JP3418237B2 - 像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置、並びに抄紙方向検出装置 - Google Patents

像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置、並びに抄紙方向検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、ファクシミ
リ、プリンター、印刷機等の画像形成装置によって像形
成物質を安定に付着させた像保持体から、該像形成物質
を取り除く像保持体からの像形成物質除去装置に係り、
詳しくは、繊維質の表面に像形成物質からなる画像が形
成されている像保持体に、該像形成物質と該像保持体と
の間の付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与す
る像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、記録済み像保持体としての用紙か
らトナーなどの像形成物質を除去する例えば像形成物質
除去方法及びその装置としては種々のものが知られてい
る。例えば溶剤を使用するものとして、特開平1−10
1576号公報には、トナーが付着された用紙をトナー
樹脂の可溶性溶剤中に浸漬させて超音波振動を印加し、
溶剤に溶解したトナーを紙面より遊離させる像形成物質
除去方法が開示されている。また、特開平4−3003
95号公報には、廃紙の印字部分に溶剤を浸漬、噴霧あ
るいは塗布等による方法で付着させてトナーを溶解し、
溶解したトナーを洗浄、エアー吸引、吸着剤接触、機械
剥離あるいは静電気吸着等による方法で除去する像形成
物質除去方法が開示されている。
【0003】一方、溶剤を使用しないものとして、例え
ば特開平2−55195号公報には、支持体上に離型剤
を塗布した印刷体に電子写真方式あるいは熱転写方式で
載せた熱溶融性インキあるいはトナーを、該印刷体にイ
ンキ剥離部材を重ね加熱ローラと圧力ローラの間を通
し、冷えてからインキ剥離部材を剥がすことにより、該
インキ剥離部材の方に付着させて除去する像形成物質除
去方法が開示されている。また特開平4−64472号
公報には、少なくとも、表面に熱溶融性樹脂を有するエ
ンドレスシートと、これを支えて回転させる熱ローラ及
び冷却ローラと、表面に離型処理をした紙(イレーザブ
ルペーパ)を軟化あるいは溶融した熱溶融性樹脂に押し
つける押圧ローラと、これらを連動して動かせる駆動部
からなるイレーザが開示されている。また特開平4−8
2983号公報には、互いに圧接して回転し圧接箇所に
紙を通過させる2本の並行に設けられたローラと、該2
本のローラの少なくとも一方を加熱するヒーターと、該
圧接箇所を通過した紙を前記ローラから分離する掻取具
と、前記ローラに付着した像形成物質を前記ローラから
除去する剥離装置とを備えた像形成物質除去装置が開示
されている。
【0004】ところで、上記溶剤を使用しない方法や装
置は、表面に紙繊維が露出している通常の紙に画像を記
録した記録済み像保持体から像形成物質を除去するのに
使用すると、例えば電子写真方式の定着工程で熱溶融性
樹脂を主成分とする像形成物質を像保持体に融着させる
などして、像形成物質が像保持体表面の繊維に強固に固
着されているので、像形成物質除去の際に像形成物質と
共に表面の紙繊維を剥ぎ取って紙質を損傷してしまう。
特に像形成物質の除去性を高めるために、上記インキ剥
離部材、エンドレスシートあるいはローラさせた上に熱
や圧力を加える場合、種々の条件によっては、逆に像形
成物質と像保持体との間の定着性を高めてしまって除去
を困難にすることもあった。
【0005】そこで、先に本出願人は、記録済み像保持
体に、不安定化剤としての水、界面活性剤を含む水溶
液、水溶性ポリマーを含む水溶液、及び界面活性剤と水
溶性ポリマーとを含む水溶液よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の水あるいは水溶液を保持させるととも
に、剥離部材を介在させ、像形成物質を該剥離部材に加
熱接着もしくは加圧接着して像保持体から剥離する像形
成物質除去方法を提案した(例えば、特願平4−255
916号参照)。これによれば、像保持体の紙質を比較
的損傷することなく、像形成物質のみを除去することが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、繊維質の像
保持体は、その製造時の抄紙工程によって繊維の方向が
略一方向に揃っている。図2(a)に示すように、例え
ば像保持体としての転写紙10においては、その1辺が
抄紙方向である繊維10aの方向と略平行な方向(以
下、T目方向)であり、それと直交する他の1辺が繊維
10aの方向に略直交する方向(以下、Y目方向とい
う)である。
【0007】そして、上記特願平4−255916号で
提案した像保持体からの像形成物質除去方法において、
上記T目方向と搬送方向とが一致した状態で転写紙10
が搬送された場合に、液が付与されて湿潤すると、図2
(b)に示すように、搬送方向と略直交する方向に波打
ちが発生しやすくなる。そして、図2(c)に示すよう
に、加熱及び加圧により乾燥させると、皺10bが発生
してしまう場合がある。特に、転写紙10の片面のみか
ら液を供給するような場合に、このような波打ち及び皺
が発生しやすい。
【0008】本発明は以上の問題点に鑑みなされたもの
であり、その第1の目的は、液付与による波打ち及び皺
の発生を防止できる像保持体からの像形成物質除去方法
及びその装置を提供することであり、また、その第2の
目的は、像保持体の抄紙方向を確実に検出することがで
きる抄紙方向検出装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、請求項1の発明は、繊維質の表面に像形成物
質からなる画像が形成されている像保持体に、該像形成
物質と該像保持体との間の付着状態を不安定状態にする
不安定化液を付与する像保持体からの像形成物質除去方
法において、該像保持体の抄紙方向が搬送方向と略直交
するように、該像保持体を搬送することを特徴とするも
のである。
【0010】請求項2の発明は、繊維質の表面に像形成
物質からなる画像が形成されている像保持体に、該像形
成物質と該像保持体との間の付着状態を不安定状態にす
る不安定化液を付与する不安定化液付与手段を備えた像
保持体からの像形成物質除去装置において、該像保持体
の抄紙方向を検出する抄紙方向検出手段と、該抄紙方向
検出手段の検出結果に基づいて、該抄紙方向が搬送方向
と略直交するように、該像保持体の搬送方向を揃える搬
送方向揃え手段とを備えたことを特徴とするものであ
る。
【0011】請求項3の発明は、繊維質の表面に像形成
物質からなる画像が形成されている像保持体に、該像形
成物質と該像保持体との間の付着状態を不安定状態にす
る不安定化液を付与する不安定化液付与手段を備えた像
保持体からの像形成物質除去装置において、該像保持体
の抄紙方向を検出する抄紙方向検出手段と、該抄紙方向
検出手段の検出結果に基づいて、該抄紙方向が搬送方向
と略直交する像保持体のみを搬送するように、該像保持
体を分別する像保持体分別手段とを備えたことを特徴と
するものである。
【0012】また、上記第2の目的を達成するために、
請求項4の発明は、像保持体の縁端に沿った互いに略直
交する方向に張力を与える張力付与手段と、該像保持体
の張力を与えた方向の伸び率を検出する伸び率検出手段
とを設けたことを特徴とするものである。
【0013】請求項5の発明は、像保持体を固定する固
定台と、該固定台上の像保持体の表面を押圧しながら該
表面に垂直な軸を中心に回転する加圧部材と、該加圧部
材の接触面とは反対の像保持体の表面に接触する接触
部、及び該加圧部材による該表面の移動に伴って変形す
る変形部を有する伸び率検出部材と、該伸び率検出部材
の変形部の歪を検出する歪検出手段とを設けたことを特
徴とするものである。
【0014】
【作用】請求項1の発明においては、繊維質の表面に像
形成物質からなる画像が形成されている像保持体の抄紙
方向が搬送方向と略直交するように、該像保持体を搬送
することより、該像保持体に上記不安定化液を付与して
湿潤させても、該像保持体に波打ちが発生しないように
なる。
【0015】請求項2の発明においては、上記抄紙方向
検出手段によって、繊維質の表面に像形成物質からなる
画像が形成されている像保持体の抄紙方向を検出し、上
記搬送方向揃え手段によって、該抄紙方向検出手段の検
出結果に基づき、該抄紙方向が搬送方向と略直交するよ
うに、該像保持体の搬送方向を揃えることにより、上記
不安定化液付与手段では、該像保持体が該抄紙方向と略
直交する方向に搬送され、該像保持体に上記不安定化液
を付与して湿潤させても、該像保持体に波打ちが発生し
ないようになる。
【0016】請求項3の発明においては、上記抄紙方向
検出手段によって、繊維質の表面に像形成物質からなる
画像が形成されている像保持体の抄紙方向を検出し、上
記像保持体分別手段によって、該抄紙方向検出手段の検
出結果に基づいて、該抄紙方向が搬送方向と略直交する
像保持体を搬送するように、該像保持体を分別すること
により、上記不安定化液付与手段に搬送される該像保持
体が、該抄紙方向と該搬送方向が略直交するもののみと
なり、該像保持体に上記不安定化液を付与して湿潤させ
ても、該像保持体に波打ちが発生しないようになる。
【0017】請求項4の発明においては、上記張力付与
手段によって、上記像保持体の縁端に沿った互いに略直
交する方向に張力を与え、上記伸び率検出手段によっ
て、該像保持体の張力を与えた方向の伸び率を検出する
ことにより、その伸び率の差から、該像保持体の抄紙方
向を知ることができる。ここで、該伸び率とは、検出対
象の伸びが生じ得る距離に対するその伸びの割合をい
い、該伸び率の小さい方向が該像保持体の抄紙方向であ
る。
【0018】請求項5の発明においては、上記固定台上
に上記像保持体を固定し、上位加圧部材の球状の先端部
で該固定台上の像保持体の表面を押圧しながら、該加圧
部材を該表面に垂直な軸を中心に回転させる。この加圧
部材の押圧及び回転により、該加圧部材の軸を中心に同
心円状に張力を与えることができ、該像保持体の縁端に
沿った互いに略直交する方向に張力を与えることができ
るようになる。そして、上記伸び率検出部材の接触部
が、該加圧部材の接触面とは反対の像保持体の表面に接
触しており、この接触部は、該像保持体との摩擦によっ
て該像保持体の伸びに従って移動する。そして、該伸び
率検出部材の変形部は、該接触部の該表面に沿った移動
に伴って変形する。そして、該伸び率検出部材の変形部
の歪は、該像保持体の伸び率に比例しているので、上記
歪検出手段で、該伸び率検出部材の変形部の歪を検出す
ることにより、該像保持体の伸び率を検出することがで
きる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を転写型の電子写真複写機によ
って画像が形成された像保持体としての転写紙から、像
形成物質としての熱溶融性トナー(以下、トナーとい
う)を取り除く像保持体からの像形成物質除去装置(以
下、トナー除去装置という)に適用した実施例について
説明する。
【0020】図1(a)は本実施例に係るトナー除去装
置の外観図であり、図3は、このトナー除去装置本体1
内部の概略構成図である。まず、トナー除去装置本体1
の概略について説明する。図3において、このトナー除
去装置本体1は、積載状態で収容しているトナー像が形
成された転写紙10を一枚づつ分離給送する給紙ユニッ
ト20と、給紙ユニット20から送られてきた転写紙1
0に液を供給する液供給ユニット30と、液が供給され
た転写紙10からトナーを剥離する剥離手段としてのト
ナー剥離ユニット40と、トナーが除去された転写紙1
0を乾燥させる乾燥ユニット60と、乾燥ユニット60
から排出される転写紙10を受ける紙受けユニット70
とを備えている。
【0021】上記給紙ユニット20は、トナー像が形成
された面(以下、トナー像面という)を下に向けて給紙
台21上に積載された転写紙10を最下部のものから給
紙ローラ22で給紙し、分離ローラ対23で重送紙を分
離して一枚の転写紙10のみを給紙搬送ローラ対24で
送り出すものである。その具体的な構成及び動作は電子
写真複写機における給紙機構と同様であるので、詳細な
説明は省略する。
【0022】上記液供給ユニット30は、水又は転写紙
10への浸透性を向上させるために界面活性剤を含んだ
水溶液などの液31を転写紙10に供給するものであ
り、液を収容する液容器32と、この液容器32中の液
中に部分的に没するように設けられ回転によって液を汲
み上げて転写紙10のトナー像面に供給する塗布ローラ
33と、紙搬送経路を挟んでこの塗布ローラ33に対向
するように設けられた紙規制部材としての規制ローラ3
4とを備えている。この塗布ローラ33としては、保液
性を有する材質、例えば、親水性多孔質材質、スポンジ
などからなるローラや、ゴムなどの弾性体又は金属など
の剛体からなるローラなどを用いることができる。
【0023】上記規制ローラ34は塗布ローラ33との
間で転写紙10を挾持して搬送できるように、塗布ロー
ラ33表面に押圧させるか又は水が供給されて増大した
状態の転写紙10の厚み(紙内部に浸透した液量によっ
ては厚みが50%程度増大する)よりも小さなギャップ
をおいて塗布ローラ33に対向させて設け、時計回りに
回転するようにしても良いし、この増大した状態の転写
紙10の厚みよりも大きなギャップおいて塗布ローラ3
3に対向させて設け、時計回りに回転させるようにして
も良い。
【0024】また、この液供給ユニット30には、給紙
ユニット20から送られてくる転写紙10を塗布ローラ
33と規制ローラ34との対向部(以下、液供給部とい
う)に案内する第1紙ガイド機構35と、液供給部を通
過した転写紙10をトナー剥離ユニット40側に案内す
る第2紙ガイド機構36とを備えている。
【0025】上記トナー剥離ユニット40は、複数のベ
ルト支持ローラ(以下、支持ローラという)41,4
2,43に掛け回された剥離ベルトとしてのトナーオフ
セット用ベルト(以下、オフセットベルトという)44
と、オフセットベルト44を挟んで互いに圧接し合うよ
うに設けられた加熱ランプ45a,46a内蔵の上下加
熱ローラ45,46と、オフセットベルト44表面から
トナーを除去するベルトクリーニング装置47とを備え
ている。このオフセットベルト44の少なくとも表面
は、軟化したトナーに対して、転写紙10の表面と該ト
ナーとの付着力より大きい付着力を有する材料で形成さ
れている。例えばベルト自体がアルミ系、銅系、ニッケ
ル系など金属材料、又は酸化チタンを分散させたポリエ
チレンテレフタレート(PET)などの高分子系材料で
形成されている。
【0026】このオフセットベルト44を支持する支持
ローラのうち、上下加熱ローラ45,46の加圧部を通
過した後のベルト部分が巻き付く支持ローラ(以下、分
離ローラという)43の回りで、ベルトの移動方向を急
激に変化させて、オフセットベルト44からの転写紙1
0の曲率分離を行わせることができるように、この分離
ローラ43とベルトクリーニングユニットに対向する支
持ローラ41との間のベルト部分を内側に押し込む案内
ローラ48が設けられている。また上記加圧部に進入し
ていくベルト部分が巻き付く支持ローラ42はベルト寄
り防止のためにクラウンローラになっている。この支持
ローラ42とベルトクリーニングユニット対向の支持ロ
ーラ41との間のベルト部分を内側に押し込むテンショ
ンローラ49も設けられている。
【0027】また、上記上下加熱ローラ45,46は、
転写紙10のトナー像面をオフセットベルト44に密着
させるとともに転写紙10に固着しているトナーを加熱
して軟化させるものである。
【0028】また、上記ベルトクリーニング装置47
は、オフセットベルト44周面に断続的な引っ掻き力を
及ぼして付着トナーを除去する回転ブラシローラ50
と、この回転ブラシローラ50よりもベルト移動方向下
流側で、ベルト周面に接触し摩擦力によるスクラブで付
着トナーを除去するパッド51とを備え、これらにより
ベルト周面から除去されたトナーをユニットケーシング
52内に収容するようになっている。
【0029】また、このトナー剥離ユニット40には、
液供給ユニット30側から送られてくる転写紙10を、
加圧部に進入させるための挾持搬送手段としての中継搬
送ローラ対53が設けられている。また、加圧部を通過
し、かつ分離ローラ部でオフセットベルト44から曲率
分離された転写紙10を乾燥ユニット60側に案内する
ための上下ガイド部材54も設けられている。
【0030】上記乾燥ユニット60は、例えば転写紙1
0の液保持量が紙重量の10%以下になるように転写紙
10を乾燥させるものであり、加熱ランプ61a内蔵の
例えばアルミからなる加熱ドラム61と、複数の支持ロ
ーラ62に掛け渡され、該加熱ドラム61の周面に一定
角度巻きついた状態で無端移動する紙押圧用ベルト63
とから構成されている。図示の例では一つの支持ローラ
62がテンションローラを兼ねている。上記紙押圧用ベ
ルト63の材質としては、耐熱性や通気性を備えた材
質、例えばキャンバス地、木綿地、テトロン地などの布
を用いることができる。
【0031】また、この乾燥ユニット60には、加熱ド
ラムと紙押圧用ベルトとの挾持領域を抜け出した転写紙
10をガイドする上下ガイド部材64と、これによりガ
イドされてきた転写紙10を紙受けユニット70の紙受
け面上に排紙するための排紙ローラ対65が設けられて
いる。
【0032】以上の構成において、給紙ユニット20か
ら送られた転写紙10は、液供給ユニット30でそのト
ナー像面に液が均一に供給され、トナー剥離ユニット4
0に送られる。このトナー剥離ユニット40で、転写紙
10に固着しているトナーが加熱ローラ45,46から
の加熱で軟化し、オフセットベルト44表面に付着す
る。そして分離ローラ43の回りで転写紙10とオフセ
ットベルト44から分離する際に、オフセットベルト4
4表面に付着したトナーが転写紙10から剥離し、これ
により、転写紙10からトナーが除去される。トナーが
除去された転写紙10は乾燥ユニット61で乾燥され、
紙受けユニット70に排出される。
【0033】以上の構成によれば、トナーが付着した転
写紙10に液を供給して転写紙10のトナーとの界面部
に液を浸透させた状態でトナーを剥離させるので、紙繊
維を傷めることなく、トナーを除去できる。 (以下、余白)
【0034】ところで、上記トナー除去装置本体1にお
いて、転写紙10のT目方向と搬送方向とが一致した状
態で転写紙10が搬送された場合に、上記液供給ユニッ
トで不安定化液が付与されて湿潤すると、図2(b)に
示すように、搬送方向と略直交する方向に波打ちが発生
し、トナー剥離工程を経た後、上記乾燥ユニットで乾燥
すると、図2(c)に示すように、皺10bが発生して
しまう場合がある。
【0035】そこで、本実施例では、転写紙10の抄紙
方向が搬送方向と略直交するように、転写紙10を搬送
している。以下、この方法の具体的な構成について説明
する。図1(a)において、装置本体1の給紙ユニット
20側に、転写紙10の抄紙方向を検出する抄紙方向検
出手段としての抄紙方向検出装置と、該抄紙方向検出装
置の検出結果に基づいて、該抄紙方向が搬送方向と略直
交するように、転写紙10の搬送方向を揃える搬送方向
揃え手段が設けられている。上記抄紙方向検出装置は、
転写紙10の縁端に沿った互いに略直交する方向に張力
を与える張力付与手段と、該転写紙10の張力を与えた
方向の伸び率を検出する伸び率検出手段とにより構成さ
れる。
【0036】上記張力付与手段としては、図1(a)及
び(b)に示すように固定台80と加圧部材としての回
転子85とを備えている。固定台80は、回転軸81
と、この回転軸81上に固着され、転写紙10を必要に
応じて静電吸着で固定できる静電吸着テーブル82と、
回転軸81の駆動部(不図示)とにより構成されてい
る。また、回転子85は、回転軸86と、この回転軸8
6の先端に固着された球状の加圧先端部87と、固定台
80上の転写紙10の表面に加圧先端部87を押圧しな
がら回転軸86を矢印A方向に回転させる駆動部(不図
示)とにより構成されている。なお、上記静電吸着テー
ブル82と給紙ユニット20との間には転写紙10の搬
送をガイドする搬送ガイド100が配設されている。
【0037】図1(b)において、上記回転子85を転
写紙10に押圧しながら、矢印A方向に任意の角度だけ
回転させると、同心円状に張力が発生し、転写紙10上
に例えば矢印B1,B2で示すような伸びが生じる。この
伸びが小さい方向B2が転写紙10の抄紙方向Cと略一
致する。
【0038】また、本実施例では、上記転写紙10の伸
び率を検出する伸び率検出手段として、図5に示すよう
に、上記回転子85の押圧及び回転により伸びている領
域の転写紙10(図5中では不図示)の下方に、同心円
状に4つの伸び率検出部材90a,b,c,dが配設さ
れている。
【0039】各伸び率検出部材90a,b,c,dは、
転写紙10の表面に接触する接触部としての摩擦板91
a,b,c,d、及び該摩擦板91a,b,c,dに一
端が固着され、摩擦板91a,b,c,dの転写紙10
表面に沿った移動に伴って変形する変形部としての薄板
92a,b,c,dを有している。そして、薄板92
a,b,c,dの表面には、薄板92a,b,c,d歪
を検出する歪検出手段としての歪ゲージ93a,b,
c,dが取り付けられている。この歪ゲージ93a,
b,c,dには、それぞれ一定電圧が印加されており、
薄板92a,b,c,dの歪が変化すると、歪ゲージ9
3a,b,c,dの電気抵抗が変化し、その電圧印加回
路の電流(mA)が変化するので、この電流変化から、薄
板92a,b,c,dの歪の変化を検出することができ
る。なお、この電流変化のデータ信号は、図示しない応
力トランス、A/Dコンバータ等を介して、装置本体の
CPU,RAM,ROM,I/Oインターフェース等で
構成された主制御電装部に送られる。
【0040】また、図6に示すように、上記伸び率検出
部材90a,b,c,dは、固定台80の静電吸着テー
ブル82の中央部に形成された開口82aに配設されて
いる。
【0041】上記構成の伸び率検出手段において、摩擦
板91a,b,c,dは、転写紙10との摩擦によって
転写紙10の伸びに従って移動する。そして、薄板92
a,b,c,dは、摩擦板91a,b,c,dの転写紙
10表面に沿った移動に伴って変形する。そして、上記
歪ゲージ93a,b,c,dを用いた歪検出手段で、薄
板92a,b,c,dの歪を検出することにより、摩擦
板91a,b,c,dの移動、即ち転写紙10の伸びを
検出することができる。ここで、上記伸び率検出部材9
0a,b,c,dが、回転子85の回転軸を中心として
同心円状に配設され、直接の検出対象の伸びが生じ得る
距離が互いに同一になっているので、直接検出対象の転
写紙10の伸びの検出データを比較することで、転写紙
10の伸び率の比較ができるようになる。そして、この
伸び率が小さい方向が抄紙方向である。
【0042】また、本実施例では、上記抄紙方向検出装
置の検出結果に基づいて、転写紙10の抄紙方向が搬送
方向と略直交するように、転写紙10の搬送方向を揃え
る搬送方向揃え手段として、上記固定台80及びその回
転駆動部を用いている。上記抄紙方向の検出が終了した
後、その検出した抄紙方向が搬送方向と略直交する場合
には、固定台80は回転せずにそのままの状態で静電吸
着を解除して、図7(b)に示すように、上記回転子8
5を用いて転写紙10を搬送ガイド100上に移動し、
給紙ユニット20上に搬送する。一方、検出した抄紙方
向が搬送方向と略一致する場合には、図7(a)に示す
ように固定台80を90度回転させた後、静電吸着を解
除して、図7(b)に示すように、上記回転子85を用
いて転写紙10を搬送ガイド100上に移動し、給紙ユ
ニット20上に搬送する。ここで、これらの固定台80
などの駆動制御は、上記制御電装部を介して行なう。な
お、上記搬送方向揃え手段としては、上記固定台80な
どに代えて、独立の回転搬送ユニットを設けても良い。
【0043】以上、本実施例によれば、上記抄紙方向検
出装置を用いて、転写紙10の抄紙方向を簡単、かつ確
実に検出できるようになる。また、その抄紙方向検出装
置の検出結果に基づいて、その抄紙方向が搬送方向と略
直交するように、転写紙10の搬送方向を揃えることに
より、上記液供給ユニットで、転写紙10がその抄紙方
向と略直交する方向に搬送され、転写紙10に上記不安
定化液を付与しても湿潤させても、転写紙10に波打ち
が発生しないようになるので、上記乾燥ユニットで乾燥
した後においては皺が発生しないようになる。
【0044】なお、上記実施例においては、上記抄紙方
向検出装置の検出結果に基づいて、転写紙10の抄紙方
向が搬送方向と略直交するように、転写紙10の搬送方
向を揃える搬送方向揃え手段を設けているが、これに代
え、上記抄紙方向検出装置の検出結果に基づいて、抄紙
方向が搬送方向と略直交する転写紙10のみを給紙ユニ
ット20上に搬送するように、転写紙10を分別する転
写紙分別ユニットを上記固定台80と給紙ユニット20
との間に設けてもよい。
【0045】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、繊維質の表面
に像形成物質からなる画像が形成されている像保持体の
抄紙方向が搬送方向と略直交するように、該像保持体を
搬送することより、該像保持体に上記不安定化液を付与
して湿潤させても、該像保持体に波打ちが発生しないの
で、該像保持体を乾燥した後の皺の発生を防止できると
いう効果がある。
【0046】請求項2の発明によれば、上記抄紙方向検
出手段によって、繊維質の表面に像形成物質からなる画
像が形成されている像保持体の抄紙方向を検出し、上記
搬送方向揃え手段によって、該抄紙方向検出手段の検出
結果に基づき、該抄紙方向が搬送方向と略直交するよう
に、該像保持体の搬送方向を揃えることにより、上記不
安定化液付与手段では、該像保持体が該抄紙方向と略直
交する方向に搬送され、該像保持体に上記不安定化液を
付与して湿潤させても、該像保持体に波打ちが発生しな
いので、該像保持体を乾燥した後の皺の発生を防止でき
るという効果がある。
【0047】請求項3の発明によれば、上記抄紙方向検
出手段によって、繊維質の表面に像形成物質からなる画
像が形成されている像保持体の抄紙方向を検出し、上記
像保持体分別手段によって、該抄紙方向検出手段の検出
結果に基づいて、該抄紙方向が搬送方向と略直交する像
保持体を搬送するように、該像保持体を分別することに
より、上記不安定化液付与手段に搬送される該像保持体
が、該抄紙方向と該搬送方向が略直交するもののみとな
り、該像保持体に上記不安定化液を付与して湿潤させて
も、該像保持体に波打ちが発生しないので、該像保持体
を乾燥した後の皺の発生を防止できるという効果があ
る。
【0048】請求項4の発明によれば、上記張力付与手
段によって、上記像保持体の縁端に沿った互いに略直交
する方向に張力を与え、上記伸び率検出手段によって、
該像保持体の張力を与えた方向の伸び率を検出すること
により、その伸び率の差から、該像保持体の抄紙方向を
確実に検出できるようになるという効果がある。
【0049】請求項5の発明によれば、上記固定台上に
上記像保持体を固定し、上位加圧部材の球状の先端部で
該固定台上の像保持体の表面を押圧しながら、該加圧部
材を該表面に垂直な軸を中心に回転させ、この加圧部材
の押圧及び回転により、該像保持体の縁端に沿った互い
に略直交する方向に張力を与えることができる。そし
て、上記像保持体の伸びに従って移動する上記伸び率検
出部材の変形部の歪を、上記歪検出手段で検出すること
により、該像保持体の伸び率を確実に検出することがで
きるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施例に係るトナー除去装置本体及び
抄紙方向検出装置の概略構成を示す斜視図。(b)は同
抄紙検出装置における転写紙に押圧された回転子の拡大
図。
【図2】(a)、(b)及び(c)は転写紙の波打ち及
び皺の発生の様子を示す説明図。
【図3】実施例に係るトナー除去装置本体の概略構成
図。
【図4】転写紙に張力を与えたときの伸びの様子を示す
説明図。
【図5】転写紙の伸びの発生状況と伸び率検出部材の配
置とを示した模式図。
【図6】転写紙へ押圧される回転子、及び転写紙に接触
する伸び率検出部材の側面図。
【図7】転写紙の抄紙方向検出後の転写紙の回転搬送の
説明図。
【符号の説明】
1 トナー除去装置本体 10 転写紙 20 給紙ユニット 80 固定台 81 回転軸 82 静電吸着テーブル 85 回転子 86 回転軸 87 加圧先端部 90 伸び率検出部材 91 摩擦板 92 薄板 93 歪ゲージ 100 搬送ガイド

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維質の表面に像形成物質からなる画像が
    形成されている像保持体に、該像形成物質と該像保持体
    との間の付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与
    する像保持体からの像形成物質除去方法において、 該像保持体の抄紙方向が搬送方向と略直交するように、
    該像保持体を搬送することを特徴とする像保持体からの
    像形成物質除去方法。
  2. 【請求項2】繊維質の表面に像形成物質からなる画像が
    形成されている像保持体に、該像形成物質と該像保持体
    との間の付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与
    する不安定化液付与手段を備えた像保持体からの像形成
    物質除去装置において、 該像保持体の抄紙方向を検出する抄紙方向検出手段と、 該抄紙方向検出手段の検出結果に基づいて、該抄紙方向
    が搬送方向と略直交するように、該像保持体の搬送方向
    を揃える搬送方向揃え手段とを備えたことを特徴とする
    像保持体からの像形成物質除去装置。
  3. 【請求項3】繊維質の表面に像形成物質からなる画像が
    形成されている像保持体に、該像形成物質と該像保持体
    との間の付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与
    する不安定化液付与手段を備えた像保持体からの像形成
    物質除去装置において、 該像保持体の抄紙方向を検出する抄紙方向検出手段と、 該抄紙方向検出手段の検出結果に基づいて、該抄紙方向
    が搬送方向と略直交する像保持体のみを搬送するよう
    に、該像保持体を分別する像保持体分別手段とを備えた
    ことを特徴とする像保持体からの像形成物質除去装置。
  4. 【請求項4】像保持体の縁端に沿った互いに略直交する
    方向に張力を与える張力付与手段と、 該像保持体の張
    力を与えた方向の伸び率を検出する伸び率検出手段とを
    設けたことを特徴とする抄紙方向検出装置。
  5. 【請求項5】像保持体を固定する固定台と、 該固定台上の像保持体の表面を押圧しながら該表面に垂
    直な軸を中心に回転する加圧部材と、 該加圧部材の接触面とは反対の像保持体の表面に接触す
    る接触部、及び該接触部の該表面に沿った移動に伴って
    変形する変形部を有する伸び率検出部材と、 該伸び率検出部材の変形部の歪を検出する歪検出手段と
    を設けたことを特徴とする抄紙方向検出装置。
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