JP3419653B2 - ガリウムイオン源及びその製造方法 - Google Patents
ガリウムイオン源及びその製造方法Info
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Description
オンビーム装置、TEM前処理装置等に用いられるガリ
ウムイオン源に関する。
或いはマスクリペア、更に表面分析のために液体金属イ
オン源を搭載した集束イオンビーム装置が開発され、普
及してきている。前記液体金属イオン源に関しては、い
ろいろな金属、合金をイオン種とするものが知られてい
るが、このうちガリウムイオン源が前記マスクリペア、
表面分析用に好適なものとして注目されている。
のイオン源の構造は、例えば図2に示すとおりに、先端
に尖鋭部を有するタングステン電極1と貯蔵部2をヘア
ピン型フィラメントに溶接したものである。また、図1
に示すとおりに、タングステン電極1が貯蔵部2内を貫
通しており、必要に応じて加熱部4A、4Bによって加
熱される。貯蔵部2にはガリウム3が充填されており、
ガリウム3がタングステン電極1の表面に広がり、タン
グステン電極1の先端は融解したガリウム3によって濡
れている。
電極1にプラスの電位をかけ、引き出し電極にマイナス
の電位を与えるときに、ある閾値以上の電位差で針状電
極先端のガリウムはテーラーコーンと呼ばれる円錐状の
突起を形成し、その先端からガリウムイオンが引き出さ
れる。前記図1に示した構造のガリウムイオン源は、長
時間の安定なイオン放出が必要な場合には、通電加熱に
よって500〜600℃程度の高温で使用される。
ン源において、高温での使用は放出イオンのエネルギー
分布幅が大きくなるだけでなく、ガリウムの蒸発消耗が
大きく寿命が短いといった欠点があるので、室温下で作
動させることがガリウムイオン源の使用法での最近の主
流となっている。
グステン電極は、その直径が0.15mm程度の細線か
ら、通常は電解液に水酸化ナトリウム水溶液を用いた電
解研磨法によって、先端部を先鋭化するとともに側面部
の鏡面研磨を行っている。
ウムイオン源を動作させる場合、イオン放出が長時間に
渡って安定に行われ難いという問題があり、前記集束イ
オンビーム装置の安定稼働が確保できない、更に半導体
集積回路製造機器の生産性向上が達成できない等の重大
な問題がある。
保するためには、タングステン電極先端への液体金属ガ
リウムのスムーズな供給が必要である。しかし、室温下
での動作においては、液体金属ガリウム表面の酸化物が
揮発除去され難いことから、貯蔵部からタングステン電
極先端部までの液体金属ガリウムの流れがスムーズでな
くなり、電極先端へのガリウムの供給に過不足を生じ、
その結果、イオン放出が不安定になる或いはイオン放出
量を所定量のままに維持しようとすると印加電圧が極端
に高くなる等の問題がある。
ン放出が不安定となったガリウムイオン源は、一時的に
動作温度を上昇させるフラッシング操作を行うことで、
再び元と同じイオン放出状態に戻ることは公知である。
しかし、このフラッシング操作を行う間、上記した通り
に高価な装置を実質的に停止することになり実用上大き
な問題である。
との間の安定なイオン放出時間、即ちフラッシングイン
ターバルが室温動作の指標であり、ガリウムイオン源の
性能上重要な指標であるが、従来公知のガリウムイオン
源はそのフラッシングインターバルが数十時間と極めて
短いという問題がある。
検討した結果、タングステン電極の少なくとも側面を粗
し、ガリウムがタングステン電極を特定の状態に被覆し
たときに、当該ガリウムイオン源のフラッシングインタ
ーバルが長くなるという知見を得て、本発明に至ったも
のである。即ち、本発明は室温にて長時間動作できるガ
リウムイオン源を提供することを目的とする。
ン化すべきガリウムを貯蔵する貯蔵部と該貯蔵部からガ
リウムが供給される針状先端部を有するタングステン電
極とを有するガリウムイオン源において、該タングステ
ン電極の側面部から検出されるタングステンとガリウム
の規格化されたX線強度の比が2.0以下であることを
特徴とするガリウムイオン源であり、好ましくは、貯蔵
部及び/またはタングステン電極を加熱するための加熱
部を有する前記のガリウムイオン源である。
ら検出されるタングステンとガリウムのそれぞれの規格
化されたX線強度の比が2.0以下であるように、タン
グステン電極の少なくとも側面をエッチングすることを
特徴とするガリウムイオン源の製造方法であり、好まし
くは、アルカリ性のフェリシアン化カリウム水溶液を用
いてエッチングすることを特徴とする前記のガリウムイ
オン源の製造方法である。
測定法はエネルギー分散分光法を用いる方法であり、こ
れについて説明する。測定における試料及び機器配置図
は図3に示す通り、また測定条件は入射電子の加速電圧
20kV、電子線入射角θ1は40゜、検出器と電子源
の角度θ2は90゜であり、検出する特性X線はガリウ
ムはKα線、タングステンはLα線である。また、測定
領域は2×10−3mm2以上である。
それぞれの規格化されたX線強度の比IW /Gaは、タン
グステン針状電極の側面部から検出されたタングステン
とガリウムのそれぞれのX線強度IW 、IGa、そして予
め同一条件にて測定されたタングステン及びガリウムそ
のもののX線強度IW0、IGa0 を用い、次に示す式
(1)で表す。
部から検出されるタングステンとガリウムのそれぞれの
規格化されたX線強度の比が2.0以下であることが本
質的であり、このときにガリウムのタングステン電極の
先端部への安定供給が確保され、その結果、室温下でも
長期に渡って安定なイオン放出が達成される。
は、タングステン電極の側面にガリウムが付着する量が
ある程度以上あることが、ガリウムがタングステン電極
先端部へ安定的に供給するための必要十分な条件になっ
ているものと推察している。即ち、ある程度以上のガリ
ウム層がタングステン電極の表面に存在することで、ガ
リウム表層に例えば酸化物が存在することでガリウム表
層近傍での流動性に支障が生じるような場合であって
も、タングステン電極表面近傍でのガリウムの流動性に
は支障が生じることがなく、安定したイオン放出が達成
可能となる。また、前記ガリウムとタングステンのそれ
ぞれの規格化されたX線強度の比について、本発明の目
的を達成する上では、その下限を特に定める必要はな
い。
いては、タングステン電極の少なくとも側面に、適度な
表面粗さ、形状を付して、タングステン電極の側面部か
ら検出されるタングステンとガリウムのそれぞれの規格
化されたX線強度の比が2.0以下であるように加工す
ることが可能な方法であれば、どの様な加工方法であっ
ても構わない。しかし、本発明者らの検討結果によれ
ば、タングステン電極の少なくとも側面をエッチングし
た後、機械的加工法や電解研磨法等の公知の加工方法に
よりタングステン電極先端を所望の形状に加工すること
で、容易に本発明のガリウムイオン源を得ることができ
る。
リ性のフェリシアン化カリウム水溶液中でエッチングす
るとき、安定して本発明のガリウムイオン源を得ること
ができるので好ましい。また、フェリシアン化カリウム
水溶液のエッチング効果を確実にするためにアルカリ性
とするが、その目的で水酸化カリウム及び/又は水酸化
ナトリウムを用いることができる。
と水とを重量比1:1:20で配合しエッチング溶液を
作成し、直径0.15mm長さ20mmのタングステン
線を浸して室温にて1分間エッチングすることにより側
面を荒らしたタングステン線を作製した。
用いて前記タングステン線の先端部を電解研磨して、尖
鋭端を有するイオン源用のタングステン電極を得た。
ムの貯蔵部、加熱部及び碍子等を組立てて図1に例示さ
れたガリウムイオン源を作製した。前記ガリウムイオン
源を予めガリウムで満たしてあるルツボを有する真空装
置内にセットし、7×10-7Torrまで真空引きし、
前記ガリウムをルツボごと加熱するとともに、ガリウム
イオン源の加熱部に通電して、タングステン電極及び貯
蔵部を加熱しながらルツボ中のガリウムに浸すことによ
って、タングステン電極表面をガリウムで濡らしながら
貯蔵部をガリウムで満たし、ガリウムイオン源を得た。
す条件で、タングステン電極側面のX線強度を測定し、
タングステンとガリウムのそれぞれの規格化されたX線
強度の比を算出するとともに、室温下でトータルエミッ
ション電流が2μAでのフラッシングインターバルを測
定した。この結果を表1に示した。
ー分散X線分光法を適用させたもので、試料、機器の配
置を模式的に示す(図3参照)。測定条件は、入射電子
の加速電圧が20kV、電子線入射角θ1 が40゜、検
出器と電子源の角度θ2 が90゜である。ガリウムイオ
ン源のタングステン電極の側面の中心部についておよそ
2.2×10-3mm2の測定領域においてX線強度を測
定する。検出されるX線は電極部材であるタングステン
とその表面を濡らしているガリウムの特性X線であり、
IW 及びIGaを測定する。
たしガリウムそのものに電子線を当てることでX線強度
IGa0 を測定するとともに、試料を直径0.15mmの
タングステン線に変えてIW0を測定する。前記のIGa0
、IW0、IGa、IW を用いて、前述の式(1)より、
タングステンとガリウムのそれぞれの規格化されたX線
強度の比IW /Gaを算出する。
に示す計測系を用い、タングステン電極の先端部より
1.7mm離れた位置に穴あき金属板からなる引き出し
電極を設け、ガリウムイオン源に正電圧を印加すること
でイオン放出を行う。通常はフィラメント電流が0Aで
ある、即ち加熱せず、室温で動作させる。
に、まずフィラメント電流を流して例えば約600℃に
て数分間加熱しフラッシングした後、定電圧動作でトー
タルエミッション電流が2μAとなるように引き出し電
圧Vexを調整し、この引き出し電圧Vexの経時変化を調
べ、初期引き出し電圧Vex0 に対する比Vex/Vex0が
1.3に到達した時間をフラッシングインターバルとす
る。
て、エッチング時間を10、30、60分(それぞれ実
施例2、実施例3、実施例4)に変えたこと以外は実施
例1と同一の操作でガリウムイオン源を得て、実施例1
と同じ評価を行った。この結果を表1に示した。
化ナトリウム水溶液を用いて直径0.15mm長さ20
mmのタングステン線の側面を電解研磨することで鏡面
処理を施し、さらに先端部を電解研磨して尖鋭端を有す
るイオン源用のタングステン電極を作製した。このもの
のタングステン電極の側面は鏡面状態であり、従来公知
のガリウムイオン源のタングステン電極と同一である。
このガリウムイオン源についても実施例1と同じ評価を
行い、その結果を表1に示した。
係るガリウムイオン源は室温動作時間が長く、フラッシ
ングインターバルが大幅に改善され、エネルギー幅が小
さい品質に優れるイオンビームが長時間に渡り提供でき
るので、集束イオンビーム装置を初めとする多くのイオ
ンビーム利用機器に用いて非常に有益である。
Claims (4)
- 【請求項1】イオン化すべきガリウムを貯蔵する貯蔵部
と該貯蔵部からガリウムが供給されるタングステン電極
とを有するガリウムイオン源であって、タングステン針
状電極の側面部から検出されたタングステンとガリウム
のそれぞれのエネルギー分散分光法によるX線強度をI
w 、I Ga 、そして予め同一条件にて測定されたタング
ステン及びガリウムそのもののエネルギー分散分光法に
よるX線強度をI Wo 、I Gao とするとき、I
W/Ga =(I w /I Wo )/(I Ga /I Gao )が
2.0以下であることを特徴とするガリウムイオン源。 - 【請求項2】貯蔵部及び/またはタングステン電極を加
熱するための加熱部を有することを特徴とする請求項1
記載のガリウムイオン源。 - 【請求項3】タングステン針状電極の側面部から検出さ
れたタングステンとガリウムのそれぞれのエネルギー分
散分光法によるX線強度をI w 、I Ga 、そして予め同
一条件にて測定されたタングステン及びガリウムそのも
ののエネルギー分散分光法によるX線強度をI Wo 、I
Gao とするとき、I W/Ga =(I w /I Wo )/
(I Ga /I Gao )が2.0以下であるように、タン
グステン電極の少なくとも側面をエッチングすることを
特徴とするガリウムイオン源の製造方法。 - 【請求項4】アルカリ性のフェリシアン化カリウム水溶
液を用いてエッチングすることを特徴とする請求項3記
載のガリウムイオン源の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP17831797A JP3419653B2 (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | ガリウムイオン源及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17831797A JP3419653B2 (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | ガリウムイオン源及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1125874A JPH1125874A (ja) | 1999-01-29 |
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Family
ID=16046375
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|---|---|---|
JP3057073B1 (ja) | 1999-02-01 | 2000-06-26 | 電気化学工業株式会社 | 液体金属イオン源及びその製造方法 |
CN113205988A (zh) * | 2021-06-08 | 2021-08-03 | 宿迁怡熹电子科技有限公司 | 一种聚焦离子束显微镜离子源 |
-
1997
- 1997-07-03 JP JP17831797A patent/JP3419653B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1125874A (ja) | 1999-01-29 |
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