JP3401137B2 - 傾き検知装置 - Google Patents

傾き検知装置

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JP3401137B2
JP3401137B2 JP09227996A JP9227996A JP3401137B2 JP 3401137 B2 JP3401137 B2 JP 3401137B2 JP 09227996 A JP09227996 A JP 09227996A JP 9227996 A JP9227996 A JP 9227996A JP 3401137 B2 JP3401137 B2 JP 3401137B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾きを検知する必
要のある機器に搭載される傾き検知装置に関し、例えば
ストーブ、ファンヒータといった暖房機器の転倒による
火災を防止するためのセンサとしての用途がある。
【0002】
【従来の技術】従来、暖房機器等に搭載される傾き検知
センサとして、図10,11,12に示すように、透過
型光結合装置(フォトインタラプタ)に可動切片1を設
けたものがある。
【0003】フォトインタラプタは、発光素子2を有す
る発光側透光性樹脂体3と受光素子4を有する受光側透
光性樹脂体5とが遮光性の外装ケース6に内装されて、
発光素子2と受光素子4とが通過路7を挟んで対向配置
されて光学的に結合されたものである。なお、発光側透
光性樹脂体3は、リードフレーム8にダイボンドされて
金線9にて結線された発光素子2を透光性樹脂によりモ
ールドしたもので、受光側透光性樹脂体5は、リードフ
レーム10にダイボンドされて金線9にて結線された受
光素子4を透光性樹脂によりモールドしたものであり、
図中、11,12は発光素子2からの光を通過させて受
光素子4に導くために外装ケース6に形成されたスリッ
ト、Lは発光素子2と受光素子4とを結ぶ光軸である。
【0004】可動切片1は、外装ケース6の上部に突設
された一対の軸受6a,6bに回転自在に支持された横
軸15と、該横軸15に一体的に形成され発光素子2か
ら受光素子4までの光路を遮断する遮光片16とからな
り、遮光片16は、通過路7上を横軸15周りに振り子
のように移動する。
【0005】そして、この傾き検知センサを暖房機器に
搭載した使用状態において、機器が傾いていない場合に
は、図12(a)に示すように、外装ケース6は傾か
ず、重力方向に沿った自然な位置にある遮光片16によ
って通過路7上の光路が遮断され、受光素子4に光が入
射せず受光されないようになっている。一方、機器が傾
いた場合には、図12(b)に示すように、外装ケース
6は傾くが、遮光片16は重力方向に沿った自然な位置
に移動し、これによって遮光片16が光路上から退いて
光路が確保され、受光素子4に光が入射して受光される
ようになっている。このような受光素子4の受光量の変
化によって、機器が傾いているか否かを検知している。
なお、傾いているか否かの検知とは、転倒したか否かの
検知も含む。
【0006】この他に、外装ケースに内装されて対向配
置された受発光素子間に、鋼球を移動自在に収容し、外
装ケースが傾いたときに鋼球が移動して受光素子の受光
量を変化させることにより、機器が傾いているか否かを
検知する傾き検知センサがある。
【0007】さらに、図13,14は、暖房機器に搭載
される一般的なスイッチ構造の傾き検知センサを示して
いる。この傾き検知センサは、電気接点20a,20b
を有する一対の金属板21a,21bと、該金属板21
a,21bに当接離間して電気接点20a,20bをオ
ンオフする可動シャフト22とが外装ケース23に設け
られたものである。可動シャフト22は、スプリング2
4により金属板21aから離間する方向(電気接点20
a,20bをオフする方向)に付勢され、外装ケース2
3から突出した一端が図13の矢印方向に押し込まれる
と、他端が金属板21aに当接して電気接点20a,2
0bをオンする構造となっている。
【0008】そして、この傾き検知センサを暖房機器に
搭載した使用状態において、機器が傾いていない場合に
は、図14(a)に示すように、可動シャフト22の一
端が接地面(床面)に当接し、これにより可動シャフト
22がスプリング24の付勢力に抗して押し込まれて、
電気接点20a,20bがオンするようになっている。
一方、機器が傾いた場合には、図14(b)に示すよう
に、可動シャフト22の一端が床面から離間し、これに
より可動シャフト22がスプリング24の付勢力によっ
て金属板21aから離間する方向に押し出されて、電気
接点20a,20bがオフするようになっている。この
ような電気接点20a,20bのオンオフによって、機
器が傾いているか否かを検知している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の可動切片1を用
いた傾き検知センサにおいては、外装ケース6が可動切
片1の遮光片16の移動方向に傾いたときには、遮光片
16が移動して傾きを検知することができるが、例えば
外装ケース6が遮光片16の移動方向と直交する方向
(横軸方向)に傾いたときには、遮光片16が移動せ
ず、検知できない恐れがあった。また、鋼球を用いた傾
き検知センサにおいても同様に、鋼球が移動する方向が
決まっているため、外装ケースが鋼球の移動方向と異な
る方向に傾いたときには、鋼球が移動せず、検知できな
い恐れがあった。
【0010】また、スイッチ構造の傾き検知センサにお
いては、繰り返し使用の場合、電気接点20a,20b
の酸化等によって接触抵抗が増大するとともに、接触不
良に伴う誤検知が発生する可能性がある。しかも、可動
シャフト22を外装ケース23から突出させておく必要
があるため、構造的に外装ケース23の内部を完全に密
閉することが困難であり、外装ケース23の内部に侵入
したごみや埃が電気接点20a,20bに付着する等し
て誤検知の原因になることがあった。
【0011】さらに、これら上述のセンサにおいては、
単に機器が傾いたか否かを検知するだけで、その傾き角
および傾き方向まで検知することができなかった。
【0012】本発明は、上記に鑑み、いかなる方向に傾
いても確実に傾きを検知することができ、また傾き角お
よび傾き方向まで検知することができる傾き検知装置の
提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、装置本体に、光学的に結合された発光素子および
受光素子と、装置本体がいかなる方向に傾いてもその方
向に従って移動する遮光体と、発光素子から受光素子ま
での光路上に形成され遮光体を収容する収容室とが設け
られたものである。
【0014】具体的には、収容室は密閉された球状空間
とされ、遮光体は球状に形成されており、このため装置
本体が重力方向に対していかなる方向に傾いても、その
方向に従って遮光体が収容室の最も低い位置に移動する
ことになり、この遮光体の移動によって発光素子から受
光素子までの光路が形成されたり遮断されたりして、受
光素子の受光量が変化し、装置本体の傾き、延いては装
置が搭載された機器の傾きを検知することができる。
【0015】また、装置本体の微小な傾きや振動に対す
る遮光体の移動を規制する移動規制手段を設けており、
この移動規制手段としては、遮光体の一部が嵌り込むよ
うな収納室の室壁に設けた孔や溝が考えられる。これに
より、装置本体が大きく傾くまでは、傾きを検知するこ
とはない。
【0016】さらに、装置本体は、発光素子を内装した
遮光性を有する発光側ケースと、受光素子を内装した遮
光性を有する受光側ケースからなり、発光側ケースと受
光側ケースとが組み合わされて収容室が形成され、発光
側ケースおよび受光側ケースに発光素子から受光素子ま
での光路を確保する導光部が形成されたものである。こ
こで、例えば発光側ケースおよび受光側ケースに半球状
凹部を形成しておくと、発光側ケースと受光側ケースと
を組み合わせて半球状凹部を合わせることにより、密閉
された球状空間である収容室を簡単に形成することがで
きる。
【0017】また、装置本体の傾き角および傾き方向を
検知するために複数の受光素子を設けている。装置本体
の傾きに応じた遮光体の移動により、各受光素子の受光
量が変化し、このときの各受光素子の出力の変化を算
出、演算することにより、遮光体がどの方向にどの程度
移動したかがわかり、これによって装置本体の傾き角お
よび傾き方向を検知する。
【0018】他の課題解決手段は、遮光体の代わりに透
光体を使用し、透光体はその厚みに応じて光の透過量が
異なり、装置本体の傾きに応じて光路上における透光体
の厚みが変化して受光素子の受光量が変化するものであ
る。透光体としては、例えば透光性流体や透光性粒子を
用いる。装置本体が傾くと、透光体が例えば球状や半球
状空間である収容室を移動して光路上における厚みが変
化し、発光素子からの光の透過量の変化に伴って受光素
子の受光量が変化し、装置本体の傾き、延いては装置が
搭載された機器の傾きを検知することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)本発明の第一の実施形態における傾
き検知装置は、ストーブやファンヒータといった暖房機
器等に搭載されてその傾きを検知するためのものであっ
て、図1に示すように、発光素子30を有する発光側透
光性樹脂体31と受光素子32を有する受光側透光性樹
脂体33とが透光性を有する装置本体(外装ケース)3
4に内装されて、発光素子30と受光素子32とが対向
配置されて光学的に結合されている。そして、外装ケー
ス34がいかなる方向に傾いてもその方向に従って移動
する遮光体35と、発光素子30から受光素子32まで
の光路上に形成され遮光体35を収容する収容室36と
が外装ケース34に設けられている。
【0020】前記発光素子30は、発光ダイオード(L
ED)とされ、搭載用発光側リードフレーム37に銀ペ
ースト等の接着剤を用いてダイボンドされ、金線38を
介して結線用発光側リードフレーム(図示しない)に電
気的に接続されている。そして、発光素子30、各リー
ドフレームの端部、および金線38を全て含めて透光性
樹脂(例えば、透光性エポキシ樹脂)によりモールドす
ることにより前記発光側透光性樹脂体31が形成されて
いる。
【0021】前記受光素子32は、フォトダイオードと
され、搭載用受光側リードフレーム39に銀ペースト等
の接着剤を用いてダイボンドされ、金線38を介して結
線用受光側リードフレーム(図示しない)に電気的に接
続されている。そして、受光素子32、各リードフレー
ムの端部、および金線38を全て含めて透光性樹脂(例
えば、透光性エポキシ樹脂)によりモールドすることに
より前記受光側透光性樹脂体33が形成されている。な
お、発光側および受光側の各リードフレームは、図示し
ないプリント配線基板に半田付け等により電気的に接続
される。
【0022】前記外装ケース34は、透光性樹脂にて形
成され発光側透光性樹脂体31を収納する発光側ケース
50と、同じく透光性樹脂にて形成され受光側透光性樹
脂体33を収納する受光側ケース51とからなり、発光
側ケース50と受光側ケース51とは係合手段52によ
り互いに係合して組み合わされている。
【0023】前記発光側ケース50は、発光素子30の
発光面と対向する側が略凸状に形成され、その中央に半
球状凹部53が形成され、半球状凹部53を挟んだ両端
に弾性変形可能な係合爪54が形成されている。前記受
光側ケース51は、受光素子32の受光面と対向する側
が略凹状に形成され、その中央に半球状凹部55が形成
され、半球状凹部55を挟んだ両端に発光側の係合爪5
4と係合する弾性変形可能な係合爪56が形成されてい
る。したがって、係合手段52は、発光側の係合爪54
および受光側の係合爪56から構成されている。なお、
発光側ケース50および受光側ケース51は、それ自体
が発光素子30からの光を受光素子32に導く導光部と
して機能し、図示しないが、その外面は遮光性の部材で
覆われて外乱光の侵入を防止している。
【0024】前記収容室36は、係合手段52により発
光側ケース50と受光側ケース51とを組み合わせるこ
とにより、発光側の半球状凹部53と受光側の半球状凹
部55とが合わさって形成された球状空間であり、発光
素子30と受光素子32を結ぶ光路の光軸Lが中央に位
置し、発光側ケース50および受光側ケース51の互い
の対向面が密着することにより密閉された状態となって
いる。
【0025】前記遮光体35は、金属または樹脂等の遮
光性を有する材料にて球状に形成されたものであり、そ
の直径が収容室36の半径よりも小とされて、収容室3
6に移動自在に収容されている。なお、発光側の半球状
凹部53または受光側の半球状凹部55に遮光体35を
入れておいてから、発光側ケース50と受光側ケース5
1とを組み合わせることにより、遮光体35を収容室3
6に収容させている。
【0026】上記構成において、発光素子30および受
光素子32が上下方向に配されるように、すなわち発光
素子30と受光素子32とを結ぶ光軸Lが重力方向にな
るように傾き検知装置を機器に搭載する。このとき、傾
き検知装置側と機器側を電気的に接続しておく。この傾
き検知装置の使用状態において、機器が傾いていない場
合には、図1に示すように、外装ケース34は傾かず、
遮光体35は収納室36の光路上の最も低い位置で安定
している。このとき、発光素子30からの光は、発光側
透光性樹脂体31、発光側ケース50の順に透過して収
容室36に到達するが、ここで遮光体35により遮断さ
れて受光素子32に入射せず受光されない。
【0027】一方、機器が傾いた場合には、例えば図2
(a),(b)に示すように、外装ケース34は重力方
向に対して傾き、遮光体35は収容室36の最も低い位
置に移動する。また、球状空間である収納室36に球状
の遮光体35が収容されているので、図2(a),
(b)に示すような左右の傾きに限らず、機器がいかな
る方向に傾いても、すなわち外装ケース34が重力方向
に対していかなる方向に傾いても、遮光体35は外装ケ
ース34の傾く方向に従って収容室36の最も低い位置
に移動する。外装ケース34の傾き角が一定値以上にな
ると、遮光体35が光路上から退いて光路が確保され
る。すなわち、発光素子30からの光は、発光側透光性
樹脂体31および発光側ケース50の順に透過し、収容
室36を通過して受光側ケース51、受光側透光性樹脂
体33の順に透過して受光素子32に入射し受光され
る。
【0028】このような外装ケース34の傾きに応じた
受光素子32の受光量の変化により、機器が傾いている
か否かを検知し、この検知結果に基づいて機器側のマイ
クロコンピュータによりヒータやファンといった機器の
各部材を制御する。
【0029】このように、外装ケース34が重力方向に
対していかなる方向に傾いても、遮光体35は外装ケー
ス34の傾く方向に従って移動するので、従来のように
外装ケース34が傾く方向によっては検知できないとい
った不具合を解消し、信頼性の高い傾き検知装置を提供
できる。
【0030】また、発光素子30および受光素子32を
用いて、受光素子32の受光量の変化により傾きを検知
する非接触式の構造となっているので、従来のスイッチ
構造の傾き検知センサのような電気接点の接触不良に伴
う誤検知がない。
【0031】さらに、遮光体35が球状で、かつ収容室
36が球状空間であるため、遮光体35が外装ケース3
4の傾く方向に従って素早くしかも確実に移動し、高精
度な検知が可能となる。しかも、収容室36が密閉され
ているので、収容室36にごみや埃が侵入して光路を遮
断するといった不具合が生じず、より高精度な検知が可
能となる。また、密閉された収容室36は、半球状凹部
53が形成された発光側ケース50と半球状凹部55が
形成された受光側ケース51とを組み合わせることによ
り、簡単に形成することができ、製造の簡略化および製
造コストの削減を図ることができる。
【0032】(第二の実施形態)第二の実施形態におい
ては、図3に示すように、外装ケース60が、遮光性樹
脂(例えば、遮光性エポキシ樹脂)にて形成された発光
側ケース61および受光側ケース62からなっている。
そして、発光側ケース61および受光側ケース62に、
発光素子30から受光素子32までの光路を確保する導
光部63,64が設けられている。
【0033】発光側の導光部63は、透光性樹脂(例え
ば、透光性エポキシ樹脂)にて形成され、光軸Lを中心
として発光側透光性樹脂体31と収容室36との間に配
されている。受光側の導光部64は、透光性樹脂(例え
ば、透光性エポキシ樹脂)にて形成され、光軸Lを中心
として受光側透光性樹脂体33と収容室36との間に配
されている。これら導光部63,64は、発光側ケース
61および受光側ケース62を成形する際に、二色成形
方式等により一体的に成形されている。なお、その他の
構成および動作は第一の実施形態と同様であり、第一の
実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を
付している。
【0034】このように、発光素子30から受光素子3
2までの光路を確保しつつ、発光側ケース61および受
光側ケース62を遮光性樹脂にて形成したため、ケース
全体を遮光する部材を必要とせずに外乱光の影響を受け
なくなり、高精度な検知が可能となる。
【0035】(第三の実施形態)第三の実施形態におい
ては、図4に示すように、発光素子30から受光素子3
2までの光路を確保する導光部が、発光側ケース61お
よび受光側ケース62に形成された貫通孔70,71と
されている。
【0036】発光側の貫通孔70は、光軸Lを中心とし
て発光側透光性樹脂体31と収容室36との間に形成さ
れている。受光側の貫通孔71は、光軸Lを中心として
受光側透光性樹脂体33と収容室36との間に形成され
ている。
【0037】また、これら貫通孔70,71の孔径は、
遮光体35の直径よりも小とされ、遮光体35の一部が
貫通孔70,71に嵌り込むようになっており、したが
って貫通孔70,71は、外装ケース60の微小な傾き
や振動に対する遮光体35の移動を規制する移動規制手
段として機能する。
【0038】これにより、傾き検知装置の使用状態にお
いて、外装ケース60が傾いていないときには、遮光体
35の一部が収納室36の最も低い位置にある貫通孔7
0に嵌り込み、機器の各部材の駆動等に伴う外装ケース
60の微小な傾きや振動に対しては、遮光体35が移動
せず光路は遮断されたままの状態となり、外装ケース6
0が大きく傾くと、遮光体35が貫通孔70から抜け出
して光路が形成され、このとき初めて傾いたことを検知
する。なお、その他の構成および動作は第二の実施形態
と同様であり、第二の実施形態と同様の機能を有する部
材については同符号を付している。
【0039】このように、導光部を貫通孔70,71と
し、この貫通孔70,71を外装ケース60の微小な傾
きや振動に対する遮光体35の移動を規制する移動規制
手段として機能させているので、外装ケース60が大き
く傾くまでは、傾きを検知することはなく、駆動時に振
動するような機器、あるいは微小な傾きは問題にしない
ような機器への搭載に際しては有効であり、傾き検知結
果に基づいて機器の各部材を制御するような場合おいて
の誤動作を防止できる。
【0040】(第四の実施形態)第四の実施形態におい
ては、図5に示すように、外装ケース60の傾き角およ
び傾き方向を検知するために複数の受光素子が設けられ
ている。すなわち、受光素子として四分割フォトダイオ
ード80a〜80dが使用されている。このフォトダイ
オード80a〜80dは、図6に示すように、各受光面
が三角形状とされ、これらが組み合わされて全体で正方
形状の受光面を構成している。また、各フォトダイオー
ド80a〜80dは、金線38を介して夫々結線用リー
ドフレーム81a〜81dに電気的に接続されている。
【0041】さらに、発光素子30からフォトダイオー
ド80a〜80dまでの光路を確保するための貫通孔7
0,71は、フォトダイオード80a〜80dの全体の
受光面と同等の大きさとされ、発光素子30からの光が
各フォトダイオード80a〜80dの受光面全体に入射
可能となっている。
【0042】また、発光側ケース61の半球状凹部53
および受光側ケース62の半球状凹部55には、透光性
樹脂(例えば、透光性エポキシ樹脂)にて形成されたド
ーム状透光性樹脂体85,86が夫々嵌め込まれてお
り、発光側ケース61と受光側ケース62とを組み合わ
せることにより、発光側のドーム状透光性樹脂体85と
受光側のドーム状透光性樹脂体86とが合わさって収納
室36が形成されている。このドーム状透光性樹脂体8
5,86により、遮光体35よりも大きな貫通孔70,
71に遮光体35が嵌り込んで出なくなるといったこと
がなく、また収納室36を通過する発光素子30からの
光を集光することができる。なお、発光側透光性樹脂体
31には、発光素子30からの光を集光(平行光化)す
る凸レンズ87が形成されている。
【0043】これにより、傾き検知装置の使用状態にお
いて、外装ケース60が傾いていないときには、遮光体
35が収納室36の光路上の最も低い位置で安定してい
る。このとき、発光素子30からの光は、発光側透光性
樹脂体31の凸レンズ87で平行光化されて貫通孔70
を通り、発光側のドーム状透光性樹脂体85を透過する
際にやや集光されて収容室36に到達し、ここで遮光体
35により一部が遮断される。その他の光は、収容室3
6を通過し、受光側のドーム状透光性樹脂体86を透過
する際にやや拡散し、貫通孔71を通ってフォトダイオ
ード80a〜80dの図7の斜線部に示す位置に入射し
受光される。そして、各フォトダイオード80a〜80
dの受光量は均一となる。
【0044】このとき、X軸方向のフォトダイオード8
0aの出力Pd1とフォトダイオード80cの出力Pd
3を取り出し、これらの出力比kxを算出すると、kx
=Pd1/(Pd1+Pd3)=0.5となる。また、
Y軸方向のフォトダイオード80bの出力Pd2とフォ
トダイオード80dの出力Pd4を取り出し、これらの
出力比kyを算出すると、ky=Pd2/(Pd2+P
d4)=0.5となる。
【0045】そして、外装ケース60が傾いて遮光体3
5が移動すると、各フォトダイオード80a〜80dへ
の光の入射面積が変化し、これによって各フォトダイオ
ード80a〜80dの受光量が変化すなわち出力Pd1
〜Pd4が変化する。図8(a)は、遮光体35の±X
軸方向への移動に対するフォトダイオード80a,80
cの受光量の変化を示しており、図8(b)は、遮光体
35の±Y軸方向への移動に対するフォトダイオード8
0b,80dの受光量の変化を示している。
【0046】例えば、遮光体35が+X軸方向に移動す
ると、フォトダイオード80aの受光量は減少し、フォ
トダイオード80cの受光量は増加する。したがって、
出力Pd1は減少し、出力Pd3は増加するので、出力
比kxは0.5以下となる。同様に、遮光体35が+Y
軸方向に移動すると、フォトダイオード80bの受光量
は減少し、フォトダイオード80dの受光量は増加す
る。したがって、出力Pd2は減少し、出力Pd4は増
加するので、出力比kyは0.5以下となる。これとは
逆に、遮光体35が−X軸方向あるいは−Y軸方向に移
動すると、出力比kxや出力比kyは0.5以上とな
る。このように得られた出力比kx,kyを演算するこ
とにより、遮光体35がどの方向にどの程度移動したか
がわかり、これによって外装ケース60の傾き角および
傾き方向を検知することができる。なお、出力比kx,
kyの算出や演算は、機器側のマイクロコンピュータに
おいて行われている。その他の構成および動作は第三の
実施形態と同様であり、第三の実施形態と同様の機能を
有する部材については同符号を付している。
【0047】このように、受光素子として四分割フォト
ダイオード80a〜80dを使用し、単に外装ケース6
0が傾いているか否かだけでなく、外装ケース60の傾
き角および傾き方向まで検知することができるので、傾
き検知装置としての機能を向上することができ、しかも
安価に達成できる。
【0048】(第五の実施形態)第五の実施形態におい
ては、図9に示すように、遮光体35の代わりに透光体
90が用いられ、収容室91が半球状空間とされてい
る。前記透光体90は、その厚み(高さ)に応じて光の
透過量が異なる透光性流体からなり、前記収容室91
は、発光側の半球状凹部53と受光側ケース62の受光
素子32の受光面と対向する面とが合わさって形成され
ている。なお、発光側ケース61と受光側ケース62と
の間は、透光性流体90が収容室91から漏れないよう
にシールされている。
【0049】これにより、傾き検知装置の使用状態にお
いて、外装ケース60が傾いていないときには、透光性
流体90が収納室91の最も低い位置で安定している。
このとき、光路上における透光性流体90の厚みが大と
なり、発光素子30からの光は透光性流体90を透過す
る際にかなり減衰され、その透過量は小となって受光素
子32に入射して受光される。したがって、外装ケース
60が傾いていないときには、受光素子32の受光量は
小さくなる。
【0050】一方、外装ケース60が傾くと、透光性流
体90が移動して光路上から退くか、もしくは光路上に
おける透光性流体90の厚みが小となり、発光素子30
からの光はほとんど減衰されずに受光素子32に入射し
て受光される。したがって、外装ケース60が傾いたと
きには、受光素子32の受光量は大きくなる。このよう
な外装ケース60の傾きに応じた受光素子32における
受光量の変化により、機器が傾いているか否かを検知す
ることができる。なお、その他の構成および動作は第二
の実施形態と同様であり、第二の実施形態と同様の機能
を有する部材については同符号を付している。
【0051】このように、遮光体35の代わりに透光体
90を用いても傾きを検知することができる。また、収
容室91を半球状空間とすることにより、発光側ケース
61または受光側ケース62のどちらか一方の半球状凹
部をなくすことができ、装置の小型化を図ることができ
る。
【0052】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多く
の修正および変更を加え得ることは勿論である。例え
ば、第一ないし第四の実施形態において、楕球状や多面
体状の遮光体を使用してもよく、収容室を半球状空間、
楕球状空間あるいは多面体状空間としてもよい。また、
機器に傾き検知装置を搭載する際、発光素子と受光素子
とが水平方向に対向するように配置してもよい。この場
合、外装ケースが傾いていないときには、発光素子から
受光素子までの光路が遮光体に遮断されることなく形成
され、外装ケースが傾くと、光路が遮光体によって遮断
されることになる。
【0053】また、第一の実施形態において、発光素
子、受光素子を透光性樹脂にてモールドすることによ
り、発光側ケースおよび受光側ケースを直接形成して、
発光側透光性樹脂体および受光側透光性樹脂体を廃止し
てもよい。
【0054】さらに、第三の実施形態における移動規制
手段としては、光路を確保するための貫通孔に限らず、
収容室の室壁に形成した遮光体の一部が嵌り込む溝であ
ってもよい。したがって、第一、第二または第四の実施
形態に移動規制手段を適用してもよい。
【0055】さらにまた、第四の実施形態において、受
光素子の数は四個(四分割フォトダイオード)に限ら
ず、三個以上であればよい。また、ドーム状透光性樹脂
体を廃止して、収納室周辺の構造を第二の実施形態のよ
うにしてもよい。さらに、発光素子からの光を集光せず
にそのまま受光素子に到達する(発光素子からの光が平
行光とならずに拡散する)ようにすれば、外装ケースが
傾いていないときには、遮光体が発光素子に近い位置に
あり、受光素子の受光面全体における光の入射面積が小
となってトータルの受光量が小さく、外装ケースが逆さ
まの状態(上下方向に180度回転した状態)になった
ときには、遮光体が受光素子に近い位置にあり、受光素
子の受光面全体における光の入射面積が大となってトー
タルの受光量が大きくなるので、三次元での傾き検知が
可能となる。
【0056】また、第五の実施形態において、透光体を
透光性小粒子としてもよく、収容室を球状空間としても
よい。
【0057】さらに、第一〜第五の実施形態において、
受光素子はフォトダイオードに限定されるものではな
く、例えばフォトトランジスタでもよい。また、フォト
ダイオードに増幅回路や波形整形回路を組み込んだフォ
トIC等でもよい。また、第四の実施形態において、四
分割フォトダイオードに、増幅回路、演算回路を組み込
んだフォトICを使用して、傾きの方向や傾きの量(角
度)をアナログまたはデジタル出力とすることもでき
る。
【0058】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、装置本体がいかなる方向に傾いても、遮光体
は装置本体の傾く方向に従って移動するので、従来のよ
うに装置本体が傾く方向によっては検知できないといっ
た不具合を解消し、信頼性の高い傾き検知装置を提供で
きる。
【0059】また、発光素子および受光素子を用いて、
受光素子の受光量の変化により傾きを検知する非接触式
の構造となっているので、従来のスイッチ構造の傾き検
知センサのような電気接点の接触不良に伴う誤検知がな
い。
【0060】光体が球状で、かつ収容室が球状空間で
あるため、遮光体が装置本体の傾く方向に従って素早く
しかも確実に移動し、高精度な検知が可能となる。しか
も、収容室が密閉されているので、収容室にごみや埃が
侵入して光路を遮断するといった不具合が生じず、より
高精度な検知が可能となる。
【0061】動規制手段により装置本体が大きく傾く
までは傾きを検知することはなく、駆動時に振動するよ
うな機器、あるいは微小な傾きは問題にしないような機
器への搭載に際しては有効であり、傾き検知結果に基づ
いて機器の各部材を制御するような場合おいての誤動作
を防止できる。
【0062】光素子から受光素子までの光路を確保し
つつ、装置本体を遮光性を有する発光側ケースおよび受
光側ケースで構成したため、外乱光の影響を受けなくな
り、高精度な検知が可能となる。また、収容室は発光側
ケースと受光側ケースとを組み合わせることにより形成
されているので、収容室を簡単に形成することができ、
製造の簡略化および製造コストの削減を図ることができ
る。
【0063】数の受光素子を設けることによって、単
に装置本体が傾いているか否かだけでなく、装置本体の
傾き角および傾き方向まで検知することができるので、
傾き検知装置としての機能を向上することができ、しか
も安価に達成できる。
【0064】光体の代わりに透光体を用いても傾きを
検知することができ、傾き検知装置の多様化を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態における傾き検知装置
の縦断面図
【図2】(a)は左方向に傾いたときの傾き検知装置の
縦断面図、(b)は右方向に傾いたときの傾き検知装置
の縦断面図
【図3】第二の実施形態における傾き検知装置の縦断面
【図4】第三の実施形態における傾き検知装置の縦断面
【図5】第四の実施形態における傾き検知装置の縦断面
【図6】受光側透光性樹脂体の底面図
【図7】四分割フォトダイオードの受光面における光の
入射位置を示す図
【図8】(a)は遮光体のX軸方向への移動に対するフ
ォトダイオードの受光量の変化を示す図、(b)は遮光
体のY軸方向への移動に対するフォトダイオードの受光
量の変化を示す図
【図9】第五の実施形態における傾き検知装置の縦断面
【図10】従来の傾き検知センサの斜視図
【図11】傾き検知センサの正面断面図
【図12】(a)傾いていないときの傾き検知センサの
側断面図、(b)傾いたときの傾き検知センサの側断面
【図13】他の従来の傾き検知センサの断面図
【図14】(a)傾き検知センサを搭載した機器が傾い
ていないときの状態を示す図、(b)傾き検知センサを
搭載した機器が傾いたときの状態を示す図
【符号の説明】
30 発光素子 32 受光素子 34,60 装置本体 35 遮光体 36,91 収容室 50,61 発光側ケース 51,62 受光側ケース 63,64,70,71 導光部 80a〜80d 四分割フォトダイオード 90 透光体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−258337(JP,A) 特開 平7−280828(JP,A) 特開 平7−301525(JP,A) 特開 平3−216514(JP,A) 特開 昭64−43713(JP,A) 実開 平7−36013(JP,U) 実開 昭54−84967(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 9/00 G01P 15/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装置本体に、光学的に結合された発光素
    子および受光素子と、前記装置本体がいかなる方向に傾
    いてもその方向に従って移動する球状の遮光体と、前記
    発光素子から受光素子までの光路上に形成され前記遮光
    体を収容する収容室とが設けられ、前記装置本体は、前
    記発光素子を内装した樹脂製発光側ケースと前記受光素
    子を内装した樹脂製受光側ケースとからなり、前記発光
    側ケースに、半球状凹部と係合爪とが形成され、前記受
    光側ケースに、半球状凹部と係合爪とが形成され、前記
    発光側ケースと受光側ケースとは前記係合爪により互い
    に係合して組み合わせられ、前記収容室は、前記発光側
    ケースの半球状凹部と前記受光側ケースの半球状凹部と
    が合わさって形成された球状の密閉空間とされ、前記発
    光側ケースおよび受光側ケースが遮光性樹脂から形成さ
    れ、前記発光側ケースおよび受光側ケースに、前記発光
    素子から受光素子までの光路を確保する透光性樹脂から
    なる導光部が形成されたことを特徴とする傾き検知装
    置。
  2. 【請求項2】 装置本体の微小な傾きや振動に対する遮
    光体の移動を規制する移動規制手段が設けられたことを
    特徴とする請求項1記載の傾き検知装置。
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