JP3406830B2 - 高周波用電子装置 - Google Patents

高周波用電子装置

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JP3406830B2
JP3406830B2 JP05512298A JP5512298A JP3406830B2 JP 3406830 B2 JP3406830 B2 JP 3406830B2 JP 05512298 A JP05512298 A JP 05512298A JP 5512298 A JP5512298 A JP 5512298A JP 3406830 B2 JP3406830 B2 JP 3406830B2
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    • H01P1/203Strip line filters
    • H01P1/20327Electromagnetic interstage coupling
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P3/00Waveguides; Transmission lines of the waveguide type
    • H01P3/02Waveguides; Transmission lines of the waveguide type with two longitudinal conductors
    • H01P3/08Microstrips; Strip lines

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶誘電体基板上
に線路導体によって構成された高周波用電子回路を搭載
した高周波用電子装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】単結晶誘電体基板上に薄膜導体層から成
る線路導体によって構成された高周波用電子回路を搭載
した高周波用電子装置は、高周波用電子機器における高
周波用部品として用いられ、従来、図5(a)に分解斜
視図、同図(b)に断面図で示すような構造を有してい
た。
【0003】図5において、1は単結晶誘電体基板であ
り、単結晶誘電体基板1の上面には線路導体等の配線導
体層によって構成される高周波用電子回路2が、また高
周波用電子回路2と同一面もしくは反対面には接地導体
層(グランドプレーン)3が形成されている。この単結
晶誘電体基板1は金属筐体4の中に収容され金属筐体4
の上面に取着された金属蓋体5によって覆われて、金属
筐体4と金属蓋体5とからなる容器中に気密に収納され
る。金属筐体4内部の高周波用電子回路2と外部との電
気信号の入出力は金属筐体4の側壁に組み込まれたコネ
クタ6を介して行なわれる。
【0004】ここで、高周波用電子回路2を構成する配
線導体層としては、図5に示したような単結晶誘電体基
板1の上面に線路導体を、下面に接地導体層3を配置し
たマイクロストリップ線路構造の他、誘電体基板の上面
に線路導体とその線路導体に平行に接地導体層を配置し
たコプレーナ線路構造が用いられていた。この場合、こ
れらマイクロストリップ線路構造やコプレーナ線路構造
の高周波用電子回路2からは、単結晶誘電体基板1上の
線路導体の上部空間に電磁波が放射されることとなり、
かかる電磁波放射が起こると高周波用電子回路2の性能
の低化や外部の電子回路への悪影響が生じるため、高周
波用電子回路2は導電体によって電磁波を閉じ込める構
造にする必要がある。そのため、従来は金属筐体4およ
び金属蓋体5で高周波用電子回路2を覆うシールド構造
とすることにより、電子装置外部への電磁波の放射を防
止していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の高周
波用電子装置は、高周波用電子回路2には前述のように
マイクロストリップ線路構造もしくはコプレーナ線路構
造の線路導体を用いて構成されており、誘電体基板の上
下面にそれぞれグランドプレーンを設け、それらグラン
ドプレーン間の誘電体基板内部に内部配線層として線路
導体を形成したストリップ線路構造の線路導体は用いら
れなかった。これは、ストリップ線路構造では内部配線
層を外部回路の信号線路と接続するための貫通導体が必
要であるのに対し、内部配線層を構成する導電材料を配
向成長もしくは単結晶成長させて電気の流れを良くして
内部配線層における損失を低化させるために誘電体基板
として単結晶誘電体基板を用いる場合に、単結晶誘電体
基板には貫通導体が作製できなかったからである。
【0006】すなわち、単結晶誘電体基板は一度溶融し
た原料から再結晶化させることで作製されることから、
その作製段階において貫通導体を設けるための貫通孔を
加工することができないため、誘電体基板の内部に形成
される線路導体と外部回路との貫通導体による接続が行
なえないという問題点があったことによる。
【0007】また、単結晶誘電体基板に貫通孔をドリル
等で開けることは可能であるが、このようにして貫通孔
を開ける際には貫通孔の周囲の結晶構造を乱してしま
い、線路導体が良好に配向成長もしくは単結晶成長でき
ないという問題点があった。
【0008】そのため、線路導体からの電磁波の放射が
上下のグランドプレーンに遮断されることから高周波用
電子回路への悪影響が少なく良好な電気特性を有するス
トリップ線路は、従来の高周波用電子装置には採用され
ていなかった。
【0009】一方、前述のような従来のマイクロストリ
ップ線路構造もしくはコプレーナ線路構造の構成では、
電磁波の放射を防ぐために金属筐体と金属蓋体とで電子
回路を覆っていたことから、金属筐体は大きく重いた
め、高周波回路部品の小型化・軽量化を図ることが困難
であるという問題点があった。また、マイクロストリッ
プ線路構造もしくはコプレーナ線路構造における線路導
体の上部空間は、金属筐体と金属蓋体により構成される
容器内部で空洞になっていることから、線路導体から発
生する熱を放熱する効率が低いため、高周波用電子回路
の温度上昇もしくは温度分布の発生によりその電気特性
の低下を生じてしまうという問題点もあった。
【0010】本発明は上記事情に鑑みて案出されたもの
であり、その目的は、搭載される高周波用電子回路に悪
影響を与える線路導体からの電磁波の放射を防止しつ
つ、金属筐体を用いず小型化・軽量化を図ることができ
る高周波用電子装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波用電子装
置は、下面に第1接地導体層が、上面に高周波用電子回
路を構成する第1配線導体層が被着形成された単結晶誘
電体基板と、下面に第2接地導体層が被着形成された第
1誘電体基板とを各々の上面が互いに略同一平面となる
ように当接させるとともに、上面に第3接地導体層が被
着形成された第2誘電体基板を前記単結晶誘電体基板の
上面を覆って前記単結晶誘電体基板および前記第1誘電
体基板の上面に取着させて成り、前記第1接地導体層
は、前記第2接地導体層と電気的に接続されるととも
に、前記第1誘電体基板および前記第2誘電体基板を貫
通する第1貫通導体により前記第3接地導体層と電気的
に接続され、前記第1配線導体層は、前記第1誘電体基
板の上面または前記第2誘電体基板の下面に被着形成さ
れた第2配線導体層と電気的に接続されるとともに、前
記第1誘電体基板または前記第2誘電体基板を貫通する
ように配設され前記第2配線導体層に電気的に接続され
た第2貫通導体を介して、外部電気回路と電気的に接続
されていることを特徴とするものである。
【0012】また、本発明の高周波用電子装置は、上記
構成において、前記第2配線導体層が、前記第1配線導
体層と前記第2貫通導体に接続される外部電気回路との
特性インピーダンスを整合させるインピーダンス変換器
を構成していることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の高周波電子装置によれ
ば、単結晶誘電体基板の上面に被着形成され、高周波用
電子回路を構成する第1配線導体層を、単結晶誘電体基
板の下面に被着形成した第1接地導体層と、単結晶誘電
体基板の上面に取着された第2誘電体基板の上面に被着
形成された第3接地導体層との2層のグランドプレーン
によって誘電体基板を介して挟持してストリップ線路構
造としたことにより、第1配線導体層を伝搬する高周波
信号の電磁波は第1接地導体層と第3接地導体層間の誘
電体基板内に閉じ込められるため、マイクロストリップ
線路構造やコプレーナ線路構造の高周波用電子回路を搭
載した従来の高周波用電子装置のように金属筐体を用い
る必要がなく、高周波用電子回路からの電磁波の放射を
防止しつつ小型化・軽量化できる高周波用電子装置とな
る。
【0014】しかも、高周波用電子回路を構成する第1
配線導体層の周囲には従来の金属筐体における空洞等の
余分な空間が存在しないため、高周波用電子回路で発生
する熱を容易に効率良く放熱することもできる。
【0015】さらに、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、単結晶誘電体基板上で高周波用電子回路を構成する
第1配線導体層と外部電気回路との電気的接続は、単結
晶誘電体基板に取着された第2誘電体基板の上面または
第3誘電体基板の下面に形成された第2配線導体層に第
1配線導体層が電気的に接続され、さらに、第2誘電体
基板または第3誘電体基板を貫通するようにして配設さ
れて第2配線導体層に電気的に接続された第2貫通導体
を介して行なわれることから、単結晶誘電体基板に外部
電気回路との接続のための貫通導体を設ける必要がない
ため、単結晶誘電体基板に貫通孔を開けることなく、単
結晶誘電体基板上にストリップ線路構造の高周波用電子
回路を構成することができる。その結果、高周波用電子
回路からの電磁波の放射を防止しつつ小型化・軽量化で
きる高周波用電子装置となる。
【0016】また、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、単結晶誘電体基板上で高周波用電子回路を構成する
第1配線導体層と外部電気回路に接続するための第2貫
通導体とを電気的に接続する第2配線導体層により、第
1配線導体層の特性インピーダンスと第2貫通導体に接
続される外部電気回路の特性インピーダンスとを整合さ
せるためのインピーダンス変換器を構成した場合には、
外部電気回路または第2貫通導体と外部電気回路との接
続に好適に用いられる同軸ケーブルの一般的な特性イン
ピーダンスである50Ωや75Ω等に単結晶誘電体基板上の
第1配線導体層の特性インピーダンスを合わせる必要が
なくなる。その結果、第1配線導体層の設計の自由度が
大きくなり、第1配線導体層の特性インピーダンスを小
さく設計すると第1配線導体層の配線幅を太くして低損
失の高周波用電子回路を構成できる。また、特性インピ
ーダンスを大きく設計すると配線幅が細くなり、高周波
信号の損失は大きくなるものの配線の高密度化が可能と
なる。
【0017】このようなインピーダンス変換器には、高
周波回路に用いる分布定数回路を用い、かつ薄膜で構成
されることが望ましいことから、1/4波長型もしくは
テーパー型のインピーダンス変換器を用いることが好ま
しい。
【0018】ここで、1/4波長型インピーダンス変換
器とは、線路幅が異なる特性インピーダンスがZa とZ
b の2つの線路導体の間を、高周波信号の波長の1/4
の長さで線路幅をステップ状に変えた特性インピーダン
スZb がZb =(Za ×Zb)1/2 の線路導体で接続す
ることにより、高周波信号の反射がないように結合する
ものである。また、テーパー型インピーダンス変換器と
は、線路幅が異なる特性インピーダンスがZa とZb の
2つの線路導体の間を、線路幅を連続的に変化させた線
路導体で接続することにより、高周波信号の反射がない
ように結合するものである。
【0019】なお、本発明の第2配線導体層により構成
されるインピーダンス変換器としては、これら1/4波
長型もしくはテーパー型の他にも、特性インピーダンス
の異なる線路導体を結合するにあたって高周波信号の反
射が小さいインピーダンス変換器であれば、例えば集中
定数回路によって設計された等価回路で1/4波長型と
同一の性能を示すコイルやコンデンサによる回路、回路
を分岐することによって分岐された配線のインピーダン
スを低下させる方法等、どのようなものを使ってもかま
わない。
【0020】また、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、単結晶誘電体基板に形成された第1配線導体層を他
の単結晶誘電体基板もしくは非単結晶誘電体基板である
第1誘電体基板または第2誘電体基板に形成された第2
配線導体層に電気的に接続したことから、多種多様の複
雑な高周波用電子回路を構成することができ、高周波用
電子装置の電気特性を向上させることができる。さら
に、単結晶誘電体基板と第1・第2誘電体基板との誘電
率を全体的または部分的に異なるものとしたり、誘電損
失の小さいものとしたりすることにより、第1および第
2配線導体層の特性インピーダンスを部分的に変化させ
たり配線導体層を低損失化したりすることができ、第1
配線導体層により、また第1配線導体層と第2配線導体
層とにより構成される高周波用電子回路の設計の自由度
をより大きなものとすることができる。
【0021】なお、本発明の高周波用電子装置において
は、第1配線導体層が形成された単結晶誘電体基板の上
面に対向する第3誘電体基板の下面にも高周波用電子回
路を構成するための配線導体層が形成されていてもよ
く、その配線導体層と第1配線導体層・第2配線導体層
とを電気的に接続することにより、さらに複雑な高周波
用電子回路を構成することができ、高周波用電子装置の
電気特性を向上することができる。
【0022】また、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、第1配線導体層と外部電気回路との電気的接続は第
2貫通導体を介して行なわれるため、第1誘電体基板の
下面または第2誘電体基板の上面において第2貫通導体
の導出端に同軸ケーブル用コネクタもしくは同軸ケーブ
ルを接続することにより、これらの配置を第1誘電体基
板の下面または第2誘電体基板の上面の任意の位置とし
つつ、同軸ケーブル用コネクタもしくは同軸ケーブルの
接地導体と第2接地導体層もしくは第3接地導体層とを
容易にかつ低損失で接続できることから、外部電気回路
との高周波電気信号の接続を容易にかつ好適に行なうこ
とができる。
【0023】本発明の高周波用電子装置においては、単
結晶誘電体基板の側面に側面同士で当接させ、各々の上
面が略同一平面となるように当接させている第1誘電体
基板は複数あってもかまわない。この場合は、各第1誘
電体基板に形成される電気回路と単結晶誘電体基板上の
高周波用電子回路を接続することにより、さらに多種多
様な電子回路を構成して高周波用電子装置の電気特性を
向上させることができる。この場合においても、複数の
第1誘電体基板として誘電率や誘電損失の異なる誘電体
基板を組み合わせることにより、部分的に配線導体層の
特性インピーダンスや損失等を変化させることができ、
回路設計の自由度を大きくすることができる。また、複
数の第1誘電体基板のそれぞれに設けた第2貫通導体に
外部電気回路との接続用の同軸ケーブル用コネクタもし
くは同軸ケーブルを接続することにより、任意の位置に
同軸ケーブル用コネクタもしくは同軸ケーブルを配置す
ることができる。
【0024】なお、同軸ケーブル用コネクタもしくは同
軸ケーブルの配置の自由度の向上のためには、第2誘電
体基板を複数の誘電体基板により構成してもよい。
【0025】また、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、第1接地導体層は単結晶誘電体基板に被着形成され
ていることから、それを構成する導電材料を配向膜もし
くは単結晶膜とすることができ、この場合には第1接地
導体層を低損失なものとして高周波電子回路の特性を安
定させ向上させることができる。
【0026】また、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、単結晶誘電体基板が赤外線を透過させる性質を有す
ることにより、単結晶誘電体基板と第1および第2誘電
体基板との取着に熱接着型接着剤を用いる場合、赤外線
を利用して少ない消費電力と短時間で加熱接着し取着さ
せることができる。他方、単結晶誘電体基板が紫外線を
透過させる場合には、単結晶誘電体基板と第1および第
2誘電体基板との取着に紫外線接着接着剤を用いて、高
周波用電子装置を加熱せずに取着を行なうことができ
る。
【0027】なお、本発明の高周波用電子装置におい
て、各誘電体基板上のそれぞれの配線導体層同士を電気
的に接続するための配線の位置合わせについてX線・可
視光線・赤外線等を用いることにより、誘電体基板で挟
まれた配線導体層同士を外部から容易に位置合わせする
ことが可能となる。
【0028】また、本発明の高周波用電子装置におい
て、第1誘電体基板または第2誘電体基板に第2貫通導
体と電気的に接続された同軸ケーブル用コネクタを取着
し、第2接地導体層と第3接地導体層との電気的接続を
行なう第1貫通導体としてその同軸ケーブル用コネクタ
の固定用のネジを用いた場合には、第1および第2誘電
体基板には第1貫通導体が配設される貫通孔を開けるの
みでよく、その内部にスルーホール導体やビアホール等
の導体を形成する必要がなくなるので、製造工程を簡略
化し短縮できる。
【0029】また、本発明の高周波用電子装置におい
て、第1誘電体基板ならびに第2誘電体基板を単結晶誘
電体基板と結晶構造が同じ誘電体基板とすると、単結晶
誘電体基板との誘電率が近くなって配線導体層の設計が
簡単になるとともに、熱膨張係数が近くなって温度履歴
による単結晶誘電体基板からの剥離が起こらないものと
することができる。
【0030】また、本発明の高周波用電子装置におい
て、第1配線導体層と第2配線導体層との電気的接続に
熱接着型導電材料が挟まれた構造を採用することによ
り、誘電体基板同士の取着後に、外部からの熱で配線導
体層同士を容易かつ確実に接続することができるものと
なる。この場合、熱接着型導電材料として、低抵抗の半
田・半田ペーストまたは導電性接着剤を用いることによ
り、接続後の配線導体層同士の接続部における熱接着型
導電材料の電気抵抗による発熱を小さく抑えることがで
きる。そして、単結晶誘電体基板が赤外線を透過させる
ものである場合であれば、熱接着型導電材料による接着
方法として赤外線で熱接着型導電材料を加熱することに
より、赤外線照射量と時間によって加熱量を正確に制御
でき、しかも、収束させた赤外線で熱接着型導電材料の
周りだけを加熱することができるので接続部以外の加熱
したくない配線導体層や電子部品を必要以上に加熱しな
いですむため、加熱による高周波用電子回路の電気特性
の低化を防ぐことができる。
【0031】なお、このように赤外線加熱を行なう場合
においては、熱接着型導電材料として金薄膜を用い、熱
接着型導電材料と接する配線導体層にも金薄膜を積層し
ておくことにより、加熱による接続部の酸化を防ぐこと
ができる。
【0032】本発明の高周波用電子装置において、単結
晶誘電体基板上の第1配線導体層の一部もしくは全てを
超電導体薄膜で構成した場合には、単結晶誘電体基板上
の第1配線導体層ならびにそれにより構成される高周波
用電子回路を非常に低損失のものとすることができる。
【0033】また、単結晶誘電体基板上に超電導体薄膜
により形成した第1配線導体層の上下のグランドプレー
ンである第1〜第3接地導体層を超電導体薄膜で形成す
ることにより、グランドプレーンを非常に低損失にする
ことができる。
【0034】さらに、第1接地導体層を単結晶誘電体基
板に被着させた超電導体薄膜によって形成した場合に
は、この第1接地導体層を配向膜もしくは単結晶膜にす
ることができ、第1接地導体層を極めて低損失なものと
することができる。
【0035】以下、図面に基づいて本発明の高周波電子
装置の構成例につき詳細に説明する。図1(a)は本発
明の高周波用電子装置の実施の形態の一例を示す斜視図
であり、図1(b)はその断面図である。
【0036】図1において11は高周波電子装置を構成す
る誘電体基板の内の一つである単結晶誘電体基板、12は
単結晶誘電体基板11の上面に被着形成され、高周波用電
子回路を構成する第1配線導体層、13は単結晶誘電体基
板11の下面のほぼ全面に被着形成されたグランドプレー
ンである第1接地導体層、14は単結晶誘電体基板11の側
面にその上面が互いに略同一平面となるように側面同士
を当接させた第1誘電体基板、15は第1誘電体基板14の
下面のほぼ全面に被着形成された第2接地導体層、16は
単結晶誘電体基板11の上面を覆って単結晶誘電体基板11
および第1誘電体基板14の上面に取着させた第2誘電体
基板、17は第2誘電体基板16の上面のほぼ全面に被着形
成された第3接地導体層である。
【0037】19は第1誘電体基板14および第2誘電体基
板16を貫通して第2接地導体層15と第3接地導体層17と
を電気的に接続する第1貫通導体であり、本例では、第
1誘電体基板14および第2誘電体基板16に設けた貫通孔
18中に挿入した、同軸ケーブル用コネクタ23の固定用ビ
スを第1貫通導体19として利用している。
【0038】20は第2配線導体層である。本例では第2
誘電体基板16の下面に被着形成されており、第1配線導
体層12とは接続電極部27で電気的に接続されている。22
は第2貫通導体であり、本例では、第2誘電体基板16に
設けた貫通孔21中に同軸ケーブル用コネクタ23の中心導
体に接続された導体線を挿入することで第2貫通導体22
として利用しており、その一端が第2配線導体層20に設
けた接続電極部28で第2配線導体層20に、また他端が第
2誘電体基板16の上面に取着した同軸ケーブル用コネク
タ23の中心導体に電気的に接続されており、同軸ケーブ
ル用コネクタ23に外部電気回路からの同軸ケーブルを接
続することにより第1配線導体層12と外部電気回路とが
電気的に接続され、外部電気回路と高周波電子装置との
高周波電気信号の交換が行なわれる。
【0039】本例では第2誘電体基板16の上面に同軸ケ
ーブル用コネクタ23を取着しており、この同軸ケーブル
用コネクタ23の外導体24は金属製のコネクタ固定部品25
によって第2誘電体基板16の上面に形成された第3接地
導体層17と電気的に接続される。また、第1誘電体基板
14の下面の第2接地導体層15と第1貫通導体19としての
固定用ビスが金属製のコネクタ固定部品26によって電気
的に接続され、これにより第2接地導体層15と第3接地
導体層17とが第1貫通導体19により電気的に接続される
こととなる。
【0040】なお、第1貫通導体19および第2貫通導体
22としては、第1誘電体基板14や第2誘電体基板16を貫
通して形成されたスルーホール導体やビア導体等を用い
てもよいことは言うまでもない。
【0041】また、単結晶誘電体基板11の第1接地導体
層13は、PtやAu・Ag・Cu・Ni・Cr・Mo・
Mn・Ti・W・Nb・NbN・YBa2 Cu3 x
Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 y ・Tl2 Ba2 Ca2
3 z 等の導電部材29により第1誘電体基板14の第2
接地導体層15と電気的に接続され、これらの結果、第1
接地導体層13と第2接地導体層15と第3接地導体層17と
が電気的に接続されている。
【0042】特に、導電部材29に超電導体を用いてその
臨界温度以下で使用した場合、回路を非常に低損失なも
のとすることができる。また、導電部材29に酸化されに
くい部材、例えばAu・Ag・Pt等を積層することに
より、導電部材29の酸化を防止することができる。
【0043】なお、図2に、図1に示した高周波用電子
装置の各誘電体基板の上面ならびに下面を示す平面図を
示す。図2(a)は第2誘電体基板16の上面図、図2
(b)は第2誘電体基板16の下面図、図2(c)は単結
晶誘電体基板11および第1誘電体基板14の上面図、図2
(d)は単結晶誘電体基板11および第1誘電体基板14の
下面図であり、それぞれ図1と同様の箇所には同じ符号
を付してある。
【0044】次に、図3に本発明の高周波用電子装置の
実施の形態の他の例を示す。図3(a)は図1(b)と
同様の断面図であり、同図においては図1(b)とは単
結晶誘電体基板および第1誘電体基板と第2誘電体基板
との位置関係を上下逆にして示してある。また、図3
(b)は(a)に示した高周波用電子装置における単結
晶誘電体基板および第1誘電体基板の上面図、(c)は
単結晶誘電体基板および第1誘電体基板の下面図、
(d)は第2誘電体基板の上面図、(e)は第2誘電体
基板の下面図である。
【0045】これらの図において、31は単結晶誘電体基
板、32は単結晶誘電体基板31の下面に被着形成され、高
周波用電子回路を構成する第1配線導体層、33は単結晶
誘電体基板31の下面のほぼ全面に被着形成されたグラン
ドプレーンである第1接地導体層、34は単結晶誘電体基
板31の側面にその下面が互いに略同一平面となるように
側面同士を当接させた第1誘電体基板、35は第1誘電体
基板34の上面のほぼ全面に被着形成された第2接地導体
層、36は単結晶誘電体基板31の下面を覆って単結晶誘電
体基板31および第1誘電体基板34の下面に取着させた第
2誘電体基板、37は第2誘電体基板36の下面のほぼ全面
に被着形成された第3接地導体層である。
【0046】39は第1誘電体基板34および第2誘電体基
板36を貫通して第2接地導体層35と第3接地導体層37と
を電気的に接続する第1貫通導体であり、本例でも、第
1誘電体基板34および第2誘電体基板36に設けた貫通孔
38中に挿入した、同軸ケーブル用コネクタ43の固定用ビ
スを第1貫通導体39として利用している。
【0047】40は第2配線導体層である。本例では第1
誘電体基板34の下面に被着形成されており、第1配線導
体層32とは第2誘電体基板36の上面に形成した接続電極
部47で電気的に接続されている。42は第2貫通導体であ
り、本例では、第1誘電体基板34に設けた貫通孔41中に
同軸ケーブル用コネクタ43の中心導体に接続された導体
線を挿入することで第2貫通導体42として利用してお
り、その一端が第2配線導体層40に設けた接続電極部48
で第2配線導体層40に、また他端が第1誘電体基板34の
上面に取着した同軸ケーブル用コネクタ43の中心導体に
電気的に接続されており、同軸ケーブル用コネクタ43に
外部電気回路からの同軸ケーブルを接続することにより
第1配線導体層32と外部電気回路とが電気的に接続さ
れ、外部電気回路と高周波電子装置との高周波電気信号
の交換が行なわれる。
【0048】本例では第1誘電体基板34の上面に同軸ケ
ーブル用コネクタ43を取着しており、この同軸ケーブル
用コネクタ43の外導体44は金属製のコネクタ固定部品45
によって第1誘電体基板34の上面に形成された第2接地
導体層35と電気的に接続される。また、第2誘電体基板
36の下面の第3接地導体層37と第1貫通導体39としての
固定用ビスが金属製のコネクタ固定部品46によって電気
的に接続され、これにより第2接地導体層35と第3接地
導体層37とが第1貫通導体39により電気的に接続される
こととなる。
【0049】なお、第1貫通導体39および第2貫通導体
42にも、第1誘電体基板34や第2誘電体基板36を貫通し
て形成されたスルーホール導体やビア導体等を用いても
よいことは言うまでもない。
【0050】また、単結晶誘電体基板31の第1接地導体
層33は導電部材49により第1誘電体基板34の第2接地導
体層35と電気的に接続され、これらの結果、第1接地導
体層33と第2接地導体層35と第3接地導体層37とが電気
的に接続されている。
【0051】次に、図4に本発明の高周波用電子装置の
実施の形態のさらに他の例を示す。
【0052】図4(a)は図3(a)と同様の断面図で
あり、同図においては単結晶誘電体基板および第1誘電
体基板と第2誘電体基板との位置関係を図1(b)と同
じ(図3(a)とは上下逆)にして示してある。また、
図4(b)は(a)に示した高周波用電子装置における
第2誘電体基板の上面図、(c)は第2誘電体基板の下
面図、(d)は単結晶誘電体基板および第1誘電体基板
の上面図、(e)は単結晶誘電体基板および第1誘電体
基板の下面図、(f)は単結晶誘電体基板の下面に取着
されたグランドプレーン用単結晶誘電体基板の上面図、
(g)は第2誘電体基板の上面に取着されたグランドプ
レーン用単結晶誘電体基板の下面図である。
【0053】これらの図において、51は単結晶誘電体基
板、52は単結晶誘電体基板51の上面に被着形成され、高
周波用電子回路を構成する第1配線導体層、53は単結晶
誘電体基板51の下面のほぼ全面に被着形成されたグラン
ドプレーンである第1接地導体層であり、本例では、第
1接地導体層53は、グランドプレーン用単結晶基板70の
上面に超電導単結晶導体層として形成してこれを単結晶
誘電体基板51の下面に取着することにより単結晶誘電体
基板51の下面のほぼ全面に被着形成している。
【0054】また、本例においては高周波用電子回路を
構成する第1配線導体層52として超電導単結晶導体層を
用いることにより、低損失な高周波用電子回路を構成す
ることができる。それは、超電導体の高周波での表面抵
抗が非常に小さいからである。
【0055】一般的に使用されるマイクロ波の周波数で
ある1〜10GHzにおいて、表面抵抗の小さいCuより
も、超電導体(YBa2 Cu3 x 等)は1000分の1〜
100 分の1と非常に小さい表面抵抗である。
【0056】54は単結晶誘電体基板51の側面にその上面
が互いに略同一平面となるように側面同士を当接させた
第1誘電体基板、55は第1誘電体基板54の下面のほぼ全
面に被着形成された第2接地導体層、56は単結晶誘電体
基板51の上面を覆って単結晶誘電体基板51および第1誘
電体基板54の上面に取着させた第2誘電体基板、57aは
第2誘電体基板56の上面のうち第1誘電体基板54に対応
する領域のほぼ全面に被着形成された第3接地導体層、
57bは第2誘電体基板56の上面のうち単結晶誘電体基板
51に対応する領域のほぼ全面に、グランドプレーン用単
結晶基板71の下面に超電導単結晶導体層として形成して
取着することにより被着形成された第3接地導体層であ
る。
【0057】59は第1誘電体基板54および第2誘電体基
板56を貫通して第2接地導体層55と第3接地導体層57a
とを電気的に接続する第1貫通導体であり、本例でも、
第1誘電体基板54および第2誘電体基板56に設けた貫通
孔58中に挿入した、同軸ケーブル用コネクタ63の固定用
ビスを第1貫通導体59として利用している。
【0058】60は第2配線導体層である。本例では第2
誘電体基板56の下面に被着形成されており、第1配線導
体層52とは第2誘電体基板56の下面に形成した接続電極
部67で電気的に接続されている。62は第2貫通導体であ
り、本例では、第2誘電体基板56に設けた貫通孔61中に
同軸ケーブル用コネクタ63の中心導体に接続された導体
線を挿入することで第2貫通導体62として利用してお
り、その一端が第2配線導体層60に設けた接続電極部68
で第2配線導体層60に、また他端が第2誘電体基板56の
上面に取着した同軸ケーブル用コネクタ63の中心導体に
電気的に接続されており、同軸ケーブル用コネクタ63に
外部電気回路からの同軸ケーブルを接続することにより
第1配線導体層52と外部電気回路とが電気的に接続さ
れ、外部電気回路と高周波電子装置との高周波電気信号
の交換が行なわれる。
【0059】本例では第2誘電体基板56の上面に同軸ケ
ーブル用コネクタ63を取着しており、この同軸ケーブル
用コネクタ63の外導体64は金属製のコネクタ固定部品65
によって第2誘電体基板56の上面に形成された第3接地
導体層57aと電気的に接続される。また、第1誘電体基
板54の下面の第2接地導体層55と第1貫通導体59として
の固定用ビスが金属製のコネクタ固定部品66によって電
気的に接続され、これにより第2接地導体層55と第3接
地導体層57a・57bとが第1貫通導体59により電気的に
接続されることとなる。
【0060】なお、これら第1貫通導体59および第2貫
通導体62にも、第1誘電体基板54や第2誘電体基板56を
貫通して形成されたスルーホール導体やビア導体等を用
いてもよいことは言うまでもない。
【0061】また、グランドプレーン用単結晶誘電体基
板70により単結晶誘電体基板51に被着形成された第1接
地導体層53は、導電部材69を介して第1誘電体基板54の
第2接地導体層55と電気的に接続され、これらの結果、
第1接地導体層53と第2接地導体層55と第3接地導体層
57a・57bとが電気的に接続されている。
【0062】本例によれば、第1配線導体層52・第3接
地導体層57b・第1接地導体層53を全て超電導単結晶導
体層で作製できるため、極めて低損失な高周波用電子回
路にすることができる。
【0063】なお、図1〜図4に示した本発明の高周波
用電子装置において、接続電極部27・28・47・48・67・
68は、電磁結合によっても高周波電流を流して電気的に
接続することができる。
【0064】また、接続電極部27・47・67における電気
配線の線幅を誘電体基板の境界線を境にしてインピーダ
ンスマッチングが最適となるように変化させることによ
り、誘電率の異なる複数の誘電体基板上の配線導体層の
接続部での電気信号の反射強度を小さく抑えることがで
きる。
【0065】また、図1〜図4に示した本発明の高周波
用電子装置においては第2接地導体層と第3接地導体層
との電気的接続に同軸ケーブル用コネクタの固定用ネジ
を用いたが、同軸ケーブル用コネクタの中心導体と固定
用ビスの一般的サイズであるおよそ1cm程度の長さに
相当する波長の高周波電流を扱う高周波用電子装置の場
合には、中心導体との距離が高周波電流の波長以下にな
るようにグランドプレーン専用の貫通導体を作製するこ
とが望ましい。これは、高周波電流の波長よりもグラン
ドプレーンの貫通導体の距離が長いと高周波電流が流れ
にくくなるためである。
【0066】本発明の高周波用電子装置において、各誘
電体基板の結晶構造や組成には特に限定はないが、単結
晶誘電体基板以外の誘電体基板を単結晶誘電体基板と同
じ結晶構造でかつ多結晶構造とすることにより、単結晶
誘電体基板と多結晶基板の誘電率の差が小さくなり、誘
電率の異なる複数の誘電体基板上の配線導体層の接続電
極部でのインピーダンスマッチングを調整しやすくな
る。また、各誘電体基板の熱膨張係数も近くなり、温度
変化による誘電体基板の取着接合部の剥がれの発生を防
止することができる。このような基板材料としては、例
えばAl2 3 ・SiO2 ・MgO・LaAlO3 等、
単結晶誘電体基板が作製できる誘電体基板材料であれば
どれを用いても良い。
【0067】また、第1誘電体基板ならびに第2誘電体
基板として、貫通導体の作製は困難であるが、単結晶誘
電体基板を用いてもかまわない。
【0068】本発明の高周波用電子装置において、各接
続電極部に熱接着型導電材料で接着する構造を有するこ
とにより、接続電極部における損失を小さくすることが
できる。この熱接着型導電材料は、誘電体基板材料の融
点より低い温度で接着する導電材料であれば何でも良
い。しかし、特に半田や半田ペーストあるいは導電性接
着剤を用いると、400 ℃以下の低い温度で接続でき、一
般に金属や酸化物・窒化物・炭化物・有機物等からなる
単結晶誘電体基板上の電子回路の特性を高温化による電
気特性の低下から守ることができて好ましい。つまり、
高周波用電子回路を構成る配線導体層が金属から成る場
合はその高温による酸化を防ぎ、酸化物から成る場合は
高温による酸素の部分的な抜けを防ぎ、窒化物・炭化物
・有機物から成る場合は高温による酸素との反応を防ぐ
ことができる。半田・半田ペーストあるいは導電性接着
剤は酸素の動きが活発となる400 ℃以下で接着するもの
であれば何でも良いが、配線導体層と熱膨張係数が近い
ほど好適である。そして、熱接着型導電材料の熱接着方
法としては、熱接着型導電材料を接着温度まで加熱する
方法であればどのような方法でも良く、簡単な方法とし
ては高周波用電子装置全体をホットプレートやオーブン
等で加熱すれば良い。ただ、この方法では単結晶誘電体
基板上の高周波用電子回路の電気特性に高温化により少
なからず低下が起こる。そこで、最も好適な熱接着型導
電材料の加熱方法としては、レーザビームもしくは赤外
線で単結晶誘電体基板を透過して直接に熱接着型導電材
料を加熱することにより高周波電子装置を加熱すること
なく配線導体層の接続電極部付近のみを加熱することで
ある。この方法により、単結晶誘電体基板上の高周波用
電子回路の電気特性を高温化による低下から効果的に守
ることができる。
【0069】また、このレーザビーム加熱・赤外線加熱
においては、熱接着型導電材料の代りに金薄膜を用いる
ことにより、半田・半田ペーストに含まれるフラックス
や導電接着剤に含まれる有機溶剤等による汚染のないき
れいな配線接続ができ、接続電極部での損失を小さくす
ることができる。この場合、配線導体層の材料に金と合
金になることにより金よりも融点が下がる材料を用いる
と、接続電極部での損失をほとんどなくすことができ
る。
【0070】また、本発明の高周波用電子装置におい
て、単結晶誘電体基板上で高周波用電子回路を構成する
配線導体層の材料としては、配線導体層として用い得る
あらゆる導電物質・金属・酸化物・窒化物・炭化物・有
機物等のいずれを用いても良いが、特に配線導体層の一
部もしくは全てを超電導体薄膜で形成することにより、
高周波用電子回路の低損失化と発熱の抑制が最も効果的
に達成できる。
【0071】さらに、この場合に単結晶誘電体基板上の
配線導体層の上下のグランドプレーンとなる第1接地導
体層および第3接地導体層も超電導体薄膜で形成するこ
とにより、さらなる低損失化ができる。
【0072】なお、本発明の高周波用電子装置におい
て、グランドプレーンは高周波用電子回路と同一平面上
に混在していても問題なく、また、高周波用電子回路を
構成する配線導体層は上下のグランドプレーンの間に何
層あってもかまわない。
【0073】また、各々の上面が互いに略同一平面とな
るように当接させた単結晶誘電体基板と第1誘電体基板
とは、側面同士で接着する等して取着しておくことが、
高周波特性がより良好なものとなるので好ましい。
【0074】各誘電体基板同士の取着方法としては、例
えばアクリル系接着剤・ウレタン系接着剤・エポキシ系
接着剤・シリコーン系接着剤・ポリイミド系接着剤のよ
うな接着剤等を用いて強制的に接続することが望まし
い。
【0075】また、本発明の高周波用電子装置において
は、外部電気回路との接続に際して同軸ケーブル用コネ
クタを用いず直接に同軸ケーブルの中心導体を第2貫通
導体に接続しても問題なく、あるいは導波管やフィーダ
ー線のような他の電気的接続手段を第2貫通導体の露出
端に接続してもよい。
【0076】また、第1および第2貫通導体の導体とし
ては導電物質であれば何を使ってもよく、例えば金属の
ネジやピンやケーブル・半田ペーストや導電樹脂を使っ
てもかまわない。
【0077】
【実施例】以下の本発明の高周波用電子装置について具
体例を示す。
【0078】図1および図2に示した構造で、本発明の
高周波用電子装置を作製した。ここで、単結晶誘電体基
板には長さ20mm×幅20mm×厚み1mmのサファイア
(単結晶Al2 3 )基板を、第1誘電体基板には長さ
20mm×幅40mm×厚み1mmの多結晶Al2 3 基板
を、第2誘電体基板には長さ40mm×幅40mm×厚み1
mmの多結晶Al2 3 基板を用いた。第1および第2
配線導体層ならびに第1〜第3接地導体層には金および
Cu/Wを用い、高周波用電子回路として特性インピー
ダンスが50Ωの3段バンドパスフィルタを構成し、第2
配線導体層の特性インピーダンスを50Ωとし、同軸ケー
ブル用コネクタには特性インピーダンスが50ΩのSMA
同軸コネクタを用いた。
【0079】また、配線導体層の相互配線接続の電極材
料にはSn−Ag平板半田・Sn−Agクリーム半田・
Agフィラー入りエポキシ樹脂・接着剤・金薄膜を適宜
選択して使用し、電極材料の加熱方法としては、Sn−
Ag平板半田にはYAGレーザ25Wを、Sn−Agクリ
ーム半田にはYAGレーザ25Wを、Agフィラー入りエ
ポキシ樹脂には赤外線加熱200 ℃を、金にはYAGレー
ザ50Wを採用した。
【0080】なお、この高周波用電子装置の総体積は約
2.8 cm3 (同軸ケーブル用コネクタを除く)と非常に
小さなものとすることができ、図5に示した従来の構成
の同様の特性を有する高周波用電子装置の総体積が約18
cm3 (同軸ケーブル用コネクタを除く)に比べて大幅
な小型化が可能であった。
【0081】このようにして作製した本発明の高周波用
電子装置について、引っ張り力0.2kg/mm2 で誘電
体基板を引っ張ることにより各接続電極部の誘電体基板
に対する接着強度および接続電極部における配線導体層
同士の接着強度を評価したところ、いずれの高周波用電
子装置においても接続電極部で接続されている配線導体
層間は通常の断線チェックに用いられるテスターを用い
て電気的に接続されていることが確認され、良好な接着
強度を有していることが分かった。
【0082】また、ネットワークアナライザを用いて2
GHzでの損失を測定したところ4dBで、良好な電気
特性であった。
【0083】また、同様にして、本発明の高周波用電子
装置として、高周波用電子回路として特性インピーダン
スが30Ωの3段バンドパスフィルタを構成するとともに
第2配線導体層により配線の特性インピーダンスが38.7
Ωの1/4波長型インピーダンス変換器を構成したとこ
ろ、ネットワークアナライザを用いた2GHzでの測定
において損失は3dBであり、バンドパスフィルタの特
性インピーダンスを小さくすることによりフィルタの損
失を小さくすることができた。
【0084】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
例えば、高周波用電子回路にフィルタ等の受動素子以外
にアンプ等の能動素子を搭載してもよい。また、それに
伴いアンプ等の電源を供給する構造を付加してもよい。
【0085】
【発明の効果】以上のように、本発明の高周波電子装置
によれば、単結晶誘電体基板の上面に被着形成され、高
周波用電子回路を構成する第1配線導体層を、単結晶誘
電体基板の下面に被着形成した第1接地導体層と、単結
晶誘電体基板の上面に取着された第2誘電体基板の上面
に被着形成された第3接地導体層との2層のグランドプ
レーンによって誘電体基板を介して挟持してストリップ
線路構造としたことにより、従来の高周波用電子装置の
ように金属筐体を用いる必要がなく、高周波用電子回路
からの電磁波の放射を防止しつつ小型化・軽量化するこ
とができた。
【0086】また、高周波用電子回路を構成する第1配
線導体層の周囲には従来の金属筐体における空洞等の余
分な空間が存在しないため、高周波用電子回路で発生す
る熱を容易に効率良く放熱することができ、安定して動
作させることができる。
【0087】さらに、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、単結晶誘電体基板上で高周波用電子回路を構成する
第1配線導体層と外部電気回路との電気的接続は、この
第1配線導体層に電気的に接続された第2配線導体層と
第2配線導体層に電気的に接続された第2貫通導体を介
して行なわれることから、単結晶誘電体基板に外部電気
回路との接続のための貫通導体を設ける必要がないた
め、単結晶誘電体基板を用いて電気特性が優れたストリ
ップ線路構造の高周波用電子回路を構成することがで
き、高周波用電子回路からの電磁波の放射を防止しつつ
小型化・軽量化することができた。
【0088】また、本発明の高周波用電子装置によれ
ば、第2配線導体層により第1配線導体層の特性インピ
ーダンスと第2貫通導体に接続される外部電気回路の特
性インピーダンスとを整合させるためのインピーダンス
変換器を構成した場合には、一般的な特性インピーダン
スである50Ωや75Ω等に第1配線導体層の特性インピー
ダンスを合わせる必要がなくなるので、第1配線導体層
の設計の自由度が大きくなり、第1配線導体層の低損失
化や配線の高密度化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の高周波用電子装置の実施の形
態の一例を示す斜視図、(b)はその断面図である。
【図2】(a)は図1に示した高周波用電子装置におけ
る第2誘電体基板の上面図、(b)は第2誘電体基板の
下面図、(c)は単結晶誘電体基板および第1誘電体基
板の上面図、(d)は単結晶誘電体基板および第1誘電
体基板の下面図である。
【図3】(a)は本発明の高周波用電子装置の実施の形
態の他の例を示す断面図、(b)はその単結晶誘電体基
板および第1誘電体基板の上面図、(c)は単結晶誘電
体基板および第1誘電体基板の下面図、(d)は第2誘
電体基板の上面図、(e)は第2誘電体基板の下面図で
ある。
【図4】(a)は本発明の高周波用電子装置の実施の形
態のさらに他の例を示す断面図、(b)はその第2誘電
体基板の上面図、(c)は第2誘電体基板の下面図、
(d)は単結晶誘電体基板および第1誘電体基板の上面
図、(e)は単結晶誘電体基板および第1誘電体基板の
下面図、(f)は単結晶誘電体基板の下面に取着された
グランドプレーン用単結晶誘電体基板の上面図、(g)
は第2誘電体基板の上面に取着されたグランドプレーン
用単結晶誘電体基板の下面図である。
【図5】(a)は従来の高周波用電子装置の例を示す分
解斜視図、(b)はその断面図である。
【符号の説明】
11、31、51・・・単結晶誘電体基板 12、32、52・・・第1配線導体層 13、33、53・・・第1接地導体層 14、34、54・・・第1誘電体基板 15、35、55・・・第2接地導体層 16、36、56・・・第2誘電体基板 17、37、57・・・第3接地導体層 19、39、59・・・第1貫通導体 20、40、60・・・第2配線導体層 22、42、62・・・第2貫通導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 3/08 H01P 1/203 H01P 5/02 603 H01P 5/08 H05K 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下面に第1接地導体層が、上面に高周波
    用電子回路を構成する第1配線導体層が被着形成された
    単結晶誘電体基板と、下面に第2接地導体層が被着形成
    された第1誘電体基板とを各々の上面が互いに略同一平
    面となるように当接させるとともに、上面に第3接地導
    体層が被着形成された第2誘電体基板を前記単結晶誘電
    体基板の上面を覆って前記単結晶誘電体基板および前記
    第1誘電体基板の上面に取着させて成り、 前記第1接地導体層は、前記第2接地導体層と電気的に
    接続されるとともに、前記第1誘電体基板および前記第
    2誘電体基板を貫通する第1貫通導体により前記第3接
    地導体層と電気的に接続され、 前記第1配線導体層は、前記第1誘電体基板の上面また
    は前記第2誘電体基板の下面に被着形成された第2配線
    導体層と電気的に接続されるとともに、前記第1誘電体
    基板または前記第2誘電体基板を貫通するように配設さ
    れ前記第2配線導体層に電気的に接続された第2貫通導
    体を介して、外部電気回路と電気的に接続されているこ
    とを特徴とする高周波用電子装置。
  2. 【請求項2】 前記第2配線導体層が、前記第1配線導
    体層と前記第2貫通導体に接続される外部電気回路との
    特性インピーダンスを整合させるインピーダンス変換器
    を構成していることを特徴とする請求項1記載の高周波
    用電子装置。
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