JP3429701B2 - 洗剤組成物 - Google Patents

洗剤組成物

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は洗剤組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】衣料用洗剤や自動食器洗浄機用洗剤に
は、従来より蛋白質汚れを除去する目的で種々のプロテ
アーゼが配合されている。かかるプロテアーゼとしては
アルカリ領域で作用するアルカリプロテアーゼが用いら
れており、その代表的なものとしてはアルカラーゼ、サ
ビナーゼ(何れもノボ・ノルディスク社)、プラフェク
ト(ジェネンコア社)、ブラップ(ヘンケル社)、及び
プロテアーゼK(花王)等が挙げられる。しかしなが
ら、家庭洗濯で問題となっている蛋白質、脂質、固体粒
子等の複雑な成分からなる、衿、袖口等の汚れに対して
現在市販されているアルカリプロテアーゼは未だ十分な
活性を有していないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、衿、
袖口等の汚れに対する洗浄力に優れた洗剤組成物の提供
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、尿素変性ヘモ
グロビン分解活性(APU) のカゼイン分解活性(PU)に対す
る比が 1.3APU/PU以上であるアルカリプロテアーゼを含
有する洗剤組成物を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるアルカリプロ
テアーゼ(以下本発明プロテアーゼという)は、尿素変
性ヘモグロビン分解活性(APU) のカゼイン分解活性(PU)
に対する比が1.3(APU/PU)以上、好ましくは 1.7(APU/P
U)以上のものである。各分解活性の測定は後述の実施例
記載の方法により行われる。
【0006】本発明プロテアーゼは、例えばバチルス属
Bacillus sp.)に属するプロテアーゼ生産菌を培養
し、その培養液から採取することにより製造することが
できる。ここで本発明プロテアーゼとしては、例えば工
業技術院生命工学技術研究所にバチルス エスピー(Ba
cillus sp.)KSM-KP43(FERM BP-6532)、バチルス エ
スピー(Bacillus sp.)KSM-KP1790(FERM BP-6533)、
バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-KP9860(FERM
BP-6534)として寄託された微生物(原寄託日:1996年
9月18日)、及びその変異株、更に当該酵素をコードす
る遺伝子を有する形質転換体から生産されるプロテアー
ゼ等が挙げられる。中でもグラム陽性菌又はカビにより
生産されるズブチリシンが好ましく、特にバチルス属
Bacillus sp.)由来のズブチリシン及び洗浄性能の改
善されたズブチリシンの突然変異酵素又は酵素変異体が
好ましい。これらの酵素は当該プロテアーゼの生産菌、
及び当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体を
培養し、その培養物から採取することにより製造でき
る。
【0007】本発明プロテアーゼは、作用pHがpH4〜13
であり、pH6〜12で最適pH活性値の80%以上を示し、40
℃、30分の処理条件でpH6〜11の範囲で安定であるもの
が好ましい。ここで「安定」という語句は、本明細書記
載の処理条件下で少なくとも50%の活性を維持している
ことを意味する。
【0008】本発明プロテアーゼは、例えば、特開昭62
-257990 号に従い調製され、粉立ちしていない顆粒とし
て提供される。酵素顆粒は、2種以上のプロテアーゼを
含有しても、また各々のプロテアーゼを含有する顆粒の
混合物であってもよい。
【0009】本発明の洗剤組成物への本発明プロテアー
ゼの配合量(総蛋白分解活性)は、洗剤組成物1kg当た
り0.1 〜5,000PU 、特に1〜500PU が好ましい。
【0010】本発明の組成物には、本発明プロテアーゼ
以外に、セルラーゼ、アミラーゼ、プロトペクチナー
ゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、β- グ
リコシダーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダ
ーゼ、コレステロールオキシダーゼ等を使用することが
できる。これらの酵素は好ましくは組成物中に0.001 〜
5重量%(以下単に%で示す)、より好ましくは0.1 〜
3%配合される。
【0011】本発明の組成物には、水中に存在する塩素
による酵素の失活を防ぐために、塩素捕捉剤を配合する
のが好ましい。具体的には1級アミン、2級アミン、ア
ルカノールアミン等のアミン類、過酸化水素、過炭酸ナ
トリウム、過硼酸ナトリウムなどの無機過酸化物、亜硫
酸塩等の還元剤等が挙げられるが、中でも、組成物中の
安定性及び洗濯浴中の酵素の安定化効果から亜硫酸塩が
好ましい。塩素捕捉剤は、酵素の安定性の点から組成物
中に0.1 〜5%、特に0.1 〜2%配合される。
【0012】本発明の洗剤組成物には、公知の洗剤組成
物を配合することができる。洗浄成分としては、WO94/
26881 号の第5頁、右上欄、第14行〜右下欄、第29行記
載のものを使用することができる。界面活性剤は、洗剤
組成物中、0.5 〜60%配合され、特に粉末状洗剤組成物
については10〜45%、液体洗剤組成物については20〜50
%配合することが好ましい。また、本発明洗剤組成物が
漂白洗剤又は自動食器洗浄機用洗剤である場合、界面活
性剤は一般に1〜10%、好ましくは1〜5%配合され
る。二価金属イオン捕捉剤は、好ましくは0.01〜50%、
より好ましくは5〜40%配合される。アルカリ剤及び無
機塩は、好ましくは0.01〜80%、より好ましくは1〜40
%配合される。再汚染防止剤は、好ましくは0.001 〜10
%、より好ましくは1〜5%配合される。蛍光剤は、ビ
フェニル型蛍光剤(チノパールCBS-X 等)やスチルベン
型蛍光剤(例えばDM型蛍光染料)等が挙げられ、好まし
くは0.001 〜2%配合される。
【0013】
【実施例】参考例1 本発明プロテアーゼとその他のプロテアーゼについての
尿素変性ヘモグロビン分解活性(APU) のカゼイン分解活
性(PU)に対する比〔表1中「活性比」とする:(APU/P
U)〕を表1に示す。カゼイン分解活性は次の方法で測定
した。1%(w/v)カゼイン(ハマーステイン:メルク
社)を含む50mmol/Lホウ酸緩衝液(pH10.5)1mlを30℃で
5分間保温した後、0.1ml の酵素溶液と混合し、30℃で
15分間反応を行った。反応停止液(0.11mol/L トリクロ
ロ酢酸−0.22mol/L 酢酸ナトリウム−0.33mol/L 酢酸)
2mlを加え、室温で10分間放置した。次に酸変性タンパ
クを濾過(No.2濾紙:ワットマン社製)し、濾液0.5ml
にアルカリ性銅溶液〔1%(w/v) 酒石酸カリウム・ナト
リウム水溶液:1%(w/v) 硫酸銅水溶液:炭酸ナトリウ
ムの0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液溶解物(炭酸ナト
リウム濃度2%(w/v) )=1:1:100(v/v)〕2.5ml を
添加し30℃、10分間保温した。希釈フェノール試薬〔フ
ェノール試薬(関東化学社製)をイオン交換水で2倍に
希釈したもの〕0.25mlを加え、30℃、30分間保温した
後、660nm における吸光度を測定した。上記の酵素反応
系に反応停止液を混合した後、酵素溶液を加えた系をブ
ランクとした。なお、酵素1単位(PU)は、上記の反応条
件において1分間に1mmol のチロシンに相当する酸可溶
性タンパク分解物を遊離する酵素量とした。また、尿素
変性ヘモグロビン分解活性(APU) は特開平5-25492 号公
報、第6欄48行〜第7欄13行記載の方法に従って測定し
た。なお、プロテアーゼのカゼイン分解活性は1×10-3
PUになるように添加した。
【0014】
【表1】
【0015】なお、表1中のアルカリプロテアーゼは以
下の通りである。 本発明品:バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-KP
1790(FERM BP-6533)を培養し、その培養液を精製し、
プロテアーゼ画分のみを採取、濃縮した。作用pHがpH4
〜13、pH6〜12で最適pH活性値の80%以上を示し、40
℃、30分の処理条件でpH6〜11の範囲で安定である。 比較品1:プロテアーゼK(花王) 比較品2:サビナーゼ(ノボ・ノルディスク社(デンマ
ーク))。
【0016】実施例1 JIS K 3371に準じ、洗浄試験を行った。洗浄系は下記配
合組成から成る洗剤を71.2mg-CaCO3/L(4゜DH)の水に
20g/30L になるように溶解し、表1のプロテアーゼを0.
03PU/Lとなるように添加した。試験布はワイシャツの衿
部分(3日間着用)とし、一対比較ができるように8×
8cmに裁断した後、酵素添加あるいは酵素無添加の洗浄
系にて、ターゴトメーター(上島製作所製)を使用し、
15℃、100rpmで10分間洗浄を行った。濯ぎ、乾燥後、一
対の衿布(15組)を見比べて汚れ落ちの程度を肉眼で判
定した。判定方法は、汚れがほぼ完全に落ちている場合
を5点、汚れがほとんど落ちていない場合を1点とし、
15枚の衿布の合計評価点を求め、酵素無添加の洗浄系に
よる評価点を100 とした場合の比率を洗浄力指数として
算出した。結果を表2に示す。
【0017】洗剤の配合組成は、直鎖アルキル(C12〜C
14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム23%、ドデシルアル
コール硫酸エステルナトリウム4%、ポリオキシエチレ
ンラウリルエーテル(EO平均付加モル数4)5%、ヤシ
油由来脂肪酸ナトリウム3%、4A型ゼオライト(平均粒
径3μm)22%、炭酸ナトリウム(デンス灰)15%、炭
酸カリウム3%、JIS2号珪酸ナトリウム7%、結晶性珪
酸塩(SKS-6 、ヘキストトクヤマ社製、平均粒径15μ
m)4%、亜硫酸ナトリウム 0.3%、硫酸ナトリウム
3.7%、アクリル酸−マレイン酸共重合体(BASF社製ソ
カランCP5)5%、ポリエチレングリコール(平均分子
量8,000 )2%、水分3%である(使用濃度:20g/30L
、使用時pH:10.7)。
【0018】
【表2】
【0019】表2の結果から明らかなように、本発明の
アルカリプロテアーゼを配合した洗剤組成物は、蛋白質
汚れに対する洗浄力が優れていることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−236482(JP,A) 特開 平6−70765(JP,A) 国際公開99/18218(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 3/386 C11D 7/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール試薬を用いて測定した尿素変
    性ヘモグロビン分解活性(APU)のフェノール試薬を用い
    て測定したカゼイン分解活性(PU)に対する比が1.3(APU/
    PU)以上であり、作用pHがpH4〜13であり、pH6〜12で
    最適pH活性値の80%以上を示し、40℃、30分の処理条件
    でpH6〜11の範囲で安定であるアルカリプロテアーゼを
    含有する洗剤組成物。
  2. 【請求項2】 アルカリプロテアーゼが、工業技術院生
    命工学技術研究所にバチルス エスピー(Bacillus s
    p.)KSM-KP43(FERM BP-6532)、バチルス エスピー(B
    acillus sp.)KSM-KP1790(FERM BP-6533)、バチルス
    エスピー(Bacillus sp.)KSM-KP9860(FERM BP-6534)
    として寄託された微生物(原寄託日:1996年9月18
    日)、及びその変異株、更に当該酵素をコードする遺伝
    子を有する形質転換体から生産されるものである請求項
    1記載の洗剤組成物。
  3. 【請求項3】 アルカリプロテアーゼがズブチリシンで
    ある請求項1又は2記載の洗剤組成物。
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