JP3418318B2

JP3418318B2 - 減震機

Info

Publication number: JP3418318B2
Application number: JP21238897A
Authority: JP
Inventors: 宏近藤
Original assignee: 宏近藤
Priority date: 1997-07-03
Filing date: 1997-07-03
Publication date: 2003-06-23
Anticipated expiration: 2017-07-03
Also published as: JPH1122244A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】基礎上に設置される建築物に
ついて、地震時の横揺れを軽減させるための免震構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】今日までの建築工法は本来地盤は固定し
た物として築かれてきた物であり、地盤の上にいかに定
着させるかを追求してきたが、阪神大震災や伊豆群発地
震を見ると安心できる物ではない。又最近建築されてい
る物は耐震建築が増えて、軽量の個人住宅においても鉄
筋か鉄骨造の様な杭基礎、ベタ基礎、布基礎を施工し筋
違や構造用合板で補強した物が多数見られるようになっ
た。だが地盤が震度７で揺れた場合当然建物も震度７で
揺れるため、耐震建築の中で人間や家具が転げ回ること
になる。従来の地震の最大揺幅が２０ｃｍと言われてい
るのでその揺幅の何割かを吸収する方が良いのではない
かと思われる。今まで球体を用いた免震器は構造物を基
礎に固定することを無視した装置のため、普段の生活に
おいても安定性に欠ける物と思われる。又バネを使って
地震後定位置からずれた構造物を元に戻すためには相当
大きなバネが必要となるため実用的ではない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】横の震動を少なくし、
横揺れを縦揺れに変えることのないこと。

【０００４】震動が終わったら元の位置に自動的に戻る
こと。

【０００５】在来工法の躯体と違いがなく特別な費用が
かからないこと。

【０００６】

【課題を解決するための手段】下向き円弧状に形成され
た下板、第１の小丸球群、下向き円弧状に形成された中
板、第２の小丸球群及び下向き円弧状の面を有する上板
を交互に重ね、それぞれの板を上下に振れず横に余裕を
持たせて止め、震動が止まった時自重でもとの位置に戻
るようにした免震器を利用した免震構造である。しか
し、横の揺れを全くなくしてしまうと地中に埋設されて
いる水道管、ガス管、排水管、ケーブル等が破壊して二
次災害を起こす事も考えられるため、ある程度地震につ
れて動くようにする。又支持物、建築物自体が発する小
さな震動程度では揺れることが無いように上板及び中板
が抵抗する。また、建築物の場合は、横揺れに対応させ
るためアンカーボルトを使用して、基礎からの脱落、飛
び上がりを防ぐ。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の一実施形態に係
る免震器の要部断面図及び分解図である。図１の例で
は、円弧状の上板５及び下板１との間に、第１及び第２
の小丸球群２、４を介して２枚の円弧状の中板３、３を
配置している。また、図２乃び図３は中板３を１枚配置
した例である。

【０００８】前記下板１は、図２及び図３に符号６で示
す基礎コンクリートにアンカー止め又は溶接して固定さ
れている。この下板１は、地盤の揺れにつれて動きその
上に敷き詰めた小丸球群２、４により、揺れを吸収しな
がら中板３、３を下板１と中板３、３との余裕の分だけ
わずかに動く。また、基礎コンクリート６との固定面
は、図１の断面図に示す様に、略水平に形成されてい
る。この下板１は、一例として、φ６０ｍｍ、端部の厚
みが５ｍｍ、中央の厚みが３．５ｍｍの鉄板を使用して
形成される。

【０００９】上板５は、図２及び図３に符号７で示す支
持物体としての建築物の土台に釘等で固定される。（図
３参照）。この上板５は、φ６０ｍｍ、端部の厚みが
３．５ｍｍ、中央の厚みが５．５ｍｍの鉄板を使用して
形成される。前記小丸球群２、４を構成する各小丸球
は、例えば、直径３ｍｍの鉄球を使用する。前記中板
３、３は、厚み３ｍｍの鉄板を使用して形成される。こ
の中板３、３は、図１に示すように、上板５及び下板１
よりも大径に形成されている。また、中板３、３は、何
れも全体が下向きの略円弧状に形成されている。

【００１０】図２に示す基礎コンクリート６は、在来木
造住宅の場合は一般的に幅が１２０ｍｍの長尺の四角柱
状に形成される。この基礎コンクリート６上に前記免震
器を介して載置される土台７は、１０５ｍｍ×１０５ｍ
ｍ又は１２０ｍｍ×１２０ｍｍの角材が一般的に使用さ
れる。在来木造住宅の構造材は全てこの土台７の上に乗
っているため、６０ｃｍ〜９０ｃｍの間隔で前記免震器
を設置することになる。

【００１１】図４に符号８で示すのは、前記基礎コンク
リート６と土台７とを固定するアンカーボルトである。
このアンカーボルト８の上部は土台７に固定され、下部
は基礎コンクリート６に固定され、上部と下部とを連結
する中間部がワイヤー若しくは鎖状に形成されている。
これにより、基礎コンクリート６と土台７との固定と定
着と減震とを得られるようする。

【００１２】図２の符号９は、土台７上に固定されるス
プリングワッシャー、図３の１０は後述する上板ストッ
パー１７の内壁に設けられたゴム板、図２の１１、１２
は、下板１の上面に設けられ、中板３の穴（図１の１４
等）に挿入されて下板１に対する中板３の移動範囲を規
制する止め部材（ピン）である。

【００１３】また、図１及び図２の１３は、上板５の端
部から下方に垂下され、この上板５に対する中板３の移
動範囲を規制する止め部材（ピン）、図１及び図２の１
４及び１５は、下板１及び上板５の止め部材（ピン）１
２、１３が挿入される揺れ吸収の為のピン穴、図１の１
６は、各板１、３、５上に敷き詰められる小丸球群２、
４の移動範囲を規制する壁部、図３の１７は、上板５の
端部から下方に垂下され、上板５と下板１との横揺れ範
囲を規制する上板ストッパー、図３の１８は、下板１と
中板との横揺れ範囲を規制する中板ストッパーである。

【００１４】ここで、前記上板ストッパー１７は、例え
ば下板１の径が６０ｍｍの場合、約２５ｍｍの横揺れを
吸収出来る。また、前記中板ストッパー１８は、図３の
場合、約２５ｍｍの遊びを作ってある。

【００１５】次に、本実施形態にかかる免震構造の作用
を説明する。なお、以下の説明は、図１に示した中板３
を２枚設置した場合の作用である。

【００１６】地震発生時等に、下板１は基礎コンクリー
ト６に固定されているため、地盤の揺れにつれて動く。
この時、下方の中板３は、下板１との間に敷き詰められ
た第１の小丸球球群２により揺れが吸収された結果、わ
ずかだけ動く。この中板３の動き（揺れ）は、その上に
敷き詰められた第２の小丸球群４によって吸収された上
で、上方の中板３に伝わる。そして、上方の中板３の上
の敷き詰められた第２の小丸球群４によってさらに揺れ
が吸収されるため、上板５までには揺れがほとんど伝わ
らない。この様に４枚の板を重ね合わせた場合には、下
板１の直径の約１／３程度の揺れまで吸収することが出
来る。このような免震器を少なくとも３個以上用いて支
持物体（建築物の土台）を支える支持床を作る。建築物
の場合は、横揺れに対応させるため前記アンカーボルト
８を使用して、基礎６からの脱落、飛び上がりを防ぐ必
要がある。

【００１７】小丸球はできるだけ小さく形成するのが好
ましい。実験ではφ６０ｍｍで中央を２．０ｍｍ低い円
弧にした下板１に対し、鉄製で３ｍｍの径の小丸球を一
段当り２９０個使用して小丸球群を構成した。これは、
小さな荷重でも球体の一点（面積０ｍｍ^２）で支えると
計算上は無限大の荷重になってしまうので、上部荷重を
数百、数千の点に分散する必要があるのと、小丸球を小
さくすることで、基礎と土台との隙間を１．５〜２．０
ｃｍ程度に抑えたいからである。またこれにより、土台
の防腐効果及び基礎コンクリートの切欠部分を作り強度
的に一番弱点であった風窓を不要にするネコ板と同じ効
果も得られる。

【００１８】下板と上板の二枚の間に小丸球を入れた物
を作り実験してみると、下板の横揺れに対して上板の横
揺れは非常に少なく、横揺れを止めると上板は中心に戻
ることを確認できた。一方、横揺れが多少の縦揺れとロ
ーリングを起こす場合には、図１や図２に示すように、
下板と上板との間に円弧状の中板を入れて二重若しくは
三重にする事により、ローリングはなくなり上下の揺れ
もなくなった。これにより複数の円弧状の中板を重ねる
ことで、上板（土台及び建築物）を略完全に静止させる
ことが出来ることが確認できた。

【００１９】在来木造住宅の場合、一般に基礎の幅は１
２０ｍｍである。その為、１００ｍｍ程度の震幅でも基
礎コンクリートから土台が飛び上がったり、脱落するこ
と若しくは基礎コンクリートそのものが破壊を起こす可
能性がある。また、台風等の風圧に耐えるためにも、図
４に示したアンカーボルト８を設ける必要がある。

【００２０】地震の大きさは揺れの振幅の大きさと波の
速度に関係するが、上記した構造は滑り摩擦が少なく、
特に早い波に有効である。この免震器で基礎幅の１／
４、つまり下板の１／２弱の減震効果が得られることに
なるので減震効果から逆算して費用や基礎幅を決めれば
良い。

【００２１】この発明は、在来木造住宅に的を絞った物
ではあるが、規模を大きくし、原子力発電所や精密機械
等にも使用でき、中板を２〜５枚又はそれ以上にして完
全静止状態も可能である。今までの大地震の振幅が２０
ｃｍ程度と言われているので、その振り幅の３倍程度の
直径６０ｃｍの板で、中央と端部の凹凸が２．０ｃｍ程
度となるように各板を形成すればよいと思われる（但
し、直下型地震以外）。また、防サビの観点から、セラ
ミック、プラスチック、ガラス、ステンレス等、鉄以外
の材料でも考えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】４枚の円弧状の板を使用した本発明の一実施形
態に係る免震器の要部断面図及び分解図である。

【図２】３枚の円弧状の板を使用した本発明の免震構造
の一例を示す側面図、要部拡大図及び各板の説明図であ
る。

【図３】同じく、３枚の円弧状の板を使用した本発明の
免震構造の一例を示す側面図及び各板の説明図である。

【図４】基礎及び土台をアンカーボルトで固定した状態
を示す要部断面図である。

【符号の説明】１：下板２：第１の小丸球群３：中板４：第２の小丸球群５：上板６：基礎コンクリート７：土台８：アンカーボルト９：スプリングワッシャー１０：ゴム板１１：止め部材（ピン）１２：止め部材（ピン）１３：止め部材（ピン）１４：ピン穴１５：ピン穴１６：壁部（ストッパー）１７：上板ストッパー１８：中板ストッパー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献実開平３−113004（ＪＰ，Ｕ) 実開昭63−179308（ＪＰ，Ｕ) 実開平５−24823（ＪＰ，Ｕ) 登録実用新案3034049（ＪＰ，Ｕ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】地盤に固定された基礎体と、この基礎
体上に土台が設置される建築物と、基礎体及び土台の間
に挟持される免震器と、前記基礎体から建築物が外れた
り、飛び上がることのないように固定するためのアンカ
ーボルトとを備え、前記免震器は、下面側が前記基礎体に固定され上面側が
下向き円弧状に形成された下板と、この下板上に設置さ
れ下板上を移動可能な多数の第１の小丸球群と、この第
１の小丸球群上に載置される下向き円弧状の中板と、こ
の中板上を移動可能な多数の第２の小丸球群と、この第
２の小丸球群上に下向き円弧状に形成された面が対向す
る状態で載置され、上面側が前記建築物の土台に固定さ
れる上板とを有することを特徴とする建築物の免震構
造。
【請求項２】請求項１記載の建築物の免震構造であっ
て、前記アンカーボルトは、前記建築物の土台に固定される
上部と、前記基礎体に固定される下部と、この上部及び
下部を連結するワイヤー若しくは鎖状の部材で形成され
た中間部とから構成されていることを特徴とする建築物
の免震構造。