JPH0521730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明を目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、例えば自動車のコンソールリツドや
ピラーの内側カバーなどの内装材や家具などに使
用される表面に表皮体を有する成形品の製造方法
に関する。

（従来の技術） 表皮体を有する成形品の製造には、例えば特開
昭61−14922号公報に記載されているように、型
開された一対の成形金型のキヤビテイ間に表皮体
をセツトし、この成形金型の型閉後にキヤビテイ
の内部に熱可塑性樹脂を導入することにより、キ
ヤビデイ内で樹脂が固化してなる芯材の表面に表
皮体を一体化する方法がある。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、成形金型のキヤビテイ内にセツトさ
れる表皮体は、キヤビテイ内に導入される熱可塑
性樹脂の圧力で位置ずれが生じないようにするな
どのために、成形金型の型閉時にキヤビテイから
ずれた周囲部分を成形金型間で挟持するようにし
ている。

しかし、成形金型間で表皮体の周縁部が挟持さ
れた状態では、キヤビテイ内に導入される熱可塑
性樹脂によつて表皮体が引伸ばされるため、表皮
体の表面の例えばしぼ等の状態に影響を与え、表
皮体自体が破れてしまうこともあり、また、表皮
体の強度がある場合には、表皮体がキヤビテイ面
に沿わず、所要の成形品形状が得られないことが
ある。

そこで、上記特開昭61−14922号公報の構造か
ら、成形金型を完全に型閉する前に、表皮体をキ
ヤビテイ面に真空吸引してキヤビテイ形状に沿わ
せることが考えられるが、成形金型には真空吸引
用の多数の微細な溝孔を形成する必要があり、成
形金型の製造が困難で高価になり、しかも、真空
吸引のための製造工程が増すことになる。

本発明は、上述のような課題に鑑みなされたも
ので、表皮体に影響を与えず所要の成形品形状が
得られ、また、成形金型が複雑になつたり、製造
工程が増えることのない表皮体を有する成形品の
製造方法を提供することを目的とするものであ
る。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 本発明は、型開された一対の成形金型１，２の
キヤビテイ３に表皮体２１をセツトし、この成形
金型１，２を型閉して表皮体２１を挟持した後に
キヤビテイ３の内部に合成樹脂を導入して表皮体
２１と一体に芯材３３を成形する表皮体を有する
成形品の製造方法において、上記成形金型１，２
を型閉する際、成形金型１，２で表皮体２１を挟
持する前に一方の成形金型２のキヤビテイ面６か
ら他方の成形金型１のキヤビテイ面４に向かつて
進退可能とする付形体８を突出させておき、この
付形体８で表皮体２１を他方の成形金型１のキヤ
ビテイ面４の形状に沿わせて付形し、そして、上
記キヤビテイ３の内部に合成樹脂を導入する際、
付形体８をキヤビテイ３内から後退させるもので
ある。

（作用） 本発明では、成形金型１，２を型閉する際、成
形金型１，２で表皮体２１を挟持する前に突出さ
せた付形体８により、表皮体２１を成形金型１の
キヤビテイ面４の形状に沿わせて付形する。型閉
後にキヤビテイ３内に合成樹脂を導入する際に、
付形体８を後退させることにより、キヤビテイ３
の内部全体に合成樹脂を充填させる。この充填
時、表皮体２１は予めキヤビテイ４に沿つて付形
されているため、合成樹脂の充填による表皮体２
１の引伸し量は少なく、破れたり、しわが発生し
たりするのが防止され、しかも、合成樹脂がキヤ
ビテイ３の内部全体に確実に充填される。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を第１図ないし第６図
を参照にして説明する。

第１図ないし第５図において、１は固定側の成
形金型で、２はこの成形金型１に対して接離する
可動側の成形金型であり、この両成形金型１，２
間にキヤビテイ３が構成されている。

上記固定側の成形金型１には、型面にキヤビテ
イ３を構成する凹状のキヤビテイ面４が設けられ
ているとともに、型面および外面に貫通してスプ
ルー５が設けられている。

上記可動側の成形金型２には、上記成形金型１
のキヤビテイ３内に侵入嵌合可能とする凸状のキ
ヤビテイ面６が設けられているとともに、型面に
成形金型１のキヤビテイ４とスプルー５とを連通
可能とする射出通路７が設けられている。また、
キヤビテイ面６の凸状部の側部に成形金型１のキ
ヤビテイ３に向かつて進退可能とする付形体８が
設けられ、この付形体８は、キヤビテイ面６の内
部側に設けられた空間９に連通する通孔９ａに摺
動可能に嵌合され、その空間９内に移動自在な収
容された可動体１０に一体的に連結支持されてい
る。そして、可動体１０がシリンダ１１のピスト
ン１２にロツド１３を介して連結され、シリンダ
１１の各端部に連結された作動圧回路１４，１５
を通じて油圧あるいはエア圧が供給されることに
よつて、付形体８がキヤビテイ面６から進退され
るようになつている。

また、２１は表皮体で、例えば表面に起毛、パ
イルを編み込んだ布地、ポリ塩化ビニールレザ
ー、フイルムなどからなり、成形品形状に合せて
切断形成されている。

次に、上記実施例による製造方法を説明する。

第１図のように、可動側の成形金型２を型開し
た状態で、表面を固定側の成形金型１に向けて表
皮体２１をセツト、例えば両面接着テープで成形
金型１に貼付けてセツトする。

ついで、第２図および第３図のように、可動側
の成形金型２を固定側の固定金型１に向けて移動
させ、型閉する。このとき、作動圧回路１４を通
じてシリンダ１１に作動圧を供給して付形体８を
キヤビテイ面６から突出させておくことにより、
この付形体８によつて表皮体２１を固定側の成形
金型１のキヤビテイ３内に押込むとともにキヤビ
テイ面４に沿わせて付形する。そして、両成形金
型１，２を完全に型閉すると、表皮体２１の周縁
部を両成形金型１，２間で挟持する。

ついで、成形金型１，２の型閉が完了した後、
第４図に示すように、作動回路１５を通じてシリ
ンダ１１に作動を供給し、付形体８をキヤビテイ
３内から退避させる。さらに、射出ノズル３１を
スプルー５に接合し、スプルー５および射出通路
７を通じて表皮体２１の裏側のキヤビテイ３内に
熱可塑性溶融樹脂３２を射出して充填する。この
キヤビテイ３内に充填される溶融樹脂３２は、表
皮体２１を裏面側からキヤビテイ面４に押付ける
とともに、その表皮体２１の裏面に接合する。な
お、表皮体２１は予めキヤビテイ面４に沿つて付
形されているため、溶融樹脂３２の充填による表
皮体２１の引伸し量は少なく、破れたり、しわが
発生したりすることがなく、しかも、溶融樹脂３
２がキヤビテイ３全体に確実に充填される。

そして、溶融樹脂３２の温度低下に伴つて固化
して芯材３３が成形され、芯材３３の表面に表皮
体２１を一体化した成形品ができる。

ついで、第５図のように、可動側の成形金型２
を型開して成形品を取出す。このとき、作動圧回
路１４を通じてシリンダ１１に作動圧を供給して
付形体８を突出させることにより、成型金型２の
キヤビテイ面６から成形品を簡単に取外すことが
できる。

そして、第６図のように、表皮体２１の端末を
処理して成形品の製造が完了する。このようにし
て成形された成形品は、表皮体２１の破れが生じ
ることがなく、その表皮体２１の表面状態、例え
ばしぼの状態を良好にでき、しかも、所要の成形
品形状が得られる。

次に、第７図ないし第１１図を参照にして本考
案の製造方法の他の実施例を説明する。

可動側の形成金型２には固定側の成形金型１の
スプルー５から最も離れたキヤビテイ３の端部位
置に対応して付形体８を配設し、この付形体８を
シリンダ１１のピストン１２に直接連結して駆動
するようにしている。

そして、製造にあたつては、第９図おいび第１
０図のように、表面を固定側の成形金型１に向け
て表皮体２１をセツトし、付形体８をキヤビテイ
面６から突出させた状態で可動側の成形金型２を
固定側の成形金型１に型閉する。このとき、付形
体８によつて表皮体２１を固定側の成形金型１の
キヤビテイ３内に押込むとともにキヤビテイ面４
に沿わせて付形する。そして、両成形金型１，２
を完全に型閉すると、表皮体２１の周縁部を両成
形金型１，２間で挟持する。

ついで、成形金型１，２の型閉が完了した後、
第１０図に示すように、射出ノズル３１をスプル
ー５に接合し、スプルー５を通じて表皮体２１の
裏側のキヤビテイ３内に熱可塑性溶融樹脂３２を
まず１次射出圧力をかけ充填する。このキヤビテ
イ３内に充填される溶融樹脂は、表皮体２１を裏
面側からキヤビテイ面４に押付けるとともに、そ
の表皮体２１の裏面に接合する。なお、表皮体２
１は付形体８によつてキヤビテイ面４に沿つて付
形された状態に保持されているため、溶融樹脂３
２の充填による表皮体２１の引伸しがなく、しわ
などが発生しにくい。また、溶融樹脂３２から発
生するガスが充填方向すなわちキヤビテイ３の端
部方向に作用するが、キヤビテイ３の端部の表皮
体２１を付形体８で押えているため、表皮体２１
には直接作用せず、表皮体２１がガスの影響で破
れるようなこともない。

ついで、第１１図のように、付形体８をキヤビ
テイ３内から退避させ、射出ノズル３１からスプ
ルー５を通じて表皮体２１の裏側のキヤビテイ３
内に熱可塑性溶融樹脂３２を１次射出圧力よりや
や低い２次射出圧力（保圧）をかける。それによ
り、付形体８があつたキヤビテイ３の端部まで溶
融樹脂３２が充填され、キヤビテイ３の内部全体
に溶融樹脂３２が確実に充填される。なお、溶融
樹脂３２から発生するガスなどは付形体８と成形
金型２との間を通じて外部に抜ける。

その後、溶融樹脂３２の温度低下に伴つて固化
して芯材３３が成形され、芯材３３の表面に表皮
体２１を一体化した成形品ができる。

そして、このようにして成形された成形品は、
成形時に付形体８によつて表皮体２１を付形しか
つ保持したことにより、表皮体２１が引伸ばされ
て破れたり、溶融樹脂３２の発生するガスによる
影響は少なく、その表皮体２１の表面状態、例え
ばしぼの状態を良好にでき、しかも、所要の成形
品形状が得られる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、成形金型を型閉する際、成形
金型で表皮体を挟持する前に突出させた付形体に
より、表皮体を成形金型のキヤビテイ面形状に沿
わせて付形し、そして、型閉後にキヤビテイ内に
合成樹脂を導入する際、付形体を後退させてキヤ
ビテイの内部全体に合成樹脂を充填させるため、
合成樹脂の充填による表皮体の引伸し量は少な
く、表皮体の破れを防止できるとともに表皮体の
表面状態を良好に保つことができ、かつ、所要の
成形品形状が得られ、しかも、それらのために、
成形金型が複雑になつたり、製造工程が増えるこ
ともない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本発明の製造方法の一実
施例を示す成形金型の断面図、第６図は成形品の
斜視図、第７図は本発明の製造方法の他の実施例
を示す成形金型の一部の斜視図、第８図ないし第
１１図はその製造方法を示す成形金型の断面図で
ある。 １，２……成形金型、３……キヤビテイ、４，
６……キヤビテイ面、８……付形体、２１……表
皮体、３３……芯材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 型開された一対の成形金型のキヤビテイに表
   皮体をセツトし、この成形金型を型閉して表皮体
   を挟持した後にキヤビテイの内部に合成樹脂を導
   入して表皮体と一体に芯材を成形する表皮体を有
   する成形品の製造方法において、 上記成形金型を型閉する際、成形金型で表皮体
   を挟持する前に一方の成形金型のキヤビテイ面か
   ら他方の成形金型のキヤビテイ面に向かつて進退
   可能とする付形体を突出させておき、この付形体
   で表皮体を他方の成形金型のキヤビテイ面形状に
   沿わせて付形し、 上記キヤビテイの内部に合成樹脂を導入する
   際、付形体をキヤビテイ内から後退させる ことを特徴とする表皮体を有する成形品の製造方
   法。