JP3419987B2 - 慣性体反転防止弁 - Google Patents

慣性体反転防止弁

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JP3419987B2
JP3419987B2 JP07317596A JP7317596A JP3419987B2 JP 3419987 B2 JP3419987 B2 JP 3419987B2 JP 07317596 A JP07317596 A JP 07317596A JP 7317596 A JP7317596 A JP 7317596A JP 3419987 B2 JP3419987 B2 JP 3419987B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベ
ル等の建設機械に設けられる慣性体駆動回路等に用いて
好適な慣性体反転防止弁に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、油圧ショベル等の建設機械で
は、下部走行体上に上部旋回体を旋回可能に設け、該上
部旋回体を慣性体駆動回路としての旋回用油圧回路によ
り旋回駆動するようにしている。
【0003】そこで、図10にこの種の従来技術による
旋回用油圧回路を示す。
【0004】図において、1は旋回用の油圧モータを示
し、該油圧モータ1は油圧ポンプ2、タンク3に一対の
主管路4A,4Bを介して接続され、油圧ポンプ2から
の圧油により、慣性体となる上部旋回体を下部走行体
(いずれも図示せず)上で旋回駆動する。
【0005】5は主管路4A,4Bの途中に設けられた
方向切換弁を示し、該方向切換弁5は操作レバー5Aに
より中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),
(ハ)に切換えられ、油圧ポンプ2から油圧モータ1に
給排する圧油の方向等を切換えるようになっている。
【0006】6A,6Bは油圧モータ1と方向切換弁5
との間に位置して主管路4A,4Bの途中に接続された
一対のチャージ用チェック弁を示し、該チェック弁6
A,6Bは補助管路7およびタンク管路8を介してタン
ク3に接続され、油圧モータ1の慣性回転時等に主管路
4Aまたは4B内が負圧になると、タンク3内の作動油
をこの主管路4A,4B内に補給させる。
【0007】9A,9Bは油圧モータ1と方向切換弁5
との間に位置して主管路4A,4Bの途中に接続された
一対のオーバロードリリーフ弁を示し、該オーバロード
リリーフ弁9A,9Bは補助管路7等を介してタンク3
と接続されると共に、チェック弁6A,6Bの流入側に
も接続されている。そして、該オーバロードリリーフ弁
9A(9B)は油圧モータ1の慣性回転時に主管路4A
(4B)内に過剰圧が発生すると、この過剰圧を相手方
の主管路4B(4A)等にチェック弁6B(6A)を介
してリリーフすべく開弁する。ここで、該オーバロード
リリーフ弁9A,9Bはばね10A,10Bにより前記
過剰圧に対応した所定の開弁圧PC (図11参照)に設
定されている。
【0008】11は油圧モータ1のドレン管路を示し、
該ドレン管路11は油圧モータ1に供給した圧油の一部
がドレンとなってリークすると、このリークした油液を
タンク3内へと排出させる。
【0009】このように構成される従来技術では、方向
切換弁5を中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切換え
ると、油圧ポンプ2からの圧油が主管路4Aを介して油
圧モータ1に供給され、該油圧モータ1はこの圧油によ
り慣性体としての上部旋回体を、例えば右方向に旋回駆
動する。そして、該油圧モータ1からの戻り油は主管路
4Bを介してタンク3内へと順次排出される。
【0010】また、この状態で上部旋回体を停止すべ
く、例えば図11中の時点t1において方向切換弁5を
切換位置(ロ)から中立位置(イ)に戻すと、油圧ポン
プ2から油圧モータ1への圧油の供給が中断され、上部
旋回体に対する駆動力が解除される。
【0011】しかし、慣性体としての上部旋回体はその
慣性力により油圧モータ1を慣性回転させるので、油圧
モータ1はポンピング作用を行い、主管路4A内の圧油
を主管路4B側に吐出させ、主管路4A側が負圧となる
と、タンク3内の作動油をチェック弁6Aを介して主管
路4A側に補給させる。
【0012】これにより、主管路4B内には油圧モータ
1と方向切換弁5との間に比較的多量の圧油が封じ込め
られるので、主管路4B内には油圧モータ1の慣性回転
を停止させるようにブレーキ圧が発生する。そして、こ
のブレーキ圧が図11に示す特性線12の如く、時点t
2においてオーバロードリリーフ弁9Bの開弁圧PCを
越えると、該オーバロードリリーフ弁9Bがばね10B
に抗して開弁し、主管路4B内のブレーキ圧を補助管路
7、チェック弁6Aを介して主管路4A内にリリーフさ
せることにより、油圧モータ1の慣性回転を制動し、そ
の後にオーバロードリリーフ弁9Bがばね10Bにより
閉弁する時点t3で、油圧モータ1は上部旋回体と共に
一旦停止する。
【0013】ここで、時点t3でオーバロードリリーフ
弁9Bが閉弁して油圧モータ1が一旦停止したときに、
主管路4B内の圧力は特性線12の如く比較的高い圧力
状態にある。一方、主管路4A内の圧力は図11中に示
す特性線13の如く、時点t3まで低い圧力状態にあ
る。
【0014】このため、時点t3で油圧モータ1が一旦
停止したとしても、特性線12,13の如く主管路4
B,4A間には比較的大きな差圧ΔPが生じ、この差圧
ΔPにより油圧モータ1は慣性回転時の回転方向とは逆
向きに反転して回転し始め、主管路4B側から主管路4
A側に向けて圧油が流通することにより、差圧ΔPは漸
次小さくなる。
【0015】しかし、このときに油圧モータ1は上部旋
回体の慣性力で回転を続けるから、主管路4A内の圧力
は特性線13の如く時点t4で主管路4B側よりも高圧
となる。この結果、油圧モータ1は前,後の圧力差が増
大して一時的に停止するものの、その後再び逆向きに反
転して回転し、特性線14の如く慣性体である上部旋回
体と共にこの反転動作を繰返すという問題がある。
【0016】そこで、このような問題を解決するため
に、本出願人は、先に特願平5−519690号(WO
94/01682)等において、油圧モータに接続した
一対の主管路間に慣性体反転防止弁を設けることを提案
している。
【0017】この慣性体反転防止弁は、慣性体駆動用の
油圧モータに接続される一対の主管路間に配設された弁
ケーシングと、該弁ケーシング内に相対変位可能に設け
られた筒状弁体およびスプールと、該筒状弁体およびス
プールの一端側と弁ケーシングとの間に設けられた油室
と、筒状弁体およびスプールの他端側と弁ケーシングと
の間に設けられタンクに接続されるばね室と、該ばね室
内に設けられスプールを油室側に向けて常時付勢する設
定ばねと、一対の主管路のうち高圧側の圧油がパイロッ
ト圧として供給されることにより、前記スプールを設定
ばねに抗して初期位置からストロークエンドに向けて摺
動変位させるピストンと、前記油室とタンクとを連通さ
せる管路の途中に設けられ、前記設定ばねによりスプー
ルがストロークエンドから初期位置に復帰するときに、
前記油室からタンクに排出される油液を絞ることにより
該油室内の圧力を上昇させ、筒状弁体をばね室側へと摺
動変位させる絞りとから大略構成されている。
【0018】上述の如く構成された慣性体反転防止弁で
は、油圧モータの慣性回転時にピストンに高圧のパイロ
ット圧が作用すると、該ピストンによりスプールが設定
ばねに抗してストロークエンドまで変位する。そして、
油圧モータの慣性回転が停止してパイロット圧が低下す
ることにより、スプールが設定ばねによってストローク
エンドから初期位置に復帰するときに、絞りによって油
室からタンクに排出される油液が絞られることにより該
油室内の圧力が上昇する。そして、この油液室内の圧力
上昇によって筒状弁体をばね室側に変位させることによ
り、油圧モータに接続される一対の主管路間を一時的に
連通させて該各主管路間の差圧を減少させ、油圧モータ
の反転動作を防止するようになっている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の如き
慣性体反転防止弁では、スプールが設定ばねによってス
トロークエンドから初期位置に復帰するときに、油室か
らタンクに排出される油液に絞り作用を付与して油室内
の圧力を上昇させ、この圧力上昇によって筒状弁体がば
ね室側に変位する構成となっており、このとき、筒状弁
体はスプールの外周側に摺接しつつばね室側に変位す
る。
【0020】しかし、筒状弁体とスプールとの摺動面に
介在する油液の粘性抵抗、あるいは筒状弁体とスプール
との摺動面に生じる膠着(スティッキング)等により、
スプールがストロークエンドから初期位置に復帰すると
きに、筒状弁体がばね室側へと高い応答性をもって摺動
変位できなくなることがある。この結果、油圧モータに
接続される一対の主管路間を瞬時に連通させることがで
きず、筒状弁体等を介して各主管路間が連通するタイミ
ングが遅れることによって、慣性体の反転量が増大し易
くなるという問題がある。
【0021】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、油圧モータの慣性回転が停止した後に、
反転動作等が生じるのを確実に防止でき、信頼性を向上
できるようにした慣性体反転防止弁を提供することを目
的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の発明は、慣性体駆動用の油圧モータ
に接続される一対の主管路間に配設され、弁体摺動穴の
軸方向に離間して前記各主管路に連通する一対のポート
が形成された弁ケーシングと、外周側が該弁ケーシング
の弁体摺動穴に挿嵌され、内周側にスプール摺動穴が形
成された筒状弁体と、該筒状弁体のスプール摺動穴に挿
嵌され、該筒状弁体に対して相対変位可能に前記弁ケー
シング内に設けられたスプールと、該スプールおよび筒
状弁体の一端側と前記弁ケーシングとの間に形成され、
タンク内の油液が給排される油室と、前記筒状弁体およ
びスプールの他端側と前記弁ケーシングとの間に形成さ
れ、タンクに接続されるばね室と、該ばね室内に設けら
れ、前記スプールを初期位置に復帰させるべく、前記ス
プールを油室側に向けて常時付勢した設定ばねと、前記
ばね室内に設けられ、該設定ばねよりも弱いばね力をも
って前記筒状弁体を油室側に向け常時付勢した弱ばね
と、前記各主管路のうち高圧側の圧油がパイロット圧と
して供給されることにより、前記スプールを設定ばねに
抗して前記ばね室側のストロークエンドに向け摺動変位
させ、前記油室内にタンクからの油液を補給させるピス
トンと、前記スプールの一端側に設けられ、該ピストン
によってスプールが初期位置からストロークエンドに向
けて摺動変位するとき前記筒状弁体に係合して該筒状弁
体をスプールと共にばね室側に摺動変位させる係合部
と、前記油室内をタンクに接続する管路の途中に設けら
れ、前記設定ばねによりスプールがストロークエンドか
ら初期位置に復帰するときに、前記油室からタンクに排
出される油液を絞ることにより該油室内の圧力を上昇さ
せ、前記筒状弁体が油室側に戻るのを前記スプールより
も遅らせる絞りと、少なくとも前記筒状弁体に形成さ
れ、該筒状弁体に対して前記スプールが相対変位したと
きに前記弁ケーシングの各ポート間を連通させる絞り通
路とから構成してなる。
【0023】上記構成によれば、油圧モータの慣性回転
時に高圧のパイロット圧がピストンに作用すると、該ピ
ストンは設定ばねに抗してスプールをストロークエンド
に向けて摺動変位させ、このとき、スプールに設けられ
た係合部により、筒状弁体がスプールと共に弁ケーシン
グ内をばね室側に摺動変位する。これにより、該スプー
ルのストローク量に応じて油室が拡張し、該油室内にタ
ンクからの油液が絞りを介して補給される。そして、油
圧モータの慣性回転が停止し、前記パイロット圧が慣性
回転時よりも低下すると、スプールは設定ばねによりス
トロークエンドから初期位置に向けて押戻され、前記油
室内に補給された油液はタンクへと排出される。このと
き、絞りによって油液が絞られ油室内の圧力が上昇する
ので、筒状弁体が油室側へと戻る速度がスプールに比し
て遅れるようになり、この間に弁ケーシングの各ポート
間が絞り通路を介して連通することにより、一対の主管
路間を瞬時に連通させ、各主管路間に生じた差圧を減少
できる。
【0024】従って、スプールが設定ばねによってスト
ロークエンドから初期位置に復帰するときには、筒状弁
体が予めばね室側に摺動変位した状態に保持されるよう
になり、筒状弁体がばね室側に摺動変位するタイミング
が遅れることに起因する各主管路間の連通の遅れを防止
でき、慣性体が反転動作するのを防止できる。
【0025】そして、請求項2の発明は、前記絞り通路
は、前記筒状弁体に径方向に穿設され、軸方向に離間し
た少なくとも一対の油穴と、該各油穴間を連通すべく前
記スプールの外周側に形成され、軸方向に伸びた油溝と
から構成したことにある。
【0026】上記構成によれば、パイロット圧によって
スプールが筒状弁体を伴って初期位置からストロークエ
ンドに摺動変位すると、まず、筒状弁体に穿設された一
対の油穴が弁ケーシングに形成された一対のポートに開
口する。そして、スプールが設定ばねによってストロー
クエンドから初期位置に復帰するときに、筒状弁体が油
室内の圧力上昇によってばね室側に保持される間に、ス
プールに形成された油溝が筒状弁体の各油穴を連通させ
る。従って、設定ばねによってスプールがストロークエ
ンドから初期位置に摺動変位するとき、スプールの油溝
および筒状弁体の各油穴を介して一対の主管路を瞬時に
連通させることができる。
【0027】しかも、筒状弁体のスプール摺動穴内をス
プールが摺動するとき、該スプールの油溝が筒状弁体の
各油穴に連通することにより、弁ケーシングの各ポート
間を連通、遮断するようにしているから、この遮断位置
と連通位置との間に不感帯を設けることができ、僅かな
圧力変動で弁ケーシングの各ポート間が不用意に連通し
てしまうのを防止できる。
【0028】また、請求項3の発明は、前記スプール
は、前記筒状弁体のスプール摺動穴内に摺動可能に挿嵌
され、一端側に前記係合部が設けられ他端側が前記筒状
弁体から突出したスプール弁体と、該スプール弁体の他
端側に取付けられ前記ばね室内に収容されるばね受体と
から分割可能に構成したことにある。
【0029】上記構成によれば、スプール弁体とばね受
体とからスプールを分割可能に構成したから、スプール
弁体をその他端側から筒状弁体のスプール摺動穴内に挿
入した後、該スプール弁体の他端側にばね受体を取付け
ることにより、一端側に係合部が設けられたスプールを
容易に筒状弁体に組付けることができる。
【0030】さらに、請求項4の発明は、前記係合部
は、前記スプールの一端側に着脱可能に取付けた止め輪
により構成したことにある。
【0031】上記構成によれば、スプールをその一端側
から筒状弁体のスプール摺動穴内に挿通した後、該スプ
ールの一端側に止め輪を取付けることにより、スプール
と筒状弁体との組付けを容易に行うことができ、かつ、
スプールの構成を簡素化することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図1ないし図9を参照して詳細に説明する。なお、実
施例では前述した図10に示す従来技術と同一の構成要
素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとす
る。
【0033】まず、図1ないし図6は本発明の第1の実
施例を示している。
【0034】図中、21は油圧モータ1の主管路4A,
4B間に配設される慣性体反転防止弁を示し、該慣性体
反転防止弁21の弁ケーシング22には図2等に示す如
く、軸方向に伸びる弁体摺動穴22Aが形成され、該弁
体摺動穴22Aの外周側には軸方向に所定寸法離間して
ポート23A,23Bの一部をなす環状の油溝22B,
22Cがノッチ部22D,22Dを含んで形成されてい
る。また、該弁ケーシング22には弁体摺動穴22Aの
左側端部に後述する油室28の一部を構成する環状溝2
2Eが形成され、弁体摺動穴22Aの右側部位に後述の
管路31と連通する環状溝22Fが形成されている。そ
して、環状溝22Eと油溝22Bとの間には後述のピス
トン34にパイロット圧を供給すべく弁体摺動穴22A
と連通する後述のパイロット管路37が形成されてい
る。
【0035】ここで、弁ケーシング22は油圧モータ1
のケーシング(図示せず)にチャージ用チェック弁6
A,6Bおよびオーバロードリリーフ弁9A,9B等と
共に一体に形成され、旋回用油圧回路の途中にコンパク
トに収納される。また、該弁ケーシング22のポート2
3A,23Bはバイパス管路24A,24Bを介して主
管路4A,4Bに油圧モータ1と方向切換弁5との間で
接続されている。
【0036】25は弁体摺動穴22A内に挿嵌された筒
状弁体としてのスリーブを示し、該スリーブ25は弁体
摺動穴22Aの穴径に対応する外径寸法を有した円筒体
として形成され、その内周側にはスプール摺動穴25A
が形成されている。そして、該スリーブ25にはその左
側部位に弁ケーシング22の環状溝22Eから離間し
て、パイロット管路37に常時連通する環状の凹溝25
Bおよび該凹溝25Bに連通する径方向の油穴25C,
25Cが形成され、右側端部にはばね受部25Dが形成
されている。また、該スリーブ25には凹溝25Bとば
ね受部25Dとの間で前記各ノッチ部22Dに対応する
軸方向の離間寸法をもって、例えば二対の油穴としての
絞り孔25E,25E,…が径方向に穿設され、該各絞
り孔25Eは後述の油溝27Dと共に弁ケーシング22
のポート23A,23B間を図4に示す如く連通させる
絞り通路26を構成している。
【0037】27はスリーブ25のスプール摺動穴25
A内に挿嵌されたスプールを示し、該スプール27はス
リーブ25よりも長尺の段付き棒状体として形成され、
弁ケーシング22内にスリーブ25とは相対変位可能に
配設されている。そして、該スプール27にはその左側
部位に、スリーブ25の各油穴25Cと常時連通する環
状の凹溝27Aと、該凹溝27Aに常時連通する径方向
の油穴27Bと、該油穴27Bから左側端面に向けて軸
方向に穿設され、ピストン34を摺動可能に支持するピ
ストン摺動穴27Cとが設けられ、凹溝27Aから右側
に所定寸法離間した位置にはスリーブ25の各絞り孔2
5Eと共に絞り通路26を構成する環状の油溝27Dが
軸方向に伸長して形成されている。
【0038】また、該スプール27の右側部分はスリー
ブ25のスプール摺動穴25Aから弁ケーシング22内
に突出し、スリーブ25のばね受部25Dと軸方向で対
向する位置には環状段部27Eが設けられている。ま
た、環状段部27Eの右側には、ばね受部27Fが径方
向に突出して形成されると共に、後述のばね室30内に
向けて棒状のストッパ部27Gが軸方向に延設され、該
ストッパ部27Gは図3に示す如くばね室30の端面に
当接することにより、スプール27のストロークエンド
を規制している。
【0039】27Hはスプール27の一端側(左側端
部)に設けられた係合部としての係合鍔部を示し、該係
合鍔部27Hは、例えばスプール27の左側端部に全周
に亘って拡径するように形成されている。そして、該係
合鍔部27Hは、スプール27が図2に示す初期位置か
らストロークエンドに向けて摺動変位するときスリーブ
25に係合し、該スリーブ25をスプール27と共にば
ね室30側に摺動変位させるものである。
【0040】28はスリーブ25、スプール27の左側
端面と弁ケーシング22との間に形成される油室を示
し、該油室28は弁ケーシング22に形成した環状溝2
2Eおよび管路29を介してタンク3に接続され、該油
室28内にはタンク3の作動油としての油液がスリーブ
25、スプール27の摺動変位に応じて給排されるよう
になっている。
【0041】30はスリーブ25、スプール27の右側
に位置して弁ケーシング22内に形成されたばね室を示
し、該ばね室30は管路31を介してタンク3と接続さ
れ、タンク3からの作動油によって満されている。
【0042】32はスプール27のストッパ部27G周
囲に位置してばね室30内に配設された設定ばねを示
し、該設定ばね32はその先端側がスプール27のばね
受部27Fに当接し、スプール27を油室28側に向け
て常時付勢することにより、スプール27を図2に示す
初期位置に復帰させる。ここで、該設定ばね32の設定
圧Ps(図6参照)は、オーバロードリリーフ弁9A,
9Bの開弁圧Pcに対して75〜85%程度の範囲に設
定され、パイロット管路37からのパイロット圧が、例
えば0.85×Pc以上となったときに、スプール27
がピストン34により図3に示す如くストロークエンド
まで押動されるのを許すようになっている。
【0043】33はばね室30内に位置して、スリーブ
25のばね受部25Dとスプール27のばね受部27F
との間に配設された弱ばねを示し、該弱ばね33は設定
ばね32よりも弱いばね力に設定され、スリーブ25を
油室28側に向けて常時付勢している。
【0044】34はスプール27のピストン摺動穴27
C内に挿嵌され、先端側が油室28内に向けて突出する
小径のピストンを示し、該ピストン34は、スプール2
7の油穴27B内にパイロット管路37等を介して、後
述のシャトル弁36から主管路4A,4Bのうち高圧側
の圧油がパイロット圧として供給されることにより、油
室28内へと突出し、スプール27を設定ばね32に抗
して図3に示すストロークエンドまで摺動変位させる。
このときに、油室28はスプール27のストローク量に
応じて図3に示す如く拡張され、油室28内はタンク3
内から管路29を介して作動油が補給されることにより
油液で満たされる。
【0045】35は油室28内をタンク3に接続する管
路29の途中に設けられた絞りを示し、該絞り35は、
スプール27が設定ばね32により図3に示すストロー
クエンドから図4に示すように油室28側に押戻される
ときに、該油室28内からタンク3に排出される油液
(作動油)に絞り作用を与えることにより、油室28内
の圧力を上昇させる。従って、スプール27がストロー
クエンドから初期位置に向けて摺動変位すると、スリー
ブ25は、弱ばね33によって油室28側に押圧される
ものの、該油室28内の圧力上昇によってばね室30側
への摺動変位がスプール27よりも遅れるようになり、
図3ないし図5に示すように、各絞り孔25Eと弁ケー
シング22の各油溝22B,22Cとが連通する位置
(開弁位置)を比較的長い時間に亘って保つようにな
る。
【0046】なお、スプール27が初期位置からストロ
ークエンドに向けて摺動変位するときには、管路29は
タンク3内の作動油を油室28内に補給するが、絞り3
5により油室28内が負圧傾向となる。しかし、このと
きに絞り35はスリーブ25、スプール27の作動には
何等影響を及ぼさず、油室28が負圧となるのも瞬時に
回復する。
【0047】この結果、スプール27はピストン34に
よりばね室30側に向けて押動されるときには、油室2
8内にタンク3から油液(作動油)がスムーズに補給さ
れ、スリーブ25を伴って図2に示す初期位置から図3
に示すストロークエンドに速やかに摺動変位する。しか
し、逆にスプール27が設定ばね32によりストローク
エンドから初期位置へと押戻され、スリーブ25が弱ば
ね33により油室28側に押圧されるときには、絞り3
5が油室28からの排出油を絞ることにより、スリーブ
25の摺動速度(戻り速度)が低く抑えられ、スリーブ
25は開弁位置を比較的長い時間に亘り保つようにな
る。
【0048】36は油圧モータ1と方向切換弁5との間
で主管路4A,4B間に配設された高圧選択弁としての
シャトル弁を示し、該シャトル弁36は主管路4A,4
Bのうち、高圧側の主管路4Aまたは4Bをパイロット
管路37に接続させ、高圧の圧油をパイロット圧として
パイロット管路37からスリーブ25の凹溝25B、各
油穴25Cおよびスプール27の凹溝27A、油穴27
Bを介してピストン34の端面へと供給させる。
【0049】本実施例による慣性体反転防止弁21は上
述の如き構成を有するもので、次にその反転防止動作に
ついて説明する。
【0050】まず、方向切換弁5を中立位置(イ)から
切換位置(ロ)に切換えると、油圧ポンプ2からの圧油
が主管路4Aを介して油圧モータ1に供給され、該油圧
モータ1は、例えば図6中に示す特性線38のように一
定の回転数をもって回転し、慣性体としての上部旋回体
を旋回駆動する。このとき、主管路4A内を流れる圧油
はシャトル弁36からパイロット管路37等を介してス
プール27の油穴27B内に供給されるが、このときの
主管路4A内の圧力は、特性線39のように設定ばね3
2の設定圧Ps(オーバロードリリーフ弁9A,9Bの
開弁圧に対して85〜95%の圧力)に満たないため、
スプール27は図2に示すように、設定ばね32によっ
て初期位置に保持される。
【0051】そして、この状態で上部旋回体を停止すべ
く、時点t1において方向切換弁5を切換位置(ロ)か
ら中立位置(イ)に戻すと、油圧モータ1は油圧ポンプ
2からの圧油の供給が絶たれることにより上部旋回体に
対する駆動力を失い、該油圧モータ1の回転数は時点t
1から徐々に低下していく。
【0052】しかし、慣性体としての上部旋回体はその
慣性力によって油圧モータ1を慣性回転させ、油圧モー
タ1はポンピング作用を行って主管路4A内の圧油を主
管路4B側に吐出し、負圧となった主管路4A内にはチ
ェック弁6Aを介してタンク3内の作動油が補給され
る。
【0053】これにより、主管路4B内には比較的多量
の圧油が封じ込められ、油圧モータ1の慣性回転を停止
させるように圧力(ブレーキ圧)が発生する。このと
き、主管路4B内を流れる高圧の圧油は、シャトル弁3
6からパイロット管路37等を介してスプール27の油
穴27B内にパイロット圧として供給される。そして、
該主管路4B内の圧力が、特性線40で示すように時点
t2において設定ばね32の設定圧Psを越えると、ス
プール27の油穴27B内に供給されたパイロット圧に
よってピストン34が油室28側に向け押動され、スプ
ール27から油室28内へと突出する。これにより、ス
プール27が特性線41のように、図2に示す初期位置
(油室側)から設定ばね32に抗して図3に示すストロ
ークエンド(ばね室側)まで摺動変位する。
【0054】このとき、スプール27の左側端部に設け
られた係合鍔部27Hがスリーブ25の左側端面に係合
することにより、スリーブ25が特性線42のようにス
プール27に伴ってばね室30側に摺動変位し、図3に
示すように各絞り孔25Eが弁ケーシング22の油溝2
2B,22Cに連通する開弁位置に保持される。また、
このときに油室28は、スプール27のストローク量に
応じて図3に示す如く拡張され、油室28内はタンク3
から管路29を介して補給される油液で満たされる。
【0055】そして、主管路4B内の圧力がオーバロー
ドリリーフ弁9Bの開弁圧Pcに達すると、該オーバロ
ードリリーフ弁9Bがばね10Bに抗して開弁し、主管
路4B内のブレーキ圧が補助管路7、チェック弁6Aを
介して主管路4A内にリリーフされることにより、該ブ
レーキ圧によって油圧モータ1の慣性回転が制動され、
その後にオーバロードリリーフ弁9Bがばね10Bによ
り閉弁すると、油圧モータ1は上部旋回体と共に停止す
る。
【0056】そして、オーバロードリリーフ弁9Bが閉
弁して油圧モータ1の慣性回転がほぼ停止すると、主管
路4B内への作動油の供給がなくなり、主管路4B内の
圧力はオーバロードリリーフ弁9Bの開弁圧Pcから低
下し、やがて時点t3において設定ばね32の設定圧P
s以下に低下する。
【0057】この結果、主管路4Bからシャトル弁3
6、パイロット管路37等を介してピストン34に作用
するパイロット圧も設定圧Ps以下に低下するので、ピ
ストン34は、スプール27が設定ばね32により図3
に示すストロークエンドから油室28側に向けて押動さ
れるのを許す。これにより、スプール27の係合鍔部2
7Hとスリーブ25の左側端面との係合状態が解除され
るから、スリーブ25は、スプール27との間に設けら
れた弱ばね33に押圧され、弁ケーシング22の弁体摺
動穴22A内を油室28側に向けて摺動変位し得る状態
となる。
【0058】一方、スプール27が設定ばね32によっ
て油室28側に摺動変位することにより、油室28内に
満たされた油液が管路29を介してタンク3へと排出さ
れるが、このとき、排出される油液に対して絞り35に
よって絞り作用が与えられ、油室28から排出される油
液の流量が制限されるので、該油室28内の圧力が上昇
する。
【0059】この結果、スリーブ25は弱ばね33によ
って油室28側に摺動変位するものの、上昇した油室2
8内の圧力がスリーブ25に作用するために、図6中の
特性線42に示すように、スリーブ25は時点t3から
後述する時点t6までの間に比較的長い時間をかけて徐
々に油室28側に摺動変位する。これにより、スリーブ
25の各絞り孔25Eと弁ケーシング22の油溝22
B,22Cとが比較的長い時間に亘って連通する状態を
保つようになる。
【0060】これに対し、スプール27は特性線41に
示すように、時点t3から時点t4の間に設定ばね32
によって瞬時にストロークエンドから初期位置に復帰
(スリーブ25に対して相対変位)する。そして、スプ
ール27が初期位置に復帰することにより、図4に示す
ように、スプール27の油溝27Dがスリーブ25の各
絞り孔25Eに連通し、スリーブ25の各絞り孔25E
およびスプール27の油溝27Dからなる絞り通路26
を介して、ポート23A,23B(バイパス管路24
A,24B)間が連通する。
【0061】かくして、スプール27がストロークエン
ドから初期位置に復帰し始める時点t3において、スリ
ーブ25の各絞り孔25Eおよびスプール27の油溝2
7Dからなる絞り通路26を介してポート23A,23
B間が連通し、該ポート23A,23Bに接続されたバ
イパス管路24A,24Bを介して主管路4A,4Bが
連通する。そして、スプール27が図4に示す如く初期
位置に復帰した状態では、スリーブ25が弱ばね33に
より油室28側に向けて押動されるに応じて、油室28
内の油液が管路29から絞り35を介してタンク3へと
排出されるので、絞り35の絞り作用によってスリーブ
25が図4に示す開弁位置から油室28側に向けて摺動
変位するときの戻り速度を遅くできる。
【0062】これにより、スリーブ25が、各絞り孔2
5Eとスプール27の油溝27Dとが遮断される位置
(閉弁位置)に達する時点t5まで、絞り通路26を介
してポート23A,23B(バイパス管路24A,24
B)間を比較的長い時間に亘って連通させておくことが
できる。従って、例えば高圧側となる主管路4B内の圧
力を、絞り通路26等を介して絞り作用を与えつつ、バ
イパス管路24A,24Bを介して主管路4A側に確実
に逃がすことができ、各主管路4A,4B間の差圧ΔP
を速やかに、かつ確実に減少することができ、該主管路
4A,4B間の差圧ΔPに起因して生じる油圧モータ1
の反転動作を効果的に防止することができる。
【0063】そして、スリーブ25が弱ばね33によっ
て油室28側に摺動変位した時点t6では、図2に示す
ように、スリーブ25の絞り孔25Eとスプール27の
油溝27Dとが遮断した状態に保持されて、ポート23
A,23B間が閉塞されることにより、慣性体反転防止
弁21による主管路4A,4B間のバイパス管路24
A,24Bを介した連通が絶たれ、油圧モータ1を停止
状態に保持できる。
【0064】従って、本実施例によれば、油圧モータ1
の慣性回転が停止した後に、油圧モータ1が反転動作す
るのを効果的に防止でき、油圧モータ1を上部旋回体等
の慣性体と共に速やかに停止させることができる。
【0065】また、慣性体反転防止弁21は弁ケーシン
グ22内にスリーブ25とスプール27とを相対変位可
能に設けることによって構成され、主管路4A,4B間
にシャトル弁36等を介して1個のみ設ければよいの
で、例えば油圧モータ1のケーシング等に慣性体反転防
止弁21を簡単に組込むことができ、油圧回路全体を簡
略化できる上に、慣性体反転防止弁21をスリーブ25
およびスプール27を含んでコンパクトに形成でき、小
型化を図ることができる。
【0066】さらに、スプール27に形成したピストン
摺動穴27Cはスリーブ25のスプール摺動穴25Aに
比較して小径に形成され、パイロット管路37からスプ
ール27の油穴27B内に供給されるパイロット圧に対
するピストン34の受圧面積は大幅に小さくなっている
から、該ピストン34の受圧面積に対応させて設定ばね
32のばね力を小さく設定でき、スプール27を初期位
置に設定ばね32によって確実に戻すことができる。そ
して、ピストン摺動穴27Cに比較して油室28の容積
を大きくすることができるから、スプール27がストロ
ークエンドに達したときに油室28内に比較的多量の油
液を収容させ、スリーブ25が開弁位置から弱ばね33
により閉弁位置に戻されるまでの開弁時間を有効に延ば
すことができる。
【0067】また、この開弁時間をスリーブ25、スプ
ール27、ピストン34および絞り35の寸法または設
定ばね32、弱ばね33のばね力により上部旋回体等の
慣性体の大きさに応じて適宜に調整することができる。
さらに、絞り孔25E,25E,…はスリーブ25の摺
動方向に対して直角に穿設されているから、作動油が絞
り通路26を通過するときの流体力を最小限に抑えるこ
とができ、スリーブ25の摺動が流体力で乱されるのを
防止できる。
【0068】次に、図7は本発明の第2の実施例を示
し、本実施例の特徴は、スリーブのスプール摺動穴内に
摺動可能に挿嵌されるスプールを、一端側に係合部が設
けられ他端側がスプール摺動穴から突出したスプール弁
体と、該スプール弁体の他端側に取付けられ、設定ばね
に押圧されるばね受体とから分割可能に構成したことに
ある。なお、本実施例では前記第1の実施例と同一の構
成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものと
する。
【0069】図中、51は本実施例による慣性体反転防
止弁、52は該慣性体反転防止弁51の弁ケーシングを
示し、該弁ケーシング52は前記第1の実施例で用いた
弁ケーシング22とほぼ同様に、弁体摺動穴52A、環
状の油溝52B,52C、各ノッチ部52Dおよび環状
溝52Eを有している。しかし、該弁ケーシング52に
は、弁体摺動穴52Aの一端側に開口し後述のプラグ5
5によって閉塞されるねじ穴53と、弁体摺動穴52A
の他端側に開口し後述のプラグ57によって閉塞される
大径穴54とが穿設されている。ここで、ねじ穴53お
よび大径穴54は、弁体摺動穴52Aと同心状に形成さ
れ、大径穴54は、弁体摺動穴52Aよりも大径の穴径
をもって弁ケーシング52に穿設されている。そして、
該大径穴54の他端側はねじ穴54Aとなっている。
【0070】55はねじ穴53に螺着され、該ねじ穴5
3を液密に封止するプラグで、該プラグ55の先端面は
弁ケーシング52に設けられた環状溝52E内に臨み、
該環状溝52Eとの間で油室56を画成している。そし
て、該プラグ55の先端面は、後述するスプール59の
一端側端面に当接することにより、該スプール59を初
期位置に位置決めするようになっている。また、プラグ
55の先端面中央には、ピストン34の一端側が嵌合す
る円錐状の凹陥部55Aが設けられている。
【0071】57は大径穴54のねじ穴54Aに螺着さ
れ、該大径穴54を液密に封止するプラグで、該プラグ
57の先端面は弁ケーシング52に設けられた大径穴5
4内に臨み、該大径穴54との間でばね室58を画成し
ている。そして、プラグ57の先端側には、設定ばね3
2を収容する収容凹部57Aが形成されている。
【0072】59は前記第1の実施例に代えて本実施例
に適用されるスプールを示し、該スプール59は、スリ
ーブ25のスプール摺動穴25A内に摺動可能に挿嵌さ
れたスプール弁体60と、ばね室58内に収容されたば
ね受体61とから構成されている。
【0073】ここで、スプール弁体60は全体として細
長い段付き棒状に形成され、その一端側(左側端部)に
は、スリーブ25と係合する係合部としての係合鍔部6
0Aが全周に亘って拡径するように形成され、スプール
摺動穴25Aから突出した他端側には、スプール摺動穴
25Aよりも小径の挿嵌軸60Bが、環状の段部60B
1を介して形成されている。また、該スプール弁体60
には、その左側部位にスリーブ25の各油穴25Cと常
時連通する環状の凹溝60Cと、該凹溝60Cに常時連
通する径方向の油穴60Dと、該油穴60Dから左側端
面に向けて軸方向に穿設され、ピストン34を摺動可能
に支持するピストン摺動穴60Eとが設けられ、凹溝6
0Cから右側に所定寸法離間した位置にはスリーブ25
の各絞り孔25Eと共に絞り通路26を構成する環状の
油溝60Fが軸方向に伸長して形成されている。
【0074】一方、ばね受体61は全体としてスプール
弁体60よりも大径の円筒状に形成され、その中心部に
軸方向に延びるように穿設された中心穴61A内には、
スプール弁体60の挿嵌軸60Bが摺動可能に挿嵌され
ている。また、ばね受体61の左側部位には、スリーブ
25のばね受け部25Dとの間で弱ばね33を保持する
と共に、前記プラグ57の収容凹部57Aとの間で設定
ばね32を保持するばね受部61Bが径方向に突出して
形成され、さらに、ばね受体61の右側端面は、前記プ
ラグ57に当接することによりスプール59のストロー
クエンドを規制するストッパ部61Cとなっている。
【0075】本実施例は上述の如き構成を有するもの
で、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得ること
ができるが、特に本実施例では、スリーブ25のスプー
ル摺動穴25A内に摺動可能に挿嵌されたスプール弁体
60と、ばね室58内に収容されたばね受体61とによ
りスプール59を分割可能に構成したから、慣性体反転
防止弁51の組付性を向上できるようになっており、以
下、該慣性体反転防止弁51の組付作業について説明す
る。
【0076】まず、スリーブ25のスプール摺動穴25
A内にスプール弁体60をその他端側から挿入し、挿嵌
軸60Bをスプール摺動穴25Aから突出させる。
【0077】次に、弱ばね33の一端側をスリーブ25
のばね受け部25Dに係止させた状態で、スプール弁体
60の挿嵌軸60Bをばね受体61の中心穴61A内に
挿嵌することにより、スリーブ25のスプール摺動穴2
5A内にスプール59を摺動可能に組込み、さらにピス
トン34をスプール弁体60のピストン摺動穴60Eに
挿嵌する。
【0078】そして、弁ケーシング52のねじ穴53に
プラグ55を螺着した状態で、スプール59が組込まれ
たスリーブ25を弁体摺動穴52A内に挿入し、その
後、スプール59をなすばね受体61のばね受部61B
に、設定ばね32の一端側を係止させた状態で、弁ケー
シング52に設けた大径穴54のねじ穴54Aにプラグ
57を螺着する。
【0079】以上の作業により、弁ケーシング52の弁
体摺動穴52A内に慣性体反転防止弁51を組付けるこ
とができ、その作業性を大幅に向上することができる。
【0080】次に、図8および図9は本発明の第3の実
施例を示し、本実施例の特徴は、スプールの一端側に設
けた係合部を止め輪によって構成したことにある。な
お、本実施例では前記各実施例と同一の構成要素に同一
の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0081】図中、71は本実施例による慣性体反転防
止弁、72は該慣性体反転防止弁71のスプールを示
し、該スプール72は前記第1の実施例に用いたスプー
ル27とほぼ同様に全体として段付き棒状に形成され、
凹溝72A、油穴72B、ピストン摺動穴72C、油溝
72D、環状段部72E、ばね受部72Fおよびストッ
パ部72Gを有しているものの、該スプール72の一端
側外周には、後述の止め輪73が取付けられる環状の凹
溝72Hが全周に亘って形成されている。
【0082】73は第1の実施例に用いたスプール27
の係合鍔部27Hに代えて用いられる係合部としての止
め輪で、該止め輪73は図9に示すように、例えばC型
の止め輪等によって構成されている。そして、該止め輪
73は、スプール72をその一端側からスリーブ25内
に挿入した後、スリーブ25から突出したスプール72
の凹溝72Hに取付けることにより、スリーブ25の一
端側端面に係合するものである。
【0083】本実施例は上述の如き構成を有するもの
で、前記第1,第2の実施例とほぼ同様の作用効果を得
ることができるが、特に本実施例では、スプール72の
一端側に市販品である止め輪73を取付けるだけで、ス
プール72をスリーブ25に係合させることができるか
ら、慣性体反転防止弁71の構成の簡素化にも寄与する
ことができる。
【0084】なお、前記第2,第3の実施例では、プラ
グ55の先端面中央にピストン34の一端側が嵌合する
円錐状の凹陥部55Aを形成したが、該凹陥部55Aは
必ずしも必要ではなく、プラグ55の先端面を平坦状に
形成してもよい。
【0085】また、前記第3の実施例では、係合部とし
てC型の止め輪73を用いた場合を例に挙げたが、これ
に代えて、例えばE型の止め輪を用いてもよい。
【0086】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1の発明によ
れば、油圧モータの慣性回転時に高圧のパイロット圧が
ピストンに作用し、該ピストンが設定ばねに抗してスプ
ールをストロークエンドに向けて摺動変位させるとき、
スプールに設けた係合部が筒状弁体に係合してこれを同
時にばね室側に摺動変位させ、その後、油圧モータの慣
性回転が停止してパイロット圧が低下し、スプールが設
定ばねによって初期位置に復帰するときに、絞りによっ
て上昇した油室内の圧力によって筒状弁体が実質的にば
ね室側に保持されることにより、弁ケーシングの各ポー
ト間が絞り通路を介して瞬時に連通する構成としたか
ら、油圧モータの慣性回転が停止した後、瞬時に一対の
主管路間を連通させ、各主管路間の差圧を高圧側から低
圧側へと逃がすことができる。この結果、油圧モータが
慣性回転の停止時に反転動作を繰返すのを効果的に防止
できる。
【0087】また、請求項2の発明によれば、スプール
がスリーブを伴って初期位置からストロークエンドに摺
動変位した後、設定ばねによってスプールが初期位置に
復帰するとき、スプールに形成された油溝が筒状弁体の
油穴を連通させる構成としたから、パイロット圧が低下
してスプールが初期位置に復帰するとき、スプールの油
溝および筒状弁体の各油穴を介して一対の主管路を瞬時
に連通させることができる。
【0088】さらに、請求項3の発明によれば、スプー
ルをスプール弁体とばね受体とから分割可能に構成した
から、筒状弁体に対するスプールの組付け作業を容易に
行うことができる。
【0089】また、請求項4の発明によれば、スプール
の一端側に設ける係合部として止め輪を適用することに
より、スプールの構成を簡素化することができ、慣性体
反転防止弁全体の製造コストの低減に寄与することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による慣性体反転防止弁
を設けた旋回用油圧回路図である。
【図2】スプールが初期位置に復帰した状態を示す慣性
体反転防止弁の縦断面図である。
【図3】スプールがストロークエンドに達した状態を示
す図2と同様の縦断面図である。
【図4】スプールがスリーブに対して相対変位した状態
を示す図2と同様の縦断面図である。
【図5】スリーブが開弁位置から油室側に押戻されてい
る状態を示す図2と同様の縦断面図である。
【図6】慣性体反転防止弁の作動時における油圧モータ
の回転数、主管路内の圧力、スプールおよびスリーブの
摺動変位を示す特性線図である。
【図7】第2の実施例による慣性体反転防止弁を示す図
2と同様の縦断面図である。
【図8】第3の実施例による慣性体反転防止弁を示す図
2と同様の縦断面図である。
【図9】図8中の矢示IX−IX方向からみた断面図であ
る。
【図10】従来技術による旋回用油圧回路図である。
【図11】油圧モータが反転動作を繰返す状態を示す各
主管路の圧力特性線図である。
【符号の説明】
1 油圧モータ 2 油圧ポンプ 3 タンク 4A,4B 主管路 5 方向切換弁 9A,9B オーバロードリリーフ弁 21,51,71 慣性体反転防止弁 22,52 弁ケーシング 22A,52A 弁体摺動穴 23A,23B ポート 25 スリーブ(筒状弁体) 25E 絞り孔 26 絞り通路 27,59,72 スプール 27H,60A 係合鍔部(係合部) 28,56 油室 30,58 ばね室 32 設定ばね 33 弱ばね 34 ピストン 36 シャトル弁 37 パイロット管路 60 スプール弁体 61 ばね受体 73 止め輪(係合部)
フロントページの続き (72)発明者 木村 健一 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社土浦工場内 (56)参考文献 特開 平5−321907(JP,A) 特開 平6−346903(JP,A) 特開 平8−226403(JP,A) 実開 平4−46161(JP,U) 国際公開94/001682(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16K 3/26 F16K 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 慣性体駆動用の油圧モータに接続される
    一対の主管路間に配設され、弁体摺動穴の軸方向に離間
    して前記各主管路に連通する一対のポートが形成された
    弁ケーシングと、外周側が該弁ケーシングの弁体摺動穴
    に挿嵌され、内周側にスプール摺動穴が形成された筒状
    弁体と、該筒状弁体のスプール摺動穴に挿嵌され、該筒
    状弁体に対して相対変位可能に前記弁ケーシング内に設
    けられたスプールと、該スプールおよび筒状弁体の一端
    側と前記弁ケーシングとの間に形成され、タンク内の油
    液が給排される油室と、前記筒状弁体およびスプールの
    他端側と前記弁ケーシングとの間に形成され、タンクに
    接続されるばね室と、該ばね室内に設けられ、前記スプ
    ールを初期位置に復帰させるべく、前記スプールを油室
    側に向けて常時付勢した設定ばねと、前記ばね室内に設
    けられ、該設定ばねよりも弱いばね力をもって前記筒状
    弁体を油室側に向け常時付勢した弱ばねと、前記各主管
    路のうち高圧側の圧油がパイロット圧として供給される
    ことにより、前記スプールを設定ばねに抗して前記ばね
    室側のストロークエンドに向け摺動変位させ、前記油室
    内にタンクからの油液を補給させるピストンと、前記ス
    プールの一端側に設けられ、該ピストンによってスプー
    ルが初期位置からストロークエンドに向けて摺動変位す
    るとき前記筒状弁体に係合して該筒状弁体をスプールと
    共にばね室側に摺動変位させる係合部と、前記油室内を
    タンクに接続する管路の途中に設けられ、前記設定ばね
    によりスプールがストロークエンドから初期位置に復帰
    するときに、前記油室からタンクに排出される油液を絞
    ることにより該油室内の圧力を上昇させ、前記筒状弁体
    が油室側に戻るのを前記スプールよりも遅らせる絞り
    と、少なくとも前記筒状弁体に形成され、該筒状弁体に
    対して前記スプールが相対変位したときに前記弁ケーシ
    ングの各ポート間を連通させる絞り通路とから構成して
    なる慣性体反転防止弁。
  2. 【請求項2】 前記絞り通路は、前記筒状弁体に径方向
    に穿設され、軸方向に離間した少なくとも一対の油穴
    と、該各油穴間を連通すべく前記スプールの外周側に形
    成され、軸方向に伸びた油溝とから構成してなる請求項
    1に記載の慣性体反転防止弁。
  3. 【請求項3】 前記スプールは、前記筒状弁体のスプー
    ル摺動穴内に摺動可能に挿嵌され、一端側に前記係合部
    が設けられ他端側が前記筒状弁体から突出したスプール
    弁体と、該スプール弁体の他端側に取付けられ前記ばね
    室内に収容されるばね受体とから分割可能に構成してな
    る請求項1または2に記載の慣性体反転防止弁。
  4. 【請求項4】 前記係合部は、前記スプールの一端側に
    着脱可能に取付けた止め輪により構成してなる請求項
    1,2または3に記載の慣性体反転防止弁。
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