JP3400334B2 - 光電子発生方法及び装置 - Google Patents

光電子発生方法及び装置

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JP3400334B2 JP02705898A JP2705898A JP3400334B2 JP 3400334 B2 JP3400334 B2 JP 3400334B2 JP 02705898 A JP02705898 A JP 02705898A JP 2705898 A JP2705898 A JP 2705898A JP 3400334 B2 JP3400334 B2 JP 3400334B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトカソード表
面に対して斜めの方向から光ビームを照射して、フォト
カソード正面から光電子を発生させる光電子発生方法及
び装置に係り、特に、発生した電子を高周波(RF)加
速したとき、短パルス、低エミッタンスの電子パルスビ
ームを発生することが可能な光電子発生方法及び装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】ライナック等の直線加速器やサイクロト
ロン等の回転加速器を含む電子加速器における電子源に
は、従来、一般的にサーマルカソードから発生する熱電
子が利用されてきたため、発生する電子束を、時間的に
短い短パルスで、且つ、空間的な拡がり角度の小さい低
エミッタンスにすることが困難であった。
【0003】従って、近年、フォトカソードから発生す
る光電子を利用する方法が、発生する電子束を短パルス
化することが可能であるため、用いられるようになって
いる。このような光電子発生装置の一つに、図7に示す
如く、レーザ照射により発生する光電子をマイクロ波で
加速する高周波(RF)ガン10がある。
【0004】このRFガン10では、ターゲットである
フォトカソード12の表面上に短いパルスのレーザビー
ム8を照射することによって、フォトカソード12の表
面から光電子を飛び出させている。
【0005】短パルス、低エミッタンスの電子ビームを
発生させるには、この入射レーザビーム8の波面が、フ
ォトカソード12の表面に平行になっていることが望ま
しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常、
レーザビーム8はフォトカソード12の表面に対して垂
直ではなく、ある入射角θをもって斜めに入射されるた
め、レーザビーム8の波面8wの図の上端8uが、下端
8lよりも先にフォトカソード12の表面に衝突してし
まい、フォトカソード12の図の上端12uと下端12
lでは、波面が同時に到達しない。従って、発生した電
子をRF加速したとき、RFの位相と同期が取れず、短
パルス、低エミッタンスの電子パルスビームを発生する
ことができないという問題点を有していた。
【0007】即ち、図8に詳細に示す如く、幅a、長さ
b(=cΔt;ここでcは光速、Δtはレーザビームの
パルス時間幅)のパルスレーザビーム8が、入射角θで
フォトカソード12の表面を照射すると、従来のように
レーザビームの波面8wがレーザビームの光軸8cに対
して垂直である場合、レーザビーム8がフォトカソード
12に当る際、レーザビーム8の上端8uと下端8l
は、同時にはフォトカソード12の上端12uと下端1
2lに到達せず、(b tanθ/c)だけ時間差が生じて
しまう。
【0008】ところが、従来のRFガン方式の光電子発
生装置において、レーザビームの波面を、照射されるフ
ォトカソード表面に平行になるように制御した試みは無
かった。
【0009】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、電子を加速するRFの位相と理想的
な同期制御を行うことができ、従って、短パルス、低エ
ミッタンスの電子パルスビームを発生できるようにする
ことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、フォトカソー
ド表面に対して斜めの方向から光ビームを照射して、フ
ォトカソード正面から光電子を発生させる際に、前記フ
ォトカソードに入射される光ビームの波面を、ビーム光
軸に対して傾け、フォトカソード表面に対して略平行と
なるようにして、前記課題を解決したものである。
【0011】本発明は又、同様の光電子発生装置におい
て、前記フォトカソードに入射される光ビームの波面
を、ビーム光軸に対して傾ける波面傾斜手段を設け、該
光ビームの波面が、フォトカソード表面に対して略平行
となるようにして、同じく前記課題を解決したものであ
る。
【0012】又、前記波面傾斜手段を、回折格子又はプ
リズムとしたものである。
【0013】本発明おいては、光ビームの光路の途中
に、回折格子やプリズム等の波面を傾斜させる手段を挿
入することにより、図1に示す如く、レーザビーム8の
波面8wがフォトダイオード12の表面に対して巨視的
に略平行となるようにする。すると、フォトカソード1
2の上端12uと下端12lに、同時に光が到達する。
従って、フォトカソード12の表面では、その位置に拘
らず、同時に光電子が発生するため、RFの位相と理想
的な同期制御を行うことができ、短パルス、低エミッタ
ンスの電子パルスビームを発生することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0015】本実施形態に係るフォトカソード照射用レ
ーザ光学系は、図2に示す如く、断面形状が円形のレー
ザパルスビーム42を発生するレーザ光源40と、例え
ば反射ミラー44によって方向変換されたレーザパルス
ビーム42を集束して、RFガン10のフォトカソード
12に斜めの方向から入射するための伝送光学系50と
を、主に備えている。
【0016】前記伝送光学系50は、例えば、反射ミラ
ー44で方向変換された、図3(a)に示すような、ビ
ームの進行と垂直な方向の位置rに関する断面強度分布
を有するレーザパルスビーム42を、図3(b)に示す
ような分布とするための空間フィルタ(例えばピンホー
ルアパーチャ)52と、該空間フィルタ52を通過した
レーザパルスのビーム径を広げるためのビームエクスパ
ンダ54と、該ビームエクスパンダ54によって広げら
れた、図3(c)に示すような強度分布形状のうち、両
端部分を遮蔽するためのマスク56と、該マスク56の
開口部を通過した略矩形状のレーザパルスビームを集束
し、図3(d)に示すような幅の狭い断面強度分布とし
て、前記フォトカソード12に照射するための凸レンズ
58と、該凸レンズ58によって集束されたレーザビー
ム42の方向を変換して、前記RFガン10のフォトカ
ソード12に照射するための反射ミラー60とを備えて
いる。
【0017】本実施形態では、このような伝送光学系5
0において、前記RFガン10の直前に、図4に詳細に
示す如く、フォトカソード12に入射される光ビーム8
の波面を、ビーム光軸に対して傾斜させるための回折格
子70を含む波面傾斜装置68と、該回折格子70出側
のレーザビームの方向を変換するための反射ミラー72
を設ける。
【0018】前記回折格子70によって回折されるレー
ザビームは、図5に詳細に示す如く、回折格子70への
到達位置によって回折されるタイミングが異なるため、
波面8wが光軸8cに対して傾斜することとなる。
【0019】従って、図1に示した如く、レーザビーム
の波面8wがフォトカソード12の表面と平行になるよ
うに配置することにより、レーザビームの波面が同時に
フォトカソード12の表面に到達するようにすることが
でき、RFの位相と理想的な同期制御が可能となる。
【0020】本実施形態においては、波面を傾斜させる
ために回折格子70が用いられていたが、波面を傾斜さ
せる手段はこれに限定されず、図6に示す第2実施形態
のように、プリズム80を含む波面傾斜装置78を用い
て波面を傾斜させることも可能である。
【0021】又、前記空間フィルタ52を、ビームの進
行と垂直な方向の位置によって透過率の異なるガウシア
ンフィルタとして、該空間フィルタ52を通過するレー
ザビームの断面形状を、きれいなガウス分布に整形する
こともできる。光路中に挿入する空間フィルタの種類
は、ピンボールアバーチャやガウシアンフィルタに限定
されず、レーザビームの断面形状をトップフラットな形
状や、他の自由な形に整形することもできる。
【0022】なお、前記実施形態においては、本発明
が、ライナック等の電子加速器に光電子を入射するため
のRFガンに適用されていたが、本発明の適用対象はこ
れに限定されない。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、光ビームの波面が同時
にフォトカソードの表面に到達するので、発生した電子
を例えばRF加速した場合、RFの位相と理想的な同期
制御を行うことができ、従って、短パルス、低エミッタ
ンスの電子パルスビームを発生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための、フォトカソー
ド表面に対するレーザビーム波面の入射状態を示す断面
【図2】本発明の第1実施形態におけるフォトカソード
照射用レーザ光学系の全体構成を示す光路図
【図3】前記フォトカソード照射用レーザ光学系の各所
におけるビーム強度分布の変化を示す線図
【図4】第1実施形態で用いられている波面傾斜装置の
構成を示す断面図
【図5】前記波面傾斜装置の回折格子の作用を説明する
ための断面図
【図6】本発明の第2実施形態で用いられている、プリ
ズムを用いた波面傾斜装置の構成を示す断面図
【図7】従来のRFガンへのレーザ光の入射状態を示す
断面図
【図8】従来における、フォトカソード表面に対するレ
ーザビーム波面の入射状態を示す断面図
【符号の説明】
8…レーザビーム 10…高周波(RF)ガン 12…フォトカソード 40…レーザ光源 42…レーザパルスビーム 44、60…反射ミラー 50…伝送光学系 52…空間フィルタ 54…ビームエクスパンダ 56…マスク 58…凸レンズ 68、78…波面傾斜装置 70…回折格子 80…プリズム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/073 G21K 1/00 H01J 1/34

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フォトカソード表面に対して斜めの方向か
    ら光ビームを照射して、フォトカソード正面から光電子
    を発生させる際に、 前記フォトカソードに入射される光ビームの波面を、ビ
    ーム光軸に対して傾け、フォトカソード表面に対して略
    平行となるようにしたことを特徴とする光電子発生方
    法。
  2. 【請求項2】フォトカソード表面に対して斜めの方向か
    ら光ビームを照射して、フォトカソード正面から光電子
    を発生させる光電子発生装置において、 前記フォトカソードに入射される光ビームの波面を、ビ
    ーム光軸に対して傾ける波面傾斜手段を設け、 該光ビームの波面が、フォトカソード表面に対して略平
    行となるようにしたことを特徴とする光電子発生装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記波面傾斜手段が回
    折格子であることを特徴とする光電子発生装置。
  4. 【請求項4】請求項2において、前記波面傾斜手段がプ
    リズムであることを特徴とする光電子発生装置。
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