JP3406731B2 - 加飾表皮材により部分的に加飾されたシート状樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

加飾表皮材により部分的に加飾されたシート状樹脂成形体の製造方法

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、意匠面を形成する加飾
表皮材の境界部にバリがなく高品質なシート状樹脂成形
体を効率よく生産することができる部分的に加飾表皮材
を設けたシート状樹脂成形体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車用内装材シート等に用い
られる部分的に加飾表皮材を設けたシート状樹脂成形体
の製造方法として、上下一対の成形型で形成したキャビ
ティの所定位置に加飾表皮材をセットした後、溶融樹脂
を充填し型締めしてシート状樹脂成形体とする方法が知
られている(例えば、特開昭63−11312号公報や
特開平1−291912号公報参照)。
【0003】ところが、従来法によるときは加飾表皮材
の周縁部が確実に固定されていないために溶融樹脂の充
填圧力により加飾表皮材が所望の位置から若干ずれる場
合があるという問題点があるとともに、加飾表皮材の周
縁部に裏面側の溶融樹脂が侵入してバリを発生させると
いう問題点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
従来の問題点を解決して、部分的に異種材料よりなる意
匠面を形成するための加飾表皮材がシート状樹脂成形体
の所定箇所に位置ずれなく設けられており、しかも、加
飾表皮材との境界部にバリなどのない高品質なシート状
樹脂成形体を効率よく生産することができる加飾表皮材
により部分的に加飾されたシート状樹脂成形体の製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の加飾表皮材により部分的に加飾さ
れたシート状樹脂成形体の製造方法は、対向して配置し
た一対の型を型開き状態としてその一方の型の型面の所
定位置に加飾表皮材をその周縁部が出没自在なガイド枠
により圧接してセットしたうえ両型間においてガイド枠
で仕切られた内側キャビティ部に第1の溶融樹脂を供給
・型締めして前記加飾表皮材の裏面にシート状樹脂の裏
打層を成形し、次いで、前記ガイド枠をその先端の押圧
面が意匠面形成型と樹脂シート主体部形成型の両型面よ
り若干下方位置となるまで下降させて加飾表皮材への圧
接を解いたうえ前記意匠面形成型と前記樹脂シート主体
部形成型の間に樹脂介入用の隙間を形成した後前記工程
で裏打層が成形一体化された加飾表皮材の周囲の未充填
キャビティ部分に第2の溶融樹脂を供給して前記加飾表
皮材の周囲にこの加飾表皮材の周縁部を覆い且つ前記裏
打層の周縁に達する樹脂シート主体部を成形一体化する
ことを特徴とするものである。
【0006】
【実施例】以下に、本発明を図面を参照しつつ詳細に説
明する。図面は、図8に示されるような、シート状樹脂
成形体10の表面の所定位置に部分的に異種材料よりな
る意匠面を形成する加飾表皮材11が位置ずれなく設け
られた自動車内装材シートの成形工程を示すものであっ
て、図中1は対向して配置される型締・型開自在な一対
の型のうちの一方を構成するキャビティ型、2は他方を
構成するコア型であり、コア型2は加飾表皮材11に対
応した意匠面形成型2aと樹脂シート主体部形成型2b
とからなり、この意匠面形成型2aと樹脂シート主体部
形成型2bとの間にはコア型2とは独立に昇降動自在で
先端を内周がテーパ面に形成された押圧部としたガイド
枠3が設けられ、一方、キャビティ型1の型面は加飾表
皮材保持面1aと樹脂シート主体部成形面1bとが断面
が低い山形の枠状隆起1cを介して区画されていて、前
記ガイド枠3が進出したとき先端の前記押圧部はこの枠
状隆起1cの外側陵面に向けられるようにしてある。な
お、4はコア型2の意匠面形成型2aに設けられている
溶融樹脂の供給ゲート、2cは意匠面形成型2aの先端
周縁に設けられている凹段部である。
【0007】このような型を用いて加飾表皮材により部
分的に加飾されたシート状樹脂成形体を成形するには、
先ず、図1に示されるように、キャビティ型1とコア型
2を型開き状態として該キャビティ型1の加飾表皮材保
持面1aにファブリック素地等の加飾表皮材11を吸引
その他任意の手段で添装仮保持させたうえ型開き状態の
ままガイド枠3を上昇させて加飾表皮材11の周縁部を
ガイド枠3の先端の押圧部で圧接固定する。この場合、
加飾表皮材11は予め加飾表皮材保持面1aに吸引その
他任意の手段で添装仮保持させる代わりに、図2に示す
ようにガイド枠3の先端に載装し仮固定しておき、その
ままの状態でガイド枠3を上昇させることによりキャビ
ティ型1の加飾表皮材保持面1aに加飾表皮材11を圧
接固定することもできる。次いで、図3に示されるよう
に、キャビティ型1の加飾表皮材保持面1aとコア型2
の意匠面形成型2a間においてガイド枠3で仕切られた
内側キャビティ部に供給ゲート4より第1の溶融樹脂A
を供給し、これと同時に図4に示すように型締めして第
1の溶融樹脂Aを加圧し加飾表皮材11の裏面のうちガ
イド枠3の先端と接触している周縁部11bを除く部分
にシート状樹脂の裏打層10aを成形し、この裏打層1
0aの周縁は前記した意匠面形成型2aの先端周縁の凹
段部2cにより成形された短脚枠部10bとして加飾表
皮材11の裏面より垂下される。なお、本発明において
は以上の成形工程を第1次成形工程と称し、以下、後述
する最終製品までの成形工程を第2次成形工程と称す
る。
【0008】次に、図5に示されるように、前記ガイド
枠3をその先端の押圧面が意匠面形成型2aと樹脂シー
ト主体部形成型2bの両型面より若干下方位置となる位
置まで下降させて意匠面形成型2aと樹脂シート主体部
形成型2bの間に樹脂介入用の隙間Sを形成するととも
に加飾表皮材11の周縁部11bを解放した状態とし、
この状態で前記第1次成形工程で裏打層10aが成形一
体化された加飾表皮材11の周囲に残された未充填キャ
ビティ部分に図示しない供給ゲートを通じて第2の溶融
樹脂Bを供給する。この時、独立して昇降動する意匠面
形成型2aのみを僅かに上昇させて未充填キャビティ部
分をより密閉するようにしてもよいし、意匠面形成型2
aと樹脂シート主体部形成型2bの型締圧により加飾表
皮材11がつぶれて風合いが損なわれるのを防止するた
め、意匠面形成型2aの上昇分だけ同様にキャビティ型
1を上昇させるようにしてもよい。
【0009】このように未充填キャビティ部分に供給さ
れた第2の溶融樹脂Bは、第1次成形工程で得られた裏
打層10aが成形一体化された加飾表皮材11の周縁部
11bに向けて流動し、キャビティ型1の型面にある山
形の枠状隆起1cの頂部を境界として加飾表皮材11の
周縁部11bの表面を覆うとともに、第2の溶融樹脂B
の一部は意匠面形成型2aとキャビティ型1の間に樹脂
介入用の隙間Sに入り込んで加飾表皮材11の周縁部1
1bの裏面と前記裏打層10aの周縁に続く短脚枠部1
0bに連設された状態で加飾表皮材11の周囲にこの加
飾表皮材11の周縁部11bを覆い且つ前記裏打層10
aの周縁に達する樹脂シート主体部10が成形一体化さ
れる。この時、図6に示されるように、意匠面形成型2
aの側面上部に未充填キャビティ部分に通ずるバキュー
ム連通路2cを設けておき、未充填キャビティ部分をバ
キューム処理してやれば、加飾表皮材11の周縁部11
bがコア型2の前記隙間Sへ折り曲げられ易いので、第
2の溶融樹脂Bを供給した場合に加飾表皮材11の周縁
部11bが第2の溶融樹脂Bで確実に覆われたものが得
られることとなってより好ましい。このようにして加飾
表皮材11により部分的に加飾されたシート状樹脂成形
体が成形された後は、図7に示されるように、一定時間
冷却後キャビティ型1とコア型2を型開きして製品を取
り出しワンサイクルを終了し、以下同様の成形工程を繰
り返せばよい。
【0010】このようにして得られたシート状樹脂成形
体は、意匠面を形成する加飾表皮材11が第1次成形工
程によって所定位置に固定された状態を保持されつつ裏
打層10aが成形一体化された後、第2次成形工程によ
って加飾表皮材11の周囲にこの加飾表皮材11の周縁
部11bを覆い且つ前記裏打層10aの周縁に達する樹
脂シート主体部10が成形一体化さた製品となるので、
加飾表皮材11は位置ずれなく所定位置に形成され、ま
た、加飾表皮材11と樹脂シート主体部10の境界部に
バリがなく高品質なものが得られることとなる。また、
第1の溶融樹脂Aと第2の溶融樹脂Bは原則としては同
じものを用いるが、異なった樹脂を用いることもでき
る。
【0011】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、意匠面を形成する加飾表皮材の境界部にバ
リがなく高品質なシート状樹脂成形体を一つの成形型内
で生産することができ、極めて効率的な生産を行なえる
という利点がある。よって本発明は従来の問題点を一掃
した加飾表皮材により部分的に加飾されたシート状樹脂
成形体の製造方法として、産業の発展に寄与するところ
は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における第1次成形工程の第1
段階を説明する断面図である。
【図2】本発明のその他の実施例における第1次成形工
程の第1段階を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施例における第1次成形工程の第2
段階を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施例における第1次成形工程の第3
段階を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施例における第2次成形工程を説明
する断面図である。
【図6】本発明のその他の実施例における第2次成形工
程を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施例における離型工程の断面図であ
る。
【図8】本発明により得られる製品の一部切欠斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 キャビティ型 2 コア型 3 ガイド枠 10 樹脂シート主体部 11 加飾表皮材 10a 裏打層 11b 周縁部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−143337(JP,A) 特開 平6−15672(JP,A) 特開 平1−291912(JP,A) 特開 平4−364910(JP,A) 特開 平6−15673(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 43/18 - 43/20 B29C 43/32 - 43/42 B29C 45/14 B29C 45/26 - 45/37

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配置した一対の型を型開き状態
    としてその一方の型の型面の所定位置に加飾表皮材をそ
    の周縁部が出没自在なガイド枠により圧接してセットし
    たうえ両型間においてガイド枠で仕切られた内側キャビ
    ティ部に第1の溶融樹脂を供給・型締めして前記加飾表
    皮材の裏面にシート状樹脂の裏打層を成形し、次いで、
    前記ガイド枠をその先端の押圧面が意匠面形成型と樹脂
    シート主体部形成型の両型面より若干下方位置となるま
    で下降させて加飾表皮材への圧接を解いたうえ前記意匠
    面形成型と前記樹脂シート主体部形成型の間に樹脂介入
    用の隙間を形成した後前記工程で裏打層が成形一体化さ
    れた加飾表皮材の周囲の未充填キャビティ部分に第2の
    溶融樹脂を供給して前記加飾表皮材の周囲にこの加飾表
    皮材の周縁部を覆い且つ前記裏打層の周縁に達する樹脂
    シート主体部を成形一体化することを特徴とする加飾表
    皮材により部分的に加飾されたシート状樹脂成形体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 キャビティのうち裏打層が成形一体化さ
    れた加飾表皮材のない未充填キャビティ部分をバキュー
    ム処理して加飾表皮材の周縁を意匠面形成型側へ折り曲
    げてから第2の溶融樹脂を供給して樹脂シート主体部を
    成形する請求項1に記載の加飾表皮材により部分的に加
    飾されたシート状樹脂成形体の製造方法。
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