JP3428592B2 - 鉄骨構造物の片側溶接方法 - Google Patents

鉄骨構造物の片側溶接方法

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JP3428592B2 JP2001224889A JP2001224889A JP3428592B2 JP 3428592 B2 JP3428592 B2 JP 3428592B2 JP 2001224889 A JP2001224889 A JP 2001224889A JP 2001224889 A JP2001224889 A JP 2001224889A JP 3428592 B2 JP3428592 B2 JP 3428592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築構造物・橋梁
構造物・一般構造物等において、溶接継手部材端面部の
裏面に肉盛溶接を行った後、消耗式の裏当金や裏当材を
用いず、部材を片側から溶接施工する片側溶接方法で継
手溶接し、溶接継手部材端面部の部材の板厚・板幅を超
えるのど厚を獲得する技術の方法の改良に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の技術では、図1及び図2に示すよ
うに、鉄骨溶接は片側から施工する裏当金付き継手が標
準になっている。従来の方法では、部材の接合予定端部
の開先加工をしてから、裏当金の製作及び裏当金取付の
仮付溶接を行っている。
【0003】また、従来の方法では、本溶接の前に、図
14のようにT継手における鉄骨ダイアフラム1の裏面
に溶接ビードを置いたり、図15のようにT継手におけ
る鉄骨ダイアフラム1の裏面及び対向する部材2の開先
裏面に予め溶接ビードを置く方法が公表されている。ま
た、溶接開始点と終了点が重なる四角パイプや丸パイプ
の周溶接と異なり、H型鋼のフランジの端部を溶接する
場合、フランジ幅が有限幅になり、溶接の始端部と終端
部に欠陥のない良好な溶接を得るために、従来の方法で
は、図26に示すように鋼製エンドタブ25が必要にな
る。なお、この鋼製エンドタブの代わりにセラミックス
製のエンドタブを使用することが最近増加しつつある。
【0004】更に、本出願図3の一例に示すように、溶
接継手部材端面部の裏面に肉盛溶接を行った後、消耗式
の裏当金や裏当材を用いず、図11に示すように部材を
片側から溶接施工する片側溶接方法で継手溶接し、溶接
継手部材端面部の部材の板厚・板幅を超えるのど厚を獲
得する技術の方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法は、図1に
示すように部材1及び2が裏当金3と接する開先5のル
ート部に2カ所の凹みコーナ1R及び2Rが存在して、
この部分が溶融し難く溶込み不良の原因になり易く、ま
た、図1及び図2に示すように、開先5の加工をした後
に裏当金3の製作及び裏当金取付の仮付溶接4を必要と
し、継手溶接能率面から製作工数が大きく掛かる上に、
その後の継手溶接6では、裏当金3を放置している為、
仮付溶接4の残留や裏当金3と部材1及び2との間に応
力集中をもたらす有害なノッチ7及び7Aが残留するこ
とになり、曲げ延性・疲労強度や耐震強度等の継手性能
を阻害する要因となっている。
【0006】更に、図1及び図2に示す従来の方法で
は、部材の接合予定端面部の開先加工をしてから、裏当
金3の製作・裏当金取付の仮付溶接4を必要とし、本継
手の溶接6に直ちに着手できない為、製作工程手順面か
ら鉄骨製作工数が大きくかかるという不利益がある。ま
た、従来の技術では、裏当金3を省略すると開先の表側
から第1層目の裏面に欠陥の無い整った波形のビードを
作る裏波溶接を行う必要があるが、鉄骨製作では素材の
寸法精度に起因する開先精度の保持の困難性、裏波溶接
技量の確保の困難性、及び初層からの大電流使用の困難
性があるため、その実現が困難である。また、良好な裏
波ビード形成のために消耗式の裏当材の使用も可能であ
るが、この方法では消耗式の裏当材が高価で取付の作業
及び取り外しの作業が掛かるという問題がある。図60
に示す建築鉄骨の仕口部のように内部が閉じられた空間
になる場合は溶接後の消耗式の裏当材の取り外しが出来
ないという問題もある。
【0007】一方、図14の施工法のように、T継手の
端面でない方の部材1の上に予め肉盛溶接13を置いて
から、部材2をあてがい開先の表側から第1層目の溶接
14を行い、しかる後に、継手溶接6を行う方法があ
る。この方法は裏当金を省略できるという簡便さはある
が、肉盛溶接ビードの波の凹凸がある上に予め肉盛溶接
13の位置を決めておくため寸法精度が一定でない部材
同士の肌合わせ位置の調整及び変更が容易でないこと、
溶接姿勢が横向きでないと施工が難しいこと、裏波ビー
ド形成のため図14の部材1が一定の傾きを必要とする
こと、裏面からの第1層目の溶接14に熟練が必要であ
り且つ大電流が使えないこと、のど厚2Aの増加には繋
がらないことなどの問題がある。
【0008】また、図15のように、T継手の端面でな
い方の部材1に加え端面部材2にそれぞれ予め溶接肉盛
ビード13及び13Aを置いてから、部材2をあてがい
開先の表側から第1層目の溶接14を行い、しかる後
に、継手溶接6を行う方法がある。この方法も裏当金を
省略できるという簡便さはあるが、図14と同様な問題
がある。更に、図15の部材13Aの先端に肉盛溶接す
るときの溶接が容易でなく、そのうえ、T継手の両部材
にそれぞれに予め肉盛溶接を置く必要があり、本発明に
係る請求項1の端面部材のみに溶融しない裏当材を使用
して肉盛溶接するのに比較し溶接施工の難しさ及び製作
工数増加の問題がある。
【0009】また、図26に示すように、有限幅のH型
鋼のフランジ端部に対し、有限長の溶接を行いその始端
部及び終端部の健全性を得るためのエンドタブを用いて
いるが、そのエンドタブの製作費と取付費が掛かるた
め、このエンドタブを省略する安価で容易な施工法が望
まれる。この鋼製エンドタブの代わりにセラミックス製
のエンドタブを使用することが最近増加しつつあるが、
この場合もセラミックス製の高価な製作費用と取付作業
が必要になる。更に、このエンドタブでは端部に溶接ビ
ード始終端が集まりやすく溶接欠陥が発生しやすいとい
う問題がある。
【0010】また、本出願図3の一例に示すように、溶
接継手部材端面部の裏面に肉盛溶接を行った後、消耗式
の裏当金や裏当材を用いず、部材を片側から溶接施工す
る片側溶接方法で継手溶接し、溶接継手部材端面部の部
材の板厚・板幅を超えるのど厚を獲得する技術の方法が
ある。本方法においては、肉盛溶接及び継手溶接のなお
一層の能率向上が望まれている。
【0011】
【目的】本発明は、上記の継手溶接能率面からみた製作
工数の削減、製作工程手順面からみた鉄骨製作工数の削
減、継手部材間の位置調整の容易性の向上、溶接施工性
の向上、のど厚の増大、及び、裏当金又はエンドタブと
部材との間に応力集中をもたらす有害なノッチが残留す
ることによる継手性能の阻害要因の排除を、継手部材そ
のものによって形成されるよりも大きな開先面を形成さ
せること、カットワイヤ等の補助材料を用いること、及
び、アーク熱等の溶接熱源により溶融しない裏当材の形
状改良をすることなどにより達成することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
為には、図1の1R及び2Rのルート部のコーナをなく
し、製作工数の掛かる裏当金の製作とその仮付溶接を省
略すると共に、有害なノッチの排除・のど厚の増大、溶
着効率の増大、及び、必要溶着量の減少等を図る必要が
ある。
【0013】そこで、請求項1の発明に係る方法では、
図1に示すような溶接後に継手に残留する裏当金3を用
いず、開先加工前のT型溶接継手部材2の端面2T又は
突合せ継手部材の片方の端面1又は両端面に、図3に示
すように、アーク熱等の溶接熱源により溶融しない金属
又は非金属の裏当材8をあてがい、溶接継手端面部の裏
面と該裏当材8との間で所定の形状に肉盛溶接9を行っ
て部材端面部板厚を増大させてから、図4に示すように
該肉盛溶接金属を含めて開先加工面10を有するように
溶接継手端面部材の開先加工を共に同一面になるように
行い、しかる後、図5及び図6に示すように継手部材同
士1と2を対向させて、図7又は図8に示すように開先
部空間部の1部又は全部にカットワイヤ又は鉄粉37を
充填し、開先の表側から該肉盛溶接金属開先面10を溶
融しながら溶接継手部材同士1と2を溶接接合して、図
11に示すように溶接継手端面部の部材の板厚2Aを超
えるのど厚1Aを確保する片側溶接を行う。
【0014】請求項1の本発明に係る方法では、T型溶
接継手及び突合せ継手の施工において、図5及び図6に
示すように肉盛溶接後に開先加工した継手部材端面部の
先端部を相手部材の所定位置に当接させセットしてから
そのまま該開先加工部10に継手溶接すれば良いので、
図1の裏当金3の省略ができ、部材2のセットの容易性
が得られ、裏面肉盛溶接部9による裏面からの支持及び
カットワイヤ又は鉄粉37があるため第1層目の大電流
使用が可能になり、裏当金3のない部材2の板厚2Aよ
りも深い開先1Cのため、部材ルート部1Rと2Rの良
好な溶込みが容易に得られ、このように溶け込みが容易
に得られるので開先ギャップ2Gを裏当金使用時の約7
mmに比較し50%程度に縮小できて開先断面積を減少
させる事ができるので継手溶着金属量を減少させること
ができ溶接時間の短縮と溶接ひずみを減少させることが
できる上にカットワイヤ又は鉄粉による溶着量の加算と
溶接積層時パス間温度の低下が得られ、これらの効果の
複合により、部材ルート部の欠陥防止や継手溶接施工面
から鉄骨製作工数の削減を50%以上に大幅に行うこと
が出来、鉄骨寸法精度の確保を図ることが出来る。な
お、カットワイヤとしては、直径1mmで長さ1mm程
度のものが適当である。鉄粉としては、入手可能な任意
の粒径をのものを用いる。
【0015】また、請求項1の本発明に係る方法では、
図14及び図15の例のように溶接作業性の面で裏波溶
接13を安定に行うための溶接姿勢が横向きに制限され
ることもなく、肉盛溶接部による裏面からの支持によ
り、通常の継手溶接と同様に全姿勢で安定な施工が可能
である。同時に、開先加工後の裏当金の製作と取付のオ
フライン作業工程を省略し、開先加工前に肉盛溶接をし
ておけば、開先加工から始めて多くの継手溶接を連続し
て行えるので、製作工程手順面から鉄骨製作工数の削減
を大幅に行うことが出来る。また、本発明にかかる方法
では、図2の従来法のノッチ7をなくし、ノッチ7Aに
相当するノッチは存在してものど厚の増大を図ることが
出来るので有害なノッチとならず、継手曲げ延性や疲労
強度の向上が得られ、耐震強度が容易に確保できる。実
験に依れば、のど厚の増加が10%以上であれば、継手
の曲げ延性が2倍程度に向上し、疲労強度が10倍程度
に改善できた。
【0016】また、請求項2の発明に係る方法では、請
求項1の本発明に係る方法においてアーク熱等の溶接熱
源により溶融しない裏当材8を図3のように端面部材の
端面2Tに当接して肉盛溶接するのではなく、単に、図
3に示すように継手部材2の端部となる開先加工予定部
の裏面に予め所定形状の肉盛溶接9を行うのでもなく、
また、単に、図16,図33及び図34に示すように、
有限幅の継手側面を含めた開先加工予定部に肉盛溶接す
るのでもない。請求項2の発明に係る方法では、T型溶
接継手部材の端面又は突合せ溶接継手部材の端部となる
開先加工予定部に於いて、図17、図18、図19又は
図20に示すように、該開先加工予定部裏面に溶接熱源
により溶融しない裏当材8を用いて該裏当材8をガイド
としてあてがい、肉盛溶接9を行うか、又は、該予定部
側面に溶接熱源により溶融しない裏当材8Wを用いて該
裏当材8Wをガイドとしてあてがい、肉盛溶接9を行う
か、又は、該予定部裏面及び側面の両方に、図35、図
36、図37及び図38に示すように、溶接熱源により
溶融しない裏当材8、8W、又は8Xを用いて該裏当材
をガイドとしてあてがい、肉盛溶接9を行った後、図
4、図31又は図32に示すように、開先予定部の部材
及び該肉盛溶接金属を共に切断して開先加工を行い、し
かる後、図5又は図6に示すように、継手部材1と2を
対向させて開先の表側から該肉盛溶接金属開先面10を
溶融しながら溶接継手部材同士1と2を溶接接合し、図
11又は図12に示すように、溶接継手端面部の部材の
板厚2Aを超える板厚方向ののど厚1A又は図31に示
すように板幅2Pを超える板幅方向ののど厚2Q、又は
板厚・板幅方向の両のど厚を各々超えるのど厚を確保す
る片側溶接方法である。
【0017】請求項2の本発明に係る方法では、継手部
材の端部となる開先加工予定部裏面に、単に予め所定形
状の肉盛溶接を行わず、該裏当材をガイドとしてあてが
肉盛溶接を行うので無駄な肉盛溶接が減少し、最適な
滑らかな肉盛形状が得られ為、高能率で鉄骨製作工数の
削減が向上する。
【0018】請求項2の本発明に係る方法では、請求項
1の発明に係る方法と同様な溶接前開先形状と溶接完了
時の継手形状が得られるので、請求項1の発明に係る方
法と同様な良好な継手性能の確保が出来る。
【0019】請求項2の本発明に係る方法では、請求項
1と同様に、開先部空間部の1部又は全部にカットワイ
ヤ又は鉄粉を充填し、開先の表側から該肉盛溶接金属開
先面を溶融しながら溶接継手部材同士を溶接接合し、溶
接継手端面部の部材の板厚を超える板厚方向ののど厚を
確保することが可能である。
【0020】請求項2の本発明に係る方法では、四角パ
イプや丸パイプの周溶接のように溶接開始点と終了点が
重なることのないH型鋼のフランジに溶接を適用する場
合、鋼板が有限幅になり、従来の裏当金取付による溶接
施工を適用した場合に、溶接の始端部と終端部に欠陥の
無い良好な溶接を得るために、図26に示すようなエン
ドタブ25やこれに変わるセラミックス製エンドタブな
どが必要になるのを省略する手段をも提供するものであ
る。
【0021】請求項2の本発明に係る方法は、請求項1
の記載の方法において有限幅の鋼板溶接継手部材端面部
の裏面と該裏当材との間で肉盛溶接を行う場合、又は、
請求項2の記載の方法において有限幅の鋼板継手部材の
端部となる開先加工予定部裏面に肉盛溶接を行う場合
に、図35、図36、図37及び図38に示すように、
鋼板側面を含めて肉盛溶接した後、図31又は図32に
示すように鋼板裏面部及び側面部の該肉盛溶接金属を含
めて溶接継手端面部材の開先加工を行い、継手部材その
ものにより形成されるよりも大きな開先面10を形成さ
せ、しかる後、図5又は図6のように継手部材1と2を
対向させて開先の表側から該肉盛溶接金属を含めた開先
面10を溶融しながら溶接継手部材同士を溶接接合し、
図11に示す溶接継手端面部の部材の板厚2Aを超える
板厚方向ののど厚1A又は図31に示す板幅2Pを超え
る板幅方向ののど厚2Q又は板厚・板幅方向の両のど厚
を各々超えるのど厚を確保する片側溶接方法である。す
なわち、本発明により、継手溶接後、従来の裏当て方式
の継手に比較し、図2の7及び7Aのような又は図26
の25Aのようなエンドタブに起因する有害なノッチに
よる応力集中が無く、継手の断面において板厚及び板幅
を増加させ、継手の面内引張強度の増加や、継手の板厚
方向及び板幅方向の曲げ強度・曲げ延性・疲労強度を増
加させることができる。また、図26に示すような鋼製
エンドタブやこれに変わるセラミックス製エンドタブな
どを省略することが可能になる。尚、セラミックス製エ
ンドタブは溶接欠陥が生じやすい場合があり、本発明に
係る施工法はこの点でも有効である。
【0022】請求項3の本発明にかかる方法では、鉄骨
構造物において、T型溶接継手部材の端面又は突合せ溶
接継手部材の片方又は両端面に、図9の断面図に示すよ
うに、溶接熱源により溶融せず且つ長手方向に沿って突
起8Pを有する裏当材8を用いて、該裏当材突起端部8
Pを開先予定部2Cに肉盛溶接ガイドとしてあてがい、
溶接継手部材端面部2Tの裏面と該裏当材8との間で肉
盛溶接を行った後、図10に示すように溶接継手端面部
材2の開先加工30を行い、少なくとも一方の継手部材
板厚2Aを越える開先深さを得て後、図5又は図6に示
すように継手部材1及び2をを対向させて、図11又は
図12に示すように開先の表側から該肉盛溶接金属部9
を溶融しながら溶接継手部材同士1及び2を溶接接合
し、溶接継手端面部の継手部材2の板厚2Aを超える板
厚方向ののど厚1Aを確保する片側溶接方法を行う。
【0023】本発明によれば、該突起8Pにより、肉盛
溶接のルート部が成形されて予め開先空間となるところ
が図10に示すように空間35として確保される。従っ
て、肉盛溶接部9の開先加工が不要で、部材だけを開先
加工すれば、部材板厚2Aを越える開先深さが得られ、
図11に示すように溶接継手端面部の継手部材2の板厚
2Aを超える板厚方向ののど厚1Aを確保することが容
易に可能である。また、該空間35が存在するために肉
盛溶接金属9が少なくて済む。従って、本発明によれ
ば、肉盛溶接9の高能率化及び継手部材1の開先加工3
0の高能率化が可能になる。更に、本発明によれば、開
先加工後は図5と同様に継手部材がセットされ、図11
に示すように請求項1及び2と同様な継手断面形状と継
手性能が得られる。なお、該突起8Pは裏当材8の本体
に付随するものであるが、分離しても問題はない。ま
た、その場合に、本体8と突起8Pが異材であっても問
題はない。
【0024】請求項4の本発明にかかる方法では、鉄骨
構造物において、T型溶接継手部材の端面又は突合せ溶
接継手部材の端部となる開先加工予定部の裏面に、図2
1又は図22の断面図に示すように、溶接熱源により溶
融せず且つ長手方向に沿って突起8Pを有する裏当材8
を用いて、該裏当材突起端部8Pを開先予定部15Bに
肉盛溶接ガイドとしてあてがい、肉盛溶接9を行った
後、開先予定部15Bの継手部材2の開先加工を行い、
図5又は図6に示すように、少なくとも一方の継手部材
板厚2Aを越える開先深さ1Cを得て後、継手部材1及
び2を対向させて、開先の表側から該肉盛溶接金属部9
及び部材開先面10を溶融しながら溶接継手部材同士1
及び2を溶接接合し、図11又は図12に示すように溶
接継手端面部の部材2の板厚2Aを超える板厚方向のの
ど厚1A又は図31における板幅2Pを超える板幅方向
ののど厚2Q又は板厚・板幅方向の両のど厚を各々超え
るのど厚を確保する片側溶接方法である。
【0025】本発明によれば、該突起突起8Pにより、
肉盛溶接のルート部が成形されて図21及び図22に示
すように部材2と肉盛溶接金属に挟まれた空間として確
保される。従って、この空間部があるため、図5又は図
6に示すように、少なくとも一方の継手部材板厚2Aを
越える開先深さ1Cを得る為には、開先予定部15Bの
位置で開先加工をする場合、肉盛溶接部9の開先加工が
不要で、部材2だけを開先加工すれば、図5又は図6に
示す部材板厚2Aを越える開先深さ1Cが得られ、図1
1又は図12に示すように溶接継手端面部の継手部材2
の板厚2Aを超える板厚方向ののど厚1Aを確保するこ
とが容易に可能である。また、肉盛部に該空間が存在す
るために肉盛溶接金属9が少なくて済む。従って、本発
明によれば、肉盛溶接9の高能率化及び継手部材2の開
先加工30の高能率化が可能になる。更に、本発明によ
れば、開先加工後は図5と同様に継手部材がセットさ
れ、図11に示すように請求項1及び2と同様な継手断
面形状と継手性能が得られる。なお、請求項3と同様
に、該突起8Pは裏当材8の本体に付随するものである
が、分離しても問題はない。また、その場合に、本体8
と突起8Pが異材であっても問題はない。
【0026】請求項5の発明に係る方法は、外部委託加
工など製作工程の都合で肉盛溶接前に開先加工をした場
合は、請求項1に係る発明の実施はできないため、先に
開先加工をした端面部材に対し非溶融式裏当材を用いて
肉盛溶接することにより、端面部材で形成される開先面
積を増大させる方法を提供するものである。
【0027】請求項5の発明に係る方法は、鉄骨構造物
において、図51に示すように予め開先加工32をした
T型溶接継手部材2の端面又は突合せ継手部材2の片方
又は両端面に、アーク熱等の溶接熱源により溶融しない
裏当材8をあてがい、溶接継手部材端面部の裏面又は側
面を含む裏面と該裏当材との間で肉盛溶接9を行った
後、該肉盛溶接金属9の該裏当材当接面の一部33を本
体部材継手開先32の延長とし、しかる後、図5又は図
6のように継手部材1及び2を対向させて、図7又は図
8に示すように開先部空間部の1部又は全部にカットワ
イヤ又は鉄粉37を充填し、開先の表側から該肉盛溶接
金属開先面を溶融しながら溶接継手部材同士1及び2を
溶接接合し、図11のように溶接継手端面部の部材の板
厚2を超える板厚方向のど厚2A又は図31に示す板幅
2Pを超える板幅方向ののど厚2Q又は板厚・板幅方向
の両のど厚を各々超えるのど厚を確保する片側溶接方法
である。
【0028】本発明に係る方法は、既に開先加工を施し
た端面の継手溶接には請求項1に係る発明の代替として
有効であり、且つカットワイヤ又は鉄粉を開先部に充填
しているので高能率で溶接継手部材同士1及び2の溶接
が実施できる。図51において非溶融式裏当材の一部垂
直面31を設けたのは、溶接肉盛金属を相手部材のレ型
開先に当接させ、部材2の左右軸方向の位置決めのため
に設定したものである。
【0029】本発明に係る方法は、請求項1と同様の方
式でなされるので外部委託加工など製作工程の都合で肉
盛溶接前に開先加工がされた場合に利点を有し、且つ公
知の図14のダイアフラム部材1だけに裏当材無しで肉
盛溶接する方法と異なり、また、図15のダイアフラム
と柱の両部材に裏当材無しで肉盛溶接する方法とも方式
が異なるが、本発明では、請求項1と同様に図14及び
図15の欠点を補い、請求項1の効果が達成できる方法
である。
【0030】発明の実施の形態について、図面を参照し
て説明する。図1は、従来の鉄骨溶接の一例を示す断面
図である。部材1及び35度に開先加工した部材2をT
継手で溶接接合するのであるが、溶接を片側から安定し
て完全溶け込みにするため裏当金3を裏面からあてがい
仮付け溶接4を行う。そして、図2のように継手溶接6
を行う。
【0031】しかしながら、この場合、図2に示すよう
に、裏当金3を部材1及び2に取り付ける仮付け溶接4
が継手溶接に先立って必要になる。このような作業は、
裏当金3の製作、裏当金3のセット、裏当金の仮付溶接
等多くの工数を費やす。しかも、この裏当金の取付は開
先5の加工と継手の溶接6との間の行程で施工する必要
があり、裏当金取付けがオフラインでなされる必要があ
り、工場内あるいは現場でのスムーズな物流が妨げられ
製作工程手順の上で非効率となる。
【0032】その上、従来方法では溶接完了後、図2に
示すように裏当金3と部材1及び2との間に不溶着部分
7及び7Aがあり、これらが有害なノッチとなり部材2
に引張又は曲げ荷重が掛かったとき応力集中を引き起こ
すもととなる。実験では、図2の継手形式で部材2が上
向きの曲げ荷重2Bを受けたときほとんどが有害なノッ
チ部7又は7Aで亀裂が発生し継手が破壊した。
【0033】そこで、図3に示すように、部材2の端部
に溶接熱源により溶融損傷しない非金属裏当材8又は水
冷又は非水冷の銅製裏当材8をあてがって、溶接継手部
材端面部2Tの裏面と該裏当て材との間で肉盛溶接9を
行い、図4に示すように部材端部を肉盛溶接を含めて開
先加工し、図5又は図6のように相手の部材面にあてが
い、図7又は図8に示すようにカットワイヤ又は鉄粉3
7を開先部に充填して、図11のように継手溶接6をす
れば、上記に述べた裏当金3の取付に伴う諸作業がなく
なり、開先加工から継手溶接までの一貫した連続作業が
可能になる。
【0034】従って、裏当金の省略・部材2のセットの
容易性・第1層目の大電流使用・鉄骨寸法精度の確保を
図ることが出来るので継手溶接施工面から鉄骨製作工数
の削減を大幅に行うことが出来る。同時に、開先加工後
の裏当金の製作と取付のオフライン作業工程を省略し、
多くの継手溶接を連続して行え、且つカットワイヤ又は
鉄粉を開先部に充填して溶接するので要着効率が50%
以上向上し、製作工程手順面から鉄骨製作工数の削減を
大幅に行うことが出来る。また、本発明にかかる方法で
は、有害なノッチの排除・のど厚の増大・鉄骨寸法精度
の確保を図ることが出来るので、曲げ延性・疲労強度及
び耐震強度を容易に確保できる。
【0035】継手溶接能率面の能率向上と製作工程手順
面の効率化により鉄骨製作工数の削減を大幅に行うこと
によって、実施工では、本発明に係る肉盛溶接施工の工
数を含めても、平均板厚25mmの継手では約50%の
製作工数の削減が可能になった。また、図11に於い
て、肉盛溶接9がない場合に継手ののど厚は2Aである
が、部材と一体化された肉盛溶接部を含めた開先部に本
溶接して得られた継手ののど厚1Aを本発明に係るのど
厚と呼べば、本発明に係る溶接施工では、継手部ののど
厚が2Aから1Aに増大する。実験によれば、図2に示
す従来の継手では部材2の曲がり角度が15乃至25度
の時にルート部から割れが発生し、本発明に係る施工に
於いて、部材1と同材質の溶接材料を使って得られた溶
接継手ののど厚増加が部材2の10%以上の増加であれ
ば、部材2に上向きの曲げ荷重2Bが掛かっても部材2
の割れ発生角度は50度以上でありほとんどが割れ発生
が認められず、部材2が曲がるのみであった。即ち、本
発明に係る継手ではのど厚増加があるため、図11の継
手溶接部6のルート部9Bにおける若干の未溶着部の存
在は応力集中の悪影響因子として働かないことを示して
いる。
【0036】尚、本発明に係る継手溶接部のルート部9
Bは、部材1が部材2よりも薄い場合など剛性が低い場
合に水平溶接で裏波溶接を行ったり、更に、H型鋼フラ
ンジのように外部に露出している場合にルート部9Bへ
の追加溶接やグラインダー仕上げすることにより応力集
中部をなくすことができ、このことにより継手の一層疲
労強度を向上させることも可能である。
【0037】請求項6の発明に係る方法は、鉄骨構造物
において、図52に示すように、T型溶接継手部材の端
面2T又は突合せ溶接継手部材の片方又は両端面に、溶
接熱源により溶融しない裏当材8を裏当材の面8Fを端
面2Tに斜めにあてがい、溶接継手部材端面部の端面2
T及び端面部の裏面2Uと該裏当材8との間で、図53
に示すように、肉盛溶接9を行い、図54に示すよう
に、少なくとも一方の継手部材2の板厚2Aを越える深
さの開先1Cを形成した後、継手部材1と2を対向させ
て、図5又は図6に示すように、開先の表側から該肉盛
溶接金属開先面10を溶融しながら、図11又は図12
に示すように溶接継手部材同士1と2を溶接接合し、溶
接継手端面部の部材の板厚2Aを超える板厚方向ののど
厚1Aを確保する片側溶接方法である。
【0038】本発明にかかる方法では、裏当金やエンド
タブを用いないため、現在問題となっている裏当金によ
る応力集中、エンドタブによる応力集中、裏当金使用に
よる溶接能率低下などの問題が解消され、更に、開先加
工が不要なので、該開先加工工程で発生する部材の搬送
及び開先加工工数の低減に効果が発揮される。本発明に
かかる方法では部材板厚が16mm以下の場合に特に能
率向上が図れ、従来工法の図2の方式の比較し50%以
上の能率向上が図れた。
【0039】請求項7の発明に係る方法は、請求項1、
2、3、4、5又は6の記載の方法に係る肉盛溶接を行
う場合に、非溶融式裏当材と肉盛溶接金属とのなじみが
悪くて非溶融式裏当材側に所定の脚長を得るためには大
きめの肉盛溶接を行う必要がある場合に、非溶融式裏当
材と肉盛溶接金属とのなじみを良くし、肉盛溶接部の両
止端部の間でなだらかな肉盛溶接ビード形状を形成させ
る方法に関するものである。
【0040】請求項7の発明に係る方法は、請求項1、
2、3、4、5又は6の記載の方法に係る肉盛溶接を行
う場合に、即ち、溶接継手部材端面部又は該端面予定部
の裏面と該裏当材との間で肉盛溶接を行う場合に、図4
0、図41、図42、図43、図44、及び図45に示
すように、溶接熱源により溶融しない裏当材8の肉盛溶
接側に当接させ肉盛溶接金属9又は溶接継手部材2と同
類材の薄鋼板29をあてがい、該薄鋼板29を溶融しな
がら肉盛溶接9を行った後、図46の一例に示すように
開先加工線30に於いて図47に示すように該肉盛溶接
金属9を含めた溶接継手端面部材2の開先加工又は溶接
継手端面部材2のみの開先加工を行い、しかる後、継手
部材1及び2を対向させて、図48又は図49に示すよ
うに両部材を突き合わせ、開先の表側から該肉盛溶接金
属9の開先面を溶融しながら溶接継手部材同士1及び2
を溶接接合して、図50に示すように溶接継手端面部の
部材の板厚2Aを超える板厚方向ののど厚1A又は図3
1に示す板幅2Pを超える板幅方向ののど厚2Q又は板
厚・板幅方向の両のど厚を各々超えるのど厚を確保する
片側溶接方法である。
【0041】図39に示すように、事前に肉盛溶接金属
又は溶接継手部材と同類材の薄鋼板29を非溶融式裏当
材8の肉盛溶接側に密着させ、図40に示すように非溶
融式裏当材8部材2との間で肉盛溶接9を実施する方法
があるが、該薄鋼板29は肉盛溶接時に一部溶融される
と表面張力により溶融金属を薄鋼板側即ち非溶融式裏当
材の方向に引き寄せる効果があり、非溶融式裏当材8か
ら部材2に至るなだらかな肉盛溶接ビード形状9を得る
のに有効である。このなだらかな肉盛溶接ビード形状9
により、最小の肉盛量で最大の非溶融式裏当材側の肉盛
溶接脚長が得られる。このように、薄鋼板29は自身の
溶融時に肉盛金属の形状をなだらかに形成するのに役立
ち、該薄鋼板29の厚さは溶接時の溶け込み・経済性・
後工程の開先加工を考慮すると3mm以下が適当で合っ
た。また、薄鋼板29によりその厚さの分だけ肉盛溶着
速度が向上し、肉盛溶接の能率向上が図れるという利点
がある。請求項1、2、3、4、5又は6の記載本発明
にかかる方法に、請求項7の発明に係る方法を適用した
場合では、請求項1、2、3、4、5又は6で得られる
効果を一層高め、且つ請求項7の発明に係る方法で得ら
れる滑らかな脚長の増加と肉盛溶接の能率向上が図れる
という利点がある。
【0042】請求項8の発明にかかる方法は、請求項
1、2、3、4、5又は6の記載の方法に於いて、T型
溶接継手部材又は突合せ溶接継手部材継手に対し、図5
5に示すように、肉盛溶接部9の裏面に溶接熱源により
溶融しない裏当材8をあてがい、裏波溶接を行った上で
片側溶接を行う方法である。即ち、本発明にかかる方法
によれば、図55及び図56に示すように、裏面に肉盛
溶接9して片側溶接6をする場合に、裏面に該裏当金8
を設置し裏波溶接を可能にさせる点に新規性がある。本
発明によれば、図11に示すように、ルート部9Bが大
きくなると溶接時に溶け落ちが生じやすくなったり、部
材1の肉厚が部材2の肉厚と同等以下になるとルート部
のノッチにより応力集中が大きくなるのを防止できる。
また、本発明にかかる方法を用いれば、肉盛溶接9の量
を少なくし肉盛溶接の効率を向上させることも可能であ
る。なお、H形鋼フランジの溶接のように片側溶接する
ものでも外面に露出している継手の場合は外部からのア
クセスが可能である。
【0043】請求項9の発明にかかる方法は、請求項
1、2、3、4、5又は6の記載の方法に於いて、T型
溶接継手部材又は突合せ溶接継手部材継手に対し、図5
7に示すように、肉盛溶接部9の下部ルート部で、裏面
から肉盛溶接部9と継手の相手部材1とを溶接36した
後に、継手の片側溶接6を行う方法である。即ち、本発
明にかかる方法によれば、図57及び図58に示すよう
に、裏面に肉盛溶接9して片側溶接6をする場合に、裏
面にシーリング溶接36を行った上で完全溶け込み溶接
を可能にさせる点に新規性がある。本発明によれば、請
求項8と同様に、図11に示すように、ルート部9Bが
大きくなると溶接時に溶け落ちが生じやすくなったり、
部材1の肉厚が部材2の肉厚と同等以下になるとルート
部のノッチにより応力集中が大きくなるのを防止でき
る。また、本発明にかかる方法を用いれば、肉盛溶接9
の量を少なくし肉盛溶接の効率を向上させることも可能
である。請求項8は工場溶接で実施しやすく、請求項9
は現場に於いて実施するのに適している。なお、H形鋼
フランジの溶接のように片側溶接するものでも外面に露
出している継手の場合は外部からのアクセスが可能であ
り、シーリング溶接36は溶接継手部材1と肉盛溶接9
との組立溶接の延長として行えばよいので大きな工数の
増加にはならない。
【0044】請求項10の発明にかかる方法は、1、
2、3、4、5又は6の記載の方法に於いて、T型溶接
継手部材又は突合せ溶接継手部材継手に対し、図59に
示すように、肉盛溶接予定部にカットワイヤ又は鉄粉3
7を予め充填して、図3に示すように、溶接継手部材端
面部2Tの裏面と該裏当材8との間で肉盛溶接9を行う
方法である。本発明にかかる方法によれば、図59に示
すように、裏面に肉盛溶接9をする場合に、従来法図2
の裏当金付きの継手よりも高性能で溶接効率が高い肉盛
溶接法で肉盛溶接予定部に溶接補助材料であるカットワ
イヤ又は鉄粉37を予め充填して、肉盛溶接効率を増加
させる点に新規性がある。実験によれば50%以上の能
率向上が得られた。カットワイヤとしては、直径1mm
で長さ1mm程度のものが適当である。
【0045】請求項11の発明にかかる方法は、請求項
2、3、4、又は6の記載の方法に於いて、T型溶接継
手部材又は突合せ溶接継手部材継手に対し、図7又は
図8に示すように、開先部空間部の1部又は全部にカッ
トワイヤ又は鉄粉37を予め充填して、開先の表側から
該肉盛溶接金属開先面10を溶融しながら溶接継手部材
同士1と2を溶接接合する片側溶接方法である。本発明
にかかる方法によれば、従来法図2の裏当金付きの継手
よりも高性能で溶接効率が高い肉盛溶接法で、開先部空
間部の1部又は全部に溶接補助材料であるカットワイヤ
又は鉄粉37を予め充填して、継手溶接効率を更に高め
る点に新規性がある。実験によれば50%以上の能率向
上が得られた。カットワイヤとしては、直径1mmで長
さ1mm程度のものが適当である。
【0046】実施例1 図11及び図13は、請求項1の発明に係る一例であ
る。図11は、通常のT継手に対する応用の一例である
が、図13に建築鉄骨仕口部などにある四角パイプ柱と
ダイアフラムとの継手断面図の一例を示す。従来方法で
は、四角パイプ11の内周に裏当金を取り付けて継手溶
接するため、裏当金取付の為の四角パイプ縦継手の除去
が必要で、柱裏当金の製作・部材同士の位置合わせ・仮
付溶接に手間が掛かり、製作工数が大きく掛かるが、請
求項1の本発明に係る方法では、四角パイプ端面に予め
肉盛溶接9がなされているので角パイプ11をダイアフ
ラム12にあてがうだけで、四角パイプ11のダイアフ
ラム12に対する位置調整が容易で、四角パイプ11と
ダイアフラム12との間のギャップ調整や仮付溶接が不
要で、高能率で溶接姿勢に依らず直ちに継手溶接6が可
能となる。図13は四角パイプに対する応用であるが、
丸パイプについても同様に応用できる。
【0047】実施例2 図18及び図21に、請求項2及び4に係る発明の実施
例を示す。請求項2の発明に係る方法において、継手部
材の端部となる開先加工予定部15Aの裏面に予め所定
形状の肉盛溶接9は通常1乃至3パス施工するのである
が、図18では、肉盛溶接を1パスで余盛を得た後、開
先予定部の部材及び該肉盛溶接金属を共に相手部材面に
対し所定の角度で切断した一例である。この例のように
切断したあと、請求項1に係る発明と同様に、図4に示
すように肉盛溶接金属を含めて開先加工する。また、図
20及び図22は1パスよりも大きい2パスの肉盛溶接
を行った後、開先予定部の開先角度と同じ角度で切断し
切断面をそのまま開先面とするものである。このように
2パスの肉盛溶接を行えば1パスの場合より大きな余盛
りと開先が得られる。しかる後、T継手の例では、図1
1又は図12のように継手溶接を実施する。尚、図1
7、図18、図19、図20、図21及び図22におけ
る継手部材の端部となる開先加工予定部の寸法15Aは
通常0乃至500mmである。
【0048】実施例3 図23に、鉛直に立てられた四角パイプ又は丸パイプ柱
の突合せ継手の従来法による組み立ての一例の断面図を
示す。パイプ同士の組み立ての肌合わせ及び開先ギャッ
プの調整は難しいため、この例では1つの継手に裏当金
18とストッパー19を用い、上部部材16に仮付され
た裏当金18を下部部材17に印籠で挿入することによ
り肌合わせを行い、裏当金18の上下位置及び長短及び
ストッパー19の上下位置により開先ギャップを調整し
ている。この従来法は、裏当金とストッパーの製作と正
確な取付に組み立て工数が掛かる上に、パイプの製品寸
法精度のバラツキにより調整が難しい。
【0049】図24に、請求項1,2,3,4又は5の
発明に係る方法において、鉛直に立てられた四角パイプ
又は丸パイプ柱の突合せ継手の組立ての一例の断面図を
示す。図24から自明のように、両部材間に目違いが多
少有っても両部材を当接させるだけで部材の間隔及びギ
ャップは一定に保たれ、図25に示すように継手溶接に
より十分な溶け込みと部材板厚を超えるのど厚が容易に
確保される。この場合、部材板厚程度ののど厚を安定確
保するだけであれば、図25の肉盛溶接22を縮小又は
省略することができる。尚、本施工例は、建築だけでは
なく、パイプライン、土木構造物や水圧鉄管の外側又は
内側からの安定した溶接施工にも容易に適用でき、その
継手の強度と品質の確保及び製作工数の削減に有効であ
る。
【0050】実施例4 図60に、従来法に係る建築鉄骨仕口部ダイアフラム1
2と四角パイプ柱11との継手、及び該ダイアフラム1
2とH型鋼フランジ26との継手の一例を示す。継手は
いずれも裏当金3及び仮付溶接4が多用されている。
【0051】図61に、図60と同じ継手に対し、本発
明の請求項1、2、3,4、又は5に係る方法におい
て、継手溶接6を適用する場合を示す。図61におい
て、ダイアフラム12と角パイプ11との溶接では、請
求項1、2、3、4又は5に係る発明が適用され、裏当
金3及び仮付溶接4がなく角パイプ11の裏面の肉盛溶
接9により、深い溶け込みと有害なノッチが無い状況が
示されている。また、図60では、ダイアフラム12と
H型鋼フランジ26との継手において、大きな開口部で
あるスカラップ28、裏当金及び仮付溶接が示されてい
るが、図61では、ダイアフラム12とH型鋼フランジ
26との継手において、請求項1、2、3、4、又は5
の発明に係る方法により肉盛溶接9が施工され、継手溶
接6が施工される直前の様子が示され、点線では仕口部
の継手溶接6及びノンスカラップのウエブの溶接予定部
27Aを示している。この場合、図61では、裏当金と
その取付のための仮付溶接が無く、深い溶け込みと有害
なノッチが無い状態が示されており、スカラップ28も
無い様子が図示されている。従って、本発明に係る方法
で、鉄骨仕口部のH型鋼梁の接合部がノンスカラップ工
法で施工が容易にできる。図60の従来法の例では、ス
カラップを無くせば裏当金をウエブ27の両側に分けて
2本使うなど特殊な工夫が必要になり、本発明に係る実
施例では、図60の裏当金3やスカラップ28が不要
で、継手の安全性及び製作工数削減の面で優れている。
【0052】実施例5 本発明の請求項1から11の方法において、図11に示
す非溶融式裏当材8と継手端面部材2との間で施工する
溶接肉盛9に使用する溶接材料として、該継手端面部材
2よりも低強度の溶接材料を用いれば、図11に示す継
手溶接6の引張強度を確保し且つ塑性ひずみの分散によ
り応力集中の緩和をもたらし、溶接継手としての曲げ延
性や疲労強度の向上により一層役立った。
【0053】実施例6 本発明の請求項1から11の方法において、図11に示
すように開先の表側から該肉盛溶接金属開先面10を溶
融しながら溶接継手部材1と2を溶接する場合に、該溶
接継手のルート部即ち第一層目の溶接に該溶接継手部材
1及び2よりも低強度の溶接材料を用いれば、ルート部
における割れ発生感受性を緩和させることができ、該溶
接継手部材よりも高強度の溶接材料を用いればルート部
の強度を向上させ、いずれも溶接継手としての曲げ延性
や疲労強度の向上に更に有効であった。
【0054】実施例7 本発明の請求項1から6の方法において、図62に示す
ように溶接部材2と肉盛溶接9と共に開先加工する時、
又は、裏当材の形状を変えることにより、開先底部34
に1乃至5mmの曲率半径の曲面を形成するようにする
と、開先底部34が広がり図11に示す継手溶接6のル
ート部における深い溶け込みが更に容易に得られること
に有効であった。
【0055】
【発明の効果】本発明による効果は従来法に比べ次の通
りである。 1 応力集中や溶接欠陥を発生しやすく溶接能率を低下
させる裏当金及びその仮付溶接が不要である。 2 のど厚が部材板厚よりも大きくとれ、裏当金使用に
伴う有害なノッチや応力集中が実効的に無くなるため、
曲げ延性・疲労強度や耐震強度面でより安全な継手とな
る。 3 裏当金が無く、開先深さが大きくて、深い溶け込み
が得られるのでルート部の欠陥が発生しがたく、開先断
面積もおおよそ20%縮小されるので溶接工数が大幅に
低減される。 4 端部に肉盛溶接した部材2を部材1にあてがうだけ
で、その取付の位置合わせが容易で、且つ寸法精度が確
保しやすい。 5 肉盛溶接するための銅などの裏当材は非溶融式で非
消耗式であり、資源の浪費が少ない。 6 溶接肉盛を行ってから部材と共に開先加工し継手溶
接を実施する本発明に係る施工法では、裏当金取付に伴
う諸作業がなくなり、開先加工から継手溶接までの工程
で一貫した連続作業が可能になり、継手溶接能率面の能
率向上と製作工程手順面の効率化により鉄骨製作工数の
削減を大幅に行うことが出来る。 7 肉盛溶接を施工してから開先加工を行うので、部材
及び肉盛溶接部を含む開先面が精度良く得られ、継手溶
接の欠陥防止に有効である。 8 鋼板裏面及び側面を含めて肉盛溶接し、肉盛溶接部
を含めて開先加工した場合、エンドタブが不要になり、
同時に部材の板厚を超える板厚方向ののど厚又は部材板
幅を超える板幅方向ののど厚又は板厚・板幅の両のど厚
を各々超えるのど厚が確保され、引張強度・曲げ強度・
疲労強度の向上が得られる。 9 非溶融式裏当材に当接させ薄鋼板をあてがい非溶融
式裏当材・薄鋼板とフランジ等の部材との間で溶接肉盛
を施工すると、よりなだらかな肉盛溶接ビードが得られ
溶接肉盛の溶着量の低減などの効率化が図れる。 10 従来法では、裏当金を角パイプの内面に取り付け
るのに角パイプ内面の縦シーム溶接ビードを除去する必
要があったが、本発明に係る肉盛溶接では角パイプ等の
縦シーム溶接ビードの除去が不要で工数の削減に有効で
ある。 11 耐震強度の高いノンスカラップ工法にも容易に適
用できる。 12 カットワイヤ又は鉄粉を用いた場合、溶着効率が
50%以上向上し、肉盛溶接及び継手溶接の生産性が向
上した。 13 部材端面切断のまま裏当材を使用し端面及び裏面
に肉盛溶接した場合、開先加工なしで部材板厚よりも大
きな実効のど厚が得られ、部材板厚16mm以下では6
0%以上の生産効率が得られた。 14 請求項7から11までのいくつかを併用した場
合、従来法に比較し50%以上の生産効率が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】片側溶接実施前の従来の継手形状の断面図の一
【図2】片側溶接実施後の従来の継手の断面図の一例
【図3】部材端部に水冷又は非水冷の銅製型枠をあてが
い肉盛溶接した断面図の一例
【図4】部材端部に肉盛溶接し部材端部及び肉盛溶接部
を共に開先加工した状態の断面図で、部材2は図3と上
下反対に表示。
【図5】T継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工し相
手部材にあてがった状態の断面図
【図6】突合せ継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工
し相手部材にあてがった状態の断面図
【図7】T継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工し相
手部材にあてがいカットワイヤ又は鉄粉を開先内に充填
した状態の断面図
【図8】突合せ継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工
し相手部材にあてがいカットワイヤ又は鉄粉を開先内に
充填した状態の断面図
【図9】部材端部端面に突起付き非溶融式裏当材をあて
がい、肉盛溶接を実施した状況の断面図
【図10】部材端部端面に突起付き非溶融式裏当材をあ
てがい、肉盛溶接を実施し該裏当材をはずし開先切断線
を示す状況の断面図
【図11】部材端部に肉盛溶接と開先加工しT継手の相
手部材にあてがい溶接した状態の断面図
【図12】部材端部に肉盛溶接と開先加工し突合せ継手
の相手部材にあてがい溶接した状態の断面図
【図13】四角パイプ柱をダイアフラムに溶接した本発
明に係る鉄骨溶接事例の断面図。
【図14】T継手のダイアフラムなどの部材表面の継手
予定部裏面に予め肉盛溶接をして、T継手両部材を片側
から裏波溶接する片側溶接方法を示す断面図。
【図15】T継手のダイアフラムなどの部材表面の継手
予定部裏面及び開先加工済みの継手端面部裏面の両方に
肉盛溶接して、T継手両部材を片側から裏波溶接する片
側溶接方法を示す断面図。
【図16】部材開先予定部に1パス肉盛溶接して、部材
及び肉盛溶接部を共に切断する断面図。
【図17】部材開先予定部に非溶融式裏当材をあてが
い、1パス肉盛溶接して、部材及び肉盛溶接部を共に切
断加工する断面図。
【図18】部材開先予定部に非溶融式裏当材をあてが
い、1パス肉盛溶接して、部材及び肉盛溶接部を共に斜
めに開先加工する断面図。
【図19】部材開先予定部に非溶融式裏当材をあてが
い、2パス肉盛溶接して、部材及び肉盛溶接部を共に切
断加工する断面図。
【図20】部材開先予定部に非溶融式裏当材をあてが
い、2パス肉盛溶接して、部材及び肉盛溶接部を共に斜
めに開先加工する断面図。
【図21】部材開先予定部に非溶融式突起付き裏当材の
突起部をあてがい、1パス肉盛溶接して、部材に斜めに
開先加工する断面図。
【図22】部材開先予定部に非溶融式突起付き裏当材の
突起部をあてがい、2パス肉盛溶接して、部材に斜めに
開先加工する断面図。
【図23】鉛直に立てられた四角パイプ又は丸パイプ柱
の突合せ継手の従来法による組み立ての一例の断面図
【図24】鉛直に立てられた四角パイプ又は丸パイプ柱
の突合せ継手の本発明に係る組み立ての一例の断面図
【図25】鉛直に立てられた四角パイプ又は丸パイプ柱
の突合せ継手の本発明に係る溶接施工の一例の断面図
【図26】柱梁継手の従来法によるエンドタブ取付施工
【図27】有限幅の鋼板溶接継手部材端面部の裏面及び
側面と非溶融式裏当金との間で肉盛溶接する施工図
【図28】有限幅の鋼板溶接継手部材端面部の裏面及び
側面と2個の非溶融式裏当金8との間で肉盛溶接する施
工図
【図29】有限幅の鋼板溶接継手部材端面部の裏面及び
側面と非溶融式裏当金との間で肉盛溶接を施工した後の
外観図
【図30】有限幅のH型鋼フランジ溶接継手部材端面部
の裏面及び側面と非溶融式裏当金との間で肉盛溶接を施
工した後の外観図
【図31】有限幅の鋼板溶接継手部材端面部の裏面及び
側面と非溶融式裏当金との間で肉盛溶接を施工した後、
開先加工を実施した場合の外観図
【図32】有限幅のH型鋼フランジ溶接継手部材端面部
の裏面及び側面と非溶融式裏当金との間で肉盛溶接を施
工した後、開先加工を実施した場合の外観図
【図33】有限幅の鋼板溶接継手予定部への肉盛溶接状
【図34】非溶融式裏当材を使用した有限幅の鋼板溶接
継手予定部への肉盛溶接状況
【図35】非溶融式裏当材を使用した有限幅の鋼板溶接
継手裏面及び側面予定部への肉盛溶接状況の立体図
【図36】非溶融式裏当材を使用した有限幅の鋼板溶接
継手裏面及び側面予定部への肉盛溶接状況の上面図
【図37】非溶融式裏当材を使用した有限幅のH形鋼鋼
板溶接継手ウエブフランジへの裏面及び側面予定部への
肉盛溶接状況の立体図
【図38】非溶融式裏当材を使用した有限幅のH形鋼鋼
板溶接継手ウエブフランジへの裏面及び側面予定部への
肉盛溶接状況の立体図(裏面に裏当材を2本した場合)
【図39】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共にセットした状況
【図40】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共に肉盛溶接した状況
【図41】非溶融式の突起付き裏当材の肉盛溶接側に薄
鋼板をあてがって部材2と共に肉盛溶接した状況の断面
【図42】部材開先予定部に非溶融式裏当材及び薄鋼板
をあてがい、1パス肉盛溶接して、部材及び肉盛溶接部
を共に開先加工する断面図。
【図43】部材開先予定部に非溶融式の突起付き裏当材
及び薄鋼板をあてがい、1パス肉盛溶接して、部材に開
先加工する断面図。
【図44】非溶融式裏当材及び薄鋼板を、開先加工をし
た継手部材端面にあてがい肉盛溶接したことを示す断面
【図45】非溶融式裏当材及び薄鋼板を、継手部材の端
面部にあてがい、端面及び端面部裏面へ肉盛溶接する状
況の断面図。
【図46】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共に肉盛溶接した後、非溶融式裏当材
を除去し、肉盛溶接部を含めた開先形成のための加工位
置を示した断面図
【図47】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共に肉盛溶接した後、非溶融式裏当材
を除去し、肉盛溶接部を含めて開先加工した断面図
【図48】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共に肉盛溶接した後、非溶融式裏当材
を除去し肉盛溶接部を含めて開先加工した後、T継手相
手部材と突き合わせた状態の断面図
【図49】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共に肉盛溶接した後、非溶融式裏当材
を除去し肉盛溶接部を含めて開先加工した後、突合せ継
手相手部材と突き合わせた状態の断面図
【図50】非溶融式の裏当材の肉盛溶接側に薄鋼板をあ
てがって部材2と共に肉盛溶接し、肉盛溶接部を含めて
開先加工し、継手溶接した断面図
【図51】非溶融式裏当材を開先加工をした継手部材端
面にあてがい肉盛溶接したことを示す断面図
【図52】非溶融式裏当材を、継手部材の端面部にあて
がい、端面及び端面部裏面へ肉盛溶接待ちの状況の断面
図。
【図53】非溶融式裏当材を、継手部材の端面部にあて
がい、端面及び端面部裏面へ肉盛溶接した状況の断面
図。
【図54】非溶融式裏当材を、継手部材の端面部にあて
がい、端面及び端面部裏面へ肉盛溶接し相手部材へ突き
合わせ継手溶接待ちの状況の断面図。
【図55】T継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工を
施し、肉盛溶接部裏面に非溶融式裏当材をセットして、
相手部材にあてがった状態の断面図
【図56】T継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工を
施し、肉盛溶接部裏面に非溶融式裏当材をセットして、
相手部材にあてがった後、継手溶接を実施した状態の断
面図
【図57】T継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工を
施し、肉盛溶接部裏面に相手部材とシーリング溶接を実
施した状態の断面図
【図58】T継手で、部材端部に肉盛溶接と開先加工を
施し、肉盛溶接部裏面に相手部材とシーリング溶接を実
施した後、継手溶接を実施した状態の断面図
【図59】部材端部に水冷又は非水冷の非溶融式裏当材
をあてがい、該裏当材と部材端部との間にカットワイヤ
又は鉄粉を充填し肉盛溶接待ちしている状況の断面図
【図60】従来工法の建築仕口部の柱・ダイアフラム及
びダイアフラム・梁の溶接部の例
【図61】本発明に係る建築仕口部の柱・ダイアフラム
及びダイアフラム・梁の溶接部の例
【図62】部材端部に肉盛溶接し部材端部及び肉盛溶接
部を共に、曲面で開先加工した状態の断面図。
【符号の説明】 1 溶接継手部材、例えば、建築鉄骨の柱や仕口部ダイ
アフラムなど 1A 図11における継手溶接6ののど厚 1C 開先深さ 2 開先加工予定の、又は、行った溶接部材 2A 部材2の板厚t、及び、図2における継手溶接の
のど厚 2B 上向きの荷重又は曲げモーメント 2C 開先加工予定位置 2G 溶接継手部材2の裏面位置における溶接開先ギャ
ップ 2P 継手部材幅 2Q 部材側面肉盛した場合の肉盛幅又は幅方向ののど
厚。 2T T型溶接継手部材2の開先加工前の端面 2U 溶接継手部材端面部の裏面 2W H型鋼部材のウエブ部分 3 裏当金 4 裏当金の仮付溶接 5 開先 6 継手溶接 7 T継手の端面部材側のノッチによる応力集中部 7A T継手の部材表面側のノッチによる応力集中部 8 溶接熱源によって溶融しない裏当材、即ち、非溶融
式裏当材。例えば、水冷又は非水冷の銅裏当て金、又
は、炭素板など 8F 溶接熱源によって溶融しない裏当材の肉盛溶接当
たり面 8P 溶接熱源により溶融しない裏当材の突起部。本体
裏当材との分割も可能である。 8W 有限幅部材の側面に宛われた溶接熱源によって溶
融しない裏当材で溶接施工時に溶接ビード形状を成形す
るものである。 8X 有限幅部材の裏面に宛われた溶接熱源によって溶
融しない裏当材で溶接施工時に溶接ビード形状を成形す
るものである。 9 肉盛溶接 9B ルート部 10 継手端面部材と肉盛溶接部とを共に開先加工した
開先加工面、又は、継手端面部材のみに開先加工した開
先加工面 11 四角パイプ柱 12 ダイアフラム 13 T継手の部材表面側に施工した肉盛溶接 13A T継手の端面部材側表面に施工した肉盛溶接 14 裏波溶接 15 部材開先予定部に肉盛溶接して、部材及び肉盛溶
接部を共に切断する面の位置 15A 継手部材の端部となる開先加工予定部 15B 部材開先予定部に肉盛溶接して、部材切断する
面の位置 16 四角パイプ柱又は丸パイプ柱の上部部材 17 四角パイプ柱又は丸パイプ柱の下部部材 18 従来法の上部裏当金 19 従来法の下部ストッパー 20 上部部材に取り付けられた上部裏当金の仮付溶接 21 下部部材に取り付けられた下部ストッパー19の
仮付溶接 22 上部部材に開先加工前に施工された溶接肉盛 23 下部部材に開先加工前に施工された溶接肉盛 24 横向き継手溶接 25 エンドタブ 25A 部材とエンドタブの隙間により発生するノッチ 26 H型鋼フランジ 27 H型鋼ウエブ 27A ノンスカラップ溶接予定部 28 スカラップ 28A 柱・ウエブの隅肉溶接 29 薄鋼板 30 開先加工線 31 非溶融式裏当材の一部に形成された垂直面 32 部材に対して形成された開先 33 肉盛溶接金属の非溶融式裏当材当接面の一部 34 開先底部 35 部材端面部裏面と肉盛金属で囲まれた空間 36 建築の組立溶接を兼ねた、継手相手部材と肉盛溶
接金属部との間で施工する裏面からのシーリング溶接 37 カットワイヤ又は鉄粉 38 フランジ幅 39 フランジ側面溶接による幅方向ののど厚
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/00 E04B 1/24

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄骨構造物において、T型溶接継手部材
    の端面又は突合せ溶接継手部材の片方又は両端面に溶接
    熱源により溶融しない裏当材をあてがい、溶接継手部材
    端面部の裏面と該裏当材との間で肉盛溶接を行った後、
    該肉盛溶接金属を含めて溶接継手端面部材の開先加工を
    行い、しかる後、継手部材を対向させて、肉盛溶接を含
    めて形成させた開先部空間部の1部又は全部にカットワ
    イヤ又は鉄粉を充填し、開先の表側から該肉盛溶接金属
    開先面を溶融しながら溶接継手部材同士を溶接接合し、
    溶接積層時パス間温度の低下をもたらすことを特徴とす
    溶接継手端面部の部材の板厚を超える板厚方向ののど
    厚を確保する片側溶接方法。
  2. 【請求項2】 鉄骨構造物において、T型溶接継手部材
    の端面又は突合せ溶接継手部材の端部となる開先加工予
    定部裏面又は側面又はその両方の肉盛溶接施工箇所に、
    溶接熱源により溶融しない裏当材を用いて該裏当材をガ
    イドとしてあてがい肉盛溶接量を減少させて、肉盛溶接
    を行った後、開先予定部の部材及び該肉盛溶接金属を共
    に切断して開先加工を行い、しかる後、継手部材を対向
    させて開先の表側から該肉盛溶接金属開先面を溶融しな
    がら溶接継手部材同士を溶接接合し、溶接継手端面部の
    部材の板厚を超える板厚方向ののど厚又は板幅を超える
    板幅方向ののど厚又は板厚・板幅方向の両のど厚を各々
    超えるのど厚を確保する片側溶接方法。
  3. 【請求項3】 鉄骨構造物において、T型溶接継手部材
    の端面又は突合せ溶接継手部材の片方又は両端面に、溶
    接熱源により溶融せず且つ長手方向に沿って突起を有す
    る裏当材の該裏当材突起端部をガイドとしてあてがい、
    溶接継手部材端面部の裏面と該裏当材との間で肉盛溶接
    を行った後、溶接継手端面部材の開先加工を行い、少な
    くとも一方の継手部材板厚を越えるの開先深さを得てし
    かる後、継手部材を対向させて、開先の表側から該肉盛
    溶接金属部を溶融しながら溶接継手部材同士を溶接接合
    し、溶接継手端面部の継手部材の板厚を超える板厚方向
    ののど厚を確保する片側溶接方法。
  4. 【請求項4】 鉄骨構造物において、T型溶接継手部材
    の端面又は突合せ溶接継手部材の端部となる開先加工予
    定部の裏面に、溶接熱源により溶融せず且つ長手方向に
    沿って突起を有する裏当材の該裏当材突起端部をガイド
    としてあてがい、肉盛溶接を行った後、開先予定部の継
    手部材を切断して開先加工を行い、少なくとも一方の継
    手部材板厚を越える開先深さを得て後、継手部材を対向
    させて開先の表側から該肉盛溶接金属部及び部材開先面
    を溶融しながら溶接継手部材同士を溶接接合し、溶接継
    手端面部の部材の板厚を超える板厚方向ののど厚又は板
    幅を超える板幅方向ののど厚又は板厚・板幅方向の両の
    ど厚を各々超えるのど厚を確保する片側溶接方法。
  5. 【請求項5】 鉄骨構造物において、開先加工をしたT
    型溶接継手部材の端面又は突合せ継手部材の片方又は両
    端面に溶接熱源により溶融しない裏当材をあてがい、溶
    接継手部材端面部の裏面又は側面を含む裏面と該裏当材
    との間で肉盛溶接を行い、該肉盛溶接金属の該裏当材当
    接面の一部を本体継手開先の延長とし、しかる後、継手
    部材を対向させて、肉盛溶接を含めて形成させた開先部
    空間部の1部又は全部にカットワイヤ又は鉄粉を充填
    し、開先の表側から該肉盛溶接金属開先面を溶融しなが
    ら溶接継手部材同士を溶接接合し、溶接積層時パス間温
    度の低下をもたらすことを特徴とする溶接継手端面部の
    部材の板厚を超える板厚方向のど厚又は板幅を超える板
    幅方向ののど厚又は板厚・板幅方向の両のど厚を各々超
    えるのど厚を確保する片側溶接方法。
  6. 【請求項6】鉄骨構造物において、T型溶接継手部材の
    端面部又は突合せ溶接継手部材の片方又は両端面部に、
    溶接熱源により溶融しない裏当材をあてがい、溶接継手
    部材端面部の端面及び裏面と該裏当材との間で肉盛溶接
    を行い、少なくとも一方の継手部材板厚を越える深さの
    開先を形成した後、継手部材を対向させて、開先の表側
    から該肉盛溶接金属開先面を溶融しながら溶接継手部材
    同士を溶接接合し、溶接継手端面部の部材の板厚を超え
    る板厚方向ののど厚を確保する片側溶接方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6の記載
    の方法において、溶接継手部材端面部又は該端面予定部
    の裏面と該裏当材との間で肉盛溶接を行う場合に、溶接
    熱源により溶融しない裏当材の肉盛溶接側に当接させ肉
    盛溶接金属又は溶接継手部材と同類材の薄鋼板をあてが
    い、該薄鋼板を溶融しながら肉盛溶接を行った後、該肉
    盛溶接金属を含めて溶接継手端面部材の開先加工を行
    い、しかる後、継手部材を対向させて、開先の表側から
    該肉盛溶接金属開先面を溶融しながら溶接継手部材同士
    を溶接接合して、溶接継手端面部の部材の板厚を超える
    板厚方向ののど厚又は板幅を超える板幅方向ののど厚又
    は板厚・板幅方向の両のど厚を各々超えるのど厚を確保
    する片側溶接方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5又は6の記載
    の方法に於いて、肉盛溶接部裏面に溶接熱源により溶融
    しない裏当材をあてがい、裏波溶接を行った上で継手の
    片側溶接を行う方法。
  9. 【請求項9】請求項1、2、3、4、5又は6の記載の
    方法に於いて、肉盛溶接部下部ルート部で裏面から肉盛
    部溶接部と継手相手部材とを溶接した後に、継手の片側
    溶接を行う方法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5又は6の記
    載の方法に於いて、肉盛溶接予定部にカットワイヤ又は
    鉄粉を予め充填して、溶接継手部材端面部の裏面と該裏
    当材との間で肉盛溶接を行う方法。
  11. 【請求項11】 請求項2、3、4、又は6の記載の方
    法に於いて、開先空間部の1部又は全部にカットワイヤ
    又は鉄粉を予め充填して、開先の表側から該肉盛溶接金
    属開先面を溶融しながら溶接継手部材同士を溶接接合す
    る片側溶接方法。
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