JP3798436B2 - 熱可塑性樹脂の射出成形方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の射出成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱可塑性樹脂から成る射出成形品の表面に各種の機能を有する皮膜を容易に形成し得る、熱可塑性樹脂の射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂から成る射出成形品の表面特性の改質を目的として、射出成形品の表面に各種皮膜を形成する場合がある。このような皮膜として、例えば、塗料皮膜、ハードコート皮膜、紫外線防止皮膜、防曇皮膜等を挙げることができる。通常、射出成形方法にて射出成形品を製造した後、別工程にて射出成形品の表面に各種の機能を有する皮膜を形成する。皮膜の形成方法としては、例えば、皮膜原料のスプレー、射出成形品の液状皮膜原料への浸漬等を挙げることができる。このような工程を経るために、表面に皮膜が形成された最終製品が得られるまでの工程が多岐に亙る。そのため、このような射出成形品においては、最終製品に至るまでの製造工程の削減、製造設備の縮小、加工・処理時間の短縮、製造コストの低減等が大きな課題である。
【0003】
SMC(シートモールディングコンパウンド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等の熱硬化性樹脂の圧縮成形や射出成形においては、成形工程中に製品の表面に皮膜を形成する方法が幾つか提案されている。例えば特公昭55−9291号公報には、上部金型と下部金型との間にSMC材料を供給し両方の金型を閉じ圧縮成形した後、両方の金型の密閉状態を維持したまま離間し、上部金型と部品との間に生じる空間中に被覆剤を射出する方法が提案されている。また特公平4−33252号公報には、上部金型と下部金型との間にSMC材料を供給し両方の金型を閉じ圧縮成形した後、金型と成形品との間に生じている圧縮圧力を大きく越える圧力で、金型と成形品との間に被覆剤を射出する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法は、SMCの圧縮成形で問題となる孔、ひけ等の成形品表面の欠陥を隠蔽するのには極めて有用な方法である。しかしながら、熱可塑性樹脂の射出成形においては、一般に、一定の型締め力を加えた状態で金型を離間させることなく一連の成形が行われること、型締め力を成形品で受けるのでなく成形用の金型で受けることなどが熱硬化性樹脂等の圧縮成形と大きく異なるため、これらの公報に開示された技術を熱可塑性樹脂の射出成形方法へ適用することは困難であった。
【0005】
即ち、これらの公報に開示されているSMCなどの熱硬化性樹脂の圧縮成形においては、成形加工過程全般に亙り、成形材料が移動金型部分によって常に圧縮力を付与されている。そのため、成形材料表面に皮膜原料を注入するためには、金型を一旦開いて移動金型部分による圧縮力を開放し、金型と成形材料との間に空間を設けたり(特公昭55−9291号公報)、あるいは又、移動金型部分の圧縮力を大きく越える圧力で皮膜原料を注入する(特公平4−33252号公報)必要がある。また、SMCの製造とプレス成形・皮膜の形成とを別の装置を用いて行わなければならないため、設備が大掛かりとなり、しかも、作業が煩雑である。
【0006】
熱可塑性樹脂の射出成形方法においては、型締めを行っている間においてもキャビティ内の樹脂が収縮し、キャビティ内の樹脂表面とキャビティ内面との間に少なからぬ空間が形成されるため、必ずしも金型を開いて型締め力を開放する必要がない。また、型締め力を大きく越える圧力で皮膜原料を注入した場合、金型係合部分から皮膜原料の漏れが生じ大変危険である等の問題が多々ある。
【0007】
従って、本発明の目的は、熱可塑性樹脂の射出成形工程内で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表面上に容易に形成することができる熱可塑性樹脂の射出成形方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法は、固定金型部分及び可動金型部分から成る金型を使用し、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂を射出した後、金型の型締め力を保持した状態で、キャビティ内に射出された溶融樹脂を冷却・固化させることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティを構成する金型表面(以下、キャビティ表面と呼ぶ場合がある)との間に空間を形成し、次いで、該空間内に皮膜原料を注入し、キャビティ内の樹脂表面に皮膜を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法においては、上述したとおり、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、キャビティ内に射出された溶融樹脂を冷却・固化させることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間に空間を形成する。この場合、冷却・固化後の樹脂の厚さ方向の収縮率が0.5乃至20%、より好ましくは10乃至20%となるように溶融樹脂を冷却・固化させることが望ましい。樹脂の厚さ方向の収縮率とは、射出成形品の主要部を構成する均一な肉厚の面領域における厚さ方向の収縮率を指し、以下の式から求めることができる。
収縮率=(t0−t)/t0 × 100 (%)
ここで、t0は、射出成形品の主要部を構成する均一な肉厚の面領域に相当するキャビティの厚さであり、tは、形成された皮膜の厚さを減じた射出成形品の主要部を構成する均一な肉厚の面領域の厚さである。
【0010】
この熱可塑性樹脂の射出成形方法においては、キャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要とされる圧力よりも低い圧力でキャビティ内の樹脂を加圧する工程を含めることができる。この場合、通常必要とされる圧力よりも低い圧力は、通常必要とされる圧力の30乃至90%、より好ましくは40乃至60%であることが望ましい。ここで、通常必要とされる圧力とは、射出成形品の表面に皮膜を形成しない通常の熱可塑性樹脂の射出成形方法において、射出成形品にひけやボイドが発生することを防止し、且つ離型作業に支障をきたさない程度に、キャビティ内に射出された樹脂に加えられる圧力を指す。
【0011】
あるいは又、キャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要とされる圧力で、しかも通常必要とされる時間よりも短い時間、キャビティ内の樹脂を加圧する工程を含めることができる。この場合、通常必要とされる時間よりも短い時間は、通常必要とされる時間の20乃至80%、より好ましくは30乃至50%であることが望ましい。ここで、通常必要とされる時間とは、それ以上の時間キャビティ内の樹脂を加圧しても射出成形品の重量が殆ど増加しない時間、あるいは、ひけやボイドの発生を抑制しつつ離型性に悪影響を及ぼさない時間を指す。
【0014】
本発明の射出成形方法に適用可能な熱可塑性樹脂としては、PS、HIPS、ABS、PP、PMMA等の汎用樹脂、PC、変性PPE、PA、PET、PBT、PPS、液晶ポリエステル樹脂等のエンジニアリングプラスチックス、又は、これらの組み合わせによるポリマーアロイ、更には、ポリマーアロイを含むこれらの材料を繊維系フィラー、鱗片状フィラー等で補強した複合材料を挙げることができる。尚、使用する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、使用する皮膜原料との相性によって制限を受ける場合がある。
【0015】
本発明の射出成形方法に適用可能な皮膜原料としては、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂エステル系、脂肪酸変性ウレタン樹脂系等の酸化重合型塗料、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、不飽和ポリエステル系等の多液反応型塗料、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、ビニル樹脂系等の加熱硬化型塗料、あるいはこれらの塗料に金属粉、特殊顔料、紫外線吸収剤等の特殊添加剤等を混合させた各種機能性塗料、フッ素樹脂系ラッカー、シリコン樹脂系ラッカー、シラン系ハードコート剤等のハードコート剤等を例示することができる。
【0016】
【作用】
本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法においては、キャビティ内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂を射出した後、キャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間に形成された空間内に皮膜原料を注入し、キャビティ内の樹脂表面に皮膜を形成する。キャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間の空間の形成は、キャビティ内に射出された溶融樹脂の冷却・固化による。従って、熱可塑性樹脂の射出成形工程内で、即ち、溶融樹脂の射出から射出成形品の金型からの離型までの工程内で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表面上に容易に形成することができる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
実施例1は、本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法に関する。即ち、図2〜図4に示すように、金型に設けられたキャビティ50内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂40を射出した後、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50を構成する金型表面(キャビティ50表面と呼ぶ)との間に形成された空間52内に皮膜原料80を注入し、キャビティ50内の樹脂40A表面に皮膜82を形成する。実施例1においては、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、キャビティ50内に射出された溶融樹脂を冷却・固化させることによって、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に空間52を形成する。即ちキャビティ50内の樹脂40Aが冷却・固化する際の樹脂の体積収縮によって、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に空間52が形成される。その後、皮膜原料80を空間52に注入する。
【0019】
実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法の実施に適した射出成形装置全体の概要を、図1に示す。射出成形装置は、熱可塑性樹脂供給用スクリュー10を内部に有する射出シリンダー12、固定プラテン20、移動プラテン24、タイバー32、金型締用油圧シリンダー30から構成されている。移動プラテン24は、金型締用油圧シリンダー30によってタイバー32上を平行移動できる。成形用の金型は固定金型部分22と移動金型部分26から構成されている。固定金型部分22は固定プラテン20に取り付けられており、移動金型部分26は移動プラテン24に取り付けられている。固定金型部分22には皮膜原料注入部28が設けられている。図1の右手方向への移動プラテン24の移動によって移動金型部分26が固定金型部分22と係合し、金型が型締めされ、キャビティが形成される。型締め力は金型締用油圧シリンダー30によって制御される。また、図1の左手方向への移動プラテン24の移動によって移動金型部分26が固定金型部分22との係合を解かれ、金型は型開きされる。
【0020】
皮膜原料注入装置は、皮膜原料供給部60、油圧シリンダー62、油圧シリンダー62に取り付けられたシャットオフピン64から構成されている。シャットオフピン64の位置によって、皮膜原料注入部28を開閉する。図1においては、シャットオフピン64によって皮膜原料注入部28は閉じられている。ポンプ70によって皮膜原料タンク72から皮膜原料80が計量シリンダー66に供給される。計量シリンダー66に供給された皮膜原料80は、計量注入ピストン68によって皮膜原料供給部60に送られ、更に、皮膜原料注入部28を通って、キャビティ内に形成された空間に注入される。
【0021】
このような皮膜原料注入システムにおいては、計量シリンダー66、計量注入ピストン68、皮膜原料供給部60等から構成されている皮膜原料の計量・注入機構と、油圧シリンダー62及びシャットオフピン64から成るシャットオフピン開閉機構とは別の機構である。しかしながら、皮膜原料注入システムはこのような機構に限定されるものではない。例えば、皮膜原料供給部に計量・注入機構を付与し、耐圧配管等の設置を省略できる構造とすることもできる。尚、以下の実施例にて説明する射出成形装置においても同様のシステムとすることができる。
【0022】
以下、図2〜図4を参照して、実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法を説明する。
【0023】
尚、以下の実施例においては、ファナック株式会社製AS100B射出成形装置を用いて、金型の型締め力を100トンfとして金型の型締めを行い、溶融樹脂の射出成形を行った。キャビティ形状は、縦約100mm×横約30mm×深さ約10mm、肉厚2mmの箱型である。尚、キャビティ形状はこのような形状に限定されず、所望に応じて任意の形状とすることができる。ゲート部14の構造は、ダイレクトゲート構造とした。
【0024】
実施例1において使用した原料は、以下のとおりである。
成形用の熱可塑性樹脂:ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:ユーピロンH3000)
形成すべき皮膜:ハードコート皮膜
皮膜原料
ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー:305重量部
ヒドロキシプロピルメタクリレート:30重量部
トリプロピレングリコールジアクリレート:165重量部
ステアリン酸亜鉛:3重量部
8%オクチル酸コバルト:7重量部
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート:10重量部
【0025】
また、射出成形条件を、以下のとおりとした。
金型温度 : 80゜C
溶融樹脂の温度: 290゜C
射出圧力 : 800kgf/cm2−G
尚、金型温度はキャビティ表面における温度であり、溶融樹脂の温度は射出シリンダー12内における溶融樹脂の温度であり、射出圧力の値は射出シリンダー12に加える圧力の値とした。以下の実施例においても同様である。
【0026】
先ず、図2に模式的に示すように、熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂40を、射出シリンダー12からゲート部14を経由してキャビティ50に射出し、キャビティ50内を溶融樹脂で充填する。尚、キャビティ50は、固定金型部分22と移動金型部分26によって形成されている。この場合、皮膜原料注入装置の油圧シリンダー62を前進させておき、シャットオフピン64の先端で皮膜原料注入部28を閉じておく。これによって、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通せず、皮膜原料80がキャビティ50内に流入することはない。
【0027】
溶融樹脂の射出完了直後から、熱可塑性樹脂供給用スクリュー10を用いて、キャビティ50内の樹脂40Aに圧力を加えた。尚、キャビティ50内の樹脂40Aに圧力を加えるこの操作を、以下、保圧操作と呼び、この圧力を保圧圧力と呼ぶ。保圧操作の条件を、以下のとおりとした。
保圧圧力 : 800kgf/cm2−G
保圧時間 : 10秒
保圧圧力の値は射出シリンダー12に加えられた圧力の値とした。尚、射出成形品にひけやボイドが発生することを防止し、しかもキャビティ50によって形成される形状の射出成形品への転写性を良くするために、保圧操作を実行する。また、この保圧操作の条件は、通常の条件である。
【0028】
保圧操作を終了した後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、キャビティ50内の樹脂40Aを30秒間、冷却・固化させた。実施例1で使用した成形用の熱可塑性樹脂の冷却・固化による体積収縮率は大きい。それ故、この樹脂の冷却・固化によって、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に十分なる大きな空間52が形成された。この状態を、図3の(A)に模式的に示す。樹脂40Aは、通常、移動金型部分側に収縮するため、固定金型部分22側のキャビティ部分と樹脂40Aとの間に空間52が形成される。
【0029】
その後、図3の(B)に模式的に示すように、皮膜原料注入装置の油圧シリンダー62を後退させることによって、シャットオフピン64の先端を後退させて、皮膜原料注入部28を開く。これによって、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通する。そして、ポンプ70を介して計量シリンダー66に送られた皮膜原料80を計量注入ピストン68を用いて皮膜原料供給部60に供給し、更に、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に形成された空間52内に皮膜原料80を注入する。皮膜原料の最大注入圧力を以下のとおりとした。尚、皮膜原料の注入圧力の値は、計量注入ピストン68における圧力の値である。
最大注入圧力 : 800kgf/cm2−G
これによって、キャビティ50内の樹脂40Aの表側の表面全面は皮膜原料80で被覆された。
【0030】
皮膜原料(ハードコート皮膜原料)80がキャビティ50内の樹脂の表側の表面全面を被覆した時点で、図4に模式的に示すように、シャットオフピン64を油圧シリンダー62によって前進させて、シャットオフピン64の先端で皮膜原料注入部28を閉じる。これによって、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通しなくなる。
【0031】
次いで、完全にあるいは離型作業に支障がない程度に皮膜原料80を固化させて、キャビティ50内の樹脂40Aの表面に皮膜82を形成する。固化の時間を60秒間とした。次いで、金型締用油圧シリンダー30を後退させて、これまで加えていた型締め力を解除して、型開き操作を行う。最後に、金型から射出成形品を離型する。
【0032】
こうして、ハードコート剤から成る皮膜82が射出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の底部で平均50μmであった。また、樹脂の厚さ方向の収縮率は約10%であった。
【0033】
(実施例2)
実施例2においても、実施例1と基本的に同様の工程で射出成形品を作製した。実施例2が実施例1と相違する点は、使用した熱可塑性樹脂及び皮膜原料、射出条件、樹脂の冷却条件、皮膜原料の注入条件等の各種条件である。即ち、実施例2においては、キャビティ50への溶融樹脂の射出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要とされる圧力で、しかも通常必要とされる時間(通常必要とされる保圧時間)よりも短い時間(短い保圧時間)、キャビティ50内の樹脂40Aを加圧する工程(保圧操作)を含む。これによって、通常必要とされる圧力で、しかも通常必要とされる時間、キャビティ内の樹脂を加圧する通常の保圧操作の場合と比較して、一層大きく均一な空間をキャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間に形成することができる。実施例2においては、保圧時間を、通常必要とされる保圧時間の約33%とした。
【0034】
実施例2において使用した原料は、以下のとおりである。
成形用の熱可塑性樹脂:ポリアミドMXD6樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:レニー1022)
形成すべき皮膜:塗料皮膜
皮膜原料
ウレタンアクリレートオリゴマー:12重量部
エポキシアクリレートオリゴマー:20重量部
スチレン:20重量部
ステアリン酸亜鉛:0.5重量部
8%オクチル酸コバルト:0.5重量部
酸化チタン:10重量部
タルク:15重量部
炭酸カルシウム:20重量部
t−ブチルパーオキシベンゾエート:2重量部
【0035】
また、射出成形条件、保圧操作条件、保圧操作後の冷却条件、皮膜形成条件、皮膜固化条件を、以下のとおりとした。
射出成形条件
金型温度 : 120゜C
溶融樹脂の温度: 270゜C
射出圧力 : 700kgf/cm2−G
保圧操作条件
保圧圧力 : 800kgf/cm2−G
保圧時間 : 3秒
(注) 通常必要とされる保圧時間は9秒程度である。
保圧操作後の冷却条件
冷却時間 : 50秒
皮膜形成条件
皮膜原料の最大注入圧力:500kgf/cm2−G
皮膜固化条件
固化時間 : 120秒
【0036】
こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の底部で平均120μmであった。また、樹脂の厚さ方向の収縮率は約13%であった。
【0037】
(実施例3)
実施例3は、実施例2の変形である。実施例3が実施例2と相違する点は、保圧操作を終了した直後に、キャビティ50内の樹脂40Aの冷却期間を設けることなく、直ちに、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に形成された空間52内に皮膜原料80を注入する点、及び、皮膜原料の最大注入圧力を700kgf/cm2−Gとした点にある。その他の条件、操作は、実施例2と同様である。
【0038】
こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形品を得られた。皮膜の厚さは、箱型の射出成形品の底部で平均60μmであった。実施例2と異なり、キャビティ50内の樹脂40Aの冷却期間を設けなかったので、樹脂40Aの体積収縮が少なく、その結果、皮膜の厚さは、実施例2と比較して約1/2であった。尚、樹脂の収縮は約9%であった。
【0039】
(実施例4)
実施例4も実施例2の変形である。実施例4においては、キャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要とされる圧力(通常必要とされる保圧圧力)よりも低い圧力(低い保圧圧力)でキャビティ50内の樹脂40Aを加圧する工程(保圧操作)を含む。これによって、通常必要とされる圧力でキャビティ内の樹脂を加圧する通常の保圧操作の場合と比較して、一層大きく均一な空間52をキャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に形成することができる。実施例4においては、保圧圧力を、通常必要とされる保圧圧力の約50%とした。
【0040】
実施例4において使用した原料である成形用の熱可塑性樹脂及び皮膜原料は、実施例2と同様とした。また、射出成形条件及び皮膜固化条件も、実施例2と同様とした。保圧操作の保圧操作の条件を、以下のとおりとした。
保圧圧力 : 400kgf/cm2−G
保圧時間 : 9秒
保圧操作において通常必要とされる保圧圧力は、800kgf/cm2−G以上である。また、この9秒間という保圧時間は、これ以上長時間保圧操作を行っても、射出成形品の重量は殆ど増加しない時間であり、この保圧時間は通常の保圧時間に相当する。
【0041】
保圧操作中に、キャビティ50内の樹脂40Aは冷却・固化される。その結果、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に空間52が形成された。キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に形成された空間52内に皮膜原料80を注入する際の皮膜原料の最大注入圧力を以下のとおりとした。
最大注入圧力 : 750kgf/cm2−G
【0042】
こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の底部で平均75μmであった。また、樹脂の厚さ方向の収縮率は約9%であった。
【0075】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法を採用することにより、熱可塑性樹脂の射出成形工程内で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表面上に形成することができ、最終製品に至る製造工程の削減、製造設備の縮小、加工・処理時間の短縮、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0076】
熱可塑性樹脂の射出成形方法として、どのような態様を採用するかに依存して、射出成形品の表側あるいは裏側のいずれか一方の表面全体、若しくは、両方の表面全体に皮膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1及び第2の態様に係る熱可塑性樹脂の射出成形方法の実施に適した射出成形装置全体の概念図である。
【図2】 実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法における溶融樹脂の射出の状態を示す、射出成形装置全体の概念図である。
【図3】 実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法における空間の形成状態及び皮膜原料の注入状態を示す、射出成形装置全体の概念図である。
【図4】 実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法における皮膜の形成完了後の状態を示す、射出成形装置全体の概念図である。
【符号の説明】
10 熱可塑性樹脂供給用スクリュー
12 射出シリンダー
14 ゲート部
20 固定プラテン
22 固定金型部分
24 移動プラテン
26 移動金型部分
28 皮膜原料注入部
30 金型締用油圧シリンダー
32 タイバー
34 可動コア
36 可動コア移動用シリンダー
40 熱可塑性樹脂
40A キャビティ内の樹脂
50 キャビティ
52 空間
60 皮膜原料供給部
62 油圧シリンダー
64 シャットオフピン
66 計量シリンダー
68 計量注入ピストン
70 ポンプ
72 皮膜原料タンク
80 皮膜原料

Claims (2)

  1. 固定金型部分及び可動金型部分から成る金型を使用し、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂を射出した後、金型の型締め力を保持した状態で、キャビティ内に射出された溶融樹脂を冷却・固化させることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティを構成する金型表面との間に空間を形成し、次いで、該空間内に皮膜原料を注入し、キャビティ内の樹脂表面に皮膜を形成することを特徴とする熱可塑性樹脂の射出成形方法。
  2. 冷却・固化後の樹脂の厚さ方向の収縮率が0.5乃至20%となるように溶融樹脂を冷却・固化させることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。
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