JP3430850B2 - 3端子型非線形素子及びその製造方法 - Google Patents

3端子型非線形素子及びその製造方法

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JP3430850B2 JP07624497A JP7624497A JP3430850B2 JP 3430850 B2 JP3430850 B2 JP 3430850B2 JP 07624497 A JP07624497 A JP 07624497A JP 7624497 A JP7624497 A JP 7624497A JP 3430850 B2 JP3430850 B2 JP 3430850B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイポーラ型のト
ランジスタである3端子型非線型素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バイポーラ型のトランジスタは、
シリコンやゲルマニウムなどの半導体基板の上に作製さ
れ、電流増幅装置として広く利用されている。これに対
して、制御性の問題から電圧で電流値を制御する電界効
果型のトランジスタも広く利用されている。しかしなが
ら、電流増幅率の点からは、バイポーラ型トランジスタ
が優れている。
【0003】一般的なバイポーラ型トランジスタは、図
2のような工程で作製される。n型のシリコン基板20
1上に、図2(a)のように酸化シリコン膜202を形
成する。次に、図2(b)のように硼素イオンを打ち込
んでp型シリコン層203を形成し、図2(c)のよう
に酸化シリコン膜202の形状を変えて、図2(d)の
ように燐イオンを打ち込んでn型シリコン層204を形
成する。次に、酸化シリコン膜にコンタクトホールを開
口し、電極205を形成すれば、npnのバイポーラト
ランジスタが完成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バイポ
ーラ型トランジスタは、シリコンやゲルマニウムなどの
単結晶半導体基板上に作られるために、材料コストが高
いという問題点があった。
【0005】また、基板に垂直な方向にデバイスを作る
ためには、チャネルになる層を基板自身が持つ特性と異
なる層を2層作らなければならないので、イオン打ち込
みの工程が2工程必要になり、製造コストが高くなって
しまう。また、チャネル層を作るために打ち込むイオン
種は、ホスフィン(PH)やジボラン(B)な
どの毒性の強い材料を用いているので、製造装置の安全
対策が必要であった。
【0006】さらに、チャネル層を活性化するために、
600〜1000℃の熱処理をする必要があり、使用す
る材料やデバイス構造が限定されたり、プロセス上の制
約も多かった。
【0007】そこで、本発明は、どのような基板にもト
ランジスタが作製されることを目的とする。
【0008】また、本発明は、害のないガスを用いて、
しかも1工程で3層からなるチャネル層を作製すること
を目的とする。
【0009】また、本発明は、比較的低温のプロセス温
度でトランジスタを作製することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、第1の金属
膜と、第2の金属膜と、それらの間に挟まれた金属酸化
物からなる3端子非線形素子において、前記金属酸化物
が、各々エネルギー準位の異なる第1の金属酸化物半導
体、第2の金属酸化物半導体及び第3の金属酸化物半導
体からなり、前記第1及び前記第3の金属酸化物半導体
で前記第2の金属酸化物半導体を挟んだ構成であり、前
記第1の金属酸化物半導体、及び前記第2の金属酸化物
半導体が水又は水酸基を含み、前記第2の金属酸化物半
導体が水又は水酸基を実質的に含んでおらず、前記第1
の金属膜、前記第2の金属膜及び前記第2の金属酸化物
半導体を端子とする構造を具備する。
【0011】ここで、第1及び第3の金属酸化物半導体
が電子過多な半導体層となり、第2の金属酸化物半導体
が電子過少な半導体層となり、npn型のバイポーラト
ランジスタと同様の振る舞いをする。
【0012】前記金属酸化物半導体は、金属を陽極酸化
した酸化物であることが好ましい。こうすれば、どのよ
うな基板上にもデバイスを作製することが可能となり、
単結晶半導体基板より安価な材料も選択できる。
【0013】さらに、前記金属は、タンタルまたはタン
タルを含む金属化合物が、バリヤー型で対薬品性に優れ
た金属酸化膜となるので好ましい。
【0014】このような3端子型非線形素子の製造方法
は、2種類開示できる。
【0015】第1の方法は、図1に示すように、第1の
金属膜を形成する工程と、前記第1の金属膜の一部を酸
化して金属酸化物半導体を形成する工程と、前記金属酸
化物半導体を、水分を含んだ雰囲気中で熱処理し、水ま
たは水酸基を含む第1の金属酸化物半導体と、前記第1
の金属酸化物半導体上に形成され水及び水酸基を実質的
に含まない第2の金属酸化物半導体と、前記第2の金属
酸化物上に形成され水または水酸基を含む第3の金属酸
化物半導体にする工程と、前記第3の金属酸化物半導体
上に第2の金属膜を形成する工程と、前記第3の金属酸
化物半導体に穴を開口する工程と、前記穴を通じて前記
第2の金属酸化物半導体と接続される第3の金属膜を形
成する工程と、を含むものである。
【0016】第2の方法は、図3に示すように、基板上
に第1の金属膜を形成する工程と、該第1の金属膜の上
面を酸化して金属酸化物半導体を形成する工程と、該金
属酸化物半導体上の少なくとも一部に前記第2の金属膜
を形成する工程と、前記金属酸化物半導体及び前記第2
の金属膜の上面を酸化して金属酸化物半導体を形成する
工程と、水分を含んだ雰囲気中で熱処理する工程と、前
記第2の金属膜上の前記金属酸化物半導体に穴を開口す
る工程と、前記金属酸化物半導体上の少なくとも一部並
びに前記穴を通じて前記第2の金属膜と接続されるよう
に第3の金属膜を形成する工程とを含むものである。
【0017】これら2種類の方法において、チャネルを
形成するのが、水分を含んだ雰囲気での熱処理工程であ
る。この熱処理工程で、図1に示すように水分は水分子
または水酸基の形で金属酸化膜半導体103cと、第1
の金属膜と金属酸化物半導体との界面103aに存在す
るようになり、チャネルとして機能する。このように、
水分雰囲気中で熱処理することで、チャネルが形成でき
るので、有害なガスを使う必要がなくなる。
【0018】さらに、これらの熱処理工程のプロセス温
度を少なくとも250℃以上とするのが好ましい。
【0019】これにより、3端子型非線形素子とするに
あたって、良好な膜質をもつ金属酸化物半導体が形成で
きる。
【0020】
【作用】図1(f)に示すように、第1及び第3の金属
酸化膜半導体がn型半導体となり、第2の金属酸化物半
導体がp型半導体になる理由を説明する。通常、陽極酸
化法で作製されたバリヤー型の陽極酸化膜は、膜全体が
n型半導体となっている。この状態で、250℃以上の
水分雰囲気中で熱処理すると、第3の金属酸化物半導体
は、OHが入りこみ電子過多な膜となり、この電子が
キャリアとなるのでn型半導体となる。また、第2の金
属酸化物半導体は、熱処理前までは酸素過多でn型半導
体の性質を示していたが、第3の金属酸化物半導体層に
OHが入ったために、酸素イオンが第1の金属膜界面
まで、拡散することになる。従って、第2の金属酸化物
半導体は、その化学量論的組成よりも酸素が少なくなる
ためにp型半導体となる。例えば、タンタル酸化膜なら
ば、化学量論的組成のTaよりも酸素が少なくな
る。さらに、第1の金属酸化物半導体層は、第2の金属
酸化物半導体層から拡散してきた酸素や第1の金属膜か
ら拡散してきた酸素が、第1の金属膜と第1の金属酸化
物半導体の界面にある水素と結合し、OHが生じて酸
素過多な状態になり、n型半導体としての性質を示す。
【0021】このように、陽極酸化によって作製された
金属酸化が3層に分かれることは、図1(f)の第1の
金属膜102と第2の金属膜106との間の印加電圧と
膜抵抗の関係からも理解できる。この膜抵抗は、
【0022】
【数1】
【0023】のように示され、これは電圧印加の方向を
どちらにしても同じ結果になるからである。数式1の右
辺第1項は、プールフレンケル伝導に関する項で、第2
項がpn接合に関する項である。プールフレンケル伝導
に極性はないが、pn接合では電圧印加方向依存性があ
る。しかし、本発明の3端子型非線型素子では、極性が
無いことから、pn接合が双方向で現れることを示して
いる。つまり、pn接合が極性を逆にして接続されてい
ることを意味するので、金属酸化膜半導体が3層に別れ
ていることになる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】図1,3は、本発明の3端子型非線形素子
の製造方法を示す断面図であり、2通りの方法で作製で
きる。
【0026】まず、第1の作製方法を図1を用いて説明
する。
【0027】図1(a)のように、基板101の表面に
金属膜を堆積し、さらにパターニングを行って第1の金
属膜102を形成した。ここで、基板101は、ガラス
やプラスチックなどの絶縁性を有する基板が好ましい。
第1の金属膜102は、3端子型非線型素子の用途によ
って、材料や膜厚が選択される。材料は、陽極酸化可能
な金属が選択され、耐薬品性や耐熱性からタンタル膜が
好ましく、膜厚は100〜500nmが好ましい。第1
の金属膜102は、スパッタリング法や電子ビーム蒸着
法、イオンプレーティング法で形成することができる。
第1の金属膜102のパターニングは、一般に用いられ
ているフォトリソグラフィおよびエッチング技術によっ
て行われる。
【0028】ついで、図1(b)のように、金属酸化膜
半導体103を形成する。金属酸化膜半導体103の形
成方法は、陽極酸化法やスパッタ法、熱酸化法などがあ
るが、基板内での膜厚の均一性を確保するために陽極酸
化法が最も優れている。前記金属酸化物半導体103
は、その用途によって好ましい膜厚が選択され、例えば
20〜200nm程度とされる。陽極酸化に用いられる
化成液は、水溶液が好ましく、例えば0.01〜1重量
%のクエン酸水溶液を用いることができる。
【0029】ついで、図1(c)のように、金属酸化物
半導体103に水もしくは水酸基を導入して、前記金属
酸化物半導体103を伝導体のエネルギー準位の異なっ
た3層にするためのアニール工程について述べる。
【0030】図4に、アニール工程の処理時間と温度と
の関係の一例を示す。この例のアニール工程は、主とし
て一定の温度(T2)を保って行われるアニール処理B
と、降温工程からなるアニール処理Aとからなる。アニ
ール処理Bにおいては、時間t1〜t2の昇温工程と、
時間t2〜t3の定温工程とからなる。アニール処理B
は、不活性ガス、例えばアルゴンなどの希ガスあるいは
窒素ガスの雰囲気中において、温度T2が少なくとも2
50℃以上であればよく、好ましくは、300〜450
℃の条件下で行われる。この温度の値は、先に述べた従
来のバイポーラ型トランジスタの製造プロセスの600
〜1000℃に比べ、低いものとすることができる。定
温熱処理に要する時間(t2〜t3)は、第1の金属膜
の膜厚、アニール炉の熱容量、ウエハーの基板ガラスの
厚さ、ウエハーの処理枚数、設定温度などによって左右
されるが、例えば10〜120分程度である。
【0031】アニール処理Aにおいては、水蒸気を含む
雰囲気中において、温度T2から温度T1まで低下する
ように行われる。温度T1は、水または水酸基が金属酸
化物半導体103の表面103cと第1の金属膜との界
面103aに十分に取り込まれるために、好ましくは2
20℃以下、より好ましくは200℃以下に設定され
る。アニール処理Aの処理時間(t3〜t4)は、好ま
しくは10秒以上、より好ましくは5分〜300分であ
る。
【0032】また、アニール処理Aの降温工程における
降温速度は、0.1℃/分ないし120℃/分であるこ
とが好ましく、より好ましくは0.5℃/分ないし10
℃/分である。なお、降温時には、降温の途中で温度を
一定に保ってもよく、途中で若干温度を上げてもよく、
上記降温速度はこのような場合も含めた平均的な降温速
度である。
【0033】アニール処理Aにおいて用いられる水蒸気
を含むガスとしては、空気、あるいはアルゴンなどの希
ガスや窒素ガスなどの不活性ガスの少なくとも一種を用
いることが好ましい。また、水蒸気の濃度は、水蒸気を
含むガス全体に対して、好ましくは0.001モル%以
上、より好ましくは0.014〜2モル%である。
【0034】このようにして作製された、水または水酸
基を含んだ金属酸化物半導体103a、103cは、お
のおの膜厚が10〜30nmで酸素過剰な膜となりn型
半導体の性質を示し、金属酸化物半導体103bは、酸
素欠損な膜となりp型半導体の性質を示す。つまり、金
属酸化物半導体103の内部で、伝導体のエネルギー準
位が異なることになる。
【0035】ついで、図1(d)のように、クロム、ア
ルミニウム、チタン、モリブデンなどの金属膜を、例え
ばスパッタリング法にて堆積させることにより、第2の
金属膜104が形成される。第2の金属膜は、たとえば
膜厚50〜300nmで形成され、その後通常使用され
ているフォトリソグラフィおよびエッチング技術を用い
てパターニングされる。
【0036】ついで、図1(e)のように、金属酸化物
半導体103bに電極を形成するために、金属酸化物半
導体103cに穴を開口する。このときの穴の深さは、
20nm以上であればよく、金属酸化膜半導体103a
まで達しないようにすればよい。
【0037】ついで、図1(f)のように、金属酸化膜
半導体103cよりも絶縁抵抗の高い絶縁膜105を形
成し、クロム、アルミニウム、チタン、モリブデンなど
の金属膜を例えばスパッタリング法にて堆積させること
により第3の金属膜106が形成される。
【0038】さらに、第2の製造方法として、図1
(e)の穴の開口工程のマージンを増すために、図3の
ような提案をすることができる。
【0039】図3(a)のように、図1(a)と同様の
方法で第1の金属膜102を形成する。
【0040】次に、図3(b)のように膜厚10nm以
上の金属酸化物半導体303を、水溶液中の陽極酸化法
で形成する。
【0041】ついで、図3(c)のように第1の金属膜
と同一の材料を用いて、スパッタリング法にて第2の金
属膜304が形成される。このとき、第2の金属膜は、
第1の金属膜と導伝接続しないように形成される。第2
の金属膜は、たとえば膜厚10〜50nmで形成され、
その後通常使用されているフォトリソグラフィおよびエ
ッチング技術を用いてパターニングされる。
【0042】ついで、図3(d)のように、陽極酸化法
を用いて図中のlが30nm以上かつlが20nm
以上になるようにする。このとき陽極酸化に用いられる
化成液は特に限定されないが、例えばクエン酸水溶液を
用いることができる。
【0043】ついで、図3(e)のように、金属酸化膜
半導体303が三層に別れるようにアニール処理Aを行
う。この方法は、図1(c)の形成方法と同様の処理を
すればよい。
【0044】その後、図3(f)のように、第2の金属
膜と導電接続をとるために、金属酸化膜半導体303に
20nm以上の深さの穴を開口し、絶縁膜105を所定
の形状に加工し、第3の金属膜106を形成すればよ
い。
【0045】(実施例)以下に、本発明の具体的な実施
例をさらに詳細に説明する。
【0046】この実施例では、図1に示した構造の3端
子型非線型素子を用いた。具体的には、ガラス基板上に
スパッタリング法で膜厚200nmのタンタル膜を堆積
し、さらにパターニングを行って第1の金属膜101を
形成した。
【0047】ついで、0.05重量%のクエン酸水溶液
を化成液として用い、電流密度0.04mA/cm
電圧30Vに至るまで定電流電解を行い、前記タンタル
膜の陽極酸化を行った。その結果、厚さ55nmの酸化
タンタル膜(金属酸化物半導体)103が形成された。
【0048】さらに、窒素雰囲気下において、320℃
で30分間にわたって熱処理(図4に示すアニール処理
B)を実施した。その後、雰囲気を窒素から水蒸気が
1.2モル%含まれた空気中で、1.0℃/分の降温速
度で200℃になるまで、120分間にわたって冷却す
る熱処理(図4に示すアニール処理A)を行い、金属酸
化物半導体103を3層に分離した。
【0049】その後、金属酸化物半導体上にスパッタリ
ング法によりクロムを膜厚150nmで堆積させ、さら
にパターニングを行って第2の金属膜104を形成し
た。
【0050】さらに、深さ30nmの穴を金属酸化物半
導体に開口し、酸化シリコン膜をスパッタリング法によ
り膜厚300nmで堆積させ、さらにパターニングを行
って絶縁膜105を形成した。
【0051】最後にスパッタリング法でアルミニウムを
膜厚200nm堆積させ、さらにパターニングを行って
第3の金属膜106を形成し、3端子型非線型素子を作
製した。
【0052】(a)熱脱離スペクトル 金属酸化膜半導体について行った熱脱離スペクトル(T
DS)法による測定について述べる。この測定は、図5
に示す熱脱離スペクトル測定装置を使用して行った。
【0053】この熱脱離スペクトル測定装置は、真空チ
ャンバー510内に四重極質量分析計502と赤外線ヒ
ータ504とを備えており、サンプル520の裏側から
赤外線ヒータ504でサンプル520を加熱していき、
サンプル520の表面から出てくるガスを四重極質量分
析計502で計測して熱脱離スペクトルを得るものであ
る。サンプル520の温度制御は、制御性の問題からサ
ンプル520の裏面側の熱電対TC1を使用して行っ
た。また、サンプル520の表面温度を測定するため
に、サンプル520の表面側にも熱電対TC2を設け
た。サンプル520に使用した石英基板522は、熱伝
導が悪く、しかもその厚さも1.1mmと厚いために、
熱電対TC1とTC2との温度には差が生じた。しか
し、実際の3端子型非線型素子作製プロセスでの温度
は、熱電対TC2での温度とほぼ同じになる。TDSの
測定には、基板として石英ガラスを用いている。これ
は、1000℃の高温まで測定を行うために、基板の耐
熱温度を高くしたことによる。なお、基板をガラスにし
ても同様のトランジスタ特性が得られることは確認して
いる。
【0054】測定に使用したサンプル520は、図6に
示すように、まず、厚さ1.1mmの石英基板522上
にスパッタリング法により厚さ300nmのタンタル膜
524を形成し、さらに、前述した条件で陽極酸化を行
い、膜厚85nmの金属酸化膜半導体526を形成し
た。さらに、前述した条件でアニール処理Bおよびアニ
ール処理Aを行い、金属酸化膜半導体526に水または
水酸基を取り込む工程を行った。
【0055】このようにして得られた積層体を熱処理炉
から取り出して熱脱離スペクトル測定用のサンプル52
0とした。
【0056】このサンプル520を用いて熱脱離スペク
トルを測定した。その結果を図7に示す。図7におい
て、横軸は温度であって膜表面のTC2の温度を示し、
縦軸は水に相当する質量18(HO)におけるガスの
計測値の強度を示す。
【0057】図7に示すスペクトルにおいては、3つの
ピーク701、702、703が得られている。701
は約100℃であり、702は220℃であり、703
は410℃であった。これら3つのピーク温度は、金属
酸化物半導体の膜厚を50nm〜250nmの範囲で変
化させても同じであった。また、比較のために、アニー
ル処理を行わなかったサンプルを作成し、その熱脱離ス
ペクトルを測定したところ、702は観測されず、70
3は強度が極端に小さくなった。702は、アニール処
理Bの温度が220℃以上で出現し、703は250℃
以上の温度でピーク強度が大きくなり始めた。701
は、サンプルの表面に物理吸着した水分に由来するもの
であると考えられる。
【0058】さらに、比較のために、アニール処理Aの
処理ガスを水の代わりに重水(D2O)を用いて行った
サンプルの質量数20の熱脱離スペクトルを測定したと
ころ、702だけが観測された。
【0059】(b)2次イオン質量スペクトル 金属酸化物半導体および第1の金属膜に含まれる各種原
子のプロファイルを求めるために行った、セシウムイオ
ンエッチングによる2次イオン質量スペクトル(SIM
S)の結果を図8に示す。
【0060】図8において、横軸は、第1の金属膜およ
び金属酸化物半導体における金属酸化物半導体表面から
の深さを示し、縦軸は、測定元素イオンのカウント数を
常用対数で示す。なお、図8において、符号aで示すラ
インは、水素のスペクトルのピークを通るラインであっ
て、便宜的に第1の金属膜524と金属酸化物半導体5
26との境界を示している。801は水素原子のプロフ
ァイルであり、802は酸素原子のプロファイルであ
る。
【0061】この測定において用いられるサンプルは、
図6に示す熱脱離スペクトルを求めるサンプルと同様の
構成で、同様のアニール処理をしたサンプルを用いてい
る。
【0062】比較データとして、図6のサンプルと同様
の構成でアニール処理をしなかったサンプルのSIMS
データを図9に示す。901は水素原子のプロファイル
であり、902は酸素原子のプロファイルである。
【0063】図8と図9の相違点として、 1:図8には、金属酸化物半導体の表面に水素が多く観
測されている。また、水素のピーク位置は、サンプルの
膜厚とアニール処理Bの温度を変えても常に表面から3
0nm以内にあった。
【0064】2:図8には、第1の金属膜と金属酸化物
半導体との境界付近に、酸素が多く観測されている。こ
のように酸素量が多くなるのは、250℃以上でアニー
ル処理Bをすればよい。
【0065】の2点があげられる。
【0066】また、アニール処理の有無に関わらず、第
1の金属膜と金属酸化物半導体との境界には水素がたく
さん観測されている。
【0067】(c)金属酸化物半導体の膜質 熱脱離スペクトルを2次イオン質量スペクトルを参考に
しながら解析すると、702は金属酸化物半導体の表面
層からの脱離であり、703は第1の金属膜と金属酸化
物半導体との境界からの脱離であることがわかる。ま
た、水の金属酸化物半導体中への入り方としては、水分
子として入る場合と水酸基として入る場合が考えられ
る。さらに、2次イオン質量スペクトルから金属酸化物
半導体には、水または水酸基が存在しない層があること
もわかる。
【0068】よって、金属酸化物半導体は図1(f)に
示すように、水または水酸基を含む第1の金属酸化物半
導体と第3の金属酸化物半導体が、第1及び第3の金属
酸化物半導体と同一の材料からなる水及び水酸基を実質
的に含まない第2の金属酸化物半導体を挟んだ構造を有
するようになることがわかる。
【0069】(d)トランジスタ特性 図1(f)において、第1の金属膜102と第2の金属
膜104とが交差する部分の面積を0.03mmとし
た。第1の金属膜102をマイナスにして、第2の金属
膜104に対して4Vの電圧を印加したところ3×10
−10Aの電流値が流れた。この後、第1の金属膜に対
して、第3の金属膜に−0.1Vの電圧を印加したとこ
ろ第2の金属膜に用いたクロム膜が過電流のために直ち
に溶けてしまった。通常3×10−7A程度の電流値で
クロム膜は、溶けることがあるため、本発明では、0.
1Vの電圧印加で1000倍もの電流が流れるようにな
ったことになる。
【0070】
【発明の効果】本発明の3端子非線形素子は、(i)第1
及び第3の金属酸化物半導体で前記第2の金属酸化物半
導体を挟んだ構成であり、及び(ii)第1の金属酸化物
半導体、及び第2の金属酸化物半導体が水又は水酸基を
含み、前記第2の金属酸化物半導体が水又は水酸基を実
質的に含んでいない。
【0071】そのために、第1及び第3の金属酸化物半
導体が電子過多な半導体層となり、第2の金属酸化物半
導体が電子過少な半導体層となるので、npn型のバイ
ポーラトランジスタと同様の振る舞いをする素子が得ら
れる。
【0072】更には、本発明に係わる3端子非線形素子
の製造方法によれば、(i)金属酸化物半導体を、水分
を含んだ雰囲気中で熱処理し、水または水酸基を含む第
1の金属酸化物半導体と、第1の金属酸化物半導体上に
形成され水及び水酸基を実質的に含まない第2の金属酸
化物半導体と、第2の金属酸化物上に形成され水または
水酸基を含む第3の金属酸化物半導体にする工程と、及
び(ii)第3の金属酸化物半導体上に第2の金属膜を形
成する工程と、第3の金属酸化物半導体に穴を開口する
工程と、穴を通じて前記第2の金属酸化物半導体と接続
される第3の金属膜を形成する工程とを含む。
【0073】したがって、従来バイポーラトランジスタ
の製造に必要であった、ホスフィンやジボラン等の有毒
なガスを用いることなく、また、イオン打ち込み工程を
経ることなく、バイポーラトランジスタと同様の振る舞
いをする3端子非線形素子を製造することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の3端子型非線形素子の第1の製造方法
を示す図。
【図2】従来のバイポーラ型トランジスタの製造方法を
示す図。
【図3】本発明の3端子型非線形素子の第2の製造方法
を示す図。
【図4】本発明の製造方法における熱処理工程を示すた
めの、時間と温度の関係を示す図。
【図5】熱脱離スペクトルを求めるための装置を概略的
に示す図。
【図6】熱脱離スペクトルを求めるためのサンプルを概
略的に示す図。
【図7】本発明の3端子型非線型素子の金属酸化物半導
体について求めた水の熱脱離スペクトルを示す図。
【図8】本発明の3端子型非線型素子の第1の金属膜と
金属酸化物半導体について求めたSIMSのスペクトル
を示す図。
【図9】比較データに係る3端子型非線型素子の第1の
金属膜と金属酸化物半導体について求めたSIMSのス
ペクトルを示す図。
【符号の説明】
101 基板 102 第1の金属膜 103、303 金属酸化物半導体 104、304 第2の金属膜 105 絶縁膜 106 第3の金属膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−235941(JP,A) 特開 平8−264794(JP,A) 特開 平2−242227(JP,A) 特公 昭45−10977(JP,B1) 国際公開96/030953(WO,A1) S.Samson,et.al.," Defect structure a nd electronic dono r levels in stanni c oxide crystals”, J.Appl.Phys.,1973年,V ol.44,No.10,pp.4618−4621 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/33 - 21/331 H01L 29/68 - 29/737

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の金属膜と、第2の金属膜と、それら
    の間に挟まれた金属酸化物からなる3端子非線形素子で
    あり、 前記金属酸化物が、各々エネルギー準位の異なる第1の
    金属酸化物半導体、第2の金属酸化物半導体及び第3の
    金属酸化物半導体からなり、前記第1及び前記第3の金
    属酸化物半導体で前記第2の金属酸化物半導体を挟んだ
    構成であり、 前記第1の金属酸化物半導体、及び前記第2の金属酸化
    物半導体が水又は水酸基を含み、前記第2の金属酸化物
    半導体が水又は水酸基を実質的に含んでおらず、 前記第1の金属膜、前記第2の金属膜及び前記第2の金
    属酸化物半導体を端子とする構造を具備することを特徴
    とする3端子非線形素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の3端子非線形素子におい
    て、 前記金属酸化物は、金属の陽極酸化物であることを特徴
    とする3端子非線形素子。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の3端子非線形素子におい
    て、タンタルを含むことを特徴とする3端子非線形素
    子。
  4. 【請求項4】3端子非線形素子の製造方法において、 第1の金属膜を形成する工程と、 前記第1の金属膜の一部を酸化して金属酸化物半導体を
    形成する工程と、 前記金属酸化物半導体を、水分を含んだ雰囲気中で熱処
    理し、水または水酸基を含む第1の金属酸化物半導体
    と、前記第1の金属酸化物半導体上に形成され水及び水
    酸基を実質的に含まない第2の金属酸化物半導体と、前
    記第2の金属酸化物上に形成され水または水酸基を含む
    第3の金属酸化物半導体にする工程と、 前記第3の金属酸化物半導体上に第2の金属膜を形成す
    る工程と、 前記第3の金属酸化物半導体に穴を開口する工程と、 前記穴を通じて前記第2の金属酸化物半導体と接続され
    る第3の金属膜を形成する工程と、 を含むことを特徴とする3端子型非線形素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】基板上に第1の金属膜を形成する工程と、 該第1の金属膜の上面を酸化して金属酸化物半導体を形
    成する工程と、 該金属酸化物半導体上の少なくとも一部に前記第2の金
    属膜を形成する工程と、 前記金属酸化物半導体及び前記第2の金属膜の上面を酸
    化して金属酸化物半導体を形成する工程と、 水分を含んだ雰囲気中で熱処理する工程と、 前記第2の金属膜上の前記金属酸化物半導体に穴を開口
    する工程と、 前記金属酸化物半導体上の少なくとも一部並びに前記穴
    を通じて前記第2の金属膜と接続されるように第3の金
    属膜を形成する工程と を含むことを特徴とする3端子型非線形素子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求項4乃至請求項5のいずれかにおい
    て、前記熱処理は少なくとも250度以上の雰囲気下で
    行われることを特徴とする3端子型非線形素子の製造方
    法。
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