JP2004059681A - (メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形品並びに樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
(メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形品並びに樹脂成形品の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的強度が高く、耐熱水性に優れた樹脂成形品を与える(メタ)アクリル系樹脂組成物、それを加熱硬化して得られる樹脂成形品、並びに樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂組成物を成形硬化してなる人工大理石は、洗面化粧台、浴槽、台所カウンター等のサニタリーウェア、あるいは建築用の内装材、外装材の用途や繊維強化樹脂(FRP)としての用途に広く利用されている。
このような人工大理石は、例えば、ビニル系単量体を含むシラップに水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填剤を混合してなる混合物を成形型内に充填し、硬化重合させる注型法や、ビニル系単量体を含むシラップと無機充填剤からなる混合物を増粘剤で増粘させて得られるシートモールディングコンパウンド(以下、SMCという)又はバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCという)を、加熱加圧成形法等の方法により得ることができる。
一方で、近年様々な用途面から高級化志向が強まり、透明性、深み、重厚感等の外観に優れた人工大理石が望まれており、数多く提案されてきている。
しかしながら、マトリックス樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合には、(メタ)アクリル系樹脂と無機充填剤との界面特性の相違に基づき、該樹脂と無機充填剤とは親和性や密着性が十分ではないという課題がある。
さらに、そのような課題を有する樹脂組成物からなる成形品は、曲げ強度、衝撃強度等の機械的強度や耐熱水性等、実用上必要となる各種物性が充分ではない傾向にある。
【0003】
そこで、機械的特性を向上させるため、(メタ)アクリル系シラップと水酸化アルミニウムの混合物中に、少量の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エチルエステルを添加する方法(特開平7−109160号公報)、(メタ)アクリロイル基含有リン酸ポリエチレングリコールエステル又はメタクリロイル基含有リン酸ポリプロピレングリコールエステルを添加する方法(特表平10−504058号公報)、及び少量の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エチルエステルを添加する方法(特開平3−103413公報)等、(メタ)アクリロイル基含有リン酸エステルを添加する方法が提案されている。
しかしながら、曲げ強度、衝撃強度、耐衝撃性等の機械的特性は改良されるものの、耐熱水性はいずれの方法を用いてもなお、実用レベルまで向上していないのが現状である。
【0004】
また、特表平10−504058号公報記載の樹脂成形品は、メタクリロイル基含有リン酸ポリエチレングリコールエステル又はメタクリロイル基含有リン酸ポリプロピレングリコールエステルといった長鎖の親水性エーテル結合を内部に持った構造のメタクリロイル基含有リン酸エステルを使用しているため、耐熱水性が著しく低下する。さらに、長鎖の親水性エーテル結合を内部に持った構造のものは、得られる樹脂成形品の耐熱性を大きく低下させるので、得られる樹脂成形品の光沢が低く、耐熱水性も大きく低下する傾向にある。このようにこれら、従来技術では、キッチン用途やバス用途、水タンク用途等の機械的強度と耐熱水性双方が要求される用途では、満足できるものはなかった。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的強度が高く、しかも耐熱水性に非常に優れた樹脂成形品を与える(メタ)アクリル系樹脂組成物、それを加熱硬化して得られる樹脂成形品、並びに樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及び下記一般式(I)で表される少なくとも一種の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エステル(D)を構成成分とする(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、該メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)が該無機充填剤(C)100質量部に対し、0.1〜5質量部であることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物にある。
【0007】
【化3】
【0008】
(但し式中、R1は下記一般式(ア)、(イ)及び(ウ)から選ばれるいずれか一種の基を、m=1〜2の整数を示す。)
【化4】
【0009】
該樹脂組成物からなるSMC又はBMC、該樹脂組成物を加熱硬化して得られる樹脂成形品、該SMC又はBMCを加熱加圧硬化して得られる樹脂成形品にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明においては、(メタ)アクリル系とはアクリル系又はメタクリル系を、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はメタクリロイル基を、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートをそれぞれ意味する。
本発明に用いる(メタ)アクリル系単量体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)は、(メタ)アクリル樹脂の優れた透明性により、得られる成形品の外観に深みや重厚感を与えるマトリックス樹脂成分である。
【0011】
本発明で用いられる(メタ)アクリル系単量体(A)は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物に適度な流動性を付与する成分である。
(A)成分として用いられる(メタ)アクリル系単量体としては、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を有する単量体又はそれらの混合物であればよく、特に限定されない。
【0012】
(A)成分の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単官能性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系多官能性単量体等が挙げられる。
これらは、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0013】
これら(メタ)アクリレートの中でも、耐熱性を考慮すると、メタクリレートを主成分とすることが好ましい。
その中でも、特にメチルメタクリレートを使用すると、得られる樹脂成形品に大理石調の透明感、深み感を出しやすいことから好ましい。
【0014】
本発明において、(A)成分の含有量は特に制限されないが、(A)〜(C)成分の合計量中5〜95質量%の範囲であることが好ましい。樹脂組成物の取り扱い性に優れることから、下限値は10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。
また上限値は55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
【0015】
なお、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には(A)成分以外の単量体として、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、トリアリールイソシアヌレート等の単量体を含有させてもよい。
【0016】
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体(B)は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物に適度な粘度を付与するための成分である。
本発明においてこの(メタ)アクリル系重合体(B)は、増粘剤として使用してもよいし、酸化マグネシウム等の二価の金属酸化物又は水酸化物等の増粘剤を使用する場合には、増粘補助剤として使用することもできる。
【0017】
増粘剤として使用する前者の場合、(B)成分は、少なくとも一部が成分(A)に溶解して、系全体の粘度を上昇させることにより、増粘剤として作用する。また、増粘補助剤として使用する後者の場合、二価の金属酸化物又は水酸化物と反応する官能基(例えば、カルボキシル基)を(B)成分中に導入した増粘補助剤とし、該増粘補助剤と増粘剤がイオン架橋して、増粘作用を発現する。
【0018】
(B)成分の構成成分(重合に使用する単量体等)としては、前述の(メタ)アクリル系単量体(A)で列挙した単官能性単量体及び/又は多官能性単量体を使用することができる。また、必要に応じて単独で重合した単独重合体を使用してもよいし、2種以上の単量体を併用した共重合体を使用してもよい。
【0019】
本発明において、(B)成分の含有量は特に制限されないが、(A)〜(C)成分の合計量中、0.1〜40質量%の範囲内が好ましい。
この含有量が0.1質量%以上の場合に、高い増粘効果が得られる傾向にあり、また、40質量%以下の場合に、(メタ)アクリル系SMC又はBMCを製造時の混練性が良好となる傾向にある。
(B)成分の含有量の下限値は、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましく、この上限値は、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
【0020】
(B)成分の重量平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が大きいほど増粘効果が高くなるとともに、得られる樹脂成形品の耐熱水性と耐衝撃性が良好となる傾向にあるため、1万以上が好ましい。
この重量平均分子量の上限値も特に制限はないが、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物製造時の混練性の面から、500万以下が好ましい。この重量平均分子量の下限値は、2万以上がより好ましく、3万以上が特に好ましい。また、上限値は300万以下がより好ましく、100万以下が特に好ましい。
【0021】
(B)成分を増粘剤として用いる場合、(B)成分は粉体形状として用いることが好ましい。その場合に(B)成分の平均粒子径は、1〜500μmの範囲内とすることが好ましい。
この平均粒子径が1μm以上の場合に、粉末としての取り扱い性が良好となる傾向にあり、500μm以下の場合に、(B)成分の(メタ)アクリル系単量体(A)への溶け残りがなくなる傾向にあり、得られる樹脂成形品の外観が良好となる傾向にある。
この平均粒子径の下限値については、10μm以上がより好ましく、20μm以上が特に好ましい。また、上限値については350μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。
【0022】
成分(B)の製造方法は、特に制限されず、例えば懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等の方法により重合することができる。
(B)成分を二価の金属酸化物又は水酸化物からなる増粘剤の増粘補助剤として使用する場合には、前述の酸単量体(例えば、(メタ)アクリル酸等)を共重合すればよい。
【0023】
本発明で用いられる無機充填剤(C)は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形品に、大理石調の深みのある質感や耐熱性を与える成分である。
無機充填剤(C)としては特に限定されないが、メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)との反応性を考慮すると水酸化アルミニウムや炭酸カルシウム、寒水石が好ましく、これらは単独で、又はこれらを併用して用いることができる。
【0024】
このうち、低コストであることから炭酸カルシウムがより好ましい。また、炭酸カルシウムとしては特に限定されるものではなく、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等を挙げることができる。
本発明において、(C)成分の含有量は特に制限されないが、(A)〜(C)成分の合計量中、5〜95質量%の範囲が好ましい。
(C)成分の含有量が5質量%以上の場合に、得られる樹脂成形品の質感や耐熱性が良好となる傾向にあり、また、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化時の収縮率が低くなる傾向にある。一方、(C)成分の含有量が95質量%以下の場合に、(メタ)アクリル系樹脂組成物製造時の流動性が良好となる傾向にある。
【0025】
成分(C)の含有量の下限値は、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましく、この上限値は、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
【0026】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、下記一般式(I)で表されるメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)が含まれることが重要である。
【0027】
【化5】
(但し式中、R1は下記一般式(ア)、(イ)及び(ウ)から選ばれるいずれか一種の基を、m=1〜2の整数を示す。)
【0028】
【化6】
【0029】
この(D)成分は、1分子中に、(メタ)アクリル系単量体(A)と化学結合するメタクリロイル基と、無機充填剤(C)と反応するリン酸基の両方を併せ持つ構造を有する化合物である。
【0030】
具体的には、前記一般式(I)において、マトリックス樹脂となる(メタ)アクリル系単量体(A)と反応する官能基はメタクリロイル基である。アクリロイル基の場合には、マトリックス樹脂となる(メタ)アクリル系単量体との反応性が悪く、機械的特性の改良効果を発現しない。
【0031】
機械的特性の改良には、マトリックス樹脂と無機充填剤との界面接着性の向上が重要である。界面接着性を向上させるには、1分子中に(メタ)アクリル系単量体(A)と化学結合するメタクリロイル基と、無機充填剤(C)と反応するリン酸基の両方を併せ持つ構造を有する化合物(D)を用いることが重要である。また、さらに耐熱水性向上には、分子の末端をメタクリロイル基として、疎水性が高く、耐熱性の低下が少ない構造であることが重要である。
上記一般式(ア)〜(ウ)で表されるR1の構造を有する化合物が耐熱水性を著しく向上させ、機械的特性及び耐熱水性に非常に優れた樹脂成形品を得ることができる。
【0032】
上記一般式(I)において、R1の炭素数が2以下のアルキレンの場合や、またはR1が長鎖のエーテル結合を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のような親水性が高い構造を有する場合には、得られる成形品の耐熱水性を大きく低下させる傾向にある。
その中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のような長鎖のエーテル結合を有する場合には、さらに成形品の耐熱性を大きく低下させる傾向にあり、得られる成形品は、光沢が低く、耐熱水性をさらに低下させる傾向にある。
【0033】
本発明に用いるメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)は、以下の様な常法にて製造できる。
例えば、無水リン酸と2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを1:2のモル比で反応させた後、水を1モル加えることにより合成できる。同様に、他の構造を有するメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)を合成するには、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの代わりに3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート又は、カプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレートを使用することにより、容易に合成できる。
【0034】
これら得られたメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)は、モノエステルとジエステルの混合物であり、特に限定はされないが、モノエステルの割合が50質量%以上であることがより好ましい。
【0035】
本発明において(メタ)アクリル系単量体(A)として特にメチルメタクリレートを使用する場合には、共重合性が良好であることから、メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)の分子末端をメタクリロイル基とすることが重要である。このようにして得られる樹脂成形品は機械的物性や耐熱水性が向上する傾向にある。
(D)成分の分子末端がアクリロイル基の場合には、メチルメタクリレートとの共重合性が低いため、得られる樹脂成形品の機械的特性改良の効果が不十分となり、また、共重合に組み込まれなかった単独重合品の親水性が高いことから、耐熱水性が大きく低下する傾向にある。
【0036】
本発明において、このメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)を(A)、(B)、及び(C)成分中に添加する方法は、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)を混合する際に(D)成分を添加するインテグラルブレンド法が、工程が簡便でコスト的にも有利である。
【0037】
本発明において、メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)成分の含有量は、無機充填剤(C)100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲である。(D)成分の下限値は0.2質量部以上が好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。また、上限値は4質量部以下が好ましく、3質量部以下が特に好ましい。
これは、(D)成分の使用量が0.1質量部以上の場合には、得られる樹脂成形品の機械的強度及び耐熱水性の向上効果が十分に発現する傾向にあり、また、5質量部以下の場合には、成形後の金型からの樹脂成形品の離型性が良好となる傾向にある。
【0038】
また、さらに増粘剤として二価の金属酸化物又は水酸化物を使用する場合には、該金属酸化物又は水酸化物と(D)成分が反応し、該金属酸化物又は水酸化物が失活するため、得られるSMC又はBMCの熟成後の到達粘度が不十分となり、表面がべたつき、取り扱い性が不良となる傾向にある。
【0039】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分を基本構成成分とするものであるが、必要に応じて、繊維強化材(E)、石目模様材(F)、重合開始剤、禁止剤、増粘剤(酸化マグネシウム等、二価の金属の酸化物又は水酸化物等)、着色剤、低収縮剤、内部離型剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤等を適宜添加してもよい。
【0040】
繊維強化材(E)は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形品に、機械的強度を付与することができる。
繊維強化材(E)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等が挙げられる。
これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
そのうち、機械的強度を発現させやすい傾向にあることから、ガラス繊維、炭素繊維が特に好ましい。
【0041】
また、繊維強化材(E)の長さは特に制限されないが、1〜60mmの範囲であることが好ましい。(E)成分の長さの下限値は5mm以上であることがより好ましく、また上限値は50mm以下であることがより好ましい。
本発明において、(E)成分の含有量は特に制限されないが、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物全量中、1〜50質量%の範囲が好ましい。
(E)成分の含有量が1質量%以上の場合に、得られる樹脂成形品の強度が高くなる傾向にあり、また50質量%以下の場合に、成形時の流動性が良好となる傾向にある。
(E)成分の含有量の下限値は5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましい。また、(E)成分の含有量の上限値は40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
【0042】
また、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、必要に応じてさらに石目模様材(F)を添加してもよい。
石目模様材(F)を添加した(メタ)アクリル系樹脂組成物を加熱成形すれば、石目模様を有する御影石調樹脂成形品を得ることができる。
石目模様材(F)としては、特に制限されず、樹脂粒子や無機充填剤含有樹脂粒子等が挙げられる。
【0043】
石目模様材(F)を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えばアクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を挙げることができるが、その中でも鮮明な石目模様を発現し、意匠性に優れた石調模様の成形品が得られることから、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0044】
また、石目模様材(F)が無機充填剤含有樹脂粒子である場合、その粒子中に含有される無機充填剤としては、例えば水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスパウダー等を挙げることができる。その中でも、得られる樹脂成形品の質感が優れることから、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム及びガラスパウダーから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0045】
さらに(F)成分には、必要に応じて顔料を含有させてもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、前記(F)成分を一種類単独で、もしくは色や粒径の異なる2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0046】
前記石目模様材(F)の製造方法は特に限定されないが、例えば樹脂板や無機充填剤入りの樹脂成形品を粉砕して得てもよい。その粉砕方法としては、例えばクラッシャー等による粉砕を挙げることができる。また粉砕した石目模様材は、必要に応じて篩によって粒度ごとに分級してもよい。
本発明において(F)成分の配合量は特に制限されないが、(メタ)アクリル系樹脂組成物全量中、0.1〜40質量%の範囲であることが好ましい。(F)成分の配合量を0.1質量%以上とすれば意匠性の良好な石目模様を有する成形品が得られる傾向にあり、40質量%以下とすれば、成形時の流動性が良好となる傾向にある。
(F)成分の配合量の下限値は1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。また、(F)成分の配合量の上限値は30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
【0047】
重合開始剤の具体例としては、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0048】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、そのまま成形材料として用いることができるが、SMC又はBMCの形態とすることにより、成形時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0049】
ここでいうSMC及びBMCとは、前記(A)〜(D)成分、及び必要に応じて各種添加剤を混合してなる(メタ)アクリル系樹脂組成物を増粘させた成形材料を意味する。
(メタ)アクリル系樹脂組成物を得るために、前記(A)〜(D)成分、及び必要に応じて各種添加剤を混合する混合方法としては、特に限定されず、(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度に応じて適宜選択すればよい。
特に、(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合と同時に増粘させる場合には、具体的には、例えば、ニーダー、ミキサー、ロール、押出機、混練押し出し機等、高粘度物質を効率よく混合できる方法であれば特に限定されない。
【0050】
また、(メタ)アクリル系樹脂組成物の増粘方法としては、前記(A)〜(D)成分を混合した後に増粘させる方法、又は混合と同時に増粘させる方法が挙げられる。
例えば、本発明のSMCを製造する場合には、離型フィルム上へ塗布しやすいことから、(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合し、離型フィルム上に塗布した後に増粘させることが好ましい。
一方本発明のBMCを製造する場合には、増粘速度の速い増粘剤を使用して、混合中に増粘させてもよいし、増粘速度の遅い増粘剤を使用して、混練後、熟成して増粘させてもよい。その中でも、製造時間を短縮できることから、(メタ)アクリル系樹脂組成物の混合と同時に増粘させることが好ましい。
【0051】
(メタ)アクリル系樹脂組成物の熟成条件は、25℃以上で熟成させればよく特に制限はないが、25〜60℃で1日以上熟成させると、最終的に到達する粘度まで増粘が進み、完全に増粘が終了する傾向にあるため好ましい。
ここで、熟成時の温度条件としては、下限値は30℃以上がより好ましく、また上限値は50℃以下がより好ましい。
【0052】
以下、SMC及びBMCの製造方法について、具体例を示す。
本発明のSMCは、前述した(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及びメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)ならびに所望により各種添加剤を混合してなる(メタ)アクリル系樹脂組成物を、2枚の離型性フィルム上に塗布した後、一方のフィルムの混合物が塗布された面に繊維強化材(E)を添加する。そして、その上に混合物が塗布された面がくるようにもう一方のフィルムを重ねて、繊維強化材(E)に混合物を含浸させた後、該混合物を増粘させることによって製造することができる。
【0053】
また、石目模様材を含むSMCを得るには、(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造時に石目模様材(F)を添加する以外は前述と同様にして製造することができる。
【0054】
SMCの製造工程において、離型性フィルムに塗布する(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、1〜200Pa・sの範囲であることが好ましい。
なお、ここでいう粘度とは、BH型粘度計で測定した粘度を意味する。
ここで、その粘度が1Pa・s以上の場合には、特に繊維補強材(E)に(メタ)アクリル系樹脂組成物を含浸させる工程で、混合物が離型性フィルムから漏洩しない傾向にある。また、その粘度が200Pa・s以下の場合に、(メタ)アクリル系樹脂組成物の繊維補強材(E)に対する含浸性が向上する傾向にある。
【0055】
一方、本発明のBMCは、前述した(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及びメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)ならびに所望により各種添加剤を混合してなる(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合し、前記混合と同時又は混合後に増粘させれば得ることができる。
【0056】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂成形品は、例えば前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を所望の形状の金型に入れ又は賦形し、加熱重合により成形硬化させることにより、得ることができる。
特に、前記SMC又はBMCを用いて成形する場合には、圧縮成形法等公知の方法により加熱加圧硬化することによって成形品を製造することが好ましい。
【0057】
ここでいう加熱温度は特に制限はないが、80〜150℃の範囲内が好ましい。
加熱温度が80℃以上の場合に、SMC又はBMCの硬化時間を短縮することができ、生産性が高くなる傾向にあり、また、金型内におけるSMC又はBMCの流動性が向上する傾向にある。
一方加熱温度が150℃以下の場合には、得られる樹脂成形品の線収縮率は低下し、光沢は良好となる傾向にある。
加熱温度の下限値については、90℃以上がより好ましく、105℃以上が特に好ましい。また、加熱温度の上限値については、140℃以下がより好ましく、135℃以下が特に好ましい。
なお、加熱加圧成形を行う場合には、上金型と下金型に温度差をつけて加熱してもよい。
【0058】
本発明において加圧圧力は特に制限はないが、0.5〜25MPaであることが好ましい。 加圧圧力が0.5MPa以上の場合に、SMC又はBMCの金型内への充填性が良好となる傾向にあり、25MPa以下の場合に、白化のない良好な成形外観が得られる傾向にある。
加圧圧力の下限値は、1MPa以上であることがより好ましく、上限値は20MPa以下であることがより好ましい。
【0059】
なお、本発明において加熱加圧硬化の条件のうち硬化時間は、所望する樹脂成形品の厚みによって適宜選択すればよく、限定されるものではない。
【0060】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げ具体的に説明する。
なお、例中の部は質量部を意味し、例中の評価方法は以下に示す通りである。
【0061】
<平均粒子径>
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所製)を用いて、重合体粒子の平均粒子径を測定した。
【0062】
<重量平均分子量>
GPC法によるポリスチレン換算値であり、下記条件で重量平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3本直列に連結
オーブン温度:38℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.4質量%
流速:1ml/分
注入量:0.1ml
検出器:RI(示差屈折計)
【0063】
<表面のべたつき>
得られたSMC及びBMCについて、フィルム剥離後の表面のべたつきを下記基準にて評価を行った。
◎:フィルムを剥離した表面にべたつきがなく、取り扱い性が良好。
○:フィルムを剥離した表面に僅かにべたつきがあるが、実用上問題ない。
×:フィルムを剥離した表面にべたつきがあり、取り扱い性が困難。
【0064】
<金型離型性>
得られた成形品を金型から離型する際の離型性を下記基準にて評価を行った。
◎:問題なく離型できる。
○:僅かながら抵抗を感じるが、実用上問題ない。
×:成形品が金型に強固に接着しており、離型が困難であり、実用上問題となる。
【0065】
<樹脂成形品の外観>
得られた樹脂成形品の外観を目視にて観察し、下記基準にて評価を行った。
○:光沢がきわめて高い。
△:光沢が僅かに低いが、実用上問題とならない。
×:光沢が著しく低く、実用上問題となる。
【0066】
<樹脂成形品の曲げ強度>
JIS−K−7203に準拠して測定した。
<樹脂成形品の衝撃強度>
JIS−K−7061に準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。
<樹脂成形品の耐熱水性>
得られた樹脂成形品を98℃の熱水中に120時間浸漬し、浸漬前の樹脂成形品と浸漬後の樹脂成形品の外観を目視にて比較した。
◎:変化なし
○:光沢低下、色変化が僅かに認められるが、実用上問題とならない。
×:光沢低下、色変化が顕著に認められ、実用上問題となる。
【0067】
(1)重合体粉末(P−1)の製造例
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、純水435部、ポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメタクリレート288部、メタクリル酸12部、チオグリコール酸オクチル3部、アゾビスイソブチロニトリル0.9部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲気下、350rpmで攪拌しながら1時間で70℃に昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇温し2時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノマーを水と共に留去してスラリーを得て、懸濁重合を終了した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径が350μmのアクリル系重合体(P−1)を得た。得られた(P−1)の重量平均分子量は4万であった。
【0068】
[実施例1]
メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)25.5部及び1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルBD」)5部からなるメタクリル系単量体混合物に、重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学(株)製、商品名「スミライザーBHT」)0.01部を添加してなるビニル系単量体混合物中に、前記製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)14.5部を溶解させてシラップを調製した。次いで該シラップ、メタクリロイル基含有リン酸エステルとして(2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「HOP−PM」)0.55部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「トリゴノックス42」)1.0部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.2部、緑色無機顔料3.2部、無機充填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)55部、及び増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製マグミック)0.23部をミキサー(特殊機化工業(株)、T.K.ホモディスパー2.5型)にて30℃10分間混合して(メタ)アクリル系樹脂組成物を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物を、ポリビニールアルコール製フィルムで密封し、40℃で4日間熟成させ、BMCを得た。
このBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
【0069】
次に、そのフィルムを剥離したBMCを成形用金型(厚さ4mm、200mm角の平板金型)に充填し、上金型温度125℃、下金型温度115℃、圧力5MPaの条件で5分間加熱加圧硬化を行った。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた緑色の樹脂成形品の表面は、気泡がなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0070】
[実施例2]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(3−クロロ2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーCL」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0071】
[実施例3]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(カプロラクトン変性2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(日本化薬(株)製、商品名「PM−21」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法でBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後は僅かに光沢の低下や色変化が認められたが、実用上問題とならないレベルであった。
【0072】
[実施例4]
メチルメタクリレート27.7部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート5部、及び水酸化アルミニウム(住友金属工業(株)製、商品名「C−301」)55部を用いる以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂組成物を得た後、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0073】
[実施例5]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を0.17部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後は僅かに光沢の低下や色変化が認められたが、実用上問題とならないレベルであった。
【0074】
[実施例6]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を1.65部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルムを剥離した表面に僅かにべたつきがあるが、実用上問題ないものであった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。化を行った。成形品の金型からの離型性は、僅かながら抵抗を感じるが、実用上問題ないものであった。得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0075】
[比較例1]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(城北化学工業(株)製、商品名「JPA514」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法でBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れていたが、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化が極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0076】
[比較例2]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート0.55部を用いる以外は、実施例4と同様にしてBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れていたが、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化が極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0077】
[比較例3]
(D)成分を不含有とする以外は、実施例1と同様にしてBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0078】
[比較例4]
(D)成分を不含有とする以外は、実施例4と同様にしてBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0079】
[比較例5]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシポリエチレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPE」、エチレンオキサイド鎖5モル)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品表面の光沢は僅かに低いが、実用上問題とならないレベルであった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0080】
[比較例6]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシポリプロピレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPP」、プロピレンオキサイド鎖6モル)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品表面の光沢は、僅かに低いが、実用上問題とならないレベルであった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0081】
[比較例7]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「P1A」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法でBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0082】
[比較例8]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を0.02部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0083】
[比較例9]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を4.4部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、増粘が不十分であり、フィルム離型性が悪く、フィルムを剥離した後の表面がべとつき、取り扱い性が悪いものであった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして成形したところ、成形品が金型に強固に接着し、離型できなかった。
【0084】
【表1】
【0085】
なお、表中の略記については、以下に示す。
*1:離型できず成形品が得られなかったため評価不能
MMA:メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)
BD:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート (三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルBD」)
P−1:製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)
NS#200:重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)
C301:水酸化アルミニウム(住友金属工業(株)製、商品名「C−301」)
HOP−PM:(2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「HOP−PM」)
CL:(3−クロロ2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーCL」)
PM21:(カプロラクトン変性2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(日本化薬(株)製、商品名「PM−21」)
JPA514:(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(城北化学工業(株)製、商品名「JPA514」)
PE:(2−メタクリロイルオキシポリエチレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPE」、エチレンオキサイド鎖5モル)
PP:(2−メタクリロイルオキシポリプロピレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPP」、プロピレンオキサイド鎖6モル)
P1A:(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「P1A」)
【0086】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、特定の構造のメタクリロイル基含有リン酸エステルを用いることにより、(メタ)アクリル系単量体や(メタ)アクリル系重合体と無機充填剤との界面接着性が改良され、機械的強度が高く、さらに耐熱水性に優れた樹脂成形品を得ることができるという、従来にない顕著な効果が発現することを見出したものである。(メタ)アクリル系樹脂組成物を見出した。
その結果、例えばキッチン用途やバス用途、水タンク用途等の機械的強度と耐熱水性双方が要求される用途において、実用化可能な樹脂成形品を製造することを可能としたものであり、本発明は工業上非常に有益である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的強度が高く、耐熱水性に優れた樹脂成形品を与える(メタ)アクリル系樹脂組成物、それを加熱硬化して得られる樹脂成形品、並びに樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂組成物を成形硬化してなる人工大理石は、洗面化粧台、浴槽、台所カウンター等のサニタリーウェア、あるいは建築用の内装材、外装材の用途や繊維強化樹脂(FRP)としての用途に広く利用されている。
このような人工大理石は、例えば、ビニル系単量体を含むシラップに水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填剤を混合してなる混合物を成形型内に充填し、硬化重合させる注型法や、ビニル系単量体を含むシラップと無機充填剤からなる混合物を増粘剤で増粘させて得られるシートモールディングコンパウンド(以下、SMCという)又はバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCという)を、加熱加圧成形法等の方法により得ることができる。
一方で、近年様々な用途面から高級化志向が強まり、透明性、深み、重厚感等の外観に優れた人工大理石が望まれており、数多く提案されてきている。
しかしながら、マトリックス樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合には、(メタ)アクリル系樹脂と無機充填剤との界面特性の相違に基づき、該樹脂と無機充填剤とは親和性や密着性が十分ではないという課題がある。
さらに、そのような課題を有する樹脂組成物からなる成形品は、曲げ強度、衝撃強度等の機械的強度や耐熱水性等、実用上必要となる各種物性が充分ではない傾向にある。
【0003】
そこで、機械的特性を向上させるため、(メタ)アクリル系シラップと水酸化アルミニウムの混合物中に、少量の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エチルエステルを添加する方法(特開平7−109160号公報)、(メタ)アクリロイル基含有リン酸ポリエチレングリコールエステル又はメタクリロイル基含有リン酸ポリプロピレングリコールエステルを添加する方法(特表平10−504058号公報)、及び少量の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エチルエステルを添加する方法(特開平3−103413公報)等、(メタ)アクリロイル基含有リン酸エステルを添加する方法が提案されている。
しかしながら、曲げ強度、衝撃強度、耐衝撃性等の機械的特性は改良されるものの、耐熱水性はいずれの方法を用いてもなお、実用レベルまで向上していないのが現状である。
【0004】
また、特表平10−504058号公報記載の樹脂成形品は、メタクリロイル基含有リン酸ポリエチレングリコールエステル又はメタクリロイル基含有リン酸ポリプロピレングリコールエステルといった長鎖の親水性エーテル結合を内部に持った構造のメタクリロイル基含有リン酸エステルを使用しているため、耐熱水性が著しく低下する。さらに、長鎖の親水性エーテル結合を内部に持った構造のものは、得られる樹脂成形品の耐熱性を大きく低下させるので、得られる樹脂成形品の光沢が低く、耐熱水性も大きく低下する傾向にある。このようにこれら、従来技術では、キッチン用途やバス用途、水タンク用途等の機械的強度と耐熱水性双方が要求される用途では、満足できるものはなかった。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的強度が高く、しかも耐熱水性に非常に優れた樹脂成形品を与える(メタ)アクリル系樹脂組成物、それを加熱硬化して得られる樹脂成形品、並びに樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及び下記一般式(I)で表される少なくとも一種の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エステル(D)を構成成分とする(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、該メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)が該無機充填剤(C)100質量部に対し、0.1〜5質量部であることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物にある。
【0007】
【化3】
【0008】
(但し式中、R1は下記一般式(ア)、(イ)及び(ウ)から選ばれるいずれか一種の基を、m=1〜2の整数を示す。)
【化4】
【0009】
該樹脂組成物からなるSMC又はBMC、該樹脂組成物を加熱硬化して得られる樹脂成形品、該SMC又はBMCを加熱加圧硬化して得られる樹脂成形品にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明においては、(メタ)アクリル系とはアクリル系又はメタクリル系を、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はメタクリロイル基を、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートをそれぞれ意味する。
本発明に用いる(メタ)アクリル系単量体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)は、(メタ)アクリル樹脂の優れた透明性により、得られる成形品の外観に深みや重厚感を与えるマトリックス樹脂成分である。
【0011】
本発明で用いられる(メタ)アクリル系単量体(A)は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物に適度な流動性を付与する成分である。
(A)成分として用いられる(メタ)アクリル系単量体としては、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を有する単量体又はそれらの混合物であればよく、特に限定されない。
【0012】
(A)成分の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単官能性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系多官能性単量体等が挙げられる。
これらは、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0013】
これら(メタ)アクリレートの中でも、耐熱性を考慮すると、メタクリレートを主成分とすることが好ましい。
その中でも、特にメチルメタクリレートを使用すると、得られる樹脂成形品に大理石調の透明感、深み感を出しやすいことから好ましい。
【0014】
本発明において、(A)成分の含有量は特に制限されないが、(A)〜(C)成分の合計量中5〜95質量%の範囲であることが好ましい。樹脂組成物の取り扱い性に優れることから、下限値は10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。
また上限値は55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
【0015】
なお、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には(A)成分以外の単量体として、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、トリアリールイソシアヌレート等の単量体を含有させてもよい。
【0016】
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体(B)は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物に適度な粘度を付与するための成分である。
本発明においてこの(メタ)アクリル系重合体(B)は、増粘剤として使用してもよいし、酸化マグネシウム等の二価の金属酸化物又は水酸化物等の増粘剤を使用する場合には、増粘補助剤として使用することもできる。
【0017】
増粘剤として使用する前者の場合、(B)成分は、少なくとも一部が成分(A)に溶解して、系全体の粘度を上昇させることにより、増粘剤として作用する。また、増粘補助剤として使用する後者の場合、二価の金属酸化物又は水酸化物と反応する官能基(例えば、カルボキシル基)を(B)成分中に導入した増粘補助剤とし、該増粘補助剤と増粘剤がイオン架橋して、増粘作用を発現する。
【0018】
(B)成分の構成成分(重合に使用する単量体等)としては、前述の(メタ)アクリル系単量体(A)で列挙した単官能性単量体及び/又は多官能性単量体を使用することができる。また、必要に応じて単独で重合した単独重合体を使用してもよいし、2種以上の単量体を併用した共重合体を使用してもよい。
【0019】
本発明において、(B)成分の含有量は特に制限されないが、(A)〜(C)成分の合計量中、0.1〜40質量%の範囲内が好ましい。
この含有量が0.1質量%以上の場合に、高い増粘効果が得られる傾向にあり、また、40質量%以下の場合に、(メタ)アクリル系SMC又はBMCを製造時の混練性が良好となる傾向にある。
(B)成分の含有量の下限値は、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましく、この上限値は、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
【0020】
(B)成分の重量平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が大きいほど増粘効果が高くなるとともに、得られる樹脂成形品の耐熱水性と耐衝撃性が良好となる傾向にあるため、1万以上が好ましい。
この重量平均分子量の上限値も特に制限はないが、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物製造時の混練性の面から、500万以下が好ましい。この重量平均分子量の下限値は、2万以上がより好ましく、3万以上が特に好ましい。また、上限値は300万以下がより好ましく、100万以下が特に好ましい。
【0021】
(B)成分を増粘剤として用いる場合、(B)成分は粉体形状として用いることが好ましい。その場合に(B)成分の平均粒子径は、1〜500μmの範囲内とすることが好ましい。
この平均粒子径が1μm以上の場合に、粉末としての取り扱い性が良好となる傾向にあり、500μm以下の場合に、(B)成分の(メタ)アクリル系単量体(A)への溶け残りがなくなる傾向にあり、得られる樹脂成形品の外観が良好となる傾向にある。
この平均粒子径の下限値については、10μm以上がより好ましく、20μm以上が特に好ましい。また、上限値については350μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。
【0022】
成分(B)の製造方法は、特に制限されず、例えば懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等の方法により重合することができる。
(B)成分を二価の金属酸化物又は水酸化物からなる増粘剤の増粘補助剤として使用する場合には、前述の酸単量体(例えば、(メタ)アクリル酸等)を共重合すればよい。
【0023】
本発明で用いられる無機充填剤(C)は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形品に、大理石調の深みのある質感や耐熱性を与える成分である。
無機充填剤(C)としては特に限定されないが、メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)との反応性を考慮すると水酸化アルミニウムや炭酸カルシウム、寒水石が好ましく、これらは単独で、又はこれらを併用して用いることができる。
【0024】
このうち、低コストであることから炭酸カルシウムがより好ましい。また、炭酸カルシウムとしては特に限定されるものではなく、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等を挙げることができる。
本発明において、(C)成分の含有量は特に制限されないが、(A)〜(C)成分の合計量中、5〜95質量%の範囲が好ましい。
(C)成分の含有量が5質量%以上の場合に、得られる樹脂成形品の質感や耐熱性が良好となる傾向にあり、また、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化時の収縮率が低くなる傾向にある。一方、(C)成分の含有量が95質量%以下の場合に、(メタ)アクリル系樹脂組成物製造時の流動性が良好となる傾向にある。
【0025】
成分(C)の含有量の下限値は、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましく、この上限値は、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
【0026】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、下記一般式(I)で表されるメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)が含まれることが重要である。
【0027】
【化5】
(但し式中、R1は下記一般式(ア)、(イ)及び(ウ)から選ばれるいずれか一種の基を、m=1〜2の整数を示す。)
【0028】
【化6】
【0029】
この(D)成分は、1分子中に、(メタ)アクリル系単量体(A)と化学結合するメタクリロイル基と、無機充填剤(C)と反応するリン酸基の両方を併せ持つ構造を有する化合物である。
【0030】
具体的には、前記一般式(I)において、マトリックス樹脂となる(メタ)アクリル系単量体(A)と反応する官能基はメタクリロイル基である。アクリロイル基の場合には、マトリックス樹脂となる(メタ)アクリル系単量体との反応性が悪く、機械的特性の改良効果を発現しない。
【0031】
機械的特性の改良には、マトリックス樹脂と無機充填剤との界面接着性の向上が重要である。界面接着性を向上させるには、1分子中に(メタ)アクリル系単量体(A)と化学結合するメタクリロイル基と、無機充填剤(C)と反応するリン酸基の両方を併せ持つ構造を有する化合物(D)を用いることが重要である。また、さらに耐熱水性向上には、分子の末端をメタクリロイル基として、疎水性が高く、耐熱性の低下が少ない構造であることが重要である。
上記一般式(ア)〜(ウ)で表されるR1の構造を有する化合物が耐熱水性を著しく向上させ、機械的特性及び耐熱水性に非常に優れた樹脂成形品を得ることができる。
【0032】
上記一般式(I)において、R1の炭素数が2以下のアルキレンの場合や、またはR1が長鎖のエーテル結合を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のような親水性が高い構造を有する場合には、得られる成形品の耐熱水性を大きく低下させる傾向にある。
その中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のような長鎖のエーテル結合を有する場合には、さらに成形品の耐熱性を大きく低下させる傾向にあり、得られる成形品は、光沢が低く、耐熱水性をさらに低下させる傾向にある。
【0033】
本発明に用いるメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)は、以下の様な常法にて製造できる。
例えば、無水リン酸と2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを1:2のモル比で反応させた後、水を1モル加えることにより合成できる。同様に、他の構造を有するメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)を合成するには、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの代わりに3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート又は、カプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレートを使用することにより、容易に合成できる。
【0034】
これら得られたメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)は、モノエステルとジエステルの混合物であり、特に限定はされないが、モノエステルの割合が50質量%以上であることがより好ましい。
【0035】
本発明において(メタ)アクリル系単量体(A)として特にメチルメタクリレートを使用する場合には、共重合性が良好であることから、メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)の分子末端をメタクリロイル基とすることが重要である。このようにして得られる樹脂成形品は機械的物性や耐熱水性が向上する傾向にある。
(D)成分の分子末端がアクリロイル基の場合には、メチルメタクリレートとの共重合性が低いため、得られる樹脂成形品の機械的特性改良の効果が不十分となり、また、共重合に組み込まれなかった単独重合品の親水性が高いことから、耐熱水性が大きく低下する傾向にある。
【0036】
本発明において、このメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)を(A)、(B)、及び(C)成分中に添加する方法は、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)を混合する際に(D)成分を添加するインテグラルブレンド法が、工程が簡便でコスト的にも有利である。
【0037】
本発明において、メタクリロイル基含有リン酸エステル(D)成分の含有量は、無機充填剤(C)100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲である。(D)成分の下限値は0.2質量部以上が好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。また、上限値は4質量部以下が好ましく、3質量部以下が特に好ましい。
これは、(D)成分の使用量が0.1質量部以上の場合には、得られる樹脂成形品の機械的強度及び耐熱水性の向上効果が十分に発現する傾向にあり、また、5質量部以下の場合には、成形後の金型からの樹脂成形品の離型性が良好となる傾向にある。
【0038】
また、さらに増粘剤として二価の金属酸化物又は水酸化物を使用する場合には、該金属酸化物又は水酸化物と(D)成分が反応し、該金属酸化物又は水酸化物が失活するため、得られるSMC又はBMCの熟成後の到達粘度が不十分となり、表面がべたつき、取り扱い性が不良となる傾向にある。
【0039】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分を基本構成成分とするものであるが、必要に応じて、繊維強化材(E)、石目模様材(F)、重合開始剤、禁止剤、増粘剤(酸化マグネシウム等、二価の金属の酸化物又は水酸化物等)、着色剤、低収縮剤、内部離型剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤等を適宜添加してもよい。
【0040】
繊維強化材(E)は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形品に、機械的強度を付与することができる。
繊維強化材(E)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等が挙げられる。
これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
そのうち、機械的強度を発現させやすい傾向にあることから、ガラス繊維、炭素繊維が特に好ましい。
【0041】
また、繊維強化材(E)の長さは特に制限されないが、1〜60mmの範囲であることが好ましい。(E)成分の長さの下限値は5mm以上であることがより好ましく、また上限値は50mm以下であることがより好ましい。
本発明において、(E)成分の含有量は特に制限されないが、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物全量中、1〜50質量%の範囲が好ましい。
(E)成分の含有量が1質量%以上の場合に、得られる樹脂成形品の強度が高くなる傾向にあり、また50質量%以下の場合に、成形時の流動性が良好となる傾向にある。
(E)成分の含有量の下限値は5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましい。また、(E)成分の含有量の上限値は40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
【0042】
また、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、必要に応じてさらに石目模様材(F)を添加してもよい。
石目模様材(F)を添加した(メタ)アクリル系樹脂組成物を加熱成形すれば、石目模様を有する御影石調樹脂成形品を得ることができる。
石目模様材(F)としては、特に制限されず、樹脂粒子や無機充填剤含有樹脂粒子等が挙げられる。
【0043】
石目模様材(F)を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えばアクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を挙げることができるが、その中でも鮮明な石目模様を発現し、意匠性に優れた石調模様の成形品が得られることから、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0044】
また、石目模様材(F)が無機充填剤含有樹脂粒子である場合、その粒子中に含有される無機充填剤としては、例えば水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスパウダー等を挙げることができる。その中でも、得られる樹脂成形品の質感が優れることから、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム及びガラスパウダーから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0045】
さらに(F)成分には、必要に応じて顔料を含有させてもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、前記(F)成分を一種類単独で、もしくは色や粒径の異なる2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0046】
前記石目模様材(F)の製造方法は特に限定されないが、例えば樹脂板や無機充填剤入りの樹脂成形品を粉砕して得てもよい。その粉砕方法としては、例えばクラッシャー等による粉砕を挙げることができる。また粉砕した石目模様材は、必要に応じて篩によって粒度ごとに分級してもよい。
本発明において(F)成分の配合量は特に制限されないが、(メタ)アクリル系樹脂組成物全量中、0.1〜40質量%の範囲であることが好ましい。(F)成分の配合量を0.1質量%以上とすれば意匠性の良好な石目模様を有する成形品が得られる傾向にあり、40質量%以下とすれば、成形時の流動性が良好となる傾向にある。
(F)成分の配合量の下限値は1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。また、(F)成分の配合量の上限値は30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
【0047】
重合開始剤の具体例としては、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0048】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、そのまま成形材料として用いることができるが、SMC又はBMCの形態とすることにより、成形時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0049】
ここでいうSMC及びBMCとは、前記(A)〜(D)成分、及び必要に応じて各種添加剤を混合してなる(メタ)アクリル系樹脂組成物を増粘させた成形材料を意味する。
(メタ)アクリル系樹脂組成物を得るために、前記(A)〜(D)成分、及び必要に応じて各種添加剤を混合する混合方法としては、特に限定されず、(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度に応じて適宜選択すればよい。
特に、(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合と同時に増粘させる場合には、具体的には、例えば、ニーダー、ミキサー、ロール、押出機、混練押し出し機等、高粘度物質を効率よく混合できる方法であれば特に限定されない。
【0050】
また、(メタ)アクリル系樹脂組成物の増粘方法としては、前記(A)〜(D)成分を混合した後に増粘させる方法、又は混合と同時に増粘させる方法が挙げられる。
例えば、本発明のSMCを製造する場合には、離型フィルム上へ塗布しやすいことから、(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合し、離型フィルム上に塗布した後に増粘させることが好ましい。
一方本発明のBMCを製造する場合には、増粘速度の速い増粘剤を使用して、混合中に増粘させてもよいし、増粘速度の遅い増粘剤を使用して、混練後、熟成して増粘させてもよい。その中でも、製造時間を短縮できることから、(メタ)アクリル系樹脂組成物の混合と同時に増粘させることが好ましい。
【0051】
(メタ)アクリル系樹脂組成物の熟成条件は、25℃以上で熟成させればよく特に制限はないが、25〜60℃で1日以上熟成させると、最終的に到達する粘度まで増粘が進み、完全に増粘が終了する傾向にあるため好ましい。
ここで、熟成時の温度条件としては、下限値は30℃以上がより好ましく、また上限値は50℃以下がより好ましい。
【0052】
以下、SMC及びBMCの製造方法について、具体例を示す。
本発明のSMCは、前述した(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及びメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)ならびに所望により各種添加剤を混合してなる(メタ)アクリル系樹脂組成物を、2枚の離型性フィルム上に塗布した後、一方のフィルムの混合物が塗布された面に繊維強化材(E)を添加する。そして、その上に混合物が塗布された面がくるようにもう一方のフィルムを重ねて、繊維強化材(E)に混合物を含浸させた後、該混合物を増粘させることによって製造することができる。
【0053】
また、石目模様材を含むSMCを得るには、(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造時に石目模様材(F)を添加する以外は前述と同様にして製造することができる。
【0054】
SMCの製造工程において、離型性フィルムに塗布する(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、1〜200Pa・sの範囲であることが好ましい。
なお、ここでいう粘度とは、BH型粘度計で測定した粘度を意味する。
ここで、その粘度が1Pa・s以上の場合には、特に繊維補強材(E)に(メタ)アクリル系樹脂組成物を含浸させる工程で、混合物が離型性フィルムから漏洩しない傾向にある。また、その粘度が200Pa・s以下の場合に、(メタ)アクリル系樹脂組成物の繊維補強材(E)に対する含浸性が向上する傾向にある。
【0055】
一方、本発明のBMCは、前述した(メタ)アクリル系単量体(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及びメタクリロイル基含有リン酸エステル(D)ならびに所望により各種添加剤を混合してなる(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合し、前記混合と同時又は混合後に増粘させれば得ることができる。
【0056】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂成形品は、例えば前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を所望の形状の金型に入れ又は賦形し、加熱重合により成形硬化させることにより、得ることができる。
特に、前記SMC又はBMCを用いて成形する場合には、圧縮成形法等公知の方法により加熱加圧硬化することによって成形品を製造することが好ましい。
【0057】
ここでいう加熱温度は特に制限はないが、80〜150℃の範囲内が好ましい。
加熱温度が80℃以上の場合に、SMC又はBMCの硬化時間を短縮することができ、生産性が高くなる傾向にあり、また、金型内におけるSMC又はBMCの流動性が向上する傾向にある。
一方加熱温度が150℃以下の場合には、得られる樹脂成形品の線収縮率は低下し、光沢は良好となる傾向にある。
加熱温度の下限値については、90℃以上がより好ましく、105℃以上が特に好ましい。また、加熱温度の上限値については、140℃以下がより好ましく、135℃以下が特に好ましい。
なお、加熱加圧成形を行う場合には、上金型と下金型に温度差をつけて加熱してもよい。
【0058】
本発明において加圧圧力は特に制限はないが、0.5〜25MPaであることが好ましい。 加圧圧力が0.5MPa以上の場合に、SMC又はBMCの金型内への充填性が良好となる傾向にあり、25MPa以下の場合に、白化のない良好な成形外観が得られる傾向にある。
加圧圧力の下限値は、1MPa以上であることがより好ましく、上限値は20MPa以下であることがより好ましい。
【0059】
なお、本発明において加熱加圧硬化の条件のうち硬化時間は、所望する樹脂成形品の厚みによって適宜選択すればよく、限定されるものではない。
【0060】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げ具体的に説明する。
なお、例中の部は質量部を意味し、例中の評価方法は以下に示す通りである。
【0061】
<平均粒子径>
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所製)を用いて、重合体粒子の平均粒子径を測定した。
【0062】
<重量平均分子量>
GPC法によるポリスチレン換算値であり、下記条件で重量平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3本直列に連結
オーブン温度:38℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.4質量%
流速:1ml/分
注入量:0.1ml
検出器:RI(示差屈折計)
【0063】
<表面のべたつき>
得られたSMC及びBMCについて、フィルム剥離後の表面のべたつきを下記基準にて評価を行った。
◎:フィルムを剥離した表面にべたつきがなく、取り扱い性が良好。
○:フィルムを剥離した表面に僅かにべたつきがあるが、実用上問題ない。
×:フィルムを剥離した表面にべたつきがあり、取り扱い性が困難。
【0064】
<金型離型性>
得られた成形品を金型から離型する際の離型性を下記基準にて評価を行った。
◎:問題なく離型できる。
○:僅かながら抵抗を感じるが、実用上問題ない。
×:成形品が金型に強固に接着しており、離型が困難であり、実用上問題となる。
【0065】
<樹脂成形品の外観>
得られた樹脂成形品の外観を目視にて観察し、下記基準にて評価を行った。
○:光沢がきわめて高い。
△:光沢が僅かに低いが、実用上問題とならない。
×:光沢が著しく低く、実用上問題となる。
【0066】
<樹脂成形品の曲げ強度>
JIS−K−7203に準拠して測定した。
<樹脂成形品の衝撃強度>
JIS−K−7061に準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。
<樹脂成形品の耐熱水性>
得られた樹脂成形品を98℃の熱水中に120時間浸漬し、浸漬前の樹脂成形品と浸漬後の樹脂成形品の外観を目視にて比較した。
◎:変化なし
○:光沢低下、色変化が僅かに認められるが、実用上問題とならない。
×:光沢低下、色変化が顕著に認められ、実用上問題となる。
【0067】
(1)重合体粉末(P−1)の製造例
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、純水435部、ポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメタクリレート288部、メタクリル酸12部、チオグリコール酸オクチル3部、アゾビスイソブチロニトリル0.9部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲気下、350rpmで攪拌しながら1時間で70℃に昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇温し2時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノマーを水と共に留去してスラリーを得て、懸濁重合を終了した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径が350μmのアクリル系重合体(P−1)を得た。得られた(P−1)の重量平均分子量は4万であった。
【0068】
[実施例1]
メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)25.5部及び1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルBD」)5部からなるメタクリル系単量体混合物に、重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学(株)製、商品名「スミライザーBHT」)0.01部を添加してなるビニル系単量体混合物中に、前記製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)14.5部を溶解させてシラップを調製した。次いで該シラップ、メタクリロイル基含有リン酸エステルとして(2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「HOP−PM」)0.55部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「トリゴノックス42」)1.0部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.2部、緑色無機顔料3.2部、無機充填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)55部、及び増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製マグミック)0.23部をミキサー(特殊機化工業(株)、T.K.ホモディスパー2.5型)にて30℃10分間混合して(メタ)アクリル系樹脂組成物を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物を、ポリビニールアルコール製フィルムで密封し、40℃で4日間熟成させ、BMCを得た。
このBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
【0069】
次に、そのフィルムを剥離したBMCを成形用金型(厚さ4mm、200mm角の平板金型)に充填し、上金型温度125℃、下金型温度115℃、圧力5MPaの条件で5分間加熱加圧硬化を行った。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた緑色の樹脂成形品の表面は、気泡がなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0070】
[実施例2]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(3−クロロ2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーCL」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0071】
[実施例3]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(カプロラクトン変性2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(日本化薬(株)製、商品名「PM−21」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法でBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後は僅かに光沢の低下や色変化が認められたが、実用上問題とならないレベルであった。
【0072】
[実施例4]
メチルメタクリレート27.7部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート5部、及び水酸化アルミニウム(住友金属工業(株)製、商品名「C−301」)55部を用いる以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂組成物を得た後、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0073】
[実施例5]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を0.17部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後は僅かに光沢の低下や色変化が認められたが、実用上問題とならないレベルであった。
【0074】
[実施例6]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を1.65部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルムを剥離した表面に僅かにべたつきがあるが、実用上問題ないものであった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。化を行った。成形品の金型からの離型性は、僅かながら抵抗を感じるが、実用上問題ないものであった。得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れており、耐熱水性試験後も外観に変化はなく、耐熱水性は極めて良好であった。
【0075】
[比較例1]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(城北化学工業(株)製、商品名「JPA514」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法でBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れていたが、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化が極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0076】
[比較例2]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート0.55部を用いる以外は、実施例4と同様にしてBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度は非常に優れていたが、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化が極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0077】
[比較例3]
(D)成分を不含有とする以外は、実施例1と同様にしてBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0078】
[比較例4]
(D)成分を不含有とする以外は、実施例4と同様にしてBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0079】
[比較例5]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシポリエチレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPE」、エチレンオキサイド鎖5モル)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品表面の光沢は僅かに低いが、実用上問題とならないレベルであった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0080】
[比較例6]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−メタクリロイルオキシポリプロピレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPP」、プロピレンオキサイド鎖6モル)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品表面の光沢は、僅かに低いが、実用上問題とならないレベルであった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく、耐熱水性の劣るものであった。
【0081】
[比較例7]
メタクリロイル基含有リン酸エステルとして、(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「P1A」)0.55部を用いる以外は、実施例1と同様の方法でBMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0082】
[比較例8]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を0.02部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを剥離した表面にべたつきはなく、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして緑色の樹脂成形品を得た。
成形品の金型からの離型性は良好で、得られた樹脂成形品の表面は、気泡はなく、光沢がきわめて高く、外観は良好であった。
また、得られた樹脂成形品について評価を行ったところ、曲げ強度、シャルピー衝撃強度は極めて低いものであり、耐熱水性試験後の樹脂成形品表面の色変化も極めて大きく耐熱水性の劣るものであった。
【0083】
[比較例9]
メタクリロイル基含有リン酸エステルの添加量を4.4部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、BMCを得た。
得られたBMCは、増粘が不十分であり、フィルム離型性が悪く、フィルムを剥離した後の表面がべとつき、取り扱い性が悪いものであった。
次に、得られたBMCを用いる以外は実施例1と同様にして成形したところ、成形品が金型に強固に接着し、離型できなかった。
【0084】
【表1】
【0085】
なお、表中の略記については、以下に示す。
*1:離型できず成形品が得られなかったため評価不能
MMA:メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)
BD:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート (三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルBD」)
P−1:製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)
NS#200:重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)
C301:水酸化アルミニウム(住友金属工業(株)製、商品名「C−301」)
HOP−PM:(2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「HOP−PM」)
CL:(3−クロロ2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーCL」)
PM21:(カプロラクトン変性2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(日本化薬(株)製、商品名「PM−21」)
JPA514:(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(城北化学工業(株)製、商品名「JPA514」)
PE:(2−メタクリロイルオキシポリエチレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPE」、エチレンオキサイド鎖5モル)
PP:(2−メタクリロイルオキシポリプロピレングリコール)アシッドホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名「ホスマーPP」、プロピレンオキサイド鎖6モル)
P1A:(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名「P1A」)
【0086】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、特定の構造のメタクリロイル基含有リン酸エステルを用いることにより、(メタ)アクリル系単量体や(メタ)アクリル系重合体と無機充填剤との界面接着性が改良され、機械的強度が高く、さらに耐熱水性に優れた樹脂成形品を得ることができるという、従来にない顕著な効果が発現することを見出したものである。(メタ)アクリル系樹脂組成物を見出した。
その結果、例えばキッチン用途やバス用途、水タンク用途等の機械的強度と耐熱水性双方が要求される用途において、実用化可能な樹脂成形品を製造することを可能としたものであり、本発明は工業上非常に有益である。
Claims (7)
- 無機充填剤(C)が水酸化アルミニウム及び/又は炭酸カルシウムからなる少なくとも一種である、請求項1のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- さらに繊維強化材(E)を構成成分とする、請求項1又は2記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- さらに石目模様材(F)を構成成分とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるシートモールディングコンパウンド又はバルクモールディングコンパウンド。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物を加熱硬化して得られる樹脂成形品。
- 請求項5記載のシートモールディングコンパウンド又はバルクモールディングコンパウンドを加熱加圧硬化して得られる樹脂成形品。
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JP2002218143A JP2004059681A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | (メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形品並びに樹脂成形品の製造方法 |
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JP2010285490A (ja) * | 2009-06-10 | 2010-12-24 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | (メタ)アクリル系樹脂の製造方法および(メタ)アクリル系樹脂 |
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