる
ようになる。
【0033】また、パーオキシケタール(b1)と併用
し得る上記の過酸化物(b3)としては、その発熱ピー
ク温度が130℃以上140℃未満の過酸化物であれば
いずれでもよく、その種類は限定されない。そのような
条件を満たす過酸化物(b3)の例としては、t−ブチ
ルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテ−トなど
を挙げることができる。パーオキシケタール(b1)と
共に0.06%以下の活性酸素量で過酸化物(b3)を
併用した場合には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用い
て厚みが2mm前後またはそれ以上の成形品を製造した
際にその硬化度を上げることができる。
【0034】また、パーオキシケタール(b1)と併用
し得る上記の過酸化物(b4)としては、その発熱ピー
ク温度が140℃以上170℃以下の過酸化物のもので
あればいずれでもよくその種類は特に制限されない。そ
のような条件を満たす好ましい過酸化物(b4)の例と
しては、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロ
ピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオ
キサイド、2,5−ジミエチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキ
サイドなどを挙げることができる。パーオキシケタール
(b1)と共に0.06%以下の活性酸素量で過酸化物
(b4)を併用した場合には、本発明の熱硬化性樹脂組
成物を用いて厚みが3mm前後またはそれ以上の成形品
を製造した際にその硬化度を上げることができる。
【0035】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記した
過酸化物以外に、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定
剤、酸化防止剤、有機または無機の着色用の染顔料など
の他の添加剤を含有することができる。
【0036】本発明の熱硬化性樹脂組成物の製法は特に
制限されず、上記した部分架橋ゲル状重合体中に過酸化
物(B)を均一に添加混合し得る方法であればいずれも
採用できる。特に部分架橋ゲル状重合体を微細な粒状や
粉末状にしておき、それに過酸化物(B)を、その分解
温度以下の温度で均一に混合する方法を採用して本発明
の熱硬化性樹脂組成物を製造するのが好ましい。
【0037】本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて成形
品を製造するに当たっては、予め所定の温度に加熱して
おいた型内に本発明の熱硬化性樹脂組成物を充填して加
熱加圧する圧縮成形法が好ましく採用できるが、勿論そ
れに限定されるわけではなく、それ以外にも例えば射出
成形、移送成形などの方法を採用することができる。本
発明の熱硬化性樹脂組成物および成形材料から得られる
成形品は、硬化度が高く且つ厚み方向に均一な硬化度を
有しており、外観、耐熱性、耐久性、透明性などの諸特
性に優れているので、そのような特性が要求される種々
の広汎は用途に極めて有効に使用されすることができ
る。
【0038】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが本発明はそれにより限定されない。なお、以下
の例において、過酸化物の1分半減期温度は製造メーカ
ーのカタログ値を用い、また成形品における残存2重結
合量は次のようにして測定した。
【0039】成形品における残存2重結合量:分光光度
計(日立製作所製323型)を用いて、炭素間2重結合
(C=C)に帰属する1620nm付近の吸光度による吸
収帯ピーク高さに注目し、C=C含有濃度とピーク高さ
との検量線を予め作成しておき、次いで成形品について
測定したピーク高さを検量線に当てはめてC=C濃度を
求めて残存2重結合量とする。
【0040】《試験例 1》[過酸化物の発熱ピーク温
度及び1分半減期温度の測定] (1) ネオペンチルグリコールジメタクリレート30
重量%およびメチルメタクリレート70重量%からなる
単量体混合物に、該単量体混合物の重量に基づいて、
0.003重量%の2,2’−アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)および0.005
重量%の1,4(8)−p−メンタジエンを添加混合し
た溶液を、予め組み立てておいた層間10mmのガラス
セルに注入し、脱気および窒素封入した後、水温60℃
の恒温水槽内にセルを投入して30分間重合を行った。
得られた板状のゲル状物をセルから取り出して、2軸押
出機で破砕混練して平均粒径30μの部分架橋ゲル状重
合体(A)を得た。この部分架橋ゲル状重合体(A)の
ゲル分率は32%であった。
【0041】(2) 上記(1)で得た部分架橋ゲル状
重合体(A)に対して、(株)川田製作所製高速撹拌ス
ーパーミキサー(型式SMV−20)を用いて、下記の
表1に示す種々の過酸化物の各々を単独で活性酸素量
0.19%の割合で添加して、部分架橋ゲル状重合体
(A)の加熱硬化時の過酸化物の発熱ピーク温度を調べ
たところ、表1に示すとおりであった。また、該表1に
製造メーカーのカタログに記載されていた過酸化物の1
分半減期温度を併記する。
【0042】
【表1】
【0043】過酸化物による重合体の硬化反応温度や硬
化反応性の目安として、一般には過酸化物の1分半減期
温度が広く用いられているが、上記の表1の結果から明
らかなように、過酸化物を部分架橋ゲル状重合体(A)
に混合した際の実際の活性温度(発熱ピーク温度)は必
ずしも1分半減期温度とは一致しておらず、そのため、
本発明では従来の1分半減期温度を部分架橋ゲル状重合
体(A)の硬化反応の目安として使用できず、発熱ピー
ク温度を採用したものであり、かかる本発明によって部
分架橋ゲル状重合体(A)の硬化反応により適する特定
の過酸化物種の選択、その添加量の決定が可能になった
のである。
【0044】《実施例 1》 (1) 上記の試験例1の(1)と同様にして製造した
部分架橋ゲル状重合体(A)に、下記の表2に示す過酸
化物の各々を単独で、その活性酸素量が0.1%になる
割合で添加して熱硬化性樹脂組成物を調製した。 (2) 上記(1)で調製した熱硬化性樹脂組成物を1
30℃に予熱しておいたキャビティ深さがそれぞれ1m
m、2mmおよび3mmのセミポジティブ金型(キャビ
ティの縦×横=150mm×150mm)にそれぞれ2
7g、53gおよび80gずつ投入し、プレス成形機で
成形圧力90kg/cm2で成形して厚みがそれぞれ1
mm、2mmおよび3mmの板状成形品を製造した。各
々の成形品における残存2重結合量を測定し、その硬化
度合いを調べたところ、表2に示すとおりであった。
【0045】
【表2】
【0046】(3) 上記表2の結果から、発熱ピーク
温度が110℃以上130℃未満のパーオキシケタール
(b1)の1種である1,1−t−ブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを使用している
実験番号5および2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)
ブタンを使用している実験番号8では、得られる成形品
における残存2重結合量が極めて少なく(硬化度が高
く)、充分な硬化が行われていること、しかも成形品の
厚みが1mm、2mmおよび3mmと異なってもいずれ
の場合も残存2重結合量が少なく高い硬化度を有してい
ることがわかる。それに対して、発熱ピーク温度が11
0℃以上130℃未満の範囲であってもパーオキシケタ
ール以外の過酸化物を用いた場合は、成形品における残
存2重結合量が多く(硬化度が低く)充分な硬化が行わ
れておらず、しかも成形品の厚みが1mm、2mmおよ
び3mmの場合に、その硬化度(残存2重結合量)が著
しく異なっており、成形品の厚みによって硬化度が大き
くばらつくことがわかる。また、表2の結果から、発熱
ピーク温度が110℃以上130℃未満の範囲に含まれ
ない過酸化物を単独で使用した場合には、成形品におけ
る残存2重結合量が多く(硬化度が低く)充分な硬化が
行われず、しかも成形品の厚みが1mm、2mmおよび
3mmと異なると硬化度に大きな差異を生ずることがわ
かる。
【0047】《実施例 2》 (1) 試験例1の(1)において、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレートの代わりにエチレングリコール
ジメタクリレートを使用した以外は試験例1の(1)と
同様にして部分架橋ゲル状重合体(A)を製造した。 (2) 上記(1)で調製した部分架橋ゲル状重合体
(A)1kgに、パーオキシケタール(b1)として
1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサンを、過酸化物(b3)としてt−ブチ
ルパーオキシイソプロピルカーボネートを、そして過酸
化物(b4)として1,3−ビス(t−ブチルパーオキ
シイソプロピル)ベンゼンを用いて、それぞれを下記の
表3に示す割合で添加して熱硬化性樹脂組成物を調製し
た(過酸化物の合計活性酸素量=0.193)。それぞ
れの熱硬化性樹脂組成物を用いて実施例1の(2)と同
様にして成形を行って、厚みがそれぞれ1mm、2mm
および3mmの板状成形品を製造した。各々の成形品に
おける残存2重結合量を測定し、その硬化の度合いを調
べたところ、表3に示すとおりであった。
【0048】
【表3】
【0049】(3) 上記表3の結果から、発熱ピーク
温度が110℃以上130℃未満の範囲のパーオキシケ
タール(b1)に発熱ピーク温度が130℃以上140
℃未満の過酸化物(b3)を加えると、成形品の厚みが
1mmの場合だけでなく2mmの場合にも残存2重結合
量の一層少ない高度に硬化した良好な成形品が得られる
こと、またパーオキシケタール(b1)と共に発熱ピー
ク温度が130℃以上140℃未満の過酸化物(b3
および発熱ピーク温度が140℃以上170℃以下の過
酸化物(b4)の両方を使用すると、成形品の厚みが1
mm、2mm、3mmのすべての場合にその残存2重結
合量の極めて少ない、高度に硬化した成形品が得られる
ことがわかる。そして、この実施例2の結果から、パー
オキシケタール(b1)と共に、過酸化物(b3)および
/または過酸化物(b4)を併用すると、その硬化度が
一層高く、しかも成形品の厚みが変わってもその高い硬
化度が同様に維持される極めて良好な成形品が得られる
ことが明らかである。
【0050】《実施例 3》 (1) 実施例2の(1)と同様にして部分架橋ゲル状
重合体(A)を製造した。この部分架橋ゲル状重合体
(A)に、下記の表4に示す過酸化物を表4に示す割合
で添加して熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ調製した。 (2) 上記(1)で調製した熱硬化性樹脂組成物を用
いて、実施例1の(2)と同様にして成形を行って、厚
みがそれぞれ1mm、2mm、3mmの板状成形品を製
造した。各々の成形品における残存2重結合量を測定
し、その硬化の度合いを調べたところ、表4に示すとお
りであった。また、金型キャビティ内に配置したシース
型熱伝対により成形材料の硬化途中の最大温度発生時間
を調べたところ、表4に示すとおりであった。
【0051】
【表4】
【0052】《実施例 4》実施例2の(1)と同様に
して部分架橋ゲル状重合体(A)を製造した。この部分架
橋ゲル状重合体(A)に、下記の表5に示すように、1,
1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン[パーオキシケタール(b1)]および下記
の表5に示す過酸化物を表5に示す活性酸素量で添加し
て熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ調製した。ここで調製
した熱硬化性樹脂組成物の発熱ピーク温度を調べたとこ
ろ、下記の表5に示すとおりであった。
【0053】
【表5】
【0054】この実施例4の上記表5に記載されている
発熱ピーク温度および上記した実施例3の表4に記載さ
れている結果を総合すると、パーオキシケタール
(b1)とともに110℃未満の発熱ピーク温度を有し
且つパーオキシケタール(b1)と併用した場合に発熱
ピークが複数あらわれる過酸化物(b2)を併用した場
合には、成形品の厚みが1mm、2mmおよび3mmの
すべての場合にその残存2重結合量の極めて少ない高度
に硬化した成形品が得られることがわかる。
【0055】《実施例 5》 (1) 試験例1の(1)と同様にして、平均粒径35
μ、ゲル分率32%の部分架橋ゲル状重合体(A)を製
造した。 (2) 上記(1)で得た部分架橋ゲル状重合体(A)
に、試験例1で使用したのと同じ高速撹拌スーパーミキ
サーを用いて、2,4,4−トリメチルペンチルパーオ
キシ−2−ネオデカノエートを活性酸素量で0.005
%、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサンを活性酸素量で0.093%、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを活性酸
素量で0.05%および1,3−ビス(t−ブチルパー
オキシイソプロピル)ベンゼンを活性酸素量で0.05
%の割合で、撹拌翼回転数1480rpmで50秒間混
合して熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0056】(3) 上記(2)で調製した熱硬化性樹
脂組成物131gを130℃に予熱しておいたキャビテ
ィ深さ5mmのセミポジティブ金型(キャビティの縦×
横=150mm×150mm)に投入し、100ton
の最大型締め能力を有する圧縮成形機で、型締完了後初
圧45kg/cm2で25秒間保持した後、成形圧力を
340kg/cm2に上昇させて60秒保持し、金型を
開いて厚み5mmの平板状成形品を得た。この成形品の
厚み方向の硬化度分布を調べたところ図1に示すとおり
であり、厚み方向の残存2重結合量にほとんど差がな
く、高い硬化度を有していた。
【0057】《比較例 1》 (1) 試験例1の(1)と同様にして、平均粒径35
μ、ゲル分率32%の部分架橋ゲル状重合体(A)を製
造した。 (2) 上記(1)で得た部分架橋ゲル状重合体(A)
に、実施例5の(2)におけるのと同じミキサーを使用
して、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタ
レートを活性酸素量で0.01%、2,2−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ブタンを活性酸素量で0.03%およ
びジ−t−ブチルパーオキサイドを活性酸素量で0.0
5%の割合で混合して熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0058】(3) 上記(2)で調製した熱硬化性樹
脂組成物131gを130℃に予熱しておいた実施例5
の(3)で使用したのと同じ金型のキャビティに投入
し、型締完了後初圧45kg/cm2で30秒間保持し
た後、成形圧力を340kg/cm2に上昇させて5分
間保持し、金型を開いて厚み5mmの平板状成形品を得
た。この成形品の厚み方向の硬化度分布を調べたところ
図1に示すとおりであり、実施例5に比べて成形時間が
大幅に長いにも拘わらず、厚み方向に大きな硬化度分布
を有し、表層部と板厚中央部の硬化度が低かった。しか
も、成形品表面には肌荒れが観察され、外観的にも劣っ
ていた。
【0059】《比較例 2》比較例1の(2)で調製し
たのと同じ熱硬化性樹脂組成物131gを100℃に予
熱しておいた実施例5の(3)で使用したのと同じ金型
のキャビティに投入し、型締完了後初圧45kg/cm
2で90秒間保持した後、成形圧力を80kg/cm2
上昇させて30秒間保圧し、更に成形圧力を340kg
/cm2に上昇させてその圧力で保つと同時に金型の熱
媒循環路に高温(190℃)の熱媒油を流し込んで3分
間で金型温度を130℃にした後金型を開いて成形品を
取り出した。この成形品の厚み方向の硬化度分布を調べ
たところ図1に示すとおりであった。成形品表面の肌荒
れは観測されなかったが、成形に通算で8分30秒もの
時間を要したにも拘わらず、実施例5に比べて残存2重
結合量が多かった(硬化度が低かった)。
【0060】《実施例 6》 (1) 実験例1の(1)において、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレートの代わりにエチレングリコール
ジメタクリレートを使用した以外は同様にして、平均粒
径32μ、ゲル分率34%の部分架橋ゲル状重合体
(A)を製造した。 (2) 上記(1)で得た部分架橋ゲル状重合体(A)
に、実施例5の(2)で使用したのと同じミキサーを用
いて、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2
−ネオデカノエ−トを活性酸素量で0.005%、1,
3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼ
ンを活性酸素量で0.05%、t−ブチルパーオキシイ
ソプロピルカーボネートを活性酸素量で0.05%およ
び1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンを活性酸素量で0.093%の割合
で混合して熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0061】(3) 実施例5の(3)で使用したのと
同じ成形装置を用いて、キャビティの深さがそれぞれ1
mm、2mm、3mm、5mm、7.5mmおよび10
mmの予め130℃に加熱しておいた金型に、上記
(2)で調製した熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ27
g、53g、80g、131g、196.5gおよび2
62g充填し、型締め完了後の初圧を38kg/cm2
として、この初圧時間をそれぞれ10秒、14秒、16
秒、27秒、43秒および70秒として予備硬化した
後、更に成形圧力を340kg/cm2として60秒間
保持した後に金型を開いて成形品を取り出して、厚みが
1mm、2mm、3mm、5mm、7.5mmおよび1
0mmの成形品を得た。 (4) 上記で得られた成形品における残存2重結合量
は図2に示すとおりであり、残存2重結合量が極めて少
なくしかも成形品の厚みが異なってもほとんど差がな
く、硬化度分布のない高度に硬化した成形品が得られ
た。
【0062】《実施例 7》上記の実施例6において、
1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサンの代わりに2,2−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ブタンを用いた以外は実施例6と同様にし
て、厚みが1mmから10mmまでの7種の成形品を製
造した。その結果得られた成形品における残存2重結合
量は図2に示すとおりであり、残存2重結合量が極めて
少なくしかも成形品の厚みにほとんど左右されず、硬化
度の高い成形品が得られた。
【0063】《比較例 3》 (1) 実施例6の(1)で製造したのと同じ部分架橋
ゲル状重合体(A)に対して、比較例1で使用したのと
同じ過酸化物類を比較例1と同じ量で添加混合して熱硬
化性樹脂組成物を調製した。 (2) 実施例5の(3)で使用したのと同じ成形装置
を用いて、キャビティの深さがそれぞれ2mm、4m
m、6mmおよび8mmの予め130℃に加熱しておい
た金型に、上記(1)で調製した熱硬化性樹脂組成物をそ
れぞれ53g、105g、158gおよび210g充填
し、型締め完了後の初圧を38kg/cm2として、こ
の初圧時間をそれぞれ17秒、40秒、80秒および1
25秒として予備硬化した後、更に成形圧力を340k
g/cmに上昇させて283秒、260秒、220秒
および175秒間それぞれ保持した後に金型を開いて成
形品を取り出して、厚みが2mm、4mm、6mmおよ
び8mmの成形品を得た。 (3) 上記で得られた成形品における残存2重結合量
は図2に示すとおりであり、残存2重結合量がかなり多
く、しかも成形品の厚みによって残存2重結合量にかな
り差があった。
【0064】《比較例 4》 (1) 実験例1の(1)で製造したのと同じ部分架橋
ゲル状重合体(A)に対して、実施例5の(2)におけ
るのと同じミキサーを使用して、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネートを活性酸素量で0.193
%、パラトルエンスルフィン酸を0.6gおよびナフテ
ン酸銅を2.54×10-4g添加混合して熱硬化性樹脂
組成物を調製した。 (2) 実施例5の(3)で使用したのと同じ成形装置
を用いて、キャビティの深さがそれぞれ1.5mm、2
mm、3mm、4mmおよび5mmの予め100℃に加
熱しておいた金型に、上記(1)で調製した熱硬化性樹脂
組成物をそれぞれ40g、53g、80g、105gお
よび131g充填し、型締め完了後の初圧を38kg/
cm2として、この初圧時間をそれぞれ15秒、20
秒、30秒、45秒および63秒として予備硬化した
後、金型温度を150℃に昇温開始する(32秒間を要
する)と同時に成形圧力を340kg/cm2に上昇さ
せて、102秒、101秒、93秒、70秒および80
秒間それぞれ保持した後に金型を開いて厚みがそれぞれ
1.5mm、2mm、3mm、4mmおよび5mmの成
形品を取り出した。 (3) 上記で得られた成形品における残存2重結合量
は図2に示すとおりであった。
【0065】《実施例 8》実施例6と同様にして板厚
みがそれぞれ3mm、5mm、7.5mmおよび10m
mの成形品を製造して、その厚み方向の残存2重結合量
の分布状態を調べたところ、図3の(イ)〜(ニ)に示
すとおりであり、いずれの場合も、残存2重結合量が小
さく(硬化度が高く)、しかも板厚み方向における残存
2重結合量がほぼ均一であり、硬化度分布のない成形品
が得られていた。
【0066】
【発明の効果】発熱ピーク温度が110℃以上130℃
未満のパーオキシケタール(b1)を上記特定の量で含
有する部分架橋メタクリル系ゲル状重合体からなる本発
明の熱硬化性樹脂組成物を用いると、成形品の硬化度を
高くするために型の温度を更に上昇させる必要がなく、
一定の型温度を採用して短い成形サイクルで、残存2重
結合量の少ない、高度に硬化した耐熱性に優れるアクリ
ル樹脂成形品を生産性よく製造することができる。そし
て、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いた場合には、成
形品の厚みが変わっても硬化度にほとんど差が生じず、
種々の厚みの成形品を製造する場合に配合を変えること
なくそのまま使用することができる。しかも、得られる
成形品は厚み方向に均一な硬化度を有していて硬化度分
布がなく、外観、耐熱性、耐久性、透明性などの特性に
優れている。
【0067】特に、本発明の熱硬化性樹脂組成物におい
て、発熱ピーク温度が110℃以上130℃未満のパー
オキシケタール(b1)と共に、該パーオキシケタール
(b1)と併用して部分架橋ゲル状重合体(A)を硬化
させる際に発熱ピークが少なくとも2つ発生する110
℃未満の発熱ピーク温度を有する過酸化物(b2)、1
30℃以上140℃未満の発熱ピーク温度を有する過酸
化物(b3)および140℃以上170℃以下の発熱ピ
ーク温度を有する過酸化物(b4)の少なくとも1種を
併用した場合には、その硬化度が一層高く、しかも成形
品の厚みが変わってもその高い硬化度が極めて均等に維
持される硬化度分布ない、極めて優れた成形品が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願明細書中の実施例5および比較例1〜2で
得られた成形品の厚み方向の残存2重結合量の分布状態
を示す図である。
【図2】本願明細書中の実施例6〜7および比較例3〜
4で得られた厚みが異なるそれぞれの成形品における残
存2重結合量を示す図である。
【図3】本願明細書中の実施例8で得られた厚みが異な
るそれぞれの成形品における厚み方向の残存2重結合量
の分布状態を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 20/12 - 20/20 C08F 220/12 - 220/20 C08L 33/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキルメタクリレートを主体とする単
    量体またはそのシラップと少なくとも2個の(メタ)ア
    クリロイル基を有する化合物とを重合してなる部分架橋
    ゲル状重合体(A)、および過酸化物(B)を含有する
    熱硬化性樹脂組成物において、過酸化物(B)が110
    ℃以上130℃未満の発熱ピーク温度を有するパーオキ
    シケタールを主成分とする過酸化物であり、且つ過酸化
    物(B)の添加量が活性酸素量として0.05〜0.2
    %である熱硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 過酸化物(B)が、110℃以上130
    ℃未満の発熱ピーク温度を有するパーオキシケタール
    (b1)、該パーオキシケタール(b1)と併用して部分
    架橋ゲル状重合体(A)を硬化させる際に発熱ピークが
    少なくとも2つ発生する110℃未満の発熱ピーク温度
    を有する過酸化物(b2)、130℃以上140℃未満
    の発熱ピーク温度を有する過酸化物(b3)および14
    0℃以上170℃以下の発熱ピーク温度を有する過酸化
    物(b4)から構成され、且つその添加量が、活性酸素
    量として、パーオキシケタール(b1)0.09〜0.
    11%、過酸化物(b2)0〜0.006%、過酸化物
    (b3)0〜0.06%および過酸化物(b4)0〜0.
    06%の範囲である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 パーオキシケタール(b1)が、1,1
    −t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシク
    ロヘキサンおよび2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)
    ブタンの少なくとも一方である請求項1または2の熱硬
    化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項の熱硬化性
    樹脂組成物からなる成形材料。
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