JP3395211B2 - 薄肉中空金属物品の製造方法 - Google Patents
薄肉中空金属物品の製造方法Info
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Description
造方法に関するものである。
属物品(例えば、ネックレスやブレスレットを構成する
玉)1が、その軽量化あるいは貴金属材料等の節減のた
めに求められている。このような薄肉中空金属物品1の
製造方法としては、鋳造法等によって2つの半球殻状部
品1a、1aを製造し、これらの各端部を接合してろう
付けする方法があった。
造法によって薄肉中空金属物品を製造する際には、大掛
りな製造装置を必要とする上に精密な型を必要とし、さ
らに前記2つの半球殻状物品1a、1aを接合する際に
は熟練を要し、製造効率が悪い上に製造コストがかかる
といった問題を有していた。
溶性セルロース系樹脂及び接合剤からなる可塑性組成物
を所望の形状に成形した中子の表面に、金属または合金
そして結合剤等からなる可塑性組成物の被覆層が被膜さ
れた中間体を形成し、これを加熱することにより、前記
中子を溶解そして蒸発させ、残った前記被覆層を焼成す
ることにより薄肉中空金属物品を形成する方法等が提案
された。
中子の滑り性が良好ではなく、この中子表面に前記組成
からなる被覆層を薄く均一に形成することが困難である
といった問題を有していた。また、前記中子をろう材よ
り形成したものを用いて、上記と同様に薄肉中空金属物
品を形成した場合には、前記中子表面の滑り性は良好で
あるが、前記中間体を加熱し、前記中子を溶解そして蒸
発させる際に、前記ろう材からなる中子が膨張するた
め、前記中間体を構成する被覆層に亀裂がはいったり、
変形したりする問題を有していた。
たもので、大掛りな製造設備を必要とせず、かつ製造時
間及び製造コストの低減を図った薄肉中空金属物品の製
造方法を提供することを目的とする。
空金属物質は、上記課題を解決するために、非水溶性セ
ルロース系樹脂及び水溶性セルロース系樹脂及び結合剤
からなる第一可塑性組成物を芯材として、この上にろう
材からなるワックス層を被膜成形した中子を形成し、こ
の中子表面に金属または合金及び結合剤からなる第二可
塑性組成物からなる被覆膜を被膜し、これを乾燥させて
前記中子表面に多孔質の被覆層を被膜した中間体を形成
した後、この中間体を加熱して前記中子及びワックス層
を溶解・蒸発または燃焼・気化させた後、前記被覆層を
構成する第二可塑性組成物を焼成することを特徴とする
薄肉中空金属物品の製造方法。
方法は、上記課題を解決するために、請求項1に記載の
薄肉中空金属物品の製造方法における第一可塑性組成物
が、非水溶性セルロース系樹脂が65重量%〜92重量
%、水溶性セルロース系樹脂が0.5重量%〜8重量
%、油脂が0.3重量%〜5重量%、残りが水及び不可
避不純物からなる組成を有することを特徴とするもので
ある。
方法は、上記課題を解決するために、請求項1に記載の
薄肉中空金属物品における中子が、非水溶性セルロース
系樹脂が65重量%〜92重量%、水溶性セルロース系
樹脂0.5重量%〜8重量%、油脂が0.3重量%〜5
重量%、残りが水及び不可避不純物からなる組成を有す
る第一可塑性組成物と、この第一可塑性組成物を芯材と
して、この表面に被膜されたロウ材からなるワックス層
からなることを特徴とするものである。
方法は、上記課題を解決するために、請求項1に記載の
薄肉中空金属物品の製造方法におけるワックス層の膜厚
が0.05mm〜2mmであることを特徴とするもので
ある。
方法は、上記課題を解決するために、請求項1に記載の
薄肉中空金属物品の製造方法における被覆層の気孔率
が、5%〜75%の範囲内であることを特徴とするもの
である。
第一可塑性組成物からなる芯材そして、この表面被覆さ
れたろう材からなるワックス層から構成することによ
り、その良好な塑像性を利用して所望の形状に中子を造
形することが可能である。そしてさらに、この中子の表
面のワックス層上に被膜される被覆層は前記ワックス層
の滑り性が良好であるので、均一な膜厚で薄く形成する
ことが可能である。
る第一可塑性組成物は、多孔質であって焼成時には収縮
し、さらに前記ワックス層は上述したように薄く形成さ
れているために、加熱・焼成時の前記ワックス層の熱膨
張、つまり、膜厚変化は前記芯材を構成する第一可塑性
組成物に完全に吸収され、前記芯材及びワックス層そし
て被覆層から構成される中間体を加熱・焼成する際に
は、ワックス層の熱膨張により、被覆層に亀裂や変形を
生じるといった問題を完全に回避することが可能であ
る。なお、前記被覆層に用いられる上記組成の可塑性組
成物は、中子表面に被膜された後、乾燥させることによ
って多孔質な被覆層となるため、中間体を加熱し、中子
を溶解そして蒸発させた際には、前記中子形成物質を前
記多孔質な被覆層の表面より円滑に外部に排出すること
が可能である。
の芯材を構成する第一可塑性組成物の組成を上記成分比
とすることにより、乾燥前において室温で充分な可塑性
を有し、自由な造形が可能であり、かつ、加熱に際し固
相のまま燃焼・気化する。また、乾燥・固化後において
は充分な硬度となるので、造形後の変形、壊れを生じる
ことはない。
請求項2に示した組成からなる第一可塑性組成物を芯材
と、この上に被膜されたろう材からなるワックス層より
構成することによって、請求項2に加えて、前記ワック
ス層は良好な滑り性を有することから、この表面に均一
に膜厚の薄い被覆層を形成することが可能であるととも
に、この中子に被覆層を形成した中間体を加熱・焼成す
る際に、前記第一可塑性組成物からなる芯材は収縮し
て、その上に被膜されたろう材からなるワックス層の熱
膨張による前記ワックス層の膜厚変化を吸収することが
できる。従って、ワックス層上に被膜される被覆層の亀
裂や変形を防止することができる。
の膜厚を0.05mm〜2mmの範囲内に設定すること
により、前記ワックス層の滑り性特性を引出すととも
に、ワックス層の熱膨張等の問題の回避を図ったもので
ある。前記ワックス層の膜厚が0.05mm未満である
と、前記ワックス層が前記芯材より剥がれたりして、そ
の滑り性の特性を充分に引出すことができず、また2m
mより厚いと中間体の熱処理時に前記ワックス層が膨張
し、ワックス層上に被膜された被覆層に亀裂や変形を生
じてしまう。
被覆層が形成された中間体を加熱し、中子を溶解・蒸発
または燃焼・気化させる際に、前記蒸発した中子を前記
多孔質な被覆層の表面より外部に排出するが、この時前
記被覆層の気孔率が5%より小さいと前記中子を外部に
円滑に排出することができず、前記中子形成物質が沸騰
または膨張して、被覆層に内部から圧力が加わり、前記
被覆層は薄肉であるので、当該圧力により割れが生じた
り、変形したりするといった欠陥を生じる。また、前記
被覆層の気孔率は75%より大きくても、これを焼成す
ることにより形成された薄肉中空金属物品は、もろく壊
れ易く、また焼成途中で壊れてしまうといった問題を生
じる。
な方法により大掛りな製造設備及び熟練度技術を必要と
せず、容易に薄肉の中空金属物品を製造することができ
る。そして、前記薄肉中空金属物品を極めて高い生産効
率にて製造することができ、製品の大幅なコストダウン
を可能としたものである。
について説明する。まず、図1(a)に示すような本実
施例に用いる中子10を形成する。この中子10は、以
下のような組成を有する第一可塑性組成物を芯材10a
として用い、これにろう材からなるワックス層10bを
被膜したものを使用する。本実施例の薄肉中空金属物品
の製造方法における中子10の芯材10aとして用いる
第一可塑性組成物は、以下のような組成からなるもので
ある。 非水溶性セルロース系樹脂 65重量%〜92重量% 水溶性セルロース系樹脂 0.5重量%〜8重量% 油脂 0.3重量%〜5重量% を含有し、残りが水及び不可避不純物である。
10aは、以下のようにして製造される。まず、水溶性
セルロース系樹脂と水とを混合し、しばらくし放置して
寒天状物質とする。そして、この寒天状物質に非水溶性
セルロース系樹脂を添加して混合し、さらに油脂添加し
て混合することにより前記中子10の芯材10aとなる
第一可塑性組成物が形成される。
性組成物の組成を、上記のように限定した理由を述べ
る。 (A)非水溶性セルロース系樹脂 この非水溶性系樹脂は、メチルセルロース、エチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、あるいはパルブ
等が用いられ、中子芯材の固形成分をなすものである。
そして、この配合量が65重量%未満であると、製造さ
れる第一可塑性組成物の粘性が低くなりすぎて成形が困
難であり、また、92重量%を越えると、粘性が大きく
なりすぎて成形時にひび割れ等が生じやすくなる。よっ
て非水溶性セルロース系樹脂の配合量を65重量%〜9
2重量%とした。
ス、水溶性エチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースアンモニウム塩、あるいはカルボキシメチルセルロ
ースナトリウム塩等が用いられ、前記非水溶性セルロー
ス系樹脂を粘着状態で連結するバインダーの機能を有す
るものである。そして、この配合量が0.5重量%未満
であると製造される第一可塑性組成物の成形体を乾燥・
固化させても、所望の強度が得られず、また、8重量%
を越えると、前記組成物がゼリー状または寒天状になっ
て成形しずらくなることから、水溶性セルロース系樹脂
の配合量を0.5重量%〜8重量%とした。
る油脂の他、エチレングリコール及びグリセリン等の多
価アルコール、ポリエチレングリコール等の高級アルコ
ール、フタル酸ジNブチル、フタル酸ジヘキシル及びフ
タル酸フタル酸ジNオクチル等の高級有機酸エステル、
ソルビタンモノオレート等の有機化合物等が用いられ、
生成される第一可塑性組成物が造形時において、手や造
形治具へ付着することを制御するためのものである。そ
して、この配合量が0.3重量%未満であると造形時に
おいて、製造された第一可塑性組成物の付着防止効果が
小さく、また、5重量%を越えると製造された第一可塑
性組成物が油っぽくなって成形しずらくなることから、
油脂の配合量を0.3重量%〜5重量%とした。
る第一可塑性組成物の製造時に、少量の界面活性剤を添
加すると、成分の混練・混合を円滑化することができ
る。
塑性組成物は粘土状であり、小さな荷重によって塑性変
形させることができるので、これを所望の形状に成形す
る。そして、これを芯材10aとして、さらに、この上
にろう材からなる膜厚1mmのワックス層10bを付着
して中子10を完成する。次いで、上記のように形成さ
れた中子10の表面に、以下のような組成の第二可塑性
組成物からなる被覆膜を形成する。この被覆膜に用いら
れる第二可塑性組成物は、 貴金属粉末 50重量%〜90重量% セルロース系水溶性バインダー 0.8重量%〜8重量% 界面活性剤 0.03重量%〜3重量% 油脂 0.1重量%〜3重量% を含有し、残りが水及び不可避不純物からなるものであ
る。
成する第二可塑性組成物は、以下のような方法によって
製造される。まず、上記セルロース系水溶性バインダー
と水とを混合し、しばらくし放置して寒天状とする。つ
いで、これに界面活性剤を添加して混合し、さらに所定
の貴金属粉末を添加して混合する。そして、この貴金属
粉末混合体に油脂を添加して混合することにより、上記
組成からなる第二可塑性組成物を製造することができ
る。
性組成物の組成を上記のように決めた理由を説明する。 (a)貴金属粉末 貴金属粉末としては、平均粒径が50μm以下の球状、
異形状または扁平状の粉末を利用できる。この貴金属粉
末を成す貴金属には、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、
Os等の白金族及びAu、Agと、これらを含む合金か
らなる群より選択された1種又は2種以上が用いられ
る。この貴金属粉末は、第二可塑性組成物を構成する主
成分であり、製品の色を決定する主要な要素であるが、
その含有量が50重量%未満では、その効果がなく、一
方、90重量%以上を越えて含有すると得られた可塑性
組成物の伸び及び強度が低下するようになるので好まし
くない。従って、上記の通り貴金属粉末の含有量は50
〜90重量%とした。
ゲル化して固化し、成形体の形状の保持を容易にする。
しかし、その添加量が0.8重量%未満ではその効果が
得られず、一方、8重量%より多く添加すると粘性度が
大きくなりすぎて造形することができなくなってしま
う。従って、前記の通り、セルロース系水溶液性のバイ
ンダーの含有量は、0.8〜8重量%とした。セルロー
ス系水溶性バインダーとしては、メチルセルロース、エ
チルセルロース等が好ましい。
と水との反応により生じた固形物が粉砕し、また、貴金
属粉末とバインダーとの混合性が良くなるという作用が
得られる。しかし、添加する界面活性剤の量が0.03
重量%未満ではその効果が充分でなく、一方、界面活性
剤を3重量%よりも多く添加すると、得られた第二可塑
性組成物の粘度が低下し、流動性が増して造形すること
ができなくなるので好ましくない。従って、前記の通り
界面活性剤の添加量は、0.03〜3重量%とした。
が手に付着しないようにすることができる。しかし、そ
の添加量が0.1重量%未満ではその効果が得られず、
一方、3重量%より多く添加すると、第二可塑性組成物
が油っぽくなり、滑り易くなって、造形時の作動性が悪
くなるので好ましくない。従って、前記の通り、油脂の
含有量は0.1〜3重量%とした。
ル酸)、高級有機酸エステル(例えば、フタル酸−n−
ジオクチル、フタル酸−n−ブチル)、高級アルコー
ル、高級多価アルコール(例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレングリコール、エーテル類)等が挙げら
れる
土状をしており、小さな荷重によって塑性変形させるこ
とができるので、前述した中子の前記表面を図1(b)
に示すように、上記第二可塑性組成物により被覆して膜
厚1mmの被覆膜を形成し、乾燥することにより、前記
中子の表面に膜厚0.8mmの多孔質の被覆層11を形
成した中間体12を形成する。そして、この中間体12
を加熱炉において加熱して、前記被覆層11を構成する
第二可塑性組成物の焼成を行なう。加熱条件は、中間体
12の被覆層11を構成する貴金属粉末の材質によって
異なる。加熱雰囲気条件は、貴金属粉末が大気中におい
て安定した物性を有する場合には、大気中で加熱して焼
成し、前記貴金属粉末が大気中において不安定な場合
は、不活性雰囲気内で加熱して焼成する。加熱温度及び
時間は、第二可塑性組成物中の貴金属粉末が純金の時は
980〜1020℃で2時間、18金合金の時は850
〜890℃で2時間、白金の時は1580〜1620℃
で2時間とする。
成する中子10が、溶解・蒸発または、燃焼・気化し
て、前記多孔質な被覆層11の表面より外部に排出され
る。なお、この時の中子構成物質を円滑に外部に排出す
るために、前記被覆層11の気孔率は5%〜75%とす
る。この気孔率が5%未満であると、前記中子形成物質
が円滑に外部に排出されず、被覆層11内部から圧力が
加わり、前記被覆層11は薄肉に形成されているので、
当該圧力により割れや変形を生じる恐れがあるためであ
る。また、前記気孔率が75%より大きいと前記被覆層
11の焼成時に被覆層11が割れたり壊れたりし易く、
また完成した薄肉中空金属物品も、脆く壊れ易いためで
ある。そして、上記のように中間体12の中子形成物質
を外部に排出した後、前記被覆層11を焼成することに
より、図1(c)に示すような薄肉中空金属物品13を
完成する。
属として、Au、Ag、Pt、Pd等の貴金属やこれら
の合金、あるいはAl、Ni、Co、Fe、Cu、T
i、Zn、Sn、Zr、V、Pb、Cr等やこのらの合
金から選ばれる1種または2種以上の混合粉体が用いら
れる。
中空金属物品13の製造方法は、中子10を非水溶性セ
ルロース系樹脂及び水溶性セルロース系樹脂及び結合剤
からなる第一可塑性組成物を芯材10aとして、この上
にろう材からなるワックス層11を被膜することにより
形成したものであり、前記ワックス層11の滑り性が良
好であるので、この上に被膜される被覆層11を均一な
膜厚で薄く形成することが可能である。
芯材10a上に薄く形成され、さらに前記芯材10b
は、加熱時に収縮する前記組成からなる第一可塑性組成
物により形成することにより、前記芯材10a及びワッ
クス層10bからなる中子10に被覆された被覆層11
より構成される中間体12を加熱・焼成する際、前記ワ
ックス層11の熱膨張、つまり、膜厚変化は前記芯材1
0aを構成する第一可塑性組成物に吸収され、前記ワッ
クス層11の熱膨張によって被覆層11に発生する亀裂
や変形を完全に回避することが可能である。
薄肉中空金属物品13を大掛りな製造設備及び熟練度技
術を必要とせず製造することができる。そして、前記薄
肉中空金属物品13を極めて高い生産効率にて製造する
ことができ、製品の大幅なコストダウンを図ることが可
能である。
品の製造方法を用いて製造された、薄肉中空金属物品の
製造例について説明する。なお、図面は上記実施例と同
様に図1を使用する。 (製造例)まず、カルボキシメチルセルロース80重量
%、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩2重量
%、フタル酸Nブチル1重量%及び水を混練して生成し
た第一可塑性組成物を所定形状に成形した後に、これを
芯材10aとして、その表面に、膜厚1mmのろう材か
らなるワックス層11を被覆して中子10を形成した。
ルベンゼンスルホン酸塩3重量%とフタル酸−ジ−2−
エチルヘキシル10重量%と水とを混合して結合剤を作
製した。ついで、この結合剤22重量部と金粉末78重
量部を混練して第二可塑性組成物を得た。前記金粉末に
は、平均粒径40μmの粒径の純金粉末を用いた。
物を前記中子10の表面に被膜し、これを乾燥して、前
記中子10表面に膜厚1mm、空孔率20%の多孔質な
被覆層11が形成された中間体12を形成した。さら
に、この中間体12を加熱炉において大気中、150℃
で2時間加熱し、前記中子形成物質を被覆層11の表面
孔より外部に排出した後、さらに前記被覆層11を構成
する第二可塑性組成物を1000℃で2時間焼成した。
このようにして膜厚0.8mmの薄肉中空金属物品13
を得ることができた。
金属物品13の前記被覆層11の外形形状を、圧粉成形
時と中子10の燃焼除去後とにおいて比較したところ、
変化は殆ど見られなかった。これは、前記中子10が、
その燃焼時において固相状態で燃焼して気化し、その成
分が前記被覆層11の表面孔から外部へ排出されたこと
によるものと考えられる。また、前記中子10の第一可
塑性組成物の組成を上記成分比とすることにより、乾燥
前において室温で充分な可塑性を有し、自由な造形が可
能であり、かつ、加熱に際し固相のまま燃焼・気化す
る。よって、乾燥・固化後においては充分な硬度となる
ので、造形後の変形、壊れを生じることを回避できたと
考えられる。
空金属物品13を切断して、内部形状を調べたところ、
若干の寸法差はあるものの、前記中子10の外形形状と
相似形の内面形状を有する空間部が形成されていること
が確認された。この寸法差は、前記被覆層11の燃焼時
において、通常生じる収縮によるものである。
13の製造方法によれば、中子10を前述したように、
非水溶性セルロース系樹脂及び水溶性セルロース系樹脂
及び結合剤からなる第一可塑性組成物を芯材10aとし
て、この上にろう材からなるワックス層10bを被覆す
ることにより、前記ワックス層10bの滑り性が良好で
あるので、この上に被膜される被覆層11を均一な膜厚
で薄く形成することが可能である。
を構成している第一可塑性組成物は、多孔質であって焼
成時には収縮し、さらに前記ワックス層10bは上述し
たように薄く形成されているために、加熱・焼成時の前
記ワックス層10bの熱膨張、つまり、膜厚変化は前記
芯材10aを構成する第一可塑性組成物に完全に吸収さ
れ、前記芯材10a及びワックス層10bそして被覆層
11から構成される中間体12を加熱・焼成する際に
は、ワックス層10bの熱膨張により、被覆層11に亀
裂や変形を生じるといった問題を完全に回避することが
可能である。
の製造方法によれば、薄肉中空金属物品を製造するのに
際し、その内部形状を高精度の制御が可能となるととも
に、外形形状の変化が抑制される。なお、前述した本実
施例は、本発明の薄肉中空金属物品の製造方法における
一例であって、目的とする薄肉中空金属物品の形状等に
より種々変化するものである。
を製造する場合、例えば、手を突き上げた人物像を造形
する場合、図2に示すように、その中子20は胴部21
から細径の腕部23を突出させた形状に形成しなければ
ならない。そして、この中子20は、前記製造例または
実施例で示した構成からなる中子10の表面に、上述し
たような製造例または実施例で示した組成からなる第二
可塑性組成物を被膜して、図3に示すように被覆層23
を形成した中間体24を形成するのであるが、この場
合、前記被覆層23を形成する金属の比重が大きいこと
から、特に、前記中子20の突出した被覆層22aの重
量により、前記腕部22が下方へ変形させられてしまう
ことが想定される。
の芯材を構成する第一可塑性組成物に、前記実施例で示
した組成及び濃度範囲に限定した第一可塑性組成物を使
用する。前記実施例で示した組成及び濃度範囲に限定し
て製造された第一可塑性組成物は、乾燥固化された後、
充分な硬度が付与されるので、これを芯材として、この
上にろう材からなるワックス層を形成した中子20を使
用することにより、前記中子20は、被覆層23の重量
に充分耐えてその変形が防止され、図1に示すような長
い突出部を有する形状の成形が可能となる。
範囲に限定した第一可塑性組成物は、上記製造例と同様
に、中子20が固相燃焼の下に気化除去され、被覆層2
3の内部に、図1に示す中子20と同一形状の中空部が
形成され、さらに、この被覆層23を焼成することによ
り、図2に示す被覆層23の外形形状とほぼ同一の外形
形状を有する薄肉中空金属物品が得られる。
薄肉中空金属物品の製造方法によれば、大掛りな製造設
備及び熟練度技術を必要とせず、容易に薄肉の中空金属
物品を製造することができる。そして、前記薄肉中空金
属物品を極めて高い生産効率にて製造することができ、
製品の大幅なコストダウンを可能としたものである。
中空物品の製造方法によれば、薄肉中空金属物品の製造
方法によれば、中子を非水溶性セルロース系樹脂及び水
溶性セルロース系樹脂及び結合剤からなる第一可塑性組
成物を芯材として、この上にろう材からなるワックス層
を被膜することにより形成したものであり、前記ワック
ス層の滑り性が良好であるので、この上に被膜される被
覆層を均一な膜厚で薄く形成することが可能である。
る第一可塑性組成物は、多孔質であって焼成時には収縮
し、さらに前記ワックス層は上述したように薄く形成さ
れているために、加熱・焼成時の前記ワックス層の熱膨
張、つまり、膜厚変化は前記芯材を構成する第一可塑性
組成物に完全に吸収され、前記芯材及びワックス層そし
て、被覆層から構成される中間体を加熱・焼成する際に
は、ワックス層の熱膨張により、被覆層に亀裂や変形を
生じるといった問題を完全に回避することが可能であ
る。なお、前記被覆層に用いられる上記組成の第二可塑
性組成物は、中子表面に被膜された後、乾燥させること
によって多孔質な被覆層となるため、中間体を加熱し、
中子を溶解・蒸発または燃焼・気化させた際には、前記
中子形成物質を前記多孔質な被覆層の表面より円滑に外
部に排出することが可能である。
の芯材を構成する第一可塑性組成物の組成を上記成分比
とすることにより、乾燥前において室温で充分な可塑性
を有し、自由な造形が可能であり、かつ、加熱に際し固
相のまま燃焼・気化する。また、乾燥・固化後において
は充分な硬度となるので、造形後の変形、壊れを生じる
ことはない。
請求項2に示した組成からなる第一可塑性組成物を芯材
と、この上に被膜されたろう材からなるワックス層より
構成することによって、請求項2に加えて、前記ワック
ス層は良好な滑り性を有することから、この表面に均一
に膜厚の薄い被覆層を形成することが可能であるととも
に、この中子に被覆層を形成した中間体を加熱・焼成す
る際に、前記第一可塑性組成物からなる芯材は収縮し
て、その上に被膜されたろう材からなるワックス層の熱
膨張による前記ワックス層の膜厚変化を吸収することが
できる。従って、ワックス層上に被膜される被覆層の亀
裂や変形を防止することができる。
に、前記中子を構成するワックス層の膜厚を0.05m
m〜2mmの範囲内に設定することにより、前記ワック
ス層の滑り性特性を引出すとともに、ワックス層の熱膨
張等の問題の回避を図ることができる。
第二可塑性組成物は、中子表面に被膜された後、乾燥さ
せることによって多孔質な被覆層となるため、中間体を
加熱し、中子を燃焼そして気化させた際に、前記中子形
成物質を前記多孔質な被覆層の表面より円滑に外部に排
出することが可能である。そして、この際、請求項5に
示したように前記被覆層の空孔率を5%〜75%とする
ことにより、前記中子形成物質を外部に円滑に排出する
ことが可能である。
項1による薄肉中空金属物品の製造方法によれば、中子
を所望の形状に室温において自由に造形することができ
るとともに、こうして造形された中子表面に金属及び合
金そして結合剤からなる可塑性組成物を被覆し、乾燥さ
せることにより、前記中子表面に多孔質な被覆層を形成
した中間体を形成することができる。そして、この中間
体を加熱し、前記中子を燃焼・気化させることによっ
て、前記中子形成物質を被覆層の表面孔より円滑に外部
に排出することができる。この際、前記中子を請求項3
に示す組成より構成することにより、前記中子形成物質
を固相のまま燃焼・気化させて、中子の表面に形成され
る被覆層の変形を防止することができ、また、乾燥、固
化後において充分な硬度を与えて、表面に形成される被
覆層の重量を確実に支持し、その偏見を防止することが
できる。
造設備及び熟練度技術を必要とせず、容易に薄肉の中空
金属物品を製造することができる。そして、前記薄肉中
空金属物品を極めて高い生産効率にて製造することがで
き、製品の大幅なコストダウンを可能としたものであ
る。
品の製造方法を説明するための図である。
肉中空金属物品の製造例における中子の構成例を示す斜
視図である。
肉中空金属物品の製造例における中間体の構成例を示す
斜視図である。
説明するための図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 非水溶性セルロース系樹脂及び水溶性セ
ルロース系樹脂及び結合剤からなる第一可塑性組成物を
芯材として、この上にろう材からなるワックス層を被膜
成形した中子を形成し、この中子表面に金属または合金
及び結合剤からなる第二可塑性組成物からなる被覆膜を
被膜し、これを乾燥させて前記中子表面に多孔質の被覆
層を被膜した中間体を形成した後、この中間体を加熱し
て前記中子及びワックス層を溶解・蒸発または燃焼・気
化させた後、前記被覆層を構成する第二可塑性組成物を
焼成することを特徴とする薄肉中空金属物品の製造方
法。 - 【請求項2】 前記第一可塑性組成物が、非水溶性セル
ロース系樹脂が65重量%〜92重量%、水溶性セルロ
ース系樹脂が0.5重量%〜8重量%、油脂が0.3重
量%〜5重量%、残りが水及び不可避不純物からなる組
成を有することを特徴とする請求項1に記載薄肉中空金
属物品の製造方法。 - 【請求項3】 前記中子が、非水溶性セルロース系樹脂
が65重量%〜92重量%、水溶性セルロース系樹脂
0.5重量%〜8重量%、油脂が0.3重量%〜5重量
%、残りが水及び不可避不純物からなる組成を有する第
一可塑性組成物と、この第一可塑性組成物を芯材とし
て、この表面に被膜されたロウ材からなるワックス層か
らなることを特徴とする請求項1に記載の薄肉中空金属
物品の製造方法。 - 【請求項4】 前記ワックス層の膜厚が0.05mm〜
2mmであることを特徴とする請求項1に記載の薄肉中
空金属物品の製造方法。 - 【請求項5】 前記被覆層の気孔率が5%〜75%の範
囲内であることを特徴とする請求項1に記載の薄肉中空
金属物品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19883992A JP3395211B2 (ja) | 1992-07-24 | 1992-07-24 | 薄肉中空金属物品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19883992A JP3395211B2 (ja) | 1992-07-24 | 1992-07-24 | 薄肉中空金属物品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0639490A JPH0639490A (ja) | 1994-02-15 |
JP3395211B2 true JP3395211B2 (ja) | 2003-04-07 |
Family
ID=16397779
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19883992A Expired - Lifetime JP3395211B2 (ja) | 1992-07-24 | 1992-07-24 | 薄肉中空金属物品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3395211B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3710527B2 (ja) * | 1995-09-05 | 2005-10-26 | 相田化学工業株式会社 | 金属物品の製造方法 |
CN100333857C (zh) * | 2005-11-29 | 2007-08-29 | 辽宁省轻工科学研究院 | 空心陶瓷型芯的制备方法 |
CN100402461C (zh) * | 2006-12-08 | 2008-07-16 | 辽宁省轻工科学研究院 | 氧化镁陶瓷型芯及其注射成型制作工艺 |
-
1992
- 1992-07-24 JP JP19883992A patent/JP3395211B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0639490A (ja) | 1994-02-15 |
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