JP3410245B2 - ステンレス鋼板の熱間粗圧延方法 - Google Patents

ステンレス鋼板の熱間粗圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼板の熱間
粗圧延方法に関し、特にステンレス鋼板を圧延する際の
鋼板のエッジ近傍に発生する水平ロールの肌荒れ疵の防
止方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、例えばホットストリップなど
の帯状鋼板を熱間圧延によって製造する場合、矩形断面
を有する195〜250mm厚みのスラブを素材とし
て、加熱炉で所定温度まで加熱した後、垂直ロール対及
び水平ロール対を含む粗圧延機によって18〜45mm
程度のシートバーとし、次いで仕上圧延機列での仕上圧
延により所定厚みのホットストリップを得ている。とこ
ろで、近年、フェライト系ステンレス鋼のリジング改善
のためには、A1 変態線とA1 変態+200℃の温度範
囲で、圧下率が40%以上必要であることが特公昭57
−50857号公報に開示されている。このように1パ
ス当たりの圧下率が高い圧延を行うと、特に、圧延ロー
ルの板エッジに相当する部分にバンディング(肌荒れ)
が生じ易くなる。圧延ロールにバンディングが生じる
と、圧延材のエッジ部には肌荒れ疵が生ずる。 【0003】このような肌荒れが発生した場合には、酸
洗等による黒皮スケール除去後、冷間圧延に先立ちグラ
インダー等による研削手入れを行う必要がある。この研
削手入れは作業能率が低いことに加え、手入れ作業の結
果生じる製品歩留りの低下により製造コストの上昇を招
き製造工程の大きな障害になっている。そのため、特に
ステンレス鋼板の製造にあっては、上記の如き肌荒れ疵
の発生を如何に防止するかが製造現場における重大関心
事の一つとなっており、これに費やす労力は極めて大き
いものあがる。 【0004】ステンレス鋼の圧延に好適なロール材が、
特開昭61−41747号公報に開示されている。この
ロール材はC:2.5〜3.5%、Si:1.6〜5
%、Mn:3%以下、Ni:5%以下、Cr:15〜2
5%、Mo:3%以下、残部はFe及び不可避的不純物
からなっている。このようなロールによって圧延しても
粗圧延時の圧延率を40%以上にするとロールにバンデ
ィングが生じるため、圧延板の表面のエッジの肌荒れを
完全に防ぐことができなかった。 【0005】特開昭64−71503号公報には、粗圧
延パススケジュールが、合計厚み圧下率で50%以上の
ステンレス鋼の熱間圧延において、エッジャミルの1回
の幅圧下量を、水平圧延後の被圧延材の厚み方向の板幅
差に対して40〜150%とし、被圧延材の側端部に発
生する表面疵を防止する技術が開示されている。その技
術は、被圧延材のエッジシームを防止するもので、ロー
ルのバンディングの発生を防止する技術とは全く異なる
ものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来、水平ロールのバ
ンディングの発生原因についての究明が不十分であり、
従ってその防止対策についても経験的な対策にとどま
り、根本的な解決法を見出せないところに根本的な解決
を得られない原因があると考えられる。本発明の目的
は、上記従来技術の問題点を解消し、リジング性の優れ
たフェライト系ステンレスを製造するために粗圧延時の
圧下率を40%以上としても、ロールバンディングが発
生しないようにした、ステンレス鋼板の熱間粗圧延方法
を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱間粗圧
延工程において発生するロールバンディング発生機構に
ついて研究を行い、次の如く解明した。粗圧延中の板エ
ッジ近傍の挙動を詳細に観察した結果、(a)板端の温
度は中央部より40〜50℃低い、(b)水平圧延に入
る前の板端は、垂直圧延による幅圧下で板端部に盛り上
がり(ドッグボーン)が生じ板厚は中央部に比較して厚
くなっている。これらの原因により、圧下率は板幅中央
に比較して板端部が著しく高くなると共に、(c)幅圧
下に伴って板表面の2次スケールが剥離し、潤滑効果が
損なわれ摩擦力の増大等をもたらし、ロールのバンディ
ング発生の引き金となっている。 【0008】そこで、本発明者らは、板端部で圧下率を
増大させないためと、スケールの剥離をなくすための手
段として、水平圧延に入る前の幅圧下を行わないことに
より、ロールバンディングの発生を確実に防止できるこ
との知見を得た。すなわち、本発明は垂直ロールと水平
ロールとを具備した熱間粗圧延ラインにおいて、水平ロ
ールによる厚み圧下を40%以上の圧下率で行う際、そ
の前に配置してある垂直ロールによる幅圧下を2%以下
にすることを特徴とするステンレス鋼板の熱間粗圧延方
法である。 【0009】以下この発明に至った実験結果について具
体的に説明する。実験は小型の幅圧延機と2段の水平圧
延機を用いて行った。表1に圧延条件をまとめて示し
た。ロールバンディングを評価するために、水平ロール
の表面には低炭素鋼を圧延して、予めロール表面に黒皮
を付着させた。圧延は幅圧下率0%〜10%の範囲に変
えた材料を準備しておき、それらを厚み圧下率30〜6
0%の範囲で適宜変えて圧延し、ロールバンディングに
よる被圧延材の肌荒れを評価した。実験結果を表2に示
す。 【0010】被圧延材の材質:SUS430 被圧延材の寸法:厚さ24mm×幅200mm 圧延温度:1050℃ 幅圧下量と厚み圧下率の組合せ:表1 水平ロールの材質:ハイクロム鋳鋼 水平ロール径:200mmφ 垂直ロール径:160mmφ 【0011】 【表1】【0012】 【表2】 【0013】これらから明らかなように、リジング改善
に優れたフェライト系ステンレス鋼を製造するための必
須条件であるA1 変態線とA1 変態+200℃(950
〜1150℃に相当)の温度範囲で圧下率40%以上の
条件で、ロールバンディングによる肌荒れをなくすため
には、水平ロールによる厚み圧延前の幅圧下を2%以下
にすると改善され、それ以上になるとバンディングによ
る肌荒れが生じることが分かった。 【0014】 【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。実
験材として板厚195mm、板幅1000mmのフェラ
イト系ステンレス鋼(SUS430)を1150℃に加
熱し、4スタンドからなる粗圧延の最終スタンドにおい
て35,45,50%の厚み圧下率の圧下を実施する
時、その前の幅圧下率を従来の4%にした時と実施例の
2%にした時のロールのバンディングによる肌荒れを調
査した。圧延本数は各条件10本とした。なお、ロール
の材質は16%Cr鋳鉄である。 【0015】その結果、水平ロールによる厚み圧下前の
幅圧下を2%以下とした本発明では、いずれの厚み圧下
率においてもロールバンディングの発生はなく、板表面
はきれいであった。それに対して、従来法である厚み圧
下前の幅圧下を4%実施した条件ではロールバンディン
グが発生して、板表面が著しく荒れていた。前記した粗
圧延後、さらに5パスからなる仕上げの熱間圧延を行
い、4.0mmの熱延板とした。得られた熱板を通常
の方法に従って焼鈍−酸洗−冷間圧延−仕上げ焼鈍を施
し、0.7mm厚の冷延焼鈍板とし、リジングとr値の
各特性を調査した。ここでr値は、JIS13号B試験
片を用い15%引張歪を付与し3点法にて行った。リジ
ングはJIS5号試験片を圧延方向に20%引張試験
後、リジング高さを測定した。粗圧延における最終スタ
ンドの厚み圧下率35%の時はリジング高さが29μ
m、r値が1.35であったのに対して圧下率50%の
厚み圧下を行ったものはリジング高さが7μmと低位に
抑えられると共にr値は1.95と大きくすることがで
きた。 【0016】 【発明の効果】上記の実施例からも明らかなごとく、本
発明によれば、ロールバンディングの発生に伴う板エッ
ジの肌荒れを確実に防止することができ、耐リジング性
がよく表面のきれいな高品質のステンレス鋼を高能率で
安定生産することが可能となり、産業上極めて有用な効
果をもたらされるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−13026(JP,A) 特開 平6−238305(JP,A) 特開 昭56−55522(JP,A) 特開 昭62−81213(JP,A) 特開 平7−268461(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/00 - 3/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 鋼板の幅圧下及び1パス当り圧下率40
    %以上の厚み圧下を行う熱間粗圧延方法において、厚み
    圧下前の幅圧下を圧下率2%以下で行うことを特徴とす
    るステンレス鋼板の熱間粗圧延方法。
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