JP3403663B2 - 高炭素鋼の軟化焼鈍し方法 - Google Patents

高炭素鋼の軟化焼鈍し方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高炭素鋼の軟化焼鈍
しに関するものである。
【0002】
【従来の技術】軟化焼鈍し(soft annealing:球状化焼
鈍し)は通常12〜48時間要し、炉にてバッチ方式あ
るいは連続方式で行なわれる。対象物は、次に炉内で2
〜10時間程かけて約800℃位にまで加熱され、この
温度は約2時間維持され、その後、温度は約790℃ま
で急降温され、次いで10℃/時の度合で690℃位に
まで降温される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この工程は非常に長時
間を要し、コストが高く、脱炭が生じてしまうこともあ
る。
【0004】さらに、対象物の炉内での配置位置が異な
ると温度条件も異なるので、組織が対象物毎に相違して
くることもあり、又、同じ一つの対象物の中でさえも、
部位により相違することがある。標準鋼であるSAE5
2100製の複数の管材をバッチ方式でテストした結
果、各管材が炉内の置かれた位置によって、硬度は17
0〜220HBの間でばらついていた。
【0005】一回のバッチでの管材を軟化焼鈍しをする
とき、一つの管材でもその長手方向で異なる状況におか
れるので、熱応力を生じ、引続き行なわれる硬化工程時
に著しいゆがみが生じている。
【0006】本発明の目的は、上述の問題を解決できる
高炭素鋼製の対象物の軟化焼鈍し方法を提供することに
ある。
【0007】さらに詳しくは、本発明の目的は、工程時
間を短縮し、インラインでの操業を可能とし、しかも脱
炭が非常に少ないようにすることにある。
【0008】本発明の他の目的は、表面でパーライトが
殆どあるいは全くない、そして表面でのカーバイドが少
なくかつ小さい、さらに組織の変化の少ない、高炭素鋼
の軟化焼鈍し方法を提供することにある。
【0009】又、さらに他の目的は、インラインでの操
業が可能となり、複数の対象物が均一状況に置かれて、
それによって、単一の組織そして単一の特性となるよう
にする軟化焼鈍し方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
は、本発明の方法によれば、 ・ 軟化焼鈍をするべき対象物を熱間加工から直接取出
し、そしてA1−20℃(A1温度より20℃低い温
度)以下まで冷却し、 ・ 対象物をA1+20℃あるいはそれ以上に加熱した
後、空冷で鋼のA1温度以下まで速やかに冷却する工程
を少なくとも一回行い、 ・ 対象物をA1+20℃あるいはそれ以上まで加熱し
てから740℃まで冷却した後、対象物を3.5℃/
もしくはそれ以下の冷却速度で690℃まで冷却し、 ・ そして最後に、対象物を雰囲気温度まで冷却するこ
と、 により達成される。
【0011】この工程における合計所要時間は約1.5
時間である。対象物は熱間加工工程から直接取り出され
てインラインで軟化焼鈍し炉へ別途移送される。炉は、
中間空間をもって、複数の室に分割されているようにす
ることができ、そこでは空冷がなされ、対象物に散水を
行うことにより冷却効果を助長することも可能である。
【0012】この方法は、インラインで迅速にそして連
続して行うことができる。
【0013】従来行なわれていたような移送や兵站業務
は不要となる。
【0014】雰囲気温度から650℃までの一つの加熱
サイクルは、約2時間の間の820℃での加熱と同様、
不要となる。
【0015】脱炭は殆どなくなり、組織の変化も小さい
という結果をもたらす。
【0016】本発明方法によると、カーバイトの小さな
部分のみがその都度溶解され、拡散する溶体に炭素が少
なく存在するようになる。
【0017】本発明方法によると、非常に重要な利点を
得る。軟化焼鈍しが引き続き行なわれるようにした熱間
加工を採用することにより、多大なエネルギ消費が低減
される。さらに、インラインの形態とすることにより、
炉の容量を何分の一にも小さくすることができ、労働力
の集中を低減できる。
【0018】本発明の一つの実施形態によると、炉は加
熱そして冷却サイクルの数に対応して、中間空間をもっ
て順次配置される部分をもつようになり、そこでは、空
冷そして場合によっては散水を伴う強制空冷が行なわ
れ、管材は炉の長手方向に直角となる該管材の長手方
向、すなわち、移送方向に移動し、その場合好ましく
は、炉内を貫通する搬送体をもって管材を転動移送す
る。この方法によると、別途行われるべき軟化焼鈍し後
の管材の直伸工程を省略できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面にもとづき、発明
の実施の形態を説明する。
【0020】図1は、本発明にもとづく、可能な軟化焼
鈍し方法を図示する温度と時間の関係を示す図である。
【0021】高炭素鋼の軟化焼鈍し工程では、それに要
するコストを低減したいという強い要請がある。しか
し、軟化焼鈍し後の鋼の組織はそれ以降の処理にとって
そして目的の用途にとって重大事である。種々の観点か
ら多くの試みが軟化焼鈍しの改善のために行なわれてき
た。
【0022】特開平4−103715によると、高炭素
クロム軸受鋼が球状化処理されている。この処理では、
最初780〜820℃まで加熱し、次に200℃/hr以
下でAr1b点以下まで冷却し、そしてAc1b−(Ac1b+
40)℃まで加熱し、200℃/hr以下でAr1bまで冷
却し、Ac1b−(Ac1b+40)℃まで加熱し、そして7
5℃/hr以下でAr1bまで冷却する。上記文献公報は鋼
の組織について主として言及しており、本願の前文で議
論したような問題の解決策は開示していない。 <定義>A1は、加熱時には、マトリックス相がオース
テナイトに変るときの温度で定義される。
【0023】A1は、冷却時には、オーステナイト相が
他のものに変るときの温度で定義される。 <例> 可能な軟化焼鈍し熱処理サイクルが図1に示されてい
る。熱間転造されたSAE52100鋼の部品は、炉内
でA1+20℃、この場合は820℃以上まで、できる
だけ早く加熱された。この温度まで達したとき、炉外
(空気中)へ取り出され、、A1−20℃、この場合6
50℃以下の温度まで冷却された。部品は再びA1+2
0℃以上に(810℃)加熱され、空気中で冷却され
た。最後に、部品はA1+20℃以上(800℃)の温
度まで加熱された。この後に、この部品は炉内で、調整
された冷却を行うために、より低い温度の領域へと移動
された。温度は、炉内のファンを用いて、比較的早く7
40℃まで低下された。この後に、740℃から690
℃まで、20分間で(すなわち、2.5℃/分の冷却速
度で)冷却された。
【0024】表1はドイツ規格SEP1520で規定さ
れた組織と硬度を示す。殆どの材料のユーザーはこれら
の値を受入れた。
【0025】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にもとづく、可能な軟化焼鈍し方法のた
めの温度と時間の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パトリック エールンド スウェーデン国、813 31 ホーフォー ス、イエークルンドスベーゲン 5ビー (56)参考文献 特公 平6−2898(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/32 C21D 1/26 C21D 6/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炭素鋼の軟化焼鈍し方法において、 ・ 軟化焼鈍をするべき対象物を熱間加工から直接取出
    し、そしてA1−20℃(A1温度より20℃低い温
    度)以下まで冷却し、 ・ 対象物をA1+20℃あるいはそれ以上に加熱した
    後、空冷で鋼のA1温度以下まで速やかに冷却する工程
    を少なくとも一回行い、 ・ 対象物をA1+20℃あるいはそれ以上まで加熱し
    てから740℃まで冷却した後、対象物を3.5℃/
    もしくはそれ以下の冷却速度で690℃まで冷却し、 ・ そして最後に、対象物を雰囲気温度まで冷却するこ
    と、 を特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 対象物をA1+20℃もしくはそれ以上
    に加熱し該対象物を鋼のA1温度以下まで空冷すること
    を少なくとも二回行うこととする請求項1に記載の方
    法。
JP06440399A 1998-03-16 1999-03-11 高炭素鋼の軟化焼鈍し方法 Expired - Fee Related JP3403663B2 (ja)

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