JP3407568B2 - 不平衡−平衡変換回路 - Google Patents

不平衡−平衡変換回路

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、不平衡−平衡変換
回路、特に直交変調器に用いられる不平衡−平衡変換回
路に関する。 【0002】 【従来の技術】図4に、従来の不平衡−平衡変換回路の
例を示す。図4において、不平衡−平衡変換回路20
は、差動増幅回路の平衡入力端子の一方を高周波的に接
地したもので、不平衡信号入力端子21、平衡信号出力
端子22および23、電源端子24、バイアス端子2
5、FETQ21、Q22およびQ23、コンデンサC
21、C22、C23およびC24、抵抗R21、R2
2、R23、R24、R25およびR26で構成され
る。 【0003】電源端子24は、2つに分けられ、それぞ
れ抵抗R21およびR22を介してFETQ21および
Q22のドレインに接続され、FETQ21およびQ2
2のソースは、ともにFETQ23のドレインに接続さ
れている。FETQ23のソースおよびゲートは、それ
ぞれ抵抗R23およびR24を介して接地されている。
不平衡信号入力端子21はコンデンサC21を介してF
ETQ21のゲートに接続され、またバイアス端子25
も抵抗R25を介してFETQ21のゲートに接続され
ている。FETQ21のゲートは抵抗R26を介してF
ETQ22のゲートに接続され、FETQ22のゲート
はコンデンサC24を介して接地されている。そして、
FETQ21およびQ22のドレインは、それぞれコン
デンサC22およびC23を介して平衡信号出力端子2
2および23に接続されている。 【0004】このように構成された不平衡−平衡変換回
路20において、FETQ23と抵抗R23、R24は
定電流回路を構成している。そのため、FETQ23を
流れる電流、すなわちFETQ21とQ22を流れる電
流の和は一定になる。 【0005】ここで、不平衡信号入力端子21からコン
デンサC21を介してFETQ21に不平衡信号が入力
されると、不平衡信号の振幅に応じた電流が、電源端子
24から抵抗R21およびFETQ21を通ってFET
Q23に流れ込む。この時、電源端子24から抵抗R2
2およびFETQ22を通っても、電流がFETQ23
に流れ込むが、FETQ23に流れ込む電流の和は一定
なので、抵抗R22およびFETQ22に流れる電流
は、抵抗R21およびFETQ21に流れる電流が大き
い時には小さく、逆に小さい時には大きい、互いに逆相
の関係になる。この結果、FETQ21とQ22のドレ
インの電圧も互いに逆相の関係になり、それぞれコンデ
ンサC22およびC23を介して平衡信号として平衡信
号出力端子22および23に出力される。ここで、平衡
信号出力端子22から出力される平衡信号は、入力され
た不平衡信号と逆相で、平衡信号出力端子23から出力
される平衡信号は入力された不平衡信号と同相になる。 【0006】図5に従来の不平衡−平衡変換回路の別の
例を示す。図5において、不平衡−平衡変換回路30
は、不平衡信号入力端子31、平衡信号出力端子32お
よび33、電源端子34、能動素子であるFETQ3
1、コンデンサC31、C32およびC33、抵抗R3
1、R32およびR33で構成される。 【0007】電源端子34は抵抗R31を介してFET
Q31の第1の端子であるドレインに接続され、FET
Q31の第2の端子であるソースは抵抗R32を介して
接地されている。不平衡信号入力端子31はコンデンサ
C31を介してFETQ31の第3の端子であるゲート
に接続され、FETQ31のゲートは抵抗R33を介し
て接地されている。そして、FETQ31のドレインお
よびソースは、それぞれコンデンサC32およびC33
を介して平衡信号出力端子32および33に接続されて
いる。 【0008】ここで、不平衡信号入力端子31からコン
デンサC31を介してFETQ31に不平衡信号が入力
されると、不平衡信号の振幅に応じた電流が、電源端子
34から抵抗R31、FETQ31および抵抗R32を
通ってグランドに流れる。この時、流れる電流が大きい
時には、抵抗R31の電圧降下のためにFETQ31の
ドレインの電圧は相対的に下がり、同じく抵抗R32の
電圧降下のためにFETQ31のソースの電圧は相対的
に上がる。逆に流れる電流が小さい時にはFETQ31
のドレインの電圧は相対的に上がり、FETQ31のソ
ースの電圧は相対的に下がるという逆相の関係になる。
そして、FETQ31のドレインおよびソースの電圧
は、それぞれコンデンサC32およびC33を介して平
衡信号として平衡信号出力端子32および33に出力さ
れる。ここで、平衡信号出力端子32から出力される平
衡信号は、入力された不平衡信号と逆相で、平衡信号出
力端子33から出力される平衡信号は入力された不平衡
信号と同相になる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4の
従来例の場合は、電源端子24からグランドまでの間に
FETQ21とQ23、またはFETQ22とQ23の
2つのFETが直列に接続されている。それぞれのFE
Tには、そのドライブのための最低限の電圧が必要とな
るため、電源電圧にはそれを満たすだけの電圧が必要と
なり、これが電源電圧の低電圧化の妨げとなる。携帯電
話などの低電圧・低消費電力化が要求される状況の中、
電源電圧を高くすることは大きなデメリットとなる。 【0010】また、図5の従来例の場合は、不平衡信号
の周波数が低い場合は問題はないが、不平衡信号の周波
数が高くなるにつれてFETQ31の内部やその周辺回
路の浮遊容量などの寄生成分の影響が大きくなり、2つ
の平衡信号出力端子から出力される平衡信号の位相のバ
ランス(平衡度)が劣化するという問題がある。これは
不平衡−平衡変換回路としては致命的な問題となる。 【0011】本発明は上記問題点を解決することを目的
とするもので、電源電圧を低くすることができ、しかも
高い周波数においても平衡信号の平衡度の劣化の少ない
不平衡−平衡変換回路を提供する。 【0012】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するた
めに、本発明の不平衡−平衡変換回路は、第1、第2お
よび第3の不平衡−平衡変換回路からなり、前記第1、
第2および第3の不平衡−平衡変換回路は、それぞれ1
つの入力と2つの出力を有し、前記第1の不平衡−平衡
変換回路の2つの出力に、前記第2および第3の不平衡
−平衡変換回路の入力をそれぞれ接続し、前記第2の不
平衡−平衡変換回路と前記第3の不平衡−平衡変換回路
の合計4つの出力を、それぞれ同相同士および逆相同士
で接続して2つの出力を有するように構成し、前記第
1、第2および第3の不平衡−平衡変換回路は、直流電
流が流入する第1の端子と、前記直流電流が流出する第
2の端子と、前記直流電流を制御する第3の端子を少な
くとも有する能動素子の、前記第3の端子から不平衡信
号を入力し、前記第1の端子と前記第2の端子から、互
いに位相が180度異なる平衡信号を取り出すことを特
徴とする。 【0013】また、本発明の不平衡−平衡変換回路にお
いて、前記第1、第2および第3の不平衡−平衡変換回
路は、直流電流が流入する第1の端子と、前記直流電流
が流出する第2の端子と、前記直流電流を制御する第3
の端子を少なくとも有する能動素子の、前記第3の端子
から不平衡信号を入力し、前記第1の端子と前記第2の
端子から、互いに位相が180度異なる平衡信号を取り
出すことを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】図1に、本発明の不平衡−平衡変
換回路の一実施例を示す。図1において、不平衡−平衡
変換回路1は、第1、第2および第3の不平衡−平衡変
換回路2、3および4、不平衡信号入力端子5、平衡信
号出力端子6および7、電源端子8、9および10で構
成される。このうち、第1の不平衡−平衡変換回路2
は、能動素子であるFETQ1、コンデンサC1、C
2、C3、抵抗R1、R2、R3で構成される。また、
第2の不平衡−平衡変換回路3は、能動素子であるFE
TQ2、コンデンサC2、C4、C5、抵抗R4、R
5、R6で構成される。さらに、第3の不平衡−平衡変
換回路4は、能動素子であるFETQ3、コンデンサC
3、C6、C7、抵抗R7、R8、R9で構成される。
そして、第1および第2の不平衡−平衡変換回路2およ
び3はコンデンサC2を、第1および第3の不平衡−平
衡変換回路2および4はコンデンサC3をそれぞれ共有
している。第1、第2および第3の不平衡−平衡変換回
路2、3および4の内部の回路構成は、いずれも図5に
示した従来例と同じであり、その説明は省略する。 【0015】ここで、不平衡信号入力端子5は第1の不
平衡−平衡変換回路2に接続され、第1の不平衡−平衡
変換回路2の2つの出力は、それぞれコンデンサC2お
よびC3を介して、第2および第3の不平衡−平衡変換
回路3および4に接続される。第2の不平衡−平衡変換
回路3の2つの出力は、それぞれコンデンサC4および
C5を介して平衡信号出力端子6および7に接続され
る。そして、第3の不平衡−平衡変換回路4の2つの出
力も、それぞれコンデンサC6およびC7を介して平衡
信号出力端子7および6に接続される。 【0016】このように構成された不平衡−平衡変換回
路1において、不平衡信号入力端子5から第1の不平衡
−平衡変換回路2に不平衡信号が入力されると、不平衡
信号と逆相の信号がコンデンサC2を介して第2の不平
衡−平衡変換回路3に、不平衡信号と同相の信号がコン
デンサC3を介して第3の不平衡−平衡変換回路4にそ
れぞれ入力される。 【0017】第2の不平衡−平衡変換回路3に不平衡信
号と逆相の信号が入力されると、不平衡信号と同相の信
号がコンデンサC4を介して平衡信号出力端子6に、不
平衡信号と逆相の信号がコンデンサC5を介して平衡信
号出力端子7にそれぞれ出力される。一方、第3の不平
衡−平衡変換回路4に不平衡信号と同相の信号が入力さ
れると、不平衡信号と逆相の信号がコンデンサC6を介
して平衡信号出力端子7に、不平衡信号と同相の信号が
コンデンサC7を介して平衡信号出力端子6にそれぞれ
出力される。平衡信号出力端子6および7には、それぞ
れ2つの信号が合成されて出力されるが、同じ平衡信号
出力端子には同じ位相の信号が出力されるため、合成さ
れて大きくなって出力される。 【0018】このように不平衡−平衡変換回路1を構成
することにより、周波数が高くなって、初段の第1の不
平衡−平衡変換回路2の出力の平衡度が劣化して位相が
ずれた場合でも、同じように構成された2段目の第2お
よび第3の不平衡−平衡変換回路3および4によって、
一方は位相がさらにずれ、もう一方は位相が逆にずれ、
これを合成することによって位相のずれを相殺して出力
することができる。 【0019】図2に、本発明の不平衡−平衡変換回路1
と従来の不平衡−平衡変換回路30における、平衡信号
の位相のバランスの比較を示す。図2は、不平衡−平衡
変換回路1および30の、2つの平衡信号の位相の差の
周波数特性を示しており、aは不平衡−平衡変換回路1
の2つの平衡信号の位相の差を、bは不平衡−平衡変換
回路30の2つの平衡信号の位相の差を示している。 【0020】図2から、従来の不平衡−平衡変換回路3
0では3GHzで約14度のずれが生じているのに対し
て、本発明の不平衡−平衡変換回路1では3GHzで約
2度のずれしか生じず、本発明の不平衡−平衡変換回路
1の方で明らかに位相のずれが改善されていることが分
かる。 【0021】また、図3に本発明の不平衡−平衡変換回
路1および従来の不平衡−平衡変換回路20の、電源端
子からグランドまでの各要素に加わる電圧の状態を示
す。ここで、図3(a)は不平衡−平衡変換回路1の初
段にある不平衡−平衡変換回路2の電源端子8からグラ
ンドまでの直流電流の経路のみを表したものである。ま
た、図3(b)は不平衡−平衡変換回路20の電源端子
24からグランドまでのFETQ21を経由する直流電
流の経路のみを表したものである。 【0022】図3の(a)と(b)を比較して分かるよ
うに、同じ1mAの電流を流す場合に、不平衡−平衡変
換回路20では0.4V+1.5V+1.5V+0.4
V=3.8Vの電源電圧を必要とするのに対して、不平
衡−平衡変換回路1では0.4V+1.5V+0.4V
=2.3Vの電源電圧で済む。この結果、図4に示した
従来例に比べて低電圧化が可能となることがわかる。 【0023】なお、以上の説明においては能動素子とし
てFETを用いたが、これは真空管やバイポーラトラン
ジスタなどの別の能動素子を用いても同様の効果を得る
ことができる。 【0024】また、上記の実施例においては能動素子を
使用した不平衡−平衡変換回路を3つ組み合わせて構成
したが、マイクロストリップ線路などの受動素子を使用
した不平衡−平衡変換回路を3つ組み合わせて構成して
も同様の効果を得ることができる。 【0025】 【発明の効果】本発明の不平衡−平衡変換回路によれ
ば、不平衡−平衡変換回路の2つの出力に、同じ構成の
2つの不平衡−平衡変換回路をそれぞれ接続し、その4
つの出力をそれぞれ同相同士および逆相同士で接続して
出力するように構成することにより、高い周波数におい
ても平衡信号の平衡度の劣化が少なくなる。また、1つ
の能動素子で構成した不平衡−平衡変換回路を組み合わ
せて用いることにより、低電圧化も可能になる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の不平衡−平衡変換回路の一実施例を示
す回路図である。 【図2】図1の実施例と図5の従来例における、不平衡
−平衡変換回路の平衡信号の位相のバランスを示す図で
ある。 【図3】図1の実施例および図4の従来例における、不
平衡−平衡変換回路の各要素のに加わる電圧の状態を示
す図で、(a)は不平衡−平衡変換回路2の電源端子8
からグランドまでの直流電流の経路のみを表したもの、
(b)は不平衡−平衡変換回路20の電源端子24から
グランドまでのFETQ21を経由する直流電流の経路
のみを表したものである。 【図4】従来の不平衡−平衡変換回路の例を示す回路図
である。 【図5】従来の不平衡−平衡変換回路の別の例を示す回
路図である。 【符号の説明】 1…不平衡−平衡変換回路 2…第1の不平衡−平衡変換回路 3…第2の不平衡−平衡変換回路 4…第3の不平衡−平衡変換回路 5…不平衡信号入力端子 6、7…平衡信号出力端子 8、9、10…電源端子 Q1、Q2、Q3…FET C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7…コンデン
サ R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
9…抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 11/32 H03C 1/54 H04L 27/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1、第2および第3の不平衡−平衡変
    換回路からなり、前記第1、第2および第3の不平衡−
    平衡変換回路は、それぞれ1つの入力と2つの出力を有
    し、前記第1の不平衡−平衡変換回路の2つの出力に、
    前記第2および第3の不平衡−平衡変換回路の入力をそ
    れぞれ接続し、前記第2の不平衡−平衡変換回路と前記
    第3の不平衡−平衡変換回路の合計4つの出力を、それ
    ぞれ同相同士および逆相同士で接続して2つの出力を有
    するように構成し、前記第1、第2および第3の不平衡
    −平衡変換回路は、直流電流が流入する第1の端子と、
    前記直流電流が流出する第2の端子と、前記直流電流を
    制御する第3の端子を少なくとも有する能動素子の、前
    記第3の端子から不平衡信号を入力し、前記第1の端子
    と前記第2の端子から、互いに位相が180度異なる平
    衡信号を取り出すことを特徴とする不平衡−平衡変換回
    路。
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