JP3424313B2 - インクタンクの製造方法 - Google Patents

インクタンクの製造方法

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JP3424313B2 JP5755494A JP5755494A JP3424313B2 JP 3424313 B2 JP3424313 B2 JP 3424313B2 JP 5755494 A JP5755494 A JP 5755494A JP 5755494 A JP5755494 A JP 5755494A JP 3424313 B2 JP3424313 B2 JP 3424313B2
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宗秀 金谷
久 宮澤
聖二 望月
尚志 小池
幸治 須田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はノズルよりインク滴を吐
出して記録紙上に文字などの記録を行うインクジェット
記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ノズルよりインク滴を吐出させて記録紙
上に、記録情報に応じた文字などの記録書き込みを行う
インクジェット記録装置では、微細なノズルからインク
を吐出してインク滴を形成する。インク滴の形成は記録
ヘッド内部に配設された圧力室を電気歪振動子、電気熱
変換素子等により急激に容積変化させ、吐出圧力を発生
することで行われる。そのためインク供給経路内に空気
が混入した場合には、吐出圧力が良好に発生せず、記録
書き込みが不能となる。
【0003】さらに、インクタンク内のインクが消費さ
れ尽くして供給が断たれると、記録書き込みが不能にな
る。そして、ノズルに至るインク供給経路内に空気が入
り込み、インクを新たに補給しても記録書き込みが可能
になるまでに、多大の時間とインクがかかってしまうと
いった問題が生じる。
【0004】もとより、このような問題に対処するため
に、インクタンク内にレベル検出器を配設し、またはイ
ンク供給経路の一部にレベル検出器を配設しインクの供
給が断たれる前にインクエンドを検出する構成が用いら
れている。それによりインクエンド時にインク供給経路
内に空気が大量に混入することを防止している。しかし
ながらインクタンクの交換時等のインクタンクと記録ヘ
ッドとの抜き差し時にインク供給経路内に空気が混入す
ることを完全に防止することはできない。
【0005】そこで従来よりインク供給経路内に混入し
た空気の影響を、インクタンクと記録ヘッドとの抜き差
し時に初期的に抑えるための提案として、特公平3−6
1592号公報に記載されたものなどが知られている。
ガスバリア性の極めて高い密封容器内に、脱気したイン
クを収容したインクタンクを減圧状態で収容したもので
ある。この従来例では、密封容器を開封直後はインクタ
ンク内のインクは脱気インクとなっており、この脱気イ
ンクによりインク供給経路内に混入した空気の影響を初
期的に除去しようとするものである。
【0006】しかし、この密封容器構造は、インクタン
クの姿勢差、位置、接続性等で、自由度がなく、複雑で
ある。またキャリッジの動作に伴って、インクが激しく
揺動し、記録ヘッドの吐出特性に不具合を生ずる。
【0007】これを解決するために、多孔質部材を収納
したインクタンクが提案されている。このインクタンク
には、インクを充填するための注入孔や、インクの使用
による減少に対応して空気が流入するように、大気と連
通するための通気孔を有する。
【0008】また前記のように脱気インクにするため、
減圧状態でインクを充填し、さらに、インクタンクを減
圧状態で容器内に包装させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来例では、イ
ンクの表面張力が比較的高くて、泡立ちにくい場合はよ
いが、より減圧度が大きく、脱気度を保ち、信頼性を高
めようとした場合、あるいはインクの表面張力が低く、
泡立ちやすい場合には、インクが注入孔から漏れやすく
なる。また、落としたりといった衝撃を加えた後に減圧
包装すると、僅かな減圧でインクが漏れるので作業性が
悪い。さらに温度変化があるとインク中の気体の膨張
で、インクが漏れる。インクの漏れを防止するためにイ
ンクの充填量を減らして充填効率を落とすとインクタン
クが大きくなるといった問題がある。
【0010】また、インクタンク中に空間を設けたり、
蓋の形状を工夫して漏れの対策をしても、高温環境下で
はインク中の気体が膨張して漏れてしまい、これを完全
に防ぐことは難しい上に、インクタンクが大きくなると
いった問題がある。
【0011】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るものでその目的とするところは、信頼性が高く小型の
インクジェット記録装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のインクタンクの
製造方法は、インクを収容するインク溜りと、前記イン
ク溜りと連通する複数の連通孔と、前記インク溜りのイ
ンクをインクジェット記録装置に供給するための連通部
とを備え、前記連通部は前記インクジェット記録装置に
装着される前の状態において封止されているインクタン
クの製造方法において、 A.前記連通孔を通じて前記インク溜りを減圧する工
程、 B.インクを前記連通孔から前記インク溜りに供給し充
填する工程、 C.インク充填後大気開放されたインク溜りを、前記連
通孔のうち少なくとも1つの連通孔を開放状態として再
度減圧する工程、 D.前記減圧した後、前記開放状態の連通孔を密封する
工程、 E.前記インクタンクを通気性のない容器内に入れ、該
容器内を減圧し密封包装する工程、とからなることを特
徴とする。
【0013】
【0014】
【0015】また前記CとDの工程が、0.02〜0.
05MPaのほぼ同圧下で行われることを特徴とする。
【0016】前記Cの工程における開放状態の連通孔
に、大気圧下で非密封に封止部材により仮止めする工程
を備えたことを特徴とする。
【0017】
【作用】本発明の上記の構成によれば、インクタンクを
減圧状態で密封することから、インクが再脱気されると
ともに、減圧包装時や輸送時や保存状態でのインクの漏
れがなくなる。またインクタンクと密封容器間に空間を
設けて減圧包装したので、インクタンク内部よりインク
の分解で発生したガスも、ケ−スを通して徐々に減圧包
装内に吸収され、それによりインクタンクの使用初期に
大変信頼性の高い状態に脱気される。これによりインク
タンクの交換時にインク供給路内に混入してしまう空気
による不具合を解消する。
【0018】また減圧されたインクタンクを包装前に目
視確認できることから、インク漏れ、ケ−スの変形等の
工程検査が容易になる。
【0019】さらに、非通気性の封止部材で、インクタ
ンク7の上面を覆うことにより、実使用時のインク蒸発
を最小限に抑えられる。
【0020】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図面にもとづいて
説明する。
【0021】図1は本発明のインクジェット記録装置の
一実施例を説明するための主要断面図であり、図2は本
発明のインクジェット記録装置に用いるインクタンクの
主要部の分解斜視図である。図3は主要部の斜視図を示
したものである。また図4は、インクエンド検出回路を
説明するためのブロック図である。記録紙を搬送するた
めに矢印A方向に回転する記録紙搬送手段であるプラテ
ン1に沿って、ガイド軸2a上を矢印B方向に往復運動
するキャリッジ2には、プラテン1に近接して記録ヘッ
ド3が一体的に設けられている。記録ヘッド3の上方に
は、インク溜り6があり内部にポリウレタンフォーム等
の多孔質部材よりなるフォーム6aを収容したインクタ
ンク7が設けられている。本実施例においてインクタン
ク7は6Y,6M,6Cの3つの部屋に分割されて、イ
ンク溜り6は3つ設けられている。この部屋各々にはイ
エロー、シアン、マゼンタのカラーインクが充填されて
いる。ただしインクの種類と数が設計上変わればインク
タンク7内の部屋数は必要数に分割されることになる。
インクタンク7には、その蓋8に外部と連通する連通孔
9が設けられ、またその底面にはフォーム6aとの密着
をはかる台状の突起10が形成されている。この突起1
0の中心部から下方に向けて記録ヘッド3に連通する連
通部がある。連通部はフォーム6a内のインクを取り出
し保持するインク室11と、インク室11の端部にゴム
等の弾性部材よりなる盲栓12により形成されている。
そして、この盲栓12にフィルタ室4を介して、記録ヘ
ッド3と連通する連通部材である中空針5を挿通するこ
とにより、インクタンク7内に含浸したインクを記録ヘ
ッド3に供給するように構成されている。なお、インク
室11は盲栓12及びフォーム6aにより密閉室の状態
になっている。また、連通孔9の少なくとも1つは開封
可能な非通気性の封止部材21で使用直前までは封止さ
れていて、使用直前に開封して通気孔9aとなる。但
し、本実施例では連通孔9は複数個設けてあるが、各部
屋1つだけでも所望の効果を得るのに何等問題はない。
開封するためには図2のように充分に長い封止部材21
を用い、その端部を引っ張り剥して開封する方法を用い
ると容易に開封できる。さらに、その端部を容器25内
に接合すれば容器25から取り出すときに必ず開封さ
れ、使用者の開封忘れなどの問題もなく確実に開封でき
る。また図5のようにインクタンクを取り付けるための
レバー30に突起31を設け、インクタンクを取り付け
るときにレバー30をC方向に倒し、この突起31で突
き破る方法を用いても容易に開封できる。但し、封止部
材21を開封できる構成であれば、特に専用の器具を用
いて開封しなくてもよい。開封しない他の連通孔9にも
非通気性の封止部材22を設けてある。
【0022】ここで封止部材21を開封して通気孔9a
を開ける理由を説明する。全ての封止部材21,22は
非通気性のため、通常のプリンタ使用のインク消費スピ
ードに対して、インクタンク内に補充される空気量が少
ないので、プリンタを使用するにつれて徐々にインクタ
ンク内が負圧になる。この負圧が一定値を越えると、つ
まりヘッドのノズルに形成されるインクのメニスカスの
毛細管力を越える負圧がインクタンク内に発生すると、
メニスカスは破壊しインク滴の吐出不良となってしま
う。従って、インクの消費に対応して空気を補充するた
めの通気孔9aが必要となる。
【0023】また万一、記録ヘッド3に吐出不良が生じ
た場合には、キャップ13、配管14を介して吸引ポン
プ15を動作することで、記録ヘッド3よりインクを吸
引する。それにより、吐出不良の回復動作が行われる。
吸引されたインクは配管16を通って廃インク溜17に
送られる。本発明においては、廃インク溜17とインク
タンク7とは別体であって廃インク溜17は記録装置本
体内に配設され、通常は交換されない構成になってい
る。
【0024】ところで図中符号S1,S2は、インクエ
ンド検出用の電極であって、その一方の電極S1はフォ
ーム6aと接触するようにインクタンク7の内壁面に設
けられ、他方の電極S2は、インクと接触する中空針5
が電極を兼ねている。電極S1とインクタンク7の間に
は、インクが漏れないようにゴム製のOリング24がか
ませてある。そして電極S1には、図4に示したように
基準電圧Vccが印可される。また他方の電極S2を兼
ねる中空針5は接地されている。さらに基準電圧Vcc
が印可されている側の電極S1には、微分回路19と比
較回路20とからなる抵抗変化量検出回路が接続してい
る。そして抵抗変化量がある一定レベルを越えたとき
に、出力信号を発生するように構成されている。
【0025】また記録ヘッド3に印可されるインク滴吐
出用の記録指令信号は、可とう性の信号伝達手段である
FPC(Flexible Print Circui
t)18により伝達される。そしてFPC18上にはイ
ンクエンド検出用の信号線が一体的に配線され、電極S
1,S2に接続されている。なお、信号伝達手段として
FPC18の換わりに、FFC(Flexible F
lat Cable)等を用いても良いことはいうまで
もない。さらに1枚のFPCではなく、2枚重ねの構成
であっても良いことはいうまでもない。
【0026】次に本実施例に用いたインクタンクの製造
方法について図6のフロ−チャ−トにより説明する。
【0027】インクタンク組立工程では、前述図2の構
成からなるインクタンク7を封止部材21,22を残し
て組み立てる。
【0028】インク溜まり減圧工程では、インクタンク
7のインク溜まり6を連通孔9を通して、0.04MP
a以下に減圧する。この時の減圧度は、充填インク量及
び充填時間を考慮すると0.02MPa以下が望まし
い。
【0029】その後、インク充填工程で連通孔9よりイ
ンクを充填する。この時インクは減圧され、脱気インク
となる。この減圧状態で多孔質部材にインクを充填する
方法については特開昭60−245560号公報におい
て開示され説明されているように、インク充填効果は非
常に高い方法である。
【0030】次に大気圧下で連通孔9のうち9a以外を
封止部材22で封をする。その後、減圧密封工程でイン
クタンク7を0.02〜0.05MPaの減圧下にし、
通気孔9aを封止部材21で封をする。この減圧下であ
れば、インクは十分再脱気され、通気孔9aからのイン
ク漏れはない。減圧度を0.02MPa以下にすると、
減圧時のインク漏れ、あるいは前述の密封後のわずかな
衝撃、姿勢差、環境温度変化等でインク漏れが起きる。
【0031】封止後大気開放する。この工程は図7のよ
うに、封止部材21の21aを大気下で仮止めし、0.
02〜0.05MPaの減圧下で21b本止めしてもよ
く、この方が装置上容易である。
【0032】このようにして密封されたインクタンク7
のインクは、充填後の大気開放及び再減圧で、多孔質部
材のフォ−ム6aに均一に充填されるとともに、再脱気
される。
【0033】封止方法には溶着もしくは接着材による方
法などを用いることができるが、インクの漏れを防ぐた
めには溶着の方が望ましい。接着剤を用いる場合、漏れ
を防ぐための接着力と剥離性、インクに犯されないとい
った特性を満足する必要がある。
【0034】封止部材21,22は、非通気性の部材
で、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはアルミラ
ミネ−トフィルムを主体とし、溶着あるいは接着しやす
いようポリスチレン樹脂やポリオレフィン系樹脂等から
なる積層フィルムである。
【0035】次に減圧包装工程では、図8のようにイン
クタンク7とスペーサ28を容器25に入れ0.02〜
0.05MPaに減圧した後、完全にシ−ル部26をシ
ールし密封包装する。その後大気開放する。
【0036】インクタンク7と容器25の間には空間2
9がある。この空間29によって、インクタンク7の輸
送中や保存中にインクが分解して窒素や酸素などのガス
が発生してもケ−ス壁を通して徐々に脱気される。スペ
ーサ28に段ボールやウレタンフォームのように空気を
透過し、かつその内部に空間が存在する部材を用いれ
ば、もし容器25が密着しても部材内の空間が空間29
の役割を果たす。またインクタンク7を保護する緩衝材
としての役割も果たす。減圧包装時の減圧度は前記封止
部材21の封止時減圧度とほぼ同じ0.02〜0.05
MPaである。これによりインクタンク内と密封容器内
の圧力バランスが保たれ、インクタンク7に溶着あるい
は接着した封止部材21、22の接合強度が小さくて
も、剥がれることはない。
【0037】図9に減圧密封包装された密封容器を示
す。容器25は、ガスバリア性の極めて高いアルミラミ
ネ−トフィルムで作られた包装袋である。
【0038】さらに梱包工程で梱包箱27(不図示)に
収納される。この状態で容器25のシール部26は梱包
箱27との間にあって緩衝材を兼ねている。そのため特
別な緩衝部材を用いる必要はない。
【0039】次に減圧包装時の真空度と減圧包装状態に
おける保存期間後の窒素量との関係を説明する。大気中
には窒素以外の気体も存在するが、窒素量が最も大きい
ため窒素量がコントロールできればよい。
【0040】実験によれば表1に示すように密封シール
時の減圧度を制御することにより、包装を開封した直後
のインクタンク7内のインクの脱気度を制御することが
できる。
【0041】
【表1】
【0042】表中の窒素量は、飽和値に対するインク中
に溶けている窒素量のパーセンテージで示してあり、本
実施例に用いたインクの場合には、飽和値は10〜11
ppm程度であった。
【0043】次に製造時から実使用までのインクタンク
内のインク脱気度がどのように変化するかをインク中の
窒素量に実験デ−タに基づき図10で説明する。インク
充填後のa時点で脱気されていたインクは、大気状態に
放置されることにより、約3日後のb時点で飽和状態に
達する。c時点で0.02〜0.05MPaの減圧下で
インクタンク7を非通気性の封止部材21で密封する
と、インクは脱気し、さらにインクタンク7の空間23
にインクに溶解の窒素や酸素が吸収され、d時点の脱気
度までになる。その後は、インクが分解して、インク成
分中の窒素等のガスが発生することもあり、脱気度が落
ちる。d時点までの期間は、周辺環境にもよるが、1日
程度であり、e時点には6ヶ月から1年かけて10〜2
0%増加していく。e時点で減圧包装すると、インクタ
ンク7のインク脱気度はインクタンク7のケ−ス等を通
して徐々に向上する。長期間中に発生するインクからの
ガスも、空間29に十分吸収させることができる。e時
点からf時点までの期間は、包装状態での保存期間であ
り、実験では2年間を想定した。
【0044】そして開封後の図中f時点より順次窒素量
は上昇する。インク中の窒素量は、開封後3日程で図中
gの略飽和状態に達する。しかしながら実験によると、
脱気による効果は図中fの開封後から2〜4週間程度期
待できることがわかった(図中h)。その後は完全飽和
状態となり、本発明で所望するインクの脱気の効果はな
くなる。
【0045】本実験では、各時点まで十分な期間を設け
て行ったが、実製造工程では、a時点のインク充填後、
数時間以内にc時点の減圧下封止をし、さらに1日以内
にe時点の減圧包装を行なうため、図示のようなN2 値
の変化は見られず、脱気度が十分保たれた状態で減圧包
装される。
【0046】ここでインクの脱気による効果について説
明する。インクタンク7を中空針5に対して抜き差しす
る際に、中空針5より混入する空気の量は、通常は非常
に微量である。実験による確認では、中空針5のインク
流入口径が直径0.8mm程度の時、混入する空気の量
は、多くてもメニスカス分の0.4立方mm程度以下で
あった。一度混入した空気は記録ヘッド3に向かって流
れ、フィルタ室4内のフィルタ4a(不図示)に到達し
トラップされる。このトラップされた空気はフィルタ4
aの目粗さが非常に微細なため容易にフィルタ4aを通
過することはない。実験によればフィルタ4aの直径が
4mm、フィルタ室4内の空間幅が0.3〜0.5mm
程度の時にインクタンク7の抜き差し回数が10〜数1
0回行なっても記録動作によって該空気がフィルタ4a
を通過することはなかった。この程度の空気の混入であ
れば図10中gまでの期間中は、明らかに脱気インクを
記録ヘッド3に供給することができ、それによりインク
タンク7を中空針5に対して抜き差しする際に、中空針
5より混入した空気はインクにとけ込み問題とはならな
い。しかしながら実使用においては中空針5よりインク
タンク7を外したまま放置される場合などは充分に有り
得る。この場合には大量に空気が混入する。大量に空気
が混入すると混入した空気はフィルタ4aをふさぎイン
クの通過を妨げてしまう。その結果として記録ヘッド3
は吐出不良となる。この場合には吸引ポンプ15を動作
して吐出不良の回復動作を行うのであるが、インクの脱
気度によって回復性に大きな差があることも実験により
わかった。図10中hで示す開封後2〜4週間程度まで
のインクであれば、フィルタ室4内の空気を吸引ポンプ
15により吸引除去するのに何ら不具合はない。ところ
がこの期間を過ぎるとインク中の空気量は完全飽和、さ
らには過飽和状態となり、空気と共にフィルタ4aを通
過するとフィルタ4aから記録ヘッド3にかけて微小気
泡が発生することが確認された。この微小気泡が記録ヘ
ッド3の圧力室にある場合には吐出不良となってしま
う。
【0047】以上説明したようにインクタンク7の交換
時に混入する空気に対しては、インクの脱気の効果によ
り吐出不良となるような不具合をなくすことが出来る。
またフィルタ室4内に多量に空気が溜った場合に行う回
復動作においてもインクの脱気の効果により、良好に回
復動作を終了することができる。フィルタ室4内の空気
量が一定以下であれば空気がインクと共にフィルタ4a
を通過しないため、図10中g以降の飽和状態となった
インクであっても回復動作時になんら不具合はない。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、インクタンクを減圧状
態で密閉するため、インクが脱気されると共に、減圧包
装時や輸送時や保存状態でのインクの漏れを防止するこ
とができる。
【0049】また減圧されたインクタンクを包装前に目
視確認できることから、インク漏れ、ケ−スの変形等の
工程検査が容易になる。
【0050】
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の一実施例を
説明するための主要断面図。
【図2】本発明のインクジェット記録装置に用いるイン
クタンクの主要部の分解斜視図。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の主要部の斜
視図。
【図4】インクエンド検出回路を説明するためのブロッ
ク図。
【図5】本発明のインクジェット記録装置の主要部の斜
視図。
【図6】本発明の製造工程を説明するフロ−チャ−ト。
【図7】本発明の封止部材による封止を説明する斜視
図。
【図8】減圧包装容器内を説明するための断面図。
【図9】減圧包装されたインクタンクを説明するための
斜視図。
【図10】窒素量と時間の関係を示した図。
【符号の説明】
3 ・・・・記録ヘッド 6 ・・・・インク溜まり 6a・・・・フォ−ム 7 ・・・・インクタンク 9 ・・・・連通孔 9a・・・・通気孔 21・・・・封止部材 22・・・・封止部材 23・・・・空間 25・・・・容器 26・・・・シール部 28・・・・スペーサ 29・・・・空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 聖二 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 小池 尚志 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 須田 幸治 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−270001(JP,A) 特開 平5−162301(JP,A) 特開 平5−293970(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/175 B41J 2/01

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクを収容するインク溜りと、前記イン
    ク溜りと連通する複数の連通孔と、前記インク溜りのイ
    ンクをインクジェット記録装置に供給するための連通部
    とを備え、前記連通部は前記インクジェット記録装置に
    装着される前の状態において封止されているインクタン
    クの製造方法において、 A.前記連通孔を通じて前記インク溜りを減圧する工
    程、 B.インクを前記連通孔から前記インク溜りに供給し充
    填する工程、 C.インク充填後大気開放されたインク溜りを、前記連
    通孔のうち少なくとも1つの連通孔を開放状態として再
    度減圧する工程、 D.前記減圧した後、前記開放状態の連通孔を密封する
    工程、 E.前記インクタンクを通気性のない容器内に入れ、該
    容器内を減圧し密封包装する工程、とからなることを特
    徴とするインクタンクの製造方法。
  2. 【請求項2】前記CとDの工程が、0.02〜0.05
    MPaのほぼ同圧下で行われることを特徴とする請求項
    1記載のインクタンクの製造方法。
  3. 【請求項3】前記Cの工程における開放状態の連通孔
    に、大気圧下で非密封に封止部材により仮止めする工程
    を備えた請求項1記載のインクタンクの製造方法。
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