JPH08262937A - 像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置 - Google Patents

像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置

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JPH08262937A
JPH08262937A JP7091594A JP9159495A JPH08262937A JP H08262937 A JPH08262937 A JP H08262937A JP 7091594 A JP7091594 A JP 7091594A JP 9159495 A JP9159495 A JP 9159495A JP H08262937 A JPH08262937 A JP H08262937A
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toner
forming substance
peeling
image forming
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JP7091594A
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Tomoaki Sugawara
智明 菅原
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 剥離部材表面部が、像形成物質を付着させや
すく、かつ除去しやすいという、一見相反する特性を備
えた剥離部材を用いることで、繰り返し使用しても、良
好な剥離効果を維持できる像保持体からの像形成物質除
去方法及びその装置を提供する。 【構成】 トナーに対して付着力を有するオフセットベ
ルト34をトナーに接触させた後、転写紙10をオフセ
ットベルト34から分離させて該転写紙10からトナー
を剥離する剥離ユニット30と、該転写紙10から剥離
されてオフセットベルト34に付着したトナーをオフセ
ットベルト34から取り除くための回転ブラシローラ3
6とを設け、オフセットベルト34のトナーに接触する
表面部を、トナーとの付着力が異なる部分が混在するよ
うに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、ファクシミ
リ、プリンター等の画像形成装置によって像形成物質が
安定に付着した像保持体としての例えば転写材から、像
形成物質を取り除く像保持体からの像形成物質除去方法
及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、記録済み転写材としての用紙から
トナーなどの像形成物質を除去する例えば像形成物質除
去方法及びその装置としては種々のものが知られてい
る。例えば溶剤を使用するものとして、特開平1−10
1576号公報には、トナーが付着された用紙をトナー
樹脂の可溶性溶剤中に浸漬させて超音波振動を印加し、
溶剤に溶解したトナーを紙面より遊離させる像形成物質
除去方法が開示されている。また、特開平4−3003
95号公報には、廃紙の印字部分に溶剤を浸漬、噴霧あ
るいは塗布等による方法で付着させてトナーを溶解し、
溶解したトナーを洗浄、エアー吸引、吸着剤接触、機械
剥離あるいは静電気吸着等による方法で除去し、その後
乾燥・延伸などの紙の仕上げを行う像形成物質除去方法
が開示されている。
【0003】一方、溶剤を使用しないものとして、例え
ば特開平2−55195号公報には、支持体上に離型剤
を塗布した印刷体に電子写真方式あるいは熱転写方式で
載せた熱溶融性インキあるいはトナーを、該印刷体にイ
ンキ剥離体を重ね加熱ローラと圧力ローラの間を通し、
冷えてからインキ剥離体を剥がすことにより、該インキ
剥離体の方に付着させて除去する像形成物質除去方法が
開示されている。また特開平4−64472号公報に
は、少なくとも、表面に熱溶融性樹脂を有するエンドレ
スシートと、これを支えて回転させる熱ローラ及び冷却
ローラと、軟化あるいは溶融した熱溶融性樹脂に表面に
離型処理をした紙(イレーザブルペーパ)を押しつける
押圧ローラと、これらを連動して動かせる駆動部からな
るイレーザが開示されている。また特開平4−8298
3号公報には、互いに圧接して回転し圧接箇所に紙を通
過させる2本の並行に設けられたローラと、該2本のロ
ーラの少なくとも一方を加熱するヒーターと、該圧接箇
所を通過した紙を前記ローラから分離する掻取具と、前
記ローラに付着した像形成物質を前記ローラから除去す
る剥離装置とを備えた像形成物質除去装置が開示されて
いる。
【0004】ここで、上記溶剤を使用しない方法や装置
は、表面に紙繊維が露出している通常の紙に画像を記録
した記録済み転写材から像形成物質を除去するのに使用
すると、例えば電子写真方式の定着工程で熱溶融性樹脂
を主成分とする像形成物質を転写材に融着させるなどし
て、像形成物質が転写材表面の繊維に強固に固着されて
いるので、像形成物質除去の際に像形成物質と共に表面
の紙繊維を剥ぎ取って紙質を損傷してしまう。特に像形
成物質の除去性を高めるために、上記インキ剥離体、エ
ンドレスシートあるいはローラに熱や圧力を加える場
合、種々の条件によっては、逆に像形成物質と転写材と
の間の定着性を高めてしまって除去を困難にすることも
あった。
【0005】そこで、先に本出願人は、記録済み転写材
に、不安定化剤としての水、界面活性剤を含む水溶液、
水溶性ポリマーを含む水溶液、及び界面活性剤と水溶性
ポリマーとを含む水溶液よりなる群から選ばれた少なく
とも1種の水あるいは水溶液を保持させるとともに、剥
離部材を介在させ、像形成物質を該剥離部材に加熱接着
もしくは加圧接着して転写材から剥離する像形成物質除
去方法を提案した(例えば、特願平4−255916
号、あるいは特願平5−239075号参照)。これに
よれば、転写材の紙質を比較的損傷することなく、像形
成物質のみを除去することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な剥離部材を用いて像保持体から像形成物質を剥離して
除去する像形成物質除去装置においては、該剥離部材と
像形成物質との付着力が像保持体と像形成物質との付着
力よりも強くなるような材質を用いて該剥離部材を構成
しているが、この付着力が強くなりすぎると、剥離部材
上に付着した像形成物質を該剥離部材上から取り除く剥
離部材清掃手段を用いても取りきれず、像形成物質が該
剥離部材上に残ってしまうことがある。例えば、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)で剥離部材表面の全面
にわたって像形成物質との強い付着力を有するように構
成されているような場合、該剥離部材と像形成物質との
付着力が強くなりすぎて、剥離部材上に上記のような取
りきれない像形成物質が残ってしまうことがある。そし
て、このような像形成物質が清掃後の剥離部材上に残っ
た場合には、次の剥離処理において、剥離部材の表面
に、像保持体上の像形成物質を像保持体から良好に分離
させることができない部分が生じてしまう。そこで、剥
離部材表面に残ってしまった像形成物質を、例えば上記
清掃手段などを強い力で摺擦させて掻き取ることが考え
られるが、このような方法で該表面に残留した像形成物
質を掻き取った場合、経時的な使用により剥離部材を早
く摩耗させ、剥離部材の寿命を短くしてしまうという不
具合が生じてしまう。このため、像保持体から像形成物
質を良好に剥離し、剥離部材上に付着させることができ
る性質と、該剥離部材上に付着させた像形成物質を上記
清掃手段などによって該剥離部材上から容易に除去する
ことができる性質との、両方の性質を兼ね備えた剥離部
材が望まれていた。
【0007】本発明は以上の問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的とするところは、剥離部材表面部が、
像保持体上の像形成物質を付着させやすく、かつ剥離部
材に付着させた像保持体を、該剥離部材から除去しやす
くするという、一見相反する特性を備えた剥離部材を用
いることによって、剥離部材を繰り返し使用しても、良
好な剥離効果を維持することができる像保持体からの像
形成物質除去方法及びその装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の像形成物質除去方法は、表面に像形成物
質が安定に付着している像保持体から、該像形成物質を
取り除く像保持体からの像形成物質除去方法において、
該像形成物質に対する付着力の異なる部分が混在するよ
うに構成した剥離部材の表面部を、該像保持体上の該像
形成物質に接触させた後、該像保持体を該剥離部材から
分離させて該像保持体から該像形成物質を剥離する工程
と、該像保持体から剥離されて該剥離部材に付着した像
形成物質を該剥離部材から取り除く剥離部材清掃工程と
を有することを特徴とするものである。
【0009】請求項2の像形成物質除去装置は、表面に
像形成物質が安定に付着している像保持体から、該像形
成物質を取り除く像保持体からの像形成物質除去装置に
おいて、該像形成物質に対して付着力を有する剥離部材
を該像形成物質に接触させた後、該像保持体を該剥離部
材から分離させて該像保持体から像形成物質を剥離する
剥離手段と、該像保持体から剥離されて該剥離部材に付
着した像形成物質を該剥離部材から取り除くための剥離
部材清掃手段とを設け、該剥離部材の像形成物質に接触
する表面部を、該像形成物質に対する付着力の異なる部
分が混在するように、構成したことを特徴とするもので
ある。
【0010】なお、ここで、上記剥離部材清掃手段は、
例えば、剥離部材表面を摺擦可能なように回転可能に構
成された非金属性ブラシや、少なくとも表面が金属材料
で構成され、表面が剥離部材に圧接されて剥離部材の移
動に伴い回動可能に構成された円筒状部材や、端部が剥
離部材表面に当接されたブレードで構成することができ
る。
【0011】請求項3の像形成物質除去装置は、請求項
2の像形成物質除去装置において、上記表面部におい
て、付着力が異なる部分のうち、少なくとも1つの部分
を、有機高分子で構成したことを特徴とするものであ
る。
【0012】請求項4の像形成物質除去装置は、請求項
2または3の像形成物質除去装置において、上記表面部
において、相対的に付着力が低くなる部分を、無機粉体
で構成したことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】請求項1乃至4の像形成物質除去方法及びその
装置においては、像形成物質との付着力が異なる部分が
混在するように構成した剥離部材の表面部を、像保持体
上の像形成物質に接触させる。そして、該像保持体を該
剥離部材から分離させて該像保持体から該像形成物質を
剥離するとき、像保持体上の像形成物質の一部がが、剥
離部材表面部における付着力の高い部分に付着し、トナ
ーの持つ凝集力により、他の部分もそれに引っ張られる
ようにして塊として像保持体から剥離されて該表面部に
像形成物質が付着する。このようにして像保持体から剥
離され、剥離部材に付着した像形成物質は、次の剥離処
理が行なわれる前までに、剥離部材清掃手段によって剥
離部材の表面部から除去される。このとき、該表面部に
おける付着力の低い部分は、該清掃手段によって像形成
物質を除去するときに、該表面部から最も剥がれやすく
なる部分である。このため、この部分が像形成物質除去
の起点となり、トナーの持つ凝集力により、他の部分も
それに引っ張られるようにして、ある程度の塊として該
表面部から除去される。このように、剥離部材表面部の
全体にわたって一定の付着力を有している場合に比し
て、該表面部における最も剥がれやすくなる部分を起点
に像形成物質を剥離することから、像形成物質を該表面
部から除去しやすくなる。また、該表面部に付着した像
形成物質を、該清掃手段による強い力で掻き取る必要が
なくなるので、該表面部の摩耗が減少する。
【0014】特に、請求項3の像形成物質除去装置にお
いては、有機高分子材料には、像形成物質に対する付着
特性について広範囲の特性を持ったものが多数存在する
ので、この中から像形成物質に対する付着特性の異なる
材料を容易に選択することができ、この選択した材料を
用いて剥離部材表面部を形成する。なお、有機高分子の
中に、適当な混合物を混合して分散させて該表面部を形
成してもよい。また、該表面部に有機高分子を用いるこ
とで、例えば、剥離処理を高温雰囲気下で行なう場合、
該表面部の有機高分子と像形成物質を構成している有機
高分子とが、該表面部を金属材料で構成した場合に比し
て粘着しやすくなり、該像保持体上の像形成物質が容易
に剥離されて剥離部材側へ付着する。
【0015】特に、請求項4の像形成物質除去装置にお
いては、主に、付着力の低い部分に無機粉体を用いるこ
とにより、上記剥離部材の表面部を、異なる付着力を有
する部分を容易に構成することができる。更に、清掃手
段による清掃時の荷重を硬い部分である無機粉体で受け
るので、剥離部材の摩耗に対する耐性も向上し、剥離部
材自体の剛性も向上する。
【0016】
【実施例】以下、本発明を転写型の電子写真複写機によ
って画像が形成された像保持体としての転写紙から、像
形成物質としての疎水性でかつ熱可撓性の電子写真用ト
ナー(以下、トナーという)を取り除く像保持体からの
像形成物質除去装置(以下、トナー除去装置という)に
適用した実施例について説明する。
【0017】まず、本発明を適用できるトナー除去装置
の一例の概略について説明する。図1において、このト
ナー除去装置は、積載状態で収容しているトナー像が形
成された転写紙10を一枚づつ分離給送する図示しない
給紙ユニットから送られてきた転写紙10に液を供給す
る液供給ユニット20と、液が供給された転写紙10か
らトナーを剥離する剥離手段としてのトナー剥離ユニッ
ト30と、トナーが除去された転写紙10を乾燥させ、
図示しない紙受けユニットに転写紙10を排出する乾燥
ユニット40とを備えている。
【0018】上記トナー除去装置において転写紙10
は、給紙ユニットにより、トナー像が形成された面(以
下、トナー像面という)を下に向けた状態で、重送紙が
分離されて一枚の転写紙10のみが液供給ユニット20
に送り出される。この給紙ユニットの具体的な構成及び
動作は電子写真複写機における給紙機構と同様であるの
で、詳細な説明は省略する。
【0019】上記液供給ユニット20は、水又は転写紙
10への浸透性を向上させるために界面活性剤を含んだ
水溶液などの液21を転写紙10に供給するものであ
る。図示の例では、液を収容する液容器22と、この液
容器22中の液中に部分的に没するように設けられ回転
によって液を汲み上げて転写紙10のトナー像面に供給
する塗布ローラ23と、紙搬送経路を挟んでこの塗布ロ
ーラ23に対向するように設けられた搬送ローラ24と
を備えている。この塗布ローラ23としては、保液性を
有する材質、例えば、親水性多孔質材質、スポンジなど
からなるローラや、ゴムなどの弾性体又は金属などの剛
体からなるローラなどを用いることができる。
【0020】上記トナー剥離ユニット30は、複数のベ
ルト支持ローラ(以下、支持ローラという)31,32
及び加熱ランプ33a内蔵の加熱支持部材33に掛け回
されたベルト状の剥離部材としてのトナーオフセット用
ベルト(以下、オフセットベルトという)34と、オフ
セットベルト34を挟んで加熱支持部材33に圧接する
ように設けられた加熱ランプ35a内蔵の加圧ローラ3
5と、オフセットベルト34表面からトナーを除去する
回転ブラシローラ36とを備えている。このオフセット
ベルト34の少なくとも表面は、軟化したトナーに対し
て、転写紙10の表面と該トナーとの付着力より大きい
付着力を有する材料で形成されている。例えばベルト自
体をアルミ系、銅系、ニッケル系など金属材料、又は酸
化チタンを分散させたポリエチレンテレフタレート(P
ET)などの高分子系材料で形成することができる。
【0021】このオフセットベルト34を支持する加熱
支持部材33は、加圧ローラ35との加圧部を通過した
後のベルトの移動方向を急激に変化させて、オフセット
ベルト34からの転写紙10の曲率分離を行わせるよう
になっている。
【0022】また、上記加熱支持部材33及び加圧ロー
ラ35は、転写紙10のトナー像面をオフセットベルト
34に密着させるとともに転写紙10に固着しているト
ナーを加熱して軟化させるものである。
【0023】また、上記回転ブラシローラ36は、オフ
セットベルト34周面に断続的な引っ掻き力を及ぼして
付着トナーを除去するように構成されている。
【0024】上記乾燥ユニット40は、例えば転写紙1
0の液保持量が紙重量の10%以下になるように転写紙
10を乾燥させるものであり、加熱ランプ41a内蔵の
例えばアルミからなる加熱ドラム41と、複数の支持ロ
ーラ42に掛け渡され、該加熱ドラム41の周面に一定
角度巻きついた状態で無端移動する紙押圧用ベルト43
とから構成されている。上記紙押圧用ベルト43の材質
としては、耐熱性や通気性を備えた材質、例えばキャン
バス地、木綿地、テトロン地などの布を用いることがで
きる。
【0025】以上の構成において、図示しない給紙ユニ
ットから送られた転写紙10は、液供給ユニット20で
そのトナー像面に液が均一に供給され、トナー剥離ユニ
ット30に送られる。このトナー剥離ユニット30で、
転写紙10に固着しているトナーが加熱支持部材33及
び加圧ローラ35からの加熱で軟化し、オフセットベル
ト34表面に付着する。そして加熱支持部材33端部で
転写紙10とオフセットベルト34から分離する際に、
オフセットベルト34表面に付着したトナーが転写紙1
0から剥離し、これにより、転写紙10からトナーが除
去される。トナーが除去された転写紙10は乾燥ユニッ
ト40で乾燥され、図示しない紙受けユニットに排出さ
れる。
【0026】以上の構成によれば、トナーが付着した転
写紙10に液を供給して転写紙10のトナーとの界面部
に液を浸透させた状態でトナーを剥離させるので、紙繊
維を傷めることなく、トナーを除去できる。
【0027】また、転写紙10表面よりトナーを剥離す
る際、加熱支持部材33及び加圧ローラ35によってト
ナーを加熱して軟化させる。これにより、トナーが転写
紙10表面から離れやすくするので、例えば上記表面が
繊維質で構成される転写紙10を用いる場合にも、該繊
維質の損傷を良好に抑えながらトナーを除去できる。 (以下、余白)
【0028】ところで、上記トナー剥離ユニット30の
オフセットベルト34は、上述のように転写紙10から
トナーを剥離し、オフセットベルト34表面に付着させ
たあと、回転ブラシローラ36によってオフセットベル
ト34からトナーが取り除かれて次の剥離動作に備えて
いる。しかし、オフセットベルト34とトナーとの付着
力があまり大きすぎると、回転ブラシローラ36によっ
てオフセットベルト34上のトナーを充分取り除くこと
ができなくなり、オフセットベルト34上にトナーが付
着したままで次の剥離動作を行なってしまう恐れがあ
る。このような場合には、転写紙10からトナーを良好
に剥離できないことがある。
【0029】そこで、本実施例のオフセットベルト34
の表面部は、微視的に見ると、図2に示すように、高粘
着部50をベースに低粘着部51を均一に分散し、この
状態がベルトの層方向で一様になるように構成されてお
り、高粘着部50では所定温度においてトナーとの粘着
力を有し、低粘着部51では、この所定温度において高
粘着部50よりも低い粘着力となるようになっている。
このような温度としては、トナー自体の温度がトナー軟
化温度以上、すなわち70°C〜80°C以上であり、
トナー流出温度以下、すなわち110°C〜120°C
以下となるように設定することが望ましい。また、この
ような温度にするためには、オフセットベルト34の表
面部の温度を80°C〜130°Cとすることが望まし
く、本実施例装置では、該表面部の温度が100°Cか
ら120°Cの範囲になるように、加熱ランプ33a,
35aを調整している。また、トナー52は図示のよう
にある程度の塊で凝集しており、オフセットベルト34
による剥離処理及び回転ブラシローラ36による除去処
理の際に、トナー52の持つ凝集力により塊として移動
する。ここで、該表面上の低粘着部51の径あるいは幅
は、トナー52の粒径よりも小さくすると、表面部の全
体にわたってトナー52との付着力が同じである従来装
置と変わらなくなってしまうので、少なくともトナー粒
径よりも大きくする必要がある。しかし、大きすぎると
転写紙10上に目視で判るほどのトナー取り残しが生じ
てしまうため、このような取り残しが生じない程度の大
きさにしなければならない。また、低粘着部51の大き
さは画像形成装置で形成される画像の分解能などにも依
存する。例えば、分解能が400dpiのレーザプリン
タによって形成された画像は、約64μmに1個のドッ
トがトナー塊として存在することになるので、転写紙1
0上から良好にトナーを剥離するためには、ドットの大
きさよりも小さくしておくことが望ましい。しかし、通
常の画像において、転写紙10上にドットが1個だけ存
在することはほとんどなく、取り残しが生じたとしても
目視では判らないので、低粘着部51の大きさは、大き
くても100μm程度になるように該表面部に混在させ
ればよい。そこで、本実施例では、100μmよりも小
さい径あるいは幅の低粘着部51をベルト34の表面部
に混在させ、該表面上の高粘着部50は、少なくとも転
写紙10上のトナー塊の一部に接触するようにベルト3
4を構成している。
【0030】具体的には、例えば、高粘着部としてポリ
エチレンテレフタレート(PET)や、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)などの有機高分子を用い、低
粘着部として炭酸カルシウムや酸化チタンなどの無機粉
体を均一分散させて該表面部を構成することができる。
なお、分散させる材料としては、上記以外に、ガラス、
ガラス球、ガラス繊維、炭素繊維、金属球、シリカ、ア
ルミナ、雲母、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、硫
酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化
マグネシウム、二硫化モリブデン、炭化珪素、窒化珪
素、ボロン繊維などを用いることができる。
【0031】上記実施例においては、オフセットベルト
34表面部をこのように構成することにより、転写紙1
0上のトナーを剥離してオフセットベルト34側に付着
させるときには、オフセットベルト34表面部における
高粘着部50で転写紙10からトナーを剥離する。この
とき、転写紙10上のトナーの一部が高粘着部50に付
着すると、トナーの持つ凝集力により、他の部分は、そ
れに引っ張られるようにして塊として転写紙10から剥
離される。そして、転写紙10から剥離され、オフセッ
トベルト34に付着したトナーは、次の剥離処理が行な
われる前までに回転ブラシローラ36によって掻き落さ
れ、オフセットベルト34の表面部から除去される。こ
こで、該表面部における低粘着部51は、回転ブラシロ
ーラ36によってトナーを除去するときに、高粘着部5
0に比してトナーが剥がれやすい。よって、この部分が
トナー除去の起点となり、トナーの持つ凝集力によっ
て、他の部分もそれに引っ張られるようにして、ある程
度の塊としてトナーが該表面部から除去される。
【0032】上記実施例によれば、高粘着部50に比し
てトナーが剥がれやすい低粘着部51を起点にトナーを
剥離することから、オフセットベルト34表面部が、全
体にわたって高い付着力を有している場合に比して、ト
ナーを該表面部から除去しやすくなる。よって、該表面
部に付着したトナーを、回転ブラシローラ36による強
い力で掻き取る必要がなくなり、経時の使用による該表
面部の摩耗が減少する。したがって、オフセットベルト
34の寿命を飛躍的に向上させることができる。また、
転写紙10からトナーを除去する前の該表面部にはトナ
ーの除去残りがなく、良好な状態で剥離処理が行なわれ
るので、経時的な使用によっても常に良好に転写紙10
からトナーを除去することができる。また、オフセット
ベルト34の表面部における高粘着部50及び低粘着部
51は、図2に示したように、ベルトの厚み方向にわた
って層を成しているので、回転ブラシローラ36による
経時的な摺擦で、該表面部に摩耗が生じた場合であって
も、摩耗が生じる前と同じ条件で、剥離処理を行なうこ
とができる。
【0033】特に、上記高粘着部50には有機高分子を
用いているため、この高分子とトナーを構成している有
機高分子とが高温において粘着しやすくなり、転写紙1
0とトナーとの付着力よりも、トナーと該表面部との付
着力の方が大きくなるので、転写紙10上のトナーを容
易に剥離してオフセットベルト34側へ付着させること
ができる。
【0034】また、低粘着部51として適当な無機粉体
を混合して分散させているので、上記オフセットベルト
34の表面部の高粘着部50と低粘着部51とを容易に
形成することができる。しかも、トナーに対する付着特
性について広範囲の特性を持ったものを選択して用いる
ことができるため、剥離条件や清掃条件に適応した安価
で適切な素材を用いて構成することができる。これによ
り、オフセットベルト34の製造が容易になり、材料も
安価でできるので、コストの低減を図ることができる。
なお、上記回転ブラシローラ36のように、オフセット
ベルト34の表面を擦ることによってベルト34上のト
ナーを除去する清掃方式を用いている場合には、回転ブ
ラシローラ36による摺擦時の荷重を、該表面部におけ
る比較的硬い部分である低粘着部51の無機粉体で受け
るので、オフセットベルト34の摩耗に対する耐性も向
上し、オフセットベルト34自体の剛性も向上するた
め、経時の使用による摩耗を減少させ、ベルト34の寿
命を向上させることができる。特に、本実施例のオフセ
ットベルト34は、厚さが70μm〜100μm程度の
薄いフィルム状であるため、横方向の応力が生じると、
座屈によるしわが生じる恐れがあるが、オフセットベル
ト34を無機粉体を用いて構成すれば、ベルト自体に体
積効果が生じ、剛性が向上するため、このようなベルト
のしわを防止することができる。
【0035】また、無機粉体を用いずに、ある程度の耐
摩耗性及び剛性を持った有機高分子で上記オフセットベ
ルト34を構成することもできる。これによれば、剥離
部材に無機粉体を含む場合に比して、回転ブラシローラ
36との経時的な摩耗で生じた無機粉体が、オフセット
ベルト34の表面を削ることがないので、ベルト表面の
摩耗による寿命低下を防止することができる。
【0036】また、例えば、高粘着部50としてポリエ
ーテルエーテルケトン(PEEK)を用い、この中に、
フッ素含有樹脂を分散させて低粘着部51を構成するこ
ともできる。これによれば、PEEKが高耐熱性、耐摩
耗性の材質を持ち、フッ素含有樹脂がPEEKよりもト
ナーとの付着力が弱く、有機高分子との相性も良いこと
から、粘着特性の異なる種々の樹脂と混合し、かつ強度
の高いオフセットベルト34を得ることができる。な
お、具体的なフッ素含有樹脂としては、四フッ化エチレ
ン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重
合体(ETFE)、またはこれらの化合物や派生物から
なる材料を用いることができる。また逆に、上記フッ素
含有樹脂中に、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)やポリエチレンテレフタレート(PET)などの粉
末を分散させて構成することもできる。但しこの場合
は、フッ素含有樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)やポリエチレンテレフタレート(PET)
よりも、トナーに対する付着力が低く、全体的に付着力
が劣るが、その分は、加圧ローラ35の加圧力を高めた
り、加熱ランプ33a,35aの温度を上げたりするな
ど、プロセス条件を変えることによってトナーに対する
付着力を高めることができる。
【0037】また、上記実施例では、オフセットベルト
34表面に付着したトナーを除去する清掃部材として回
転ブラシローラ36を用いているが、これに限らず、オ
フセットベルト34表面に圧接するように配設され、該
ベルト表面の移動にともなって回動するように構成され
たクリーニングローラを用い、このクリーニングローラ
表面に端縁が当接するようにクリーニングブレードを配
設してもよい。
【0038】また、剥離部材もベルト状に構成したもの
に限らず、ドラム状の形態であってもよい。この場合、
例えば、クリーニングブレードを、端縁が剥離ドラムの
表面に当接するように配設し、剥離ドラム表面に付着し
たトナーを除去するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】請求項1乃至4の像形成物質除去方法及
びその装置によれば、剥離部材表面部における付着力の
高い部分によって、像保持体上の像形成物質を剥離部材
表面に良好に付着させることができるとともに、該表面
部における最も剥がれやすくなる部分を起点にして該表
面部から像形成物質を除去するので、剥離部材表面部が
全体にわたって一定の付着力を有している場合に比し
て、容易に像形成物質を該表面部から除去することがで
きる。よって、次回の剥離処理のために搬送されてきた
像保持体から像形成物質を除去する前までに、該表面部
から像形成物質が除去され、像形成物質の残留がない状
態で次回の剥離処理が行なわれるので、剥離部材を繰り
返し使用しても、良好な剥離効果を維持することができ
る。また、該表面に付着した像形成物質を、剥離部材清
掃手段が強い力で掻き取ることなく、良好に該表面から
像形成物質を除去することができるので、該剥離部材の
表面部の摩耗が減少するので、経時的な使用による剥離
部材の寿命を飛躍的に向上させることができる。
【0040】特に、請求項3の像形成物質除去装置によ
れば、剥離部材の表面部に用いる有機高分子は、像形成
物質との付着力の異なる材料を広範囲で選択できるの
で、選択された材料によって、像形成物質との付着力の
異なる部分を容易に形成することができるだけでなく、
剥離条件や清掃条件に適応した適切な材料を用いて剥離
部材を構成することができる。また、安価な材料を用い
ることができ、剥離部材の製造も容易であることから、
コストの低減を図ることができる。なお、剥離部材を高
温雰囲気で用いる場合、剥離部材に使用する有機高分子
と、像形成物質を形成している高分子との粘着力が高ま
ることから、該剥離部材の表面部における像形成物質と
の付着力は、例えば、金属材料を用いた場合などに比し
て大きくなるので、像保持体上から像形成物質を容易に
剥離でき、剥離部材側へ付着させることができる。
【0041】特に、請求項4の像形成物質除去装置によ
れば、無機粉体を用いることにより、上記表面部に、像
形成物質との付着力の低い部分を容易に作ることができ
る。また、上記清掃手段による清掃時の荷重を、該表面
部における比較的硬い部分である無機粉体で受けるの
で、剥離部材の摩耗に対する耐性が向上し、経時の使用
による摩耗が減少して、剥離部材自体の寿命を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るトナー除去装置の概略構成を示す
正面図。
【図2】同トナー除去装置に用いる剥離部材の表面部に
おける拡大図。
【符号の説明】
10 転写紙 20 液供給ユニット 21 液 22 液容器 23 塗布ローラ 24 搬送ローラ 30 トナー剥離ユニット 31 支持ローラ 32 支持ローラ 33 加熱支持部材 33a 加熱ランプ 34 オフセットベルト 35 加圧ローラ 35a 加熱ランプ 36 回転ブラシローラ 37 コロナ放電器 38 クリーニングローラ 39 クリーニングブレード 40 乾燥ユニット 41 加熱ドラム 41a 加熱ランプ 42 支持ローラ 43 紙押圧用ベルト 50 高粘着性部 51 低粘着性部 52 トナー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に像形成物質が安定に付着している像
    保持体から、該像形成物質を取り除く像保持体からの像
    形成物質除去方法において、 該像形成物質に対する付着力の異なる部分が混在するよ
    うに構成した剥離部材の表面部を、該像保持体上の該像
    形成物質に接触させた後、該像保持体を該剥離部材から
    分離させて該像保持体から該像形成物質を剥離する工程
    と、該像保持体から剥離されて該剥離部材に付着した像
    形成物質を該剥離部材から取り除く剥離部材清掃工程と
    を有することを特徴とする像保持体からの像形成物質除
    去方法。
  2. 【請求項2】表面に像形成物質が安定に付着している像
    保持体から、該像形成物質を取り除く像保持体からの像
    形成物質除去装置において、 該像形成物質に対して付着力を有する剥離部材を該像形
    成物質に接触させた後、該像保持体を該剥離部材から分
    離させて該像保持体から像形成物質を剥離する剥離手段
    と、該像保持体から剥離されて該剥離部材に付着した像
    形成物質を該剥離部材から取り除くための剥離部材清掃
    手段とを設け、該剥離部材の像形成物質に接触する表面
    部を、該像形成物質に対する付着力の異なる部分が混在
    するように、構成したことを特徴とする像保持体からの
    像形成物質除去装置。
  3. 【請求項3】上記表面部において、付着力が異なる部分
    のうち、少なくとも1つの部分を、有機高分子で構成し
    たことを特徴とする請求項2の像保持体からの像形成物
    質除去装置。
  4. 【請求項4】上記表面部において、相対的に付着力が低
    くなる部分を、無機粉体で構成したことを特徴とする請
    求項2または3の像保持体からの像形成物質除去装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0852345A2 (en) * 1997-01-07 1998-07-08 Fuji Xerox Co., Ltd. Image stripping member, and image stripping apparatus and image stripping method using the image stripping member

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