JP3408706B2 - 減衰棒およびこの減衰棒を使用する減衰装置 - Google Patents

減衰棒およびこの減衰棒を使用する減衰装置

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JP3408706B2 JP35158096A JP35158096A JP3408706B2 JP 3408706 B2 JP3408706 B2 JP 3408706B2 JP 35158096 A JP35158096 A JP 35158096A JP 35158096 A JP35158096 A JP 35158096A JP 3408706 B2 JP3408706 B2 JP 3408706B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、構造が簡単且つ小
形でしかもその減衰効果が大きく達成される減衰装置に
関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、減衰機構は、相対変位する2点
(物体)間に装着され、一方の振動源側から他方の制振
物体側へ伝達される振動エネルギを熱エネルギに変換消
失することにより減衰効果を達成するよう構成されてい
る。 【0003】しかるに、一般通常の減衰機構は、装置内
に形成される粘性体チャンバ内に、振動に伴って発生さ
れる相対変位部分を収容することにより、その粘性摩擦
抵抗を介して減衰効果を達成するように構成されてお
り、しかもこの場合、前記相対変移部分の変位量は実際
の変位量(相対変位する2点間の変位量)より増幅手段
を介して増幅されるよう構成されている。従って、減衰
効果も増大されることができる。因みに、減衰効果は、
相対変位(動作)する2部分の間の対向面積の1乗およ
び相対速度のα乗に比例する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の減衰装置には、次に述べるような難点があっ
た。 【0005】すなわち、前記従来の減衰機構は、前述し
たように、一般に、相対変位部分を増幅する手段を有す
るが、しかるにこの変位増幅手段は、通常は、ヒンジ・
ジョイントで連結されるテコ手段から構成されていた。
しかしながら、このようなヒンジ・テコ手段は、その増
幅倍率(相対変位間の対向面積および相対速度の増大比
率)が充分でなくしかも構成が複雑で構造を大形化する
と同時に作動精度も低下する難点も有していた。 【0006】そこで、本発明の目的は、簡単小形な構成
でしかも大きな増幅倍率を達成し得る変位増幅手段、す
なわち簡単小形な構成でしかも大きな減衰効果を奏する
減衰装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】先の目的を達成するため
に、本発明に係る減衰装置は、相対変位する2点間を連
結するよう互いに接続される第1及び第2の連結部材
と、前記第1の連結部材の接続側に形成された案内ネジ
部と、該案内ネジ部上に第1の複数のボールベアリング
を介して螺合される案内ナットと、該案内ナットを介し
て回転駆動されると共に、前記第1の連結部材に対し回
転摺動可能に挿着される回転内筒と、前記回転内筒の一
端部に形成され前記案内ナットを外装する閉塞端部と、
前記案内ナットと該案内ナットを外装する前記閉塞端部
との接面であって、前記第1及び第2の連結部材の長手
軸に沿って互いに離間する2つの接面に設けられ、2点
間の相対変位から発生する圧縮及び引張りの両荷重に対
応して、前記案内ナットが前記案内ネジ部上を回転摺動
可能に該案内ナットを軸支する第2及び第3の複数のボ
ールベアリングと、前記第2の連結部材の接続側に設け
られ、前記回転内筒を収容するチャンバを形成する固定
外筒と、前記固定外筒のチャンバ内に充填され粘性流体
として作用する合成ゴムとからなる減衰装置であって、
前記回転内筒は開放端中空筒体から形成することで、前
記合成ゴムは前記開放端中空筒体の外側面と前記固定外
筒の内側面との間隙に充填されると共に前記開放端中空
筒体の内側中空部にも充填されることで、前記合成ゴム
は前記開放端中空筒体の外側面及び内側面の両方に接す
るよう構成したことを特徴とする。 【0008】 【0009】 【0010】また、本発明に係る減衰棒を使用する減衰
装置を構造物に適用する場合には、例えば、建築構造物
における構造枠体の対向角部の間、或いは基礎とこの基
礎上の防震構造物との間等にそれぞれ圧縮および引張り
可能に配設し得る。 【0011】 【作用】本発明に係る減衰装置は、その変位増幅手段
が、第1連結部材の案内ねじ部に螺合する案内ナットで
駆動(回転摺動)される回転内筒から形成されている。
従って、変位増幅手段の、前述した相対速度増大比率N
は、下記式 N=πD/p 但し、pは案内ねじ部およびナットのねじピッチ Dは回転内筒の直径 において、pおよびDを適宜の値に設定することにより
適宜充分な大きさに選定されることができる。すなわ
ち、今仮に、pおよびDを例えば2および10cmに設定
するとNは15.7倍に増幅される。そしてこの場合、
前記減衰棒をブレーシングに使用すると前記Nは更に2
2.2倍に増幅される。また、同じく前述した対向面積
Aも、回転内筒の前記直径Dおよび長さLを適宜の値に
設定することにより同じく適宜充分な大きさに選定され
ることができる。なお、これらによって達成される前記
減衰棒の減衰効果は、後述する実施例において更に詳述
される。しかも、この変位増幅手段は、ねじ−ナット機
構であるので、簡単且つ小形に構成されることができ
る。 【0012】すなわち、本発明に係る減衰装置は、その
優れた特性から簡単且つ小形に構成されると共に十分大
きな減衰効果を発揮することができる。 【0013】 【実施例】次に、本発明に係る減衰装置の一実施例を添
付図面を参照しながら以下詳細に説明する。 【0014】図1において、本発明に係る減衰棒50
は、相対変位する2点(物体)A、B間を連結するよう
互いに接続される第1および第2の連結部材10および
20からなり、そして、これら両連結部材10,20
は、そのそれぞれの一端部を前記2点L1 、L2 の中の
1つにそれぞれ固定すると共に、その第1の連結部材1
0は、その接続側を案内ねじ部10aに形成し、そして
このねじ部10a上には、ボールベアリング12を介し
て螺合される案内ナット14で駆動する回転内筒16を
回転摺動可能に挿着し、また第2の連結部材20は、そ
の接続側を前記回転内筒16を収容するチャンバ22用
の固定外筒24に形成し、そしてこのチャンバ22内に
は減衰用の粘性体および/または粘弾性体26を充填す
るよう構成する。 【0015】なおここで、回転内筒16は、一端部を案
内ナット14に外挿される他端部閉塞筒体からなり、案
内ナット14の一側部および回転内筒16の前記閉塞端
部の固定外筒24に対する上下両対接面にそれぞれボー
ルベアリング28,30を配設することにより、2点L
1 、L2 間の相対変位から発生される圧縮および引張り
の両荷重に対応して、案内ねじ部10a上を回転し且つ
図示上下方向へ摺動するよう軸支されている。更に、粘
性流体には、ポリイソブチレンその他の合成ゴム等を好
適に使用することができる。 【0016】以下、本発明の減衰装置の減衰効果につい
て詳細に説明する。 【0017】減衰装置50を、建築構造物70の2位置
L1 、L2 間に架設するよう配置した模式的説明図(図
および図8)において 建築構造物の卓越(基本)振動数 n(Hz) 減衰棒50の軸方向変形(最大) d(cm) 案内ねじ部およびナット52のねじピッチ p(cm) 片振幅時間Δt(=1/2n)内の回転 m=d/p 回転内筒56の回転数(1秒間) f=2dn/p 回転内筒56の直径 D 回転内筒56の長さ L 回転内筒56の表面積 A=πDL とすると、回転内筒56の角速度ω(rad/sec)は、下
記式(1) ω=2πf=4πdn/p (1) によって、また、回転内筒56の外周速度v(cm/sec)
は、下記式(2)、 v=2πdnD/p (2) によって、それぞれ表される。 【0018】しかるに、このような減衰装置において、
その粘性体による減衰力Qd (kg)は、一般に、下記式
(3) Qd =a・μ・(dv/dy)α・A (3) 但し、 a:係数 μ:粘性体の粘度(kg・sec/cm2 ) dv:2面(固定外筒56内面と回転内筒54外面)間
の速度差 dy:2面(固定外筒56内面と回転内筒54外面)間
の隙間(cm) A:2面(固定外筒56内面と回転内筒54外面)間の
対向面積(cm2 ) で与えられるので、従って単位隙間(1cm)当りの減衰
力は、上記式(3)に前記式(2)を代入して得られる
下記式(4) Qd =a・μ・A・(2πdnD/p)α (4) から算定されることができる。 【0019】しかるにここで、実験結果として下記概算
値 a:0.0843(μ30)-0.483(但しμ30は温
度30℃のときの粘性体の粘度) μ:7.1(μ30)0.88・e-0.07t(但し、tは温
度) α:0.94 が得られており、すなわち簡略化された関係式として下
記式(5) Qd=0.6f{-1.17( μ30)0.3} ・(μ30)0.4 ×e-0.07t・A・(v/dy)0.94 (5) が得られている。前記式(1)、(2)から今仮に n=1(Hz) d=5(cm) p=0.5(cm) D=10(cm) L=100(cm) dy=1(cm) μ30=100poise =1/(9.8×103)(kg・
sec/cm2 )t=20(℃) とすると、すなわち f=2dn/p=2×5×1/0.5=20(rps) A=πDL=π×10×100=3142(cm2 ) v=2πdnD/p=2×π×5×1×10/0.5=
628(cm/sec) の場合を想定すると、前記減衰力Qd は、上記式(5)
から、下記のように算定される。 【0020】 Qd =0.6×20{-1.17×(1/9800)0.3} ×(1/9800)0.4 ×e -0.07×20 ×3142×(628/1)0.94 =0.6×0.8×0.0253×0.2466×3142×(628)0.94 =2180(kg) すなわち、このような減衰装置によれば、直径10cmお
よび長さ100cmの細長な回転内筒56を用いて約2.
2ton の大きな減衰が得られることが分かる。 【0021】ここで直線変位のみの場合を想定してみ
る。回転内筒56の速度v′(cm/sec)をv′=d/2
n=5/2・1=2.5(cm/sec)とすると、減衰力Q
d ′は、上記式(5)と同様にして下記のように算定さ
れる。 【0022】 Qd ′=0.6×1×(1/9800)0.4 ×e -0.07×20×3142×(2.5)0.94 =0.6×0.0253×0.2466×3142×2.4 =27.8(kg) これを前記減衰力Qd と比較すると、その減衰力は直線
変位のみの場合Qd ′に比べ約78倍になることが明ら
かになる。 【0023】このように、本発明に係る減衰装置によれ
ば、ねじ部の直線変位を回転内筒の回転運動に変換する
簡単且つ小形な(特に、長手方向に延在された)構成
で、しかも、従来のこの種の装置に比較して極めて大き
な減衰効果を容易に達成することができる。また更に、
この減衰装置は、比較的大きな構造物にも小さな組立物
にも同様に適用されると共に、圧縮および引張りの両荷
重に対して同様に適用される利点を併せ有する。 【0024】なお、本発明の前記減衰装置は、種々に変
更されることができ、例えば図2に示すように変形され
得る。すなわち、この変形例は、図1に示す実施例にお
いて、回転内筒16を開放筒体に形成すると共に、案内
ナット14を、固定外筒24に固定されたケーシング3
2に対してボールベアリング28,30を介して軸支す
るよう構成したものである。なお、本実施例において
も、先の実施例におけると同様の作用、効果が発揮され
ることは明らかである。 【0025】また、本発明の前記減衰装置は、前述した
ように、比較的大きな構造物にも小さな組立物にも広く
適用される。そこで次に、本発明に係る、前記減衰棒を
使用する減衰装置を建築構造物に適用した場合の実施例
について以下説明する。 【0026】先ず、図3〜図5において、減衰棒50
は、建築構造物72の構造枠体74における対向角部の
取付プレート74a,74bの間にそれぞれ連結部材5
0a,50bを介して圧縮および引張り可能に配設され
ている。従って、地震等で発生する構造枠体74の歪み
変位によって伸縮される減衰棒50の減衰効果により構
造枠体74内の前記歪みエネルギが吸収されて、建築構
造物70の振動が有効に制振され得る。 【0027】次に、図6においては、減衰装置50は、
基礎76とこの基礎76上に免震パッド78,78を介
して支持されている防震構造物80との間に、それぞれ
の支持支柱76aおよび80aを介して圧縮および引張
り可能に配設されている。従って、これによれば、地震
等で発生される基礎76および防震構造物80間の水平
方向の相対変位によって伸縮される減衰装置50の減衰
効果により基礎76および防震構造物80間の前記水平
方向の相対変位エネルギが吸収されて、防震構造物80
の振動が有効に制振され得る。 【0028】このように、本発明に係る減衰装置によれ
ば、その減衰棒が、前述したように、簡単且つ小形に構
成されると共に十分な減衰効果を有することから、簡単
且つ小形に構成されると共に十分な減衰効果を発揮し得
る。 【0029】以上、本発明を好適な一実施例について説
明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、
その精神を逸脱しない範囲内において多くの改良変更が
可能である。例えば、装置内のボールベアリングは適宜
別の軸支手段に変更し得る。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る減衰
装置は、相対変位する2点間を連結するよう互いに接続
される第1及び第2の連結部材と、前記第1の連結部材
の接続側に形成された案内ネジ部と、該案内ネジ部上に
第1の複数のボールベアリングを介して螺合される案内
ナットと、該案内ナットを介して回転駆動されると共
に、前記第1の連結部材に対し回転摺動可能に挿着され
る回転内筒と、前記回転内筒の一端部に形成され前記案
内ナットを外装する閉塞端部と、前記案内ナットと該案
内ナットを外装する前記閉塞端部との接面であって、前
記第1及び第2の連結部材の長手軸に沿って互いに離間
する2つの接面に設けられ、2点間の相対変位から発生
する圧縮及び引張りの両荷重に対応して、前記案内ナッ
トが前記案内ネジ部上を回転摺動可能に該案内ナットを
軸支する第2及び第3の複数のボールベアリングと、前
記第2の連結部材の接続側に設けられ、前記回転内筒を
収容するチャンバを形成する固定外筒と、前記固定外筒
のチャンバ内に充填され粘性流体として作用する合成ゴ
ムとからなる減衰装置であって、前記回転内筒は開放端
中空筒体から形成することで、前記合成ゴムは前記開放
端中空筒体の外側面と前記固定外筒の内側面との間隙に
充填されると共に前記開放端中空筒体の内側中空部にも
充填されることで、前記合成ゴムは前記開放端中空筒体
の外側面及び内側面の両方に接するよう構成した。すな
わち、本発明の前記減衰装置は、その減衰機構がねじ部
の直線変位を回転内筒の回転運動に変換するよう構成さ
れるので、その変位変換倍率(相対速度増大比率等)が
従来のこの種の装置に比較して大巾に増大される。従っ
て、本発明の減衰棒によれば、簡単且つ小形な構成でし
かも大きな減衰効果が容易に達成し得る。 【0031】また、本発明に係る前記減衰棒を使用する
減衰装置は、その減衰棒が前述したように簡単且つ小形
に構成されると共に十分な減衰効果を有することから、
この減衰棒と同様に、簡単且つ小形に構成されると共に
十分な減衰効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る減衰装置の一実施例を示す断面図
である。 【図2】本発明に係る減衰装置の別の実施例を示す断面
図である。 【図3】建築構造物における構造枠体の対向角部間に本
発明に係る減衰装置を適用する前記建築構造物の全体断
面図である。 【図4】図3におけるA 部拡大図である。 【図5】図3におけるB 部拡大図である。 【図6】基礎とこの基礎上の防震構造物との間に本発明
に係る減衰装置を使用する前記基礎および防震構造物の
全体斜視図である。 【図7】本発明に係る減衰棒を建築構造物の2位置間を
架設するよう配置した模式的説明図である。 【図8】図7における一部切欠断面図である。 【符号の説明】 10 第1の連結部材 10a 案内ねじ部 12 ボールベアリング 14 案内ナット 16 回転内筒 20 第2の連結部材 22 チャンバ 24 固定外筒 26 粘性体 28,30 ボールベアリング 32 ケーシング 50 減衰棒 50a,50b 連結部材 72 建築構造物 74 構造枠体 76 基礎 78 防震パッド 80 防震構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 英二 東京都新宿区荒木町13番地の4 住友建 設株式会社内

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 相対変位する2点間を連結するよう互い
    に接続される第1及び第2の連結部材と、 前記第1の連結部材の接続側に形成された案内ネジ部
    と、 該案内ネジ部上に第1の複数のボールベアリングを介し
    て螺合される案内ナットと、 該案内ナットを介して回転駆動されると共に、前記第1
    の連結部材に対し回転摺動可能に挿着される回転内筒
    と、 前記回転内筒の一端部に形成され前記案内ナットを外装
    する閉塞端部と、 前記案内ナットと該案内ナットを外装する前記閉塞端部
    との接面であって、前記第1及び第2の連結部材の長手
    軸に沿って互いに離間する2つの接面に設けられ、2点
    間の相対変位から発生する圧縮及び引張りの両荷重に対
    応して、前記案内ナットが前記案内ネジ部上を回転摺動
    可能に該案内ナットを軸支する第2及び第3の複数のボ
    ールベアリングと、 前記第2の連結部材の接続側に設けられ、前記回転内筒
    を収容するチャンバを形成する固定外筒と、 前記固定外筒のチャンバ内に充填され粘性流体として作
    用する合成ゴムとからなる減衰装置であって、 前記回転内筒は開放端中空筒体から形成することで、前
    記合成ゴムは前記開放端中空筒体の外側面と前記固定外
    筒の内側面との間隙に充填されると共に前記開放端中空
    筒体の内側中空部にも充填されることで、前記合成ゴム
    は前記開放端中空筒体の外側面及び内側面の両方に接す
    るよう構成したことを特徴とする減衰装置。
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