JP3403828B2 - 水性複合樹脂分散液およびその製造方法 - Google Patents

水性複合樹脂分散液およびその製造方法

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JP3403828B2 JP22374194A JP22374194A JP3403828B2 JP 3403828 B2 JP3403828 B2 JP 3403828B2 JP 22374194 A JP22374194 A JP 22374194A JP 22374194 A JP22374194 A JP 22374194A JP 3403828 B2 JP3403828 B2 JP 3403828B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水性複合樹脂分散液お
よびその製造方法、特に、ラジカル重合により製造され
る水性複合樹脂分散液およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水性樹脂分散液(樹脂エマルジョン)
は、一般に、ビニル化合物のような重合性不飽和単量体
を水性媒体中で乳化ラジカル重合することで作られる。
得られた水性樹脂分散液は、無公害性、良作業性、省資
源性といった利点を有しているので、塗料、インキ、接
着剤、紙加工助剤、繊維加工助剤、モルタル改質剤など
として広範囲に使用される。
【0003】乳化重合により得られた水性樹脂分散液
は、比較的小さな樹脂粒子を有しているため、一般に安
定した分散性を有する。しかし、そのような水性樹脂分
散液に含まれている樹脂粒子は、重合性不飽和単量体の
組成に由来する限られた物性しか持たない。そこで、重
合性不飽和単量体のラジカル重合体と、このラジカル重
合体とは異なる重合体とを含む水性複合樹脂分散液の製
造方法が提案されている。
【0004】特開平5−98192号公報の実施例3に
は、ラジカル重合体の有機溶剤溶液とアミノ樹脂の有機
溶剤溶液とネオゲンR(第一工業株式会社製)と水との
混合液を、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデ
ィック社製)にコンプレッサーで導入し、500kg/cm
2 の圧力で分散乳化して水性複合樹脂分散液を得る方法
が示されている。また、同公報の実施例6には、ラジカ
ル重合体の有機溶剤溶液と、アミノ樹脂およびエポキシ
樹脂の有機溶剤溶液と、水との混合液を、マイクロフル
イダイザー(マイクロフルイディック社製)にコンプレ
ッサーで導入し、2600kg/cm2 の圧力で分散乳化し
て水性複合樹脂分散液を得る方法が示されている。これ
らの製造方法では、ラジカル重合体と他の樹脂とを溶解
するために有機溶剤を用いないと、ラジカル重合体と他
の樹脂とを均一に混合することができないので、有機溶
剤を用いる必要がある。このため、得られた水性複合樹
脂分散液を用いて皮膜を形成する時には、有機溶剤が蒸
発するという問題が生じる。
【0005】特公昭57−30841号公報では、変性
剤と界面活性剤の存在下に重合性不飽和単量体を水中で
重合し、水性複合樹脂分散液を作る方法が開示されてい
る。この方法では、変性剤(エポキシ樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、重合体エステルなど)が、重合
性不飽和単量体の溶解性に匹敵する程度まで水性相に溶
解する必要がある。このため、高分子量の変性剤(たと
えば、数平均分子量5000以上の変性剤)や疎水性の
変性剤を用いた場合には、重合中に多量の凝集物が発生
したり、分散安定性が悪くなったり、優れた光沢を有す
る皮膜が得られなかったりする。
【0006】特公昭59−17123号公報には、重合
性不飽和単量体と、5000よりも大きい平均分子量を
有しかつ重合性不飽和単量体に可溶の重合体と、界面活
性剤と、水とを実験室ミルを用いて混合分散し、重合体
−重合性不飽和単量体粒子の水中分散液を生成させ、つ
いで、ラジカル重合を行い、水性複合樹脂分散液を製造
する方法が示されている。この方法では平均粒子径1μ
m以下の複合樹脂粒子を生成させるために多量の界面活
性剤を使用するので、得られた水性複合樹脂分散液は、
優れた光沢と耐水性とを有する均質な皮膜を形成するこ
とができない。界面活性剤の量を減らすと、長時間の混
合分散処理でなければ平均粒子径1μm以下の複合樹脂
粒子が生成しないので生産性が悪い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た光沢と耐水性とを有する均質な皮膜を形成することが
でき、分散安定性と成膜性とに優れた水性複合樹脂分散
液を、有機溶剤を使わずに生産性良く製造することであ
る。本発明の別の目的は、優れた光沢と耐水性とを有す
る均質な皮膜を形成することができ、分散安定性と成膜
性とに優れた水性複合樹脂分散液を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の水性複合
樹脂分散液の製造方法は、準備工程(1A)と混合工程
(1B)と分散工程(1C)と重合工程(1D)とを含む。準
備工程(1A)は、水性媒体の不存在下に、エポキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエス
テル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる
少なくとも1つを含む第1の重合体と、第1の重合性不
飽和単量体とを混合して、前記第1の重合体が前記第1
の重合性不飽和単量体に溶解および/または分散された
第1の混合物を準備する工程である。混合工程(1B)
は、第1の混合物と水性媒体とを混合して第2の混合物
を得る工程である。分散工程(1C)は、第2の混合物を
高圧ホモジナイザーで処理することで、第1の混合物か
らなる1μm以下の容積平均粒子径と50%以下の粒子
径分布の変動係数とを有する液滴を水性媒体中に分散す
る工程である。重合工程(1D)は、水性媒体中に分散さ
れた第1の混合物中の第1の重合性不飽和単量体をラジ
カル重合する工程である。
【0009】第1の製造方法の第1の態様によれば、高
圧ホモジナイザーは、第1流路と第2流路と第3流路と
第4流路とを備えていて、分散工程(1C)は、第2の混
合物を第1流路に圧入することで第2流路と第3流路と
第4流路とに順次通す処理工程を含む。第2流路は、第
1流路に続いており、第1流路よりも細い。第3流路
は、第2流路から折曲しかつ第1流路よりも細い。第4
流路は、第3流路から折曲しかつ第1流路よりも細い。
【0010】第1の製造方法の第2の態様によれば、高
圧ホモジナイザーは、第1流路と第2流路と第3流路と
第4流路とを備えていて、分散工程(1C)は、第2の混
合物を第1流路に圧入することで第2流路と第3流路と
第4流路とに順次通す処理工程を含む。第2流路は、第
1流路に続いている複数の流路であり、第1流路よりも
細い。第3流路は、各第2流路から折曲し、下流側で合
流しかつ第1流路よりも細い複数の流路である。第4流
路は、合流した第3流路から折曲しかつ第1流路よりも
細い。
【0011】本発明の第1の製造方法では、第1の態様
であるか、第2の態様であるか、第1の態様でも第2の
態様でもないかに関わらず、混合工程は、第1の混合物
と、水性媒体と、親水性基および炭素数6以上の末端ア
ルキル基を有する界面活性重合体とを混合する工程であ
ってもよい。本発明の第2の水性複合樹脂分散液の製造
方法は、準備工程(2A)と混合工程(2B)と分散工程
(2C)と重合工程(2D)とを含む。準備工程(2A)は、
水性媒体の不存在下に、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂およびシリ
コーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含
む第1の重合体と、第1の重合性不飽和単量体とを混合
して、前記第1の重合体が前記第1の重合性不飽和単量
体に溶解および/または分散された第1の混合物を準備
する工程である。混合工程(2B)は、第1の混合物と、
水性媒体と、親水性基および炭素数6以上の末端アルキ
ル基を有する界面活性重合体とを混合して第2の混合物
を得る工程である。分散工程(2C)は、第2の混合物を
分散機で処理することで、第1の混合物からなる1μm
以下の容積平均粒子径と50%以下の粒子径分布の変動
係数とを有する液滴を水性媒体中に分散する工程であ
る。重合工程(2D)は、水性媒体中に分散された第1の
混合物中の第1の重合性不飽和単量体をラジカル重合す
る工程である。
【0012】本発明の第1の製造方法において、界面活
性重合体を混合するか混合しないかに関わらず、第2の
混合物は油溶性重合開始剤をさらに含むことができる。
本発明の第2の製造方法において、第2の混合物は油溶
性重合開始剤をさらに含むことができる
【0013】本発明の水性複合樹脂分散液は、本発明の
製造方法によって製造されるものであり、1μm以下の
容積平均粒子径と50%以下の粒子径分布の変動係数と
を有する複合樹脂粒子と複合樹脂粒子が分散されている
水性媒体とを含む。複合樹脂粒子は、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹
脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なく
とも1つを含む第1の重合体と、第1の重合体と混合さ
れた第2の重合体とを含む複合樹脂から構成される。
【0014】本発明の水性複合樹脂分散液では、第2の
重合体は、好ましくは、アクリル樹脂を含む。
【0015】本発明の水性複合樹脂分散液では、第2の
重合体がどのような樹脂を含むかに関わらず、親水性基
および炭素数6以上の末端アルキル基を有する界面活性
重合体をさらに含むことが好ましい。
【0016】
【手段の説明】本発明に用いられる第1の重合体は、第
1の重合性不飽和単量体に溶解および/または分散可能
な重合体であり、たとえば、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アミド樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹
脂、セルロース系樹脂、石油系樹脂およびフェノール樹
等が挙げられるが、その設計を行いやすいという理由
で、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン
樹脂、ポリエステル樹脂およびシリコーン樹脂からなる
群から選ばれる少なくとも1つを含むことが必要であ
る。
【0017】エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポ
キシ基を有する化合物であり、たとえば、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹
脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、長鎖脂肪族系
エポキシ樹脂および複素環式エポキシ樹脂からなる群か
ら選ばれる少なくとも1つである。第1の重合体として
エポキシ樹脂を用いると、たとえば、金属に対する密着
性、耐薬品性および強靱性が複合樹脂に付与される。
【0018】ポリウレタン樹脂は、分子中にウレタン結
合を含む樹脂であり、ポリイソシアネートとポリオール
と、場合によっては鎖伸長剤との重付加反応によって得
られる。ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有する、芳香族、脂肪族および脂環族
系のイソシアネート類であり、たとえば、トリレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび
イソホロンジイソシアネートなどである。ポリオール
は、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールであ
り、たとえば、ポリエーテルポリオール、ポリエステル
ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィ
ンポリオール、アクリルポリオールなどである。鎖伸長
剤は、たとえば、N−メチルジエタノールアミン、エチ
レングリコール、エチレンジアミン、水など、イソシア
ネート基と反応しうる基および/または活性水素を2個
以上有する低分子量化合物である。第1の重合体として
ポリウレタン樹脂を用いると、たとえば、低温での伸び
が良好になるという性能、耐摩耗性、密着性が複合樹脂
に付与されるので、たとえば、建築外装材の上塗り塗料
に利用できる分散液が得られる。
【0019】ポリオレフィン樹脂は、オレフィン類の単
独重合体または共重合体、オレフィン類と他の重合性不
飽和単量体(たとえばビニル単量体)との共重合体、そ
れらの変性物などであり、たとえば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
第1の重合体としてポリオレフィン樹脂を用いると、た
とえば、ガスバリヤー性およびポリオレフィン基材への
密着性に優れた複合樹脂が得られる。
【0020】ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アル
コールとの重縮合反応により生成する樹脂であり、アル
キド樹脂、線状飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂などである。第1の重合体としてポリエステル
樹脂を用いると、たとえば、空気乾燥性および可撓性に
優れた複合樹脂が得られる。ポリアミド樹脂は、多塩基
酸と多価アミンとの重縮合やカプロラクタムの開環重合
により生成する酸アミド結合を主鎖中に有する樹脂であ
り、重合脂肪酸ダイマーとポリアミンの重縮合物、カプ
ロラクタムと66アミノ酸との共重合物などが挙げられ
る。第1の重合体としてポリアミド樹脂を用いると、た
とえば、プラスチックに対する密着性および可撓性に優
れた複合樹脂が得られる。
【0021】アミノ樹脂は、ユリア、メラミン、それら
の誘導体とホルムアルデヒドとの付加縮合反応によって
得られる樹脂であり、ユリア樹脂、メラミン樹脂、グア
ナミン樹脂、アニリン樹脂などが挙げられる。第1の重
合体としてアミノ樹脂を用いると、たとえば、熱硬化性
および耐熱性に優れた複合樹脂が得られる。シリコーン
樹脂は、シロキサン結合により主鎖結合を形成している
樹脂である。第1の重合体としてシリコーン樹脂を用い
ると、たとえば、撥水性および離型性に優れた複合樹脂
が得られる。
【0022】フッ素樹脂は、主鎖にフッ素原子が結合し
た樹脂であり、たとえば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ
化ビニリデンなどが挙げられる。第1の重合体としてフ
ッ素樹脂を用いると、たとえば、耐熱性、耐候性および
耐薬品性に優れた複合樹脂が得られる。セルロース系樹
脂は、セルロースの誘導体であり、ニトロセルロース、
セルロースアセテートなどが挙げられる。第1の重合体
としてセルロース系樹脂を用いると、たとえば、木材と
の密着性に優れた複合樹脂が得られる。
【0023】石油系樹脂は、石油精製において得られる
特定留分中の重合可能な物質を混合物のまま重合した炭
化水素樹脂である。第1の重合体として石油系樹脂を用
いると、たとえば、耐水性に優れた複合樹脂が得られ
る。フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒ
ドとの反応により得られる樹脂である。第1の重合体と
してフェノール樹脂を用いると、たとえば、熱硬化性お
よび耐久性に優れた複合樹脂が得られる。
【0024】本発明に用いられる第1の重合体は、たと
えば1000〜20万、好ましくは3000〜5万の数
平均分子量を有する。前記範囲を下回ると上記の性能を
複合樹脂に付与できないおそれがある。ただし、アミノ
樹脂やフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂は前記範囲
を下回ってもよい。また、第1の重合体は、第1の重合
性不飽和単量体に溶解または分散するものであればよ
く、水性媒体に全く溶解しないものでもよい。前記範囲
を上回る数平均分子量を有する重合体は第1の重合性不
飽和単量体に溶解および分散しないか、または、しにく
いおそれがあり分散時間が長くなることがある。
【0025】本発明に用いられる第1の重合体および第
2の重合体のうちのいずれか一方または両方は、優れた
耐候性と透明性とを有するという理由から、アクリル樹
脂を含むことが好ましい。アクリル樹脂は、後述する
(メタ)アクリル酸エステル類を含む重合性不飽和単量
体のラジカル重合により得られたものである。本発明に
用いられる第1の重合性不飽和単量体は、少なくとも1
個の重合性不飽和結合基を有する化合物であれば特に制
限はなく、たとえば、スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレン、クロルメチルスチレン等のスチレン
類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の
(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のモノアルコール
とのエステル化により合成される(メタ)アクリル酸エ
ステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、これらの
塩などの不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、これらの半エステル、これらの塩など
の不飽和ジカルボン酸類;(メタ)アクリルアミド、N
−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、これ
らの塩、これらの4級化合物等の(メタ)アクリルアミ
ド類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸とポリプロピレングリコールもしくはポリエチレ
ングリコールとのモノエステル等のヒドロキシル基含有
不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸−2−スルフォン
酸エチル、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン
酸、および、これらの塩等のスルフォン酸基含有不飽和
単量体類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリ
ジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の塩基
性不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸と多価アルコー
ル(エチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールな
ど)とのエステルなど、分子内に重合性不飽和結合基を
2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイル
プロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラ
ン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン等の有機
珪素基含有不飽和単量体類;2−イソプロペニル−2−
オキサゾリン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリ
ン基含有不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸グリシジ
ル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不
飽和単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化
ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化不飽和単量体;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピ
レンなどのハロヒドリン基含有不飽和単量体類;(メ
タ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル等のアジリジ
ニル基含有不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸−2−
イソシアナートエチルとエチルアルコールとの反応付加
物などのブロック化イソシアネート基含有不飽和単量体
類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなどのエチ
レン性不飽和基を2個有する不飽和単量体類;酢酸ビニ
ルなどの飽和カルボン酸のビニルエステル類;(メタ)
アクリロニトリル;および、アクロレインなどを挙げる
ことができ、いずれか1つを単独で使用したり、2つ以
上を混合して使用することができる。
【0026】本発明に用いられる水性媒体は、水のみ、
水と親水性有機溶媒との混合物などが挙げられるが、有
機溶媒の量がゼロであるという点で水のみが好ましい。
親水性有機溶媒は、水性複合樹脂分散液を作るときの分
散液の重合安定性、得られた水性複合樹脂分散液の形成
する皮膜の物性、分散液の製造時、取扱時または使用時
に悪影響を及ぼさない範囲で用いられる。
【0027】第1の混合物は、水性媒体の不存在下に第
1の重合体と第1の重合性不飽和単量体とを混合して、
第1の重合体を第1の重合性不飽和単量体に溶解および
/または分散することにより作られる。溶解および/ま
たは分散を行うためには、パドル翼付攪拌機、TKホモ
ミクサー(特殊機化工業(株))などの装置が使用され
る。第1の混合物は、第1の重合体をたとえば20〜8
0重量%、好ましくは20〜60重量%含む。残部は第
1の重合性不飽和単量体である。第1の重合体の量が前
記範囲を下回ると、第1の重合体の影響が小さくなるた
め水性複合樹脂分散液の乾燥皮膜に所望の物性を与えら
れないおそれがある。第1の重合体の量が前記範囲を上
回ると、第1の重合性不飽和単量体から生成する重合体
の影響が小さくなったり、第1の重合体の溶解および/
または分散に時間がかかるおそれがある。
【0028】第1の混合物は、さらに、第1の重合性不
飽和単量体に対して、重合開始剤をたとえば0.01〜
5重量%、好ましくは0.5〜3重量%含むことができ
る。前記範囲を下回ると第1の重合性不飽和単量体が重
合しないおそれがある。前記範囲を上回ると第1の重合
性不飽和単量体から生成する重合体の分子量が小さくな
り所望する物性が発現しないおそれがある。
【0029】本発明の製造方法に使用されうる重合開始
剤は、水溶性でもまたは油溶性でも良く、たとえば、過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの
水溶性重合開始剤と、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスバレロニトリル、2,2′−アゾビス−(2,4
−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス−
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−
アゾビス−(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,
4′−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)などのアゾ
化合物;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブ
チルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物類などの
油溶性重合開始剤とからなる群から選ばれる少なくとも
1つである。過酸化物などの酸化剤型の重合開始剤は必
要に応じて還元剤(亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウム
ホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第1鉄など)
と組み合わせてレドックス系開始剤として使用すること
もできる。好ましい重合開始剤は、懸濁重合が起こりや
すく、第1の混合物中の第1の重合体の比率とラジカル
重合後の各複合樹脂粒子中の第1の重合体の比率が同じ
になる、すなわち、第1の重合体の含有量比が均一な複
合樹脂粒子が得られるという理由で、上述した、アゾ化
合物および有機過酸化物類からなる群から選ばれる少な
くとも1つの油溶性重合開始剤である。
【0030】第1の混合物は、重合開始剤を含むか含ま
ないかに関わらず、第1の重合体と第1の重合性不飽和
単量体との合計量に対して、さらに、ワックス、可塑
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤などの他の添加
剤を合計でたとえば0.01〜10重量%、好ましくは
0.01〜5重量%含むことができる。前記範囲を下回
ると添加剤の添加効果が得られないおそれがある。前記
範囲を上回ると皮膜物性(光沢、耐水性など)が低下す
るおそれがある。
【0031】第1の混合物と水性媒体とを混合して第2
の混合物が得られる。混合を行うためには、パドル翼付
攪拌機、TKホモミクサー(特殊機化工業(株))など
の装置が使用される。第2の混合物は、第1の混合物を
たとえば10〜70重量%、好ましくは20〜60重量
%含む。残部は水性媒体である。前記範囲を下回ると第
1の混合物中の第1の重合性不飽和単量体を重合して得
られる複合樹脂の濃度が低くなり固形分あたりのコスト
が上昇し生産性に劣るおそれがある。前記範囲を上回る
と第1の混合物が水性媒体中に分散されず逆相(ウォー
ター・イン・オイル)になるおそれがある。
【0032】本発明では、混合工程および分散工程は、
たとえば、室温から100℃までの温度で行われる。た
だし、50℃以上の温度で混合または分散を行う場合、
単量体の重合を防ぐために、第1の混合物が重合禁止剤
を含んでいることが好ましい。重合禁止剤としては、た
とえば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−
ブチルカテコール、ベンゾキノンなどからなる群から選
ばれる少なくとも1つが、第1の重合性不飽和単量体に
対して、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.0
1〜0.05重量%の量で使用される。
【0033】第2の混合物を分散機で処理することで、
第1の混合物からなる液滴が水性媒体中に分散される。
本発明の製造方法において、第1の混合物からなり水性
媒体中に分散された液滴は、たとえば1.0μm以下の
容積平均粒子径と50%以下の粒子径分布の変動係数と
を有し、好ましくは0.4μm以下の容積平均粒子径と
30%以下の粒子径分布の変動係数とを有し、より好ま
しくは0.3μm以下の容積平均粒子径と20%以下の
粒子径分布の変動係数とを有する。容積平均粒子径が前
記範囲を上回ると分散安定性が劣ったり第1の重合体の
含有量比が均一な複合樹脂粒子が得られなかったりする
おそれがある。粒子径分布の変動係数が前記範囲を上回
ると表面平滑性が劣るおそれがある。
【0034】本発明において容積平均粒子径と粒子径分
布の変動係数とは、レーザー回折式粒度分布測定装置に
よる測定値である。変動係数とは容積平均粒子径を粒子
径分布の標準偏差で割った商を百分率で表示した数値で
ある。この数値が小さいほど、粒子径分布の広がりが狭
いことを示す。本発明の第1の製造方法では、第2の混
合物を高圧ホモジナイザーで処理することで、第1の混
合物からなる液滴が水性媒体中に分散される。高圧ホモ
ジナイザーでの処理条件は、第1の混合物からなる液滴
が上記範囲内の容積平均粒子径と粒子径分布の変動係数
とを有するように、設定される。
【0035】本発明の第2の製造方法では、界面活性重
合体を含む第2の混合物を分散機で処理することで、第
1の混合物からなる液滴が水性媒体中に分散される。分
散機での処理条件は、第1の混合物からなる液滴が上記
範囲内の容積平均粒子径と粒子径分布の変動係数とを有
するように、設定される。本発明の製造方法では、上記
好ましい第1の重合体を含む第2の混合物を分散機で処
理することで、第1の混合物からなる液滴が水性媒体中
に分散されてもよい。分散機での処理条件は、第1の混
合物からなる液滴が上記範囲内の容積平均粒子径と粒子
径分布の変動係数とを有するように、設定される。
【0036】本発明の製造方法では、上記好ましい第1
の重合体と油溶性重合開始剤とを含む第2の混合物を分
散機で処理することで、第1の混合物からなる液滴が水
性媒体中に分散されてもよい。分散機での処理条件は、
第1の混合物からなる液滴が上記範囲内の容積平均粒子
径と粒子径分布の変動係数とを有するように、設定され
る。
【0037】分散機としては、第2の混合物に高エネル
ギーを加え第1の混合物を液滴(たとえば1μm以下の
容積平均粒子径と50%以下の粒子径分布の変動係数と
を有する液滴、好ましくは0.4μm以下の容積平均粒
子径と30%以下の粒子径分布の変動係数とを有する液
滴、より好ましくは0.3μm以下の容積平均粒子径と
20%以下の粒子径分布の変動係数とを有する液滴)の
状態で水性媒体中に分散することができる装置が使用さ
れる。ここで高エネルギーとは、第1の混合物を剪断
力、衝突力、キャビテーション、乱流、超音波により引
きちぎり、液滴の状態になるまで細かくするに足るエネ
ルギーである。高エネルギーを与えられる分散機として
は、たとえば、ホモジナイザー・ポリトロン((株)セ
ントラル科学貿易)、ホモジナイザー・ヒストロン
((株)日音医理科器機製作所)、ターボ型攪拌機
((株)小平製作所)、バイオミキサー((株)日本精
機製作所)、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼(株))、
エバラマイルダー(荏原製作所(株))、TKホモミク
サー、TKラボディスパー、TKパイプラインミクサ
ー、TKホモミックラインミル、TKホモジェッター、
TKユニミキサー、TKホモミックラインフロー、TK
アヂホモディスパー(以上、特殊機化工業(株))、ク
レアミックス(エム・テクニック(株))、ケイディミ
ル(キネティック・ディスパージョン社)等の高速剪断
混合機;高圧ホモゲナイザー((株)イズミフードマシ
ナリ)、高圧ホモジナイザー(Rannie製)、マイクロフ
ルイダイザー(Microfluidics 製)、ナノマイザー(ナ
ノマイザー(株))等の高圧ホモジナイザー;超音波ホ
モジナイザー((株)日本精機製作所)等の超音波ホモ
ジナイザー;スタティックミキサー((株)ノリタケカ
ンパニーリミテッド)、スルーザーミキサー(住友重機
械工業(株))、静止型管内混合器(東レ(株))、ス
ケアミキサー((株)桜製作所)、バイブロミキサー
(冷化工業(株))、TK−ROSS LPDミキサー
(特殊機化工業(株))等の管内混合器が挙げられる。
好ましい分散機は、効率良く短時間で上記液滴の状態を
作りうるという理由により、高圧ホモジナイザーであ
る。本発明の第1の製造方法では、分散工程において高
圧ホモジナイザーを使用することが必須である。本発明
の第2の製造方法では、分散工程において使用する分散
機は特に限定されない。
【0038】本発明の製造方法において高圧ホモジナイ
ザーを用いるときには、第1流路への第2の混合物の圧
入は、第2流路以降の流路において、たとえば100〜
5000kgf/cm2 、好ましくは300〜2000k
gf/cm2 の圧力が達成されるように行われる。第2流
路以降の流路における圧力が前記範囲を下回ると短時間
で、1μm以下の容積平均粒子径と50%以下の粒子径
分布の変動係数とを有する液滴、好ましくは0.4μm
以下の容積平均粒子径と30%以下の粒子径分布の変動
係数とを有する液滴、より好ましくは0.3μm以下の
容積平均粒子径と20%以下の粒子径分布の変動係数と
を有する液滴を得られないおそれがある。第2流路以降
の流路における圧力が前記範囲を上回ると分散工程を実
施する装置の部品が消耗しやすい。第2の混合物(被処
理物)は、分散工程を実施する装置で1回処理される
か、または、2〜5回繰り返し処理されることにより、
1μm以下の容積平均粒子径と50%以下の粒子径分布
の変動係数とを有する液滴、好ましくは0.4μm以下
の容積平均粒子径と30%以下の粒子径分布の変動係数
とを有する液滴、より好ましくは0.3μm以下の容積
平均粒子径と20%以下の粒子径分布の変動係数とを有
する液滴が得られる。処理回数が5回を超えると分散工
程を実施するのに時間がかかるおそれがある。
【0039】高圧ホモジナイザーの分散部の一例を示す
図1において、この高圧ホモジナイザーは、第1流路1
と第2流路2と第3流路3と第4流路4とを備えてい
る。第2流路2は、第1流路1の末端から同一方向に続
いており、第1流路1よりも細い。第3流路3は、第2
流路2の末端から直角に折れ曲がっており、第1流路1
よりも細い。第4流路4は、第3流路3の末端から直角
に折れ曲がって第2流路2と平行に延びており、第1流
路1よりも細い。第4流路4の末端は、第1流路1と同
心・同径の導出路6に連通している。
【0040】第2の混合物は、第1流路1に圧入される
ことで第2流路2に入って加圧され、第2流路2の末端
の壁に衝突して第3流路3に入る。第3流路3に入った
第2の混合物は、第3流路3の末端で壁に衝突し、第4
流路4に入り、導出路6を通って外部に取り出される。
なお、第1流路1、第2流路2、第3流路3、第4流路
4の断面積は上記範囲の圧力が達成されるように適宜設
定される。
【0041】高圧ホモジナイザーの分散部の別の例を示
す図2において、この高圧ホモジナイザーは、第1流路
11と第2流路12と第3流路13と第4流路14とを
備えている。第2流路12は、第1流路11の末端から
同一方向に延びる複数の流路であり、第1流路11より
も細い。第3流路13は、各第2流路12の末端から互
いに向き合う方向に直角に曲がって合流する複数の流路
であり、第1流路11よりも細い。第4流路14は、合
流した第3流路13の末端から直角方向に折れ曲がって
第2流路12と平行に延びており、第1流路11よりも
細い。第4流路14の末端は、第1流路11と同心・同
径の導出路16に連通している。
【0042】第2の混合物は、第1流路11に圧入され
ることで第2流路12に入って加圧され、第2流路12
の壁に衝突して第3流路13に入る。第3流路13に入
った第2の混合物は、第3流路13を通り、その末端で
合流することで互いに衝突する。衝突した第2の混合物
は、合流した第3流路13の末端から折れ曲がって第4
流路14に入り、導出路16を通って外部に取り出され
る。なお、第1流路11、第2流路12、第3流路1
3、第4流路14の断面積は上記範囲の圧力が達成され
るように適宜設定される。
【0043】高圧モホジナイザーの分散部のさらに別の
例を示す図3において、この高圧ホモジナイザーは、第
1流路21と第2流路22と第3流路23と第4流路2
4と第5流路25とを備えている。第2流路22は、第
1流路21の末端から同一方向に延びる複数の流路であ
り、第1流路21よりも細い。第3流路23は、複数の
第2流路22の末端から直角に折れ曲がって互いに合流
する複数の流路であり、第1流路21よりも細い。第4
流路24は、合流した第3流路23の末端から第1流路
21の半径方向で第3流路23に対して直交する方向に
折れ曲がっている複数の流路であり、第1流路21より
も細い。第5流路25は、各第4流路24の末端から直
角に折れ曲がって第2流路22と平行に延びている複数
の流路であり、第1流路21よりも細い。第5流路25
の末端は、第1流路21と同心・同径の導出路26に連
通している。なお、図3において、図(B)は図(A)
のα−α断面図である。
【0044】第2の混合物は、第1流路21に圧入され
ることで第2流路22に入って加圧され、第2流路22
の末端で壁に衝突して第3流路23に入る。第3流路2
3に入った第2の混合物は、第3流路23を通ってその
末端で合流することで互いに衝突する。衝突した第2の
混合物は、合流した第3流路23の末端から折れ曲がっ
て第4流路24に入る。第4流路24に入った第2の混
合物は、第4流路24を通って壁に衝突して第5流路2
5に入り、導出路26を通って外部に取り出される。な
お、第1流路21、第2流路22、第3流路23、第4
流路24、第5流路25の断面積は上記範囲の圧力が達
成されるように適宜設定される。
【0045】図1〜3にそれぞれ示す高圧ホモジナイザ
ーの分散部では、第2の混合物が流路の壁に衝突したり
互いに衝突したり排出されたりすることにより、第2の
混合物に関してキャビテーション、乱流、剪断力、衝撃
力などの少なくとも1つが生じ、第1の混合物の液滴が
分散・破砕されて微細化する。これにより、上記範囲内
の容積平均粒子径と粒子径分布の変動係数とを持つ第1
の混合物の液滴が、水性媒体中に分散する。
【0046】図1〜3に示される分散部を持つ高圧ホモ
ジナイザーの市販品としては、高圧ホモゲナイザー
((株)イズミフードマシナリ)、高圧ホモジナイザー
(Rannie製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidic
s 製)、ナノマイザー(ナノマイザー(株))が挙げら
れる。なお、混合工程で得られた第2の混合物(分散し
ている液滴の容積平均粒子径は1μmよりも大きい)を
高圧ホモジナイザーで処理せずにラジカル重合を行うこ
とにより得られた水性樹脂分散液を高圧ホモジナイザー
で処理しても、樹脂粒子の粒子径を小さくすることはで
きない。このため、本発明では、ラジカル重合を行う前
に高圧ホモジナイザーで第2の混合物を処理して液滴の
粒子径を微細化するのである。本発明では、公知のアニ
オン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤お
よび保護コロイドを分散安定剤として全く使わずに、あ
るいは、従来に比べて少ない量で使用して、第1の混合
物または複合樹脂粒子を水性媒体に分散することができ
る。アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼン
スルホン酸ソーダ、ラウリル硫酸ソーダ、ナトリウムジ
オクチルスルホサクシネート、アルキルフェニルポリオ
キシエチレンサルフェートソーダ塩またはアンモニウム
塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げ
られる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレンブロック共重合体などが挙げられる。両性界面
活性剤としては、ラウリルベタインなどが挙げられる。
保護コロイドとしては、ポリビニルアルコール、ヒドロ
キシエチルセルロースなどが挙げられる。これらの分散
安定剤は単独で使用しても2種以上併用してもよい。こ
れらの界面活性剤のうち、アニオン性、カチオン性、両
性界面活性剤のようなイオン性界面活性剤を用いると、
粒子径の細かい分散安定性の良い水性樹脂分散液が得ら
れるので好ましい。より好ましい分散安定剤は、親水性
基および炭素数6以上の末端アルキル基を有する界面活
性重合体である。本発明の第1の製造方法では、混合工
程において分散安定剤を使用しても良いし使用しなくて
も良い。また使用する場 合にも分散安定剤の種類は特に
限定されない。本発明の第2の製造方法では、混合工程
において分散安定剤として上記界面活性重合体を使用す
ることが必須である。
【0047】本発明で使用される分散安定剤の量は、第
1の混合物100重量部に対して、たとえば0〜5重量
部、好ましくは1〜3重量部であり、従来よりも少な
い。分散安定剤の量が前記範囲を下回ると長期の分散安
定性が低下するおそれがあり、上回ると、得られた分散
液から形成される乾燥皮膜の耐水性が低下するおそれが
ある。
【0048】本発明に用いられる界面活性重合体は、た
とえば、重合性不飽和結合基を有する水溶性単量体を含
む第2の重合性不飽和単量体を炭素数6以上のアルキル
メルカプタンの存在下に重合して得られたものであり、
親水性基と炭素数6以上の末端アルキル基とを有してお
り、水溶性または水分散性を有する。界面活性重合体
は、たとえば200〜800、好ましくは500〜70
0の酸価を有する。界面活性重合体の酸価が前記範囲を
外れると、第1の混合物の液滴または複合樹脂粒子の分
散安定性が悪くなることがある。界面活性重合体は、た
とえば300〜7000、好ましくは400〜4000
の数平均分子量を有する。界面活性重合体の数平均分子
量が前記範囲を外れると、第1の混合物の液滴または複
合樹脂粒子の分散安定性が悪くなったり、あるいは、耐
水性や外観に優れた樹脂皮膜が得られなかったりする。
【0049】第2の重合性不飽和単量体は、たとえば、
第1の重合性不飽和単量体として使用されうる化合物か
らなる群から選ばれる少なくとも1つである。ただし、
第2の重合性不飽和単量体は、水溶性単量体を、たとえ
ば30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%
含む。残部は、水溶性単量体以外の重合性不飽和単量体
である。水溶性単量体の量が前記範囲を下回るとラジカ
ル重合体が分散剤として働かなくなるおそれがある。
【0050】水溶性単量体は、界面活性重合体に、カル
ボキシル基、アミド基、スルフォン酸基などの親水性基
を導入して界面活性重合体に親水性を付与するために使
用され、たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
これらの塩などの不飽和モノカルボン酸類;マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、これらの半エステル、これ
らの塩などの不飽和ジカルボン酸類;(メタ)アクリル
アミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−
モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、これらの塩、これらの4級化合物等の(メタ)アク
リルアミド類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸とポリプロピレングリコールもしくはポ
リエチレングリコールとのモノエステル等のヒドロキシ
ル基含有不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸−2−ス
ルフォン酸エチル、ビニルスルフォン酸、スチレンスル
フォン酸、および、これらの塩等のスルフォン酸基含有
不飽和単量体類からなる群から選ばれる少なくとも1つ
である。好ましい水溶性単量体は、分散安定性に優れる
という理由で、不飽和モノカルボン酸類、不飽和ジカル
ボン酸類およびスルフォン酸基含有不飽和単量体類から
なる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0051】アルキルメルカプタンは、界面活性重合体
の末端に炭素数6以上のアルキル基を導入して界面活性
能を付与するために使用される。界面活性重合体を作る
のに用いられるアルキルメルカプタンは、炭素数6以上
のアルキル基を有するメルカプタンであれば特に限定さ
れないが、たとえば、n−ヘキシルメルカプタン、n−
オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t
−ドデシルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステア
リルメルカプタンからなる群から選ばれる少なくとも1
つである。好ましいアルキルメルカプタンは、界面活性
能に優れるという理由で、n−ドデシルメルカプタン、
ステアリルメルカプタンからなる群から選ばれる少なく
とも1つである。使用されるアルキルメルカプタンの量
は、第2の重合性不飽和単量体100重量部に対して、
たとえば2〜300重量部、好ましくは2〜100重量
部である。前記範囲を下回っても上回っても界面活性能
が低下するおそれがある。
【0052】界面活性重合体は、その性状により、塊状
重合、溶液重合、懸濁重合のいずれの方法でも製造する
ことができる。重合温度と重合時間は、たとえば、50
〜150℃、1〜8時間である。溶液重合の溶剤として
は、第2の重合性不飽和単量体とアルキルメルカプタン
とが溶解し、ラジカル重合を阻害しないものであるなら
ば何でも使用することができる。界面活性重合体を得る
ための第2の重合性不飽和単量体の重合に用いる重合開
始剤は、周知の油溶性または水溶性の重合開始剤(たと
えば、上述の、第1の重合性不飽和単量体の重合に用い
る重合開始剤である)が使用できる。界面活性重合体を
作るために使用される重合開始剤の量は、末端アルキル
基を有する界面活性重合体を効率良く製造するために、
アルキルメルカプタン1モルに対して、たとえば1モル
以下、好ましくは0.1モル以下の割合である。
【0053】界面活性重合体は、それ自身十分な界面活
性能を有するが、分散液の重合時の安定性および貯蔵安
定性をより良くするために、界面活性重合体の親水性基
の一部もしくは全部を中和した塩の形で使用されるのが
好ましい。界面活性重合体の中和に用いる中和剤として
は、親水性基が酸基である場合には、酸の中和に通常用
いられるもの、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなどのアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、
炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属化合物;アンモ
ニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチル
アミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチ
ルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミンなどの水溶性有機アミン類からなる群から選ばれ
る少なくとも1つが使用される。より耐水性の向上した
皮膜を形成するためには、アンモニア、モノエチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどの低沸点ア
ミン類を使用することが好ましい。これは、低沸点アミ
ン類が常温あるいは加熱で容易に飛散するからである。
【0054】本発明において、界面活性重合体を用いる
場合には、第1の重合性不飽和単量体が、界面活性重合
体の有する親水性基と反応しうる基を有する単量体を含
むことが好ましい。第1の重合性不飽和単量体が重合し
て生成する重合体と界面活性重合体とが反応して共有結
合を形成して一体化するため、耐水性が一層優れた皮膜
を形成しうる。親水性基と反応しうる基を有する単量体
としては、前記の不飽和カルボン酸、ヒドロキシル基含
有不飽和単量体、スルフォン酸基含有ビニル化合物、有
機珪素基含有不飽和単量体、オキサゾリン基含有不飽和
単量体、エポキシ基含有不飽和単量体、ハロヒドリン基
含有不飽和単量体、アジリジニル基含有不飽和単量体、
および、ブロック化イソシアネート基含有不飽和単量体
などを、第1の重合性不飽和単量体中、たとえば0.1
〜50重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の量
で用いることができる。
【0055】本発明の水性複合樹脂分散液の製造方法に
おいて、重合工程(1D)および(2D)は、たとえば0〜
100℃、好ましくは50〜80℃の温度で、たとえば
1〜15時間重合を行う。重合に使用する装置は、従来
公知のものを適用することができる。本発明では円滑な
重合の促進のためにラジカル重合開始剤を用いる。ラジ
カル重合開始剤は従来公知のものであれば何でも使用で
きる。ラジカル重合開始剤は、予め第1の混合物に溶解
しても良く、または、第1の混合物とは別に重合系に加
えても良い。
【0056】重合により得られた反応混合物を水性複合
樹脂分散液としたり、あるいは、重合後、必要に応じて
中和、増粘などの工程を行って水性複合樹脂分散液を得
る。本発明の製造方法では、第1の混合物からなる液滴
粒子と複合樹脂粒子との容積平均粒子径および変動係数
は実質的に等しい。これは、各複合樹脂粒子中の第1の
重合体の含有量比が等しいことを意味しており、水性複
合樹脂分散液の水を揮散させると、第1の重合体と第2
の重合体とが均一に混合された均質な皮膜が得られる。
【0057】本発明の水性複合樹脂分散液は、容積平均
粒子径1μm以下で粒子径分布の変動係数50%以下、
好ましくは容積平均粒子径0.4μm以下で粒子径分布
の変動係数30%以下、より好ましくは容積平均粒子径
0.3μm以下で粒子径分布の変動係数20%以下の複
合樹脂粒子と複合樹脂粒子が分散されている水性媒体と
を含む。複合樹脂粒子の容積平均粒子径または粒子径分
布の変動係数が前記範囲を超えると、分散液は分散安定
性が悪く、外観に劣る皮膜を形成するという問題があ
る。複合樹脂粒子は、第1の重合体と、第1の重合体と
混合した第2の重合体とを含む複合樹脂から構成され
る。第1の重合体は、上述したとおり、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル
樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少な
くとも1つを含むものである。第2の重合体は、上記第
1の重合性不飽和単量体のラジカル重合体である。
【0058】本発明の水性複合樹脂分散液では、複合樹
脂は、第1の重合体を、好ましくは20〜80重量%、
より好ましくは20〜60重量%含む。前記範囲を下回
ると乾燥皮膜に第1の重合体に由来する所望の物性を与
えられないおそれがある。前記範囲を上回ると乾燥皮膜
に第2の重合体に由来する所望の物性を与えられないお
それがある。
【0059】本発明の水性複合樹脂分散液では、複合樹
脂粒子の量が、分散液全体に対して、好ましくは10〜
70重量%、より好ましくは30〜60重量%である。
前記範囲を下回ると所望の膜厚の乾燥皮膜が得られない
おそれがある。前記範囲を上回ると分散安定性が悪いお
それがある。本発明の水性複合樹脂分散液では、複合樹
脂は、たとえば、第1の重合体と第2の重合体との混合
物である。ここで、第1の重合体と第2の重合体との混
合物とは、第2の重合体が第1の重合体にグラフトした
ものであってもよいし、第1の重合体と第2の重合体と
が相互混入網目構造を形成したものでもよい。
【0060】本発明の水性複合樹脂分散液は、上記界面
活性重合体1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%
をさらに含むことができる。前記範囲を下回ると長期の
分散安定性が低下するおそれがある。前記範囲を上回る
と乾燥皮膜の耐水性が低下するおそれがある。本発明の
水性複合樹脂分散液は、上述した本発明の、第1または
第2の製造方法により作られ
【0061】本発明の製造方法により得られた水性複合
樹脂分散液、および、本発明の水性複合樹脂分散液は、
優れた貯蔵安定性と成膜性とを有し、水を飛散させて形
成した皮膜は、優れた光沢と耐水性とを有していて均一
である。このため、それらの分散液は、たとえば、イン
キ、塗料、接着剤、繊維処理剤、皮革処理剤、木材処理
剤などの主剤または添加剤として用いることができる。
それらの分散液から乾燥皮膜を形成するためには、たと
えば、分散液を合成皮革、木製床板などの被塗物にスプ
レー、ロール、刷毛、フローコーターなどの塗装装置や
塗装器具によって塗布し、常温あるいは熱風乾燥などに
より乾燥する。
【0062】
【実施例】以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を
外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定さ
れない。なお、「部」は「重量部」、「%」は「重量
%」である。 (参考例1)滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計
および冷却器を備えたフラスコに、イソプロピルアルコ
ール180部を仕込み、攪拌下ゆるやかに窒素ガスを吹
き込みながら81℃に加熱した。次に、予め用意してお
いた、アクリル酸174部、n−ドデシルメルカプタン
36部および2,2′−アゾビスイソブチロニトリル
0.42部からなる重合性単量体混合物を滴下ロートか
ら1時間かけて滴下し81℃で重合した。滴下終了後、
還流状態で1時間熟成を行い、固形分53.9%の重合
体の溶液を得た。該重合体は、一般式:
【0063】
【化1】
【0064】で代表される構造を有し、酸価645、数
平均分子量1200の白色固形物であった。この重合体
を界面活性重合体(1)と称する。 (参考例2)参考例1と同様のフラスコに、イソプロピ
ルアルコール180部を仕込み、攪拌下ゆるやかに窒素
ガスを吹き込みながら81℃に加熱した。次に、予め用
意しておいた、アクリル酸86部、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル139部、n−ドデシルメルカプタン36
部、イソプロピルアルコール30部および2,2′−ア
ゾビスイソブチロニトリル0.30部からなる重合性単
量体混合物を滴下ロートから1時間かけて滴下し81℃
で重合した。滴下終了後、還流状態で1時間熟成を行
い、固形分55.4%の重合体の溶液を得た。該重合体
は、一般式:
【0065】
【化2】
【0066】で代表される構造を有し、酸価256、数
平均分子量1500の白色粘稠物であった。この重合体
を界面活性重合体(2)と称する。 (参考例3)参考例1と同様のフラスコに、メタクリル
酸メチル272.7部、アクリル酸ブチル177.3
部、ポリブチレンアジペート(分子量600)347
部、ジブチル錫ジラウリレート0.1部およびベンゾキ
ノン0.03部を仕込み、攪拌下ゆるやかに空気を吹き
込みながら60℃に加熱した。次にイソホロンジイソシ
アネート147部を滴下ロートから2時間かけて滴下し
60℃で重合した。滴下終了後、同じ温度で1時間熟成
を行った。続いてエチレンジアミン10部およびジブチ
ル錫ジラウレート0.1部を添加し、80℃で3時間反
応させ、固形分52.4%のポリウレタン溶液(1)を
得た。該ポリウレタンの数平均分子量は7500であっ
た。
【0067】(実施例1)メタクリル酸メチル30部、
アクリル酸ブチル19.5部、アクリル酸0.5部、油
化シェルエポキシ(株)製エピコート1007(ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量1950、数
平均分子量2900)50部、ベンゾキノン0.01部
および2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5部
をパドル翼付き攪拌機で均一になるまで攪拌した後、界
面活性重合体(1)の中和物溶液(参考例1で得られた
重合体の溶液5.6部に25%アンモニア水0.3部を
加えて中和したもの)6.9部、および、水55部を加
え、高速剪断混合機(特殊機化工業(株)製TKホモミ
クサー)を用いて10000rpm で10分間攪拌した。
続いて、高圧ホモジナイザー((株)イズミフードマシ
ナリ製高圧ホモゲナイザーHV−0H−07型)を用い
て600kg/cm2 の圧力で5回処理し、容積平均粒子径
0.17μmで粒子径分布の変動係数30%の微粒子群
が分散した微分散液を得た。高圧ホモジナイザーで処理
する際、被処理物の温度は50℃以下になるように随時
被処理物を冷却した。引き続いて、参考例1と同様のフ
ラスコに、水100部を仕込み、攪拌下ゆるやかに窒素
ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。次に、微分散
液を滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下中は温
度を75〜80℃に保持した。滴下終了後、同じ温度で
1時間熟成を行い、固形分40.0%、容積平均粒子径
0.18μm、粒子径分布の変動係数32%の水性複合
樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を分析した
結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂分散液の水
を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮膜が得ら
れた。
【0068】(実施例2)実施例1において、高圧ホモ
ゲナイザーを用いて600kg/cm2 の圧力で5回処理す
る代わりにマイクロフルイディクス(Microfluidics )
社製マイクロフルイダイザー(HC−5000型)を用
いて350kg/cm2 の圧力で3回処理し、容積平均粒子
径0.25μmで粒子径分布の変動係数30%の微粒子
群が分散した微分散液を得たこと以外は実施例1と同様
の操作を繰り返して、固形分40.0%、容積平均粒子
径0.25μm、粒子径分布の変動係数30%の水性複
合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を分析し
た結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂分散液の
水を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮膜が得
られた。
【0069】(実施例3)実施例2において、マイクロ
フルイディクス(Microfluidics )社製マイクロフルイ
ダイザー(HC−5000型)を用いて350kg/cm2
の圧力で3回処理する代わりに5回処理し、容積平均粒
子径0.20μmで粒子径分布の変動係数19%の微粒
子群が分散した微分散液を得たこと以外は実施例2と同
様の操作を繰り返して、固形分40.0%、容積平均粒
子径0.21μm、粒子径分布の変動係数20%の水性
複合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を分析
した結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂分散液
の水を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮膜が
得られた。
【0070】(実施例4)実施例1において、エピコー
ト1007の量を70部に変えたこと、単量体混合物の
成分を表1に示すものに変えたこと、高圧ホモゲナイザ
ーを用いて600kg/cm2 の圧力で5回処理する代わり
にマイクロフルイディクス(Microfluidics )社製マイ
クロフルイダイザー(M−110−EH型)を用いて1
000kg/cm2 の圧力で2回処理し、容積平均粒子径
0.33μmで粒子径分布の変動係数35%の微粒子群
が分散した微分散液を得たこと以外は実施例1と同様の
操作を繰り返して、固形分39.8%、容積平均粒子径
0.31μm、粒子径分布の変動係数40%の水性複合
樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を分析した
結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂分散液の水
を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮膜が得ら
れた。
【0071】(実施例5)実施例1において、エピコー
ト1007の代わりに東洋紡績(株)製ポリエステル樹
脂バイロン200(数平均分子量18000)を用いた
こと、高圧ホモゲナイザーを用いて600kg/cm2 の圧
力で5回処理する代わりにマイクロフルイディクス(Mi
crofluidics )社製マイクロフルイダイザー(M−11
0−EH型)を用いて1000kg/cm2 の圧力で2回処
理し、容積平均粒子径0.19μmで粒子径分布の変動
係数29%の微粒子群が分散した微分散液を得たこと以
外は実施例1と同様の操作を繰り返して、固形分40.
1%、容積平均粒子径0.19μm、粒子径分布の変動
係数30%の水性複合樹脂分散液を得た。この水性複合
樹脂分散液を分析した結果を表4に示した。得られた水
性複合樹脂分散液の水を飛散させると、耐水性および外
観に優れた皮膜が得られた。
【0072】(実施例6)実施例5において、2,2′
−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を用いなかった
こと、参考例1と同様のフラスコに水100部とともに
過硫酸カリウム0.5部を仕込んだこと以外は実施例5
と同様の操作を繰り返して、固形分40.2%、容積平
均粒子径0.17μm、粒子径分布の変動係数35%の
水性複合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を
分析した結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂分
散液の水を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮
膜が得られた。
【0073】(実施例7)実施例5において、マイクロ
フルイディクス(Microfluidics )社製マイクロフルイ
ダイザー(M−110−EH型)を用いて1000kg/
cm2 の圧力で2回処理する代わりに(株)日本精機製作
所製高速剪断混合機(商品名バイオミキサーBM−4
型)を用いて10000rpm で10分間処理し、容積平
均粒子径0.33μmで粒子径分布の変動係数35%の
微粒子群が分散した微分散液を得たこと以外は実施例5
と同様の操作を繰り返して、固形分40.0%、容積平
均粒子径0.31μm、粒子径分布の変動係数38%の
水性複合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を
分析した結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂分
散液の水を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮
膜が得られた。
【0074】(実施例8)実施例7において、バイロン
200の代わりに三井サンアミッド(株)製メラミン樹
脂(商品名サイメル1156、数平均分子量2000)
を用いたこと、容積平均粒子径0.25μmで粒子径分
布の変動係数34%の微粒子群が分散した微分散液を得
たこと以外は実施例7と同様の操作を繰り返して、固形
分40.1%、容積平均粒子径0.28μm、粒子径分
布の変動係数36%の水性複合樹脂分散液を得た。この
水性複合樹脂分散液を分析した結果を表4に示した。得
られた水性複合樹脂分散液の水を飛散させると、耐水性
および外観に優れた皮膜が得られた。
【0075】(実施例9)メタクリル酸メチル42部、
アクリル酸ブチル27.3部、アクリル酸0.7部、山
陽国策パルプ(株)製スーパークロン106L(塩素化
ポリオレフィン樹脂、数平均分子量10,000)30
部、ベンゾキノン0.01部、および、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル0.7部をパドル翼付き攪拌機
で均一になるまで攪拌したのち、界面活性重合体(2)
の中和物溶液(参考例2で得られた重合体の溶液5.4
部に25%アンモニア水0.7部を加えて中和したも
の)6.1部、および、水55部を加え、特殊機化工業
(株)製高速剪断混合機(商品名TKホモミキサー)を
用いて10000rpm で10分間の攪拌により混合し
た。続いて、(株)イズミフードマシナリ製高圧ホモジ
ナイザー(商品名高圧ホモゲナイザーHV−0H−07
型)を用いて600kg/cm2 の圧力で5回処理し、容積
平均粒子径0.45μmで粒子径分布の変動係数36%
の微粒子群が分散した微分散液を得た。高圧ホモジナイ
ザーで処理する際、被処理物の温度は50℃以下になる
ように随時被処理物を冷却した。引き続いて、参考例1
と同様のフラスコに、水100部を仕込み、攪拌下ゆる
やかに窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。次
に、微分散液を滴下ロートから2時間かけて滴下した。
滴下中は温度を75〜80℃に保持した。滴下終了後、
同じ温度で1時間熟成を行い、固形分39.9%、容積
平均粒子径0.43μm、粒子径分布の変動係数38%
の水性複合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液
を分析した結果を表4に示した。得られた水性複合樹脂
分散液の水を飛散させると、耐水性および外観に優れた
皮膜が得られた。
【0076】(実施例10)実施例9において、スーパ
ークロン106Lを30部用いる代わりに東レダウコー
ニングシリコーン(株))製シリコーン樹脂SH200
(数平均分子量18000、粘度3,000cps(2
5℃))20部を用いたこと、界面活性重合体(2)の
中和物溶液の代わりに(株)花王製ペレックスOTP
(アニオン性界面活性剤の固形分70%水溶液)5.7
部を用いたこと、メタクリル酸メチル・アクリル酸ブチ
ル・アクリル酸の量を表2に示す量に変えたこと、容積
平均粒子径0.12μmで粒子径分布の変動係数36%
の微粒子群が分散した微分散液を得たこと以外は実施例
9と同様の操作を繰り返して、固形分40.2%、容積
平均粒子径0.20μm、粒子径分布の変動係数38%
の水性複合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液
を分析した結果を表5に示した。得られた水性複合樹脂
分散液の水を飛散させると、耐水性および外観に優れた
皮膜が得られた。
【0077】(実施例11)メタクリル酸メチル37.
1部、アクリル酸ブチル24.1部、アクリル酸0.8
部、参考例3で得られたポリウレタン溶液(1)38.
2部、および、ベンゾキノン0.005部をパドル翼付
き攪拌機で均一になるまで攪拌したのち、(株)花王製
ラテムルS−180A(アニオン性界面活性剤の固形分
50%水溶液)8.0部を加え、特殊機化工業(株)製
高速剪断混合機(商品名TKホモミキサー)を用いて1
0000rpm で10分間の攪拌により混合した。続い
て、(株)イズミフードマシナリ製高圧ホモジナイザー
(商品名高圧ホモゲナイザーHV−0H−07型)を用
いて600kg/cm2 の圧力で5回処理し、容積平均粒子
径0.16μmで粒子径分布の変動係数19%の微粒子
群が分散した微分散液を得た。高圧ホモジナイザーで処
理する際、被処理物の温度は50℃以下になるように随
時被処理物を冷却した。引き続いて、参考例1と同様の
フラスコに、水100部を仕込み、攪拌下ゆるやかに窒
素ガスを吹き込みながら75℃に加熱した。次に、微分
散液とパーブチルO(日本油脂(株)製のt−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート)0.8部とをそ
れぞれ別々の滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴
下中は温度を75℃に保持した。滴下終了後、同じ温度
で1時間熟成を行い、固形分40.0%、容積平均粒子
径0.16μm、粒子径分布の変動係数20%の水性複
合樹脂分散液を得た。この水性複合樹脂分散液を分析し
た結果を表5に示した。得られた水性複合樹脂分散液の
水を飛散させると、耐水性および外観に優れた皮膜が得
られた。
【0078】(実施例12)実施例11において、メタ
クリル酸メチルとアクリル酸ブチルとアクリル酸とポリ
ウレタン溶液(1)とパーブチルOとの量を表2に示す
量に変えたこと、ベンゾキノンの量を0.003部に変
えたこと、高圧ホモゲナイザーを用いて600kg/cm2
の圧力で5回処理する代わりにマイクロフルイディクス
(Microfluidics )社製マイクロフルイダイザー(M−
110−EH型)を用いて1000kg/cm2 の圧力で2
回処理し、容積平均粒子径0.38μmで粒子径分布の
変動係数30%の微粒子群が分散した微分散液を得たこ
と以外は実施例11と同様の操作を繰り返して、固形分
40.0%、容積平均粒子径0.36μm、粒子径分布
の変動係数30%の水性複合樹脂分散液を得た。この水
性複合樹脂分散液を分析した結果を表5に示した。得ら
れた水性複合樹脂分散液の水を飛散させると、耐水性お
よび外観に優れた皮膜が得られた。
【0079】(実施例13)実施例2において、50部
のエピコート1007の代わりに30部のエピコート1
007と20部のサイメル1156とを用いたこと、界
面活性重合体(1)の中和物溶液の代わりに第一工業製
薬(株)製ハイテノールN−08(アニオン性界面活性
剤、固形分100%)3.0部と三洋化成工業(株)製
ノニポール200(ノニオン性界面活性剤の固形分10
0%)1.0部とを用いたこと、容積平均粒子径0.2
5μmで粒子径分布の変動係数30%の微粒子群が分散
した微分散液を得たこと以外は実施例2と同様の操作を
繰り返して、固形分40.4%、容積平均粒子径0.2
5μm、粒子径分布の変動係数28%の水性複合樹脂分
散液を得た。この水性複合樹脂分散液を分析した結果を
表5に示した。得られた水性複合樹脂分散液の水を飛散
させると、耐水性および外観に優れた皮膜が得られた。
【0080】(実施例14)メタクリル酸メチル32.
8部、アクリル酸2−エチルヘキシル21.8部、メタ
クリル酸1.0部、2,2′−アゾビスイソブチロニト
リル0.6部、および、p−メトキシフェノール0.0
2部の混合物をパドル翼付き攪拌機で均一になるまで攪
拌したのち、予め用意しておいた、ニトロセルロース
(含水量44.9%、窒素含量12%、数平均分子量2
0000)80.5部、ゼネラルアニリンアンドフィル
ム社製ガファックRE−610(アニオン性界面活性剤
の固形分25%水溶液)4部、アルコ(Arco)社製ウル
トラウエット42K(アニオン性界面活性剤の固形分4
2%水溶液)7.1部、NaHCO3 0.6部、およ
び、水51.6部の混合物を添加し、特殊機化工業
(株)製高速剪断混合機(商品名TKホモミキサー)を
用いて10000rpm で10分間の攪拌により混合し
た。続いて、(株)イズミフードマシナリ製高圧ホモジ
ナイザー(商品名高圧ホモゲナイザーHV−0H−07
型)を用いて600kg/cm2 の圧力で5回処理し、容積
平均粒子径0.22μmで粒子径分布の変動係数31%
の微粒子群が分散した微分散液を得た。高圧ホモジナイ
ザーで処理する際、被処理物の温度は50℃以下になる
ように随時被処理物を冷却した。引き続いて、参考例1
と同様のフラスコに移し、75℃で3時間重合を行い、
固形分50.5%、容積平均粒子径0.22μm、粒子
径分布の変動係数30%の水性複合樹脂分散液を得た。
この水性複合樹脂分散液を分析した結果を表5に示し
た。得られた水性複合樹脂分散液の水を飛散させると、
耐水性および外観に優れた皮膜が得られた。
【0081】(比較例1)実施例12において、TKホ
モミクサーで得た分散液(容積平均粒子径0.97μm
で粒子径分布の変動係数81%の微粒子群が分散した分
散液)を高圧ホモジナイザーで処理せずそのまま重合に
供したこと以外は実施例12と同様の操作を繰り返して
水性樹脂分散液を得た。この水性樹脂分散液は凝集物を
多量に含んでいた。得られた水性樹脂分散液の水を飛散
させると、耐水性および外観に劣った皮膜が得られた。
また、この水性樹脂分散液を1日放置すると表層に水相
が生じた。
【0082】(比較例2)ジャケット付きステンレス製
容器に、ニトロセルロース(含水量44.9%、窒素含
量12%、数平均分子量20000)80.5部、8.
1部のガファックRE−610、11.2部のウルトラ
ウエット42K、NaHCO3 0.9部、水39.1部
を仕込み、次に、予め用意しておいた、メタクリル酸メ
チル32.8部、アクリル酸2−エチルヘキシル21.
8部、メタクリル酸1.0部、および、p−メトキシフ
ェノール0.02部の混合物を添加し、キネティックヂ
スパージョン社製ケイディーミルL型装置中で45分間
ミル処理し、容積平均粒子径0.92μmで粒子径分布
の変動係数55%の微粒子群が分散した微分散液を得
た。このミル処理中に水7部を添加した。ミル処理によ
り得られた微分散液を参考例1と同様のフラスコに移
し、75℃まで加熱した後、0.7%過硫酸カリウム水
溶液11.8部と3%Na2 SO3 水溶液1.1部とを
それぞれ75分間かけて添加した。75℃で45分間熟
成を行い、固形分48.9%、容積平均粒子径0.25
μm、粒子径分布の変動係数71%の分散液を得た。得
られた分散液の水を飛散させると、耐水性に劣った皮膜
が得られた。
【0083】実施例1〜14と比較例1〜2との第1の
重合体の種類と量、単量体成分の種類と量、開始剤の種
類と量、界面活性剤の種類と量、高圧ホモジナイザーの
種類、第1の混合物の微細液滴の容積平均粒子径と粒子
径分布の変動係数を表1〜3に示した。実施例1〜14
と比較例1〜2とで得られた水性分散液の特性とその皮
膜の特性について分析した結果を表4〜5に示した。
【0084】貯蔵安定性は、水性複合樹脂分散液の試料
500mlを透明のプラスチック容器に入れ、25℃の恒
温機中に放置し、相分離が生じるまでの月数で評価し
た。光沢、平滑性、耐水性は、水性複合樹脂分散液をガ
ラス板に乾燥時の膜厚が10μmとなるように塗布し、
110℃で5分間加熱乾燥して作製した試験板で調べ
た。
【0085】光沢は、試験板の塗装面を肉眼観察し、次
の基準で評価した。 ○:光沢あり △:光沢ややあり ×:光沢なし 平滑性は、試験板の塗装面を肉眼観察し、次の基準で評
価した。 ○:表面が平滑である ×:表面が荒れている 耐水性は、試験板を25℃の水中に48時間浸漬し、皮
膜の状態を肉眼観察し、次の基準で評価した。 ○:変化なし △:やや膨潤した ×:大きく膨潤した
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】表1〜5にみるように、比較例1〜2では
高圧ホモジナイザーや界面活性重合体を使用していない
ため、分散液の変動係数が50%より大きく、実施例1
〜14の分散液に比べて貯蔵安定性が劣っていた。同じ
重合体・単量体を用い、ほぼ同様の操作を行った実施例
5と6とでは、油溶性重合開始剤を用いた実施例5の分
散液の方が、水溶性重合開始剤を用いた実施例6の分散
液より均質な皮膜を形成した。実施例1〜8と10〜1
4で得られた複合樹脂粒子は容積平均粒子径が0.4μ
m以下であるので、容積平均粒子径が0.4μmよりも
大きい実施例9のものに比べて貯蔵安定性がより優れて
いた。
【0092】
【発明の効果】本発明の第1の水性複合樹脂分散液の製
造方法は、水性媒体の不存在下に、エポキシ樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂
およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくと
も1つを含む第1の重合体と、第1の重合性不飽和単量
体とを混合して、前記第1の重合体が前記重合性不飽和
単量体に溶解および/または分散された第1の混合物を
準備する準備工程(1A)と、第1の混合物と水性媒体と
を混合して第2の混合物を得る混合工程(1B)と、第2
の混合物を高圧ホモジナイザーで処理することで、第1
の混合物からなる1μm以下の容積平均粒子径と50%
以下の粒子径分布の変動係数とを有する液滴を水性媒体
中に分散する分散工程(1C)と、水性媒体中に分散され
た第1の混合物中の第1の重合性不飽和単量体をラジカ
ル重合する重合工程(1D)とを含むので、優れた光沢と
耐水性とを有する均質な皮膜を形成することができ、分
散安定性と成膜性とに優れた水性複合樹脂分散液を有機
溶剤を使わずに生産性良く製造することができる。
【0093】本発明の第1の製造方法は、混合工程(1
B)が、第1の混合物と、水性媒体と、親水性基および
炭素数6以上の末端アルキル基を有する界面活性重合体
とを混合する方法であるときには、より分散安定性に優
れる。本発明の第2の水性複合樹脂分散液の製造方法
は、水性媒体の不存在下に、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂および
シリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つ
を含む第1の重合体と、第1の重合性不飽和単量体とを
混合して、前記第1の重合体が前記重合性不飽和単量体
に溶解および/または分散された第1の混合物を準備す
る準備工程(2A)と、第1の混合物と、水性媒体と、親
水性基および炭素数6以上の末端アルキル基を有する界
面活性重合体とを混合して第2の混合物を得る混合工程
(2B)と、第2の混合物を分散機で処理することで、第
1の混合物からなる1μm以下の容積平均粒子径と50
%以下の粒子径分布の変動係数とを有する液滴を水性媒
体中に分散する分散工程(2C)と、水性媒体中に分散さ
れた第1の混合物中の第1の重合性不飽和単量体をラジ
カル重合する重合工程(2D)とを含むので、優れた光沢
と耐水性とを有する均質な皮膜を形成することができ、
分散安定性と成膜性とに優れた水性複合樹脂分散液を有
機溶剤を使わずに生産性良く製造することができる。
【0094】本発明の製造方法は、第2の混合物が、油
溶性重合開始剤をさらに含むときには、より粒子径が均
一な複合樹脂粒子群が生成する。本発明の水性複合樹脂
分散液は、本発明の製造方法によって製造されるもので
あり、(1)エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、ポリエステル樹脂およびシリコーン樹脂
からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む第1の重
合体と第1の重合体と混合された第2の重合体とを含む
複合樹脂から構成され、容積平均粒子径1μm以下で粒
子径分布の変動係数50%以下の複合樹脂粒子と、
(2)複合樹脂粒子が分散されている水性媒体とを含む
ので、優れた光沢と耐水性とを有する均質な皮膜を形成
することができ、分散安定性と成膜性とに優れている。
【0095】本発明の水性複合樹脂分散液は、親水性基
および炭素数6以上の末端アルキル基を有する界面活性
重合体をさらに含むときには、より分散安定性に優れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高圧ホモジナイザーの要部の概略
断面図。
【図2】本発明に係る別の高圧ホモジナイザーの要部の
概略断面図。
【図3】本発明に係るさらに別の高圧ホモジナイザーの
要部の概略断面図。
【符号の説明】
1 第1流路 2 第2流路 3 第3流路 4 第4流路 11 第1流路 12 第2流路 13 第3流路 14 第4流路 21 第1流路 22 第2流路 23 第3流路 24 第4流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加原 浩二 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒 高分子研究所内 (56)参考文献 特開 平6−192307(JP,A) 特開 昭58−17162(JP,A) 特開 平5−178913(JP,A) 特公 昭59−17123(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/44 C09D 5/00 - 201/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水性媒体の不存在下に、エポキシ樹脂、ポ
    リウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹
    脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なく
    とも1つを含む第1の重合体と、第1の重合性不飽和単
    量体とを混合して、前記第1の重合体が前記第1の重合
    性不飽和単量体に溶解および/または分散された第1の
    混合物を準備する準備工程と、 前記第1の混合物と水性媒体とを混合して第2の混合物
    を得る混合工程と、 前記第2の混合物を高圧ホモジナイザーで処理すること
    で、前記第1の混合物からなる1μm以下の容積平均粒
    子径と50%以下の粒子径分布の変動係数とを有する液
    滴を前記水性媒体中に分散する分散工程と、 前記水性媒体中に分散された前記第1の混合物中の前記
    第1の重合性不飽和単量体をラジカル重合する重合工程
    と、 を含む水性複合樹脂分散液の製造方法。
  2. 【請求項2】前記高圧ホモジナイザーが、第1流路と、
    前記第1流路に続き前記第1流路よりも細い第2流路
    と、前記第2流路から折曲しかつ前記第1流路よりも細
    い第3流路と、前記第3流路から折曲しかつ前記第1流
    路よりも細い第4流路とを備え、 前記分散工程が、前記第2の混合物を前記第1流路に圧
    入することで前記第2流路と前記第3流路と前記第4流
    路とに順次通す処理工程を含む、 請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】前記高圧ホモジナイザーが、第1流路と、
    前記第1流路に続き前記第1流路よりも細い複数の第2
    流路と、前記各第2流路から折曲し、下流側で合流しか
    つ前記第1流路よりも細い複数の第3流路と、合流した
    前記第3流路から折曲しかつ前記第1流路よりも細い第
    4流路とを備え、 前記分散工程が、前記第2の混合物を前記第1流路に圧
    入することで前記第2流路と前記第3流路と前記第4流
    路とに順次通す処理工程を含む、 請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】前記混合工程が、前記第1の混合物と、前
    記水性媒体と、親水性基および炭素数6以上の末端アル
    キル基を有する界面活性重合体とを混合する工程であ
    る、請求項1から3までのいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】水性媒体の不存在下に、エポキシ樹脂、ポ
    リウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹
    脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なく
    とも1つを含む第1の重合体と、第1の重合性不飽和単
    量体とを混合して、前記第1の重合体が前記第1の重合
    性不飽和単量体に溶解および/または分散された第1の
    混合物を準備する準備工程と、 前記第1の混合物と、水性媒体と、親水性基および炭素
    数6以上の末端アルキル基を有する界面活性重合体とを
    混合して第2の混合物を得る混合工程と、 前記第2の混合物を分散機で処理することで、前記第1
    の混合物からなる1μm以下の容積平均粒子径と50%
    以下の粒子径分布の変動係数とを有する液滴を前記水性
    媒体中に分散する分散工程と、 前記水性媒体中に分散された前記第1の混合物中の前記
    第1の重合性不飽和単量体をラジカル重合する重合工程
    と、 を含む水性複合樹脂分散液の製造方法。
  6. 【請求項6】前記第2の混合物が油溶性重合開始剤をさ
    らに含む、請求項1から5までのいずれかに記載の製造
    方法。
  7. 【請求項7】請求項1から6までのいずれかに記載の製
    造方法によって製造されるものであり、 エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹
    脂、ポリエステル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群
    から選ばれる少なくとも1つを含む第1の重合体と、前
    記第1の重合体と混合された第2の重合体とを含む複合
    樹脂から構成され、1μm以下の容積平均粒子径と50
    %以下の粒子径分布の変動係数とを有する複合樹脂粒子
    と、 前記複合樹脂粒子が分散されている水性媒体と、 を含む水性複合樹脂分散液。
  8. 【請求項8】前記第2の重合体がアクリル樹脂である、
    請求項に記載の水性複合樹脂分散液。
  9. 【請求項9】親水性基および炭素数6以上の末端アルキ
    ル基を有する界面活性重合体をさらに含む、請求項7ま
    たは8に記載の水性複合樹脂分散液。
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