JP3406435B2 - 熱可塑性樹脂の射出成形方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂の射出成形方法Info
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Description
成る射出成形品の表面に各種の機能を有する皮膜を容易
に形成し得る、熱可塑性樹脂の射出成形方法に関する。
特性の向上を目的として、射出成形品の表面に各種皮膜
を形成する場合がある。このような皮膜として、例え
ば、塗料皮膜、ハードコート皮膜、紫外線防止皮膜、防
曇皮膜等を挙げることができる。通常、射出成形方法に
て射出成形品を製造した後、別工程にて射出成形品の表
面に各種の機能を有する皮膜を形成する。皮膜の形成方
法としては、例えば、射出成形品への皮膜原料のスプレ
ー、射出成形品の液状皮膜原料への浸漬を挙げることが
できる。このような工程を経るために、表面に皮膜が形
成された最終製品が得られるまでの工程が多岐に亙る。
それ故、このような射出成形品においては、最終製品に
至るまでの製造工程の削減、製造設備の縮小、加工・処
理時間の短縮、製造コストの低減等が大きな課題であ
る。
ド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等
の熱硬化性樹脂の圧縮成形や射出成形においては、成形
工程中に製品の表面に皮膜を形成する方法が幾つか提案
されている。例えば特公昭55−9291号公報(対応
するUSP No.4076788)には、上部金型と
下部金型との間にSMC材料を供給し両方の金型を閉じ
圧縮成形した後、両方の金型の密閉状態を維持したまま
離間し、上部金型と部品との間に生じる空間中にこの空
間の体積よりも少ない量の被覆剤を射出する方法が提案
されている。尚、このような、樹脂成形品と金型との間
に形成された空間の体積よりも少ない量の被覆剤を射出
する方法を、以下、皮膜原料ショートショット法と呼
ぶ。
るUSP No.4668460)には、上部金型と下
部金型との間にSMC材料を供給し両方の金型を閉じ圧
縮成形した後、金型と成形品との間に生じている圧縮圧
力を大きく越える圧力で、金型と成形品との境界に被覆
剤を射出する方法が提案されている。
も、成形工程中に射出成形品の表面に皮膜を形成する方
法が提案されている。例えば特開平5−301251号
公報には、熱可塑性樹脂を金型内に設けられたキャビテ
ィ内に射出した後、金型の型締力を軽減し又は同一型締
力の状態で、樹脂成形品の塗装面と金型との間に形成さ
れた空間内に熱硬化性の塗料を注入・充填する方法が開
示されている。尚、樹脂成形品と金型との間に形成され
た空間内に、かかる空間の体積と同じ体積の皮膜原料を
注入・充填する方法を、以下、皮膜原料フルショット法
と呼ぶ。
報には、熱可塑性樹脂を射出成形し、引き続き、熱可塑
性樹脂が金型内で収縮し発生した空間に未硬化の熱硬化
性樹脂を注入した後、熱硬化性樹脂を硬化させ、一部の
表面が熱硬化性樹脂で被覆された熱可塑性樹脂より成る
成形体の製造方法が開示されている。
に開示された方法は、SMCの圧縮成形で問題となる
穴、ひけ等の成形品表面の欠陥を隠蔽するのには極めて
有用な方法である。圧縮成形においては、可動金型部に
加えられた型締め力が、全て成形品に加えられる。即
ち、 型内圧=(型締め力)/(成形品投影面積) が成立する。従って、型締め力の制御により、型内圧を
容易に変化させることができるので、皮膜原料を注入す
べきキャビティ内の空間の形成を、型締め力の制御によ
って画一的且つ容易に行うことができる。
法においては、通常、一定の型締め力を加えた状態で金
型を離間させることなく一連の成形が行われること、型
締め力は成形品に直接加わるのではなく成形用の金型に
加わることなどが熱硬化性樹脂等の圧縮成形方法と大き
く異なるため、これら2件の公告公報に開示された技術
を熱可塑性樹脂の射出成形方法へ適用することは困難で
ある。
いるSMC等の熱硬化性樹脂の圧縮成形においては、成
形加工工程全般に亙り、可動金型部によって常に圧縮力
(型内圧)が成形材料に対して付与されている。そのた
め、金型内の成形材料表面に皮膜原料を注入するには、
金型を一旦開いて可動金型部による圧縮力(型内圧)を
開放して金型と成形材料との間に空間を設けたり(特公
昭55−9291号公報)、あるいは又、可動金型部の
圧縮力(型内圧)を越える圧力で皮膜原料を注入する
(特公平4−33252号公報)必要がある。
においては、通常、金型は固定金型部と可動金型部から
成り、金型のキャビティ内に溶融した熱可塑性樹脂を射
出する前に可動金型部が固定金型部に対して型締めされ
たとき、固定金型部は可動金型部と接触する。可動金型
部に加えられた型締め力が固定金型部によって受けられ
た状態で、溶融樹脂を射出シリンダーからキャビティに
射出し、溶融樹脂でキャビティ内を充填する。そして、
型締め力を可動金型部に加えることによって、キャビテ
ィへの溶融樹脂の充填中あるいは充填後に可動金型部が
型開きすることを防止している。即ち、型締め力それ自
身が、キャビティ内に射出された溶融樹脂に圧縮圧力と
して加わる訳ではない。言い換えれば、型締め力は、射
出成形品の形状付与(成形)には直接的には何ら寄与し
ていない。
とができる。 (型内圧)×(成形品投影面積) =(PI−Ploss+Pcomp)×(成形品投影面積) ≦型締め力 ここで、PIは溶融樹脂の射出圧力、Plossは溶融樹脂
の射出時の圧力損失、Pc ompはキャビティ内での溶融樹
脂の過剰充填分が型締め力によって受ける圧縮圧であ
り、「成形品投影面積」とは、型締め力の方向と垂直な
方向の平面に成形品を投影したときの成形品の面積であ
る。また、型内圧とは、特に断りのない限り、キャビテ
ィ内に射出された樹脂によって生成されたキャビティの
金型面が受ける圧力である。尚、型内圧は、成形品内の
任意の位置に対応するキャビティの金型面にて測定する
ことができる。
力の制御だけでは型内圧を所望の値に制御することがで
きない。言い換えれば、皮膜原料を注入すべきキャビテ
ィ内の空間の形成を、型締め力の制御によって画一的且
つ容易に行うことはできない。尚、かかる空間を、以
下、単に空間と呼ぶ場合がある。
可動金型部の圧縮力(型内圧)を越える圧力で皮膜原料
を注入する技術を熱可塑性樹脂の射出成形技術に適用し
た場合、(型内圧)×(成形品投影面積)≦型締め力
であるため、必ずしも皮膜原料の注入圧力が型締め力よ
り勝り、射出成形品とキャビティの金型面との間に皮膜
原料が注入されるとは限らない。
れた技術においては、射出された熱可塑性樹脂がキャビ
ティ内で冷却・固化する過程で収縮し、その結果生じた
空間に皮膜原料を注入・充填する。言い換えれば、空間
の体積を越える体積の皮膜原料をかかる空間に注入する
わけではない。一見、これらの技術は、熱可塑性樹脂の
射出成形法における皮膜形成技術として適切な方法であ
るように考えられる。しかしながら、先にも述べたよう
に (型内圧)×(成形品投影面積) =(PI−Ploss+Pcomp)×(成形品投影面積) ≦型締め力 との関係がある。ところで、空間を生じさせるために
は、型内圧が0kgf/cm2となる必要がある。然る
に、キャビティ内に射出された溶融樹脂の冷却・固化が
進行しPI=Ploss=0となっても、Pcompの項が残る
限り、型内圧が0kgf/cm2に低下することはな
い。従って、空間が必ず生じるとは限らない。また、皮
膜原料を注入すべきキャビティ内の空間の形成を、型締
め力の制御によって画一的且つ容易に行うことはできな
い。
樹脂の種類、あるいは射出充填後の放置時間(冷却時
間)によって異なるため、例えば、可動金型部を固定金
型部から離間したからといって空間が確実に形成される
とは一概には言えない。
め力の低下量の関係、あるいは又、空間の形成と、固定
金型部からの可動金型部の離間量の関係は、Pcompの項
の大きさに依存する。従って、単に型締め力の制御や、
可動金型部の固定金型部からの離間量を決定することの
みによって、空間の形成を画一的且つ容易に行うことは
できない。
生じる。キャビティ内の溶融樹脂に関しては、キャビテ
ィへ射出された後も射出成形装置の射出シリンダー側か
らキャビティの溶融樹脂に対して保圧圧力が加えられ、
溶融樹脂のキャビティ内への補給が行われる。一方、皮
膜原料に関しては、通常、空間に皮膜原料を注入した
後、注入された皮膜原料と皮膜原料注入装置は”縁切
り”状態となる。従って、空間に皮膜原料を注入した場
合、注入後の皮膜原料に常に圧力が加わっている訳では
ない。その結果、皮膜原料注入装置から注入された皮膜
表面の光沢性が低下したり、熱可塑性樹脂に対する皮膜
の密着性が低下したり、皮膜が不均一になるという問題
がある。このような問題を回避するためには、注入後の
皮膜原料が、常に或る圧力が加えられた状態で、キャビ
ティの金型面に対して押し付けられていなければならな
い。然るに、このような問題やこれを解決するための手
段は、先に挙げた2つの公開公報には、開示も示唆もな
されていない。
射出成形工程内で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表
面上に容易に且つ確実に形成することができ、しかも優
れた特性を有する皮膜を形成し得る、熱可塑性樹脂の射
出成形方法を提供することにある。
めの本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法は、(イ)固
定金型部及び可動金型部から成る金型に設けられたキャ
ビティ内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂を射出する工
程と、(ロ)溶融樹脂の射出完了後、注入された皮膜原
料によってキャビティ内の樹脂が圧縮され及び/又は可
動金型部が型開き方向に移動するように、キャビティ内
の樹脂とキャビティの金型面の間に所定量の皮膜原料を
注入する工程と、(ハ)離型前における型内圧が0kg
f/cm2よりも高い状態となるように型内圧を保持す
る工程、から成ることを特徴とする。ここで、型内圧と
は、キャビティ内に射出された樹脂及び/又は注入され
た皮膜原料によって生成された、キャビティの金型面が
受ける圧力を指す。型内圧は、例えば、キャビティの金
型面の任意の位置に圧力センサーを取り付けることによ
って測定することができる。
ましい第1の態様(以下、単に本発明の第1の態様と呼
ぶ)においては、キャビティ内に射出された樹脂によっ
て生成された型内圧Pが0kgf/cm2と等しい状態
で皮膜原料を注入する。型内圧Pが0kgf/cm2と
等しい状態とは、キャビティの金型面が受ける圧力、あ
るいは又、キャビティ内の樹脂に加わっている圧力が大
気圧であることを意味する。具体的には、キャビティ内
の樹脂とキャビティの金型面との間に空間が形成されて
いる状態、若しくは、空間は形成されていないが、キャ
ビティ内に射出された樹脂によってキャビティの金型面
に、大気圧の他、何ら圧力が加わっていない状態を指
す。
(イ)と工程(ロ)の間で、保圧を行う工程を更に含
み、皮膜原料の注入を、保圧期間の終了と同時に、若し
くは保圧期間の終了以降に行うことが好ましい。この場
合、保圧期間の終了後、皮膜原料を注入するまでの時間
は、10乃至120秒であることが好ましい。尚、保圧
期間の終了前に皮膜原料の注入を開始した場合、キャビ
ティ内の溶融樹脂が皮膜原料注入装置内に流入する危険
がある。皮膜原料の注入開始を、保圧期間の終了と同時
若しくはそれ以降にすることによって、このような危険
性を回避することができる。
置の射出シリンダー側から金型のゲート部を通じてキャ
ビティ内の溶融樹脂に圧力を加え続ける作業を指す。冷
却に伴いキャビティ内の樹脂は体積収縮するが、保圧を
行うことによって、キャビティ内に溶融樹脂を補充し、
キャビティ内の樹脂全体の過剰な体積収縮を抑制しつつ
キャビティ内の樹脂の重量を増加させることができる。
このような操作を保圧操作と呼び、このときの溶融樹脂
に加えられる圧力が保圧圧力である。保圧期間(保圧時
間)とは、溶融樹脂を規定量射出した後、溶融樹脂に保
圧を加え続けている期間(時間)を意味する。尚、保圧
期間中にゲート部内の樹脂の冷却固化が進行し、保圧を
加え続けてもキャビティ内の樹脂の重量増加には何ら寄
与しなくなることがある。このような現象をゲートシー
ルと呼ぶ。一般に、保圧圧力が小さい場合、保圧時間が
長い場合、あるいは又、成形すべき射出成形品の厚さが
比較的薄い場合、ゲートシールが観察されることが多
い。一方、保圧期間中にゲート部内の樹脂の冷却固化が
十分に進行せず、ゲートシールが観察されない場合もあ
る。即ち、保圧圧力が大きい場合、保圧時間が短い場
合、成形すべき射出成形品の厚さが比較的厚い場合、ゲ
ートシールは観察されないことが多い。
の射出開始から離型までの間、金型の型締め力を一定に
保持することができる。尚、以下、便宜上、このような
操作を高圧型締め操作と呼ぶ。この場合、保圧操作によ
るキャビティ内の樹脂の重量増加が完了した時点におけ
る型内圧をP10、かかる時点におけるキャビティ内の樹
脂の温度をT10とし、皮膜原料の注入直前のキャビティ
内の樹脂の温度をT12、大気圧をP0とし、(圧力
P10,温度T10)における熱可塑性樹脂の比容積を
V1 0、(圧力P0,温度T12)における熱可塑性樹脂の
比容積をV12としたとき、V12≦V10である熱可塑性樹
脂を用いることが好ましい。
は、保圧工程の完了後、金型の型締め力を工程(イ)に
おける型締め力よりも減少させることができる。尚、以
下、便宜上、このような操作を低圧型締め操作と呼ぶ。
この場合、使用する熱可塑性樹脂の種類や成形条件等に
依存して、低圧型締め操作の完了時、型内圧が0kgf
/cm2となる場合もあるが、型内圧が0kgf/cm2
ではない場合もある。後者の場合、金型の型締め力を減
少させた直後の型内圧をP11、かかる時点におけるキャ
ビティ内の樹脂の温度をT11とし、皮膜原料の注入直前
のキャビティ内の樹脂の温度をT12、大気圧をP0と
し、(圧力P11,温度T11)における熱可塑性樹脂の比
容積をV11、(圧力P0,温度T12)における熱可塑性
樹脂の比容積をV12としたとき、V12≦V11である熱可
塑性樹脂を用いることが好ましい。
(イ)における型締め力をF10、低減された型締め力を
F11としたとき、0≦F11/F10≦0.3、更に好まし
くは0≦F11/F10≦0.1を満足することが望まし
い。F11/F10の値が0.3を越える場合、使用する熱
可塑性樹脂や成形条件に依っては、皮膜原料注入によっ
て生じるキャビティ内の樹脂の圧縮状態が不均一とな
り、皮膜の厚さが不均一となったり、射出成形品の一部
分にしか皮膜が形成されない場合がある。更には、皮膜
原料注入前10秒以内に、金型の型締め力を低減させる
ことが望ましい。
は、保圧工程の完了後、金型の型締め力を0とし、次い
で、固定金型部と可動金型部とでキャビティを形成した
状態で可動金型部を固定金型部から離間する工程を更に
含むことができる。尚、以下、便宜上、このような操作
を可動金型部離間操作と呼ぶ。この場合、使用する熱可
塑性樹脂の種類や成形条件等に依存して、可動金型部離
間操作の完了時、型内圧が0kgf/cm2となる場合
もあるが、型内圧が0kgf/cm2ではない場合もあ
る。後者の場合、可動金型部を固定金型部から離間させ
た直後の型内圧をP’11、かかる時点におけるキャビテ
ィ内の樹脂の温度をT’11とし、皮膜原料の注入直前の
キャビティ内の樹脂の温度をT12、大気圧をP0とし、
(圧力P’11,温度T’11)における熱可塑性樹脂の比
容積をV’11、(圧力P0,温度T12)における熱可塑
性樹脂の比容積をV12としたとき、V12≦V’11である
熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
は可動金型部離間操作においては、皮膜原料の注入によ
って生成した型内圧のピーク圧をppeakとした場合、0
<ppeak≦500kgf/cm2、好ましくは50kg
f/cm2≦ppeak≦300kgf/cm2を満足するこ
とが望ましい。キャビティ内に射出された樹脂によって
生成された型内圧Pは、皮膜原料の注入時、0kgf/
cm2と等しい状態になっている。従ってppeakの値が
0kgf/cm2では、注入された皮膜原料によってキ
ャビティ内の樹脂が圧縮され及び/又は可動金型部が型
開き方向に移動されることがない。このことは、形成さ
れた空間の体積と等しい体積の皮膜原料が注入されたか
(皮膜原料フルショット法)、または、形成された空間
の体積よりも少ない体積の皮膜原料が注入された(皮膜
原料ショートショット法)ことを意味する。このよう
な、皮膜原料フルショット法若しくは皮膜原料ショート
ショット法においては、皮膜表面へのキャビティの金型
面の転写性が不十分となり、あるいは又、熱可塑性樹脂
に対する皮膜の密着力が低下する。一方、ppeakの値が
500kgf/cm2を越えると、皮膜原料によって生
じるキャビティ内の樹脂の圧縮状態が不均一となる結
果、皮膜の厚さが不均一となったり、射出成形品の一部
分にしか皮膜が形成されない場合がある。ppeakの値が
これらの範囲にあるとき、言い換えれば、ppeakの値が
これらの範囲になるように、形成された空間の体積より
も大きな体積の皮膜原料を注入することにより、射出成
形品の表面に均一な厚さの皮膜を形成することができ、
しかも、熱可塑性樹脂に対する優れた皮膜の密着性を得
ることができる。尚、形成された空間の体積よりも大き
な体積の皮膜原料を注入することを、以下、皮膜原料オ
ーバーショット法と呼ぶ。
離型直前の型内圧をp’としたとき、0<p’/ppeak
≦1.0、より好ましくは0.5≦p’/ppeak≦1.
0を満足することが望ましい。p’/ppeakの値が0で
は、離型前における型内圧が0kgf/cm2よりも高
い状態となるように型内圧が保持されていないことにな
る。その結果、皮膜表面へのキャビティの金型面の転写
性が不十分となり、あるいは又、熱可塑性樹脂に対する
皮膜の密着力が低下する。p’/ppeakの値がこれらの
範囲にあるとき、注入された皮膜原料、更には収縮しつ
つある皮膜原料に対して一層確実にキャビティの金型面
から圧力が加わり続ける。その結果、皮膜表面へのキャ
ビティの金型面の転写性に優れ、皮膜表面の光沢性が向
上する。また、熱可塑性樹脂に対する皮膜の密着性も向
上する。
成形品の肉厚、射出成形品の表面に形成する皮膜の厚さ
に依存して、高圧型締め操作、低圧型締め操作あるいは
可動金型部離間操作のいずれかを選択すればよい。射出
成形品の肉厚が薄い場合には、可動金型部離間操作を選
択することが好ましく、射出成形品の肉厚が厚い場合、
高圧型締め操作あるいは低圧型締め操作を採用すること
が望ましい。射出成形品の表面に形成する皮膜の厚さを
厚くしたい場合、低圧型締め操作を採用することが望ま
しく、更に皮膜の厚さを厚くしたい場合、可動金型部離
間操作を採用することが望ましい。
塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプ
ロピレン(PP)樹脂、ポリメチルペンテン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等の結晶性ポリオ
レフィン樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール等の結晶性汎用樹脂;ポ
リアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアセタール(P
OM)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の
結晶性エンジニアリングプラスチックス;その他フッ素
樹脂、アセチルセルロース等の結晶性樹脂;ポリ塩化ビ
ニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニ
ル、アクリルニトリル−スチレン共重合体(AS)樹
脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
(ABS)樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ACS樹
脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂等の非
晶性汎用樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポ
リフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(P
I)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリアリ
レート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン
樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の非晶性エンジニアリ
ングプラスチックス;その他ポリスチレン(PS)樹
脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、アイオノ
マー、熱可塑性エラストマー樹脂等の非晶性樹脂;又
は、これらの組み合わせ、あるいは主成分としてこれら
一種以上の熱可塑性樹脂と、副成分としてポリウレタン
樹脂、不飽和ポリエステエル樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂とから構成
されたポリマーアロイ、更には、ポリマーアロイを含む
これらの材料を繊維系フィラー、鱗片状フィラー等で補
強した複合材料を挙げることができるが、非強化の非晶
性熱可塑性樹脂あるいは非晶性樹脂リッチな非強化のポ
リマーアロイの使用が特に好ましい。尚、使用する熱可
塑性樹脂は、特に限定されないが、使用する皮膜原料と
の相性によって制限を受ける場合がある。ここで、熱可
塑性樹脂が非晶性熱可塑性樹脂であるか否かは、一般に
示差走査熱量測定(DSC)法により明確な融点(急激
な吸熱を示す温度)が確認されるか否かによって判断さ
れる。明確な融点が確認されない樹脂が非晶性熱可塑性
樹脂である。一方、明確な融点が確認される樹脂が結晶
性熱可塑性樹脂である。
き射出成形品の形状に特に制限はない。
ましい第2の態様(以下、単に本発明の第2の態様と呼
ぶ)においては、キャビティ内に射出された樹脂によっ
て生成された型内圧Pが0kgf/cm2よりも高い状
態で皮膜原料を注入する。具体的には、キャビティ内の
樹脂とキャビティの金型面との間に空間が形成されてい
ない状態で、皮膜原料を注入する。
(イ)と工程(ロ)の間で、保圧を行う工程を含み、皮
膜原料の注入を、保圧期間の終了と同時に、若しくは保
圧期間の終了以降に行うことが好ましい。
に溶融樹脂を射出した後の保圧期間を3秒以上とし、保
圧圧力を300kgf/cm2以上とすることが望まし
い。保圧圧力が300kgf/cm2未満で且つ保圧期
間が3秒未満では、皮膜原料を注入する直前の型内圧P
が0kgf/cm2にまで低下し易くなる場合がある。
型内圧がこのように低下すると、使用する熱可塑性樹脂
や皮膜原料、成形条件によっては、キャビティ内の樹脂
あるいは注入された皮膜原料を加圧し続けることができ
なくなり、皮膜表面へのキャビティの金型面の転写性が
不十分になったり、熱可塑性樹脂に対する皮膜の密着性
が低下する場合がある。然るに、保圧圧力及び保圧期間
の値を上記のとおりとすれば、キャビティ内に樹脂が過
剰充填された状態となり、型内圧Pが0kgf/cm2
より高い状態で皮膜原料を注入することができ、しか
も、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間(境
界)に注入された皮膜原料を加圧し続けることができ
る。
開始した場合、キャビティ内の溶融樹脂が皮膜原料注入
装置内に流入する危険がある。皮膜原料の注入開始を、
保圧期間の終了と同時若しくはそれ以降にすることによ
って、このような危険性を回避することができる。更に
は、皮膜原料の注入開始を保圧期間の終了後5秒以内に
行うことが好ましく、これによって、熱可塑性樹脂に対
する皮膜の密着性を一層向上させることが可能になる。
の射出開始から離型までの間、金型の型締め力を一定に
保持することができる。即ち、高圧型締め操作を採用す
ることができる。
は、保圧工程の完了後、金型の型締め力を溶融樹脂の射
出時における型締め力よりも減少させることができる。
即ち、低圧型締め操作を採用することができる。この場
合には、前記工程(イ)における型締め力をF20、低減
された型締め力をF21としたとき、0≦F21/F20≦
0.3、更に好ましくは0≦F21/F20≦0.1を満足
することが望ましい。これによって、皮膜原料を注入す
る直前の、樹脂に起因した型内圧を低下させることで、
均一な皮膜を確実に樹脂表面に形成することが可能とな
る。
は、保圧工程の完了後、金型の型締め力を0とし、次い
で、固定金型部と可動金型部とでキャビティを形成した
状態で可動金型部を固定金型部から離間する工程を更に
含むことができる。即ち、可動金型部離間操作を採用す
ることができる。これによっても、皮膜原料を注入する
直前の、樹脂に起因した型内圧を低下させることで、均
一な皮膜を確実に樹脂表面に形成することが可能とな
る。
若しくは可動金型部離間操作においては、皮膜原料の注
入直前の樹脂に起因した型内圧をP22、かかる時点にお
けるキャビティ内の樹脂の温度をT22、大気圧をP0と
し、(圧力P22,温度T22)における熱可塑性樹脂の比
容積をV22、(圧力P0、温度T22)における熱可塑性
樹脂の比容積をV2としたとき、V2>V22である熱可塑
性樹脂を用いることが好ましい。
らの高圧型締め操作、低圧型締め操作、可動金型部離間
操作の全ての場合、型内圧Pが0kgf/cm2より高
い状態で、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の
間(境界)に皮膜原料を注入する。尚、使用する熱可塑
性樹脂等に依存するが、キャビティ内の皮膜原料及び樹
脂に起因して、離型前における型内圧が0kgf/cm
2よりも高い状態となる場合、キャビティ内の樹脂のみ
に起因して、離型前における型内圧が0kgf/cm2
よりも高い状態となる場合、あるいは又、キャビティ内
の皮膜原料のみに起因して、離型前における型内圧が0
kgf/cm2よりも高い状態となる場合がある。
は可動金型部離間操作においては、皮膜原料の注入直前
の型内圧Pの値は、0<P≦500kgf/cm2、よ
り好ましくは、0<P≦300kgf/cm2を満足す
ることが望ましい。Pの値が500kgf/cm2を越
える場合、溶融樹脂の収縮し易い部分に皮膜原料が流れ
易くなり、その結果、皮膜の膜厚の減少や膜厚のむら、
あるいは又、皮膜が射出成形品の一部分にしか形成され
ないという問題が生じる。然るに、Pの値を上記の範囲
とすることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティ
の金型面の間(境界)に皮膜原料を確実に注入すること
ができる。
皮膜原料の注入直後の型内圧Ppeakの値は、0<Ppeak
≦500kgf/cm2、より好ましくは、0<Ppeak
≦300kgf/cm2を満足することが望ましい。
尚、Ppeakは、キャビティ内の樹脂及び/又は皮膜原料
の注入に起因した型内圧であり、ピーク値である。P
peakの値は、皮膜原料注入直前の型内圧、キャビティ内
の樹脂の柔軟度、可動金型部の移動のし易さによって決
定される。Ppeakの値が500kgf/cm2を越える
と、皮膜の厚さが不均一となったり、射出成形品の一部
分にしか皮膜が形成されない場合がある。一方、Ppeak
の値が0kgf/cm2では、皮膜表面へのキャビティ
の金型面の転写性が不十分となり、あるいは又、熱可塑
性樹脂に対する皮膜の密着性が低下する。
塑性樹脂の種類、強化樹脂であるか非強化樹脂であるか
に基づき、実際に射出成形試験を行って、高圧型締め操
作、低圧型締め操作あるいは可動金型部離間操作のいず
れかを選択すればよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポ
リプロピレン(PP)樹脂、ポリメチルペンテン、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等の結晶性ポ
リオレフィン樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルホルマール等の結晶性汎用樹
脂;ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアセタール
(POM)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PP
S)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹
脂等の結晶性エンジニアリングプラスチックス;その他
フッ素樹脂、アセチルセルロース等の結晶性樹脂;ポリ
塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸
ビニル、アクリルニトリル−スチレン共重合体(AS)
樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体(ABS)樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ACS樹
脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂等の非
晶性汎用樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポ
リフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(P
I)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリアリ
レート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン
樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の非晶性エンジニアリ
ングプラスチックス;その他ポリスチレン(PS)樹
脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、アイオノ
マー、熱可塑性エラストマー樹脂等の非晶性樹脂;又
は、これらの組み合わせ、あるいは主成分としてこれら
一種以上の熱可塑性樹脂と、副成分としてポリウレタン
樹脂、不飽和ポリエステエル樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂から構成さ
れたポリマーアロイ、更には、ポリマーアロイを含むこ
れらの材料を繊維系フィラー、鱗片状フィラー等で補強
した複合材料を挙げることができるが、結晶性熱可塑性
樹脂あるいは結晶性樹脂がリッチなポリマーアロイの使
用が特に好ましい。尚、使用する熱可塑性樹脂は、特に
限定されないが、使用する皮膜原料との相性によって制
限を受ける場合がある。
形すべき射出成形品の形状に特に制限はないが、結晶性
熱可塑性樹脂あるいは結晶性樹脂がリッチなポリマーア
ロイから成り、厚さが3mm以上の射出成形品の成形に
本発明の第2の態様に係る射出成形方法を適用すること
が好ましい。射出成形品の厚さが3mm以上にもなる
と、キャビティ内に射出された溶融樹脂の、射出成形品
の厚さ方向の収縮が大きくなる。従って、キャビティ内
の樹脂とキャビティの金型面との間に空間が形成され易
くなる。かかる空間が形成された後に皮膜原料を注入す
ると、樹脂の表面の固化が相当進行した状態で皮膜原料
が注入されるため、皮膜と射出成形品との間の密着不良
が生じ易くなる。
料としては、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂エステル
系、脂肪酸変性ウレタン樹脂系等の酸化重合型塗料;エ
ポキシ樹脂系、ポリウレタン系、不飽和ポリエステル系
等の多液反応型塗料;アルキド樹脂系、エポキシ樹脂
系、ポリウレタン系、ビニル樹脂系等の加熱硬化型塗
料;エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリ
レートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマ
ー;若しくはこれらのオリゴマーとエチレン性不飽和モ
ノマーから成るラジカル重合型塗料;あるいはこれらの
塗料に金属粉、特殊顔料、紫外線吸収剤等の特殊添加剤
等を混合させた各種機能性塗料;フッ素樹脂系ラッカ
ー、シリコン樹脂系ラッカー;シラン系ハードコート剤
等のハードコート剤等を例示することができる。
れた皮膜原料によってキャビティ内の樹脂が圧縮され及
び/又は可動金型部が型開き方向に移動するように、キ
ャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に所定量の
皮膜原料を注入する。所定量の皮膜原料を注入すること
によって、キャビティ内の樹脂表面に形成される皮膜の
膜厚を正確に制御することができる。しかも、かかる皮
膜原料の所定量は、キャビティ内の樹脂が圧縮され及び
/又は可動金型部が型開き方向に移動するような量であ
る。言い換えれば、かかる皮膜原料の所定量は、もし
も、皮膜原料の注入前に、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面との間に空間が形成されていた場合にあっ
ても、かかる空間の体積よりも大きな体積である。即
ち、皮膜原料は、かかる空間内に過充填される(皮膜原
料オーバーショット法)。尚、皮膜原料が、キャビティ
内の樹脂の表面を圧縮しつつ注入されるか、あるいは可
動金型部を固定金型部から若干離間させつつ注入される
か、あるいはその双方の作用を生じさせつつ注入される
かといった、どのような状態で皮膜原料がキャビティ内
の樹脂とキャビティの金型面との間に注入されるかは、
皮膜原料の注入圧力、型締め力、樹脂の柔軟度に依存す
る。
生じる。しかしながら、本発明の射出成形方法において
は、皮膜原料が場合によっては過充填されており、しか
も、離型前における型内圧が0kgf/cm2よりも高
い状態となるように型内圧は保持される。従って、注入
後の皮膜原料に常にキャビティの金型面から圧力が加わ
っている。その結果、皮膜表面の光沢性が低下したり、
熱可塑性樹脂に対する皮膜の密着性が低下したり、皮膜
が不均一になるという問題を確実に回避することができ
る。尚、皮膜原料の注入前に、キャビティ内の樹脂とキ
ャビティの金型面との間に空間が形成されている場合に
は、かかる空間内への皮膜原料の過充填によって、離型
前における型内圧が0kgf/cm2よりも高い状態と
なるように保持される。一方、キャビティ内に射出され
た樹脂によって生成された型内圧Pが0kgf/cm2
よりも高い状態で皮膜原料を注入する場合には、皮膜原
料及びキャビティ内の樹脂に起因して、若しくは皮膜原
料に起因して、離型前における型内圧が0kgf/cm
2よりも高い状態となるように保持される。
非晶性樹脂若しくは非晶性樹脂アロイ材から成る場合、
キャビティの金型面近傍の樹脂が固化し始めても、金型
面から離れた所に位置する樹脂は溶融状態にあり、しか
も、固化した樹脂の部分と溶融状態の樹脂の境界は明確
ではない。従って、樹脂がこのような状態にあるとき、
キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面との間に空間
(隙間)を形成しないで皮膜原料を注入すると、場合に
よっては、皮膜原料によってキャビティ内の樹脂は圧縮
されるが、圧縮状態が不均一になる。その結果、注入さ
れた皮膜原料の厚さが不均一になり易い。
用すれば、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面と
の間に形成された空間内に皮膜原料を注入するので、注
入された皮膜原料の厚さは均一となる。キャビティ内の
樹脂とキャビティの金型面との間の空間は、V12≦V10
(高圧型締め操作時)、V12≦V11(低圧型締め操作
時)、若しくはV12≦V’11(可動金型部離間操作時)
を満足する熱可塑性樹脂を用いることによって形成し得
る。
・固化が進行したとき、 PI−Ploss+Pcomp において、前2項は0kgf/cm2となる。更に、本
発明の第1の態様においては、V12≦V10(高圧型締め
操作時)、V12≦V11(低圧型締め操作時)、若しくは
V12≦V’11(可動金型部離間操作時)を満足する熱可
塑性樹脂を用いることによって、Pcompの値を確実に0
kgf/cm2にすることができる。即ち、型内圧Pを
0kgf/cm2にすることができる。それ故、射出成
形品表面とキャビティの金型面との間に空間(隙間)が
確実に生じ、その結果、かかる空間に皮膜原料を確実に
且つ均一に注入することができる。
ィ内に射出された樹脂によって生成された型内圧が完全
に低下しないうちに、即ち、型内圧Pが0kgf/cm
2より高い状態で、キャビティ内の樹脂とキャビティの
金型面の間に皮膜原料を注入する。キャビティ内に射出
されそして冷却・固化し始めた熱可塑性樹脂とキャビテ
ィの金型面との間には、先に説明した2つの公開公報に
開示された技術とは異なり、空間(隙間)は生じていな
い。この状態で皮膜原料を注入することによって、注入
された皮膜原料、更には収縮しつつある皮膜原料に確実
に圧力が加わり続ける。その結果、皮膜表面へのキャビ
ティの金型面の転写性に優れ、皮膜表面の光沢性が向上
する。また、熱可塑性樹脂に対する皮膜の密着性も向上
する。
を用いれば、キャビティ内に射出された溶融樹脂の冷却
・固化が進行してもPcompの項が残るので、皮膜原料を
注入する直前の型内圧Pが、確実にP>0の状態とな
る。その結果、成形品表面とキャビティの金型面との間
に空間が生じることがなく、確実にキャビティ内の樹脂
とキャビティの金型面の間(境界)に皮膜原料を注入す
ることができる。
Ppeakは、先に説明したように0kgf/cm2を超
え、500kgf/cm2以下であることが好ましい。
これらの型内圧は、皮膜原料注入直前の型内圧、キャビ
ティ内の樹脂の柔軟度、可動金型部の移動のし易さに依
存する。そして、皮膜原料を注入した直後の型内圧p
peak,Ppeakがこのような範囲内に収まるように、適
宜、本発明の第1の態様若しくは第2の態様を選択し、
併せて、型締め操作の形態(高圧型締め操作、低圧型締
め操作、可動金型部離間操作)を選択すればよい。どの
組み合わせが最適かは、熱可塑性樹脂の種類、皮膜原料
注入直前のキャビティ内の樹脂の柔軟度、皮膜原料の注
入量(即ち、射出成形品の表面に形成すべき皮膜の厚
さ)、射出成形品の肉厚や形状等に基づき、決定すれば
よい。例えば、非強化の非晶性樹脂若しくは非晶性樹脂
アロイ材を使用する場合には、本発明の第1の態様を採
用することが好ましく、結晶性熱可塑性樹脂あるいは結
晶性樹脂がリッチなポリマーアロイから成り、厚さが3
mm以上の射出成形品を成形する場合には、第2の態様
を採用することが好ましい。いずれの場合においても、
皮膜原料の注入量の多少に依存して、ppeak,Ppeakが
所定の範囲内に収まるように、適宜、型締め操作の形態
を選択、決定すればよい。
る、キャビティの体積、キャビティ内の樹脂の体積、皮
膜原料の体積の変化の概要を説明する。ここで、各記号
を以下のように定義する。尚、文字「v」の添え字の
内、「C」はキャビティに関連する体積を示し、「R」
は溶融樹脂又は樹脂に関連する体積を示し、「F」は皮
膜原料又は皮膜に関連する体積を示す。更には、数字
「0」は基本的には基準の体積値を示し、「1」は低圧
型締め操作若しくは可動金型部離間操作後の体積値を示
し、「2」は皮膜原料注入直前の体積値を示し、「3」
は皮膜原料注入直後の体積値を示し、「4」は離型直前
の体積値を示し、「5」は離型後の体積値を示す。尚、
キャビティの体積に関する体積増加分は、溶融樹脂を射
出する直前のキャビティの体積(vC0)を基準としてい
る。図1に、キャビティ、溶融樹脂又は樹脂、皮膜原料
又は皮膜の体積の変化の状態を模式的に示す。尚、図1
においては、基準線に対する可動金型部の左側端の位置
で、キャビティの体積変化を表した。また、文字「V」
及び「P」の2桁の数字の添え字の内、10の位の数字
「1」は本発明の第1の態様を示し、10の位の数字
「2」は本発明の第2の態様を示す。更に、1の位の数
字「0」はキャビティ内の樹脂の重量増加が完了した時
点における値を示し、「1」は低圧型締め操作若しくは
可動金型部離間操作後の値を示し、「2」は皮膜原料注
入直前の値を示し、「4」は離型直前の値を示す。
ティの体積(キャビティ体積の基準値) ΔvC0:溶融樹脂の射出によって可動金型部が型開き方
向に移動した場合の、保圧操作によるキャビティ内の樹
脂の重量増加が完了した時点におけるキャビティの体積
増加分(使用する金型や射出条件によっては、0の場合
もある) ΔvC1:低圧型締め操作あるいは可動金型部離間操作に
よって可動金型部が型開き方向に移動させられたときの
キャビティの体積増加分 ΔvC2:皮膜原料注入直前におけるキャビティの体積増
加分の値(使用する金型や射出条件によっては、0の場
合もある。尚、第1の態様の高圧型締め操作においては
0である。) ΔvC3:注入された皮膜原料によって可動金型部が型開
き方向に移動した場合の皮膜原料注入直後におけるキャ
ビティの体積増加分(使用する熱可塑性樹脂や射出条
件、皮膜原料の注入条件によっては、0の場合もある) ΔvC4:離型直前におけるキャビティの体積増加分 vR0 :保圧操作によるキャビティ内の樹脂の重量増加
が完了した時点におけるキャビティ内に存在する溶融樹
脂の体積 vR2 :皮膜原料の注入直前のキャビティ内の樹脂の体
積(樹脂体積の基準値) v’R5 :皮膜原料の注入直前に、仮に離型動作を行っ
たと仮定した場合での、離型直後の射出成形品の体積 ΔvR3:皮膜原料の注入直後に皮膜原料によって圧縮さ
れたキャビティ内の樹脂の、vR2を基準とした体積変化
分の絶対値(使用する熱可塑性樹脂や射出条件、皮膜原
料の注入条件によっては、0の場合もある) vR4 :離型直前のキャビティ内の樹脂の体積 vR5 :離型直後の射出成形品の体積 vF0 :キャビティ内に注入された皮膜原料の体積 vF4 :離型直前のキャビティ内の皮膜の体積 vF5 :離型直後の射出成形品の表面に形成された皮膜
の体積 vspace:第1の態様における皮膜原料注入直前のキャ
ビティ内の樹脂とキャビティの金型面との間に形成され
た空間の体積
する溶融樹脂の体積vR0は、vC0+ΔvC0と等しい。
る。本発明の第1の態様においては、皮膜原料の注入直
前にキャビティ内の樹脂とキャビティの金型面との間に
空間が形成されるので、 vR2≦vC0+ΔvC2 の関係を満たす。従って、vspaceは、 vspace=vC0+ΔvC2−vR2≧0 となる。尚、高圧型締め操作においては、ΔvC2の値は
0である。
作を行ったと仮定した場合、離型直後の射出成形品の体
積v’R5は、 v’R5=vR2 である。このことは、皮膜原料注入直前のキャビティ内
の樹脂に、何ら圧力が加わっていない、若しくは皮膜原
料注入直前のキャビティ内の樹脂によって何ら圧力が生
成していないことを意味する。言い換えれば、型内圧P
が0kgf/cm2であることを意味する。
の樹脂が圧縮され及び/又は可動金型部が型開き方向に
移動するように、キャビティ内の樹脂とキャビティの金
型面の間に所定量の皮膜原料を注入するのであるから、
少なくとも、皮膜原料の所定量(体積:vF0)は、 vF0>vspace の関係を満足する必要がある。即ち、皮膜原料を”オー
バーショット”する必要がある。より具体的には、皮膜
原料は、 vF0=Vspace+(皮膜原料注入により可動金型部が型開き方向に移動する ことに基づくキャビティの体積増加分)+(皮膜原料注入によってキャビティ内 の樹脂が圧縮されたことに基づく樹脂の体積減少分) 即ち、 vF0=(vC0+ΔvC2−vR2)+(ΔvC3−ΔvC2)+ΔvR3 =vC0+ΔvC3+ΔvR3−vR2 を満足するような量、注入される。ここで、vF0は、結
果的に、 vF0=(vC0+ΔvC3)−(vR2−ΔvR3) =(皮膜原料注入直後のキャビティの体積)−(皮膜原料注入直後の樹 脂の体積) なる関係を満足する。尚、ΔvC3及びΔvR3が有意な値
となるか否かは、先に説明したように、皮膜原料の注入
圧力、型締め力、樹脂の柔軟度、どのタイプの型締め操
作を選択するかに依存する。尚、厳密には、注入直後の
皮膜原料の体積は、その圧縮性に起因して、皮膜原料注
入直前の体積よりも若干小さくなることがある。しか
し、その体積変化量は微小であるが故に、本説明におい
ては体積変化量は考慮しないものとした。
とで、その体積が、vR2から、vR2−ΔvR3を経て、最
終的にvR4へと変化する。一方、注入された皮膜原料
は、固化することで、その体積がvF0から最終的にvF4
へと減少する。このような樹脂及び皮膜原料の体積の変
化に伴い、皮膜原料注入に起因するキャビティの体積増
加分ΔvC3も変化し、離型直前においてΔvC4となる。
然るに、 (離型直前のキャビティ体積)=(離型直前の樹脂及び皮膜の体積) <(離型直後の樹脂及び皮膜の体積) 即ち、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入することによって、離型前における型内圧が0kg
f/cm2よりも高い状態となるように型内圧を保持す
ることができる。
満足する熱可塑性樹脂を使用する。高圧型締め操作にお
ける比容積の変化を、PVT図を参照して、以下、説明
する。高圧型締め操作における型内圧の経時変化を図2
の(A)に模式的に示す。また、熱可塑性樹脂の模式的
なPVT図を図2の(B)に示す。保圧操作によるキャ
ビティ内の樹脂の重量増加が完了した時点における型内
圧をP10、かかる時点におけるキャビティ内の樹脂の温
度をT10としたとき、かかる時点からキャビティ内の樹
脂の温度は時間経過と共に低下する。その間、キャビテ
ィの体積を一定とみなせば(実際にはvC0+ΔvC0から
vC0+ΔvC2に減少するが、PVT図の説明において
は、キャビティの体積を一定とみなした)、樹脂の比容
積は一定(V10)のまま、キャビティ内の樹脂に起因し
た型内圧が低下していく。
内圧が0kgf/cm2まで低下すると、図2の(B)
に示したPVT図のP0=大気圧の曲線に沿って、比容
積は減少する。(圧力P0,温度T12)における熱可塑
性樹脂の比容積はV12である。従って、k1(V10−V
12)に相当する体積(vspace=vC0−vR2)の空間
が、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面との間に
形成され得る。但し、k1は定数である。尚、図3に示
す場合には、空間は形成されていないが、キャビティ内
に射出された樹脂によってキャビティの金型面に何ら圧
力が加わっていない。
ΔvC2の値は0であり、V12≦V10を満足する熱可塑性
樹脂を使用するので、確実に、 vspace=vC0+ΔvC2−vR2 =vC0−vR2≧0 且つ v’R5=vR2 の関係を達成することができ、皮膜原料注入直前におけ
る型内圧が確実に0kgf/cm2となるようにするこ
とができる。
V11を満足する熱可塑性樹脂を使用する。低圧型締め操
作におけるPVT図を、図4の(A)及び(B)並びに
図5の(A)及び(B)を参照して、以下、説明する。
を開始する前に型内圧が0kgf/cm2となっている
場合の、型内圧の経時変化及び熱可塑性樹脂の模式的な
PVT図を、図4の(A)及び(B)に示す。この場合
の比容積の変化は、図2の(B)にて説明したと同様で
あるので、詳細な説明は省略する。
内圧が0kgf/cm2となっていない場合の、型内圧
の経時変化及び熱可塑性樹脂の模式的なPVT図を図5
の(A)及び(B)に模式的に示す。保圧操作によるキ
ャビティ内の樹脂の重量増加が完了した時点における型
内圧をP10、かかる時点におけるキャビティ内の樹脂の
温度をT10としたとき、かかる時点からキャビティ内の
樹脂の温度は時間経過と共に低下する。その間、キャビ
ティの体積は一定とみなせば、樹脂の比容積は一定(V
10)のまま、キャビティ内の樹脂に起因した型内圧が低
下していく。金型の型締め力を減少させると、キャビテ
ィの体積はΔvC1だけ増加する。尚、金型の大きさや構
造等に依存するが、金型の型締め力を減少させたとき、
金型開閉方向のキャビティの距離(厚さ)は0.2mm
程度増加する場合もある。
体積がΔvC1だけ増加する結果、比容積はV11に変化
し、型内圧はP11となる。かかる時点におけるキャビテ
ィ内の樹脂の温度をT11とする。キャビティ内の樹脂の
温度が時間経過と共に低下するに従い、樹脂の比容積は
一定(V11)のまま、キャビティ内の樹脂に起因した型
内圧が低下していく。そして、キャビティ内の樹脂に起
因した型内圧が0kgf/cm2まで低下すると、図5
の(B)に示したPVT図のP0=大気圧の曲線に沿っ
て、比容積は減少する。(圧力P0,温度T12)におけ
る熱可塑性樹脂の比容積はV12である。従って、k
2(V11−V12)に相当する体積(vspace=vC0+Δv
C2−vR2)の空間が、キャビティ内の樹脂とキャビティ
の金型面との間に形成され得る。但し、k2は定数であ
る。
V12≦V11を満足する熱可塑性樹脂を使用するので、可
動金型部が型開き方向に移動されたときのキャビティの
体積増加分ΔvC1の値が有意な値となり、皮膜原料注入
直前のキャビティの体積増加分ΔvC2は、高圧型締め操
作の場合と異なり、有意な値となり得る。従って、 vspace=vC0+ΔvC2−vR2≧0 且つ、 v’R5=vR2 といった体積を有する空間が得やすくなり、また、より
確実に皮膜原料注入直前における型内圧を0kgf/c
m2となるようにすることができる。更には、 vF0=vC0+ΔvC3+ΔvR3−vR2 において、ΔvC3の値も、高圧型締め操作と比較して、
大きな値となり得る。従って、高圧型締め操作の場合よ
りも、確実に且つ厚い皮膜を樹脂表面に均一に形成する
ことが可能になる。
12≦V’11を満足する熱可塑性樹脂を使用する。可動金
型部離間操作におけるPVT図を、図6の(A)及び
(B)、図7の(A)及び(B)、並びに図8の(A)
及び(B)を参照して、以下、説明する。
離間操作を開始する前に型内圧が0kgf/cm2とな
っている場合の、型内圧の経時変化及び熱可塑性樹脂の
模式的なPVT図を、図6の(A)及び(B)に示す。
この場合の比容積の変化は、図2の(B)にて説明した
と同様であるので、詳細な説明は省略する。
の型締め力を0とした直後に型内圧が0kgf/cm2
となる場合の、型内圧の経時変化及び熱可塑性樹脂の模
式的なPVT図を、図7の(A)及び(B)に示す。こ
の場合には、金型の型締め力を0kgfまで減少させた
直後に、キャビティの体積はΔv’C1(<ΔvC1)だけ
増加し、その結果、比容積はV’11に変化し、型内圧は
P’11となるが、この型内圧P’11は0kgf/cm2
(即ち、P0=大気圧)と等しい。更に、可動金型部を
固定金型部から離間することによって、キャビティの体
積は更に増加し、結果的にΔvC1増加することになる
が、キャビティ内の樹脂に基づく型内圧は既に大気圧に
なっているため、この操作はPVT図上では、最早、対
応する変化としては現れない。従って、図7の(B)に
示したPVT図のP0=大気圧の曲線に沿って、比容積
は減少し、k3(V’11−V12)に相当する体積(v
space=vC0+ΔvC2−vR2)の空間が、キャビティ内
の樹脂とキャビティの金型面との間に形成され得る。但
し、k3は定数である。
後、型内圧が0kgf/cm2となっていない場合の型
内圧の経時変化及び熱可塑性樹脂の模式的なPVT図を
図8の(A)及び(B)に模式的に示す。保圧操作によ
るキャビティ内の樹脂の重量増加が完了した時点におけ
る型内圧をP10、かかる時点におけるキャビティ内の樹
脂の温度をT10としたとき、かかる時点からキャビティ
内の樹脂の温度は時間経過と共に低下する。その間、キ
ャビティの体積は一定とみなせるので、樹脂の比容積は
一定(V10)のまま、キャビティ内の樹脂に起因した型
内圧が低下していく。金型の型締め力を0kgfまで減
少させ、更に固定金型部から可動金型部を離間させる
と、キャビティの体積はΔvC1だけ増加する。尚、金型
の大きさや構造等に依存するが、金型の型締め力を0ま
で減少させた時点で、金型開閉方向のキャビティの距離
(厚さ)は0.2mm程度増加する場合がある。更に
は、可動金型部離間操作を完了した時点で、可動金型部
が固定金型部から0.1mm程度離間する場合もある。
尚、この場合、固定金型部からの可動金型部の最終的な
移動量は、約0.3mmとなる。
ビティの体積はΔvC1だけ増加し、その結果、比容積は
V’11に変化し、型内圧はP’11となる。このときのキ
ャビティ内の樹脂の温度をT’11とする。キャビティ内
の樹脂の温度が時間経過と共に低下するに従い、樹脂の
比容積は一定(V’11)のまま、キャビティ内の樹脂に
起因した型内圧が低下していく。そして、キャビティ内
の樹脂に起因した型内圧が0kgf/cm2まで低下す
ると、図8の(B)に示したPVT図のP0=大気圧の
曲線に沿って、比容積は減少する。(圧力P0,温度T
12)における熱可塑性樹脂の比容積はV12である。従っ
て、k3(V’11−V12)に相当する体積(vspace=v
C0+ΔvC2−vR2)の空間が、キャビティ内の樹脂とキ
ャビティの金型面との間に形成され得る。但し、k3は
定数である。
も、V12≦V’11を満足する熱可塑性樹脂を使用するの
で、可動金型部が型開き方向に移動したときのキャビテ
ィの体積増加分ΔvC1の値が低圧型締め操作の場合より
も更に大きな値となる。それ故、皮膜原料注入直前のキ
ャビティの体積増加分ΔvC2は、低圧型締め操作の場合
よりも大きな値となり得る。従って、 vspace=vC0+ΔvC2−vR2≧0 且つ、 v’R5=vR2 といった体積を有する空間が得やすくなり、また、より
更に確実に皮膜原料注入直前における型内圧を0kgf
/cm2となるようにすることができる。更には、 vF0=vC0+ΔvC3+ΔvR3−vR2 において、ΔvC3の値も、低圧型締め操作と比較して、
大きな値となり得る。従って、高圧型締め操作あるいは
低圧型締め操作の場合よりも、より確実に且つより厚い
皮膜を樹脂表面に均一に形成することが可能になる。
る。
ィ内に射出された樹脂によって生成された型内圧Pが0
kgf/cm2よりも高い状態で皮膜原料を注入する。
即ち、皮膜原料の注入の際、キャビティ内の樹脂によっ
てキャビティの金型面には圧力が加わった状態となって
いるので、 vR2>vC0 より詳しくは、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 の関係を満たし、皮膜原料の注入時、キャビティ内の樹
脂とキャビティの金型面との間には空間が形成されな
い。ここでΔvC2>0である。更に、vR2<v’R5の関
係から、皮膜原料注入直前のキャビティ内の樹脂(体
積:vR2)によって型内圧が生成している。言い換えれ
ば、型内圧Pが0kgf/cm2より大である。注入さ
れた皮膜原料によってキャビティ内の樹脂が圧縮され及
び/又は可動金型部が型開き方向に移動するように、キ
ャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に所定量の
皮膜原料を注入するのであるから、皮膜原料の所定量
(体積:vF0)は、 vF0=(皮膜原料注入により可動金型部が型開き方向に移動することに基づ くキャビティ体積の増加分)+(皮膜原料注入によるキャビティ内樹脂の圧縮分 ) 即ち、 vF0=ΔvC3−ΔvC2+ΔvR3 の関係を満足する必要がある。ここで、vF0は、結果的
に、 vF0=(vC0+ΔvC2−vR2)+ΔvC3−ΔvC2+ΔvR3 =(vC0+ΔvC3)−(vR2−ΔvR3) =(皮膜原料注入直後のキャビティの体積)−(皮膜原料注入直後の樹 脂の体積) なる関係を満足する。尚、ΔvC3及びΔvR3が有意な値
となるか否かは、先に説明したように、皮膜原料の注入
圧力、型締め力、樹脂の柔軟度、どのタイプの型締め操
作を選択するかに依存する。また、先にも説したように
厳密には、注入直後の皮膜原料の体積は、その圧縮性に
起因して、皮膜原料注入直前の体積よりも若干小さくな
ることがある。しかし、その体積変化量は微小であるが
故に、本説明においては体積変化量は考慮しないものと
した。
とで、その体積が、vR2から、vR2−ΔvR3を経て、最
終的にvR4へと変化する。一方、注入された皮膜原料
は、固化することで、その体積がvF0から最終的にvF4
へと減少する。このような樹脂及び皮膜原料の体積の変
化に伴い、皮膜原料注入に起因するキャビティの体積増
加分ΔvC3も変化し、離型直前においてΔvC4となる。
然るに、 (離型直前のキャビティ体積)=(離型直前の樹脂及び皮膜の体積) <(離型直後の樹脂及び皮膜の体積) 即ち、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入することによって、離型前における型内圧が0kg
f/cm2よりも高い状態となるように型内圧を保持す
ることができる。
満足する熱可塑性樹脂を使用する。高圧型締め操作にお
ける型内圧の経時変化を図9の(A)に模式的に示す。
また、熱可塑性樹脂の模式的なPVT図を図9の(B)
に示す。保圧操作によるキャビティ内の樹脂の重量増加
が完了した時点における型内圧をP20、かかる時点にお
けるキャビティ内の樹脂の温度をT20としたとき、かか
る時点からキャビティ内の樹脂の温度は時間経過と共に
低下する。その間、キャビティの体積を一定とみなせ
ば、樹脂の比容積は一定(V20)のまま、キャビティ内
の樹脂に起因した型内圧が低下していく。
樹脂の温度T22における比容積はV20=V22である。と
ころで、高圧型締め操作においては、V2>V22を満足
する熱可塑性樹脂を使用するが故に、必ず、皮膜原料注
入直前の型内圧Pは0kgf/cm2を越える値とな
る。
V2>V22を満足する熱可塑性樹脂を使用するので、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 を満足し得る。従って、皮膜原料注入直前における型内
圧が0kgf/cm2よりも高い状態となるように型内
圧を確実に保持することができる。
満足する熱可塑性樹脂を使用する。低圧型締め操作にお
ける型内圧の経時変化を図10の(A)に模式的に示
す。また、熱可塑性樹脂の模式的なPVT図を図10の
(B)に示す。保圧操作によるキャビティ内の樹脂の重
量増加が完了した時点における型内圧をP20、かかる時
点におけるキャビティ内の樹脂の温度をT20としたと
き、かかる時点からキャビティ内の樹脂の温度は時間経
過と共に低下する。その間、キャビティの体積を一定と
みなせば、樹脂の比容積は一定(V20)のまま、キャビ
ティ内の樹脂に起因した型内圧が低下していく。
ィの体積はΔvC1だけ増加する。尚、金型の大きさや構
造等に依存するが、金型の型締め力を減少させたとき、
金型開閉方向のキャビティの距離(厚さ)は0.2mm
程度増加する場合もある。金型の型締め力を減少させ、
キャビティの体積がΔvC1だけ増加する結果、比容積は
V21に変化し、型内圧はP21となる。かかる時点におけ
るキャビティ内の樹脂の温度をT21とする。キャビティ
内の樹脂の温度が時間経過と共に低下するに従い、樹脂
の比容積は一定(V21)のまま、キャビティ内の樹脂に
起因した型内圧が低下していく。そして、皮膜原料の注
入直前の樹脂に起因した型内圧はP22、かかる時点にお
けるキャビティ内の樹脂の温度はT22となり、(圧力P
22,温度T22)における熱可塑性樹脂の比容積はV
22(=V21)となる。然るに、V2>V22を満足する熱
可塑性樹脂を使用するので、必ず、皮膜原料注入直前の
型内圧Pは0kgf/cm2を越える値となる。
も、V2>V22を満足する熱可塑性樹脂を使用すれば、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 を満足し得るので、皮膜原料注入直前における型内圧が
0kgf/cm2よりも高い状態となるように型内圧を
確実に保持することができる。
22を満足する熱可塑性樹脂を使用する。可動金型部離間
操作における型内圧の経時変化を図11の(A)に模式
的に示す。また、熱可塑性樹脂の模式的なPVT図を図
11の(B)に示す。保圧操作によるキャビティ内の樹
脂の重量増加が完了した時点における型内圧をP20、か
かる時点におけるキャビティ内の樹脂の温度をT20とし
たとき、かかる時点からキャビティ内の樹脂の温度は時
間経過と共に低下する。その間、キャビティの体積を一
定とみなせば、樹脂の比容積は一定(V20)のまま、キ
ャビティ内の樹脂に起因した型内圧が低下していく。
の体積はΔvC1だけ増加する。尚、金型の大きさや構造
等に依存するが、金型の型締め力を0まで減少させた時
点で、金型開閉方向のキャビティの距離(厚さ)は0.
2mm程度増加する場合がある。更には、可動金型部離
間操作を完了した時点で、可動金型部が固定金型部から
0.1mm程度離間する場合もある。尚、この場合、固
定金型部からの可動金型部の最終的な移動量は、約0.
3mmとなる。可動金型部離間操作によりキャビティの
体積がΔvC1だけ増加する結果、比容積はV21に変化
し、型内圧はP21となる。かかる時点におけるキャビテ
ィ内の樹脂の温度をT21とする。キャビティ内の樹脂の
温度が時間経過と共に低下するに従い、樹脂の比容積は
一定(V21)のまま、キャビティ内の樹脂に起因した型
内圧が低下していく。そして、皮膜原料の注入直前の樹
脂に起因した型内圧はP22、かかる時点におけるキャビ
ティ内の樹脂の温度はT22となり、(圧力P22,温度T
22)における熱可塑性樹脂の比容積はV22(=V21)と
なる。然るに、V2>V22を満足する熱可塑性樹脂を使
用するので、必ず、皮膜原料注入直前の型内圧Pは0k
gf/cm2を越える値となる。
ても、V2>V22を満足する熱可塑性樹脂を使用するの
で、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 を満足し得る。従って、皮膜原料注入直前における型内
圧が0kgf/cm2よりも高い状態となるように型内
圧を確実に保持することができる。
め操作、低圧型締め操作あるいは可動金型部離間操作に
おいて、使用する熱可塑性樹脂によっては、vR4<vC0
+ΔvC4となる場合もある。このような場合にあって
も、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入することによって、離型前における型内圧が0kg
f/cm2よりも高い状態となるように型内圧を保持す
ることができる。更には、少なくともキャビティ内の樹
脂に起因して、離型前における型内圧が0kgf/cm
2よりも高い状態となるような熱可塑性樹脂を使用すれ
ば、必ず、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 を満足し得るので、皮膜原料注入直前及び離型直前にお
ける型内圧が0kgf/cm2よりも高い状態となるよ
うに型内圧を確実に保持することができる。
いては、先に説明した2つの公開公報に開示された熱可
塑性樹脂の射出成形方法と異なり、注入された皮膜原料
によってキャビティ内の樹脂が圧縮され及び/又は可動
金型部が型開き方向に移動するように、キャビティ内の
樹脂とキャビティの金型面の間に所定量の皮膜原料を注
入する。即ち、かかる皮膜原料の所定量は、もしも、皮
膜原料の注入前に、キャビティ内の樹脂とキャビティの
金型面との間に空間が形成されていた場合にあっても、
かかる空間の体積よりも大きな体積である。即ち、皮膜
原料オーバーショット法を採用している。そして、離型
前における型内圧が0kgf/cm2よりも高い状態と
なるように型内圧は保持される。従って、注入後の皮膜
原料に常に外部(キャビティの金型面)より圧力が加わ
っている。その結果、皮膜表面の光沢性が低下したり、
熱可塑性樹脂に対する皮膜の密着性が低下したり、皮膜
が不均一になるという問題を確実に回避することができ
る。
発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法を図面を参照して説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
の射出成形方法の実施に適した射出成形装置全体の概要
を、図12を参照して説明する。射出成形装置は、熱可
塑性樹脂供給用スクリュー10を内部に有する射出シリ
ンダー12、固定プラテン20、可動プラテン24、タ
イバー34、型締め用油圧シリンダー30、油圧ピスト
ン32から構成されている。可動プラテン24は、型締
め用油圧シリンダー30内の油圧ピストン32の作動に
よってタイバー34上を平行移動できる。
部26から構成されている。固定金型部22は固定プラ
テン20に取り付けられており、可動金型部26は可動
プラテン24に取り付けられている。固定金型部22に
は皮膜原料注入部28が設けられている。図12の右手
方向への可動プラテン24の移動によって可動金型部2
6が固定金型部22と係合し、金型が型締めされ、キャ
ビティ50が形成される。型締め力は型締め用油圧シリ
ンダー30によって制御される。また、図12の左手方
向への可動プラテン24の移動によって可動金型部26
が固定金型部22との係合を解かれ、金型は離型され
る。
0、油圧シリンダー62、油圧シリンダー62に取り付
けられたシャットオフピン64から構成されている。シ
ャットオフピン64の位置によって、皮膜原料注入部2
8を開閉する。図12においては、シャットオフピン6
4によって皮膜原料注入部28は閉じられている。ポン
プ70によって皮膜原料タンク72から皮膜原料80が
耐圧配管74を経由して皮膜原料供給部60に送られ
る。更に、皮膜原料80は油圧シリンダー62によって
シャットオフピン64が後退した際、皮膜原料注入部2
8に流れ込み、シャットオフピン64の前進運動によっ
て、皮膜原料注入部28を通って、キャビティ内の樹脂
とキャビティの金型面の間に注入される。これによっ
て、高精度で計量された所定量の皮膜原料を注入するこ
とができる。
は、皮膜原料供給部60、油圧シリンダー62、シャッ
トオフピン64等から構成されている皮膜原料注入機構
が、皮膜原料の計量・注入機構を兼ねている。しかしな
がら、本発明における皮膜原料注入システムはこのよう
な機構に限定されるものではない。例えば耐圧配管74
の途中に計量・注入シリンダーを設け、計量・注入機構
とシャットオフピン開閉機構とを分けることもできる。
尚、以下の実施例にて説明する射出成形装置においても
同様のシステムとすることができる。
る。即ち、キャビティ内に射出された樹脂によって生成
された型内圧Pが0kgf/cm2と等しい状態で皮膜
原料を注入する。言い換えれば、皮膜原料の注入前に、
キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面との間に空間
が形成されており、この空間内に皮膜原料を注入する。
実施例1においては、熱可塑性樹脂は、非強化の非晶性
樹脂アロイ材から成る。
ィ内に射出した後、保圧操作を行う。そして、その後、
皮膜原料の注入前に、金型の型締め力を溶融樹脂の射出
時における型締め力よりも減少させる。即ち、実施例1
においては、低圧型締め操作を採用した。より具体的に
は、溶融樹脂の射出時における型締め力F10を約100
トンf、低減された型締め力F11を約5トンfとした。
即ち、F11/F10≒0.05である。
溶融樹脂40が冷却・固化する際の樹脂の体積収縮作用
によって、キャビティ内に射出された樹脂によって生成
された型内圧(樹脂に起因した型内圧)Pが0kgf/
cm2と等しい状態で皮膜原料を注入することが可能と
なる。言い換えれば、キャビティ50内の樹脂40Aと
キャビティ50の金型面との間に空間(隙間)52が確
実に形成される(図13の(B)参照)。即ち、Pcomp
の値を確実に0kgf/cm2にすることができる。し
かも、型締め力の低減によって、高圧型締め操作の場合
よりも、空間52の体積を増加させることができる。そ
して、かかる空間52に、空間の体積よりも若干多量に
計量された皮膜原料80を確実に且つ均一に注入(皮膜
原料オーバーショット)することができる。
をP11、かかる時点におけるキャビティ内の樹脂の温度
をT11とし、皮膜原料の注入直前のキャビティ内の樹脂
の温度をT12、大気圧をP0とし、(圧力P11,温度T
11)における熱可塑性樹脂の比容積をV11、(圧力
P0,温度T12)における熱可塑性樹脂の比容積をV12
としたとき、V12≦V11である熱可塑性樹脂を用いた。
1の熱可塑性樹脂の射出成形方法を詳しく説明する。
尚、図13〜図16においては、固定プラテン20、型
締め用油圧シリンダー30、油圧ピストン32、タイバ
ー34の図示は省略した。実施例1における樹脂に起因
した型内圧の経時変化、及び皮膜原料の注入によって生
成した型内圧(以下、皮膜原料に起因した型内圧とも呼
ぶ)の経時変化、及び固定金型部を基準とした可動金型
部の変位量を図18に示す。
式会社製IS100射出成形装置を用いて、金型の型締
め力を約100トンfとして金型の型締めを行い、溶融
樹脂の射出成形を行った。キャビティ形状は、縦約10
0mm×横約30mm×深さ約10mm、肉厚2mmの
略箱型である。尚、キャビティ形状はこのような形状に
限定されず、所望に応じて任意の形状とすることができ
る。ゲート部14の構造は、ダイレクトゲート構造とし
た。尚、金型は、固定金型部22と可動金型部26を若
干離間させてもキャビティが保持される印篭構造となっ
ているが、図では印篭構造の図示は省略した。尚、印篭
構造の詳細については、後に、図23を参照して説明す
る。
とおりである。 成形用の熱可塑性樹脂:ポリカーボネート/ポリエチレ
ンテレフタレートアロイ樹脂(三菱エンジニアリングプ
ラスチックス株式会社製:ユーピロンMB2112) 形成すべき皮膜:塗料皮膜 皮膜原料 ウレタンアクリレートオリゴマー :12重量部 エポキシアクリレートオリゴマー :20重量部 トリプロピレングリコールジアクリレート:20重量部 ステアリン酸亜鉛 :0.5重量部 8%オクチル酸コバルト :0.5重量部 酸化チタン :10重量部 タルク :15重量部 炭酸カルシウム :20重量部 t−ブチルパーオキシベンゾエート:2重量部
た。 金型温度 : 130゜C 溶融樹脂の温度: 290゜C 射出圧力 : 800kgf/cm2−G 尚、金型温度はキャビティ50の金型面における温度で
あり、溶融樹脂の温度は射出シリンダー12内における
溶融樹脂の温度であり、射出圧力の値は熱可塑性樹脂供
給用スクリュー10に加える圧力の値とした。以下の実
施例においても同様である。
に、熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂40を、射出シリン
ダー12からゲート部14を経由してキャビティ50に
射出し、キャビティ50内を溶融樹脂40で充填する。
尚、キャビティ50は、固定金型部22と可動金型部2
6とが高圧にて型締めされる(実施例1ではF10=約1
00トンf)ことによって形成されている。この場合、
皮膜原料注入装置の油圧シリンダー62を前進させてお
き、シャットオフピン64の先端で皮膜原料注入部28
を閉じておく。これによって、皮膜原料供給部60とキ
ャビティ50とは連通せず、皮膜原料80がキャビティ
50内に流入することはないし、溶融樹脂40が皮膜原
料供給部60に流入することもない。
脂供給用スクリュー10を用いて、キャビティ50内の
樹脂40Aに圧力を加えた。尚、キャビティ50内の樹
脂40Aに圧力を加えるこの操作は保圧操作であり、こ
の圧力は保圧圧力である。保圧操作の条件を、以下のと
おりとした。 保圧圧力 : 500kgf/cm2−G 保圧時間(期間): 10秒 保圧圧力の値は熱可塑性樹脂供給用スクリュー10に加
えられた圧力の値であり、保圧時間はほぼゲートシール
時間と同一であった。尚、射出成形品にひけやボイドが
発生することを防止し、しかも形成される形状の射出成
形品へのキャビティ50の金型面の転写性を良くするた
めに、保圧操作を実行する。
ンダー30を操作して金型の型締め力を低減させた。型
締め力の低減条件を以下のとおりとした。 低減後の型締め力(F11):約5トンf 低減開始時間 :保圧終了より50秒後
の体積収縮率は大きい(V12≦V11)。その結果、樹脂
に起因した型内圧を0kgf/cm2まで低減させるこ
とができ、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ
50の金型面との間に塗膜を形成するに十分なる大きな
空間52が形成された。この状態を、図13の(B)に
模式的に示す。尚、皮膜原料の注入直前における空間5
2の体積vspaceは、 vspace=vC0+ΔvC2−vR2 である。言い換えれば、 (型内圧)×(成形品投影面積) =(PI−Ploss+Pcomp)×(成形品投影面積) において、PI、Ploss、Pcompの全てを0kgf/c
m2とすることができる。ここで、樹脂40Aは、通
常、可動金型部26側に収縮するため、型締め力の低減
と相まって、固定金型部22側のキャビティ部分と樹脂
40Aとの間に空間52が形成される。
ー62を後退させることによって、シャットオフピン6
4の先端を後退させて、皮膜原料注入部28を開く。こ
れによって、皮膜原料供給部60と空間52とは連通す
る。併せて、ポンプ70を介して皮膜原料80を皮膜原
料供給部60に供給する。これによって、皮膜原料注入
部28まで皮膜原料は充填されるが、空間52の厚さは
皮膜原料注入部28の流路幅と比較して非常に小さく、
皮膜原料の粘度が十分には低くないこともあって、この
時点では皮膜原料80が空間52を満たすまでには至ら
ない(図14の(A)参照)。
ー62を前進させることによって、シャットオフピン6
4の先端を前進させる。皮膜原料注入直前の状態を図1
4の(B)に示す。シャットオフピン64の先端が更に
前進することによって、キャビティ50内の樹脂40A
とキャビティ50の金型面との間の空間52に皮膜原料
80が注入される(図15の(A)参照)。皮膜原料の
注入開始を保圧期間の終了後54秒とした。このとき皮
膜原料80は、キャビティ50内の樹脂40Aを圧縮し
つつ注入されるか、あるいは可動金型部26を固定金型
部22から若干離間させつつ注入されるか、あるいはそ
の双方の作用を生じさせつつ注入される。即ち、 vF0=vC0+ΔvC3+ΔvR3−vR2 の関係を満足する所定量の皮膜原料を注入する。具体的
には、0.47cm3の皮膜原料を注入した。尚、どの
ような状態で皮膜原料80がキャビティ50内の樹脂4
0Aとキャビティ50の金型面との間の空間(隙間)5
2に注入されるかは、皮膜原料の注入圧力、型締め力、
樹脂40Aの柔軟度に依存する。また、低圧型締め操作
を行っているが故に、ΔvC3の値を大きくすることが可
能になり、厚い皮膜を射出成形品の表面に均一に形成す
ることが可能になる。
た。 皮膜原料の注入圧力(pinj) :約15kgf/cm
2−G 皮膜原料の注入前の型内圧(P):0kgf/cm2 皮膜原料の注入完了直後の型内圧のピーク圧
(ppeak):15kgf/cm2
フピン64に加わる油圧圧力の変化を図17に模式的に
示す。図13の(B)に示した状態(時刻t0)におい
ては、溶融樹脂40の射出圧力によってシャットオフピ
ン64が後退しないように、高圧が油圧シリンダー62
によってシャットオフピン64に加えられている。その
後、シャットオフピン64に加える圧力を0kgf/c
m2−Gとし、更にシャットオフピン64に後退方向の
圧力を加えることによって、図14の(A)に示すよう
に、シャットオフピン64は後退する(時刻t1〜
t2)。
からシャットオフピン64が前進を開始し、時刻t3に
おいてシャットオフピン64が図14の(B)に示した
状態なった後、皮膜原料の注入が開始される。皮膜原料
の注入圧力(pinj)は、型内圧Pと、皮膜原料の流動
抵抗値との合計に等しい。シャットオフピン64の前進
が相当進行し、皮膜原料の空間体積相当量が注入される
と、皮膜原料を注入し難くなる(図15の(A)参
照)。尚、この状態で皮膜原料の注入を停止する方法が
皮膜原料フルショット法に相当する。更に皮膜原料の注
入を続ける結果、皮膜原料を注入するために必要とされ
るシャットオフピン64に加えるべき圧力は上昇する。
そして、図17の時刻t4において、シャットオフピン
64は前進端に到達し、シャットオフピン64の先端で
皮膜原料注入部28が閉じられる(図15の(B)参
照)。こうして、空間52の体積よりも大きな体積の皮
膜原料が空間52内に注入される(皮膜原料オーバーシ
ョット法)。尚、実施例1では、シャットオフピン64
に加わる油圧圧力の変化からは、皮膜原料の注入圧力値
(pinj)を確認できなかった。皮膜原料の注入が終了
し、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通しな
くなる。尚、シャットオフピン64が後退しないよう
に、その後もシャットオフピン64に油圧シリンダー6
2によって圧力を加え続ける。皮膜原料の注入が完了し
た時点では、皮膜原料に起因した型内圧が発生してい
る。
力は低下させたまま保持してもよいし、皮膜を破損しな
い程度にまで再加圧してもよい。
ない程度に皮膜原料80を固化させて、キャビティ50
内の樹脂40Aの表面に皮膜82を形成する(図16参
照)。固化の時間を120秒間とした。尚、この時間は
射出成形された樹脂の冷却時間でもある。次いで、型締
め用油圧シリンダー30を後退させて、これまで加えて
いた型締め力を解除して、離型を行う。最後に、金型か
ら射出成形品を取り出す。
出成形品の表側の表面の略全面に亙って形成された射出
成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の
底部で平均80μmであった。
経時変化、及び皮膜原料に起因した型内圧の経時変化を
図18に実線で示す。また、固定金型部を基準とした可
動金型部の変位量を図18に点線で示す。
型内圧のピーク圧ppeakは15kgf/cm2であり、
離型直前の皮膜原料に起因した型内圧p’は5kgf/
cm2であった。尚、このように、離型直前の型内圧
p’が0kgf/cm2ではない高い値に保持される理
由は、体積収縮した皮膜の体積が、未だ、空間52の体
積より大きいことにある。即ち、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入することによって、離型前における型内圧が0kg
f/cm2よりも高い状態となるように型内圧を保持す
ることができる。
の型内圧p’を0kgf/cm2ではない高い値に保持
することによって、皮膜は常にキャビティ50の金型面
にて加圧される。その結果、射出成形品の表面に形成さ
れる皮膜に、高い均一性、光沢性、密着性を付与するこ
とができる。尚、図18においては、グラフの縦軸の縮
尺の関係から、キャビティ内の樹脂が十分冷却・固化し
たときの型内圧の値が恰も0kgf/cm2にように見
えるが、実際には、0kgf/cm2ではない型内圧が
存在する。
ィ内への射出時、金型開閉方向のキャビティの距離(厚
さ)は若干増加する。この変位量はΔvC0に相当する。
溶融樹脂の射出完了後、変位量は0mmとなる。低圧型
締め操作を行うことによって、金型開閉方向のキャビテ
ィの距離(厚さ)は若干増加する。この変位量はΔvC1
に相当する。皮膜原料を注入することによって、金型開
閉方向のキャビティの距離(厚さ)は更に若干増加す
る。この変位量はΔvC3に相当する。皮膜原料の注入
後、皮膜原料の体積収縮によって、変位量は0mmに近
づく。しかしながら、皮膜原料に起因した型内圧が0k
gf/cm2ではないが故に、この変位量は0mmとは
ならない。
ポリエチレンテレフタレートアロイ樹脂(ユーピロンM
B2112)のPVT図を図19に示す。尚、図19
中、(A)は圧力1kgf/cm2(大気圧)のときの
樹脂温度と比容積の関係を示し、(B)は同じく300
kgf/cm2、(C)は500kgf/cm2、(D)
は700kgf/cm2、(E)は1000kgf/c
m2のときの樹脂温度と比容積の関係を示す。
10に相当する)は約500kgf/cm2−Gであり、
かかる樹脂の温度(T10に相当する)は290゜Cであ
る。従って、(圧力P10=500kgf/cm2,温度
T10=290゜C)における熱可塑性樹脂の比容積V10
は約0.9cm3/gである。一方、金型の型締め力を
減少させる直前の型内圧は既に大気圧と等しかったの
で、金型の型締め力を減少させた直後の型内圧P11も0
kgf/cm2、かかる時点におけるキャビティ内の樹
脂の温度T11は140゜Cであった。それ故、(圧力P
11,温度T11)における熱可塑性樹脂の比容積V11は約
0.86cm3/gであった。更には、皮膜原料の注入
直前のキャビティ内の樹脂の温度T12は140゜Cであ
り、(大気圧P0,温度T12)における熱可塑性樹脂の
比容積V12は約0.86cm3/gであった。従って、
V12≦V11を満足していた。
度(図19では約220゜C)までは等比容積V10のま
まキャビティ内の樹脂は冷却される。次いで、図19に
おいては、約220゜Cから約140゜Cまで、線Aに
沿って、今度は比容積が小さくなるように、キャビティ
内の樹脂は変化する。温度が約140゜C(T11)の時
点で低圧型締め操作が行われ、キャビティの体積はΔv
C1だけ増加するが、キャビティ内の樹脂に起因する型内
圧は既に大気圧P0と等しくなっているので、PVT図
上には変化が現れない。また、低圧型締め操作から皮膜
原料の注入までに短時間(4秒)しか経過していないた
め、皮膜原料注入直前の樹脂の温度T12はT11とほぼ等
しい。この結果、k2(V11−V12)、及び低圧型締め
操作に起因するキャビティの体積増加分ΔvC1の和に相
当する体積変化が、キャビティの金型面とキャビティ内
の樹脂との間に形成される空間52に相当する。このよ
うに、V12≦V11なる熱可塑性樹脂を使用し、低圧型締
め操作を行うことによって、キャビティの金型面とキャ
ビティ内の樹脂との間に空間を確実に形成することがで
きる。
1と基本的に同様の工程で射出成形品を作製した。実施
例2が実施例1と相違する点は、樹脂の冷却条件、皮膜
原料の注入条件等の各種条件である。即ち、実施例2に
おいても、キャビティ50への溶融樹脂の射出後、保圧
操作を行い、一定の冷却時間をおき、金型の型締め力を
低下させた後、皮膜原料を注入した。
性樹脂原料及び皮膜原料は、実施例1と同様とした。ま
た、射出成形条件、保圧操作条件も実施例1と同様であ
り、以下のとおりとした。 射出成形条件 金型温度 : 130゜C 溶融樹脂の温度: 290゜C 射出圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧操作条件 保圧圧力 : 500kgf/cm2−G 保圧時間 : 10秒
却時間をおいた後、型締め力を約5トンfにまで低下さ
せ、0.3cm3の皮膜原料を注入した。皮膜形成条
件、皮膜原料注入後の冷却条件、皮膜固化条件は以下の
通りである。 皮膜形成条件 皮膜原料の注入開始:保圧期間の終了後24秒 皮膜原料の注入圧力(pinj):約20kgf/cm2−
G 皮膜原料の注入前の型内圧(P):0kgf/cm2 皮膜原料の注入完了直後の型内圧のピーク圧
(ppeak):20kgf/cm2 皮膜固化条件 固化時間 : 120秒 尚、この固化時間は射出成形された樹脂の冷却時間でも
ある。
もよいし、皮膜を破損しない程度にまで再加圧しても構
わない。
出成形品の表側の表面の略全面に亙って形成された射出
成形品を得た。実施例1と比較して、溶融樹脂の射出完
了から皮膜原料の注入までの時間を短くしたため、比容
積の減少率が実施例1と比較して小さく、形成された空
間52は、実施例1において形成された空間よりも小さ
かった。それ故、実施例1と比較して、注入した皮膜原
料の量(体積)が少ないにも拘わらず、皮膜原料の注入
ピーク圧力が若干高くなった。尚、皮膜82の厚さは、
箱型の射出成形品の底部で平均50μmであった。
経時変化、及び皮膜原料の注入に起因した型内圧の経時
変化を図20に示す。図20においては、グラフの縦軸
の縮尺の関係から、キャビティ内の樹脂が十分冷却・固
化したときの型内圧の値が恰も0kgf/cm2によう
に見えるが、実際には、0kgf/cm2ではない型内
圧が存在する。具体的には、実施例2においては、皮膜
原料に起因した型内圧のピーク圧ppeakは20kgf/
cm2であり、皮膜原料に起因した離型直前の型内圧
p’は5kgf/cm2であった。
態様に関する。実施例3においては、溶融樹脂の射出開
始から離型までの間、金型の型締め力を一定に保持す
る。即ち、実施例3においては、高圧型締め操作を採用
した。より具体的には、溶融樹脂の射出開始から離型ま
での間、金型の型締め力を約100トンfに保持した。
尚、キャビティの形状及び寸法は、実施例1と同様であ
る。
キャビティ内の樹脂が冷却することによって生じる樹脂
の体積収縮作用に起因して、キャビティ内に射出された
樹脂によって生成された型内圧Pが0kgf/cm2に
低下する。実施例3においては、保圧操作によるキャビ
ティ内の樹脂の重量増加が完了した時点における型内圧
をP10、かかる時点におけるキャビティ内の樹脂の温度
をT10とし、皮膜原料の注入直前のキャビティ内の樹脂
の温度をT12、大気圧をP0とし、(圧力P10,温度T
10)における熱可塑性樹脂の比容積をV10、(圧力
P0,温度T12)における熱可塑性樹脂の比容積をV12
としたとき、V12≦V10である熱可塑性樹脂を用いた。
これによって、 vspace=vC0−vR2≧0 を満足することができ、キャビティ50内の樹脂40A
とキャビティ50の金型面との間に空間52が確実に形
成される。即ち、Pcompの値を確実に0kgf/cm2
にすることができ、キャビティ内の樹脂によって生成し
た型内圧Pが0kgf/cm2まで低下する。
原料として、以下の原料を使用した。また、射出成形条
件、保圧操作条件を、以下のとおりとした。尚、使用し
た皮膜原料は、実施例1と同様とした。また、図12に
示したと同様の射出成形装置を使用した。 成形用の熱可塑性樹脂:ポリアミドMXD6(三菱エン
ジニアリングプラスチックス株式会社製:レニー102
2) 射出成形条件 金型温度 : 130゜C 溶融樹脂の温度: 270゜C 射出圧力 : 700kgf/cm2−G 保圧操作条件 保圧圧力 : 500kgf/cm2−G 保圧時間 : 2.5秒
であるが、保圧時間は、通常の保圧時間と比較して短
い。尚、通常の保圧時間は9秒程度で、この時間はほぼ
ゲートシール時間に等しい。従って、保圧操作による溶
融樹脂の重量増加は、通常の保圧操作による溶融樹脂の
重量増加よりも少ない。その結果、vR2の値が、通常の
保圧操作で得られた値よりも小さくなり、キャビティ5
0内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との間に空
間52が一層形成され易くなる。
却時間をおいた後、型締め力を100トンfに保持した
まま、皮膜原料を注入した。皮膜形成条件、皮膜原料注
入後の冷却条件、皮膜固化条件は以下の通りである。 皮膜形成条件 皮膜原料の注入開始:保圧期間の終了後50秒 皮膜原料の注入圧力(pinj):約150kgf/cm2
−G 皮膜原料の注入完了直後の型内圧のピーク圧
(ppeak):150kgf/cm2 皮膜原料の注入前の型内圧(P):0kgf/cm2 注入量:0.55cm3 皮膜固化条件 固化時間 : 120秒 尚、この固化時間は射出成形された樹脂の冷却時間でも
ある。
/cm2であった。これは、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入したためである。
した型内圧の経時変化、及び皮膜原料に起因した型内圧
の経時変化を示す。尚、固定金型部に対する可動金型部
の相対的な位置は、溶融樹脂の射出から離型までの間、
ほぼ一定であった。
図を図22に示す。尚、図22中、(A)は圧力1kg
f/cm2(大気圧)のときの樹脂温度と比容積の関係
を示し、(B)は同じく510kgf/cm2、(C)
は700kgf/cm2、(D)は1020kgf/c
m2、(E)は1530kgf/cm2のときの樹脂温度
と比容積の関係を示す。保圧圧力(P10に相当する)は
500kgf/cm2−Gであり、保圧工程におけるキ
ャビティ内の樹脂の温度(T10に相当する)は270゜
Cである。従って、図22からも明らかなように、(圧
力P10=500kgf/cm2,温度T10=270゜
C)における熱可塑性樹脂の比容積V10は、約0.65
cm3/gである。温度T10(270゜C)から或る温
度(図22では約235゜C)までは等比容積V10のま
まキャビティ内の樹脂は冷却される。次いで、図22に
おいては、約235゜Cから約140゜Cまで、線Aに
沿って、今度は比容積が小さくなるように、キャビティ
内の樹脂は変化する。温度が約140゜C(T11)の時
点で皮膜原料の注入が行われる。皮膜原料の注入直前の
樹脂に起因した型内圧は0kgf/cm2であり、皮膜
原料の注入直前のキャビティ内の樹脂の温度T12は約1
40゜Cである。従って、(型内圧P0=大気圧,温度
T12=140゜C)における熱可塑性樹脂の比容積V12
は0.623cm3/gである。即ち、V12≦V10を満
足している。
いて、V12≦V10の関係を満足する熱可塑性樹脂を使用
し、更には、好ましくは保圧時間を短くすることによっ
て、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50の
金型面との間に空間52(体積:vspace=vC0−
vR2)を形成することができ、塗料皮膜から成る平均厚
さ100μmの皮膜82が射出成形品の表側の表面の略
全面に亙って形成された射出成形品を得た。
態様に関する。実施例4においては、キャビティ50内
への溶融樹脂の射出完了後、皮膜原料の注入前に、金型
の型締め力を0とし、次いで、固定金型部22と可動金
型部26とでキャビティ50を形成した状態で可動金型
部26を固定金型部22から離間する工程を含む。実施
例4の熱可塑性樹脂の射出成形方法の実施に適した射出
成形装置全体の概要を、図23を参照して説明する。
ける金型も、固定金型部22と可動金型部26から構成
されている。そして、固定金型部22と可動金型部26
は、固定金型部22と可動金型部26とでキャビティ5
0を形成した状態で可動金型部26を固定金型部22か
ら離間し得る構造を有している。即ち、可動金型部26
を固定金型部22から離間することによってキャビティ
50の体積を増加させ得る構造となっている。
うに、可動金型部26を固定金型部22に対して若干移
動させても閉じたキャビティ50が形成されるように、
可動金型部26と固定金型部22の接触部分26A,2
2Aが印篭構造となっている。尚、図23には、可動金
型部26が固定金型部22から離間され、且つ、閉じた
キャビティ50が形成された状態の金型を示す。射出成
形装置のその他の構造は、実施例1にて説明した射出成
形装置と同様とすることができるので、説明は省略す
る。尚、図23においては、固定プラテン20、型締め
用油圧シリンダー30、油圧ピストン32、タイバー3
4の図示は省略した。キャビティの形状及び寸法は、実
施例1と同様とした。
型締め力を約100トンfとし、皮膜原料の注入前に、
型締め用油圧シリンダー30を動作させて、型締め力を
開放(0トンf)とした。これによって、金型開閉方向
のキャビティの距離(厚さ)は0.2mm程度増加し
た。更に、可動金型部26を固定金型部22から離間
し、キャビティ50の金型開閉方向の厚さ(距離)を広
げた。固定金型部22からの可動金型部26の離間量を
0.1mmとした。即ち、キャビティ50の金型開閉方
向の厚さ(距離)は、溶融樹脂の射出時に比べて、0.
3mm増加した。
型部から離間させた直後の型内圧をP’11、かかる時点
におけるキャビティ内の樹脂の温度をT’11とし、皮膜
原料の注入直前のキャビティ内の樹脂の温度をT12、大
気圧をP0とし、(圧力P’1 1,温度T’11)における
熱可塑性樹脂の比容積をV’11、(圧力P0,温度
T12)における熱可塑性樹脂の比容積をV12としたと
き、V12≦V’11である熱可塑性樹脂を用いた。
可塑性樹脂及び皮膜原料は、実施例1と同様とした。ま
た、射出成形条件、保圧操作条件を、以下のとおりとし
た。 金型温度 : 130゜C 溶融樹脂の温度: 290゜C 射出圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧操作条件 保圧圧力 : 500kgf/cm2−G 保圧時間 : 10秒
後、型締め用油圧シリンダー30を作動させて、金型の
型締め力を0トンfとし、更に、固定金型部22と可動
金型部26とでキャビティ50を形成した状態で可動金
型部26を固定金型部22から離間した。そして、保圧
操作終了後、54秒経過した後、形成された空間52内
に皮膜原料80を注入した。皮膜原料注入直前において
は、空間52の体積は、 vspace=vC0+ΔvC1−vR2 となっている。皮膜形成条件、皮膜原料注入後の冷却条
件、皮膜固化条件は以下の通りである。 皮膜形成条件 皮膜原料の注入開始:保圧期間の終了後54秒 皮膜原料の注入完了直後の型内圧のピーク圧
(ppeak):20kgf/cm2 注入量 : 1.7cm3 皮膜原料の注入前の型内圧(P):0kgf/cm2 皮膜固化条件 固化時間 : 120秒 尚、この固化時間は射出成形された樹脂の冷却時間でも
ある。
cm2であった。これは、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入したためである。また、保圧圧力(P10に相当す
る)は500kgf/cm2−Gであり、保圧工程にお
けるキャビティ内の樹脂の温度(T10に相当する)は2
90゜Cである。従って、図19のPVT図から、(圧
力P10=500kgf/cm2,温度T10=290゜
C)における熱可塑性樹脂の比容積V10は約0.90c
m3/gである。一方、可動金型部を固定金型部から離
間させた直後の型内圧P’11は、離間前に既に0kgf
/cm2であり、かかる時点におけるキャビティ内の樹
脂の温度T’11は140゜Cであった。また、皮膜原料
の注入直前のキャビティ内の樹脂の温度T12もほぼ14
0゜Cであった。従って、(圧力P’11=0kgf/c
m2,温度T’11=140゜C)における熱可塑性樹脂
の比容積V’11は約0.86cm3/gであり、(圧力
P0=大気圧,温度T12=140゜C)における熱可塑
性樹脂の比容積V12も約0.86cm3/gであり、V
12≦V’11を満足していた。
を満足する熱可塑性樹脂を使用し、更には、可動金型部
離間操作を行うことによって、キャビティ50内の樹脂
40Aとキャビティ50の金型面との間に一層確実に空
間52(体積:vspace=vC 0+ΔvC1−vR2)を形成
することができ、塗料皮膜から成る皮膜82が射出成形
品の表側の表面の略全面に亙って形成された射出成形品
を得た。尚、皮膜の厚さは、箱型の射出成形品の底部で
平均260μmであった。
態様に関する。即ち、実施例5においては、キャビティ
50内に射出された樹脂40Aによって生成された型内
圧Pが0kgf/cm2よりも高い状態で皮膜原料80
を注入する。尚、実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方
法においては、金型を閉じ型締め力を保持した状態でキ
ャビティ50内に溶融樹脂40を射出した後、キャビテ
ィ50内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との間
に空間(隙間)を形成することなく、キャビティ50内
の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との境界54に
皮膜原料80を注入する。即ち、実施例5においては、
溶融樹脂の射出開始から離型までの間、金型の型締め力
を一定に保持する、高圧型締め操作を採用した。尚、実
施例5の実施に適した射出成形装置は、実施例1にて説
明した射出成形装置と同様とすることができるので、そ
の説明は省略する。尚、キャビティ形状は、縦約100
mm×横約30mm×深さ約10mm、肉厚4mmの略
箱型としたが、キャビティ形状はこのような形状に限定
されず、所望に応じて任意の形状とすることができる。
の樹脂に起因した型内圧をP22、かかる時点におけるキ
ャビティ内の樹脂の温度をT22、大気圧をP0とし、
(圧力P22,温度T22)における熱可塑性樹脂の比容積
をV22、(圧力P0、温度T22)における熱可塑性樹脂
の比容積をV2としたとき、V2>V22である熱可塑性樹
脂を用いた。
5の熱可塑性樹脂の射出成形方法を詳しく説明する。
性樹脂は実施例3と同様である。また、使用した皮膜原
料は、実施例1と同様とした。
に、熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂40を、射出シリン
ダー12からゲート部14を経由してキャビティ50に
射出し、キャビティ50内を溶融樹脂で充填する。尚、
キャビティ50は、固定金型部22と可動金型部26と
が高圧にて型締めされる(実施例5では約100トン
f)ことによって形成されている。この場合、皮膜原料
注入装置の油圧シリンダー62を前進させておき、シャ
ットオフピン64の先端で皮膜原料注入部28を閉じて
おく。これによって、皮膜原料供給部60とキャビティ
50とは連通せず、皮膜原料80がキャビティ50内に
流入することはない。
で保圧操作を行った。尚、この保圧操作の条件は、通常
の条件であり、保圧時間はゲートシール時間とほぼ同一
であった。 保圧圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧時間(期間): 9秒
圧シリンダー62を後退させることによって、シャット
オフピン64の先端を後退させて、皮膜原料注入部28
を開く。併せて、ポンプ70を介して皮膜原料80を皮
膜原料供給部60に供給する。これによって、皮膜原料
注入部28まで皮膜原料は充填されるが、型内圧Pは0
kgf/cm2より高いので、樹脂40Aとキャビティ
50の金型面との間に空間が形成されず、皮膜原料供給
部60とキャビティ50とは連通していない。即ち、 vR2>vC0 より具体的には、 vR2=vC0+ΔvC2 の関係を満たしている。従って、皮膜原料80はこの段
階ではキャビティ50側に流入しない。このときの様子
を図24の(B)に模式的に示す。尚、本発明の第2の
態様においては、樹脂40Aに起因する型内圧Pが0k
gf/cm2よりも高いので、図24の(B)の時点で
樹脂40Aが皮膜原料注入部28に流入することを防止
する必要がある。そのためには、キャビティの金型面と
接する樹脂40Aの部分を或る程度硬化させておけばよ
い。具体的には、保圧期間の経過後、シャットオフピン
64の後退までの時間を長くする方法、キャビティの金
型面と接触する樹脂の部分及びその近傍の樹脂は冷却さ
れ、硬化するが、かかる硬化が早い結晶性樹脂を使用す
る方法が挙げられる。
ー62を前進させることによって、シャットオフピン6
4の先端を前進させる。皮膜原料注入直前の状態を図2
5の(A)に示す。シャットオフピン64の先端が更に
前進することによって、キャビティ50内の樹脂40A
とキャビティ50の金型面との境界54に皮膜原料80
が注入される(図25の(B)参照)。皮膜原料の注入
開始を保圧期間の終了後4秒とした。また、皮膜原料の
注入量を0.2cm3とした。
内の樹脂40Aを圧縮しつつ注入されるか、あるいは可
動金型部26を固定金型部22から若干離間させつつ注
入されるか、あるいはその双方の作用を生じさせつつ注
入される。尚、どのような状態で皮膜原料80がキャビ
ティ50内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との
境界54に注入されるかは、皮膜原料の注入圧、型締め
力、樹脂40Aの柔軟度に依存する。図25の(B)及
び図26の(A),(B)においては、樹脂40Aが皮
膜原料80によって圧縮されている状態を拡大して模式
的に示した。この状態においては、 vF0=ΔvC3+ΔvR3 の関係を満足している。尚、金型は、固定金型部22と
可動金型部26を若干離間させてもキャビティが保持さ
れる印篭構造となっているが、図では印篭構造の図示は
省略した。
た。 皮膜原料の注入圧力(pinj) :500kgf/cm
2−G 皮膜原料の注入時の型内圧(P):300kgf/cm
2 皮膜原料の注入直後の型内圧(Ppeak):500kgf
/cm2
フピン64に加わる油圧圧力の変化を図27に模式的に
示す。図24の(A)に示した状態(時刻t0)におい
ては、溶融樹脂40の射出圧力によってシャットオフピ
ン64が後退しないように、高圧が油圧シリンダー62
によってシャットオフピン64に加えられている。その
後、シャットオフピン64に加える圧力を0kgf/c
m2−Gとし、更にシャットオフピン64に後退方向の
圧力を加えることによって、図24の(B)に示すよう
に、シャットオフピン64は後退する(時刻t1〜
t2)。
から、図25の(B)に示すように皮膜原料80が皮膜
原料注入部28を通りキャビティ50内の樹脂40Aと
キャビティ50の金型面との境界54に注入される瞬間
(時刻t3)まで、シャットオフピン64に加えられる
圧力は増加する。そして、期間t3〜t4の間、皮膜原料
80はキャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50
の金型面との境界54に注入され続ける。このときのシ
ャットオフピン64に加わる圧力を、皮膜原料の注入圧
力(pinj)とした。皮膜原料の注入圧力(pinj)は、
型内圧Pと、皮膜原料の流動抵抗値との合計に等しい。
従って、一般に、ppeak>Pとなる。シャットオフピン
64の前進が相当進行し、皮膜原料の相当量が注入され
ると、皮膜原料を注入し難くなる。その結果、皮膜原料
を注入するために必要とされるシャットオフピン64に
加えるべき圧力は上昇する。そして、図27の時刻t5
において、シャットオフピン64は前進端に到達し、シ
ャットオフピン64の先端で皮膜原料注入部28が閉じ
られる(図26の(A)参照)。こうして、皮膜原料の
注入が終了し、皮膜原料供給部60とキャビティ50と
は連通しなくなる。尚、シャットオフピン64が後退し
ないように、その後もシャットオフピン64に油圧シリ
ンダー62によって圧力を加え続ける。
ない程度に皮膜原料80を固化させて、キャビティ50
内の樹脂40Aの表面に皮膜82を形成する(図26の
(B)参照)。固化の時間を120秒間とした。尚、こ
の期間に射出成形された樹脂は冷却し続ける。次いで、
型締め用油圧シリンダー30で油圧ピストン32を後退
させて、これまで加えていた型締め力を解除して、離型
操作を行う。最後に、金型から射出成形品を取り出す。
尚、離型直前における型内圧P’の値は約320kgf
/cm2であった。尚、使用した熱可塑性樹脂は、V2>
V22の関係を満足しているので、vR4+vF4<vR5+v
F5の関係を満たすことができる。
出成形品の表側の表面略全面に亙って形成された射出成
形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の底
部で平均30μmであった。
8に示す。皮膜原料の注入直前の型内圧Pは0kgf/
cm2にまで低下してはいない。従って、樹脂は皮膜原
料の注入後もキャビティ50の金型面を押し続け、型内
圧が0kgf/cm2まで低下することはない。言い換
えれば、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ5
0の金型面との間に空間(隙間)が発生することはな
い。尚、固定金型部に対する可動金型部の相対的な位置
は、溶融樹脂の射出から離型までの間、ほぼ一定であっ
た。
00kgf/cm2、かかる時点におけるキャビティ内
の樹脂の温度T22は235゜Cであった。実施例5にて
用いた熱可塑性樹脂のPVT図を図29に示す。尚、図
29のPVT図は図22のPVT図と同一である。図2
9からも明らかなように、(圧力P22=300kgf/
cm2,温度T22=235゜C)における熱可塑性樹脂
の比容積をV22、(圧力P0=大気圧,温度T22=23
5゜C)における熱可塑性樹脂の比容積をV2としたと
き、V22=0.643cm3/g、V2=0.653cm
3/gである。即ち、V2>V22を満足している。つま
り、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 の関係を満足している。それ故、皮膜原料注入直前の型
内圧は0kgf/cm2まで低下せず、かかる圧力がP
compとして認識される。
態様に関する。実施例6が実施例5と相違する点は、金
型の型締め力を、皮膜原料80の注入前に、溶融樹脂の
射出時における型締め力よりも減少させる点にある。即
ち、溶融樹脂の射出時の型締め力を約100トンf(=
F20)とし、皮膜原料80の注入前に、型締め力を約5
トンf(=F21)に下げた。即ち、F21/F20≒0.0
5である。尚、キャビティの形状及び寸法を、実施例5
と同様とした。
性樹脂原料及び皮膜原料は、実施例5と同様とした。ま
た、射出成形条件、保圧操作条件も実施例5と同様に、
以下のとおりとした。 射出成形条件 金型温度 : 130゜C 溶融樹脂の温度: 270゜C 射出圧力 : 700kgf/cm2−G 保圧操作条件 保圧圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧期間 : 9秒
後、型締め用油圧シリンダー30を操作して、型締め力
を約5トンfまで低下させる。これによって、キャビテ
ィの体積は若干増加するが(vC0+ΔvC1)、V2>V
22を満足する熱可塑性樹脂を使用するので、未だ、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 の関係は保たれ、Pcompの値は大きい。次いで、皮膜原
料注入装置の油圧シリンダー62を後退させることによ
って、シャットオフピン64の先端を後退させて、皮膜
原料注入部28を開く。これによって、皮膜原料注入部
28まで皮膜原料は充填されるが、型内圧Pが0kgf
/cm2にまで低下していないので樹脂40Aとキャビ
ティ50の金型面との間に空間(隙間)は形成されず、
皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通していな
い。従って、皮膜原料80は、この段階ではキャビティ
50側に流入しない。
フピン64の前進によって、皮膜原料80はキャビティ
50内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との境界
54に注入される。ここで、 vF0=ΔvC3+ΔvR3 の関係を満足するが、実施例5と比較すると、低圧型締
め操作であるが故に、ΔvC3が大きくなり得る。従っ
て、実施例5よりも厚い皮膜を形成することが可能とな
る。尚、皮膜原料の注入開始を保圧期間の終了後4秒と
した。 皮膜形成条件 皮膜原料の注入圧力(pinj) :240kgf/cm
2−G 皮膜原料の注入時の型内圧(P):100kgf/cm
2 皮膜原料の注入直後の型内圧(Ppeak):240kgf
/cm2 注入量:0.3cm3 皮膜固化条件 固化時間 : 120秒
た樹脂は冷却され続ける。皮膜原料の注入完了後、金型
の型締め力を低下させたまま保持しておいてもよいし、
皮膜原料の注入によって樹脂表面に形成された皮膜を破
損しない程度まで型締め力を増加させてもよい。
出成形品の表側の表面の略全面に亙って形成された射出
成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の
底部で平均50μmであった。
定金型部を基準とした可動金型部の変位量を、それぞれ
実線及び点線で図30に示す。皮膜原料注入直前におけ
る型内圧P22は100kgf/cm2、かかる時点にお
けるキャビティ内の樹脂の温度T22は235゜Cであっ
た。実施例6にて用いた熱可塑性樹脂のPVT図を図3
1に示す。尚、図31のPVT図は図22のPVT図と
同一である。図31からも明らかなように、(圧力P22
=100kgf/cm2,温度T22=235゜C)にお
ける熱可塑性樹脂の比容積をV22、(圧力P0=大気
圧,温度T22=235゜C)における熱可塑性樹脂の比
容積をV2としたとき、V22=0.648cm3/g、V
2=0.653cm3/gである。即ち、V2>V22を満
足している。つまり、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 の関係を満足している。それ故、皮膜原料注入直前の型
内圧は0kgf/cm2まで低下せず、かかる圧力がP
compとして認識される。言い換えれば、キャビティ50
内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との間に空間
(隙間)が発生することはない。
190kgf/cm2であった。即ち、離型直前におけ
る型内圧P’は0kgf/cm2にまで低下してはいな
い。これは、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入したからである。従って、樹脂は皮膜原料の注入後
もキャビティ50の金型面を押し続け、型内圧が0kg
f/cm2まで低下することはなかった。
態様に関する。実施例7が実施例5と相違する点は、金
型の型締め力を、皮膜原料80の注入前に、溶融樹脂の
射出時における型締め力よりも減少させ、その後、固定
金型部22と可動金型部26とでキャビティ50を形成
した状態で可動金型部26を固定金型部22から離間し
た後、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50
の金型面の境界54に皮膜原料80を注入する点にあ
る。実施例7においては、金型の型締め力を、溶融樹脂
の射出時の型締め力を約100トンfとし、皮膜原料8
0の注入前に、型締め力を開放(0トンf)とした。こ
れによって、金型開閉方向のキャビティの距離(厚さ)
は0.2mm程度増加した。更に、可動金型部26を固
定金型部22から0.1mm離間した。これによって、
キャビティ50の金型開閉方向の厚さ(距離)は、溶融
樹脂の射出時に比べて、0.3mm増加した。固定金型
部22に対する可動金型部26の実施例7の熱可塑性樹
脂の射出成形方法の実施に適した射出成形装置の構造
は、図23に示した射出成形装置と同様とすることがで
きる。尚、キャビティの形状及び寸法を、実施例5と同
様とした。
性樹脂原料及び皮膜原料は、実施例5と同様とした。ま
た、射出成形条件、保圧操作条件も実施例5と同様に、
以下のとおりとした。 射出成形条件 金型温度 : 130゜C 溶融樹脂の温度: 270゜C 射出圧力 : 700kgf/cm2−G 保圧操作条件 保圧圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧期間 : 9秒
用油圧シリンダー30を作動させて型締め力を解放し、
可動金型部26を固定金型部22から0.1mm離間さ
せた。これによって、金型開閉方向のキャビティの距離
(厚さ)が約0.3mm増加した。その後、皮膜原料注
入装置の油圧シリンダー62を後退させることによっ
て、シャットオフピン64の先端を後退させて、皮膜原
料注入部28を開く。これによって、皮膜原料注入部2
8まで皮膜原料は充填されるが、キャビティ(体積:v
C0+ΔvC2)は樹脂で完全に満たされており、型内圧0
kgf/cm2にまで低下していないので、樹脂40A
とキャビティ50の金型面の間に空間が形成されず、皮
膜原料供給部60とキャビティ50とは連通していな
い。従って皮膜原料80は、この段階ではキャビティ5
0側に流入しない。
させ、次いで、シャットオフピン64の前進によって、
皮膜原料80はキャビティ50内の樹脂40Aとキャビ
ティ50の金型面との境界54に注入される。皮膜原料
の注入開始を保圧期間の終了後4秒とした。注入すべき
皮膜原料の体積は、vF0=ΔvC3+ΔvR3を満足すべき
量である。尚、実施例6と比較すると、可動金型離間操
作であるが故に、ΔvC3が大きくなる。従って、実施例
6よりも厚い皮膜を形成することが可能となる。 皮膜形成条件 皮膜原料の注入圧力(pinj) :200kgf/cm
2−G 皮膜原料の注入時の型内圧(P):50kgf/cm2 皮膜原料の注入直後の型内圧(Ppeak):200kgf
/cm2 注入量:0.6cm3 皮膜固化条件 固化時間 : 120秒
た樹脂は冷却され続ける。皮膜原料の注入完了後、金型
の型締め力を開放したまま保持しておいてもよいし、皮
膜原料の注入によって樹脂表面に形成された皮膜を破損
しない程度まで型締め力を増加させてもよい。
出成形品の表側の表面の略全面に亙って形成された射出
成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の
底部で平均100μmであった。
定金型部を基準とした可動金型部の変位量を、それぞれ
実線及び点線で図32に示す。皮膜原料注入直前におけ
る型内圧P22は50kgf/cm2、かかる時点におけ
るキャビティ内の樹脂の温度T22は235゜Cであっ
た。実施例7にて用いた熱可塑性樹脂のPVT図を図3
3に示す。尚、図33のPVT図は図22のPVT図と
同一である。図33からも明らかなように、(圧力P22
=50kgf/cm2,温度T22=235゜C)におけ
る熱可塑性樹脂の比容積をV22、(圧力P0=大気圧,
温度T22=235゜C)における熱可塑性樹脂の比容積
をV2としたとき、V22=0.650cm3/g、V2=
0.653cm3/gである。即ち、V2>V22を満足し
ている。つまり、 vC0+ΔvC2=vR2<v’R5 の関係を満足している。それ故、皮膜原料注入直前の型
内圧は0kgf/cm2まで低下せず、かかる圧力がP
compとして認識される。言い換えれば、キャビティ50
内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面との間に空間
(隙間)が発生することはない。
100kgf/cm2であった。即ち、離型直前におけ
る型内圧P’は0kgf/cm2にまで低下してはいな
い。これは、 vC0+ΔvC4=vR4+vF4<vR5+vF5 の関係を満足するように、キャビティ内の樹脂とキャビ
ティの金型面の間に所定量(体積:vF0)の皮膜原料を
注入したからである。従って、樹脂は皮膜原料の注入後
もキャビティ50の金型面を押し続け、型内圧が0kg
f/cm2まで低下することはなかった。
明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。実施例にて説明した条件や使用した材料は例示
であり、適宜変更することができる。また、射出成形装
置の構造も例示であり、適宜設計変更することができ
る。例えば、実施例にて説明した射出成形装置において
は、固定金型部22に皮膜原料注入部28が取り付けら
れているが、皮膜原料注入部28を可動金型部26に取
り付けてもよい。これによって、例えば箱型の射出成形
品の内面に皮膜を形成することができる。更には、固定
金型部22及び可動金型部26のそれぞれに皮膜原料注
入部28を取り付ければ、例えば箱型の射出成形品の表
側及び内面の両方に皮膜を形成することができる。
ャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50の金型面
との間の空間52を一層形成し易くするために、金型を
閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要と
される保圧圧力よりも低い保圧圧力で保圧してもよい。
この場合、通常必要とされる保圧圧力よりも低い保圧圧
力は、通常必要とされる保圧圧力の30乃至90%、よ
り好ましくは40乃至60%であることが望ましい。保
圧期間中の金型の型締め力は、一定であっても、逐次変
化させてもよい。例えば、溶融樹脂の冷却・固化の間に
金型の型締め力を段階的に減少させてもよい。あるいは
又、キャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を閉じ且つ
金型の型締め力を保持した状態で、通常必要とされる保
圧圧力で、しかも通常必要とされる保圧時間(保圧期
間)よりも短い時間、保圧してもよい。この場合、通常
必要とされる保圧時間よりも短い保圧時間は、通常必要
とされる保圧時間の20乃至80%、より好ましくは3
0乃至50%であることが望ましい。
いては、皮膜原料を注入した直後の型内圧ppeak,P
peakが先に説明した範囲内に収まるように、適宜、第1
の態様若しくは第2の態様を選択し、併せて、型締め操
作の形態(高圧型締め操作、低圧型締め操作、可動金型
部離間操作)を選択すればよい。どの組み合わせが最適
かは、熱可塑性樹脂の種類、皮膜原料注入直前のキャビ
ティ内の樹脂の柔軟度、皮膜原料の注入量(即ち、射出
成形品の表面に形成すべき皮膜の厚さ)、射出成形品の
肉厚や形状等に基づき、決定すればよい。
採用することにより、熱可塑性樹脂の射出成形工程内
で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表面上に形成する
ことができ、最終製品に至る製造工程の削減、製造設備
の縮小、加工・処理時間の短縮、製造コストの低減を図
ることが可能となる。
ィ内の樹脂とキャビティの金型面との間に空間(隙間)
を形成し、かかる空間に皮膜原料を注入する。従って、
均一な皮膜が射出成形品の表面に形成される。また、所
定の期間の間保圧を行うことによって、射出成形品にひ
けやボイドが発生することを防止することができ、しか
もキャビティによって形成される形状の射出成形品への
転写性を良くすることができる。更には、熱可塑性樹脂
の比容積を規定することで、キャビティ内での溶融樹脂
の過剰充填分が型締め力によって受ける圧縮圧であるP
compの値を確実に0kgf/cm2にすることができ、
射出成形品表面とキャビティの金型面との間に空間(隙
間)が確実に生じる。更に、キャビティ内の樹脂に加わ
る圧力が大気圧まで低下した後皮膜原料を注入すること
によって、かかる空間に皮膜原料を確実に且つ均一に注
入することができる。また、ppeakの値を規定すること
によって、かかる空間の体積よりも多い体積の皮膜原料
を空間内に確実に注入でき(皮膜原料オーバーショット
法)、注入された皮膜原料、更には収縮しつつある皮膜
原料に確実に圧力が加わり続ける。その結果、皮膜表面
へのキャビティの金型面の転写性に優れ、皮膜表面の光
沢性が向上する。また、熱可塑性樹脂に対する皮膜の密
着性も向上する。
ィ内に射出された樹脂によって生成された型内圧が完全
に低下しないうちに(言い換えれば、キャビティ内の樹
脂とキャビティの金型面との間に隙間を設けることな
く)、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に
皮膜原料を注入する。その結果、注入された皮膜原料に
は確実に圧力が加わり続けるので、皮膜原料が収縮して
も、皮膜表面へのキャビティの金型面の転写性に優れ、
皮膜表面の光沢性が向上するし、熱可塑性樹脂に対する
皮膜の密着性も向上する。また、熱可塑性樹脂の比容積
を規定することで、キャビティ内に射出された樹脂によ
って生成された型内圧が完全に低下しないうちに、即
ち、P>0の状態において、確実にキャビティ内の樹脂
とキャビティの金型面の間に皮膜原料を注入することが
できる。更には、皮膜原料を注入する直前の型内圧Pの
値を規定することによって、キャビティ内の樹脂とキャ
ビティの金型面の間に皮膜原料を確実に注入することが
でき、あるいは又、皮膜原料注入直後の型内圧Ppeakの
値を規定することによって、キャビティ内の樹脂とキャ
ビティの金型面の間に注入された皮膜原料を加圧し続け
ることができる。また、皮膜原料の注入開始を、保圧期
間の終了と同時若しくはそれ以降とすることによって、
皮膜原料を注入する装置への溶融樹脂の流入を防止する
ことができ、しかも熱可塑性樹脂に対する皮膜の密着性
を一層向上させることができる。
皮膜の体積の変化の状態を模式的に示す図である。
おける型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示す図
である。
おけるPVT図を模式的に示す図である。
おける型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示す図
である。
おける型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示す図
である。
作における型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示
す図である。
作における型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示
す図である。
作における型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示
す図である。
おける型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示す図
である。
における型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に示す
図である。
操作における型内圧の経時変化及びPVT図を模式的に
示す図である。
に適した射出成形装置全体の概念図である。
ける溶融樹脂の射出の状態、及び皮膜原料を注入する前
の状態を示す、金型の部分等の概念図である。
る皮膜原料の注入直前の状態、及び皮膜原料の注入開始
の状態を示す、金型の部分等の概念図である。
ける皮膜原料の注入中の状態、及び皮膜原料の注入完了
の状態を示す、金型の部分等の概念図である。
ける皮膜の形成完了後の状態を示す、金型の部分等の概
念図である。
す図である。
経時変化、及び皮膜原料に起因した型内圧の経時変化を
示す図、及び固定金型部を基準とした可動金型部の変位
量を示す図である。
図である。
経時変化、及び皮膜原料に起因した型内圧の経時変化を
示す図である。
経時変化、及び皮膜原料に起因した型内圧の経時変化を
示す図である。
図である。
施に適した射出成形装置の主に金型の部分を示す概念図
である。
ける溶融樹脂の射出の状態、及び皮膜原料を注入する前
の状態を示す、金型の部分等の概念図である。
ける、皮膜原料の注入直前の状態、及び皮膜原料を注入
中の状態を示す、金型の部分等の概念図である。
ける皮膜の形成完了後の状態を示す、金型の部分等の概
念図である。
変化を模式的に示す図である。
である。
図である。
金型部を基準とした可動金型部の変位量を示す図であ
る。
図である。
金型部を基準とした可動金型部の変位量を示す図であ
る。
図である。
Claims (19)
- 【請求項1】(イ)固定金型部及び可動金型部から成る
金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成る
溶融樹脂を射出する工程と、 (ロ)溶融樹脂の射出完了後、キャビティ内に射出され
た樹脂の冷却、固化によって型内圧が0kgf/cm 2
と等しくなった状態で、注入された皮膜原料によって可
動金型部が型開き方向に移動するように、若しくは、注
入された皮膜原料によってキャビティ内の樹脂が圧縮さ
れ且つ可動金型部が型開き方向に移動するように、キャ
ビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に所定量の皮
膜原料を注入する工程と、 (ハ)離型前における型内圧が0kgf/cm2よりも
高い状態となるように型内圧を保持する工程、 から成ることを特徴とする熱可塑性樹脂の射出成形方
法。 - 【請求項2】 前記工程(イ)と工程(ロ)の間で、保圧
を行う工程を更に含み、皮膜原料の注入を、保圧期間の
終了と同時に、若しくは保圧期間の終了以降に行うこと
を特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。 - 【請求項3】 溶融樹脂の射出開始から離型までの間、金
型の型締め力を一定に保持し、 保圧操作によるキャビティ内の樹脂の重量増加が完了し
た時点における型内圧をP10、かかる時点におけるキャ
ビティ内の樹脂の温度をT10とし、皮膜原料の注入直前
のキャビティ内の樹脂の温度をT12、大気圧をP0と
し、(圧力P10,温度T10)における熱可塑性樹脂の比
容積をV10、(圧力P0,温度T12)における熱可塑性
樹脂の比容積をV12としたとき、V12≦V10である熱可
塑性樹脂を用いることを特徴とする請求項2に記載の熱
可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項4】(イ)固定金型部及び可動金型部から成る
金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成る
溶融樹脂を射出する工程と、 (ロ)保圧を行う工程と、 (ハ)金型の型締め力を工程(イ)における型締め力よ
りも減少させる工程と、 (ニ)キャビティ内に射出された樹脂の冷却、固化によ
って型内圧が0kgf /cm 2 と等しくなった状態で、
注入された皮膜原料によってキャビティ内の樹脂が圧縮
され及び/又は可動金型部が型開き方向に移動するよう
に、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に所
定量の皮膜原料を注入する工程と、 (ホ)離型前における型内圧が0kgf/cm 2 よりも
高い状態となるように型内圧を保持する工程、 から成り、 前記工程(ハ)における金型の型締め力を減少させた直
後の型内圧をP 11 、かかる時点におけるキャビティ内の
樹脂の温度をT 11 とし、皮膜原料の注入直前のキャビテ
ィ内の樹脂の温度をT 12 、大気圧をP 0 とし、(圧力P
11 ,温度T 11 )における熱可塑性樹脂の比容積をV 11 、
(圧力P 0 ,温度T 12 )における熱可塑性樹脂の比容積
をV 12 としたとき、V 12 ≦V 11 である熱可塑性樹脂を用
いることを特徴とする熱可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項5】 前記工程(イ)における型締め力をF10、
低減された型締め力をF11としたとき、0≦F11/F10
≦0.3を満足することを特徴とする請求項4に記載の
熱可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項6】 皮膜原料注入前10秒以内に、金型の型締
め力を低減させることを特徴とする請求項4に記載の熱
可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項7】(イ)固定金型部及び可動金型部から成る
金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成る
溶融樹脂を射出する工程と、 (ロ)保圧を行う工程と、 (ハ)金型の型締め力を0とする工程と、 (ニ)固定金型部と可動金型部とでキャビティを形成し
た状態で可動金型部を固定金型部から離間する工程と、 (ホ)キャビティ内に射出された樹脂の冷却、固化によ
って型内圧が0kgf/cm 2 と等しくなった状態で、
注入された皮膜原料によってキャビティ内の樹脂が圧縮
され及び/又は可動金型部が型開き方向に移動するよう
に、キャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に所
定量の皮膜原料を注入する工程と、 (ヘ)離型前における型内圧が0kgf/cm 2 よりも
高い状態となるように型内圧を保持する工程、 から成り、 前記工程(ニ)において可動金型部を固定金型部から離
間させた直後の型内圧をP’ 11 、かかる時点におけるキ
ャビティ内の樹脂の温度をT’ 11 とし、皮膜原料の注入
直前のキャビティ内の樹脂の温度をT 12 、大気圧をP 0
とし、(圧力P’ 11 ,温度T’ 11 )における熱可塑性樹
脂の比容積をV’ 11 、(圧力P 0 ,温度T 12 )における
熱可塑性樹脂の比容積をV 12 としたとき、V 12 ≦V’ 11
である熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする熱可塑性
樹脂の射出成形方法。 - 【請求項8】 皮膜原料の注入によって生成した型内圧の
ピーク圧をppeakとした場合、0<ppeak≦500kg
f/cm2を満足することを特徴とする請求項3、請求
項4又は請求項7に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方
法。 - 【請求項9】 熱可塑性樹脂は、非強化の非晶性樹脂若し
くは非強化の非晶性樹脂アロイ材から成ることを特徴と
する請求項3、請求項4又は請求項7に記載の射出成形
方法。 - 【請求項10】 保圧期間の終了後、皮膜原料を注入する
までの時間は、10乃至120秒であることを特徴とす
る請求項3、請求項4又は請求項7に記載の熱可塑性樹
脂の射出成形方法。 - 【請求項11】(イ)固定金型部及び可動金型部から成
る金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成
る溶融樹脂を射出する工程と、 (ロ)保圧を行う工程と、 (ハ)キャビティ内に射出された樹脂によって生成され
た型内圧が0kgf/cm 2 よりも高い状態で、注入さ
れた皮膜原料によってキャビティ内の樹脂が圧縮され及
び/又は可動金型部が型開き方向に移動するように、キ
ャビティ内の樹脂とキャビティの金型面の間に所定量の
皮膜原料を注入する工程と、 (ニ)離型前における型内圧が0kgf/cm 2 よりも
高い状態となるように型内圧を保持する工程、 から成り、 溶融樹脂の射出開始から離型までの間、金型の型締め力
を一定に保持し、 皮膜原料の注入直前の樹脂に起因した型内圧をP 22 、か
かる時点におけるキャビティ内の樹脂の温度をT 22 、大
気圧をP 0 とし、(圧力P 22 ,温度T 22 )にお ける熱可
塑性樹脂の比容積をV 22 、(圧力P 0 、温度T 22 )にお
ける熱可塑性樹脂の比容積をV 2 としたとき、V 2 >V 22
である熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする熱可塑性
樹脂の射出成形方法。 - 【請求項12】溶融樹脂の射出開始から離型までの間、
金型の型締め力を一定に保持する代わりに、前記工程
(ロ)の完了後、金型の型締め力を工程(イ)における
型締め力よりも減少させることを特徴とする請求項11
に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項13】 前記工程(イ)における型締め力を
F20、低減された型締め力をF21としたとき、0≦F21
/F20≦0.3を満足することを特徴とする請求項12
に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項14】溶融樹脂の射出開始から離型までの間、
金型の型締め力を一定に保持する代わりに、前記工程
(ロ)の完了後、金型の型締め力を0とし、次いで、固
定金型部と可動金型部とでキャビティを形成した状態で
可動金型部を固定金型部から離間することを特徴とする
請求項11に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項15】 皮膜原料の注入直前の型内圧Pの値は、
0<P≦500kgf/cm2を満足することを特徴と
する請求項11、請求項12又は請求項14に記載の熱
可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項16】 皮膜原料の注入直後の型内圧Ppeakの値
は、0<Ppeak≦500kgf/cm2を満足すること
を特徴とする請求項15に記載の熱可塑性樹脂の射出成
形方法。 - 【請求項17】 熱可塑性樹脂は結晶性樹脂又は結晶性樹
脂アロイ材から成り、得られた射出成形品の厚さが3m
m以上であることを特徴とする請求項11、請求項12
又は請求項14に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。 - 【請求項18】 金型に設けられたキャビティ内に溶融樹
脂を射出した後の保圧期間を3秒以上とし、保圧圧力を
300kgf/cm2以上とすることを特徴とする請求
項11、請求項12又は請求項14に記載の熱可塑性樹
脂の射出成形方法。 - 【請求項19】 皮膜原料の注入開始を、保圧期間の終了
後5秒以内に行うことを特徴とする請求項11、請求項
12又は請求項14に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方
法。
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