JP3081686B2 - 構造物用免震装置 - Google Patents

構造物用免震装置

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JP3081686B2
JP3081686B2 JP03257174A JP25717491A JP3081686B2 JP 3081686 B2 JP3081686 B2 JP 3081686B2 JP 03257174 A JP03257174 A JP 03257174A JP 25717491 A JP25717491 A JP 25717491A JP 3081686 B2 JP3081686 B2 JP 3081686B2
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秀則 金子
幸弘 細野
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Kumagai Gumi Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
イ. 発明の目的 〔産業上の利用分野〕 この発明は、建築物等の構造物と基礎(地盤も含む)と
の間に介装されて構造物に作用する振動を吸収する構造
物用免震装置に関する。
【0002】〔従来の技術〕 本出願人らは先に、特開昭63−122872号公報
(以下、「先行技術」という)により、この種構造物用
免震装置を提案した。すなわち、この先行技術は、「構
造物側の基礎と地盤側の基礎との間に配置され、弾塑性
変形抵抗部と該弾塑性変形抵抗部に結合される粘性せん
断抵抗とからなる免震装置であって、前記弾塑性変形抵
抗部は少なくとも一本の棒状の弾塑性部材からなり、前
記粘性せん弾抵抗部は、中空突出部を備えたケーシング
と該中空突出部内に該突出部の鉛直方向に移動自在にか
つ該突出部の内面と微小間隙をもって配される可動抵抗
体と該中空突出部内に充填される粘性体とからなり、前
記弾塑性部材の一端は前記基礎のいずれか一方に固定も
しくは揺動自在に結合され、他端は前記粘性せん断抵抗
部に固定もしくは揺動自在に結合されており、前記粘性
せん断抵抗部は前記他方の基礎に固定される」なる構成
を採る。
【0003】しかして、この構成により、地震等により
構造物に作用する水平振動は本免震装置の弾塑性変形部
を構成する棒状弾塑性部材の弾塑性変形抵抗力によって
吸収される。この棒状弾塑性変形部材の抵抗力は地震等
の強大かつ急激な力に対して十分な吸収力を発揮する。
また、重量車輛の交通等により構造物に作用する微小な
縦振動は本免震装置の粘性せん断抵抗部に生ずる粘性せ
ん断抵抗によって迅速に吸収される。このため、構造物
に悪影響を与える共振現象はこの装置によって可及的防
止される。
【0004】しかしながら、この先行技術によれば、水
平方向の振動に対しては、ある大きさ以上の強制振動力
のみに対応し、比較的小さな水平振動力に対しては拘束
的に作用し、所期の減衰性能を発揮できないでいる。
【0005】〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上記実情に鑑み、この種弾塑性変形部材を有す
る構造物用免震装置において、比較的小さな水平振動力
に対しても減衰作用を発揮でき振動域帯の拡大を図りう
る構造のものを提供することを目的とする。
【0006】ロ.発明の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本発明の構造物用免震装置は上記目的を達成するため、
次の構成を採る。第1番目の主たる構成は、上部構造側
の基礎と下部構造側の基礎との間においてこれらの基礎
に固定され、かつ上部構造の荷重を支持する機能を保持
することなく配置される装置であり、弾塑性変形ダンパ
ー部と、該弾塑性変形ダンパー部に結合され、上下端板
と該上下端板間に挟着される積層ゴム体とを有する積層
ゴムダンパー部とからなり、上部構造に作用する振動を
吸収する免震装置であって、前記弾塑性変形ダンパー部
は少なくとも一本の棒状の弾塑性変形部材からなり、前
記積層ゴムダンパー部には、少なくとも前記上下端板の
一つに円形の規制孔が穿設され、かつ、この円形の規制
孔に円心状に所定間隔を存してストッパー部材が配され
てなる移動規制手段が配備され、前記弾塑性変形部材の
一端は前記基礎のいずれか一方に固定もしくは揺動自在
に結合され、他端は前記積層ゴムダンパー部に固定もし
くは揺動自在に結合されており、前記積層ゴムダンパー
部は前記他方の基礎に固定される、ことを特徴とする支
持機能を有しない構造物用免震装置。この構成におい
て、弾塑性変形部材の一端は玉継手部によって揺動自
在に結合されてなること、該玉継手部は弾塑性変形部
材の軸方向移動のみ許容するケーシング内に収容されて
なること、積層ゴムダンパー部の積層ゴム体を高減衰
ゴムとすること、積層ゴムダンパー部の積層ゴム体を
鉛封入ゴム体とすること、は適宜選択される設計的事項
である。
【0007】第2番目の主たる構成は、上部構造側の基
礎と下部構造側の基礎との間においてこれらの基礎に固
定され、かつ上部構造の荷重を支持する機能を保持する
ことなく配置される装置であり、弾塑性変形ダンパー部
と、該弾塑性変形ダンパー部に結合される粘性せん断抵
抗部と、前記弾塑性変形ダンパー部あるいは前記粘性せ
ん断抵抗部に結合され、上下端板と該上下端板間に挟着
される積層ゴム体とを有する積層ゴムダンパー部とから
なり、上部構造に作用する振動を吸収する免震 装置であ
って、前記弾塑性変形ダンパー部は少なくとも一本の棒
状の弾塑性変形部材からなり、前記粘性せん断抵抗部
は、有底の筒体部からなるケーシングと、該ケーシング
の筒体部の鉛直方向にのみ移動自在に拘束されかつ該筒
体部の内面と微小間隙をもって配されるとともに、前記
弾塑性変形部材に結合される可動抵抗体と、該筒体部内
に充填される粘性体と、からなり、前記積層ゴムダンパ
ー部には、少なくとも前記上下端板の一つに円形の規制
孔が穿設され、かつ、この円形の規制孔に円心状に所定
間隔を存してストッパー部材が配されてなる移動規制手
段が配備され、前記弾塑性変形部材の一端は前記基礎の
いずれか一方もしくは前記積層ゴムダンパー部に固定も
しくは揺動自在に結合され、他端は前記粘性せん断抵抗
部に固定もしくは揺動自在に結合されており、前記粘性
せん断抵抗部は前記積層ゴムダンパー部もしくは前記他
方の基礎に固定され、前記積層ゴムダンパー部は残余の
基礎に固定される、ことを特徴とする支持機能を有しな
い構造物用免震装置。 この構成において、弾塑性変形
部材の一端は玉継手部によって揺動自在に結合されてな
ること、該玉継手部は弾塑性変形部材の軸方向移動の
み許容するケーシング内に収容されてなること、積層
ゴムダンパー部の積層ゴム体を高減衰ゴムとすること、
積層ゴムダンパー部の積層ゴム体を鉛封入ゴム体とす
ること、は適宜選択される設計的事項である。ここに、
「残余の基礎」とは、前記弾塑性変形ダンパー部が該積
層ゴムダンパー部に結合される場合は一方の基礎に、前
記粘性せん断抵抗部が積層ゴムダンパー部に結合される
場合は他方の基礎を意味する。
【0008】上記構成において、棒状の弾塑性変形部材
は所定の外力により所定の弾性変形を経て塑性変形する
ものであり、鋼棒その他の適宜の材料が使用される。
【0009】〔作用〕 構造物に地震力等の強制振動力が作用すると、構造物は
その固有振動に従って振動が惹起され、この振動は構造
物と基礎との間に介装された本装置に伝達される。この
強制振動力が比較的小さな場合には、この免震装置にお
いて、この振動は積層ゴムダンパー部にあらわれ、積層
ゴム体の減衰能により振動は速やかに減衰される。構造
物に作用する強制振動力が更に大きなものとなると、積
層ゴムダンパー部でのストッパー部材の拘束作用によ
り、積層ゴム体の変形が拘束され、該構造物の移動は弾
塑性変形ダンパー部に伝達され、本装置の弾塑性変形部
材の弾塑性変形抵抗により吸収される。
【0010】第2番目の主たる構成をもつ発明において
は、重量車輛の交通等により構造物に作用する微小な縦
振動は本装置の粘性せん断抵抗部に生ずる粘性せん断抵
抗によって迅速に吸収される。このため、構造物に悪影
響を与える共振現象はこの装置によって可及的防止され
る。
【0011】〔実施例〕 本発明の構造物用免震装置の実施例を図面に基づいて説
明する。 (第1実施例) 図1及び図2はその一実施例(第1実施例)の構造物用
免震装置(以下「免震装置」と略記する)Hを示す。す
なわち、図1はその全体の構成を示し、図2はその部分
構成を示す。
【0012】図において、Gは建築物等の上部構造側の
基礎、Bは地盤等の下部構造側の基礎である。本実施例
の免震装置Hは上部構造Gと下部構造Bとの間に介装さ
れ、上部構造Gに作用する振動を吸収する機能を主体と
するものであり、上部構造Gの荷重を支持する機能はな
い。
【0013】図1に示されるように、この免震装置H
は、弾塑性変形ダンパー部1と、積層ゴムダンパー部2
とからなる。本実施例では、弾塑性変形ダンパー部1が
下位に、積層ゴムダンパー部2が上位に配される態様を
示すが、これらを逆転した態様も可能である。
【0014】以下、各部の細部構造について説明する。
下位に配される弾塑性変形ダンパー部1は、弾塑性変形
部材10を主体とし、該弾塑性変形部材10の下位に配
される弾塑性変形部材の固定把持部11と、該弾塑性変
形部材10の上位に配される弾塑性変形部材の可動把持
部12と、を含む。
【0015】弾塑性変形部材10は、丸棒の鋼材が使用
され、外周面が下方から上方に至るに従って先細りとな
る円錐面に形成されてなる。その下方の基端部には、ね
じ部14及び該ねじ部14の上位に円環状の鍔部15が
形成される。また、その上方端部にはねじ孔16が螺設
され(図2参照)、後記する玉継手に接続する。なお、
該弾塑性変形部材10は外周面が一様な円柱状態様を採
ることは自由である。
【0016】固定把持部11は、円盤状をなす定着板1
8と該定着板18の上位の円環状の抑え板19とからな
り、定着板18はその中央部にねじ孔18aが螺設され
るとともに、その周縁部に穿設されたボルト挿通孔18
bに下部構造Bに植設されたアンカーボルト20が挿通
され、ナット21の締込みによって下部構造Bへの定着
が図られる。弾塑性変形部材10のねじ部14はこの定
着板18のねじ孔18aに螺合され、更には、その鍔部
15には抑え板19が嵌合され、鍔部15のテーパー面
と抑え板19のテーパー面19aとの衝接をなし、締付
けボルト23の締込みによって締着される。
【0017】可動把持部12は、弾塑性変形部材10の
上部を揺動自在に把持する玉継手部25と、該玉継手部
25を軸方向移動自在に保持する枠体部26とからな
る。
【0018】図2はこの可動把持部12の詳細構造を示
す。図示されるように、この玉継手部25は、雄ねじ部
28を備えたシャンク29と、該シャンク29に一体に
形成された球面ジャーナル30と、下方に鍔部31を内
方側に突設し、凹部32を有するハウジング33と、球
面ジャーナル30をハウジング33の凹部32内で抱持
しかつ支承する上部軸受35及び下部軸受36と、該上
部軸受35の上面を押圧する抑え板37と、から構成さ
れている。該玉継手部25において、シャンク29の雄
ねじ部28は弾塑性変形部材10の上面に形成された雌
ねじ部16に螺合固定される。上部軸受35及び下部軸
受36は合体してそれらの内部に球面ジャーナル30の
曲率に合致する凹球面38を形成し、その摺接作用によ
りシャンク29を揺動自在とする。なお、上記構成を有
する玉継手部25は弾塑性変形部材10を揺動自在に結
合するための一手段であって、他の揺動部材を適用する
ことは自由である。
【0019】枠体部26においては、枠本体40は円筒
部41とその上端部より外方へ張設されるフランジ部4
2とからなり、円筒部41の内面には円筒状のすべり軸
受43が嵌装され、その下端の抜止め板44によって位
置保持される。玉継手部25のハウジング33は、この
すべり軸受43の内周面に摺動自在に嵌装設置される。
45はそのすべり軸受43に埋設された固体潤滑剤であ
る。
【0020】積層ゴムダンパー部2は、この枠体部26
のフランジ部42を介して弾塑性変形ダンパー部1の上
位に定着設置される。更に図2を参照して、この積層ゴ
ムダンパー部2は、上下の端板50,51と、これらの
端板50,51間に介装される積層ゴム体52を含む。
積層ゴム体52は公知のように複数の補強板53をゴム
体54に挟み込んで加硫接着により一体化されてなる。
端板50,51にはそれぞれ周縁部に取付け孔50a,
51aが開設され、下部取付け孔51aには枠体部26
のフランジ42の取付け孔42aとの間にボルト・ナッ
トよりなる締具56が介装され、弾塑性変形ダンパー部
1との固定がなされる。上部取付け孔51aには上部構
造Gに埋設されたアンカーボルト(図示せず)が挿通さ
れ、ナット(図示せず)の締込みにより上部構造Gとの
締着がなされる。なお、この積層ゴムダンパー部2の上
部構造G及び弾塑性変形ダンパー部1への定着は、その
他の適宜手段、例えば溶接によってもなされる。
【0021】しかして、本実施例においては、この積層
ゴムダンパー部2に移動規制手段が付加されることを特
徴とする。
【0022】すなわち、積層ゴムダンパー部2の中央に
円孔の規制孔58が貫通状に穿設され、この規制孔58
内に同軸上にストッパー部材59が配される。ストッパ
ー部材59は円柱状のストッパー本体60と取付け用の
鍔体61とからなり、鍔体61を下部端板51の取付け
凹部51bに嵌合し、取付けボルト62をもって、ある
いは冷し嵌め等をもって固定される。これにより、規制
孔58とストッパー本体60とは所定の環状のすき間δ
を存する。
【0023】重要なことは、上部端板50の規制孔58
とストッパー本体60との配設関係であり、両者は同心
状に配されるとともに、その水平投影において重なり長
さhが可及的長くされる。このため、上部端板50は可
及的厚くされ、また、ストッパー本体60の上端は可及
的上部端板50の上端に近づけられる。場合によって
は、ストッパー本体60の上端は上部端板50よりも突
出する態様も採りうる。また、ストッパー部材59を基
礎Gに固定する態様を採ることもできる。
【0024】以上の構成よりなる本実施例の免震装置H
は次のように作用する。構造物に地震力等の強制振動力
が作用すると、構造物はその固有振動に従って振動が惹
起され、この振動は構造物と基礎との間に介装された本
免震装置Hに伝達される。この強制振動力が比較的小さ
な場合には、この免震装置において、この振動は積層ゴ
ムダンパー部2にあらわれ、積層ゴム体54の減衰能に
より振動は速やかに減衰される。構造物に作用する強制
振動力が更に大きなものとなると、積層ゴムダンパー部
2の移動規制手段により積層ゴム体54の変形が拘束さ
れ、該構造物の移動は弾塑性変形ダンパー部1に伝達さ
れ、弾塑性変形部材10の弾塑性変形抵抗により吸収さ
れる。
【0025】なお、弾塑性変形部材10の温度変化によ
る伸縮変位はその度合いが緩慢であるので、可動把持部
12における玉継手部25のハウジング33と枠体部4
0のすべり軸受43との摺動作用により抵抗なく許容
し、弾塑性変形部材10に座屈の要因となる圧縮応力を
与えることはない。本実施例の免震装置Hにおいて、弾
塑性変形ダンパー部1を上位に、積層ゴムダンパー部2
を下位に配する態様を採ってもその作用効果に本質的差
異はない。また、本免震装置Hをそのまま逆転して配し
ても同様である。
【0026】(第2実施例) 図3は本発明の他の実施例(第2実施例)の免震装置I
を示す。図において、先の第1実施例と同等の部材につ
いては同一の符号が付されている。この実施例では、弾
塑性変形ダンパー部1が上位に配され、積層ゴムダンパ
ー部2が下位に配される態様を採り、かつ、弾塑性変形
ダンパー部1に粘性せん断抵抗部3が付加された構成を
採る。
【0027】弾塑性変形ダンパー部1において、弾塑性
変形部材10は上方から下方に至るにつれ先細りとな
り、その上部は定着板18を主体とする固定把持部11
をもって上部構造Gに定着される。また、弾塑性変形部
材10の下部は球面ジャーナル30を主体とする玉継手
部25よりなる可動把持部12に連結される。玉継手部
25のハウジング33は露出された態様をとり、このハ
ウジング33の下部に連結部材70を介して、粘性せん
断抵抗部3が連接される。
【0028】粘性せん断抵抗部3は、ケーシング72と
該ケーシング72内に配される可動抵抗体73と該ケー
シング72内に充填される粘性体Lとを含む。該ケーシ
ング72は底板75と該底板75の上面に設けられた円
筒体部76と該円筒体部76の上端のフランジ部76a
に取り付けられた円環状の上板77とから形成されてい
る。該上板77の内面には軸受78がその両端面を当て
板79により狭持されて固定されており、該軸受78に
は前記玉継手部25を固定した連結部材70が挿通さ
れ、該軸受78は該連結部材70の上下方向の摺動を案
内している。円筒体部76の内面は粘性せん断抵抗面の
一方を構成するもので平滑に仕上げられている。
【0029】可動抵抗体73はその外面を前記ケーシン
グ72の円筒体部76内面との間に微小間隙sを保って
配され、連結部材70の下端に取付け部材を介して同心
状を保って結合固定されている。該可動抵抗体73の外
面は粘性せん断抵抗面の他方を構成するもので、平滑に
仕上げられている。
【0030】可動抵抗体73の外面にはすべり材80が
固定されている。このすべり材80は可動抵抗体73に
転倒モーメントが生じた際、該モーメント荷重をケーシ
ング72の開口部に設けられた軸受78と協同して支持
するように配されるとともに、該可動抵抗体73の外面
とケーシング72の円筒体部76の内面との間の微小間
隙sを保持するスペーサの役割を果たす。ここで、すべ
り材80としては、銅合金、薄鋼板上に黒鉛を含有した
銅系焼結合金層を一体に被着形成した被層材、あるいは
耐摩耗性の合成樹脂素材などが使用され、これらは可動
抵抗体73の外面に溶接、接着あるいは一部を突出させ
て埋設するなどの方法によって固定される。
【0031】粘性体Lは少なくとも上記微小間隙sを満
たすようにケーシング72内に充填される。該粘性体L
は通常の粘性体、例えばシリコン油の他に、特に減衰特
性の向上を図るべく高粘度粘性体、例えばポリイソブチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの高分子粘性
体、あるいはアスファルトなどが使用される。しかし
て、ケーシング72内には円筒体部76の内面と可動抵
抗体73の外面とこれらの間の微小間隙sと該間隙sに
介在する粘性体Lとで「粘性せん断抵抗発生部」が構成
される。
【0032】この実施例において、ケーシング72の円
筒体部76は円筒体を採るが方形に形成されてもよく、
該円筒体部76内に配される可動抵抗体73は該円筒体
部76に対応して円筒もしくは方形に形成されている。
上述した実施例において、粘性せん断抵抗発生部に生ず
る粘性せん断力は、一般に粘性体の粘性係数、粘性体を
介して相対運動を行う二面間の面積及びその相対速度に
それぞれ比例し、二面間の間隙距離に反比例する。しか
して、本免震装置においては二面の間隙距離は微小間隙
に形成され、かつ板面による相対面積が大きいので、二
面間に働く抵抗力は極めて大きく、構造物間の急激な運
動は直ちに拘束される。そして、粘性体に高粘度の高分
子粘性体を用いるとき、上述した傾向は一層顕著にな
る。すなわち、この粘性体は非ニュートン流体特性、す
なわち擬塑性流体特性(流体の速度が大きくなる程高粘
度から低粘度に変化して流動し易く、抵抗力の増加の度
合が小さくなる現象。抵抗力は速度のほぼ0.5から
0.6乗に比例する。)を示し、その抵抗力の発生は同
一速度であれば変位振幅数によらず一定であり、一定速
度が与えられると該抵抗力は矩形波的な立上りを示すの
で、振動に対し極めて敏感であり、即答性に優れた特徴
を有する。
【0033】積層ゴムダンパー部2は粘性せん断抵抗部
3のケーシング72の底板75に固定して取り付けられ
る。本実施例の積層ゴムダンパー部2の構成は、先の第
1実施例に準じる。該積層ゴムダンパー部2はその下部
端板51を介して下部構造Bに定着される。
【0034】本実施例の免震装置Iにおいては、その弾
塑性変形ダンパー部1及び積層ゴムダンパー部2のそれ
ぞれは構造物の振動に対応して、第1実施例に準じて機
能する。本実施例では特に、粘性せん断抵抗部3が付加
されることにより、微小な縦振動の吸収を図りうる。す
なわち、重量車輛の交通等により構造物に作用する微小
な縦振動は本装置の粘性せん断抵抗部3に生ずる粘性せ
ん断抵抗によって迅速に吸収される。このため、構造物
に悪影響を与える共振現象はこの装置によって可及的防
止される。従ってまた、構造物の振動周期に対する設計
上の自由度が増大する。
【0035】図4〜図6にこの免震装置Iの下部に設置
される積層ゴムダンパー部2の別態様を示す。これらの
態様は、先の第1実施例にも適用できることは勿論であ
る。
【0036】図4に示す積層ゴムダンパー部2Aは、そ
の中央部に移動規制手段が配され、上部端板50にも規
制孔58に連なる凹部82が形成され、ストッパー部材
59は上下に分割されてボルトによって固定されてな
り、ストッパー部材59の上部の鍔部60aを上部端板
50の凹部82に当接させている。これにより、叙上の
積層ゴムダンパー部2の機能を果たすことに加え、浮上
がりに対抗する。
【0037】図5に示す積層ゴムダンパー部2Bは、複
数個の移動規制手段が該ダンパー部2Bの中心より偏心
した位置に配されてなる。すなわち、その規制孔58は
先の実施例のものよりも小径とされ、そのストッパー部
材59の上部の鍔部60aは上部端板50の凹部82と
上下にすき間を隔てて配される。その機能は図4の態様
のものに準じるが、鍔部60aのすき間に見合う浮上り
を許容し、それ以上の浮上りに対しては対抗する。
【0038】図6に示す積層ゴムダンパー部2Cは、図
5の態様に加え、中央部に鉛体87を封入したものであ
る。該鉛体87は円柱状の鉛プラグをなし、その上下を
ダンパー部2Cの上下端板50,51に延設され、拘束
される。鉛体87はその塑性流動により積層ゴム体の減
衰特性を向上させ、積層ゴムダンパー部2Cの減衰特性
の向上が図られる。
【0039】この第2実施例における免震装置Iの弾塑
性変形ダンパー部1、積層ゴムダンパー部2及び粘性せ
ん断抵抗部3の各配列並びに基礎B,Gへの取付け態様
は図例に限定されず、実現可能な範囲内で種々の態様を
採りうる。すなわち、弾塑性変形ダンパー1と粘性せん
断抵抗部3とを剛的に固定し、揺動手段を積層ゴムダン
パー部2あるいは基礎B,Gとの取付け部に介装させる
ことはその一例である。
【0040】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更
が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的
範囲内に包含されるものである。玉継手部25は揺動
手段の一態様として開示されたものであり、その他の適
宜な揺動手段を採用することは自由である。積層ゴム
ダンパー部2は積層ゴム体のみに限定されず、他の適宜
のもの、例えば高減衰ゴムの使用もなされる。弾塑性
変形部材10は1本に限定されず、複数本であってもよ
い。この場合、それぞれの弾塑性変形部材につき、玉継
手部等の態様による揺動機構が設けられるものである。
【0041】ハ. 発明の効果 本発明の構造物用免震装置によれば、比較的小さな水平
振動力に対しては積層ゴムダンパー部が対応し、大きな
水平振動力に対しては弾塑性変形ダンパー部が対応し、
幅広い振動帯域にわたって減衰作用を発揮することがで
きる。また、本発明の構造物用免震装置によれば、その
積層ゴムダンパー部は面圧依存によらず安定した微小変
位での水平ばね特性を発現できるので、設計上の不確定
性がなくなり設計における合理化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造物用免震装置の一実施例(第1実
施例)の縦断面側面図。
【図2】その要部の拡大断面図。
【図3】本発明の構造物用免震装置の他の実施例(第2
実施例)の縦断面側面図。
【図4】第2実施例の積層ゴムダンパー部の他の態様
図。
【図5】第2実施例の積層ゴムダンパー部の更に他の態
様図。
【図6】第2実施例の積層ゴムダンパー部の更に他の態
様図。
【符号の説明】
H,I…免震装置、G…上部構造側基礎、B…下部構造
側基礎、1…弾塑性変形ダンパー部、2,2A,2B,
2C…積層ゴムダンパー部、10…弾塑性変形部材、2
5…玉継手部、50…上部端板、51…下部端板、54
…積層ゴム体、58…規制孔、59…ストッパー部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 清光 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会 社熊谷組東京本社内 (72)発明者 金子 秀則 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会 社熊谷組東京本社内 (72)発明者 細野 幸弘 神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス 工業株式会社内 (72)発明者 池永 雅良 神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−122872(JP,A) 特開 平3−157528(JP,A) 特開 平3−140642(JP,A) 実開 平2−103536(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 F16F 15/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部構造側の基礎と下部構造側の基礎と
    の間においてこれらの基礎に固定され、かつ上部構造の
    荷重を支持する機能を保持することなく配置される装置
    であり、弾塑性変形ダンパー部と、該弾塑性変形ダンパ
    ー部に結合され、上下端板と該上下端板間に挟着される
    積層ゴム体とを有する積層ゴムダンパー部とからなり、
    上部構造に作用する振動を吸収する免震装置であって、 前記弾塑性変形ダンパー部は少なくとも一本の棒状の弾
    塑性変形部材からなり、前記積層ゴムダンパー部には、
    少なくとも前記上下端板の一つに円形の規制孔が穿設さ
    れ、かつ、この円形の規制孔に円心状に所定間隔を存し
    てストッパー部材が配されてなる移動規制手段が配備さ
    れ、 前記弾塑性変形部材の一端は前記基礎のいずれか一方に
    固定もしくは揺動自在に結合され、他端は前記積層ゴム
    ダンパー部に固定もしくは揺動自在に結合されており、
    前記積層ゴムダンパー部は前記他方の基礎に固定され
    る、ことを特徴とする支持機能を有しない構造物用免震
    装置。
  2. 【請求項2】上部構造側の基礎と下部構造側の基礎との
    間においてこれらの基礎に固定され、かつ上部構造の荷
    重を支持する機能を保持することなく配置される装置で
    あり、弾塑性変形ダンパー部と、該弾塑性変形ダンパー
    部に結合される粘性せん断抵抗部と、前記弾塑性変形ダ
    ンパー部あるいは前記粘性せん断抵抗部に結合され、上
    下端板と該上下端板間に挟着される積層ゴム体とを有す
    る積層ゴムダンパー部とからなり、上部構造に作用する
    振動を吸収する免震装置であって、 前記弾塑性変形ダンパー部は少なくとも一本の棒状の弾
    塑性変形部材からなり、 前記粘性せん断抵抗部は、有底の筒体部からなるケーシ
    ングと、該ケーシングの筒体部の鉛直方向にのみ移動自
    在に拘束されかつ該筒体部の内面と微小間隙をもって配
    されるとともに、前記弾塑性変形部材に結合される可動
    抵抗体と、該筒体部内に充填される粘性体と、からな
    り、 前記積層ゴムダンパー部には、少なくとも前記上下端板
    の一つに円形の規制孔が穿設され、かつ、この円形の
    制孔に円心状に所定間隔を存してストッパー部材が配さ
    れてなる移動規制手段が配備され、 前記弾塑性変形部材の一端は前記基礎のいずれか一方も
    しくは前記積層ゴムダンパー部に固定もしくは揺動自在
    に結合され、他端は前記粘性せん断抵抗部に固定もしく
    は揺動自在に結合されており、前記粘性せん断抵抗部は
    前記積層ゴムダンパー部もしくは前記他方の基礎に固定
    され、 前記積層ゴムダンパー部は残余の基礎に固定される、 ことを特徴とする支持機能を有しない構造物用免震装
    置。
  3. 【請求項3】弾塑性変形部材の一端は玉継手部によって
    揺動自在に結合されてなる請求項1ないし2に記載の構
    造物用免震装置。
  4. 【請求項4】玉継手部は弾塑性変形部材の軸方向移動の
    み許容するケーシング内に収容されてなる請求項3に記
    載の構造物用免震装置。
  5. 【請求項5】積層ゴムダンパー部の積層ゴム体を高減衰
    ゴムとする請求項1ないし2に記載の構造物用免震装
    置。
  6. 【請求項6】積層ゴムダンパー部の積層ゴム体を鉛封入
    ゴム体とする請求項1ないし2に記載の構造物用免震装
    置。 【0001】
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