JP3401730B2 - 先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品 - Google Patents

先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品

Info

Publication number
JP3401730B2
JP3401730B2 JP28043393A JP28043393A JP3401730B2 JP 3401730 B2 JP3401730 B2 JP 3401730B2 JP 28043393 A JP28043393 A JP 28043393A JP 28043393 A JP28043393 A JP 28043393A JP 3401730 B2 JP3401730 B2 JP 3401730B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
core
sheath
tapered
nap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28043393A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06212515A (ja
Inventor
啓司 福田
英治 秋庭
孝夫 赤木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP28043393A priority Critical patent/JP3401730B2/ja
Publication of JPH06212515A publication Critical patent/JPH06212515A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3401730B2 publication Critical patent/JP3401730B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は張り、腰のある風合と、
優れた発色性、色の深みを有し、縫製後の縫い目に白ボ
ケが生じない立毛製品を構成する先細繊維に関し、カ−
シ−ト、カ−ペット等のインテリア分野から人工スエ−
ド、衣料分野等にまで幅広い用途を有するポリエステル
系の立毛製品、それを構成する先細繊維に関する。 【0002】 【従来の技術】カットパイル、モケット、ダブルラッセ
ル、ベロア、ベルベットのような立毛製品は多様な外
観、および風合を有し、カ−シ−ト等の車両用内装材;
カ−ペット、植毛布等のインテリア;人工スエ−ド、衣
服等幅広い分野に用途がある。またポリエステル、とく
にポリエチレンテレフタレ−トからなる繊維は衣料用、
産業用あるいは建装用等の分野に幅広く利用されてい
る。 【0003】とくに近年、車両用内装材の用途におい
て、ポリエチレンテレフタレ−ト繊維の優れた耐光性が
活かされ、急速にその使用量が増加している。しかしな
がら、このポリエチレンテレフタレ−ト繊維からなる立
毛製品は、アクリル、ナイロン、レ−ヨン、絹、羊毛等
に比較して肌触りが硬く、光沢、艶等の外観が著しく劣
っている。また染色した場合も立毛製品の立毛部が羊
毛、絹等の天然繊維からなる立毛部に比較して、その表
面が平滑であるためマイルドな光沢が得られにくく、風
合も自然さがなく、色の深みも得られにくい等の欠点が
あった。 【0004】一般に、立毛製品の色を濃く見せるために
はポリエステル繊維に無機微粒子が添加されていないス
−パ−ブライトタイプを用いればよいが、この繊維を立
毛部に用いた立毛製品は発色性は向上するものの、見る
角度によってはギラツキが見られ、高級感が損なわれ、
実用的ではない。このギラツキ感を解消するためにポリ
エステル繊維に酸化チタンを少量添加したセミダルタイ
プの糸が立毛部に用いられているが、発色性が悪くな
り、淡色系に染色した場合に色が白茶けて見え、高級感
に欠ける。また、該立毛部の色調が見る角度によって異
なり、艶、色濃度に変化を生じ、部分的に黒ずんで見え
たり、埃をかぶったように白っぽく見えることが多い。
さらに該立毛品を縫製した場合、縫製部には立毛倒れが
生じ、立毛倒れ部分が白っぽく見える、いわゆる縫い目
白化が生じ、非常に高級感を損なう欠点がある。この一
原因として、ポリエステル繊維の屈折率が大きく、表面
形状が平滑であることによる表面反射率が大きいこと、
ポリエステル繊維側面と断面との屈折率の差が大きいこ
と等による発色性の低下が挙げられる。 【0005】かかる欠点、すなわち、立毛製品の立毛部
に用いたポリエステル繊維の発色性を向上させるために
種々の提案がなされている。まず、ポリエステル繊維を
芯部とし、カチオン可染性ポリエステルを鞘部とした芯
鞘型複合繊維において、鞘部を芯部より濃色に染色する
ことで繊維側面が立毛製品の表面に露出してもそれが目
立たないようにすることが特開昭62−268855号
公報に開示されている。しかしながら、鞘部をカチオン
染料で染色し、濃色化するので耐光性が悪化し用途によ
っては使用できない場合がある。 【0006】また、芯鞘型複合ポリエステル系繊維にお
いて、芯部に鞘部より多く酸化チタンを添加することに
より複合繊維側面の鏡面反射を小さくし、複合繊維断面
の鏡面反射と大差が生じないようにしたパイル布帛が特
開平3−124858号公報に、鞘部にのみ屈折率の高
い無機微粒子を添加させることにより発色性が良好でギ
ラツキ感のないパイル布帛が特開平1−306646号
公報に開示されている。しかしながら、芯部および/ま
たは鞘部に酸化チタン等の屈折率の高い無機微粒子を添
加させることにより、ポリエステル繊維断面の表面反射
率が繊維側面の表面反射率と近似し、該複合繊維を立毛
部とした立毛製品の極端な毛倒れによる白ボケ、縫い目
白化等を解決するにはいたっていない。 【0007】さらに、ポリエステル繊維の表面(側面)
を粗面化することにより、光が該粗面に当たると、その
凹部でジグザグな反射を繰り返している間に、光が繊維
内部に吸収されてしまい、表面反射率が小さくなること
は知られている。この技術を応用して、芯鞘型複合繊維
の鞘部表面を粗面化して、繊維表面の反射率を小さく
し、さらに先端を先細化させることにより、先細部に当
たった光を乱反射させ表面反射率を大きくし、ポリエス
テル系複合繊維の繊維断面と繊維側面の表面反射率の差
を小さくすることも特開平4−214412号公報に開
示されている。該技術により、ポリエステル系複合繊維
の繊維断面と繊維側面との表面反射率の差は小さくな
り、かかる繊維を立毛部とした立毛製品の黒ズミ、白ボ
ケは解消されるが、縫い目白化という極端な毛倒れの場
合の色斑の解消にはいたっていない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、黒ズ
ミ、白ボケ、毛倒れによる縫目白化等の色差、光沢差が
ない立毛製品を得ることにあり、このような立毛製品を
構成し得る先細繊維を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、高級感の
あるウ−ルを立毛部に使用した布帛を目標にしてポリエ
ステル繊維を立毛部に有する立毛製品を鋭意検討した結
果、立毛部には優れた発色性およびマイルドな光沢を有
し、また黒ズミ、毛倒れによる白ボケ、縫い目白化等の
色差、光沢差がなく、さらに腰のある風合を有する立毛
製品を見出だした。 【0010】本発明は、芯部に非アルカリ溶出性の無機
微粒子を0.3〜15重量%、鞘部にアルカリ溶出性の
無機微粒子を0.5〜5重量%含有してなる芯鞘型ポリ
エステル系繊維をアルカリ処理して、先端部をテーパー
状にすることを特徴とする先細繊維の製造方法である。 【0011】本発明における芯鞘型複合ポリエステル系
繊維(以下、複合繊維と略称する)とは、単芯、多芯の
芯鞘断面を持つ複合繊維であり、溶融複合紡糸が可能で
しかも芯部と鞘部の相互接着性のあるポリエステル成分
同志の組み合わせが好ましい。とくに単芯の場合が好ま
しく、単芯の場合は同心であっても偏心であってもよ
い。 【0012】また複合繊維断面、芯部断面は丸断面のみ
ならず、異形断面であってもよく、複合繊維断面と芯部
断面の形状は同じであってもよく、異なっていてもよ
い。複合繊維における芯部と鞘部の複合比は20/80
〜70/30(重量比)、とくに30/70〜60〜4
0の範囲が好ましい。 【0013】複合繊維の芯部および鞘部を構成するポリ
エステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリナ
フタレンテレフタレ−ト(PEN)等が挙げられ、ポリ
エステル自身の結晶性を阻害しない範囲で少量の共重合
成分、たとえばジエチレングリコ−ル、ネオペンチルグ
リコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、シクロヘキサ
ンジカルボン酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸お
よびそのナトリウム塩、ポリアルキレングリコ−ル等を
共重合せしめることもできる。また、光沢改良剤、難燃
剤、染色改良剤、紫外線吸収剤等の添加剤が含有されて
いてもよい。 【0014】さらにポリエステルの重合度についてもと
くに制限はなく、通常の繊維に用いられる範囲、たとえ
ば極限粘度が0.6〜0.8程度が好ましく用いられ
る。 【0015】複合繊維の先端部をアルカリ処理により先
細化するためには、鞘部に用いられるポリエステルのア
ルカリ溶解速度が、芯部に用いられるポリエステルのア
ルカリ溶解速度より速いことが好ましいが、後述する添
加無機微粒子の種類、量によってはアルカリ溶解速度が
鞘部、芯部で逆転することがあるので、複合繊維の先端
部がアルカリ処理により先細となるように、ポリエステ
ルの組み合わせを適宜設定することが必要である。た
だ、鞘部と芯部のポリエステルのアルカリ溶解速度差が
あまり大きすぎると、アルカリ処理による分解が選択的
に生じ、その結果良好な先細形状が得られるものの、繊
維全体の繊度が小さくなり、腰の弱い立毛製品しか得ら
れないことがある。なお、アルカリ溶解速度とは、鞘部
および芯部を構成するポリエステル(添加剤を含んでい
る場合にはそれを同じ組成割合で添加する)を各々単独
で、複合繊維と同じ繊度、フィラメント数の糸とし、4
0g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を用いて、9
6℃で40分間処理した時の減量率で示される。 【0016】本発明の特徴は、芯露出部以外の複合繊維
の表面(鞘部表面)および先細部の芯露出部の表面にそ
れぞれ異なる大きさの凹部が特定数形成されていること
にある。すなわち、芯露出部以外の複合繊維の表面(鞘
部表面)には径が0.2〜0.7μmの凹部が20〜1
000個/100μm↑2の割合で形成され、先細部の
芯露出部には径が0.5〜5μmの凹部が0.1〜20
個/100μm↑2の割合で形成されている。 【0017】まず、芯露出部以外の複合繊維の表面(鞘
部表面)に形成される凹部について説明する。該凹部の
径とは、繊維軸に対して直角な外周方向に存在する凹部
の最低点と、隣接する凹部の最低点までの平面上の距離
を示し、該距離および数は走査型電子顕微鏡で測定でき
得る。このような凹部は先細化された芯露出部以外の繊
維表面(鞘部表面)に形成されるが、芯露出部以外の繊
維表面全体にわたって形成される必要はなく、少なくと
も芯露出部以外の先細部表面に形成されていることによ
り本発明の目的は達成される。一層の色の深み、マイル
ドな光沢を得るためには、芯露出部以外の繊維表面全体
にわたって凹部が形成されることが好ましい。 【0018】上述の定義による径が0.2μm未満の凹
部しかない場合、または径が0.2〜0.7μmの範囲
の凹部の数が20個/100μm↑2未満の場合には繊
維表面の鏡面反射率の低下が少なく、光沢のギラツキ、
ネトツキ等の改良効果が少ない。また径が0.7μmを
越えると光の拡散を生じ、かえって繊維表面の吸光性を
小さくすることになる。さらに径が0.2〜0.7μm
の範囲の凹部の数が1000個/100μm↑2を越え
ると、繊維表面の粗面構造が小さくなりすぎ、摩耗等に
より粗面構造がくずれ、かえって鏡面的光沢となり、色
がくすみ白っぽくなりやすくなる。繊維表面(鞘部表
面)における光の鏡面反射を小さくし、光の繊維への吸
収を促進させるために、径が0.4〜0.6μmの凹部
が50〜500個/100μm↑2の範囲で存在するこ
とが好ましい。 【0019】次に複合繊維の先細部における芯露出部に
形成される凹部について説明する。芯露出部に形成され
る凹部の径も上述の繊維表面(鞘部表面)に形成される
凹部の径の定義と同じであり、その径、数は走査型電子
顕微鏡にて測定され得る。上述の定義による径が0.5
μm未満の凹部しかない場合、または径が0.5〜5μ
mの範囲の凹部の数が0.1個/100μm↑2未満の
場合には黒ズミが発生し易い。また径が5μmを越える
と、本発明の先細繊維を立毛とした立毛製品の触感が悪
くなる。さらに径が0.5〜5μmの範囲の凹部の数が
20個/100μm↑2を越えても同様に立毛製品の触
感が悪くなる。 【0020】芯露出部における光の吸光性を小さくする
ために、径が0.7〜2μmの凹部が0.1〜10個/
100μm↑2の範囲で存在することが好ましい。 【0021】本発明においては、立毛製品の立毛部に、
先細部の芯露出部と該露出部以外の繊維表面(鞘部表
面)にそれぞれ異なる形状の凹部が形成されている先細
繊維を用いることにより、黒ズミ、白ボケ等はもちろん
のこと、縫い目白化の解消された立毛製品が得られるの
である。 【0022】すなわち、立毛部の繊維表面に入射した光
が、芯露出部以外の繊維表面(鞘部表面)に形成された
微細な凹部により反射光が干渉され打ち消し合い、また
該凹部の周囲をめぐって次々と起こる反射と吸収の繰り
返しによって反射光が低下し、繊維表面(鞘部表面)の
鏡面反射率が小さくなる。一方、芯露出部に形成された
凹部の径は繊維表面(鞘部表面)に形成された凹部の径
より大きく、その数も少ないため、芯露出部に入射した
光は該凹部により拡散されるため、芯露出部の吸光性が
小さくなる。さらに、芯露出部は先細化されているた
め、立毛部の繊維の側面と断面の区別がなくなるのであ
る。 【0023】通常、ポリエステル繊維を立毛とした立毛
製品は、ポリエステル繊維断面の鏡面反射率が小さく、
ポリエステル繊維表面の吸光性が小さいため黒ズミ、白
ボケ、縫い目白化等の問題が生じていたが、本発明によ
りこれらの問題が解消されたのである。 【0024】立毛部における先細化は、立毛の先端部か
ら立毛長の20%以上の範囲が好ましく、毛倒れを防ぐ
上で、立毛長の50%以下の範囲が先細化されているこ
とが好ましい。なお、先細化されている部分とは、立毛
の直径が立毛根元部と比較して実質的に小さい部分、具
体的には根元部直径の90%以下となっている部分を意
味している。 【0025】本発明の立毛製品は立毛長が10mm以
下、とくに5mm以下であることが好ましい。10mm
を越えると本発明による効果は助徐々に減少する。立毛
密度は7×10↑3〜8×10↑6本/cm↑2が適し
ており、さらに望ましくは10↑4〜2×10↑5本/
cm↑2である。立毛密度が高すぎると後述するアルカ
リ処理による立毛部先端の先細加工が均一に行なわれに
くく、一方低すぎると、適正な先細形状となりにくい。 【0026】立毛を構成する先細繊維の先細化されてい
ない根元部が細くなりすぎると、毛倒れが生じ易く、風
合的にも腰が弱くなる。そのため立毛根元部の繊度は2
〜6デニ−ルの範囲が好ましい。従来、3デニ−ル以上
になると立毛部がチクチクして不快感を与えていたが、
本発明によるとチクチク感も解消されるため、繊度の大
きい繊維を立毛部として使用でき、毛倒れ性が改良され
る。本発明の立毛製品において、立毛部を構成する繊維
の全てが上述した先細繊維である必要はなく、立毛部の
一部、たとえば立毛を構成する繊維本数の30%以上が
上述の先細繊維であればよく、とくに50%以上が先細
繊維であることが好ましい。 【0027】本発明の複合繊維を先細化し、その表面に
特定形状の凹部を形成させるための一方法として以下の
方法が挙げられる。芯部に非アルカリ溶出性の無機微粒
子が0.3〜15重量%含有され、鞘部にアルカリ溶出
性の無機微粒子が0.5〜5重量%含有された芯鞘型複
合ポリエステル系繊維をアルカリ処理することにより、
少なくとも一方の先端部をテ−パ−状に先細化し、先細
部の芯露出部および芯露出部以外の繊維表面に特定形状
の凹部を特定数形成させることができる。 【0028】芯部に含有される非アルカリ溶出無機微粒
子としては酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、
リトポン、硫酸バリウム等が挙げられるが、この中でも
ポリエステル中に均一に分散しやすいこと、ポリエステ
ルより屈折率が高いことから酸化チタンが好ましい。該
微粒子の含有量が0.3重量%未満の場合、本発明の先
細繊維の芯露出部に形成される凹部の数が少なくなり、
アルカリ減量加工条件を調整しても所望の凹部形状は得
られない。一方該微粒子の含有量が15重量%を越える
と、紡糸時のノズル詰まりや断糸が発生し、製糸性が著
しく阻害される。非アルカリ溶出性無機微粒子の平均粒
径はとくに制約されないが、先細繊維の芯露出部に径が
0.5〜5μmの凹部が0.1〜20個/100μm↑
2の割合で形成されるためには、1.0μm以下、とく
に0.5μm以下であることが好ましい。 【0029】鞘部に含有されるアルカリ溶出性無機微粒
子としてはシリカ、炭酸カルシウム、カオリン等が挙げ
られるが、この中でも屈折率がポリエステルより小さい
コロイダルシリカが好ましい。該微粒子の含有量が0.
5重量%未満の場合、本発明の先細繊維の芯露出部以外
の繊維表面に形成される凹部の数が少なくなり、本発明
の効果が奏されにくい。一方該微粒子の含有量が5重量
%を越えると、凹部の個数は多くなるものの、粒子の凝
集塊が発生し易くなり、製糸の均斉性が阻害され易い。
アルカリ溶出性無機微粒子の平均粒径はとくに制約され
ないが、先細繊維の芯露出部以外の繊維表面に径が0.
2〜0.7μmの凹部を20〜1000個/100μm
↑2の割合で形成されるためには、0.2μm以下、と
くに0.1μm以下であることが好ましい。 【0030】無機微粒子の粒径は光学的方法、レ−ザ−
散乱法により測定した値である。 【0031】アルカリ処理条件としては、通常のアルカ
リ減量加工に用いられる条件でさしつかえないが、増粘
剤を含む加水分解剤液を使用することが、先細化の均一
性の点から好ましい。加水分解剤としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ性化合物が挙げら
れる。場合によってはラウリルベンジルアンモニウムク
ロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等
の加水分解促進剤を併用してもよい。 【0032】加水分解剤に含まれる増粘剤としてはデン
プン、天然ガム、海藻類(アルギン酸ナトリウム)等の
天然高分子糊剤;ポリビニルアルコ−ル、ポリアクリル
酸ナトリウム、スチレン・マレイン酸共重合物等の合成
高分子糊剤などが挙げられるが、とくに限定されるもの
ではなく、糊剤が複合繊維に対して非加水分解性で、か
つ加水分解剤液中に均一に分散されるものであればよ
い。増粘剤を含有した加水分解剤液の粘度は、加水分解
剤液の加水分解性および毛管現象を抑制し、目的とする
良好な先細形状を得るために、室温条件下において10
0〜2000cps.の範囲であることが好ましい。 【0033】また、立毛製品の立毛部を構成する複合繊
維の先細化、凹部の形成のためのアルカリ処理も、複合
繊維のアルカリ処理と同様にして施される。パイル編、
パイル織、モケット、ダブルラッセル、ベロア、ベルベ
ットまたはタフティング、電気植毛等の方法により、前
述の複合繊維を立毛部として構成した立毛製品の立毛先
端部に増粘剤を含む加水分解剤液をパディング法、グラ
ビアコ−ト法、キスコ−ト法、ナイフコ−ト法、プリン
ト法、ロ−タリ−スクリ−ン法、捺染機を用いる方法等
で塗布する。これらの方法のうち、とくにパディング
法、たとえば立毛製品を、加水分解剤液面上を立毛部の
みが浸漬されるように立毛製品の立毛面を下にして加水
分解剤液上を通過させたのち、マングルで絞り加水分解
剤液を除去する方法を用いると、立毛根元部まで特定形
状の凹部が形成されるので好ましい。マングルで絞る際
のピックアップ率は、立毛製品重量に対して30〜70
重量%、とくに40〜60重量%の加水分解剤液が含有
されるように絞液することが好ましい。また、このパデ
ィング法により付与する際の加水分解剤液の粘度は、と
くに150〜1000cps.の範囲が好ましく、加水
分解剤として水酸化ナトリウムを用いる場合には、アル
カリ濃度が1〜30重量%の範囲であることが好まし
い。 【0034】これらいずれかの方法によって立毛部に加
水分解剤液が塗布された立毛製品の加熱処理法としては
熱風、赤外線ヒ−タ−等の乾熱処理、スチ−ム等の湿熱
処理などの技術が適用できるが、乾熱処理の場合、加水
分解剤液の乾固が必要以上に早く起こって十分な処理効
果が得られない場合もあるので、立毛部の繊維の組成、
種類、処理剤の内容、その他の処理条件などから加熱処
理方式や加熱温度および処理時間等は適宜選択すること
が好ましい。加熱処理条件としては、処理温度が80〜
180℃、処理時間が5〜120分の範囲内で湿熱処理
を施すことが好ましい。 【0035】本発明は、前述のように、立毛部が芯鞘型
複合ポリエステル系繊維からなる立毛製品の立毛先端部
に加水分解剤を含む粘性の液体を付与した後、加熱処理
によって立毛先端を先細形状とするとともに、先細部の
芯露出部および該芯露出部以外の繊維表面に特定形状で
特定数の凹部を形成させることにより、ソフトな風合を
有する立毛製品が得られる。さらに該立毛製品の染色品
は、繊維表面に入射した光が、芯露出部以外の繊維表面
(鞘部表面)に形成された微細な凹部により反射光が低
下し、繊維表面(鞘部表面)の鏡面反射率が小さくな
る。また、芯露出部に入射した光は芯露出部に形成され
た凹部により拡散されるため、芯露出部の吸光性が小さ
くなり、さらに、芯露出部が先細化されているため、立
毛部の繊維の側面と断面の区別がなくなり、従来のポリ
エステル系繊維からなる立毛製品の欠点であった光沢差
・色差に起因する黒ズミ、白ボケ、とくに極端な毛倒れ
に起因する縫い目白化等の問題が解消されるのである。 【0036】 【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。な
お、実施例における測定値は以下の方法に従って測定し
た値である。 【0037】 (1)ポリエステルの極限粘度(dl/g) 試料をフェノ−ル/テトラクロロエタン(等重量比)の
混合溶媒に溶解し、30℃で測定した値である。 (2)凹部径および数 3本の試料を、走査型電子顕微鏡を用いて5000倍以
上の倍率で観察し、1本の試料について2箇所観察し
た。凹部の数はその平均を示す。 【0038】(3)立毛製品の評価 下記の点について官能評価した。 風合 ◎:肌に滑らかな触感でありかつソフトな風
合である。 ○:滑らかな触感を有する。 △:少しチクチクした触感を有する。 ×:チクチクした触感を有し、ざらついている。 外観 ◎:適度な光沢と落ち着いた外観を有する。 ○:マイルドな光沢を有する。 △:白茶けた外観である。 ×:ギラツキ感を有する。 黒ズミ ◎:全く黒ズミが見られない。 ○:黒ズミが認められない。 △:直射日光下で見ると黒ずんで見える。 ×:布帛全体に黒ズミが認められる。 白ボケ ◎:全く白ボケが見られない。 ○:折り曲げても白ボケが見えにくい。 △:折り曲げて浅い角度から見ると、白ボケが目立つ。 ×:布帛全体に白ボケが見える。 縫い目白化◎:全く縫い目白化が見られない。 ○:縫い目白化が見えにくい。 △:紺系では縫い目白化が目立たないが、ベ−ジュ系で
は目立つ。 ×:紺系およびベ−ジュ系共に縫い目白化が目立つ。 【0039】実施例1 屈折率が2.5で、平均粒径が0.2μmおよび0.0
5μmの酸化チタンを表1に示す割合で含有する極限粘
度が0.65のポリエチレンテレフタレ−トまたは極限
粘度が0.80のポリブチレンテレフタレ−トを芯部と
し、屈折率が1.45で、平均粒径が0.03μmのコ
ロイダルシリカを表1に示す割合で含有する極限粘度が
0.68のポリエチレンテレフタレ−トを鞘部とし、芯
部および鞘部の複合比が1:2(重量比)である複合繊
維を紡糸し、速度1000m/分で巻き取った。巻き取
り後、75℃で3.2倍に延伸し、緊張下で130℃で
熱処理を行ない、200デニ−ル/72フィラメントの
同心円状芯鞘型複合繊維のを延伸糸を得た。 【0040】この延伸糸を用いてダブルラッセル編地を
作成した(立毛密度:18000本/cm↑2)。グラ
ンド糸としてポリエステル糸(75デニ−ル/24フィ
ラメント)を使用した。この編地をシャ−リングにより
パイル長が3mmになるようにカットし、ピンテンタ−
にて180℃で乾熱によりプレセット加工を施した。つ
いで、得られた編地の立毛部に、増粘剤としてアルギン
酸ソ−ダ3重量%が含有された水酸化ナトリウム水溶液
(濃度:28重量%、B型粘度計にて20℃、65%
R.H.の条件で測定した粘度:12000cps.)
をロ−タリ−スクリ−ンにて塗布した後、H.T.スチ
−マ−にて処理温度150℃、処理時間5〜15分の温
熱蒸気処理を施した。 【0041】処理済の編地を紺系統、ベ−ジュ系統の2
種類の分散染料を用いてオ−バ−マイヤ−染色機にて染
色した。染色したサンプルの立毛部の先端部形状を光学
顕微鏡により観察したところ、立毛長の25〜30%が
テ−パ−状に先細化されていた。先細部の芯露出部およ
び芯露出部以外の繊維表面を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、表1に示す径および数の凹部が観察された。 【0042】テ−パ−状でなだらかな先細形状を有する
サンプル2〜6のパイル糸は、タッチがソフトであるに
も拘らず、張り、腰があり、視覚的に深みのある発色性
を呈し、黒ズミ、白ボケおよび縫い目白化はほとんど目
立たなかった。サンプル1のパイル糸は、芯露出部に形
成される凹部の数が少ないため、縫い目白化が紺系、ベ
−ジュ系共に生じていた。 【0043】 【表1】 【0044】比較例1〜8 芯部に含有される無機微粒子または/および鞘部に含有
される無機微粒子の種類、含有量を表2のように変える
以外は実施例1と全く同様にしてダブルラッセル編地を
作成した。ついで増粘剤を含有する水酸化ナトリウム水
溶液で該編地の立毛部の先細化処理を処理条件を変えて
施し、紺系統、ベ−ジュ系統の染色を行なった。染色し
た編地の評価を行なった。結果を表2および表3に示
す。 【0045】 【表2】 【0046】 【表3】【0047】比較例1のダブルラッセル編地は、芯露出
部にアルカリ処理による少量の細かい凹部が形成されて
いるため、汚れは付着しにくかったが、黒ズミ、白ボ
ケ、縫い目白化がとくにベ−ジュ系で目立っていた。比
較例2のダブルラッセル編地は、鞘部表面に少量の大き
な凹部しか形成されていないため、染色後の発色性は深
みのないものであり、外観が劣り、また縫い目白化も紺
系、ベ−ジュ系ともに目立っていた。比較例3および比
較例4のダブルラッセル編地は、鞘部表面に凹部がほと
んど形成されていないため、外観が劣り、白ボケ、縫い
目白化が目立っていた。比較例5のダブルラッセル編地
は、鞘部表面に形成される凹部の径が大きすぎるため、
吸光性が小さく、外観が非常に劣っていた。比較例6お
よび比較例7のダブルラッセル編地は、本発明で規定さ
れる径、数の凹部が存在しないため、黒ズミ、白ボケ、
縫い目白化の解消にはいたっていない。比較例8のダブ
ルラッセル編地は、芯露出部と鞘部に形成される凹部の
径と数が実施例で得られる編地と逆転しており、風合が
劣り、黒ズミ、白ボケ、縫い目白化の改良にはいたって
いない。 【0048】 【発明の効果】本発明の先細繊維は、芯成分および鞘成
分がともにポリエステリ系ポリマ−からなる芯鞘型複合
繊維であって、少なくとも一方の先端部がテ−パ−状に
先細化されており、先細化された部分の芯露出部および
鞘成分の表面にはそれぞれ異なる径の凹部が形成されて
おり、該繊維を立毛とする立毛製品は、腰のある風合と
優れた発色性、色の深みを有し、黒ズミ、白ボケといっ
た光沢差、色差なく、そのうえ縫い目白化が生じないの
で、カ−シ−ト等に好適である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の先細繊維における先細部の芯露出部表
面形状を示す写真である。 【図2】本発明の先細繊維における繊維側面(鞘部表
面)の表面形状を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/14 D03D 27/00 D06M 11/00 - 11/84

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 芯部に非アルカリ溶出性の無機微粒子を
    0.3〜15重量%、鞘部にアルカリ溶出性の無機微粒
    子を0.5〜5重量%含有してなる芯鞘型ポリエステル
    系繊維をアルカリ処理して、先端部をテーパー状にする
    ことを特徴とする先細繊維の製造方法。
JP28043393A 1992-10-13 1993-10-13 先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品 Expired - Fee Related JP3401730B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28043393A JP3401730B2 (ja) 1992-10-13 1993-10-13 先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-274344 1992-10-13
JP27434492 1992-10-13
JP28043393A JP3401730B2 (ja) 1992-10-13 1993-10-13 先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06212515A JPH06212515A (ja) 1994-08-02
JP3401730B2 true JP3401730B2 (ja) 2003-04-28

Family

ID=26550996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28043393A Expired - Fee Related JP3401730B2 (ja) 1992-10-13 1993-10-13 先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3401730B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW200525065A (en) * 2003-12-16 2005-08-01 Teijin Fibers Ltd Plush fabric and method for production thereof
JP5072216B2 (ja) * 2005-11-21 2012-11-14 株式会社ジャパンディスプレイセントラル 両面表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06212515A (ja) 1994-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2004029348A1 (ja) 多色繊維パイル布帛及び凹凸模様付き多色繊維パイル布帛
JP2870706B2 (ja) 立毛布帛及びその製造方法
US4525404A (en) Pile articles with attenuated upper portion and a method for producing the same
JP3401730B2 (ja) 先細繊維、その製造方法およびそれからなる立毛製品
KR960011612B1 (ko) 선세화 섬유 및 이를 사용하는 입모직물
JP2824129B2 (ja) 立毛織編物及びその製造方法
JP2582149B2 (ja) 立毛織編物及びその製造方法
JP2970416B2 (ja) 紡績糸およびそれを用いてなる織編物
JP2008150728A (ja) 吸水速乾性織編物
JP3088597B2 (ja) 複合混繊糸およびその製造方法
JP2882659B2 (ja) 偏平複合繊維およびそれを用いた立毛織編物
JP3250850B2 (ja) ポリエステル斑糸およびその製造方法
JPH05331764A (ja) 立毛織編物の先細加工法
JP3689994B2 (ja) ポリエステル複合繊維およびその製造方法
JP2963830B2 (ja) 潜在微捲縮性ポリエステル太細斑糸
JP4123226B2 (ja) 絹様ポリエステル繊維及び布帛並びにそれらの製造方法
JPH0316418B2 (ja)
JPH10158953A (ja) 立毛布帛
JP2923138B2 (ja) ポリエステル斑延伸糸
JP2001164436A (ja) ポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物
JPH05171507A (ja) 内外層複合繊維
JP2829687B2 (ja) 嵩高性ポリエステル斑糸
JPH0242938B2 (ja)
JPH0340832A (ja) パイル布帛
JPH08176937A (ja) シール調立毛布帛及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees