JP3409283B2 - ゴルフボールの製造方法及びゴルフボール - Google Patents

ゴルフボールの製造方法及びゴルフボール

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボール本体とその
表面に形成された塗膜との密着性に優れたゴルフボール
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴルフボールは、ボール本体の表面に塗
料(一般にホワイト塗料や被覆用クリヤー塗料)が塗装
されることにより、外観をきれいに見せると共に、ボー
ル表面への汚れの付着を防止するようにしている。
【0003】しかし、ゴルフボールはインパクト時の変
形が非常に大きいことや、砂等のこすれなど使用状況が
非常に苛酷であるため、塗膜とボール本体とは強固な密
着性が要求される。
【0004】塗膜のボール本体への密着性を高めるため
に、塗料をボール本体の表面に塗装する前に、前処理を
行なっている。例えば、ボール本体の表面がアイオノマ
ーのゴルフボールに対しては、ボール本体の表面に炎を
あてて表面を酸化するフレーミング処理や、プラズマ処
理(特開昭60−215374号公報)を行なうことが
提案されている。また、ボール本体の表面がゴムの場合
には、活性塩素水に浸漬したり(特開平5−31745
9号公報)、次亜塩素酸金属含有塩酸水(特開平4−2
77533号公報)に浸漬する方法、硫酸に浸漬する方
法(特開平9−276447号公報)などが提案されて
いる。
【0005】近年、ロストボールを練習上で使用するな
どの理由からロストボール市場が活性化しており、それ
に伴って、ゴルフボールの使用期間も長くなり、ゴルフ
ボールに要求される密着性は従来よりも厳しくなってい
る。また、ゴルフボールがドライな状態にある場合だけ
でなく、水中などのウェットな状態においても密着性を
有することが要求されるようになってきている。
【0006】しかし、上記従来の方法は、ボール本体表
面の粗面度を大きくして塗膜との物理的結合の強化を図
ることにより、両者の密着性を向上させたもので、いず
れも近年の厳しい密着性の要求、特にウェット状態での
密着性の要求を満足することができない。
【0007】さらに、塩素水や次亜塩素酸金属含有塩酸
水や硫酸のような薬品を用いる方法、あるいはフレーミ
ング処理は、作業者の安全を確保するための設備が必要
となり、コスト的にも不利である。また、プラズマ処理
も処理設備コストがかかるため、コスト的に不利な方法
である。
【0008】最近、ボール本体を、シランカップリング
剤の希釈液で表面処理した後、ペイントするという方法
が提案されている(特開平10−165886号公
報)。この表面処理方法では、シランカップリング剤の
希釈液にボール本体を浸漬するだけであるから、上記方
法に比べて設備が簡易で済むという利点がある。
【0009】ここで、シランカップリング剤による表面
処理工程の後に行なうペイント工程は、シランカップリ
ング剤の希釈用溶剤を完全に揮発させた後でなければ行
なえない。溶剤がボール本体表面に残った状態でペイン
トすると、ペイントの乾燥性が悪くなり、またペイント
の密着性も悪くなるからである。さらに製造工程の便宜
の点から、所定個数まとめて表面処理工程を行い、表面
処理工程を終えたボールをまとめて次のペイント工程に
移すというバッチ的製造方法を一般に採用している。バ
ッチ法によれば、表面処理を終えたボールが1時間程度
放置された後、次のペイント工程に移ることになり、1
時間程度の放置は、希釈用溶剤を完全に揮発させること
ができる点からも都合がよい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に挙
げられているシランカップリング剤は、一般式(RO)
a―Si―(X)bで表わされ、Rがアルキル基、Xがハ
ロアルキル基、アミノ置換アルキル基、(メタ)アクリ
ル若しくは(メタ)アクリルオキシ置換アルキル基、メ
ルカプト置換アルキル基、グリシジル置換エポキシ基等
であるモノマーシランカップリング剤である。すなわ
ち、具体例と挙げられているシランカップリング剤であ
るビニルトリクロルシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリ
メトキシシラン等は、いずれも揮発性が高く、表面処理
後、1時間も放置しておくと、溶剤だけでなく、シラン
カップリング剤自体も揮発して、ボール本体表面にほと
んど残存しなくなってしまう。これでは、シランカップ
リング剤で表面処理したにも拘わらず、所期の塗膜密着
性向上効果が得られない。シランカップリング剤を溶剤
で希釈せず、そのまま表面処理に使用すれば乾燥は不要
となるが、シランカップリング剤は一般に粘度が高く、
浸漬処理、スプレーコーティングといった簡易な表面処
理方法を適用しようとすると、溶剤での希釈が必要とな
る。また、製造工程の便宜の点から、表面処理終了後の
ボール毎にペイントするという流れ作業よりも、所定個
数づつバッチ的に製造処理していくことが、現在の生産
体制に適している。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、密着性向上のため
に行なう前処理設備費用が従来よりも安全且つ安価にで
き、さらに現在の生産体制であるバッチ法にも適用でき
るゴルフボールの製造方法及びゴルフボールを提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、シランカッ
プリング剤の揮発性が分子量及び1分子中に含まれるシ
リル基の個数に関係することを見出し、1分子中にシリ
ル基を2個以上有し、且つ分子量を大きくしたシランカ
ップリング剤を用いることにより、乾燥工程中の残存率
が高く、所望の密着性向上効果を発揮できることに着目
して、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明のゴルフボールの製造方
法は、ボール本体の表面に密着性強化剤を塗布した後、
塗料を塗布するゴルフボールの製造方法において、前記
密着性強化剤は、塗布後25℃で1時間放置しても、該
密着性強化剤中のシリル化合物成分の30重量%以上が
ボール本体表面に残存できるシリル化合物を含有してい
ることを特徴とする。
【0014】前記密着性強化剤に含まれるシリル化合物
成分の50重量%以上が、下記(1)式で表され且つ重
量平均分子量が300以上であるシリル化合物(P)で
あることが好ましい。
【0015】
【化4】
【0016】(式中、R1,R2は同一又は異なる炭素数
1〜3の飽和アルキル基、X,Yは分子内にアミノ基、
イミノ基、又はエポキシ基を有する有機基であり、a,
cはいずれも2又は3、b,dはいずれも0又は1の整
数であって、a+b=3且つc+d=3を満たし、Aは
アミド基、オキシ基、イミノ基、第3級アミノ基、及び
アルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種を
含有する2価の残基である) 前記シリル化合物(P)は、下記(2)式で表される化
合物(M1)と下記(3)式で表される化合物(M2)と
を反応させてなる化合物であることが好ましい。
【0017】
【化5】
【0018】(式中、R1は炭素数1〜3の飽和アルキ
ル基、Z1は分子内にアミノ基又はイミノ基を有する有
機基であり、mは1又は2、nは2又は3の整数であっ
て、m+n=4を満足する)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、R2は炭素数1〜3の飽和アルキ
ル基、Z2は分子内にエポキシ基を有する有機基であ
り、pは1又は2、qは2又は3の整数であって、p+
q=4を満足する)。
【0021】また、前記ボール本体の表層部が、アイオ
ノマーを主成分とする樹脂組成物の硬化体で構成されて
いること、あるいは前記ボール本体が、ジエン系ゴム、
及びα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を含有するゴム
組成物の硬化体で構成されていることが好ましい。
【0022】本発明のゴルフボールは、ボール本体表面
が塗膜で被覆されているゴルフボールにおいて、前記ボ
ール本体と前記塗膜との間には、ボール本体表面に塗布
した後25℃で1時間放置しても、シリル化合物成分の
30重量%以上が残存できるシリル化合物(P)を主体
とする密着性強化層が介在していることを特徴とするも
ので、上記本発明の方法により製造されることが好まし
い。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のゴルフボールの製造方法
は、図1に示すように、ボール本体1の表面に、密着性
強化層2を介して塗膜3が被覆されたゴルフボールを製
造する方法であって、前記密着性強化層2を、以下に説
明するような構成を有する密着性強化剤を塗布すること
により形成する方法である。
【0024】本発明に使用する密着性強化剤は、密着性
強化に寄与するシリル化合物として、ボール本体1に塗
布した後、25℃で1時間放置しても、30重量%以上
がボール本体1表面に残存できるシリル化合物を含有す
るものである。
【0025】つまりシリル化合物は粘度が高く、単独で
は表面処理剤として使用しにくいので、有機溶剤で希釈
して用いられる。かかる希釈用溶剤は、塗膜3を形成す
るための塗装工程を行なう前に乾燥により蒸発させてし
まう必要があるが、このような乾燥工程を経ても、尚、
シリル化合物が残存して塗膜3の密着性強化に寄与する
必要があるからである。ここで、乾燥工程は、密着性強
化剤に含まれている希釈用有機溶剤が蒸発するのに要す
る時間であるが、バッチ処理が便利であることから、密
着性強化剤による処理を所定個数終えてから、塗装工程
に移るまでの時間である1時間程度を乾燥時間に当てる
ことが、工程管理上都合がよい。従って、25℃で1時
間放置しても塗膜密着性の強化に寄与できるだけの量が
残存する必要があり、具体的には、密着性強化剤塗布時
におけるシリル化合物付着量の30重量%以上、好まし
くは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上が
残存することを要する。
【0026】このような要件を満足できるシリル化合物
としては、下記(1)式で示され、且つ重量平均分子量
300以上のシリル化合物(P)が好ましく用いられ
る。
【0027】
【化7】
【0028】(式中、R1,R2は同一又は異なる炭素数
1〜3の飽和アルキル基、X,Yは分子内にアミノ基、
イミノ基、又はエポキシ基を有する有機基であり、a,
cはいずれも2又は3、b,dはいずれも0又は1の整
数であって、a+b=3且つc+d=3を満たし、Aは
アミド基、オキシ基、イミノ基、第3級アミノ基、及び
アルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種を
含有する2価の残基である)。
【0029】このような構成を有するシリル化合物
(P)は、分子中のアルコキシ基部分(式中、(O
1)で表示)がボール本体1及び次に形成される塗膜
3との間で親和性を発揮することにより、ボール本体1
と塗膜3との間の密着性強化に寄与することができる。
そして、一般に、1分子中に含まれるシリル基の数が多
いほど、重量平均分子量が高い程揮発しにくく、(1)
式で表わされるシリル化合物で且つ重量平均分子量が3
00以上のシリル化合物(P)は、従来よりシランカッ
プリング剤として用いられている(RO)a−Si−
(X)bで表わされるモノマーシランカップリング剤
(重量平均分子量100〜250程度)と比べて、ボー
ル本体表面に残留する割合が高い。揮発しにくいという
点から、より好ましい分子量は500以上である。一
方、一般に分子量が高くなるに従って、1分子あたりの
官能基の割合が相対的に少なくなり、密着性強化に対す
る効果が小さくなる傾向にあるので、重量平均分子量の
上限は2000以下であることが好ましく、より好まし
くは1500以下である。
【0030】(1)式で表わされるシリル化合物が上記
分子量の範囲となるためには、1分子中に含まれるSi
原子の数は2個以上、好ましくは3個以上で、6個以
下、好ましくは4個以下である。つまり、シリル化合物
(P)は、1分子あたりSi原子を2〜6個有するオリ
ゴマーシランカップリング剤である。(1)式において
Aは両端のSi原子と結合できる2価の残基を有する有
機基であればよく、両端のSi原子同士がアミド結合
(―CONH―)やシロキサン結合(Si−O−Si)
等を介して結合してもよいし、(4)〜(6)式で表わ
されるようなイミノ基、第3級アミノ基、又はオキシ基
を有する有機基を介して結合されていてもよい。
【0031】
【化8】
【0032】(式中、x,y,zは1〜3の整数であ
る)。
【0033】シリル化合物(P)が、1分子中にSi原
子が3個以上有するオリゴマーシランカップリング剤の
場合には、Aは少なくとも1個以上のアルコキシ基が結
合しているアルコキシ置換シリル基を含む原子団で、A
中のSi原子と末端のSi原子とがアミド結合(―CO
NH―)やシロキサン結合(Si−O−Si)等を介し
て結合してもよいし、上記(4)〜(6)式で表わされ
るようなイミノ基、第3級アミノ基、又はオキシ基を有
する有機基を介して結合されていてもよい。さらに、A
は直鎖状の原子団に限らず、分岐を有する原子団であっ
てもよい。分岐を有する原子団の場合には、分岐により
生じる側鎖部分にSi原子が含まれていてもよい。例え
ば、主鎖にイミノ基、第3級アミノ基、オキシ基、又は
アルキレン基等を有し、側鎖にアルコキシ置換シリル基
を有していてもよい。側鎖中にアルコキシ置換シリル基
が含まれている場合であっても、該側鎖中にさらにイミ
ノ基、第3級アミノ基、オキシ基、又はアルキレン基等
が含まれていてもよい。
【0034】以上のようなシリル化合物(P)は、例え
ば、下記(2)式で示されるような化合物(M1)と下
記(3)式で示されるような化合物(M2)とを反応さ
せて、2〜6量体とすることにより得られる(以下、シ
リル化合物に属する化合物(M 1),(M2)をシリル化
合物(P)と区別するために、「モノマーシリル化合
物」又は「モノマーシランカップリング剤」ということ
がある)。
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】式中、R1,R2は炭素数1〜3の飽和アル
キル基であって、同一であっても異なっていてもよい。
m,pは1又は2、n,qはいずれも2又は3の整数で
あって、m+n=4、p+q=4を満たす。Z1は分子
内にアミノ基又はイミノ基を少なくとも1個有する有機
基であり、具体的には、アルキレン基にアミノ基を結合
した有機基;アルキル基、フェニル基等の炭化水素基を
イミノ結合してなる有機基;低級アルキルアミンのダイ
マー若しくはトリマー;2種類のアルキレン基がエーテ
ル結合している炭化水素基にアミノ基を結合した有機基
などが挙げられる。Z2は分子内にエポキシ基を有する
有機基であり、具体的には、アルキレン基に結合したシ
クロオクテンの二重結合部分がエポキシ化されてなる有
機基、2種類のアルキレン基がエーテル結合している炭
化水素基にエポキシ基を結合した有機基などが挙げられ
る。
【0038】上記(2)式で表される化合物(M1)と
しては、一般にシランカップリング剤として知られてい
るものを使用することができ、具体的には、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン等が挙げられる。また、上記(3)式で表される化合
物(M2)としては、一般にシランカップリング剤とし
て知られているものを使用することができ、具体的に
は、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン、プロピレンオキシドのダイマー又はト
リマーであるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が
挙げられる。
【0039】化合物(M1)と化合物(M2)を反応させ
ることによって上記シリル化合物(P)を合成する場
合、化合物(M1)及び化合物(M2)は、各々1種類づ
つ用いてもよいし、2種類以上混合して反応させてもよ
い。
【0040】化合物(M1)と化合物(M2)は、例え
ば、アルコキシ基同士の脱水縮合により形成されるシラ
ノール結合によりダイマー化さらにはオリゴマー化した
シリル化合物(P)としてもよいし、エポキシ基とアミ
ノ基又はイミノ基との結合によりイミノ基又は第3級ア
ミノ基含有アルキル基を介して分子量を増大したシリル
化合物(P)としてもよい。
【0041】尚、シリル化合物(P)を得るための反応
条件(触媒、反応温度等)は、得ようとするシリル化合
物(P)の化学的構造に応じて適宜選択すればよい。
【0042】本発明で用いる密着性強化剤に含まれるシ
リル化合物成分の全てが以上のような化学的構造を有す
るシリル化合物(P)であることが好ましいが、密着性
強化に寄与できるシリル化合物成分全体として、初期塗
布量の30重量%程度の量が残存できるものであればよ
い。よって、密着性強化剤に含まれるシリル化合物成分
のうち、揮発しにくいシリル化合物(P)が50重量%
以上、好ましくは75重量%以上含有されていればよ
く、異なる化学的構造を有する2種類以上のシリル化合
物(P)が混合物となって含有されていてもよいし、5
0重量%未満、好ましくは25重量%未満であれば、揮
発性の高いシリル化合物、例えばシリル化合物(P)の
原料となるモノマーシリル化合物(モノマーシランカッ
プリング剤)が含まれていてもよい。
【0043】本発明で使用される密着性強化剤は、以上
のような要件を満足するシリル化合物を、有機溶剤で希
釈したものである。有機溶剤で希釈するのは、上記要件
を満足するシリル化合物は粘度が高く、単独では塗装作
業性が悪いため、均質な薄膜の密着性強化剤層を形成し
にくいからである。使用する有機溶剤としては、トルエ
ン、キシレン等の芳香族系溶剤、イソプロピルアルコー
ル等のアルコール系溶剤、ヘキサン等の脂肪族系溶剤、
酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等
のケトン類、エーテル系溶剤等、又はこれらの混合物等
が挙げられる。
【0044】有機溶剤による希釈は、シリル化合物総量
の濃度が0.01%以上となるようにすることが好まし
く、より好ましくは0.1〜1%である。
【0045】また、本発明に用いられる密着性強化剤
は、シリル化合物成分(シリル化合物(P)及びモノマ
ーシランカップリング剤)及び希釈用溶剤の他に、プラ
イマー、サーフェーサー、プライマーサーフェーサー等
の機能を有する塗料成分、着色剤、その他の添加剤など
を含有してもよい。尚、塗料成分を含有させる場合、溶
剤揮発又は60℃以下の乾燥により硬化するものでなけ
ればならない。
【0046】以上のような構成を有する密着性強化剤
を、ボール本体1表面に従来より公知の方法でコーティ
ング後、乾燥することにより密着性強化層2を形成でき
る。密着性強化層2は、シリル化合物(P)単独で形成
される場合もあるし、化合物(P)以外のシリル化合物
や塗料成分等を含有している場合には、これらの混合物
で構成され得る。
【0047】密着性強化剤のコーティング方法として
は、刷毛塗り法、スプレー法、フローコート法、浸漬法
等が挙げられるが、これらのうち、簡易な設備でコーテ
ィングが可能な浸漬法が好ましく用いられる。
【0048】密着性強化剤の塗布量は、乾燥工程後、塗
装工程前において、ボール本体1と塗膜3との間に介在
する密着性強化層2を形成するのに必要十分な量であ
る。具体的には、乾燥工程後、塗装前におけるボール
(径41〜43mm)1個当たりのシリル化合物の付着
量(シリル化合物(P)以外のシリル化合物が含まれる
場合にはシリル化合物の総付着量)が、0.2mg以
上、好ましくは2mg以上付着しているように、乾燥工
程における残存率を考慮した量を塗布することが好まし
い。この点、揮発しにくいシリル化合物を主体とする密
着性強化剤であれば、シリル化合物が0.3mg以上、
さらに1.2mg以上、さらに2.0mg以上の量を塗
布すればよいが、揮発性の高いモノマーシランカップリ
ング剤では多量に塗布しなければならず、浸漬法やスプ
レーコーティング法でかかる量をコーティングすること
は生産性が低下したり、又は塗りむらが発生したりし
て、事実上困難である。
【0049】乾燥は、密着性強化剤に含まれている溶剤
及び水分を揮発させるためのものであるから、室温で放
置しておくだけでもよいが、乾燥時間を短縮するため
に、熱風乾燥してもよい。但し、熱風温度が高くなりす
ぎると、ボール本体を構成しているアイオノマーの溶
融、変質又はゴムの劣化防止の観点から、60℃以下、
好ましくは40℃程度で乾燥させることが好ましい。ま
た、上記のような組成を有する密着性強化剤であれば、
バッチ処理的に塗装工程に移るまでの待機時間である室
温で1時間程度の放置している間を、乾燥工程に当てる
こともできる。
【0050】本発明のゴルフボールの製造方法は、以上
のようにして、ボール本体1表面に密着性強化層2を形
成し、次いで塗膜3を形成する方法である。
【0051】本発明の製造方法が適用されるボール本体
1のタイプとしては、ゴムを加硫成形してなるワンピー
スゴルフボールタイプであってもよいし、コアとカバー
とからなる2ピースゴルフボールタイプであってもよ
い。また、コア又はカバーが多層構造となっているマル
チピースゴルフボールタイプであってもよいし、糸巻き
層を有するコアをカバーで被覆してなる糸巻きゴルフボ
ールタイプであってもよい。更に、カバーは、アイオノ
マーカバーであってもよいし、バラタ等の硬質ゴムであ
ってもよい。但し、本体1の表層部分はカルボキシル基
(−COOH)又はカルボキシアニオン(−COO-
を有する配合物を含有する組成物で構成されていること
が好ましい。後述するように、ボール本体1の表層部に
カルボキシル基又はカルボキシアニオンが存在する場
合、後述する密着性強化層2に含有されるシリル化合物
と高い化学的親和性を示し、シリル化合物の構造によっ
ては、シリル化合物との間でエステル結合又はアミド結
合等を形成することもできるからである。
【0052】ここで、ボール本体1の表層部がアイオノ
マーカバーで構成されている2ピースゴルフボールをは
じめとするマルチピースゴルフボールの場合、アイオノ
マー自体がカルボキシアニオンを有しているので、密着
性強化層2との親和性に優れている。
【0053】ワンピースゴルフボールタイプの場合、ジ
エン系ゴムがメタクリル酸若しくはアクリル酸、又はこ
れらの金属塩で架橋されたものでは、ボール本体にカル
ボキシル基(−COOH)又はカルボキシアニオン(−
COO-)が含まれている。カルボキシル基又はカルボ
キシアニオンが含まれる1ピースゴルフボール用の具体
的なゴム組成物としては、ブタジエン等のジエン系ゴム
100重量部に対して、共架橋剤としてのα,β−不飽
和カルボン酸の金属塩を15重量部以上、好ましくは2
0重量部以上で、50重量部以下、好ましくは40重量
部以下含有するゴム組成物が挙げられる。ここで、α,
β−不飽和カルボン酸の金属塩としては、メタクリル酸
又はアクリル酸の金属塩が挙げられ、具体的には、ナト
リウム塩(アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリ
ウム)、亜鉛塩(アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜
鉛)、マグネシウム塩(アクリル酸マグネシウム、メタ
クリル酸マグネシウム)等が挙げられる。ワンピースゴ
ルフボールの場合、ゴム組成物に白色充填剤を配合し、
ゴム製のボール本体表面に透明な塗膜を形成することが
一般的であるが、ゴム製のボール本体に白色塗膜を形成
し、その上に透明な塗膜を形成してもよい。
【0054】塗膜3は、密着性強化層2表面に塗料を塗
布することにより形成される。本発明に用いられる塗料
は、ポリオール成分を含有する塗料であることが好まし
い。ポリオール成分を含有する塗料は、密着性強化層2
に含有されるシリル化合物(P)、特にシリル化合物
(P)中のアルコキシ基部分と化学的親和性が高いから
である。また、塗料中に含まれるポリオールのOH基が
シリル化合物中のアルコキシ基と反応して、密着性強化
層2とエーテル結合を形成することも考えられる。
【0055】ポリオール成分を有する塗料は、1液型で
あってもよいし、OH基を有する塗料主剤と硬化剤との
組み合わせからなる2液型塗料であってもよい。これら
のうち、ポリオールからなる主剤と、イソシアネートか
らなる硬化剤との組み合わせであるウレタン系塗料が、
耐衝撃性、耐擦傷性に優れていることから好ましく用い
られる。
【0056】ここで、主剤として用いられるポリオール
としては、1分子内にOH基を2個以上有するもので、
具体的は、エチレングリコール等のジオール;グリセリ
ン等のトリオール;ポリウレタンポリオール、ポリエー
テルポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオー
ル、又はこれらの混合物が挙げられる。また、これらの
ポリオールは、水酸基価が15〜130mgKOH/g
であることが好ましい。15mgKOH/g未満では、
硬化剤やシリル化合物(P)との親和性に寄与できる量
が少なくなりすぎて、所望の塗膜の強度が得られず、ま
た塗膜密着性も不十分になるからである。一方、130
mgKOH/gを超えると、硬化剤との反応に時間がか
かりすぎ、乾燥時間が長くなって生産性が低下するとと
もに、ペイント硬度が高くなるために、インパクト時に
割れを起こし易くなるからである。
【0057】また、本発明に用いる塗料がウレタン系塗
料の場合、使用する硬化剤としては、イソシアネート基
を有するものであればよいが、耐候性の観点から、主鎖
が飽和脂肪族又は脂環族のイソシアネート類が好まし
い。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水
添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が
挙げられる。
【0058】このようにして形成される塗膜3は密着性
強化層2と親和性を有しており、密着性強化層2は前述
のようにボール本体1の表層部と親和性を有しているの
で、密着性強化層2を介して優れた塗膜密着性を発揮す
ることができる。
【0059】さらに、シリル化合物(P)として(1)
式中のXがアミノ基を有する有機基である化合物を用い
た場合、ウレタン系塗料で用いる硬化剤のイソシアネー
ト基(−NCO)とシリル化合物(P)中のアミノ基と
が反応してウレア結合を形成することにより塗膜密着性
を強化することも考えられる。
【0060】本発明のゴルフボールは、上記本発明の製
造方法により製造されるゴルフボールである。具体的に
は、図1に示すように、ボール本体1の表面に、密着性
強化層2が形成され、さらに塗膜3で被覆されたもので
あり、密着性強化層2が、ボール本体1に塗布した後、
25℃で1時間放置しても、30重量%以上がボール本
体1表面に残存できるシリル化合物、具体的には、上記
で説明したシリル化合物(P)を主体として構成されて
いる。
【0061】このように、本発明のゴルフボールは、ボ
ール本体1及び塗膜3の双方と親和性(場合によっては
化学的結合も含む)を有する密着性強化層2が介在して
いるので、これによりボール本体1と塗膜3との密着性
が向上し、塗膜3は優れた耐剥離性を示すことができ
る。しかも、密着性強化層2という中間層が介在してい
るので、インパクト時のボール本体の変形と塗膜3との
変形とが異なる場合であっても、中間の密着性強化層2
が変形量の差を吸収緩和することができる。
【0062】
【実施例】〔ゴルフボールの作成〕 (イ)ボール本体の作成 日本合成ゴム株式会社製のハイシスポリブタジエンゴム
「BR―11」(これはシス−1,4結合の含有率が9
8%以上のブタジエンゴム)100重量部、アクリル酸
亜鉛(三新化学製)25重量部、硫酸バリウム27重量
部、ジクミルパーオキサイド(大内新興化学製)2重量
部を配合し、160℃で20分間圧縮加硫成形すること
により、直径43mmの1ピースゴルフボール及び碁盤
目試験用に厚み2mmの試験片を作成した。
【0063】日本合成ゴム株式会社製のハイシスポリブ
タジエンゴム「BR―11」100重量部、アクリル酸
亜鉛(三新化学製)25重量部、亜鉛華3号(堺化学工
業製)15重量部、硫酸バリウム5重量部、ジクミルパ
ーオキサイド(大内新興化学製)2重量部を配合してな
るゴム組成物を、160℃で20分間圧縮加硫成形する
ことにより作成したコア(直径38.4mm)に、三井
デュポンケミカル製のハイミラン1605(ナトリウム
中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー)
50重量部、同社製のハイミラン1706(亜鉛中和エ
チレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー)50重
量部、酸化チタン2重量部を配合してなるカバー材で被
包して、直径43mmの2ピースゴルフボールを作成し
た。また、このカバー材を用いて碁盤目試験用に厚み2
mmの試験片も併せて作成した。
【0064】(ロ)前処理 上記で作成した1ピースゴルフボール又は2ピースゴル
フボール、及び碁盤目用試験片にペイントを塗布する前
の前処理として、下記(a)〜(i)のいずれかを行な
った。塗布量については、シリル化合物成分が表1及び
表2に示すような量とした。
【0065】(a)信越化学社製のKBP43(これは
アミノ基含有シランカップリング剤とエポキシ基含有シ
ランカップリング剤を反応させて得られるシリル化合物
で、重量平均分子量が930である)を、イソプロピル
アルコールで希釈して密着性強化剤を調製した。希釈率
については、シリル化合物濃度(固形分濃度)が3%と
なるような濃度に調製した。調製した密着性強化剤にボ
ール本体をデッィピングしたした後、40℃で1時間乾
燥させた。
【0066】(b)信越化学社製のKBM403(これ
はγ−グリシドキシプロピルメトキシシランで、重量平
均分子量は236である)を用いた以外は、(a)と同
様の処理を行なった。
【0067】(c)信越化学社製のKBM603(これ
はN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメト
キシシランで、重量平均分子量は222である)を用い
た以外は、(a)と同様の処理を行なった。
【0068】(d)信越化学社製のKBM403とKB
M603を、1:1の割合で混合したものを用いた以外
は、(a)と同様の処理を行なった。
【0069】(e)信越化学社製のKBM903(γ−
アミノプロピルトリメトキシシランで、重量平均分子量
が221である)を用いた以外は、(a)と同様の処理
を行なった。
【0070】(f)信越化学社製のKBM703(γ−
クロロプロピルトリメトキシシランで、重量平均分子量
が199である)を用いた以外は、(a)と同様の処理
を行なった。
【0071】(g)信越化学社製のKBP43とKBM
403を2:1(重量比)の割合で混合したものを用い
た以外は、(a)と同様の処理を行なった。
【0072】(h)ボール本体を回転させながら、炎の
中を約0.1秒間通過させた後、水冷して40℃で1時
間乾燥させた。
【0073】(i)活性塩素0.3%の塩素水に、ボー
ル本体を20分間浸漬した後、水で洗浄し、40℃で1
時間乾燥した。
【0074】以上のような処理のうち、(a)(h)
(i)の処理が本発明に係るゴルフボールを製造する処
理に該当する。
【0075】(ハ)塗膜の形成 主剤として水酸基価が82mgKOH/gのポリエーテ
ルポリオールと、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソ
シアネートを、NCO:OHが当量比で1.2:1.0
となるように混合した2液型のウレタン塗料を用いた。
【0076】このウレタン塗料を、上記(a)〜(i)
のいずれかの前処理を行なった後、エアースプレーガン
を用いて塗装した。塗布量は、厚みが20μmとなる量
とした。その後50℃で10時間硬化させて、2ピース
ゴルフボール(No.1〜12)及び1ピースゴルフボ
ール(No.13〜24)を作成した。前処理(a),
(g)を行なって作成したゴルフボール(No.1〜
3,10,13〜15,22)が本発明実施例に該当
し、その他は比較例に該当する。
【0077】作成したゴルフボールについて、下記評価
方法に基づいて、塗膜とボール本体との密着性を評価し
た。評価結果を表1(2ピースゴルフボール)及び表2
(1ピースゴルフボール)に示す。
【0078】〔測定、評価方法〕 シリル化合物の付着量(mg)及び残存率(%) 前処理(a)〜(g)について、浸漬直後のシリル化合
物成分付着量及び乾燥後の付着量、及び残存率を下記式
に基づいて求めた。 ・浸漬後の付着量=(浸漬後のゴルフボール重量−浸漬
前のゴルフボール重量)×密着性強化剤中の固形分率 ・乾燥後の付着量=乾燥後のゴルフボール重量−浸漬前
のゴルフボール重量 ・残存率=(乾燥後の付着量÷浸漬後の付着量)×10
【0079】尚、上式において、密着性強化剤中の固形
分は、実質的にはシリル化合物成分(シランカップリン
グ剤)であるから、密着性強化剤中の固形分率は0.0
3を代入する。
【0080】動的耐剥離性 作成したゴルフボールを用いて、下記の評価方法でドラ
イ状態及びウェット状態で塗膜の耐剥離性を評価した。
【0081】i)ドライ状態 塗装乾燥後、ツルーテンパー社製スイングマシーンを用
いて、ヘッドスピード45m/secで、ゴルフボール
を50回打撃した後のボールを目視で観察し、剥離の程
度及び割れの程度に応じて、◎(割れ、剥離なし)、○
(剥離の総面積2mm2未満)、△(剥離の総面積2m
2以上5mm2未満)、×(剥離の総面積5mm2
上)の4段階で評価した。
【0082】ii)ウェット状態 塗装乾燥後のゴルフボールを7日間水中に浸漬した後、
ドライ状態の場合と同様にして試験を行った後の剥離状
態をドライ状態と同様の基準で評価した。
【0083】静的耐剥離性 JIS K5400の碁盤目試験に準じて評価した。す
なわち、作成した試験片に、隙間間隔1mmで、カッタ
ーガイドを用いてます目100個の碁盤目状の切り傷を
つけ、傷を状態に応じて、下記基準に応じて0〜10点
の得点評価を行なう。
【0084】10点:切り傷1本ごとが細くて両側が滑
らかで、切り傷の交点と正方形の一目一目にはがれがな
い 8点:切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方形
の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面
積の5%以内 6点:切り傷の両側と交点とにはがれがあって、欠損部
の面積は全正方形面積の5〜15% 4点:切り傷によるはがれの幅が広く、欠損部の面積は
全正方形面積の15〜35% 2点:切り傷によるはがれの幅は4点よりも広く、欠損
部の面積は全正方形面積の35〜65% 0点:はがれの面積は、全正方形面積の65%以上
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】〔評価〕表1及び表2から、シリル化合物
の残存率は、シリル化合物成分としてKBP43を50
重量%以上含有する密着性強化剤を用いた前処理a,g
では50%以上であるのに対し、モノマーシランカップ
リング剤単独を用いた前処理b〜fでは15%以下と大
変低いことがわかる。
【0088】そして、残存率が高いシリル化合物成分を
用いた前処理を施したゴルフボールは、動的耐剥離性、
静的耐剥離性に優れていたことがわかる。そして、この
傾向は、1ピースゴルフボールであっても、2ピースゴ
ルフボールであっても同じであった。この点、前処理
h、iでは、ゴルフボールの種類により密着性に対する
効果は異なり、しかも設備が密着性強化剤を使用する場
合よりも大規模でコスト高となる。
【0089】
【発明の効果】本発明のゴルフボールの製造方法は、浸
漬やスプレーコーティングという簡易なコーティング設
備で密着性強化層を形成することができ、しかも形成さ
れる密着性強化層は、バッチ処理的に生産するために一
定時間放置した場合であっても、その密着性強化効果を
保持できる。
【0090】本発明のゴルフボールは、ボールの製造工
程において揮発等することなく、密着性強化に寄与でき
るシリル化合物(P)を主体とする密着性強化層が、ボ
ール本体と塗膜との間に介在しているので、塗膜の耐剥
離性に優れている。しかも、本発明の密着性強化層は、
密着性強化剤を塗布、乾燥するだけで形成できるので、
従来の表面処理方法と比べて、大型の設備が不要とな
り、生産コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴルフボールの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ボール本体 2 密着性強化層 3 塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−254249(JP,A) 特開 昭63−311971(JP,A) 特開 平10−165886(JP,A) 特開 平10−137365(JP,A) 特開 平10−309330(JP,A) 特開 平10−80506(JP,A) 特開 平8−322967(JP,A) 特開 昭57−25867(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A63B 45/00 A63B 37/00 C09D 183/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボール本体の表面に密着性強化剤を塗布
    した後、塗料を塗布するゴルフボールの製造方法におい
    て、 前記密着性強化剤は、塗布後25℃で1時間放置して
    も、該密着性強化剤中のシリル化合物成分の30重量%
    以上がボール本体表面に残存できるシリル化合物を含有
    していることを特徴とするゴルフボールの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記密着性強化剤に含まれるシリル化合
    物成分の50重量%以上が、下記(1)式で表され且つ
    重量平均分子量が300以上であるシリル化合物(P)
    である請求項1に記載のゴルフボールの製造方法。 【化1】 (式中、R1,R2は同一又は異なる炭素数1〜3の飽和
    アルキル基、X,Yは分子内にアミノ基、イミノ基、又
    はエポキシ基を有する有機基であり、a,cはいずれも
    2又は3、b,dはいずれも0又は1の整数であって、
    a+b=3且つc+d=3を満たし、Aはアミド基、オ
    キシ基、イミノ基、第3級アミノ基、及びアルキレン基
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する2価
    の残基である)
  3. 【請求項3】 前記シリル化合物(P)は、下記(2)
    式で表される化合物(M1)と下記(3)式で表される
    化合物(M2)とを反応させてなる化合物である請求項
    2に記載のゴルフボールの製造方法。 【化2】 (式中、R1は炭素数1〜3の飽和アルキル基、Z1は分
    子内にアミノ基又はイミノ基を有する有機基であり、m
    は1又は2、nは2又は3の整数であって、m+n=4
    を満足する) 【化3】 (式中、R2は炭素数1〜3の飽和アルキル基、Z2は分
    子内にエポキシ基を有する有機基であり、pは1又は
    2、qは2又は3の整数であって、p+q=4を満足す
    る)
  4. 【請求項4】 前記ボール本体の表層部が、アイオノマ
    ーを主成分とする樹脂組成物の硬化体で構成されている
    請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフボールの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記ボール本体は、ジエン系ゴム、及び
    α,β−不飽和カルボン酸の金属塩を含有するゴム組成
    物の硬化体で構成されている請求項1〜3のいずれかに
    記載のゴルフボールの製造方法。
  6. 【請求項6】 ボール本体表面が塗膜で被覆されている
    ゴルフボールにおいて、 前記ボール本体と前記塗膜との間には、ボール本体表面
    に塗布した後25℃で1時間放置しても、シリル化合物
    成分の30重量%以上が残存できるシリル化合物(P)
    を主体とする密着性強化層が介在していることを特徴と
    するゴルフボール。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5に記載の方法により製造さ
    れるゴルフボール。
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