JP3400492B2 - 内視鏡用管路切換え装置 - Google Patents

内視鏡用管路切換え装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、吸引動作の切
り換え操作を行う内視鏡用管路切換え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内視鏡はこれに設けた処置具挿
通孔(チャンネル)を通じて体腔内の汚物や粘液等を吸
引してこれを外部に排出する。このため、その処置具挿
通孔の挿入口側付近の途中に吸引チューブを接続し、ま
た、その吸引チューブの途中部分に吸引動作の切り換え
制御を行うための吸引切換え操作用弁を設けている。
【0003】この種、従来の内視鏡の構成を図5〜図7
に基づいて以下に説明する。図5はその一例の内視鏡1
の全体を概略的に示している。この内視鏡1は操作部2
に挿入部3を連結してなり、さらに操作部2にはユニバ
ーサルコード4が連結されている。
【0004】前記操作部2における本体5は挿入部3の
軸方向に比較的長く形成されており、その中間部分を握
り部6としている。握り部6より挿入部3側に位置する
端部の側壁には後述する処置具挿通孔(鉗子チャンネ
ル)7の挿入口8が設けられている。この処置具挿通孔
7はその挿入口8から挿入部3内を通じて挿入部3の先
端に形成した先端開口部9に達する。
【0005】なお、前記挿入口8には気密性を保持する
シール部材(鉗子栓)10が設けられている。また、操
作部2の手元側端部には送気送水切換え弁11と後述す
る吸引切換え弁12が並べて設けられている。そして、
前記送気送水切換え弁11は図示しない送気送水管路を
切り換えて送気送水の動作を制御する。
【0006】また、処置具挿通孔7の挿入口8側近傍部
分には吸引チューブ13の先端が接続されており、吸引
チューブ13は操作部2およびユニバーサルコード4に
わたり挿入配置される。そして、処置具挿通孔7から吸
引チューブ13にわたる吸引管路14を形成している。
吸引チューブ13はユニバーサルコード4のコネクタ部
15まで延長され、そのコネクタ部15に設けられた口
金16に接続されている。この口金16はコネクタ部1
5の外側面より突出しており、これには図示しない接続
チューブなどを介して同じく図示しない吸引器に接続さ
れるようになっている。
【0007】操作部2における吸引チューブ13の途中
には、前記吸引切換え弁12が介挿され、この吸引切換
え弁12によって吸引管路14を通じての吸引動作を制
御するようになっている。
【0008】吸引切換え弁12は図6で示すように構成
される。つまり、前記操作部2における本体5の壁部に
形成した取付け孔20に嵌め込んで取着されるシリンダ
21とこれに摺動可能に嵌挿されるピストン22を有し
ている。シリンダ21は上端部外周にねじ部23を形成
し、このねじ部23にはリング状の取付け台座24をね
じ込んで固定している。そして、取付け台座24とシリ
ンダ21側に形成した取付け用段差25との間で、本体
5の壁部を挟み込んでシリンダ21を固定する。なお、
取付け孔20の内面とシリンダ21の外面との間にはO
リング状のシール26を介在してある。
【0009】シリンダ21の中間部側壁部分にはそのシ
リンダ21の中心軸に対して斜めの開口部30が形成さ
れ、この開口部30には第1の連結用パイプ31が接続
されている。シリンダ21の下端開口にはそのシリンダ
21と同軸的に延出される第2の連結用パイプ32が接
続される。
【0010】そして、第1の連結用パイプ31には、吸
引チューブ13における上流側チューブ13aが接続さ
れ、第2の連結用パイプ32には吸引チューブ13にお
ける下流側チューブ13bが接続される。
【0011】上流側チューブ13aを接続する開口部3
0はピストン22を取り外したシリンダ21から差し込
んだ洗浄用ブラシを、さらに上流側チューブ13a側へ
スムーズに差し込ませるために角度を付けてあり、この
ため、その開口部30の形状は、図7の(b)で示すよ
うにシリンダ21の中心軸に平行な長軸に持つ楕(長)
円形の孔となっている。
【0012】また、ピストン22は下端側を開放した有
底穴からなる中空部35を形成してなり、このピストン
22の中間側壁部には、開孔36を形成してある。この
開孔36の形状は加工の簡便性と加工費を踏まえ、図7
の(b)で示すように真円形状となっている。
【0013】ピストン22の回転を規制するため、ピス
トン22の外周にはその中心軸方向に平行な長いガイド
溝37を形成し、一方、シリンダ21には前記ガイド溝
37に嵌まるガイドピン38が設けられている。開孔3
6と対向して反対側に位置する、ピストン22の外周壁
部には通気用補助孔39が形成されている。
【0014】さらに、前記ピストン22の外端部にはね
じ部41を形成し、このねじ部41には、ばね受け42
が連結され、このばね受け42を介してキートップ43
が取り付けられている。そして、この部分は前記取付け
台座24に同心的に取り付けられた弾性材料による取付
け部材44により内包される。取付け部材44は取付け
台座24に対して着脱可能である。
【0015】また、取付け部材44には待機状態のピス
トン22を掛止してその待機状態の位置決めを行う位置
決め突出部45を備えたインサート部材46を付設させ
ている。ばね受け42と位置決め突出部45との間には
コイルばね47が介在しており、通常はそのコイルばね
47の付勢により、ばね受け42、キートップ43を介
してピストン22を図6で示す上昇した位置に待機させ
る。なお、インサート部材46には通気孔48が形成さ
れている。
【0016】しかして、この内視鏡1を使用する場合、
そのユニバーサルコード4のコネクタ部15を光源装置
に接続し、さらに口金16に図示しない吸引装置を接続
する。そして、吸引切換え弁12を待機状態のまま、吸
引装置に吸引動作を行わせると、その吸引切換え弁12
のキートップ43と取付け部材44との間隙を通じて外
気を取り込み、通気孔48、開孔36、補助孔39、中
空部35、第2の連結用パイプ32、および吸引チュー
ブ13における下流側チューブ13bを経る空気の流れ
を作る。このとき、シリンダ21の開口部30はピスト
ン22の円筒外周面で遮蔽され、第1の連結用パイプ3
1、吸引チューブ13における上流側チューブ13a、
処置具挿通孔7を通じての空気の流れは遮断される。
【0017】次に、使用中、体腔内の汚物等を吸引して
排出する場合には、キートップ43の上部を指で押圧す
ることによりピストン22が下方へ移動し、ばね受け4
2の一部が取付け部材44の位置決め突出部45に突き
当たるまで押し下げた状態で行う。このとき、ピストン
22はガイド溝37に嵌まるガイドピン38により回転
が規制され、ピストン22の開孔36はシリンダ21の
開口部30に対向一致し、吸引チューブ13を連通させ
る。また、ピストン22の上部周面がシリンダ21の上
部を塞ぎ、外部への連通を遮断する。
【0018】しかして、内視鏡1の吸引管路14が連通
して吸引作用が働き、その流れとともに汚物を吸引して
排出する。ところで、このときのシリンダ21の開口部
30とピストン22の開孔36ととは対向するが、その
各孔の形状が異なっている。このため、図7のA部、B
部で示す段差からなる障壁部が発生する。つまり、術者
が吸引動作中、汚物による詰まりが発生するという問題
が、この障壁部分で多発し易い。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上の説明でも知れる
ように、従来の切換え弁の構造では、前記シリンダ21
に挿入口側からの吸引チューブ13の部分に連通させる
ための開口部30と、これに摺動するピストン22に、
前記開口部30と対向させる開孔36を設けるが、開口
部30の形状が、シリンダ21側では、挿入口側の吸引
チューブ13の部分の洗浄に用いる洗浄用ブラシの挿入
をスムーズに行わせるため、ある角度をつけて吸引チュ
ーブ13を取り付けている。そのため、開口部30はシ
リンダ21の長手方向の中心軸を長軸にもつ『楕円形の
孔』となっている。
【0020】しかし、ピストン22側の開孔36の形状
は加工の簡便性と加工費を踏まえて『真円形の孔』とな
っている。そのため、この両者の形状の違いから吸引動
作を行った場合、両者の孔間に段差からなる障壁部A,
Bが生じ、この部分に吸引物の詰まりが発生する。
【0021】術者は、この現象が起きた場合、ピストン
22を取り外し、再度装着し吸引動作を行うか、ピスト
ン22を数回摺動させ、吸引動作を行い対処している。
これでは、検査時間の延長につながり、さらには、患者
・術者への苦痛を増長させる可能性がある。
【0022】本発明は前記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、詰まりやすい従来構造の
切換操作弁を改良し、吸引物の詰まりをなくし、検査時
間短縮・苦痛低減が図れる内視鏡用管路切換え操作装置
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、内視鏡の管路
を接続する開口部を側壁に有したシリンダと、前記開口
部に対して選択的に対向してそれに連通する管路制御用
孔を有したピストンとによって、前記管路を通じて行わ
れる動作を制御するようにした内視鏡用管路切換え装置
において、前記シリンダの側壁に対して内視鏡の管路を
鋭角に接続し、前記開口部をシリンダの中心軸と平行な
長軸を有する長円形状とし、前記ピストンに形成した管
路制御用孔を、前記開口部の形状を含む、それ以上の大
きさに形成し、更に前記管路制御用孔の内周壁面を、前
記内視鏡の管路における前記シリンダとの接続角度と略
同一に形成したことを特徴とするものである。更に、本
発明は、内視鏡の管路を接続する開口部を側壁に有した
シリンダと、前記開口部に対して選択的に対向してそれ
に連通する管路制御用孔を有したピストンとによって、
前記管路を通じて行われる動作を制御するようにした内
視鏡用管路切換え装置において、前記シリンダの側壁に
対して内視鏡の管路を鋭角に接続し、前記開口部をシリ
ンダの中心軸と平行な長軸を有する長円形状とし、前記
ピストンに形成した管路制御用孔を、前記内視鏡の管路
の前記開口部の形状に略一致させたことを特徴とするも
のである。
【0024】このため、前記ピストンに設けた管路制御
用孔と、シリンダの管路接続用開口部との間に連通を阻
害する障壁部分が発生しない。したがって、この連通部
での詰まりをなくせる。
【0025】
【実施例】本発明の第1の実施例を図1および図2にも
とづいて説明する。図1および図2は内視鏡用管路切換
え装置を示すものであるが、これの一般的な構成は前述
したものと同じであり、同一個所には同一の符号を付し
てそれの具体的な説明を省略する。なお、図1は吸引動
作中の状態、図2は待機中の状態である。
【0026】この実施例の特徴的な構成を以下に説明す
る。すなわち、シリンダ21の開口部30は前述した理
由によって長孔として形成されるが、この形状に前記ピ
ストン22の開孔36の形状を一致させた。したがっ
て、図1で示すように、ピストン22を押し込み、吸引
状態としたとき、その開口部30とこれに対向する、ピ
ストン22の開孔36が一致し、両者間には干渉がなく
障壁部分が生じない。つまり、干渉がなく、連通させる
ことができる。この部分で、吸引中、吸引物の詰まりが
発生しない。
【0027】こうすることにより、従来発生していた汚
物の詰まり、さらには、それが原因と思われる検査時間
の延長、術者・患者の苦痛が低減もしくは解消される。
図3は本発明の第2の実施例を示すものである。前記第
1の実施例でのピストン22の開孔36の切り口がその
ピストン22の中心軸に直角なものであったが、この第
2の実施例ではシリンダ21の開口部30の中心軸に平
行なものとした点が異なり、他の点は前記第1の実施例
と同じである。
【0028】図4は前記内視鏡1における挿入部3の湾
曲管部の例を示すものである。この湾曲管部は複数の湾
曲駒51を上下に回動自在に連結し、この湾曲駒51群
を外装部材52で被覆してなる。さらに、各湾曲駒51
の内面における上下部位にはそれぞれワイヤ受け53を
設ける。上側の各ワイヤ受け53には上側の湾曲操作ワ
イヤ54を挿通し、下側の各ワイヤ受け53には下側の
湾曲操作ワイヤ54を挿通する。各湾曲操作ワイヤ54
の先端は挿入部3の先端に連結されている。そして、一
方の湾曲操作ワイヤ54を引くことにより湾曲管部はそ
の牽引方向側に湾曲する。
【0029】ところで、ワイヤ受け53とそれに挿通さ
れる湾曲操作ワイヤ54とのクリアランスは、従来図4
の(a)で示す如く、かなり大きかった。このため、図
4の(b)で示す如く、各湾曲駒51に姿勢のばらつき
が生じ、これの形状が外装部材52の外面に現れ、湾曲
管部はその外表面に凹凸が発生して蛇行する。また、湾
曲管部の内室が狭くなり、内蔵物の動きを止めてしま
う。
【0030】そこで、ワイヤ受け53とそれに挿通され
る湾曲操作ワイヤ54とのクリアランスを従来のものよ
りさらに狭い、摺接する嵌合レベルとする。またはその
間のはめあいを中間ばめとする。しかして、図4の
(c)で示すように、各湾曲駒51に姿勢のばらつきが
発生せず内蔵物の動きを均一にし、さらに、湾曲部の外
観を良くし、また、湾曲管部の耐性を向上する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、シリンダ
の側壁に対して内視鏡の管路を鋭角に接続し、前記管路
を接続する開口部をシリンダの中心軸と平行な長軸を有
する長円形状とし、ピストンに形成した管路制御用孔
を、前記開口部の形状を含む、それ以上の大きさに形成
したから、ピストンに形成した管路制御用孔とシリンダ
の側壁に形成した開口部との間に、これらの連通を阻害
する障壁部分が発生せず、更に、前記管路制御用孔の内
周壁面を、前記内視鏡の管路における前記シリンダとの
接続角度と略同一に形成したので、前記管路からピスト
ン内まで吸引物をスムーズに取り込み、この連通部分で
の詰りの発生を解消できる。更に、ピストンを取り外し
た後にブラシ洗浄する場合にはシリンダの開口部に対し
て洗浄ブラシを容易に抜き差しすることが容易で洗浄作
業の効率が向上すると共に、洗浄ブラシの先端を痛める
こともない。また、前記シリンダの開口部を、シリンダ
の中心軸と平行な長軸を有する長円形状としたことによ
り、管路制御用孔における、ピストンの中心軸周りの大
きさをむやみに大きくすることがなく、吸引物の詰り等
を解消する開口量を確保できる。更に、他の本発明は、
前記シリンダの側壁に対して内視鏡の管路を鋭角に接続
し、前記開口部をシリンダの中心軸と平行な長軸を有す
る長円形状とし、前記ピストンに形成した管路制御用孔
を、前記内視鏡管路の前記開口部の形状に略一致させた
ことで、仮に前記ピストンに形成した管路制御用孔が管
路開口部より小さい場合に生じることのある吸引物の詰
まりを極力防止し、同時にシリンダとピストンの接合領
域を極力確保し、吸引時に内視鏡外部から大気を吸引し
てしまうことを防止し、内視鏡の吸引圧力を低下させな
い。また、前記シリンダの開口部をシリンダの中心軸と
平行な長軸を有する長円形状としたことにより、管路制
御用孔における、ピストンの中心軸周りの大きさをむや
みに大きくすることがなく、吸引物の詰り等を解消でき
る開口量を確保し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例における内視鏡
用管路切換え装置の吸引動作状態の断面図、(b)はピ
ストンの開孔とシリンダの開口部との関係を示す図。
【図2】同じく本発明の第1の実施例における内視鏡用
管路切換え装置の待機状態の断面図。
【図3】本発明の第2の実施例における内視鏡用管路切
換え装置の吸引動作状態の断面図。
【図4】内視鏡における挿入部の湾曲管部の例を示す説
明図。
【図5】従来の内視鏡の概略的な構成説明図。
【図6】従来の内視鏡用管路切換え装置の待機状態の断
面図。
【図7】従来の内視鏡用管路切換え装置の吸引動作状態
の断面図。
【符号の説明】
12…吸引切換え弁、13…吸引チューブ、14…吸引
管路、21…シリンダ、22…ピストン、30…開口
部、31…第1の連結用パイプ、32…第2の連結用パ
イプ、36…開孔。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内視鏡の管路を接続する開口部を側壁に
    有したシリンダと、前記開口部に対して選択的に対向し
    てそれに連通する管路制御用孔を有したピストンとによ
    って、前記管路を通じて行われる動作を制御するように
    した内視鏡用管路切換え装置において、 前記シリンダの側壁に対して内視鏡の管路を鋭角に接続
    し、前記開口部をシリンダの中心軸と平行な長軸を有す
    る長円形状とし、 前記ピストンに形成した管路制御用孔を、前記開口部の
    形状を含む、それ以上の大きさに形成し、更に、前記管
    路制御用孔の内周壁面を、前記内視鏡の管路における前
    記シリンダとの接続角度と略同一に形成したことを特徴
    とする内視鏡用管路切換え装置。
  2. 【請求項2】 内視鏡の管路を接続する開口部を側壁に
    有したシリンダと、前記開口部に対して選択的に対向し
    てそれに連通する管路制御用孔を有したピストンとによ
    って、前記管路を通じて行われる動作を制御するように
    した内視鏡用管路切換え装置において、 前記シリンダの側壁に対して内視鏡の管路を鋭角に接続
    し、前記開口部をシリンダの中心軸と平行な長軸を有す
    る長円形状とし、 前記ピストンに形成した管路制御用孔を、前記内視鏡の
    管路の前記開口部の形状に略一致させたことを特徴とす
    る内視鏡用管路切換え装置。
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