JP3402156B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JP3402156B2
JP3402156B2 JP27612397A JP27612397A JP3402156B2 JP 3402156 B2 JP3402156 B2 JP 3402156B2 JP 27612397 A JP27612397 A JP 27612397A JP 27612397 A JP27612397 A JP 27612397A JP 3402156 B2 JP3402156 B2 JP 3402156B2
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brake
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司 深沢
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昇一 宮後
淳一 坂本
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のブレーキ
液圧制御装置に係り、特に、マスタシリンダとホイルシ
リンダとの間の連通及び遮断を切り替える切替弁を備え
るブレーキ液圧制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、例えば特開平5−13927
9号に開示される如く、ブレーキ液圧制御装置が公知で
ある。このブレーキ液圧制御装置は、所定の液圧を発生
する油圧発生機構と、ホイルシリンダをマスタシリンダ
又は油圧発生機構に選択的に連通させる切替弁とを備え
ている。車両のイグニッションスイッチがオフの状態で
は、切替弁はホイルシリンダとマスタシリンダとを連通
させる原位置にある。イグニッションスイッチがオンさ
れると、切替弁が切り替えられることで、マスタシリン
ダとホイルシリンダとの間が遮断されると共に、油圧発
生機構とホイルシリンダとが連通される。すなわち、上
記従来のブレーキ液圧制御装置において、ホイルシリン
ダは油圧発生機構を液圧源として制御される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、運転者によ
っては、エンジンを始動する際に、ブレーキペダルを踏
み込んだまたイグニッションスイッチをオンする場合が
ある。ブレーキペダルが踏み込まれた状態では、マスタ
シリンダ圧はペダル踏力に応じた液圧に昇圧されてい
る。従って、上記従来のブレーキ液圧制御装置におい
て、ブレーキペダルが踏み込まれたままイグニッション
スイッチがオンされると、マスタシリンダ圧が昇圧され
た状態でマスタシリンダとホイルシリンダとの間が遮断
されることになる。この場合、高圧のマスタシリンダ圧
が作用した状態で切替弁が切り替えられることに起因し
てブレーキフルード内に圧力波が発生する。この圧力波
がマスタシリンダへ伝達されると、マスタシリンダに油
撃が生ずることになる。かかる油撃はブレーキペダルを
介して運転者に伝えられ、運転者に違和感を与えてしま
う。 【0004】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、イグニッションスイッチがオンされた時点でブレ
ーキ操作が行なわれている場合に、このブレーキ操作中
にマスタシリンダに油撃が生ずるのを防止し得るブレー
キ液圧制御装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、マスタシリンダと、ホイルシリンダ
と、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間の
連通及び遮断を切り替える切替弁とを備えるブレーキ液
圧制御装置において、イグニッションスイッチがオンさ
れた時点でブレーキ操作が行なわれている場合に、当該
ブレーキ操作中は前記切替弁の作動を禁止する切替禁止
手段を備えたブレーキ液圧制御装置により達成される。 【0006】本発明において、切替弁はマスタシリンダ
とホイルシリンダとの間の連通及び遮断を切り替える。
イグニッションスイッチがオンされた時点でブレーキ操
作が行なわれている場合、ブレーキ操作が検出さた時点
で既にマスタシリンダ圧は昇圧されている。かかる状態
で切替弁が切り替えられると、切替弁の作動に伴ってブ
レーキフルードに生ずる圧力波が、マスタシリンダへ油
撃として伝達される。これに対して、本発明によれば、
切替禁止手段は、イグニッションスイッチがオンされた
時点でブレーキ操作が行なわれている場合に、当該ブレ
ーキ操作中は切替弁の作動を禁止する。このため、マス
タシリンダ圧が昇圧された状態で切替弁が作動すること
が防止され、これにより、マスタシリンダに油撃が生ず
ることが防止される。 【0007】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
液圧ブレーキ装置のシステム構成図である。図1に示す
如く、本実施例の液圧ブレーキ装置は、マスタシリンダ
10を備えている。マスタシリンダ10にはブレーキペ
ダル12が連結されている。マスタシリンダ10は、ブ
レーキペダル12に付与された踏力に応じた液圧(以
下、マスタシリンダ圧PM/C と称する)を発生させる。
マスタシリンダ10の上部にはリザーバタンク15が設
置されている。リザーバタンク15にはポンプ16の吸
入口が連通している。ポンプ16は、モータ18により
駆動される。ポンプ16の吐出口にはレギュレータ18
へ至る高圧通路20が連通している。高圧通路20には
アキュームレータ22が連通している。アキュームレー
タ22は、ポンプ16から吐出されたブレーキフルード
を貯留する。 【0008】レギュレータ18には主油圧通路24が連
通している。レギュレータ18は、高圧通路20から供
給されるアキュームレータ22の油圧を、マスタシリン
ダ圧PM/C にほぼ等しい大きさのレギュレータ圧PRE
減圧して主油圧通路24に出力する。主油圧通路24に
は、レギュレータ圧PREを検出する油圧センサ26、及
び、増圧制御バルブ28が配設されている。油圧センサ
26の出力信号は図示しない電子制御ユニット(以下、
ECUと称する)に供給されている。ECUは、油圧セ
ンサ26の出力信号に基づいてレギュレータ圧PREを検
出する。 【0009】増圧制御バルブ28は、主油圧通路24の
導通状態を変化させるリニア制御バルブである。増圧制
御バルブ28は、ECUから供給される駆動信号に応じ
てその開度を変化させる。なお、増圧制御バルブ28
は、全閉状態であっても、その上流側の液圧が下流側の
液圧に比して所定の開弁圧だけ高圧になると開弁するよ
うに構成されている。主油圧通路24には、増圧制御バ
ルブ28と並列に、増圧制御バルブ28の下流側からレ
ギュレータ18側へ向かう流体の流れのみを許容する逆
止弁30が配設されている。 【0010】主油圧通路24の、増圧制御バルブ28の
下流側には減圧通路32が連通している。減圧通路32
は補助リザーバタンク34に連通している。補助リザー
バタンク34は、貯留されたブレーキフルードの所定の
液圧を発生させるスプリングを内蔵している。減圧通路
32には減圧制御バルブ36が配設されている。減圧制
御バルブ36は、減圧通路32の導通状態を変化させる
リニア制御バルブである。減圧制御バルブ36は、EC
Uから供給される駆動信号に応じてその開度を変化させ
る。減圧通路32には、減圧制御バルブ36と並列に、
補助リザーバタンク34側から主油圧通路24側へ向か
う流体の流れのみを許容する逆止弁38が配設されてい
る。 【0011】主油圧通路24は、増圧制御バルブ28の
下流側において、後輪RL,RR側のホイルシリンダ4
0、42へ至る後輪側油圧通路44に連通している。後
輪側油圧通路44には、後輪側油圧通路44内部の油
圧、すなわち、後輪側ブレーキ油圧PR を検出する油圧
センサ46が配設されている。油圧センサ46の出力信
号はECUに供給されている。ECUは、油圧センサ4
6の出力信号に基づいて後輪側ブレーキ油圧PR を検出
する。 【0012】増圧制御バルブ28は、レギュレータ18
が出力するレギュレータ圧PREをその開度に応じた比率
で減圧して、後輪側油圧通路44へ出力する。従って、
ECUから増圧制御バルブ28へ供給される駆動信号に
応じて、後輪側ブレーキ油圧PR が増圧される。また、
減圧制御バルブ36は、その開度に応じた流量のブレー
キフルードを後輪側油圧通路44から補助リザーバタン
ク34へ流出させる。従って、ECUから減圧制御バル
ブ36へ供給される駆動信号に応じて、後輪側ブレーキ
油圧PR が減圧される。 【0013】後輪側油圧通路44には、上流側から順
に、後輪側保持バルブ48及びプロポーショニングバル
ブ50が配設されている。後輪側保持バルブ48には逆
止弁52が並設されている。後輪側保持バルブ48は常
開の電磁開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与
されることにより閉弁状態となる。逆止弁52は、ホイ
ルシリンダ40、42側から主油圧通路24側へ向かう
流れのみを許容する。また、プロポーショニングバルブ
50は、後輪側油圧通路44から供給された油圧が所定
値以下である場合には、その油圧をそのままホイルシリ
ンダ40、42へ供給する一方、後輪側油圧通路44か
ら供給された油圧が所定値を越える場合には、その油圧
を所定の比率で減圧してホイルシリンダ40、42へ供
給する。 【0014】後輪側油圧通路44の後輪側保持バルブ4
8とプロポーショニングバルブ50との間の部位には、
リザーバタンク15へ至る後輪側減圧通路54が連通し
ている。後輪側減圧通路54には後輪側減圧バルブ56
が配設されている。後輪側減圧バルブ56は常閉の電磁
開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与されるこ
とにより開弁状態となる。 【0015】後輪側油圧通路54の、後輪側保持バルブ
48の上流側には、前輪側油圧通路58が連通してい
る。前輪側油圧通路58には切替バルブ60が配設され
ている。切替バルブ60は常閉の電磁開閉バルブであ
り、ECUからオン信号を付与されることにより開弁状
態となる。前輪側油圧通路58の、切替バルブ60の下
流側には、前輪側油圧通路58の内部の油圧、すなわ
ち、前輪側ブレーキ油圧PF を検出する油圧センサ62
が配設されている。油圧センサ62の出力信号はECU
に供給されている。ECUは油圧センサ62の出力信号
に基づいて前輪側ブレーキ油圧PF を検出する。 【0016】前輪側油圧通路58は、切替バルブ60の
下流側において、左前輪のホイルシリンダ64へ至る左
前輪油圧通路66、及び、右前輪のホイルシリンダ68
へ至る右前輪油圧通路70に連通している。左前輪油圧
通路66及び右前輪油圧通路70には、それぞれ、左前
輪保持バルブ72及び右前輪保持バルブ74が配設され
ている。左前輪保持バルブ72及び右前輪保持バルブ7
4には、それぞれ、逆止弁76及び78が並設されてい
る。左前輪保持バルブ72及び右前輪保持バルブ74
は、共に、常開の電磁開閉バルブであり、ECUからオ
ン信号を付与されることにより閉弁状態となる。また、
逆止弁76及び78は、それぞれ、ホイルシリンダ6
4、68側から前輪側油圧通路58側へ向かう流れのみ
を許容する。 【0017】左前輪油圧通路66の左前輪保持バルブ7
2とホイルシリンダ64との間の部位、及び、右前輪油
圧通路70の右前輪保持バルブ74とホイルシリンダ6
8との間の部位には、それぞれ、左前輪減圧通路80及
び右前輪減圧通路82が連通している。左前輪減圧通路
80及び右前輪減圧通路82は、共に、リザーバタンク
15に連通している。左前輪減圧通路80及び右前輪減
圧通路82には、それぞれ、左前輪減圧バルブ84及び
右前輪減圧バルブ86が配設されている。左前輪減圧バ
ルブ84及び右前輪減圧バルブ86は、共に、常閉の電
磁開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与される
ことにより開弁状態となる。 【0018】マスタシリンダ10には、マスタ圧通路8
8が連通している。マスタ圧通路88には、マスタシリ
ンダ圧PM/C を検出するマスタ圧センサ90が配設され
ている。マスタ圧センサ90の出力信号はECUに供給
されている。ECUは、マスタ圧センサ90の出力信号
に基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検出する。また、
マスタ圧通路88には、ストロークシミュレータ92が
連通している。 【0019】マスタ圧通路88には、左前輪のホイルシ
リンダ64へ至る左前輪マスタ圧通路94、及び、右前
輪のホイルシリンダ68へ至る右前輪マスタ圧通路96
が連通している。左前輪マスタ圧通路94及び右前輪マ
スタ圧通路96には、それぞれ、マスタシリンダカット
バルブ98及び100が配設されている。マスタシリン
ダカットバルブ98及び100は、共に、常開の電磁開
閉バルブであり、ECUからオン信号を付与されること
により閉弁状態となる。 【0020】本実施例においては、後述する如く、通常
のブレーキ操作時には、マスタシリンダカットバルブ9
8及び100は共にオン(閉弁)状態とされる。この場
合、ブレーキペダル12が踏み込まれたことによりマス
タシリンダ圧PM/C が上昇すると、マスタシリンダ10
内のブレーキフルードは上記ストロークシミュレータ9
2へ流入する。また、ブレーキペダル12の踏み込みが
解除され、マスタシリンダ圧PM/C が低下すると、スト
ロークシミュレータ92内のブレーキフルードはマスタ
シリンダ10へ流入する。従って、ストロークシミュレ
ータ92によれば、マスタシリンダカットバルブ98及
び100が閉弁されている状況の下で、ブレーキペダル
12に、ペダル踏力に応じたストロークを発生させるこ
とができる。 【0021】システムに異常が生じたことが検出された
場合には、マスタシリンダカットバルブ98及び100
は共にオフ(開弁)状態とされる。この場合、前輪側の
ホイルシリンダ64、68とマスタシリンダ10とが連
通することで、ホイルシリンダ64、68の油圧がマス
タシリンダ圧PM/C を上限として昇圧されることが保証
される。なお、以下の記載においては、ホイルシリンダ
40、42、64、68を区別しない場合は、参照番号
を付さずに、単に「ホイルシリンダ」と称するものとす
る。 【0022】本実施例のシステムにおいて、ECUは、
マスタシリンダ圧PM/C が所定値を上回って上昇した場
合にブレーキ操作が行なわれたと判断する。ただし、ブ
レーキペダル12に配設されたブレーキスイッチのオン
・オフ状態に基づいてブレーキ操作の有無を判断しても
よい。ECUは、ブレーキ操作中であり、かつ、何れの
車輪にもロック傾向が生じていないと判断した場合に
は、後輪側保持バルブ48、後輪側減圧バルブ56、左
前輪保持バルブ72、右前輪保持バルブ74、左前輪減
圧バルブ84、及び右前輪減圧バルブ86をオフ状態と
すると共に、切替バルブ60、及びマスタシリンダカッ
トバルブ98、100をオン状態とする。以下、この状
態を通常ブレーキ状態と称する。 【0023】通常ブレーキ状態においては、後輪側油圧
通路44、前輪側油圧通路58、左前輪油圧通路66、
及び右前輪油圧通路70が導通状態とされる。このた
め、後輪側ブレーキ油圧PR がプロポーショニングバル
ブ50を介して後輪側のホイルシリンダ40、42に導
かれると共に、前輪側ブレーキ油圧PF が前輪側のホイ
ルシリンダ64、68へ導かれる。上述の如く、後輪側
ブレーキ油圧PR は増圧制御バルブ28の開度に応じて
増圧される。また、前輪側ブレーキ油圧PR と後輪側ブ
レーキ油圧PR とは定常的には一致しているが、切替バ
ルブ60の存在等に起因して両油圧間にはその立ち上が
り方に僅かな差異が生ずる。従って、後輪側ブレーキ油
圧PR 及び前輪側ブレーキ油圧PF に基づいて、増圧制
御バルブ28の開度を調整することにより、各輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C を所望の油圧に増圧することができ
る。 【0024】また、ホイルシリンダ圧PW/C を減圧する
場合は、増圧制御バルブ28を全閉とした状態で、減圧
制御バルブ36の開度を調整し、ホイルシリンダから補
助リザーバタンク34へブレーキフルードを流出させる
ことで、ホイルシリンダ圧P W/C を所望の油圧へ減圧す
ることできる。なお、上述の如く、補助リザーバタンク
34は、その内部に貯留されたブレーキフルードに所定
の油圧を発生させる。従って、ブレーキ操作が解除され
てマスタシリンダ圧PM/C が常圧に復帰すると、補助リ
ザーバタンク34に貯留されたブレーキフルードは、逆
止弁38、30を介してレギュレータ18へ回収され
る。 【0025】何れかの車輪にロック傾向が生じたことが
検出されると、その車輪についてABS制御が開始され
る。例えば、左前輪FLにロック傾向が生じたことが検
出されると、左前輪FLについてABS制御が開始され
る。左前輪FLについてのABS制御は、通常ブレーキ
状態において、左前輪保持バルブ72及び左前輪減圧バ
ルブ84が開閉されることで実現される。 【0026】通常ブレーキ状態において、左前輪保持バ
ルブ72が閉弁されると共に、左前輪減圧バルブ84が
開弁されると、ホイルシリンダ64はリザーバタンク1
5と連通する。この場合、ブレーキフルードがホイルシ
リンダ64からリザーバタンク15へ流出することで、
ホイルシリンダ64の油圧が速やかに減圧される。この
状態を、以下、減圧モードと称する。 【0027】減圧モードによってホイルシリンダ64の
油圧が減圧された状態で、左前輪保持バルブ72が開弁
されると共に左前輪減圧バルブ84が閉弁されると、ホ
イルシリンダ64は後輪側油圧通路44と連通する。こ
のため、ホイルシリンダ64の油圧は後輪側ブレーキ油
圧PR に向けて増圧される。以下、この状態を、増圧モ
ードと称する。 【0028】また、左前輪保持バルブ72及び左前輪減
圧バルブ84が共に閉弁されると、ホイルシリンダ64
は液圧回路から遮断されるため、ホイルシリンダ64の
油圧は一定に保持される。この状態を、以下、保持モー
ドと称する。左前輪FLのABS制御は、車輪のスリッ
プ率が所定のしきい値以下に保持されるように、上記し
た減圧モード、増圧モード、及び保持モードが切り替え
て形成されることにより実行される。また、右前輪FR
のABS制御についても同様に、右前輪保持バルブ74
及び右前輪減圧バルブ86の開閉状態に応じて、減圧モ
ード、増圧モード、及び保持モードが適宜切り替えて形
成されることにより実現される。後輪側のABS制御
は、後輪側保持バルブ48及び後輪側減圧バルブ56が
切り替えられることにより、左右後輪RL,RRについ
て共通に実行される。 【0029】上述の如く、本実施例のブレーキ液圧制御
装置においては、ブレーキ操作中には、マスタシリンダ
カットバルブ98、100、及び切替バルブ60がオン
状態とされることで、マスタシリンダ10とホイルシリ
ンダ64、68との間が遮断されると共に、レギュレー
タ18と全てのホイルシリンダとが連通する。ブレーキ
操作が検出されるのは、通常は、マスタシリンダ圧P
M/C が立ち上がり始めた時点である。この場合、マスタ
シリンダカットバルブ98、100の切り替えはマスタ
シリンダ圧PM/C が比較的低圧の状態で行なわれること
になるため、マスタシリンダカットバルブ98、100
が切り替えられても、マスタシリンダ10に油撃が生ず
ることはない。 【0030】しかしながら、運転者によっては、エンジ
ンを始動する際に、ブレーキペダル12を踏み込んだ状
態でイグニッションスイッチをオンする場合がある。イ
グニッションスイッチがオンされる前の時点では、EC
Uには通電されておらず、また、全ての電磁弁への通電
はオフ状態となっている。そして、イグニッションスイ
ッチがオンされると同時にECUへ通電され、ECUは
ブレーキ操作の有無の判別等の各種処理の実行を開始す
る。従って、イグニッションスイッチがオンされた時点
でブレーキペダル12が踏み込まれている場合、ECU
へ通電されると同時にブレーキ操作が検出される。この
場合、直ちにマスタシリンダカットバルブ98、100
がオン状態に切り替えられるものとすると、マスタシリ
ンダ圧P M/C が昇圧された状態で、マスタシリンダカッ
トバルブ98、100が閉弁されることになる。マスタ
シリンダ圧PM/C が昇圧された状態でマスタシリンダカ
ットバルブ98、100が閉弁されると、マスタシリン
ダカットバルブ98、100の弁体が高圧に抗して作動
するのに伴って、マスタ圧通路88内のブレーキフルー
ドの圧力波が発生する。この圧力波がマスタシリンダ1
0へ伝達されることにより、マスタシリンダ10には油
撃が生ずる。かかる油撃はブレーキペダル12を介して
運転者に伝えられ、運転者に違和感を与える等の不都合
を招くことになる。 【0031】これに対して、本実施例のブレーキ液圧制
御装置は、ブレーキペダル12が踏み込まれた状態でイ
グニッションスイッチがオンされた場合に、マスタシリ
ンダ10に油撃が生ずるのを防止し得る点に特徴を有し
ている。本実施例において、ECUは、イグニッション
スイッチがオンされた後にブレーキ操作が解除されたか
否かの記憶(以下、ブレーキ解除記憶と称す)を保持し
ている。イグニッションスイッチがオンされた時点で、
ブレーキ操作が行なわれていない場合は、ブレーキ解除
記憶は当初から「有り」とされる。一方、イグニッショ
ンスイッチがオンされた時点でブレーキ操作が行なわれ
ている場合は、ブレーキ解除記憶は「無し」とされ、そ
の後、ブレーキ操作が解除された時点で「有り」とされ
る。そして、ブレーキ操作が行なわれても、ブレーキ解
除記憶が「無し」である場合は、マスタシリンダカット
バルブ98、100のオン状態への切り替えは行なわれ
ず、ブレーキ操作が行なわれ、かつ、ブレーキ解除記憶
が「有り」である場合にのみ、マスタシリンダカットバ
ルブ98、100がオン状態に切り替えられる。すなわ
ち、イグニッションスイッチがオンされた後、ブレーキ
操作が解除されない限り、マスタリシリンダカットバル
ブ98、100の切り替えは禁止されることになる。こ
のため、ブレーキペダルが12が踏み込まれた状態、す
なわち、ブレーキ操作が行なわれた状態でイグニッショ
ンスイッチがオンされた場合には、このブレーキ操作中
にマスタシリンダカットバルブ98、100が切り替え
られることはなく、これにより、マスタシリンダ10に
油撃が生ずることが防止される。 【0032】図2は、ブレーキペダル12が踏み込まれ
た状態でイグニッションスイッチがオンされた場合のブ
レーキ液圧制御装置の動作状態を例示するタイムチャー
トである。図2には、上段から順に、(a)ブレーキ操
作の検出状態、(b)ブレーキ解除記憶の有無、(c)
左前輪FLに対応するマスタシリンダカットバルブ98
のオン・オフ状態、(d)右前輪FRに対応するマスタ
シリンダカットバルブ100のオン・オフ状態、(e)
切替バルブ60のオン・オフ状態、及び(f)増圧制御
バルブ28の開閉状態を示している。 【0033】図2において、時刻t0 でイグニッション
スイッチがオンされている。この時刻t0 において既に
ブレーキペダル12が踏み込まれているため、ブレーキ
操作が行なわれたことが検出されている。しかし、時刻
0 では、ブレーキ解除記憶が「無し」であるため、マ
スタシリンダカットバルブ98、100の切り替えは行
なわれない。この場合、前輪側のホイルシリンダ64、
68にはマスタシリンダ圧PM/C が導かれる。一方、後
輪側については、増圧制御バルブ28が全閉状態にある
ため、ホイルシリンダ40、42には、マスタシリンダ
圧PM/C から増圧制御バルブ28の開弁圧分だけ減圧さ
れた油圧が付与されることになる。しかしながら、イグ
ニッションスイッチがオンされた時点でブレーキ操作が
行なわれている場合には、車両は停止していると考えら
れるため、後輪側のホイルシリンダ圧が上記開弁圧分だ
け低下したとしても支障は生じない。 【0034】その後、時刻t1 においてブレーキ操作が
解除されると、その時点でブレーキ解除記憶は「有り」
とされる。そして、時刻t2 において再びブレーキ操作
が行なわれると、今度は、ブレーキ解除記憶が「有り」
となっているので、マスタシリンダカットバルブ98、
100の切り替えは許可される。この場合、先ず、増圧
制御バルブ28が全開状態にされることで、後輪側のマ
スタシリンダ40、42にレギュレータ圧PREが導かれ
る。そして、時刻t2 から所定のディレイ時間Tが経過
した時刻t3 において、マスタシリンダカットバルブ9
8、100及び切替バルブ60がオン状態に切り替えら
れる。このディレイ時間Tは短時間とされているため、
時刻t3 においてはブレーキ操作は初期段階にあり、マ
スタシリンダ圧PM/C は比較的低圧である。従って、時
刻t3 においてマスタシリンダカットバルブ98、10
0がオン状態に切り替えられても、マスタシリンダ10
に油撃が生ずることはない。 【0035】なお、時刻t2 から時刻t3 までの期間に
おいては、マスタシリンダ10と前輪側のホイルシリン
ダ64、68は連通している。このため、ブレーキ操作
に伴ってマスタシリンダ10内のブレーキフルードがホ
イルシリンダ64、68に消費されることにより、ブレ
ーキ操作の初期段階における自然なペダルフィーリング
が実現される。 【0036】時刻t3 において、マスタシリンダカット
バルブ98、100及び切替バルブ60がオン状態に切
り替えられると、全てのホイルシリンダがレギュレータ
18と連通するようになる。従って、以後、増圧制御バ
ルブ28及び減圧制御バルブ36の開度が適宜調整され
ることで、ホイルシリンダ圧PW/C は所要の液圧に制御
される。 【0037】上述の如く、本実施例において、イグニッ
ションスイッチがオンされた時点でブレーキ操作が行な
われている場合、このブレーキ操作中はマスタシリンダ
カットバルブ98、100の切り替えが禁止される。従
って、本実施例のブレーキ液圧制御装置によれば、マス
タシリンダ圧PM/C が昇圧された状態でマスタシリンダ
カットバルブ98、100が切り替えられるのを防止す
ることができ、これにより、イグニッションスイッチを
オンする際にブレーキ操作が行なわれていた場合に、こ
のブレーキ操作中にマスタシリンダ10に油撃が生ずる
のを防止することができる。 【0038】本実施例のシステムが有する上記の性能
は、ECUが所定のルーチンを実行することにより実現
される。以下、図3を参照して、本実施例において、E
CUが実行する処理の内容について説明する。図3は、
本実施例においてECUが実行するルーチンのフローチ
ャートである。図3に示すルーチンは所定の時間間隔で
起動される定時割り込みルーチンである。なお、本ルー
チンにおいて、ブレーキ解除記憶は「無し」に初期化さ
れている。 【0039】図3に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ200の処理が実行される。ステップ200で
は、ブレーキ操作中であるか否かが判別される。その結
果、ブレーキ操作中でないならば、次にステップ202
においてブレーキ解除記憶が「有り」に設定された後、
今回のルーチンは終了される。一方、ステップ200に
おいてブレーキ操作中であるならば、次にステップ20
4の処理が実行される。 【0040】ステップ204では、ブレーキ解除記憶が
「有り」であるか否かが判別される。その結果、ブレー
キ解除記憶が「無し」であるならば、マスタシリンダカ
ットバルブ98、100をオン状態に切り替えるべきで
ないと判断されて、以後何ら処理が実行されることなく
今回のルーチンは終了される。一方、ステップ204に
おいて、ブレーキ解除記憶が「有り」であるならば、今
回のブレーキ操作はイグニッションスイッチがオンされ
た後に開始されたものであり、現時点ではブレーキ操作
の初期段階にあると判断される。この場合、マスタシリ
ンダカットバルブ98、100をオン状態に切り替えて
もマスタシリンダ10に油撃を与えることはないと判断
されて、ステップ206以降の処理が実行される。 【0041】ステップ206では、増圧制御バルブ26
が全開とされ、続くステップ208においてディレイ時
間Tの経過を待った後、ステップ210の処理が実行さ
れる。ステップ210では、マスタシリンダカットバル
ブ98、100、及び切替バルブ60をオン状態とする
ための処理が実行される。ステップ210の処理が終了
されると、次にステップ212の処理が実行される。 【0042】ステップ212では、ブレーキ解除記憶が
「無し」に設定される。これにより、本ルーチンが次回
起動された際、ブレーキ操作が引続き行なわれている場
合に、上記ステップ206〜210の処理が再度実行さ
れることが防止される。ステップ212の処理が終了さ
れると、次にステップ214の処理が実行される。ステ
ップ214では、ホイルシリンダ圧PW/C を制御するた
めの制御ルーチンの実行が許可される。この制御ルーチ
ンでは、マスタシリンダ圧PM/C に基づいて増圧制御バ
ルブ28及び減圧制御バルブ36の開度を適宜調整する
ことにより、ホイルシリンダ圧PW/C を所要の油圧に制
御するための処理が実行される。ステップ214の処理
が終了されると今回のルーチンは終了される。 【0043】なお、上記実施例においては、ブレーキ解
除記憶の有無に基づいて、現在のブレーキ操作がイグニ
ッションスイッチがオンされた時点で既に行なわれてい
たものであるか否かを判別することとしたが、本発明は
これに限定されるものではなく、ブレーキ操作が検出さ
れた時点でのマスタシリンダ圧PM/C に基づいて上記判
別を行なうこととしてもよい。すなわち、ブレーキ操作
が検出された時点で、マスタシリンダ圧PM/C が所定値
を越えて昇圧されている場合に、現在のブレーキ操作は
イグニッションスイッチがオンされた時点で既に行なわ
れていたものと判断することができる。 【0044】なお、上記実施例においては、マスタシリ
ンダカットバルブ98、100が請求項1に記載した切
替弁に相当し、また、ECUが図3に示すルーチンのス
テップ204の処理を実行することにより請求項1に記
載した切替禁止手段が実現されている。 【0045】 【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、イグニッ
ションスイッチがオンされた時点でブレーキ操作が行な
われている場合に、当該ブレーキ操作中にマスタシリン
ダに油撃が生ずるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例であるブレーキ液圧制御装置
のシステム構成図である。 【図2】ブレーキ操作が行なわれた状態でイグニッショ
ンスイッチがオンされた場合の本実施例のブレーキ液圧
制御装置の動作状態を例示するタイムチャートである。 【図3】本実施例において、ECUが実行するルーチン
のフローチャートである。 【符号の説明】 10 マスタシリンダ 40、42、64、68 ホイルシリンダ 98、100 マスタシリンダカットバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 淳一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−221304(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 13/00 - 13/74 B60T 8/00 - 8/96

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 マスタシリンダと、ホイルシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間の連通
    及び遮断を切り替える切替弁とを備えるブレーキ液圧制
    御装置において、 イグニッションスイッチがオンされた時点でブレーキ操
    作が行なわれている場合に、当該ブレーキ操作中は前記
    切替弁の作動を禁止する切替禁止手段を備えたことを特
    徴とするブレーキ液圧制御装置。
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