JP3429071B2 - スタンプ台用水性顔料インキ - Google Patents

スタンプ台用水性顔料インキ

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JP3429071B2
JP3429071B2 JP17955494A JP17955494A JP3429071B2 JP 3429071 B2 JP3429071 B2 JP 3429071B2 JP 17955494 A JP17955494 A JP 17955494A JP 17955494 A JP17955494 A JP 17955494A JP 3429071 B2 JP3429071 B2 JP 3429071B2
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智成 牧野
欣也 旭野
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シヤチハタ株式会社
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インキを吸収する上質
紙、感熱紙、感圧紙、コート紙等(以下、「吸収紙」と
いう。)を被押印対象とするスタンプ台用水性顔料イン
キに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の顔料を着色材とするスタンプ台用
のインキは、溶剤として水を使用しない油性インキと、
水を使用する水性インキが知られている。油性インキ
は、溶剤にエタノール、プロパノール、ブタノール、ベ
ンジルアルコール等の1価アルコール系溶剤、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル等の2価アルコール系溶剤、エチレングリコールメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等の
1価アルコールと2価アルコールを脱水して得られるグ
リコールエーテル系溶剤、グリセリン等の3価アルコー
ル系溶剤、ステアリン酸モノグリセリド等の高級脂肪酸
と3価アルコールを脱水して得られるグリセリド系溶
剤、又は、これらを混合したものが知られているが、こ
の中でグリセリン以外の溶剤を含有するインキを感熱紙
(FAX用紙等)、感圧紙(ノンカーボン紙等)に使用
した時は、溶剤がロイコ染料等を内蔵しているマイクロ
カプセルの膜を侵すため、印影が黒く変色したり、他の
文字を消去してしまう問題が生じていた。また、このよ
うなインキは特開昭50−41606、特開昭50−1
55322等に開示されているような感光性樹脂印を溶
解してしまうので、使用している間に印面文字がつぶれ
てしまう問題があった。また、溶剤がグリセリンのみか
らなるインキは、上記問題を生じないが、粘度が高すぎ
てスタンプ台用のインキとしては不向きだった。一方、
水性インキ、特にグリセリンを主溶剤としている水性イ
ンキは、感熱紙、感圧紙を侵さず、環境問題や安全性に
優れているが、印影の乾燥が遅く、耐水性も十分でない
欠点があった。従来、耐水性を向上させるためには、耐
水性付与剤の配合のみならず、揮発性溶剤を配合するこ
とが必要であった。耐水性は印影が乾燥して初めて得ら
れるものなので、同時に乾燥速度を向上させることが必
要だったからである。しかし、これらの物質を配合する
ことにより、逆に今度は感熱紙、感圧紙を侵してしまう
問題が生じてしまった。そこで、本発明者は、スタンプ
台用水性顔料インキにおいて、特定の物質を限定的に使
用することにより、上記問題点をすべて解決できること
を見い出し本発明を完成した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、感熱紙、感
圧紙、感光性樹脂印を侵すことなく、印影がすばやく乾
燥し、耐水性が早く得られるスタンプ台用水性顔料イン
キを提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】顔料、水、グリセリン、
水溶性顔料分散剤、0.1〜5重量%のスチレン−マレ
イン酸樹脂もしくはスチレン−アクリル酸樹脂又はその
混合物、0.1〜5重量%のジエチレングリコールブチ
ルエーテルとからなるスタンプ台用水性顔料インキが前
記課題を解決することを見い出した。特に、水溶性顔料
分散剤にポリビニルピロリドンを用いたものが最も好ま
しい結果を得た。
【0005】本発明に用いられる顔料は、特に制限され
ることなく従来公知の有機顔料及び無機顔料を単独又は
混合して使用することができ、例えば、アゾ系、フタロ
シアニン系、キナクリドン系、アニスラキノン系、ジオ
キサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ベリノン・ベ
リレン系、イソインドレノン系、アゾメチレンアゾ系、
カーボンブラック、チタン白、酸化鉄等の顔料を用いる
ことができる。また、顔料は、インキ全量に対し1〜5
0重量%の範囲で用いることができる。
【0006】本発明に用いられる溶剤は、水とグリセリ
ンを混合したものである。水は、通常の水道水でも構わ
ないが、微生物を取り除いた蒸留水がより好ましく、一
方、グリセリンは、通常市販されているもので構わな
い。溶剤は、インキ全量に対し50〜99重量%の範囲
で用いることができ、水とグリセリンの混合比は水:グ
リセリン=1:2〜3の範囲が好ましく用いられる。こ
の配合量と配合比によって、スタンプ台用インキとして
最適な粘度50cps(25℃)以上のインキを得るこ
とができる。
【0007】次に、本発明の要部である他の添加剤につ
いて説明する。水溶性顔料分散剤は、ポリアクリル酸、
ポリマレイン酸、ポリエチレンオキサイド、スチレン−
マレイン酸、スチレン−アクリル酸、などのアルカリ金
属塩、アンモニウム塩、アミン塩や、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコールといった水溶性高分子を用
いることができる。この中でも特にポリビニルピロリド
ンは、他の添加剤に影響を与える事無く顔料を分散でき
るので最も好ましく用いることができる。ポリビニルピ
ロリドンは、インキ全量に対し0.1〜10重量%の範
囲で用いることができるが、より好ましい範囲は1〜8
重量%である。他の水溶性顔料分散剤を用いる場合は、
他の添加剤への影響を考慮して用いなければならず、イ
ンキ全量に対し0.1〜8重量%の範囲で用いることが
できるが、より好ましい範囲は0.5〜5重量%であ
る。スチレン−マイレン酸樹脂もしくはスチレン−アク
リル酸樹脂又はその混合物は、主に耐水性付与剤、被膜
形成剤、顔料分散剤として作用すると考えられ、インキ
全量に対し0.1〜5重量%の範囲で用いることができ
るが、より好ましい範囲は1〜3重量%である。ここで
スチレン−マレイン酸樹脂とは、スチレン−マレイン酸
又はスチレン−無水マレイン酸樹脂の共重合体、及び、
そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩をい
い、スチレン−アクリル酸樹脂とは、スチレン−アクリ
ル酸の共重合体、及び、そのアルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩、アミン塩をいう。また、スチレン−マレイン酸
樹脂とスチレン−アクリル酸樹脂を混合した場合の混合
比は、任意に選択することができ、インキの粘度、表面
張力等を考慮して最適な混合比を選択すればよい。ジエ
チレングリコールブチルエーテルは、0.1〜5重量%
の範囲で用いることができるが、より好ましい範囲は、
0.5〜3重量%である。この物質は従来溶剤としても
使用されているが、本発明の如く少量の場合は溶剤とし
ての働きは全く無く、主に乾燥促進剤、浸透剤として作
用すると考えられる。
【0008】本発明において、水溶性顔料分散剤として
もスチレン−マイレン酸樹脂またはスチレン−アクリル
酸樹脂を使用する場合には、使用合計量が15重量%を
超えてはならない。他の水溶性顔料分散剤を使用する場
合は、スチレン−マイレン酸樹脂もしくはスチレン−ア
クリル酸樹脂又はその混合物を5重量%より多く使用し
てはならない。一方、ジエチレングリコールブチルエー
テルは5重量%を超えて使用してはならない。なぜ、こ
のように配合量に限度があるかというと、配合限度を超
えた時は、感熱紙、感圧紙を侵してしまうからである。
また、スチレン−マイレン酸樹脂もしくはスチレン−ア
クリル酸樹脂を他の耐水性付与剤に変更した場合は、感
熱紙、感圧紙を侵す、乾燥性、耐水性が不十分となる等
の問題が生じ、ジエチレングリコールブチルエーテルを
他の有機溶剤に変更した場合は、感熱紙、感圧紙を侵
す、適度な粘度・表面張力のインキを得られない、溶剤
が揮発してしまう等の問題が生じるので、物質の変更は
許されない。
【0009】以上の添加物の他に、防腐防かび剤を使用
することができるが、できれば使用しない又は、使用し
ても極く少量にすることが好ましい。
【0010】
【作用】本発明のインキが何故、特定物質を限定的に用
いた場合に、本効果を示すのかは定かではないが、ロイ
コ染料を内蔵するマイクロカプセルの膜と化学反応を起
こす物質のうち、スチレン−マイレン酸樹脂、スチレン
−アクリル酸樹脂、ジエチレングリコールブチルエーテ
ルは最も化学反応を起こしにくい上、お互いの物質同士
の相乗効果が生じず、上記膜との反応性が鈍いままであ
るため、感熱紙、感圧紙を侵さないものと考えられる。
また、感光性樹脂を溶解する物質のうち、上記物質は最
も溶解力が低いうえ、お互いの相乗効果が生じず、溶解
力が低いままであるため、長期にわたって感光性樹脂印
を使用しても印面文字を溶解しないものと考えられる。
一方、耐水性に関しては、上記物質同士の相乗効果が生
じ、印影がすばやく乾燥すると同時に印影の表面に疏水
性の被膜を形成するため、強い耐水性が早く得られると
考えられる。また、水溶性顔料分散剤の中でも、特にポ
リビニルピロリドンは、他の添加剤に影響を与える事無
く顔料を分散することができるので、最も好ましく用い
ることができる。
【0011】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。尚、単に「部」とあるのは「重量部」を示
す。
【0012】(実施例1) フタロシアニンブルー 10部 水 22部 グリセリン 60部 ポリビニルピロリドン 5部 スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩 2部 ジエチレングリコールブチルエーテル 1部 上記成分を常温で攪拌し、粘度190cps(25℃)
の青色インキを得た。 (比較例1)実施例1から、スチレン−アクリル酸共重
合体のアンモニウム塩を除き、ポリビニルピロリドンを
7重量部にして、青色インキを得た。
【0013】(実施例2) カーボンブラック 12部 水 23部 グリセリン 60部 ポリビニルピロリドン 2部 スチレン−マイレン酸共重体のアンモニウム塩 1.5部 ジエチレングリコールブチルエーテル 1部 バイオデンS(防腐剤、大和化学工業(株)製) 0.5部 上記成分を常温で攪拌し、粘度260cps(25℃)
の黒色インキを得た。 (比較例2)実施例2から、ジエチレングリコールブチ
ルエーテルを除き、グリセリンを61重量部にして、黒
色インキを得た。
【0014】(実施例3) レーキレッド 10部 水 26部 グリセリン 56部 ポリビニルピロリドン 5部 スチレン−マイレン酸共重合体のアンモニウム塩 1部 スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩 1部 ジエチレングリコールブチルエーテル 1部 上記成分を常温で攪拌し、粘度300cps(25℃)
の赤色インキを得た。 (比較例4)実施例3において、ジエチレングリコール
ブチルエーテルを10重量部、グリセリンを47重量部
として、赤色インキを得た。
【0015】各実施例、及び、各比較例のインキをスタ
ンプ台に含浸させ、市販の感光性樹脂印(商品名:クリ
アソフト(旭化成社製ARP樹脂印))をもって感熱
紙、感圧紙、上質紙にそれぞれ押印した。その結果を以
下に示す。
【0016】
【表1】
【0017】(試験方法及び評価基準) 感熱紙の変色、消字…1日経過後、印影を目視により
観察した。 ○:ほとんど変化なし。△:若干有り。×:変色、消字
した。 感圧紙の変色、消字…1日経過後、印影を目視により
観察した。 ○:ほとんど変化なし。△:若干有り。×:変色、消字
した。 感光性樹脂印の変化…スタンプ台盤面に印面を接触さ
せたまま、室温中で10日間放置した後、上質紙に押印
して、その印影を観察した。 ○:全く変化なし。△:文字の周囲がややぼやけてい
た。 ×:文字の周囲がぼやけており、細かい文字がつぶれ
た。 印影の乾燥時間…温度20℃、湿度65%の状態で、
上質紙に押印後、上質紙を重ねて1kg/cm2くなる
までの時間を計測した。 耐水性が得られるまでの時間…温度20℃、湿度65
%の状態で、上質紙に押印後、印影に霧吹きし完全に流
れ出さなくなるまでの時間を計測した。
【0018】
【効果】本発明のインキは、感熱紙、感圧紙を侵さず、
長期間鮮やかな印影を保つことができ、また、感光性樹
脂印を侵すことなく、さらに、吸収紙に押印した後は、
印影がすばやく乾燥し、強い耐水性が早く得られる優れ
た性質を有するものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顔料、水、グリセリン、水溶性顔料分散
    剤、0.1〜5重量%のスチレン−マレイン酸樹脂もし
    くはスチレン−アクリル酸樹脂又はその混合物、0.1
    〜5重量%のジエチレングリコールブチルエーテルとか
    らなるスタンプ台用水性顔料インキ。
  2. 【請求項2】水溶性顔料分散剤がポリビニルピロリドン
    である請求項1に記載のスタンプ台用水性顔料インキ。
JP17955494A 1994-07-06 1994-07-06 スタンプ台用水性顔料インキ Expired - Lifetime JP3429071B2 (ja)

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