JP3428783B2 - 走査光学装置のバランス修正方法 - Google Patents

走査光学装置のバランス修正方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザビーム等の光束
を例えば感光体上に走査するための回転多面鏡を有する
走査光学装置のバランス修正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、この種の走査光学装置では、回転
多面鏡を高速あるいは高精度で回転させることが要求さ
れており、特にレーザビームプリンタ等では高精度な偏
向走査装置を得るために、回転体のバランス修正を行う
ことが必須となっている。また、高速回転するために風
損等が少なく、イナーシャの小さいインナーロータ型の
モータが用いられることが多い。
【0003】図11は、非接触軸受を用いたレーザビー
ムプリンタ用のインナーロータ型の従来例の偏向走査装
置を示す。固定軸21の周りに回転スリーブ22が回転
可能に嵌合され、これらはセラミック材料で形成されて
いる。回転スリーブ22の外周には金属材料で形成され
た固定部材23が焼き嵌め等により取り付けられ、固定
部材23には、回転多面鏡24が板ばね25により固定
され、また駆動マグネット26が接着等により固定され
ている。固定軸21はモータハウジング27に固定さ
れ、モータハウジング27には駆動マグネット26と対
向する位置に、ステータ28および電気部品等を取り付
けたモータ基板29が配置され、駆動モータを構成して
いる。
【0004】更に、回転スリーブ22の下側には、永久
磁石30が配置される一方で、固定軸21には永久磁石
30と上下方向に対向する永久磁石31が配置され、こ
れらの永久磁石30、31は、互いに反発することによ
って、スラスト方向の荷重を支えている。ここで、駆動
モータにより回転スリーブ22が回転されると、固定軸
21と回転スリーブ22との間に空気膜が形成され非接
触で回転スリーブ22および回転多面鏡を回転駆動させ
ることが可能となる。
【0005】また、バランス修正する時には、通常、回
転スリーブ22を含む回転体を回転させ、アンバランス
量を測定した後、回転スリーブを含む回転体を固定軸2
1から抜き、最初に図12(a)に示すように回転多面
鏡24の上面にバランス修正ウエイトを吐出器156に
より所定の量だけ付着させ、紫外線照射器158により
紫外線を照射することによりバランス修正ウエイトを固
着させる。次に、図12(b)に示すように回転体を反
転させ、駆動マグネット26の下面に同様の方法により
バランス修正ウエイトを固着させる。その後、再び、固
定軸21に嵌入し、回転させ、アンバランス量を測定す
るという工程を繰り返し高い精度のバランス修正を行っ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例ではインナーロータ型のモータであるため、次の様
な欠点があった。 (1)バランス修正を行う毎に、回転体の固定軸に対す
る取り付け、取り外しが必要となり、軸受部に損傷を与
える確率が増えるとともに、その度に軸受部を清掃する
必要が生じるために作業手順が増え、生産性が悪くな
る。 (2)非接触軸受でないボールベアリング等を使用した
場合には、回転体だけを外すことができなくなるため、
組込み前に回転体だけでベルト駆動等の方法によりバラ
ンスを修正する必要が生じるため、自己駆動でバランス
修正を行うことができず、バランス修正の精度を高める
ことができない。
【0007】したがって、本発明の目的は、上述の問題
点を解決して、インナーロータ型のモータを用いる偏光
走査装置であっても、容易に高精度なバランス修正を行
える方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の走査光学装置のバランス修正方法は、駆動
マグネットを有する回転体に回転多面鏡が設けられた機
構部と前記駆動マグネットの外側に設けられたステータ
を有する電気回路部とを分割可能に構成したインナーロ
ータ型の駆動モータを用いた走査光学装置のバランス修
正方法において、バランス修正時には、前記機構部を前
記電気回路部から分離して、前記機構部だけをバランス
修正機に載せ、前記バランス修正機にあらかじめ設けら
れた回転手段により前記機構部の回転体を回転駆動させ
てアンバランス量の測定を行い、前記バランス修正機か
ら露出された前記回転体のバランス修正部を調整するこ
とを特徴とする。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。
【0010】(実施例1)図1〜図3は本発明の実施例
1を示す図である。図1において固定軸1の周りに回転
スリーブ2が回転可能に嵌合され、これらはセラミック
材料で形成されている。回転スリーブ2の外周には金属
材料で形成された固定部材3が焼き嵌め等により取り付
けられ、固定部材3には、回転多面鏡4が板ばね5によ
って固定され、また駆動マグネット6が接着等により固
定されている。ここで、回転多面鏡の上面4aには円周
状の溝4bが設けられ、一方駆動マグネット6の下面6
aにも円周状の溝6bが設けられており、これらの溝4
b、6bに不図示のバランスウェイトをのせることによ
り回転体のバランス修正が行える様になっている。
【0011】固定軸1は固定基台7に固定され、固定基
台7はモータハウジング8に上方より組込み可能になっ
ており、ネジ等により固定されている。図2は、固定基
台7とモータハウジング8を固定するネジ17を示す。
【0012】モータハウジング8には駆動マグネット6
と対向する位置にステータ9および電気部品等を取り付
けたモータ基板10が配置され、駆動モータを構成して
いる。さらに、回転スリーブ2の下側には永久磁石11
が配置される一方で、固定軸1又は固定基台7には永久
磁石11と上下方向に対向する永久磁石12が配置さ
れ、これらの永久磁石11、12は互いに反発すること
によって、スラスト方向の荷重を支えている。
【0013】ここで、駆動モータにより、回転スリーブ
2が回転されると、固定軸1と回転スリーブ2との間に
空気膜が形成され、非接触で回転スリーブ2および回転
多面鏡4等から成る回転体が回転駆動される。そこで、
図3に示す様に光学箱13に配置されたレーザユニット
14より射出されたレーザビームはレンズ15、16に
より感光体上に集光され、感光体17に対して偏向走査
される。
【0014】以上のような構成にすることにより、固定
基板7とモータハウジング8の結合部を切り離すことが
可能となり、偏向走査装置は回転体を有する機構部とス
テータを有する電気回路とが分割可能となる。ここで、
図4に示す様に、回転体を有する機構部をバランス修正
機51の固定治具52に上方からセットすると、バラン
ス修正機51には、回転手段である治具のステータ53
および電気部品等を取り付けた治具のモータ基板54が
配置されており、これにより回転駆動され、アンバラン
スが測定される。なお、図6はバランス修正機51に回
転体を有する機構部が取り付けられた状態を示す図であ
る。
【0015】図7は、バランス修正機51で実際にバラ
ンス修正される状態を示す図であり、吐出器55、56
および紫外線照射器57、58が設定されている。ここ
で、測定されたアンバランス量にしたがって修正バラン
スウェイト(例えば紫外線硬化型接着剤)が修正用の溝
4b、6bに吐出器55、56よりそれぞれ吐出され、
紫外線照射器57、58によりそれぞれ紫外線を照射さ
れ固化される。これらを繰り返すことにより所定のアン
バランス量以下に抑えることができ、バランス修正作業
が終了する。以上のようにバランス修正を行うことによ
り、回転スリーブ2を固定軸1から取外すことなくバラ
ンス修正が行えるため、作業が容易で、軸受部を損傷す
ることがなくなる。なお、図8に示すように、回転体を
有する機構部をバランス修正機51から外した後にバラ
ンス修正を行うことも可能である。
【0016】ここで、駆動用にマグネット6の下面60
の円周状の溝6bにバランスウェイトを載せてバランス
修正するためには、固定基台7より円周状の溝6bの全
体または一部が露出している必要がある。このため図5
(a)、(b)に示す下面図の様な固定基台7とロータ
6の位置関係、すなわち下面より見た時に、ロータ6の
円周状の溝6bの径寸法より固定基台7の外寸は小さい
かまたは一部が小さくなっている。
【0017】上記の様な方法によりバランス修正を行う
ことにより、バランス修正の毎に回転体の取付け取外し
の必要がなくなるため、非接触の軸受を用いても、その
軸受に損傷を与える確率が小さくなり、作業性の向上が
図れる。
【0018】(実施例2)図9は、本発明の実施例2を
示す図である。ここでは、非接触軸受ではなくボールベ
アリングを使用しており、同図において、回転軸61は
ボールベアリング62、63により支持されており、固
定部材64が焼き嵌め等の方法により取付けられてい
る。一方ボールベアリング62、63は固定基台65に
固定されており、予圧バネ66とバネ押さえ67により
予圧が与えられている。ここで実施例1と同様に回転多
面鏡4の上面4aには円周状の溝4bが設けられ、一方
駆動マグネット6の下面6aにも円周状の溝6bが設け
られており、これらの溝4b、6aに不図示のバランス
ウェイトを載せることにより回転体のバランス修正が行
われる。また、回転軸61、ボールベアリング62、6
3等が組込まれた固定基台65はモータハウジング8に
上方より組込み可能になっており、ネジ等により固定さ
れている。この様な構成にすることにより、ボールベア
リングを使用したインナーロータ型のモータにおいて
も、実施例1と同様にバランス修正を行うことが可能と
なり、バランス修正の精度を高めることが可能となる。
【0019】(実施例3)図10は本発明の実施例3を
示す図で、図1と同一材料で機能が同じものについて
は、同一番号を付し説明を省略する。図10において、
4c及び6cには比重の重い材料が埋め込まれており、
バランス修正の際には、エンドミル等により削り取るこ
とによりバランス修正を行うことができる。この様にマ
イナス修正の場合においても本発明を利用することが可
能である。また、4c、6cには比重の重い材料を埋め
込んだ場合について説明したが、直接回転多面鏡4及び
駆動マグネット6を削り取ることも可能であり、また修
正用の別部材を固定して修正することもできるが、これ
らのバランス修正部は全体または一部が露出しておりエ
ンドミル等の工具が入れられる様に構成されている。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インナーロータ型の駆動モータを用いた走査光学装置で
あっても、回転体を有する機構部とステータを有する電
気回路とが分割可能となっており、バランス修正時には
回転体を有する機構部だけをバランス修正機に載せ、バ
ランス修正機にあらかじめ設けた回転手段であるステー
タにより回転駆動させることによりアンバランス量の測
定及び調整を行うことによって非接触軸受の場合には回
転体の取外しの必要がなくなり、作業が容易になるとと
もに、軸受部を損傷させる確率も低くなる。
【0021】また、ボールベアリングを用いた場合に
も、自己駆動でバランス修正が出来る様になり、ベルト
駆動によりバランス修正を行うのに比べ、はるかに高い
精度のバランス修正を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1の断面図である。
【図2】図2は、固定基台とモータハウジングを固定す
るネジを示すための本発明の実施例1の断面図である。
【図3】図3は、走査光学系の平面図である。
【図4】図4は、本発明のバランス修正機にセットする
方法を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1の機構部の下面図で
ある。
【図6】図6は、バランス修正機に回転体を有する機構
部が取り付けられた状態を示す図である。
【図7】図7は、バランス修正機で実際にバランス修正
される状態を示す図である。
【図8】図8は、回転体を有する機構部をバランス修正
機から外した後にバランス修正を行うことを説明するた
めの図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2の断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例3の断面図であ
る。
【図11】図11は、従来例のインナーロータ型の偏向
走査位置の断面図である。
【図12】図12は、従来例のインナーロータ型のバラ
ンス修正を説明するための図である。
【符号の説明】
1、21 固定軸 2、22 回転スリーブ 4、24 回転多面鏡 4b、6b 固定基台 8、27 モータハウジング 51 バランス修正機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−160755(JP,A) 特開 平2−201236(JP,A) 特開 平5−100176(JP,A) 特開 昭59−68717(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 1/27 501 H02K 21/14 H02K 29/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動マグネットを有する回転体に回転多面
    鏡が設けられた機構部と前記駆動マグネットの外側に設
    けられたステータを有する電気回路部とを分割可能に構
    成したインナーロータ型の駆動モータを用いた走査光学
    装置のバランス修正方法において、 バランス修正時には、前記機構部を前記電気回路部から
    分離して、前記機構部だけをバランス修正機に載せ、前
    記バランス修正機にあらかじめ設けられた回転手段によ
    り前記機構部の回転体を回転駆動させてアンバランス量
    の測定を行い、前記バランス修正機から露出された前記
    回転体のバランス修正部を調整することを特徴とする走
    査光学装置のバランス修正方法。
  2. 【請求項2】前記回転体の軸受に非接触軸受を用いたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置のバラン
    ス修正方法。
  3. 【請求項3】前記回転体の軸受にボールベアリングを用
    いたことを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置の
    バランス修正方法。
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